仙人日記
   その67夏ー2011年水無月

6月1週・・・・ほやほや仙人に弟子見習い参上!



クレマチス(前庭)
あんまり5月の山荘が静かな美しさに満ちて
素晴らしかったので
つい、うっかり仙人宣言などしたら
森の風が早速聴きつけて
どうもあちこちに流してしまったらしい。

地獄耳のはっぱがそれを聴き逃す筈がない。
なにしろ名前が葉子、はっぱの子なんだから遠くに居ても
森の葉のお喋りはきっと聴こえるんだな!

碧のアイリス(前庭)
《せんせ!5日の日曜日には山荘に
おいでになりますか?
子供を連れて御邪魔したいんですけど》

突然掛ってきた電話は言葉は丁寧だが
最早選択の余地なし
有無を云わせぬあの恐ろしい
デストろい子創造主の声なのだ。

電話を受けた時の
ほやほや仙人の狼狽振りときたら
そりゃ見物だったぜ。
「ハイ、えーと、アノー、行きます」

針槐
ニセアカシア
(座禅草公園) 
 実は3・11の東北大地震で目白窯
止められていたが
今週末、特別に焼き残した作品に限って
焼いてもいいことになった。

土曜の昼から窯入れ、4日間ぶっ続けで
窯を焚かねばならず
山荘には行けないのだが、つい
デストろい子創造主の迫力に負けて
「行きます」と答えてしまったらしいのだ。

仙人宣言を風から聴いて
電話をかけて来たはっぱの魂胆は?
あー若しかすると子供達を
仙人の弟子見習いに出そうとしているのでは?



山荘に一番似合うのは、実は子どもの元気な笑い声なのだ。
森が隙間なく緑に覆われ、小鳥の声が飛び交う季節。命の饗宴がピークを迎えたこの季節に
最もふさわしい小さな客人がやってきた。

二人の愛くるしいミニレディと、二人の赤ちゃん、そして彼らの先頭に立つのは、
今年小学生になったばかりの勇敢な未来の豆博士。




森にブランコ在るなんて!
 (小倉山の森)
虫だろ、石だろ3番目は星だ!
6月5日(日) 曇 恵太6歳 小倉山


 変幻自在の術も使えぬ未熟な
ほやほや仙人に
敢えて弟子見習いに出すにはそれなりの
隠された意図が在る筈。

そこで先ず弟子見習いの恵太に訊いてみた。
「勉強は何が好きなんだ?」
小学校だから数学じゃない算数かな?
それとも理科、もしかして音楽だったりしてと
教科名の返事を期待してたら
《虫、で、石だろ3番目が星》との回答に吃驚!

さあ、それから恵太の嵐のような知識が爆発。
1年2組恵太の担任とみおかあや先生から
ブラック・ホールまで
山に登りながら息も切らさず話は続く。

勿論チャイコフスキーのピアノ協奏曲
 (居間)
 
猪タオル見つけたぜ! 
(小倉山の森)

ヤッター!小倉山の天井? だぜ 
 (小倉山の頂)
そこで早速テスト開始。
「この木よくみてごらん!何だか変じゃないか?
泥が着いてるだろう。
誰が何の目的で泥を着けたのか?」

この真剣に考える恵太の顔見てやって!
小倉山の頂上を天井と間違えてヤッター天井だ
歓んでいた笑顔と大違い。
暫く沈黙が続いたのでヒント。
「い、がつく動物が何かに入って出て来て着けたのさ」

「虫だ!猪の体に虫が着いて泥の風呂に入って
虫をとる為に体を木に擦りつけて・・・」
うーん、こんなこと学校では絶対教えない筈。
2年前に山荘の森で仙人が教えた
猪風呂を覚えていたのだろうか。

6歳の少年にとって2年前と云うのは
人生の3分の1前になる。
仙人にとっては20年以上前の知識である。
こいつ半端じゃないな。

あと、いのししのタオルの件ですが、
今日あらためて恵太になぜ知っているのか尋ねたら
「テレビで見た」だそうです。ガーン。。。失礼しました.
by 葉子

 偶にはこうやって世界を逆に観るのさ!
 (小倉山の森)



さっそく恒例の特製ヨーグルトでの朝のもてなし。
だけどせっかくの山荘主の心をこめたもてなしも、子どもたちには通用しない。
ワイン漬けのマンゴーが不評の原因らしい。「なんかスジスジして口が痛くておいしくないよ」とシビアな感想。

お昼抜きの山荘スタイルには反するが、子どもたちはまず本格的腹ごしらえに、
焼きそばとおむすびをそれぞれのお母さんが用意して、モリモリ食べる。
焼きそばパンを盛んに所望する恵太くん。
しかし、焼きそばパンは散歩から帰ってからのお預けに。

ちび軍団の食欲を満たしてから、小倉山散策へとプログラムは進む。山荘メンバー2人と恵太君はジョグで、
残りのメンバーは車でザゼンソウ公園入り口で待ち合わせることに。


山荘到着、さあこれから探検だ!
6月5日(日) 曇 前庭


どうやら仙人弟子見習いに子供を出す不安の道連れに同じクラスの《ぷれじでんと・ハッシー》
はっぱは引き込んだらしい。
実に不幸なことにはっぱ《ぷれじでんと・ハッシー》も悪名高き仙人の若かりし頃の教え子なのだ。
いもねーちゃん、どんがばっちょ、とりころーる・いんであん等数々の担任の悪行にもめげず
彼等は子供を連れて再びやってきたのだ。復讐を遂げる為に!

「先生、お久しぶりです。超美人の妻1名と天使のような愛娘・美優と
紅顔の美少年・雅輝を連れてきました。宜しくお願いします」
あな恐ろしや、敵は9名こちら1名。
いや、山荘シェフの村上も若しかすると娘をヒマラヤに拉致した担任を恨んで
敵陣営に加わってしまい敵は10名になるかも。
危うし!
ほやほや仙人の運命は如何に・・・!



2年前に小倉山に初登頂した体験が忘れられない恵太君。
「あそこの山だよね。自動車より早く着くぞ!」と張り切って出発。
ところが、彼の予想に反して、歩けども歩けども小倉山に着かない。
「ねえ、何処にあるの?」ときどき不安になるらしい。

それでも、道中絶え間なく、彼の口からは質問と答えが飛び出す。「ねえ、水の渦は英語でなんて言うか知ってる?」
「べっ甲飴作れる?」「ぼくが一番嫌いな人知ってる?」「好きな食べ物はなーんだ?」

う〜ん、どれも難しいや。答えられない大人に、彼は一言ずつ言葉を選んで、丁寧に説明してくれる。
合間には昨日の運動会で歌った応援歌を披露してくれたり、ドレミの歌の替え歌で
<うんこ、しっこ>バージョンを高らかに歌ってくれる。



秘密の部屋みーつけた!
(屋根裏部屋)
せんせ手つないで!
6月5日(日) 曇 美優3歳(みゆチン) 


本日、2番目の弟子見習いはちょっと人見知りの3歳美優。
お弁当持って英語スクールに通って
歌ったり踊ったりの平和な日々を過ごしているらしい。
さて突然放たれたサバイバルの山荘で美優を待ちうけているものは何か?

カリストの部屋がパカッと割れて天井に新しい部屋が生まれたもんだから
美優の瞳は驚きと未知への期待に耀く。
恐る恐る天井への階段を昇りつめると、右側には沢山の世界の熱帯蝶。
左側には宇宙の本が並びトランペットが光ってる。
それにガラスの屋根がするすると開いて空がいっぱい広がっているでは!

これぜんぶ美優の?
 (ワインセラー)

お屋根のてっぺんだ!
 (屋根の上)
そんでもって
そのガラスの屋根の外に出ると森が
直ぐ目の前に迫り
お山なんか手を伸ばせばさわれそう。
空に飛び出しそうでちょっと怖くて、
右手でしっかり屋根を握ったけど
ほら左手は離せたよと緊張の表情。
あれ、畑の石垣にドア
在るなんて変だな?
と思っていたらせんせが来て
ドアを開けてくれました。
部屋が全部ワインの壁になっているので
きっと全部ケーキで出来てる部屋も
在るのかなとドキドキしました。 
 
秘密の部屋だ!
 世界の熱帯蝶の棲む部屋)
 
もっと食べたい! 
(テラス)
美優モノローグ

テラスでケーキや焼きそばを食べてると
一番弟子見習いの恵太くんが「俺は山登りだけでなくて畑仕事もやるんだ」
と云ってせんせと畑に行ってしまいました。
何処の畑に行ったのかなと後から着いて行くと
恵太くんは茄子の苗を植えてホースで水を撒いてました。

森の探検に出かけたら少し怖くて
せんせと手をつないで歩いていたら恵太くんが写真を撮ってくれました。
最後に畑から恵太くんがお土産に
大きな玉葱やレタスを採ってくれました。
早く恵太くんのように一人で山に登ったり畑仕事が出来るように
なれたらいいなーと思いました。

人見知りの美優が恐れもせず、何と可愛らしい紅葉のような手を
差し出すではありませんか。
3歳の少年に戻ってしまったかのように仙人の照れること。


こんな大きなレタスどうしよう?
 (ゲート)



小学校一年生になった男の子がこんなにいろんなことを考えたり感じたり、それを言葉で表現したりするんだと改めて認識した。
と同時にその旺盛な好奇心と知識欲と表現力にいたく感激させられた。
つまらん大人と話しているよりよっぽど面白くて、為に(?)なる話ばかりだ。

私の知らないいろんなことを、あるいは知っていても気がつかない視点で次々と話題が展開して、
それこそ脳が活性化させられる。
やっと着いた広場には車だけがぽつんと置かれ、すでに皆は散策へ出発したようだ。
恵太君は車を見ながら
「帰りはオレも車に乗るんだ、その方が早いし楽だもん」とのたまう。



森の妖精達
6月5日(日) 曇 山荘の森


ははーん、この丸太椅子
この日の為に
森と風が特別注文して
ジョバンニに造らせたんだな。

そうして君達が座っていると
何だか枯れ木から
にょきにょき生えて来たみたいで
そのまんま森の妖精に
なってしまいそう。
 右側の美優は地面をじっと見つめて
一心に虫の動きを追っています。
綾はにっこり微笑み指で森に語りかけ
全身で歓びを表しています。

山荘3度目の恵太は余裕のポーズ。
1歳4カ月の雅輝は
ぷれじでんと・ハッシーの操り人形になって
森にごあいさつ。
「ぼくもいつの日か、仙人の弟子見習いになれるかな?」
 



さっきも、「帰るときは車の中で寝るんだよ。お家に着いたら、寝てるような感じで運んでくれるんだもん。」
どうやら、運ばれる時は目が覚めているらしい。
それでも、父か母の腕に抱かれて寝床に運ばれるのが嬉しくて、目を開けないんだな。

車帰還を希望していた恵太君が、帰りには全くそんな事を云ったことなど忘れたかのように、
「オレは走って帰るぞ〜」と、実際に一言の弱音も吐かず、山荘まで歩いて帰ったのだから驚く。
遅れ気味だった恵太君が森の入り口から先生の後を走ってついて行く。

自分の体の倍近くある木の枝を杖として渡され、途中までは抱えていたものの、重たくなったらしく放り出す。
ザゼン草の木道を先行する小さい人たちグループに追いつき追い越す。
後ろから見るとザゼン草の大きな緑葉の海の中に子どもも大人も漂っているみたいだ。



誰だと思ってるの私を! 
(石卓)
恐るべしデストろい子登場
6月5日(日) 曇 綾3歳


「もしかして私のこと
3番目の仙人弟子見習いなんて云うんじゃないでしょうね。
どうせ云うのなら1番目と云ってよね」
「恐れ入りました。正しくその通りでございます。
失礼オバいたしました」

前夜デストろい子登場に備えて
キーボード上のクリスタル地球儀、瑪瑙(めのう)壺上の竜
をしまって嵐に備えた。
前回は仙人が大切にしているヒマラヤの石
ばらばらに蹴散らしたうえ、ぺろぺろ舐めてしまったのだ。

内に秘めたるエネルギーは3つ上の恵太より遙かに強大。
少しでも留まっていることは無く
常にエネルギー全開で
《どうしてこの地球はこんなにも狭いのよ》と嘆いている。

誰かに似ていると思っていたが
ペルーでの親子2代の日系大統領誕生が期待されてる
ケイコ・フジモリの幼少j時を彷彿とさせる。
いや将来の綾はそれ以上の大物になる可能性あり。
図らずもこの日がペルー大統領選の投票日。

さあ!飛ぶわよ
 (西畑)

怖くなんてないってば!
 (ログ梯子)

どう美人でしょ!
 (ログ)
先ずワイン漬けマンゴをトッピングしたカクテルグラスの
スイートを軽く平らげ
空いたカクテルグラスにやおら焼きそばとソーセージを詰め込み
きっちりと腹ごしらえ。
カクテルグラスで焼きそばとは、さては世界の常識をぶち破る妖精誕生か?

《さてこれで活動エネルギーは補充したし何からやろうかしら?》
と云っても未だ3歳では
ログの垂直に近い梯子の下降はとても無理。
落ちたら村上に下で支えてもらおうと待機してもらったが
手足が未だ短いのでややぎこちないもののすいすい。
満面の笑顔で《怖くなんてないってば!》

森を駆け巡り畑に飛び出し、それでもエネルギーが余り
居間ではご覧のようにでんぐり返し。
畑で恵太の水撒きホースを奪おうとしたが叶わぬとみるや
魔女の宅急便のキキになって
コリコの町へ今正に飛び出さんとエンジン全開。

どうやら仙人の弟子見習修行にパスするのは
綾を置いて他に無しか?

私に悩殺されたの?
 (居間)



小倉山へ向かうと、美優ちゃんは途中まで元気いっぱいだったが、突然登る気を失い、とっとと一人で下り始め、
慌てたパパに「そっちに行ったら、お化けが出るよ。ほら!もうお化けが来てるよー!」
と大声で呼び戻され、半泣きでパパの手にしがみついていた。
いいのかな〜?あんなこと言っちゃって脅かして・・・

小さいグループを後に残して、三人組は頂上を目指す。
さっき披露してくれた恵太君の蘊蓄を隊長にも教えなくちゃ。
「水の渦は英語で?」正解は「ウォータートルネード」。なるほどと感心した隊長が、
「魚もトルネードになるんだよ」というと、すかさず恵太君「そうだよ、それでね、
そこんとこに大きなねクジラみたいなのが来て
わーって食べちゃうんだ」「ジンベイ鮫とかだな」会話が弾む。
 


巨石の滝裏で
6月5日(日) 曇 座禅草公園


実はほやほや仙人は
どうしようもなく臆病者なのです。
地面から2m近くの高さに
吊り下がっている
藤蔓ブランコに恵太が乗って
逆さにぶる下がった時も
《あー若し恵太が蔓から手を離したら
頭から落ちて・・・大変だ!》

首の骨を折ってしまうかも
頭蓋骨骨折で死んでしまうかも?
ドキドキしながら
でも平気な顔して
「もう一回やってみろ」なんて
云っちゃうのです。 
登山途中の藤蔓ブランコや垂直の石垣クライミングで
すっかり自信をつけた恵太は
なんの断わりもなしにいきなり巨石の滝を登り始め
仙人をどぎまぎさせるのです。

岩壁クライミング氷壁登攀
知り尽くしている世界だけに、何処に見えない
危険が潜んでいるかが一目で仙人には判るのです。

でもどんなに口を挟みたくても
自ら限界を超えようとしている挑戦者には
云ってはいけない時もあるのです。

ぐっと堪えて観ていたら、岩の頂に立ち大岩を抱きかかえて
下の岩に足を掛けすたすた降りて来るでは。
やったねー恵太!
 



彼の頭の中には今、海の中の世界が広がり、次にはもっと広い宇宙の神秘が広がる。
「ブラックホールはね、中に入るとオレンジ色の光みたいなのが真ん中に見えるんだけど、そこに行こうとすると、
オレンジ色は遠くなっちゃって、どんだけ行ってもどんどん遠くなっちゃって、
それでブラックホールの中から出られないんだ」
かと思うと、難しい名前の○○マンとか怪獣とかの名前が飛び出すが、どうも我々大人にはチンプンカンプン。
(怪獣の話じゃないよベイブレードだよ by恵太)

「学校では何が好き?」と聞かれ「一番は虫でしょ、それから石。星も好きだよ。海も。」
「じゃあ、さかなクンみたいになれるかもしれないね?」「うん。それでもいいけど、カメラマンもなりたい」
一眼レフのデジカメを首から下げて、さっきから目に着くものがあるとシャッターを切っている。
そのうち、大人二人が被写体にされ、あちこちでポーズを取らされる羽目に。
しかし彼のカメラ視線の選択はなかなか素晴らしい。
山頂でたくさん写真を撮って、のんびり下山。

おじいちゃんおばあちゃんの愉しい話もたくさんしてくれたが、まあ、プライベートに関わるので守秘義務。



ぼく1歳の遥大(はるき)リッキーです
(屋根裏部屋)
 色白貴公子のお出ましじゃい!
6月5日(日) 曇 屋根裏からログへ


この色白貴公子達の瞳を覗いてごらんよ。
吸い込まれそうだろう。
屋根のてっぺんに立つリッキーの笑顔なんて
幾らお金を積んでも買えないぜ。

リッキーは今どんなに不安定で危険な場所に立っているか
本能的に知っているんだ。
小さな足が急傾斜の緑の屋根に辛うじて着いてはいるものの
未だよちよち歩きしか出来ないリッキーにとっては
極めて危険な生まれて初めての大冒険。

瞳の深奥に僅かな緊張と誇らしさを秘めて
それでもリッキーは微笑む。
なんだか生命賛歌の調べさえ流れているような
極上の微笑みだね。

ぼくだって山荘にお手紙送るんだとPCのキーボードをタッチ!
世界に向けて初めて発信したリッキーのメッセージです。

二k1202000000000000000000000000000000000 byりっきー

貝のシャンデリアに夢中
 (ログ)

芝生でおにぎり 
(前庭)

本当は歩けるんだぜ!
 (前庭)
卒業生や在校生まで参加し協力して建てたログハウスのドアを開けると
無数の白い貝を繋げた大きく長いシャンデリア。
リッキーより4カ月大きいマチャはよちよち歩きを卒業して
よたよた歩きの研修中。

上体をふら付かせながらシャンデリアの真下まで一気に進み
やおらシャンデリアの貝を掴みニコっと笑みを浮かべる。
そのまま体重を掛けたらシャンデリアが落下するかもと急いで
連なる貝を持ちあげる。

その貝を追って見上げるマチャの瞳も素晴らしい。
未知を追うきらきらしたハンターの目だ。
大人がどう演技しても表現出来ない失われてしまった瞳。
未知を追うことこそが生きることの意味であった少年時代を
永劫に失い大人の目は死んでしまう。

右の画像はテラスで食い入るように森を見つめるマチャ。
マチャが捉えた森は瞳に吸い込まれ
ニューロンの森に同化しマチャを森そのものに変える。
マチャは未だ容易に森への回帰が可能なのだ。

ぼく1歳4ヶ月の雅輝(マチャ) (テラス)



途中で見つけたイノシシタオル。さっそく隊長先生の課外授業が始まる。
「恵太、これがなんだかわかるか?」緊張した表情で説明を聞く恵太君、首をかしげ沈黙。
「よしヒントだ。いではじまる動物」やっぱり首をかしげてる恵太君。
そこで助け舟「ほら、さっき道の扉を閉めないと入ってきちゃうものいたでしょ?」
「イノシシ!!ぼく知ってるよ、泥の中に入って、体に着いている虫取るんだよ、それでね・・・」

回路が繋がった途端、言葉が迸り出る。
彼の頭の中の知識が言葉になって転がるように飛び出てくるさまは感動ものだ。
夢中になって喋る少年の瞳は活き活きと煌めいている。
それを眺める隊長の目も何とも嬉しそうである。森の課外授業大成功!


山荘から軽いジョックで
6月5日(日) 曇 座禅草公園


この大きな葉っぱ、何だか知ってるかい?
そう、自分で温室を造って花を咲かせ受粉するあの座禅草さ。
雪の残る早春に開花しその後、葉が出てきてこんなに大きく成るんだよ。
一面に葉が広がってまるで海のようだね。
葉の海の真ん中にリッキーを背負って立っているのははっぱの葉子。
葉子を生んだのはきっとこの森にちがいないね。



「ぼくが一番好きなのはお寿司。果物は葡萄が好き。」
「じゃあ、ワインは大人になったら好きになるね。」
「ならない!ぼくはアルコールは大嫌いなんだから。」断言する。さては何処かで酔っ払いに絡まれたことがあるのかな?

ちょうど葡萄畑でおじいさんが手入れ中。「こんにちは!」と大きな声であいさつして、隊長が
ここの畑の葡萄は特別に美味しいんだよ。秋になったら食べにおいで」と教えると、
小さな青い葡萄の実を見上げながら、恵太君の瞳がまたきらきらと輝く。


   
 えっ!運ぶだけ?
6月5日(日) 曇 椎茸の森


信じられる?僅か6歳の子供がだよ
山登りを終えたばかりで、疲れも見せず畑仕事をせがむなんて。
そりゃひとときの気紛れであったとしても他に幾らでも遊びがあるではないか。
まあ、どうせ直ぐ飽きてしまい投げ出すだろうからちょっとだけ。

そこで畑に連れだし収穫した野菜を持たせ
「これ持って行ってお土産だよとお母さんに渡しておいで」と恵太に云った。
じーっと仙人の顔を見上げたまま野菜を受け取ろうとしない。
どうしたのかな?もっと沢山欲しいのかなと恵太の顔を見るとぽつんと一言。
「ぼく、運ぶだけ?」

これには参ったね。本気なんだ。
「解ったよ。それじゃ、先ずこれを届けておいで。畑仕事はそれからだ」



恵太君は二人の妹、弟の名付け親でもあるそうだ。
「ぼくは妹をアヤチャンて呼びたい」だから綾ちゃんに。
弟が生まれる頃は熱中していた虫にちなんで「リッキー」と命名。
ヘラクレス・リッキーというカブトムシが由来だ。両親はリッキーに当てはまる音と漢字を考えた結果
『遥大(はるき)』と名付けたそうだ。無論通称リッキーくんである。

 山荘に戻ってからも、再び森の探検を希望したり、畑仕事にも精出したり、
一時もジッとしてないで、次々と活動に精を出す。
べっ甲飴まで作って二人の女の子に尊敬と憧れのまなざしを注がれていた。



 山荘特製ケーキ 
(村上シェフ作)

 干柿、カマンベール&マンゴ
 
(仙人作)
今、登ってきた小倉山をバックに
6月5日(日) 曇 テラス

 
あれれ、恵太が居ない?
恵太はこのテーブルの反対側に座って居て頑として動かないのです。
とても美味しそうな山荘特製ケーキまで出てきて、いよいよ山荘レストラン開店だと云うのにどうしたのかな?

実は拗ねているのです。
恵太お得意のべっ甲飴を作ってレストランのメニューに加えたいのに
大人はキッチンで忙しそうに動きまわり恵太の調理参加に耳を傾けないのです。
それで最後の手段、ストライキを打って出たのです。
なかなかやるねー恵太!

で、どうなったかと云うと結局は恵太の勝利で、恵太の作ったべっ甲飴は2人のレディーに大歓迎されたのでした。
虫や石、宇宙に興味を示し山を登ったり畑仕事をこなすだけでなく
更にシェフにまで活動を広げストライキを打って、意志を通す強烈な恵太の実行力に一同脱帽。 



疲れ知らずのエネルギーと創造力。
これぞ、山荘主の精神を受け継ぐ後継者と讃えたくなるような、次代を背負う少年の登場だ。
これから、彼がどんな少年時代を経て、
たくましい青年へと成長して行くのだろう。森の精が見守ってくれますように。
彼ならきっと森の期待を裏切らない大人になるだろう。

 翌朝、森は木漏れ日を零し、美しい光の模様を描き上げていた。
この森の光と影を恵太君にも見せたかったなと思いながら、朝のすがすがしい空気を胸いっぱい吸って、
昨日の子どたちとの幸福な時間を反芻した。

(もう一人のジョバンニより) 



探検作戦会議 (居間)

暗い森へ (山荘森)
 あちこちに怪しげな暗号文

べっ甲飴も食べて
ご機嫌な3人は何やら作戦会議。
「せんせ、鉛筆貸して下さい」
恵太が取り出したのは碧いメモ用紙。

べっ甲飴に釣られ恵太の傘下に下った
レディー2名は早速
暗い森へ偵察に出て行く。
テラスで呑んでる大人にも
碧いメモ用紙が渡される。
レ点や矢印らしき
意味不明な記号が記されてる。
大人には解らん。

文字も読めない3歳のレディー達は
何の抵抗も無く用紙を受け取り
喜々として庭や森、室内を
所せましとばかり
走り回っている。

翌朝、掃除をしようと各部屋を巡ると
あちこちに碧いメモ用紙。
ほやほや仙人への伝言か?
解読は出来ないが
どうも仙人危うし!の危機は去り
敵10名は味方になった
との暗号らしい。
ならばめでたし、めでたしじゃ!

でっかーイ空発見 (屋根裏部屋)

 どうだ俺のだ (西畑)



   妖精達の小さな忘れ物
靴、パンツ、靴下
6月6日(月) 晴 前庭


 妖精達が去った山荘の森はひっそりとしていて
朝の光が2つのトトロを照らし
春蝉だってやっと啼きはじめたと云うのに
なんだか寂しそうなのです。
《あれは夢だったのかな?》と葉が囁き合っています。

あれー、トトロの上に何か載っているぞ!
可愛らしいピンク模様の着いた小さな運動靴だ。
森さん、あれは夢ではなかったのです。
ほら確かに妖精達はきらきらと生命を振りまきながら
森を駆け巡り
あなたに、いだかれていたのですよ。
 



トトロの卵

こんな変てこりんな奴を放っておく筈がない。
「ねえ、ねえこれなーに?」
《トトロの卵だよ》

その言葉を聞くと、とっくの昔からの友達であるかのようにトトロの卵を取り囲み
ぽんぽこ、ぽんぽこ卵を叩きだしたのである。
果して妖精たちは《となりのトトロ》を知っているのだろうか?

まるで森で愉しく過ごしたお礼であるかのように
ちょこんと載せてある小さな可愛い運動靴。
卵から出てきたトトロがその運動靴を見つけた時の顔を想像してごらんよ。
妖精でなくては思いもつかないお礼だね。








6月2週
フォルムも又、生命を渇望しつつ輪廻に呑み込まれる。





山荘の森と目白窯
6月11日(土) 曇 居間


あー何だろう?
確かに音色が流れているのに・・・。

遙かな海から旅してきた雲が
山々に舞い降り谷を走り
大地に擁かれる。
土と過ごした水との蜜月は1250度もの
灼熱の炎によって
ことごとく焼き尽くされてしまった。

あらゆる可能性を秘めて
土と水は自在な可塑性を謳歌し
生命の揺り籠となったことを高らかに宣言し
蜜月は永劫でさえあったのに。

ほんの僅かな水分も留めず
自在な可塑性を失い
生命の揺り籠としての機能を完全に喪失し
お前はこのフォルムになって
それでも命を渇望するのだね。。

それなら
山荘の森に繁る蔓を絡ませてあげよう。
もう2度と生命の揺り籠には
成れないけれど
ほら、海からの旅人との蜜月のように
土と蔓の
新たなる旅が始まるかも知れない。

あーそれなのに
その音色が捉えられません。
陶芸作品と山法師
6月11日(土) 曇 居間


自らの肉体から決して
新たなる生命を生み出すことは出来ないけれど
窯から自らの作品を取り出す瞬間は
雄の私もほんの僅か
母親の心情に触れる気がする。

どのようなフォルムであろうとも
とにかく全く影すら見せなかった新たなる存在が
そこに生み出されただけで
存在の神秘性に心うたれるのである。

暖かく快適な母の子宮とは異なり
深紅の炎に包まれた
陶芸窯の子宮から生み出された子供が
灼熱地獄の果てに
それでも生命を渇望するなら
敢えて命を与えてやろうではないか!
 



どうしよう!この大きな器

4日間焼き続けた作品
目白窯の産声
6月7日(火) 曇 目白窯
 

背中に碧いガラスを載せた
兎のような犬のような
ヘンテコリンな沢山の箸置。
薄くて超軽い急須
幾つもの碗、カップ、デカンターに
混じって大きな器が2つ。
これらが今回の私の作品群である。

この大きな2つの器は
轆轤の戯れから生み出された
アイデンティティーの無い曲者である。
轆轤技術は易しそうだが
意外に奥が深い。
特に大物の造形は僅かな芯のぶれも
許さず高度な技術が要求される。

そこで作陶を目的とせず
轆轤回しの技術だけを愉しみ
何処まで大きく出来るか
限界に挑戦して戯れるのである。
戯れた結果は潰して
元の土に戻し次の造形に備える。

こいつ潰そうとしたら
何か叫んだような気がしたのだ。
もう一度聴こうと
耳を傾けてはみたが、空耳か?

聴こえないとなると
とても気になる。
そこでつい何らかのフォルムを
与えて焼いてみようと
ふと思ってしまったのが誕生契機。

粘土の軟らかさと厚みの限界まで
器を大きく広げ
思い切って内側に潰してみた。
それだけでは少しも
面白くないので両端を深く抉った。

更にやや大きめの穴を2つ開け
底面を削って高台をつける。
だがしかし
アイデンティティーの無い曲者であることに
なんら変わりは無い。

皿でも壺でも在り得ぬ
炎の子宮から生み出された作品は
居場所を見いだせず
途方に暮れ
ただ生命の渇望を訴えるのみ。
そうだ!
山荘の森の蔓をあしらってやろう。

蔓を纏った大きな器から旋律が流れた。
もっと確かな旋律を聴きたいと
山法師を生けてみる。
豊かな情感を湛えゆったりと高まり
その頂で旋律が砕け
多彩な音色が室内に満ちる。
それはアイデンティティーの無かった
器の初めての産声。 

ようこそ、山荘へ!
 
ご苦労さんでした!
 
黒織部の急須
 
ワインのデカンター



失敗作品と白爪草
6月11日(土) 曇 居間

水をたっぷり着けて指と土の滑り具合を調整しながら轆轤を回す。
水分が足りないと摩擦が大きくなり器は歪んでしまう。

反対に水分が過多になると器の底に溜り土が余分な水を含み
焼いた時に亀裂が生じ器の機能を失う。
そんな器は残念だが捨てるしかない。
が、考えてみたら植木鉢として使えなくはないなと思い直し畑の雑草を植えてみた。



森の蔓をどっさり
6月11日(土) 曇 居間

蔓は嫌われ者である。
下界では愛でられる藤でさえ
森の樹木の発育を妨げ、梢に君臨し
時には樹木を枯らしてしまうので
樵からは目の敵にされる。

畑や庭では虎視眈眈と僅かな空間を狙って
もの凄いスピードで成長し
あっと云う間に植木や花々を襲い
柵に絡みつく。

ナイロンロープを刃にした雑草刈り機は
柵の隅や境界、石の間の雑草も
綺麗に刈りとる優れ物だが
蔓にだけは敵わない。
草刈り機のローターに絡みつき
回転を止めてしまう。

だから樵だけでなく百姓にも庭師にも
蔓は嫌われるのだ。
が、若しかするとその生命力に溢れた蔓こそ
生命の渇望を
訴える器が求めていたパートナーか?
これも山法師がぴったり
6月11日(土) 曇 居間


あれほど悩まされていた蔓が見当たらない。
森の敵、庭、畑のギャングだとばかり
気づき次第殲滅作戦を実施していたので
目立つ場所に無いのは当然。

勇んで剪定鋏や鎌を持って
森に出かけたものの何処にも見当たらない。
山荘に戻り畑仕事を始めると
早速あちこちで蔓発見。
正しく燈台元暗し。

2年前に植えたばかりの梨の苗木にも
ゲートの樹木にも
しっかりへばり付いているではないか。
細いの太いのと幾らでも在る。
即、畑仕事を止めて
陶芸作品に巻きつけてみる。

うん、良しよし、
君達が逢いたかったのはこの蔓だったんだね。



ゲートの山法師

ゲートを飾るキウイ雄花
 
山法師の森となったゲート
ゲートを包む
清楚な花弁
6月12日(日) 曇 前庭


蔓を探していたら
先週は気付かなかった
山法師やキウイや浜忍蔓が満開。

あれっ!葉は針槐(はりえんじゅ)そっくり。
なのに花は白じゃなくて黄色の
見知らぬ高木みーつけた。
花弁の1枚だけに
赤い模様が入っているなんて
そんなの在り?

蛇結茨(ジャケツイバラ)だ!
蛇結茨

葉の感じがニセアカシアとよく似ていて
始めは区別が付かなかったが、
ニセアカシア(針の葉が
奇数羽状複葉であるのに対し、
ジャケツイバラの葉は
2回羽状の偶数複葉なので、
違いは明らか。 
2回偶数羽状複葉:「羽状複葉」の葉軸が羽状に分枝して
その両側に「小葉」を付けているもの。ネムノキなど
 


花は直径3cm程。
5枚の花弁からなり、
1枚は小さく赤い筋が入っている。
(石川県地域植物研究会より)
 
浜忍蔓(ハマニンドウ)
 
キウイ雌花

蛇結茨全体像



梅雨の晴れ間に
6月12日(日) 曇 屋根上
 

変だな!
雨樋は新品に替えたばかりだし
森と反対側の樋なんて
枯葉が詰まる筈もないし
それなのに大雨になると樋から
雨が溢れ出す。

いつか調べなくてはと
思ってはいたが
樋は当然のことながら屋根の先端に
在るので近づくのは危険。
特に太陽光パネルが敷き詰めて
あるので躊躇してしまう。

先週、久しぶりに子供達と
屋根に昇り
この樋掃除を思い出し
「来週こそやらねば」と決意。
恵太もやってみたい?
6月12日(日) 曇 屋根上
 
 倉庫からヤクの毛で編んだ
ロープを取り出し
腰に結び2階の屋根の上に出る。
なんだか空を飛んでるようで
気分いいなー!

「ぼくもやってみたい!
早くロープで繋いで!」
と叫んでいるのは誰だ?
うーん聞き覚えのある声だな。
ふんふん、若しかすると
その声は恵太か?

綾だってこれを見たら
黙っている筈はないな。
きっと両手を羽のように後ろに延して
魔女の宅急便のキキになって
飛んで来るに違いない。

樋の中の枯葉

仔犬用フェンスの設置

遂に原因究明

先ず森側の雨樋を調べる。
確かに落葉が入ってはいるが
水の流れを止める程
沢山詰まっている訳ではないな。

でもついでだから
落葉は総て取り除いてと。
しかし落葉が水の流れを止めてないなら
雨樋から水が溢れる原因は?

長い雨樋の途中に原因が
見つからないかと丹念にチェック。
何処にも異状なし。
4か所の落ち口を調べると
数枚の枯葉が乗っているでは。
犯人はこいつだ!
 
屋根の点検

 仔犬の庭造り

6月12日(日) 曇 奥庭

一件落着したところで
気分を良くしてついでに仔犬用の
フェンス造りに着手。

悠絽が2頭の雄の仔犬を産んだが
山荘に連れてくるには
犬小屋フェンスが必要である。
未だ小さくて首輪が着けられない。
放しておくと母親の元を離れて
のこのこ森に出かけ
捜索隊を派遣せねばならなくなる。

仔犬は小さいから
フェンスの網目を潜ってしまうかな?
それじゃもっと網目の細かいのを
追加して張ってと・・・。
 

 

 星と森と大地のめぐり逢い
6月11日(土) 曇 居間


印を結び輪廻を司るチベット女の左手中指から
光が生み出される。
太陽と月の紋様を描きつつ光は
美と愛の女神ヴィーナスの右乳房に
豊満な生命の影を落とす。

乳房によって濾過された光は
貝の首飾りを抜けて
無数に散乱し白い花弁を結像する。
炎の子宮から生み出され
なんらのアイデンティティーも無いまま
山荘に辿り着いた大きな器が
その壮大な宇宙と生命のドラマをしっかりと
受け止めているね。

輪廻、太陽と月、豊饒な乳房、海の生命体
森の命を高らかに謳う白い花弁。
あまりにも壮大過ぎて
普通の器ではとても支えきれないのに
僅かな違和感も無く
緩やかに抱え込み見事に調和しているよ。

あらゆる可能性を秘め
自在な可塑性を謳歌し生命の
揺り籠として存在した大地の過去を捨てて
1つのフォルムとなり
今、お前は凛とした静謐に満ちている。


あー何だろう?
確かに音色が流れているのに・・・。


凛とした静謐を保つフォルムと山法師を
鍵盤の上に載せてみる。
白く輝く銀河の彼方に広がる闇に
意識を収斂し耳を傾ける。
幽し音色が心象に仄かな波紋を描く。
波紋は突然、雄大な序奏となり光となって瞬く。

光と音色が水と土のように
蜜月を醸し自在な可塑性を謳歌し
生命の揺り籠となってフォルムに共鳴する。
その雄大な序奏は例えば
137億年の孤独な旅を経てやって来た
宇宙背景放射であり
アリス=紗良・オットが奏でるチャイコフスキー
ピアノ協奏曲1番第一楽章冒頭。

フォルムも又、生命を渇望しつつ
輪廻に呑み込まれる。
 
鍵盤上を舞う高雅な銀河
6月11日(土) 曇 居間







6月3週
お化け玉葱だぞ!  ・・・   庭のスーブニール



 碁斑白枝シャク (西麓)

  咲き出したアーチ (石段)
あれなんだ?
6月19日(日) 曇雨

すすきの葉に水滴が
音符のように並んでその上に
黒い碁石を鏤めた
ゴマダラシロエダシャクがちょこんと
座って「さて雨も上がったし!」

雨が上がったら
今まで閉じていたアーチの薔薇が
ポツンぽつんと花開き
庭が少し明るくなりました。
雨が上がると動きだすのは
虫や花々だけではありません。
山荘主も
「どれどれそいじゃ畑に出てみるか!」

収穫籠に山盛になった玉葱。
5籠もある沢山の玉葱を
奥庭に持ちだして
山荘主が何やら始めました。
1つ1つ芝生の上に
並べて絵でも描こうとしているのかな?

山荘の池を悠然と泳ぎ渡って
ヤマカガシまで
奥庭にやって来ました。

 薔薇の門開く (中庭)


 山楝蛇も興味津々 (山荘池)




 庭のスーブニール (奥庭)
お化け玉葱だぞ!
1個750g、計85kg

なーんだ!
最初はアヒルの絵かなと
思ったけど数字か。
それも無味乾燥な2011 6・17とは
収穫の日なのかい?
3年前の絵の方が未だ益しだな。

今回は今までの信条に反し
黒ビニールシートをマルチにして
畑に敷いて苗を保護。
その成果はご覧の通りで
過去最大の収穫量となったかな?

使用後のシートは再利用出来ず
捨てることになり
環境保全に悪影響を及ぼすので
使用を控えていたが
これ程の効果が在るとなると・・・。
それにしても随分大きいな。
どれ1つ計ってみるか。
大きいのは、ギョホー!750gもあるぜ。
1籠17.5kgだから総量は
5籠で85kgを超えるぜ。

腐らないように網に入れて
陶房の天井に吊るして乾燥させてと。
山荘だけでは1年かけても
とても食べきれないな。 

 でっけー! (奥庭)




 一重薔薇 (山荘石段)

 草の王 (西森)
煙管のような結実
6月19日(日) 曇雨 クサノオウ

てっきりあの
皮膚疾患や鎮痛剤として内臓病に用いられる
薬草の王様《草の王》だと信じていたが
図鑑と見較べると葉の形が
丸い蓮形なので猿猴草(エンコウソウ)と同定。

しかし何処かで引っ掛かる。
再度ネットで調べると草の王は4弁花であるが
猿猴草は5弁ないし6弁花であり
ケシ科とキンポウゲ科で似てもいないと判明。
そこで元に戻りやはり草の王と断定。
秘められた美
こんなに綺麗だったの?

見向きもされず
私の被写体から完全に
外された
小さな黒い葱坊主。

えーとこれ何だったっけ?
痴呆症予防には
失われた記憶を執拗に
追い求め思い出すことだとか・・。

そんならちょっと予防にと
ハイパチリ。
山荘に戻り数冊の図鑑を紐解くと
確かに書き込みまでして
ある筈のあの黒葱坊主の出ている
ページが見当たらない。

ヤマラッキョウじゃないし
白馬浅葱なんかで
在る訳がないし、エゾネギでもない。
そうか黒浅葱(クロアサギ)だ。
なんて勝手に命名して
ネットで調べるが解らない。
  大体こいつは山荘の
何処にでも生えていて
知らぬ筈が無いのだと云ってみても
それで名前が判明する訳も無い。

あんまり癪に障るので
メモリーカードをパソコンにぶち込み
これでどうだとばかり
大きな画面で度アップしてみて驚き。

美しいのだ!
小さくてよく観えなかったが
お前はこんなにも綺麗だったのか?
処で君は誰だったっけ?

「畑では眼の敵にされ
見つけるや否や引っこ抜いて
捨ててしまうか
気が向けば白く丸い小さな球根を
こりゃ珍味なんぞと
酢味噌で食べたりしてるくせに
よくも知らない等と云えたものね」

解った!御免!
まさかあのノビル・野蒜 さんとは
恐れ入りました。
恋待草
待ち望んでいた薔薇の香り

華麗に咲き誇っていた大輪の薔薇が
左アーチを超えて蔓延る
一重の蔓薔薇にテリトリーを奪われて
ここ数年、花の数がめっきり減ってしまった。

今年はもう駄目かなと右アーチに目をやると
八重の大輪薔薇が
未だ咲かない内から外側の花弁を傷めつつ
それでも存在をアッピール。
もうこれが最後の薔薇になってしまうのかな?

 八重薔薇 (山荘石段)

 野薊 (山荘ゲート)




bQ7今週のLivre bQ7 ・桜 桃  実に救いの無い、読むたびに不愉快になる短編。
にも拘らず日本を代表する作家の死の直前の作品なのである。
これがあの優れた「走れメロス」や 「お伽草子」を書いた同じ作家の作品なのか?
太宰にとって死とは何であったのか?
  太宰治      《桜桃》は太宰38歳・死の直前(1948年春)に書かれた。

われ、山にむかいて、目をぐ。
 「聖書」121編1節
【都に上る歌。】目を上げて、わたしは山々を仰ぐ。わたしの助けはどこから来るのか。

・・・・・
生きるという事は、たいへんな事だ。
あちこちから鎖がからまっていて、少しでも動くと、血が
き出す。
 私は黙って立って、六畳間の机の引出しから
稿料のはいっている封筒を取り出し、
たもとにつっ込んで、
それから原稿用紙と辞典を黒い風呂敷に包み、物体でないみたいに、ふわりと外に出る。
 もう、仕事どころではない。
自殺の事ばかり考えている。そうして、酒を飲む場所へまっすぐに行く。

・・・・・
桜桃が出た。
 私の家では、子供たちに、ぜいたくなものを食べさせない。
子供たちは、桜桃など、見た事も無いかもしれない。
食べさせたら、よろこぶだろう。父が持って帰ったら、よろこぶだろう。
つるを糸でつないで、首にかけると、桜桃は、珊瑚さんごの首飾りのように見えるだろう。
 しかし、父は、大皿に盛られた桜桃を、極めてまずそうに食べては種を
き、
食べては種を吐き、食べては種を吐き、そうして
心の中で虚勢みたいに呟く言葉は、
子供よりも親が大事。

(角川文庫「人間失格・桜桃」角川書店
   1989(平成元)年4月10日初版発行より)




 桜桃とフォルム (テラス)
 63回桜桃忌
桜桃忌・6月19日(日) 曇雨

税金を沢山払うと貴族になれたらしい。
太宰の親父は
青森県出身の衆議院議員であり
多額納税者だったので貴族院議員でもあった。
その出自を恥じてか太宰はこう述べている。

私の生れた家には、誇るべき系図も何も無い。
どこからか流れて来て、
この津軽の北端に土着した百姓が、
私たちの祖先なのに違ひない。
私は、無智の、食ふや食はずの貧農の子孫である。


もっとも多感な19歳の青年は
プロレタリア文学に走り
同人誌「細胞文芸」を発行し1929年12月
最初のカルモチン自殺を図る。
自らの階級に悩んでの自殺は未遂に終わる。
山桜の木が山荘のあちこちに在る。
可愛い小さな実を沢山着けて
灼熱地獄の子宮から生まれたばかりの
フォルムに収まり
山にむかいて、目をぐ。

フォルムと桜桃は山に向かいて囁き合う。
「助けなんて何処からも来ないと
修治君は
知っていたんだよね」
「そうさ、だからこそ繰り返し繰り返し
自殺を図ったんだけど
それは死こそが救いとの想いの裏返しさ」

「だったらどうして道連れが必要なの?
18歳の田部シメ子さんも
31歳の山崎富栄さんも道連れにされて
死んでしまったし
25歳の小山初代さんは助かったけど・・・
独りで死のうと修治君が
試みたのは19歳の最初の時と
都新聞の入社試験に落ちた25歳の2回だけだよ」

生と死は日常的に繰り返される輪廻と捉える
チベット密教の仮面に訊いてみようか。
《うおっほん!それでは私の左目を見てご覧。
何を観てる?

そう、認識すべき目そのものが透明になって
ここに総てが吸い込まれ背景の甲府盆地が観えてる。
1938年石原美知子と結婚しダウン症の長男と
共に暮らした甲府盆地が。
1947年3月に3人目の子が生まれ更に同年11月には
愛人の大田静子が女児を産む。
その修羅場から転がり落ちたのが「桜桃」

究極の認識は虚無。
虚無の仮面を被っていた修治の目は
時として限りなく透明になって
傍らに居る女達を引き込んでしまう。
女達は修治ではなく
虚無そのものに吸い込まれたんだよ。
修治は独りだったのさ》
 
 桜桃と仮面 (テラス)




 
あざみの歌


太宰が玉川上水に身を投げた1948年は終戦直後の混乱が続き
朝鮮民主主義人民共和国成立(首相金日成)とか
東京裁判: 巣鴨プリズンで死刑囚7名に絞首刑執行などのニュースが飛び交っていた。
巷にはシベリア、中国、フィリピン等の戦場からの復員兵が溢れ
省線電車内では片足、片手の白服の募金箱を持った傷痍軍人が動きまわり
闇市が賑わっていた。

《あざみの歌》が騒然とした巷に流れだしたのは翌1949年の8月8日。
18歳で復員してきた横井弘は家族が疎開していた下諏訪・霧ヶ峰八島高原で
アザミの花に自分の理想の女性像をだぶらせて《あざみの歌》を作詞。
その詞に八洲秀章が曲を付け伊藤久男が歌い《あざみの歌》はラジオに乗り
戦直後の廃墟と混沌の巷に清冽で至純な光を放った。

それは修治が幾多の女を道連れにして演じ続けて来た
どろどろとした生臭い世界と対極にある清々しく高らかな愛の告白でもあった。
山荘周辺があざみの花に包まれ桜桃の実が色付くこの時期になると
いつも思い出すのである。
太宰の《桜桃》と横井の《あざみの歌》を。

 
  山には山の愁いあり
  海には海のかなしみや
  ましてこころの花園に
  咲きしあざみの花ならば
 





6月4週
収穫・歓喜のシンフォニー





収穫・歓喜のシンフォニー
ついに採れたぜメークイン 6月24日 中庭薔薇ゲート

秦の始皇帝となって唯ひたすらに築きあげた万里の長城が功を奏し
報われる日がとうとうやって来た。
繰り返し繰り返し騎馬民族の匈奴(きょうど)となって長城を突破し
未だ実ってもいない馬鈴薯を掘り起こし食い散らし
乱暴狼藉の限りを尽くし
再び風のように長城の彼方へ姿を暗ましてきた鹿や猪軍団に遂に勝利したのだ。
と云っても死守出来たのは小さな中畑のみで他は全滅したが
この小さな勝利の一歩は実に嬉しい。

大きく育った馬鈴薯を譜面台に載せ
祝福するかのように美しく咲き誇る薔薇のアーチの元に置き
さあ、万里の長城の凱歌を高らかに歌おうではないか!



登山議定書の
調印式を行うため北京に乗り込み
3日間連続協議。

場所:北京北緯飯店216号室
中国側出席者:登山協会代表1名
書記1名、 会計1名
英語通訳1名、日本語通訳1名

 
  当時、中国は未だ
外国に一般解放されておらず
登山を行うには北京に登山隊の
北京駐在代表を
置かねばならなかった。

日経新聞社に後援を依頼。
日経北京支社を
当登山隊の代表部とし
中国側の承認を得る。

30年前の万里の長城にて
1981年5月6日

更に中国登山を実施するには
事前に北京に出向いて協議し
議定書の調印を交わさねば
ならなかった。

未踏峰ムスターグ・アタ北峰
(7427m)の登山許可がやっと下り、
議定書の調印式を無事終え
翌日5月6日
万里の長城へ招待される。

観光客の姿はまったく無く
私一人で
ただただひっそり。
何とも贅沢な旅であった。

まさかその30年後に
自ら万里の長城を
山荘に築くことになるとは! 




掘り出し中 (中畑)

陶芸作品に載せて (奥庭)

実に美味そう! (奥庭)
猪、鹿との長い闘い
36kgの収穫 6月24日 曇

 《たかが芋、されど芋》である。
じゃが芋如きの収穫に
なにも此処までしなくても大袈裟な!
と誰しもが思うかもしれない。

だがそれは山荘の畑作活動人と
野生動物の長ーい長ーい
戦いの歴史を知らぬ者の無知な戯言。
この馬鈴薯の収穫が
どれ程の歓びであるか知っているのは
そう、山荘活動を経験した
あなた達ですよ!

蘭州北方から
敦煌の西の玉門関まで延長し
総延長2700kmを超える長城を
構築した前漢の武帝でさえ
吃驚こいて腰抜かす程の大工事が
延々と行われたのだ。

なんとその期間は数百年ではなく数週間、
総延長距離
僅か百メートル程でしかないが
この工事は万里の長城に匹敵すると
山荘主は独りごちているのだ。
採りたてはやや水っぽいので
蒸かした後は
粉吹き芋にしてちょっと
ポテト・サラダを作ってみて驚いた。
市販のポテトで作ったサラダと
全く味が異なり実に濃く深く
秦の始皇帝だって
前漢の武帝でさえ
目を白黒させる程の美味さ。

《ふんふん、これで秦のおっさんにも
武帝のお兄さんにも勝ったぜ!》
なんぞと訳の解らぬ
呟きを発しつつ残った粉吹き芋で
コロッケまで作り始めたのだ。

それで終わりかと思ったら
石段の横に在る桑の古木を切り倒し
奥庭で何やら創作活動。
古木の切り株を組み合わせ
芋と共に積み上げ
出来たぜ5月の女王ピーク!

あー又狂ったと思われると困るので
補足すると5月の女王は
馬鈴薯の種類で桑はあの白銀の
絹を生み出す蚕の餌。
つまり秘められた白銀の女王ピークが

勝手に山荘主の
心象風景に影を落とすらしいのだ。
 
桑古木とのアート? (奥庭)



初めまして
悠絽の仔 6月25日 曇

 譜面台に芋載せて
夜明けの満開の薔薇のアーチを
祭壇にしちまうなんて
山荘主の頭の中はどうなってるんだ?
それは単に収穫の歓びの表現か。

それとも芋を音符に変えて
ショパンのピアノ曲バラード風と洒落て
仔犬の歓迎に備えてるのか?
そう云えば悠絽の産んだ
仔犬たち用の犬の庭まで作ったのに
その後さっぱり仔犬の姿が見えない。
どうしてるの?

そうなんだよ。
歓迎の用意はとっくに出来ているのに
忙しくて
迎えに行けないんだ。
 よしこの薔薇のアーチと
メークインで作ったコロッケで
仔犬たちを
今日こそ山荘に迎えてあげよう。

早速幸子さんに電話。
「それが来週には2匹とも貰い手が
引き取ってしまうんです。
知らない場所に移動すると
仔犬が落ち付かなくなってしまうし
車に乗るのも不安がっているし」

おーそれじゃ写真を撮るのも
今週が最後だ。
早速カメラを持って悠絽の犬小屋へ。
犬小屋から見えぬ
100mも離れた駐車場に静かに
車を止めたのだが
耳聡い悠絽がウオーンと一啼き。
でも舞瑠の声が聴こえない。
あー本当にもう舞瑠は
死んでしまったのだ。

父犬似のグレー (悠絽の小屋)

母子でお出迎え (悠絽の小屋)

母犬似の黒 (悠絽の小屋)

輪廻転生


舞瑠の生まれ代わりのような
小さなころころした毛の塊が
転がって来る。
居た居た!
《やー今日は》

白と黒の混じったグレーと
全身真っ黒な太り気味の黒ちゃん。
両方とも雄なので
直ぐ貰い手が決まってしまったのかな?

生まれたのは4月25日だから
今日は2ヶ月目の誕生日。
もう母乳は卒業してドッグフードも
もりもり食べるとか。 
 
2頭揃って (悠絽の小屋)

総ては昨年10月の
あの日から始まったのである。

お尋ね者《チビ&オバ》の山荘出現。
舞瑠とチビの駆け落ち。
放し飼いお尋ね者の連夜の逢引。

発情期に入った舞瑠の妊娠を畏れ
舞瑠を犬小屋から家の中に
避難させたその夜にオバが悠絽と交尾。

妊娠しナーバスになった悠絽が
舞瑠を攻撃し、舞瑠は死亡。
そして4月、舞瑠が輪廻転生した如く
生まれた仔犬2頭。

総ての発端となったお尋ね者は
ついに御用となり市に捕獲。
1つが終わり1つが又始まったのだ。




赤い前胸部の黒十字架

発光器官

第6,7腹節を立てる雄(右)
消えゆく源氏蛍
 竹森川支流 6月24日 曇

 竹森川にコンクリート製の大きな橋を架ける工事が始まって3年目。
蛍が産卵する広い湿地帯はブルドーザーによって大きく削られ岸辺は護岸工事のコンクリートで固められた。
きっと支流には未だ蛍が生き延びているだろうとバイクで闇を劈いて夜の森を走る。
鹿がヘッドライトに浮かび上がり猪の荒い鼻息がバイクの音に流れ込む。

ツイーン、ついーんと独特なリズムで上下左右に光の糸が揺れ、小さな月光のような光の点が闇を穿つ。
童心に還り《ほっ、ほっ、ほーたる来い!こっちのみーずはあーまいぞ!》と歌い掛けてみる。
やって来た蛍を蛍袋の代わりビニール袋に入れて山荘の池に放してやった。
調べたら雄ばかりなので山荘池での繁殖は期待出来ないが
いつの日かこの池で、滅びゆく竹森川の蛍を甦らせることが出来たら嬉しいな!




紋白蝶の愛 (葡萄畑)

暁光に耀く薔薇 (居間)
葡萄の摘果
2種類の摘果 6月26日 晴

あちこちで虫達が生殖の初夏を謳い
花と光が未来を語っているのに
 朝から晩まで葡萄棚の下で
黙々と作業しているのは誰だ?

だいたい何をやっているのだろう?
「あーこれかい?
こりゃね葡萄の実をもいでいるずら。
こうせんと葡萄は大きくなんねえ」
そりゃ大変だ!
山荘の葡萄も沢山小さな実を
つけているけど
そのままでは大きな葡萄にならないんだ。

そこで早速山荘の葡萄畑に行って
葡萄棚に目をやると
もうあっちこっち可愛らしい葡萄の
赤ちゃんがいっぱい!

先ず一枝に一房になるよう
余分な房を剪定鋏でちょん切ってと・・・
それだけでは未だ未だ不十分。
次に一房にびっしり着いている実を
根元からもいで先端にだけ
残してと
さてこれで大きな実に育つのかな?

摘果した葡萄 (山荘葡萄畑)

鹿の子蛾の想い (葡萄畑)




薔薇の積乱雲(高芝山)
 燃える積乱雲
 6月26日 晴 テラス

汗をたっぷり流して
昼食も食べずに
日がな一日、畑で働くのは
何とも気分のいいもんだね!

朝、高芝山から昇った太陽が
小倉山の真上を飛び越えて
だんだん西の扇山に傾き始めると
ほら、高芝山の積乱雲が
薔薇の花に
負けじと紅く燃えるんだ。

積乱雲が紅くなったら、どうするかって?
そんなの決まってるよ。
先ず冷蔵庫の山荘特製ビアを
冷凍室に入れてギンギンに冷やすだろ。

次に風呂場に在る太陽光の
温水パネルの蛇口をひねって
その日の太陽が暖めた熱い湯を
浴槽に満たすんだよ。

それからテラスのテーブルに
テーブルクロスを敷いて
グラスや調味料やら作っておいた
サラダやコロッケや
フルーツを並べて晩餐の準備さ。

太陽が沸かした天然風呂に
どっぷり浸かって
山荘の地下水で仕込んだ冷たいビアを
口にする瞬間が堪らないね。
日がな一日流した汗で失われた水分が
ビアに置き換えられるこの瞬間。

あっ!誰だグラスを落としたのは? 
 
Catastrophe 




Index Next