その45夏ー2009年葉月
8月3週・・・・忍び寄るヴィーナスの秋・T:ポラーノ広場
忍び寄るヴィーナスの秋・T 蒟蒻の実 8月22日(土)晴 居間 ・ 豊穣な秋の気配が橙色の実になって山荘にやってきた。 橙色の実の1つが不意にほろりと剥がれ墜ち 山荘に潜む妖気を吸い摂って一夜にしてぐんぐん成長しヴィーナスになった。 《菜園の守護神》であり《美と愛の女神》でもあるヴィーナス。 ・ 確か貴女はゆぴてる(ゼウス)を父親として生まれたとお聞きしましたが やはり《山荘・ゆぴてる》との邂逅は必然だったのですね。 ・ |
秋の足音 タカサゴユリ 山荘に惹かれて やって来たのはヴィーナス だけではありません。 ・ この眩しいばかりの 清純な光を放つ 高砂百合も森の奥から 山荘にやって来て 前庭に咲き誇りやがて 山荘のあちこちに・・・ ・ 百合は夏の使者なのに 貴女だけは 秋を忍ばせてやって 来るのですね。 |
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8月22日(土)晴 前庭 |
去りし夏水仙 ナツズイセン そんなにも 待ち望んでいたのに セレベス海に行っている間 貴女は咲き終わって しまったのですね。 ・ 太い楓の幹に隠れて いつもひっそりと 森の闇の深さを推し量る ように花開く夏の水仙。 ・ 微かに緋を滲ませた花弁が 無残に裂けて 今正に森の闇に 吸い込まれる寸前ですね。 ・ そうして1年間闇に眠り 再びひっそりと 咲いてくれるのでしょうか。 |
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8月22日(土)晴 前庭 |
秋告・花笠猪口 ハナガサイグチ 連日晴天が続き 山はからからに乾いて とても茸の出そうな大地では 在りません。 ・ それなのに 干乾びた森の大地から 橙の夜光塗料を 全身に塗りたくって 花笠猪口が出てきました。 ・ 「舞瑠さん、 つい先日まで冬毛を みすぼらしく纏っていましたが すっかり夏毛になって! でももう秋が直ぐそこまで 来ているんですよ。 私を見つけたら冬毛の 準備を始めなさい」 |
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8月22日(土)晴 小倉山 |
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兜虫の死 あんなにも夏休みの 少年の夢を 育んできた兜虫が 動かなくなってしまった。 ・ 《犬と少年合宿》の 大介と広介少年が山荘に 着くや否や真っ先に 訊いたのが 「兜虫獲れるかな?」 ・ 昨年まで西畑では毎年 沢山の兜虫が 生まれて山荘のあちこちで 見かけたが 今年は殆ど見られない。 兜虫の棲家である 有機肥料の木材チップを 作らなくなったからだ。 ・ 兜虫に逢えなかった少年は 米国に帰ってから シリコン・バレーの森で 逢えただろうか? それともカリフォルニアの夏も 終わってしまったのか? |
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夏の抜け殻 バイクのカバーの上とか 丸太椅子の横とか 庭の木々のあちこちは 云うに及ばず 何しろ処構わず抜け殻が・・。 ・ 前庭のアイリスの葉にも 向かい合って2匹の 蝉の旅立ちが残ってます。 ・ 嘗て存在した地中の 衣が脱ぎ捨てられ 新しい世界への決意が 風に揺れます。 ・ こんな風に生命の旅立ちを デッサンして 夏は或る日突然 去ってしまうんですね。 |
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8月22日(土)晴 前庭 |
ポラーノ広場へ あのイーハトーヴォの すきとほった風、 夏でも底に 冷たさをもつ青いそら うつくしい森で飾られた モーリオ市、 郊外のぎらぎらひかる草の波 (ちくま文庫「宮沢賢治全集 第7巻『ポラーノの広場』P.155」) ・ そう、そのモーリオ市の郊外に ポラーノ広場は どうやら在るらしいのだ。 ・ きっと舞瑠はこの白い ボールのような茸を辿って 森をずんずん進めば ポラーノ広場に行けると 知っているんだ。 |
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8月22日(土)晴 小倉山 |
ポラーノ白鬼茸 シロオニダケ 「ポラーノの広場? はてな、聞いたことが あるようだなあ。 何だったろうねえ、 ポラーノの広場。」 「昔ばなしなんだけれども、 このごろまたあるんだ。」 ・ 「ああそうだ、わたしも 小さいとき何べんも聞いた。 野はらのまんなかの 祭のあるとこだろう。 あのつめくさの花の番号を 数えて行くというのだろう。」 ・ 「ああ、それは昔ばなしなんだ。 けれども、どうもこの頃も あるらしいんだよ。」 (ちくま文庫「宮沢賢治全集 第7巻『ポラーノの広場』P.155」) |
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8月22日(土)晴 小倉山 |
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チャラだって! ゴールデンレトリバー ついに突き止めたのだ。 ファゼーロが探していた ポラーノ広場への入り口は 小倉山の森の中にあった。 ・ 入り口にはずーっと探していた ゴールデンレトリバーが ミーロとファゼーロたちと 一緒に居て 道を創っていたんだ。 ・ 1年半も前にたった一度だけ 森の中で 出逢った犬なので 再会は諦めていたけど 逢えてとても嬉しい。 ・ ファゼーロに名前を訊いたら 「チャラ」と教えてくれた。 チャラ! これから一緒に 「むかしのほんたうの ポラーノ広場」を創ろう。 |
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紅輪花の草原 コウリンカ キク科キオン属の紅輪花は 美しいが故に 持ち去られ減少し 絶滅危惧2類に 指定されている。 ・ 美しい花弁を開くのは 一瞬で直ぐに 花弁は垂れてしまい みすぼらしい容姿を曝す。 ・ 同定の為にウェブサイトで 画像をピックアップしたが 何れの写真も とても観るに耐えない。 ・ 本当の紅輪花はこんなにも 美しいんだよ。 |
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8月24日(月)晴 帯那山 |
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車百合匂う クルマユリ 勿論、山荘周辺では 紅輪花には なかなか逢えない。 山荘近くの山で偶然に 逢うことが出来たんだ。 ・ 山荘から見える山に 全部登ろうと 決意してから15年も 経つのに未だ果せない。 山が多すぎるからね。 ・ その1つに帯那山があって 何度も計画しながら 今日まで実現出来ず。 ・ そこで畑仕事を 放り出して 午後から登りに行ったら 紅輪花が車百合と 一緒に咲いていたのさ。 嬉しかったね! |
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南蛮煙管・再会 ナンバンギセル ところが紅輪花だけでなく 懐かしい南蛮煙管まで 咲いているでは。 ずいぶん久しぶりの再会。 ・ 「道のべの 尾花が下の思草 今さらになどものか思はむ」 ・ と万葉集に詠われている 南蛮煙管は 《想い草》として古くから 知られている花。 ・ ハマウツボ科 ナンバンキセル属で 芒(尾花)や茗荷に寄生する 1年生の寄生植物。 ・ 下向きの花弁が もの想いに耽る風情を 醸し出しているのかな? |
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8月25日(火)晴 帯那山 |
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帯那山山頂 1422m 背丈ほどもある 草原を掻き分けて行くと 平らな草地に 頂上標識がある。 少しも頂上らしくない。 ・ コンクリートで出来た 避難小屋が傍らにあり 益々山頂の趣は無い。 帯那なのだから 致し方ないのだろうが せめて帯留の大岩でもあれば もう少し様になろうもの。 ・ 舞瑠は大喜びで 走り回り何やら発見。 草地に寝転んでいる 1人の青年。 ・ 誰も居ないと双方で思って いたのでお互いに吃驚。 それにしても ここまで来て昼寝とは 中々優雅な青年。 |
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巨峰の収穫 朝採り葡萄 小倉山から下りて来ると 朝日を浴びて たくさんの葡萄が仄かな 甘い香りを 放っていました。 ・ 「出荷はいつですか?」 「今日からですよ」 「そんなら少し 分けてくれますか?」 「どうぞ、好きなのを もいでいきなさい」 ・ いつも笑顔を絶やさない 深沢さんは ニコニコしながら 大きな巨峰の房を4つも 分けてくれました。 ・ もしかすると深沢さんは 前十七等官の レオーノ・キューストで ポラーノ広場の 在りかを知っている のかなと、ふと思いました。 |
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犬達が消えてから1時間も経た頃 「隊長!犬が帰って来ました!」 とログハウスの上から知ちゃんが叫びました。 ・ 汗びっしょりの代わり激しい息遣いをしながら山荘に戻るや 2匹とも水をがぶがぶ呑んで澄ましたとぼけ顔していました。 でもその顔にははっきりポラーノ広場に行ったと書いてあります。 ・ こんど森の奥にある《ほんたうのポラーノ広場》に 是非連れて行ってもらわねば。 |
うん、美味しそう! 「食べちゃおうか! 1粒食べると つめくさの花の番号が 解ってポラーノ広場に 近づけるんだよ、きっと。 ・ 3つか4つ食べれば 5千までの番号が 解らなくても僕達には 大体の見当がつくから 今夜一緒に行こうぜ!」 ・ そう盛んに誘うのは悠絽。 今回先に山荘に来た 舞瑠はポラーノ広場を 白鬼茸に教えてもらって いるのですが 知らん顔して聞いてます。 ・ でもきっと悠絽の誘いに 乗って今夜2匹は 山荘を脱出して 森の奥へ 出かけるに違いありません。 ・ その夜、予想通り 2匹は誰も気付かぬ内に 山荘を脱出して森へ 消えたのです。 |
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8月4週・・・・忍び寄るヴィーナスの秋・U:地球市民学科
忍び寄るヴィーナスの秋・U 唐黍畑の耕運・後方は高芝山 8月26日(水)晴 中畑 イーハトーヴォ ………おお朋だちよ いっしょに正しい力を併せ かれらすべての田園とわれらのすべての生活を 一つの巨きな第4次の芸術に創りあげようではないか……… ちくま文庫「宮沢賢治全集 第10巻 『農民芸術概論』」より |
風のように 村上映子:記 爽やかな風のように ・ |
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先ずは椎茸栽培 村上映子:記 自然が大好きで ・ まずは、中畑の玉蜀黍を撤去 |
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8月26日(水)晴 椎茸の森 |
初めての地下足袋 村上映子:記 通常、汗みどろに なってしまうのに 驚いたことに 終えた後の彼女はむしろ 涼やかな顔をしているのだ。 きっと身体に風を 纏っているに 違いないと確信した。 ・ それでも最後まで |
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8月26日(水)晴 轆轤陶房 |
耕運機初体験 村上映子:記 この真摯さは ・ ・ 夕空にかかる半月を 夜の風は |
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8月26日(水)晴 中畑 |
清楚なオクラ 今夜のおつまみ 《地球市民学科》・・・ まるで地球外知的生命が 銀河系の片田舎に 生まれた太陽系生命を 研究するために 創設したような学科。 ・ あっそうか、 そうだったのか! 解ったぞ。 知ちゃんは地球の大学 《地球市民学科》に 地球人のふりして 在籍してたけど本当は 銀河の遙か彼方から やって来たんだ。 ・ 銀河の《地球市民学科》の 卒論テーマを書くため 地球市民に成り済まして 地球の《地球市民学科》に 潜り込んで 山荘にやって来たんだな。 ・ 清楚なオクラが そう云うのだからきっと 間違いではないのでしょう。 |
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褄黒豹紋・飛翔 ツマグロヒョウモン 《地球社会、多文化理解 フィールドワークに分けられ 3領域の勉強ができます。 ・ 地球上で起きている問題を しっかり考えたい人 ボランティアに積極的に 取り組みたい人 英語でコミュニケーションを 図りたい人にピッタリの学科で 多様で多角的な学問を習得》 ・ と《地球市民学科》の案内には 記されている。 地球社会を理解し多文化を学び フィールドワークを習得し 知ちゃんはいつの日か銀河の 彼方へ去ってしまうんだ。 ・ 知ちゃんの《知》は 地球外知的生命の 《知》なのかもしれない? と飛んできた褄黒豹紋 が呟きました。 |
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ちょっと夕焼散歩 高芝山1540m 山稜に陽が墜ちて 山荘は夏の終わりの光に 包まれ蝉時雨れも 遠のき静寂に支配されます。 ・ 東の高芝山稜線に もくもくと現れた積雲が 最後の残照を浴びて 一瞬薔薇に染まり 手招きしてます。 ・ 「さあ、もう畑仕事は 終わりにして 散歩にお出かけなさい」 ・ 待ってましたとばかり 悠絽と舞瑠が 森に飛び込んで行きます。 途中、泥の猪風呂が あったり行く手を蜘蛛の巣に 阻まれたり。 ・ 初めて見る森の猪風呂 顔に掛る見えない 多数の蜘蛛の糸 地球外知的生命の知ちゃん にとっては総てが新鮮。 ・ さあ、それでは猪風呂ならぬ 山荘太陽風呂で 畑仕事と夕焼け散歩の汗を 流してテラスでの 晩餐といきますか! |
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8月26日(水)晴 高芝山(上)扇山山頂(下) |
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美しい汗の後に 椎茸の森で重い杣木を 運んで、唐黍の根を 掘り起こして中畑から西畑に 担いでいって それから大地を掘り起こして たっぷり汗をかいて陽が 沈み始めた。 ・ それで終わりかと思ったら これから犬と一緒に 山荘の裏にある扇山に 散歩に行くと云う。 ・ どうも山荘の隊長は 地球の《地球市民学科》で 学んだ市民と少し 異なるようである。 ・ 労働の汗に感謝して更に 扇山に登るとは どう考えても 肉体の労基法に違反している。 ・ だが登山後に テラスに並べられた 沢山の美味しそうな料理と 山荘産ビアを目にした途端 知ちゃんは認識を 新たにしたのです。 「これでいいのだ」 |
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山荘ビアで乾杯! 充実した美しい汗に どうしてだろう? 同じ創造的労働であっても 大地を相手にして 流した汗とコンピューターでの 疲労とは充実感が 全く異なるのだ。 ・ 細胞の1つ1つが 筋肉の動きに連動して 労働に参加し 肉体の深奥から真珠の珠の ような水分子を濾過し 汗として体外に噴き出す。 ・ 唯それだけのことなのに そんなにも歓びが大きいのは 60兆個もの細胞が 心と一緒に労働に参加する からに違いない。 ・ 遥々銀河の彼方から やって来た知ちゃんの為に 映子シェフが心を込めて 作ってくれた数々の料理。 ・ さあ、60兆個の我が肉体の 細胞と共に美しい汗に 乾杯しよう。 |
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えっ本当に起きたの? 5時半起床の収穫 どうもここの隊長なる 地球市民は 地球の出っ張った 高い処に登るのが趣味らしい。 ・ 昨夜はヒマラヤ登山のビデオを 何本か観せられた。 クレバスに墜ちて 九死に一生を得た登山時の インタビューに始まって ヒマラヤで死んでしまった仲間と 登った数々の登山記録。 ・ ビデオが終わったのが 23時近くな上に きつい肉体労働で眠くて。 さて寝ようかとログに 向かったら地球市民は云った。 「明日起床は5時半」 「うっそー!」 ・ で、仕方なく目覚ましかけて 起きたら即畑仕事。 モロッコ隠元と唐黍の収穫。 でも早朝の労働の歓びを 初めて知りました。 |
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(知の仮相モノローグ) |
もののけ散歩 小倉山から上条峠へ 地球市民は 不思議なことを云うのです。 森に差し込み始めた 朝の光を見て ・ 「あの木立1つ1つは ニューロンで光の当たっている 部分は記憶再生中。 影の部分は眠っている記憶。 つまり森全体が脳なんだ」 と云うのです。 ・ で、どう見えると訊かれたので 「もののけ」と答えました。 「もののけ」とは死霊の祟りを 意味するんですが 森と光が アニメの「もののけ姫」に 見えたんです。 |
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(知の仮相モノローグ) | 8月27日(木)晴 小倉山 |
森の手入れ 森は生きている 鬱蒼とした暗い 森の中に光が見えます。 何だと思いますか? ・ こんな奇妙な光景に 出逢ったのも初めてです。 漆黒の森を貫く光は 山稜の彼方から 今昇って来た太陽なのです。 ・ 記憶を消して深い眠りに 墜ちていた私の闇が 切り裂かれる瞬間を 目の辺りにしているようで 「森は確かに生きている」 と強烈に感じました。 ・ こんな早朝から森で 働いている人達が居るのも 初めて知りました。 |
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8月27日(木)晴 小倉山 | (知の仮相モノローグ) |
かたくりの森拓く チミモウリョウ 何十年も経た森は 最早伸び放題で光も風も 通さず魑魅魍魎となり 唯々地球市民を 脅かすのです。 ・ 光は明日への希望、 風は経済の流通であり 地球市民の活性化 そのものです。 ・ それが随分長い間 魑魅魍魎に支配され 地球市民は苦しんでいました。 2年前はついに 不自然な工事と 洪水が重なり森の一部が 決壊してしまったのです。 森を再建せねば。 |
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8月29日(土)晴 小倉山 |
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ひのき芳醇 政権交代・民主308 そこで日本国民は怒り ついに8月30日大きな 決断をしました。 ・ 日本では歴史上初めて 政権を国民の選挙で チェンジしたのです。 森を支配する衆議院議員の 定数は小選挙区で300 比例区で180計480。 ・ 森をチェンジしようと 呼びかけた民主党が過半数を 遙かに超える308議席を 獲得したのです。 ・ でも切り開かれた森が 蘇生されるかどうかは 解りません。 地球市民がしっかり監視 する必要があります。 ・ 伐採された木材に乗って 切り裂かれた 檜の香りを 胸一杯吸い込みました。 これで片栗の森も 生まれ変わって 《ほんたうのポラーノ広場》が 出来るといいね。 |
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山荘が小さく見えたよ 生まれたばかりの雲が 谷間に漂い 遙かな天空に飛び立とうか 逡巡しています。 ・ その小さな雲の合間に 山荘が見えます。 扇山の中腹に白い光を反射し 前庭と奥庭を従え 可愛らしいログハウスを伴って 《山荘ゆぴてる》が 確かに微笑んでいます。 ・ 知ちゃんは《地球市民学科》の 第一回卒業生なんです。 つまり地球に初めて 《地球市民学科》が生まれるとの 情報を遙かな銀河の 彼方で掴んでいて それでやって来たのです。 ・ いったいどうやってその情報を 手に入れたのか? どうもそれを《山荘ゆぴてる》は 知っていて微笑んでいる のではないかと・・・ ・ 更に知ちゃんがダイソン球の在る 惑星からやって来たことまで 知っているような・・・ そんな微笑なのです。 |
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8月27日(木)晴 小倉山頂ログ |
ダイソン球の表面温度 | |
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R*:太陽の半径 T*:太陽の表面温度 r:ダイソン球の半径 T:ダイソン球の表面温度 σ:ステファン・ボルツマンの定数 |
試してみよう。 知ちゃんが銀河の彼方からやって来たのなら 何も知らない山奥から山荘に1人で戻るなんて お手のもんのはず。 ・ 宇宙船の代わりに舞瑠を与えて準備完了。 |
サバゲ開始 舞瑠と未知ルートを単独帰還 ・ そう云えば先日 《山荘ゆぴてる》が変なこと 呟いていました。 ・ 「惑星探査機の9年前の データを調査していたら 銀河の彼方から 太陽系に向かってひた走る 1本のガンマ線バーストが 見つかったんだ。 ・ どうもそれは 地球外知的生命の 恒星間宇宙船の航行による 痕跡らしいのだ」 ・ で気になって Search for Extra-Terrestrial Intelligence(seti)の ウェブサイトでチェック。 ・ 未だ検証中だけど確かに 9年前にガンマ線バーストを 調査している。 《山荘ゆぴてる》の呟きは 出鱈目ではないようだ。 |
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山荘ワインで朝食 ほろ酔いで話して! 小倉山から座禅峠を経て 上条山に登り 更に北を目指し ルートが重複しないよう 上条峠に下りたので この先のルートは知ちゃんに とっては全くの未知。 ・ 特にこれから下る上条の 森は自然倒木に 行く手を阻まれ登山道は 在りません。 ・ 確かめたら知ちゃんは 携帯電話も所持して ないので外部との交信は 全く不可能とのこと。 先ず短時間で無事 山荘に戻れる筈在りません。 ・ ところが先に降りた 我々とほぼ同じ時間で 山荘に戻ってしまったのです。 ・ 勿論宇宙船の舞絽は 優秀なのだがそれにしても やはり知ちゃんは 限りなく妖しいのです。 |
それでは美味しい山荘ワインを赤も白も しこたま呑ませて 惑星探査機が見出した9年前のガンマ線バースト の痕跡の意味を 暴露してもらおうかな。 |
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ワインを嗅ぎつけ キボシアシナガバチの叫び 「何だって! 9年前のガンマ線バースト! さては《山荘ゆぴてる》め ダイソン球の存在に 気付いたな!」 ・ とワインの甘い香りに 魅せられて 騒ぎ出した黄星脚長蜂が 奥庭で叫ぶのです。 ・ ダイソン球とは 高度に発展した 宇宙空間文明の 熱源なんだ。 恒星を殻で包んで 恒星の全エネルギーを 摂取してしまうんだ。 ・ それが知ちゃんとどう 関係があるかって? つまりさ銀河の彼方から やって来るには 高度な知的文明が前提だろ。 |
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■ダイソン球による宇宙文明の類別■
技術的に高度に発達した宇宙文明は,その文明が消費するエネルギーの規模によって,タイプIからタイプIIIまで類別できる.
(ニコライ・S・カルダシェフ
1964年)
文明の型 | 利用するエネルギーの規模 | エネルギー消費率 |
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タイプI(第一段階) | 惑星規模のエネルギー | 4×1012 J/秒 |
タイプII(第二段階) | 恒星規模のエネルギー(恒星ダイソン球) | 4×1026 J/秒 |
タイプIII(第三段階) | 銀河規模のエネルギー(銀河ダイソン球) | 2.4×1037 J/秒 |
果樹の消毒 ジマンダイセンを散布 高度に発達した宇宙文明は 熱源で3つの段階に 分けられるんだ。 ・ 第一段階は 一つの惑星上で得られる 全エネルギーを 利用する文明で地球人は 今、石油や太陽光を 取り出して何とか 地球エネルギーを有効に 摂取しようとしてる段階。 第一に達するには 未だ未だ途は遠いね。 ・ 第二は一つの恒星系で 得られる全エネルギーを 利用する文明。 第三は一つの銀河系で 得られる全エネルギーを 利用する文明。 ・ で、ダイソン球は第二段階。 殻で恒星を覆って そのエネルギーを宇宙に 漏らさず総て利用する。 ・ つまりさ知ちゃんは 第二段階の知的レベルの 星からやって来て その宇宙船のエネルギーを ダイソン球から得ていると 《山荘ゆぴてる》が 気付いたらしい。 |
と黄星脚長蜂が騒いでいるのさ。 黄星とダイソン球は何か関係あるのかな? 何処となく脚長蜂の黄星マークが ダイソン球をイメージしたロゴのような気もするけれど・・・。 ・ あれっ!肝心の知ちゃんは何処へいったの? おっ!今度は果樹の消毒かな。 ワインを呑んだくらいでは知ちゃんは真相を暴露してくれないね。 |
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つまりさ9年前のガンマ線バーストの痕跡を辿って 惑星探査機から赤外線望遠鏡を向けたら 不自然な赤外線をキャッチし、精査してみたらダイソン球だった。 と云うわけさ。凄い衝撃の事実だね。 ・ ねえ、知ちゃん草刈りなんかしてないで本当のこと話してよ。 |
広い原野開拓 体験学習終了です まー知的文明論はいいとして その3つの発達段階の 文明をどうっやて観察し 識別するんだい? 特に知ちゃんの星が ダイソン球を利用してると どうして解るの? ・ そうそうそれだよ。 Search for Extra-Terrestrial Intelligenceの ウェブサイトで調べたんだ。 ・ 恒星を殻に閉じ込めると 蓄積されたエネルギーは エントロピー増大則により 熱となり 様々な問題を起こすんだ。 ・ これを防ぐには 外部へエネルギーを 赤外線等の形で放出して 温度を下げる方法が有効らしい。 ・ すると当然宇宙空間に 不自然な赤外線が 放出されるだろ。 ・ それを探査すれば ダイソン球を建造できるような 高度な地球外文明を 発見出来るだろうと 述べているんだ。 |
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■ダイソン球■
種類 | 長所 | 短所 | 使用例 | |
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オリジナルなダイソン球 | ・球殻で取り囲むだけなので構造が簡単 ・木星を潰せば2〜3mの厚みの球殻ができる |
・強度が必要 ・球殻の内部では無重力 |
『タイム・シップ』あらゆる星がダイソン球で覆われ星空が消滅 | |
ベルト状のリングワールド | ・リングの回転による遠心力で,疑似的な重力を発生できる | ・引っ張り強度が必要 ・力学的に不安定 |
『リングワールド』リングワールドが不安定になり危機が生じる | |
軌道運動する無数のプラットフォーム | ・プラットフォーム(コロニー)は少しずつ建設できる ・軌道運動させるので力学的に安定 |
・プラットフォームでは無重力 ・軌道が複雑 |
『第二創世記』軌道の隙間から中心星の光が漏れている |
さあ!収穫した野菜をお土産に! 8月27日(木)晴 西畑 でも知ちゃんは収穫した南瓜を抱えてニコニコしているばかりでした。 ・ |