その41春ー2009年卯月
4月1週・・・・早春の宴
唯一の君子蘭 1月下旬、密やかに 蕾を着け ゆっくり時間をかけて ほんの少しずつ 膨らみやがて橙色を帯びる。 ・ どの部屋も数鉢の君子蘭の 橙に満たされ 部屋そのものが早春の賦に 彩られる。 ・ 未だ冬枯れた木々は 寒々と裸木を曝し 窓の外は《時に非ず》と 生命が息を潜めて いるのにその橙は逸早く いつも春を告げる。 ・ それが今年はたった1鉢の 君子蘭しか咲かず。 どうも昨年の株分けが失敗し 株に負担が 掛かり過ぎたらしいのだ。 ・ 株分けの困難を乗り越えて よくぞ咲いてくれました。 |
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不機嫌な石楠花 色も褪せてしまい なんだか形も崩れていて どうも不機嫌らしい。 ・ その上虫にも食われて あちこち孔が開いている。 僅かな衰えを 敏感に感じ取った虫達が 襲い始めたのだ。 ・ 肉体が弱体化すると 生命を支える精神が劣化し その劣化の隙間に 小さな敵が入り込み テリトリーを広げる。 ・ もっと美しかった筈の 石楠花は それとも錯覚だったのか? 過去の画像を見る。 やはり錯覚ではない。 確かに衰亡の一途にある。 |
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全て菜の花に 小松菜、蕪、青梗菜 白菜、冬菜もみんな同じ 菜の花になって 紋白蝶が飛び交っている。 ・ 黄色いお花畑になってしまうと 野菜としては苦く硬くなり もう食べられない。 この菜の花の時期が 来ると雑草が一斉に芽吹き 畑を占領する。 ・ 今年から開拓の始まった 葡萄園はこの中畑の 隣に在る。 既に園のあちこちで 芒が恐ろしい勢いで青い芽を 噴き出して闘いが 始まった。 ・ 無数に蔓延る芒の根を 根絶させねば か弱い葡萄苗は育たない。 |
だが相手は余りにも深く広く硬く根を張りとても 掘り出しきれない。果たして人力だけで 可能なのだろうか・・・ |
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石段の草取り 朝トレ前のストレッチ後 先ず葡萄園に鍬を持って 繰り出し 5株だけ芒の根を掘り出す。 ・ それ以上掘ると 腰と腕を痛めてしまい 使い物にならなくなってしまう。 それに相手は無数なので 終わりが見えない。 ・ 終わりの見えない作業を 延々と続けると 精神的なダメージが大きい。 5株だけがキーなのだ。 ・ 5株掘り出して 森を犬と走り廻り山に登り 久しぶりに石段から 山荘に戻る。 石段は君が代蘭と雑草に 覆われて見るも無残。 ・ この君が代蘭も芒に劣らず 凄まじく頑丈。 引き抜きは不可能で 鉈で根を叩切るしか術は無い。 ・ 朝食後真っ先に この石段の君が代蘭退治に 取り掛かる。 1日掛かりでやっと 石段の総てが姿を現した。 ・ 春は雑草との闘いなのだ。 |
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博山氏の庵で 山荘手前の道路脇の森に 『千と千尋の神隠し』の 湯屋を連想させる 変な建物が出来た。 ・ 落成祝いに呼ばれたので 顔を出したら 豊かな白髭を蓄えた 塩野谷博山氏が居た。 ・ 確か山が好きで 倒木に魅せられ油絵を捨て 木芸家になったとか。 ・ 庵は博山氏のファンが 青梅の家を解体して ここまで運び 部材をそのまま使って再建。 ・ 博山氏は語る。 「いやチベットやパキスタンは 150回も行ったかな」 それじゃ話の合わぬ筈はない。 チベットの絵や ガンダーラでも観てもらおう。 |
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そうか博山氏は書家としても活躍してるのか。 まさにマルチ自然人間だ。 |
チベットと博山氏 とても75歳とは思えぬ 矍鑠たる足取りで すたすたと山荘にやって来て 先ず2階のガンダーラを 1つ1つ手に取り 眼光鋭く睨みつける。 ・ チベットに通い始め最初に 手に入れた鼻の欠けた ガンダーラを 矯めつ眇めつ睨み続ける。 ・ 「うーん、こりゃ本物だな。 この泥の着いてる奴は 臭いな」 ・ チベットの油絵や ぷち天文台の開き屋根からの 森が気に入ったらしく 話は陶芸や書にも及ぶ。 ・ 「書だけじゃなくて 陶芸もやってるので 陶芸を語らせたら1日だって 語りますよ。 今度なにか書いてあげますよ」 |
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李の蕾膨らむ 葡萄園で開墾してる時は いつも犬も連れて行くが うっかり忘れて 奥庭に繋いだまま。 ・ 「わん、なにか忘れて いないですか」と 喚くので犬小屋に戻ると 李の幹から白い蕾が 顔を出している。 ・ この幹はいつも犬のリードが 絡み付く。 それを解く為に 1日に何度か幹と対面 してるのに全く気付かず。 ・ もう直ぐきっと花芽を 出すだろうと愉しみにして 待っていたがついに その時が来たんだ。 |
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4月5日(日)晴 奥庭 |
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木五倍子(キブシ) 淡いクリーム色の花簪が 森を飾り始めた。 何処にでも在りそうで 意外と見られぬキブシ。 ・ 真っ先に出逢うのは 何処の森かなと 愉しみにしていたが なんと今年は中央線の 車窓から キブシの簪を見つけた。 ・ 山々に囲まれ標高の高い 笹子駅は冬の間 雪に覆われる日々が多い。 ・ 駅舎はホームの下にあり ホームの両側は 森が目の前に迫る。 ・ その森にキブシの簪を 見つけたのだ。 今年は雪が無かったので 白が目立ったのかな。 |
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春雪の連峰 座禅峠下の影の中に 静かに 佇んでいるキブシ。 キブシの白は時として 幽玄な気品を漂わせる。 ・ その気品に触れて 峠に出ると光が充ち溢れ 暫く明るい稜線が続く。 突然落葉樹の森が 途絶え再び稜線は檜森の 暗さに閉ざされる。 ・ 暗い森の回廊の奥に 出口が見える。 光を求めて一気に駆け上ると 小倉山の山頂である。 ・ 南アルプスの雪山が 遥かなるヒマラヤのように 帯を成して輝く。 |
舞瑠、悠絽あれが甲斐駒でその右に千丈、北岳、間ノ岳 農鳥、悪沢、赤石、聖と続いているんだよ。 冬にはよくトレーニングで通ったんだ。 舞瑠、悠絽が居たらきっと一緒に連れてったかな。 |
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名ハンター舞瑠 コーナーを曲がった途端 驚いたのか藪から 急に鳥が飛びだした。 ・ 次の瞬間 一瞬の躊躇いも無く舞瑠が 華麗な跳躍。 唯一度の跳躍で見事に 鳥をキャッチ。 ・ 口に銜えたと思ったら 獲物の息の根を 止める前に 既に食べ始めだした。 ・ 余りの早業に呆然! 急いで未だ生きている 獲物を取り上げる。 ・ 舞瑠は不満な様子であるが 食べて鳥インフルエンザ にでもなったら大変! |
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昇 天 サメビタキ ミソサザイ、ノジコ カビチョウ、アカハラ ヤブサメ? 山荘の庭には沢山の 野鳥がやって来る。 石垣や土手、藪に 棲みついている奴も居て 山荘はまさに野鳥天国。 ・ このミソサザイを大型化した ような鳥も山荘の土手に 棲みついている奴と 同じ種類である。 ・ ところが名前が解らない。 ネットサーフィンして 片端から検索してもこの鳥は 出てこないのだ。 ・ 以前、塩山教育委員会に 電話して地元の 自然観察員を紹介して もらったがやはり不明。 |
きっと数少ない貴重な種なのかもしれないよ。 食べないで 落ち葉の下に埋めてあげようよ舞瑠。 |
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外来種で画眉鳥と云うんだよ。 この後仙人日記に何度も登場するからね。 |
4月2週・・・・桃源郷変じて流刑地となる
花の雲海に浮く山荘 4月11日(土)晴 山荘 何処までも渺漠と広がる緋の花弁を見つめていると すべては時の魔術師のもたらした幻影でしかないのだ、と 鋭い痛みを伴って真実が突き刺さる。 ・ 真実は残酷である。 森羅万象が《決壊》を最終ターゲットとする輪廻に支配されている真実も然り。 だが《決壊》を恐れる事はない。 社会に迎合出来る真人間仮面を手に入れ《決壊》を存在の反物質として捉える事が 出来るならば 平野啓一郎の《崇》を回避することは可能なのだ。 ・ |
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麗しき幻 緋花弁と富士の白雪 緋の花弁の 遥か彼方で雪富士が 幽玄なピラミッドを 屹立させる。 ・ 時の襞を縫って やってきた南風は花弁を 開かせやがて富士の 雪をも溶かす。 白雪も緋花弁も かつて 存在したことの痕跡すら 留めず劫の彼方へ 消え去る。 ・ 南風も時の魔術師。 |
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花のシベリア流刑地 これが花の宴か? 遥か東方の都から 《花の宴》に操られて 桃源郷にやってきたら な、な、な何だこれは! ・ 花を観ながら 美味しいもの食べて ワインやビールを呑んで ドンちゃん騒ぎを するんじゃなかったの? ・ 雑草の根が絡み合う 開拓地の根っこ堀りなんて メールには一言も 書いてなかったぞ。 ・ これ凄い重労働で 腰にくるし腕は パンパンになるし 手には豆が出来るし 土が舞い上がって 頭に降り注ぐし・・・ |
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流刑人A・サド 笑顔の裏・これ何騙された! あのーどうして こうなっちゃったんですか? 僕、外国育ちで 一人っ子で大事に育てられ こんな鍬なんて 持ったことないし・・・ ・ 一橋大学で法律 やっててもう直ぐ 外交官の父の仕事見習いで 外国へ戻るので こんな仕事関係ないんです。 ・ 僕笑っているように 見えるかも知れませんが 実は怒り心頭に発して 暴発しそうなんです。 ・ ふふふ・・・ もういくら足掻いても 無駄さ。 サド君!ここはあの悪名高い シベリア流刑地なのだ。 君の名は《流刑人A》 |
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流刑人B・ケイタ8 ぼく888個も掘るんだ! 未だ、幼気(いたいけ)ない子まで 流刑地に送るなんて いったいどんな母親なんだ。 ・ きっと母親は 桃源郷の出ている HPを見せて 「ここはねお母さんの 先生だった人が居てね 美味しいワインや 野菜を作ったりしていて そうそう 甘いマンゴのスイートを 作ってケイタにご馳走して くれるかもよ」 ・ なーんて言って昨夜ケイタを 騙くらかしたんだな。 ・ 8の好きなケイタ君 ここはシベリア流刑地 888個掘ったって帰れないよ。 ・ さっき怖ーい犬がケイタを 泣かしただろ。 逃げようとすれば あの犬に食べられちゃうぞ。 |
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流刑人C・マブ 引き攣る笑顔・オレもうやだだ ほっぺを自在に活性化させる ドンガバチョ チョーク3色を顔に塗り インディアンの誓いの言葉を 言わせる トリコロール・インディアン。 ・ 等々・・・を始めとする数々の イモネーチャン・シリーズで 中学時代から 痛め続けられているマブは その麻薬の魅力の 中毒患者となり果ててしまった。 ・ 卒業して25年以上も経つのに 未だ流刑地にやって来る。 溜息を吐きながら 「先生!あんな凄いこと やってきて今だったら とっくに馘首ですよ」 ・ そう言いつつマブは 次々と流刑人をリクルートしては この地に送り込んでくる。 |
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ハパダンは休日返上で高速道路に繰り出し流刑地に 向かう破目になってしまったのだ。 ・ 不況対策で乗り放題千円の高速道路がどうなっているか 推して知るべし。 超渋滞の上、逃げた20号路は山火事で不通。 その上オペ後の二郎君は黙っちゃいないし・・・ もう、最悪! |
流刑人D・ハパダン 渋滞・山火事・その上ジだぜ 泣く子も黙る 恐るべしスーパーゼネコンの エリート社員が 何を隠そうハパダンの正体。 ・ 世界戦略の中で生き残り 更に発展し 清水喜助の宮大工の夢を 宇宙へ広げねば・・・と。 ・ 寝ても起きても スーパーゼネコンの エリート社員とも在ろう者は 25時間会社に身も心も 捧げねばならない。 ・ と言う訳でせめて休日は 家で思う存分に 惰眠を貪らねば心身が持たない。 ところがだ。 ・ 妻がどうも流刑人マネージャーに 嵌められたらしい。 マネージャーはハパダンと 同じシーバンスビルで 仕事をしているが さては妻を通してリクルートの チャンスを狙っていたのか? |
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流刑人番犬A・ユーロ フ、フ、もう逃げられないぜ! とか何とか泣き事言っても まったく無駄だぜ。 オイラはな泣く子も黙る 流刑地の番犬様だ。 ・ オイラの能力は半端じゃない。 母屋の反対側の 奥庭に居ても 見えるはずのない前庭先の ゲートに忍び寄る 人影をキャッチ出来るんだ。 ・ この庭の美しい花々や 桃源郷の花の雲海が 働き蜂を誘惑する 罠であるとやっと気付いても もう遅いのさ。 |
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4月11日(土)晴 前庭 |
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流刑人番犬B・マアル と囚人監視人 流刑地からの出口は 正面ゲートを入れて5か所。 一番人目につかないのが この竹藪に通ずる森の出口。 ・ もうそろそろ竹の子が 出てくる時期。 ここで竹の子を探している 振りをして 立ち鎌を構え脱走囚人を さり気無く見張っているのは 鬼も恐れる囚人監視人。 ・ 捕まったら必殺技 ドンガバッチョを食らって トリコロールインディアンの刑に 処せられる事間違いなし。 |
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妖精A・デストロイコ 天下無敵・恐れる者無し 上には上が居るもんだ。 囚人監視人を 嘲笑いデストロイコは こう言ってのけたのだ。 ・ 《なにがドンガバチョよ トリコロールインディアンだって! それがどうしたと言うの? やるならやってごらんよ。 最後に大泣きするのは 果たして誰かしらね? お愉しみに!》 ・ 恐る恐る囚人監視人が 差し出した 黒ラムのたっぷり入った マンゴスイートを軽々平らげ 梅ジュースのグラスを 鷲掴みにして 金属スプーンをも噛み砕く 形相でデストロイコは 囚人監視人を ジロリ睨みつけたのだ。 |
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妖精B・ユウセイ 静かなる色白貴公子 そうそうその調子だよ デストロイコさん。 なんとか哀れな流刑人達を 流刑地から 連れ出してあげようよ。 ・ ほら、あの大きな山 知ってる? 小倉山って言うんだけど 僕も登ったことあるんだ。 ・ てっぺんからの見晴らしが とても良くて あそこへみんなを 連れてってあげようよ。 ・ 申し遅れましたけど ぼくユウセイって言うんだ。 色白で静かなので 時々女の子に間違えられる けどほんとは強いんだ。 |
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流刑人の花散歩 シャクナゲの歓迎! 庭では石楠花も満開で 李も真っ白に 咲き誇り林檎も梨も 赤い蕾を膨らませています。 山麓は桃のピンクや 菜の花の黄色に包まれ うっとりする美しさでした。 ・ 流刑人達は 番犬マアルとユーロに 導かれ 標高955mもある小倉山の てっぺん目指して 歩き出しました。 ・ ところがどうも番犬の様子が おかしいのです。 逃げようとする流刑人を 監視するどころか 流刑人と妙に仲良くなって 尻尾を振って いそいそと嬉しそうに 着いていくのです。 |
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ケイタの初登頂 4歳の自力初登頂 もう妖精達の仕業に 違いありません。 きっと番犬達に妖精が ふーっと一息吹きかけ 命じたのです。 「流刑人達の味方になって お山に連れてってあげなさい」 ・ 問題はケイタです。 妖精から卒業して魔力を 失っているので 番犬達とも仲良く出来ず かと言って最早親を 登山電車にして 山に登る訳にもいかず・・・ ・ 口では「ぼく山のてっぺんまで 行くんだ」と言うのですが きっと途中で泣きが入って てっぺんまでなんか 行ける筈ありません。 ・ ところがケイタはついに 山のてっぺんまで 泣きもせず登ってしまったのだ。 おめでとうケイタ! ついにやったね。 |
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花宴オープニング ケイタの演奏 妖精の吹きかけた 幻術は実に大したもんです。 犬を手下に靡かせ 流刑人をシベリアの地から 解放してしまったのだ。 ・ 小倉山山頂に立って 自由の素晴らしさに歓喜し 流刑人達は 歓びの宴を催すと 高らかに宣言しました。 ・ そこで4歳で初登頂を 果たしたケイタが選ばれ 宴のオープニングに ベートーヴェンの 交響曲第9番ニ短調作品125が 演奏されることになり 一同固唾を呑んで その瞬間を待ちました。 |
ところがスイッチを入れる処までは 様になっていたのですが 《歓喜の歌》は《沈黙の歌》となり 待てど暮らせど音は出ず。 |
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花の宴 汗の後のワイン旨し そこへ優しい言葉を 投げ掛けたのは流刑人A。 ・ 「ケイタ君 Don't mind! この次の宴で僕が バイオリンを弾いてあげるから 今日の宴はアカペラで 歓びを合唱しようよ」 ・ 流刑人Aは小さい頃から バイオリンに親しみ 華麗な技巧を要求される サラサーテの チゴイネルワイゼンなんか お手のもんらしいのだ。 ・ それでは前奏曲無しで 自由と生命の歓びを祝して カンパイ! |
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嵐のデストロイコ 岩塩を舐める さて最初の乾杯が終わると いつの間にか デストロイコの姿は テラスから 忽然と消えていました。 ・ いよいよ囚人監視人への 報復が秘かに 開始されたのです。 ・ 監視人の一番大切に している物は 言うまでもなくヒマラヤや アンデスの山々で 登頂記念に持ち帰った石。 こいつを手始めに・・・ ・ テラスから居間へ忍び入り 先ずはこの石の展示棚へ。 どれが美味しそうかなと ピンクの石をペロリ。 「うあー超苦い! これ岩塩じゃないの」 |
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きっとこれを目にしたら囚人監視人の心臓はパニックに陥り 瞬時にして停止してしまうかも知れません。 正に恐るべしデストロイコ。 |
乱暴狼藉 蒼ざめる囚人監視人 「もう怒ったわ! こともあろうにこの デストロイコを岩塩で 虚仮にするなんて許せない。 こうなったらもう メチャクチャにしてやる」 ・ 先ずヒマラヤの最北に 位置する レーニン峰(7134m) のプレートをひっくり返す。 ・ ポベーダ(7349m)や ハンテングリ(7010m)の石を ごちゃまぜにし 初登頂したチベットの山や 世界第2の高峰K2(8611m)の 石を千切っては投げ 舐めては放り・・・ |
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破壊されし水晶儀 過ぎ去りし嵐 この水晶儀が どれほど麗しい光で 山荘の部屋を 満たすか知っていて デストロイコは次の ターゲットを鍵盤の上の 水晶儀にしたのだ。 ・ この地球儀は南極と北極を 金のピンで支えられ 回転が自由に 出来るようになっている。 そのピン2本を外し 水晶儀を解体してしまった。 ・ 問題はその小さな金のピン。 これさえあれば 修復も出来ると床を 這いずりまわり絨毯の隅々 まで探すが不明。 ・ 捜索後数時間を経過して 黒鍵と白鍵盤の隙間に光る 金のピン発見! さて如何にして回収するか? |
慎重にしないと鍵盤の更に下に落ち込み演奏不能になる。 歯科医が使う鉤状鉗子でやっと1つ回収。 もう1つは鍵盤の下にスルリと落ちてしまった。 さあ大変!キーボードの解体をして何とか探し出さねば。 それから延々と難しい解体作業が深夜まで 繰り広げられましたがその甲斐無く金のピンは出てきません。 ・ 囚人監視人は今までの極悪非道な仕打ちを 心から反省しましたが最早ピンは戻ってきません。 デストロイコの報復はこうして大成功を収めたのでした。 監視人はさめざめと泣いてもう2度と流刑人を酷使すまいと ネフリュードフのように 神に真人間への《復活》を誓ったのでした。 |
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4月3週・・・・生命の氾濫
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水晶儀復活 ハンズの店員と ほら観てごらん! ・ もう二度と あの水晶の光との邂逅は 有り得ないかもと 諦めていたのに・・・ ・ デスコ嵐の前のように 水晶儀が キーボードの上に居るよ。 ・ あれから直ぐハンズに 持ち込んで店員と 修復作業に取り組んでね。 消えたピンに近い 部品を片っ端から探して ついに金のピンを見つけたんだ。 ・ それから切断、研磨を重ね 遂に水晶儀の固定に 成功し店員と 歓びあったね。 何事も諦めず やってみるもんだね。 ・ さあ来い!デスコ! 余分に部品を買ったし 今度は負けないぞ! |
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清楚な洋梨 孤独な開花 こんなに美しいのに あの日々のように 美味しい果実を もう齎してはくれない。 ・ でもね他家受粉出来る様 隣に植樹した 《幸水》種が芽吹いたよ。 ・ そりゃ今年は花期が 揃わないから 受粉出来ず結実は 無理だけど 来年は可能性あり。 ・ 長い間放っておいて ごめんよ。 |
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4月18日(土)晴 奥庭 |
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古株の林檎 初恋 犬小屋前にある 林檎の木は リードが絡むので 1本切ってしまったけど 未だ奥庭に2本 西畑に2本残っている。 ・ 先週は未だ小さな蕾で 薄い紅だったけど ほらこんなに鮮やかな ルージュになったね。 ・ この花を観ると 必ず島崎藤村のあの詩が 流れて来るから 不思議だな。 ・ さてどんな心象スケッチを 描いたのか 過ぎ去りし春にリンクし 詩を口ずさんで みようかな。 |
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ニューフェース 富士です 森からプレゼントされた 広い土地は 為す術もなく放置され 雑草が物凄い勢いで 跋扈し唯恐ろし。 ・ とばかり言ってはいられん。 差し当たり 葡萄畑の東隣の 未だ雑草の生えていない 土地を林檎園に しようかと造園業者に 相談したら 『富士』がいいと言う。 ・ 早速JAに苗を5本 申し込んで植樹。 こいつが芽吹いたのだ。 だが果樹は農薬散布が 欠かせない。 ・ 先ず4月は殺菌剤の バイレトンと 殺虫剤のダーツマンを 散布せよとの指令。 これまた恐ろし。 |
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感動の萌芽 カベルネ・フラン 4ケ月も仮植えして 畑から取り出してみれば 生きてるのか枯れてるのか 芽吹くそぶりなんて 全くなかった葡萄苗6本。 ・ それでもせっせと荒地の 枯草を燃やし 耕運機を何度もかけ 手を豆だらけにして 芒の根を掘り起こし続け。 でも本植えしてからも 苗は沈黙したまま。 ・ 毎週山荘に来ては 具に苗を観察するが・・・ あっ!ついに芽が出た。 嬉しいな! 他の5本はどうかな? おー白ワインの甲斐ブランも 芽ぶいているでは。 |
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超ラッシュ 山荘池占領される おどろいたねー! 広い池のあっちもこっちも お玉杓子の大氾濫。 山荘始まって以来の珍事。 ・ 例年HPでも記録してるが 探し出すのが難しい程 僅かしか孵化していない。 今年は池そのものがすっかり お玉杓子に占拠。 ・ 原因は何だろう? 緋鯉、真鯉、錦鯉等が池の 主であった昨年までは 鯉が食べてしまい 増えなかったのかな? ・ 今年は新たに購入して 生き延びている緋鯉が2匹と 10匹ほどの金魚。 さては蛙軍団め池の占拠を 企んでいるな。 |
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舞瑠15kg 悠絽20kg 耳朶に食いつく ダニ1匹を発見してから ダニ予防の薬を検索し あちこちで聞いたり。 ・ どうも市販されてる サンスポットや ペットペクトより獣医が 処方するフロントライン+が 効くらしい。 ・ 処方するにあたって 犬の体重が必要である。 早速初めての 犬達の体重測定。 遠征登山の隊荷測定で 使った古い体重計を 引っぱり出す。 ・ さあ乗って! あれ11kgしかないぞ。 だめだめ片足が 体重計に乗ってないじゃん。 もう一度、15kgだな。 ・ 今度は悠絽だぞ。 うあー21kg近くもあるぜ。 こりゃまずいな。 20kgまでしか処方箋には 書いてないから切り捨て。 20kgにしておこう。 |
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フロントライン+ 山ダニ予防薬 体重によって薬の量が 異なり 5kg未満の小型犬 5〜15kg未満の中型犬 20kg未満の大型犬と 別れている。 ・ さて悠絽は20kg未満では ないがまあ、大型犬で 処方しよう。 先ず首筋の毛を掻き分けて 皮膚にしっかり擦り着け 次は背中中央 最後は尾の付け根にと。 ・ こんなもんで全身の 予防効果があるのか聴いたら 犬の皮膚の脂肪に乗って 薬が巡るのだとか。 ほんとかな? |
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吃驚ぐみ ジベルリン 折角グミの為にジベルリンを 買ったのに 知らぬ間に吃驚グミは 開花してるでは。 ・ ジベルリンは成長ホルモン。 短時間で驚異的な成長を 遂げるあの筍の 成長を促すのはどうも このジベルリンらしい。 ・ 一度この吃驚グミに 使ったら効果抜群で大収穫。 このジベルリンは 果樹だけでなく花や野菜にも 使われている。 ・ 収穫を増すだけでなく 種なし葡萄を作ったり 美しく大きな花を 咲かせたり。 ・ 慌ててグミにジベルリンを 噴霧したが 顔に沢山降りかかって べちょべちょ。 顔だけ成長したら困るな! |
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緋と黄金 さらば菜の花 最後の桃の花が 菜の花の黄金に映え 半島のように 突き出した丘陵は 生まれたての若葉が 常緑樹と帯を成し 生命の鮮烈な奔流だね。 ・ 激しい生命の奔流 真っ只中で こんな風に畑仕事が 出来るなんて 夢をみているようだな。 ・ 菜の花の強烈な花粉の 匂いに魅かれ 紋白蝶や花虻や 蜜蜂が飛び交い花園は 正に生命の坩堝。 |
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春野菜の準備 抜く、運ぶ、耕す 黄金のお花畑は 美しいだけでなく生命の 泉であるし 抜いてしまうのは本当に 残念だが このままでは次の野菜が 栽培出来ない。 ・ 種を蒔く前に菜の花を 抜いて運んで 耕運機で耕して石灰で 土壌を中和して 有機肥料を施して・・・ ・ 何しろ労力と時間がかかるのだ。 今抜いておけば 5月の連休までには なんとか 種蒔きが出来るかな。 |
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土佐水木の托葉 種まき開始 何しろいっぺんに 沢山の花々が咲き始めて デジカメには 草木の花や新芽が 溢れている。 ・ 先週撮った土佐水木も 花期が終わった。 赤い雄蕊が黄色になり 双子葉にしかない 托葉がおずおずと緑葉を 覗かせた。 この瞬間を 今載せなければ。 ・ この托葉が出てくると 春野菜の種蒔きが 始りますよーとのサイン。 ・ 先週石灰で中和しておいた 中畑に小松菜、便利菜 サニーレタス、二十日大根 サラダ大根、牛蒡などを 蒔いてみよう。 |
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木蓮も驚いて 早すぎるね 木蓮より先に 白い辛夷がいつも咲くのに 今年は全く気付かず。 この木蓮も 前庭を歩いていて ふと見上げて気付いたのだ。 ・ 先週はどうだったのだろう? 13人もわいわいがやがや 活動していて 花に目敏い人も居たのに 誰も何も言わなかった。 ・ つまり先週の木蓮は 蕾も小さく 殆ど目立たなかったのだ。 それがこの1週間で 太陽と雨と風を吸い込んで 総べて生命に 変えてしまったのだろう。 |
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朴の木萌芽 最大の葉50cm アレロパシーという 言葉を聞いたことありますか? ・ 他感作用と 訳されていますが 実はこの朴の木には 強いアレロパシーがあって 自分の近くでの 他の植物の生育を阻止し テリトリーを 形成するんです。 ・ 根の周辺での 他の種子の発芽を抑え更に 発芽後の生育をも 止めてしまい 1枚が50cmにもなる 大きな葉を繁らせます。 ・ この大きな葉は お皿にしたり食物を 包んだり味噌を乗せて 焼いたりとお馴染みです。 ・ 大きな白い花も 素晴らしいのに何故か 当HPには未だ 載せてませんね。 |
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森の芽吹き 終りなき逍遥 それぞれ個性のある森が 山荘周辺には たくさんあります。 ・ 中でも心惹かれるのは 落葉樹が何処までも 広がる深い森。 ・ 稜線を超えて 差し込む朝一番の光が 森の芽吹きを 照らし出すこの瞬間。 ・ それがどんなに 素晴らしい貴重な一瞬で あるかを知ってしまったら もう山荘森の虜に 成らざるを得ません。 ・ 40年も続けてきた アルプスやヒマラヤ登山では 決して捉えることの 出来なかった瞬間です。 ・ 登山という合目的性を持たぬ 終わりなき逍遥。 |
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三つ葉躑躅 鮮やかな先達 快晴の朝は お気に入りのあの森へ 行こうよと 体が訴えどうしても 上条山の森に足が 向いてしまいます。 ・ 犬達もそれを知っていて 快晴の朝は 早くから犬小屋の前で 準備運動を繰り返し 山荘主に デモンストレーションします。 ・ それでは犬達を 思う存分走らせるため 森の入口までは バイクで走り全力疾走。 その後ゆっくり森を 逍遥するとしよう。 ・ 森に入った犬が 家畜であることを忘れ 遠い祖先に還り 狼になって獲物を追う姿は 実に美しいのです。 |
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山桜満開 花影の朝食 梅の花が終わり 艶やかな杏子の緋色が 散って石楠花や 木蓮が咲きだすと やっと山桜が葉を出し 質素な白っぽい花を おずおずと咲かせます。 ・ ログテラスを建てて 初めて気づいたのですが 山荘の森には 何本もの山桜があって 毎春ひっそりと 咲いていたんです。 ・ 染井吉野の華やかさとは 無縁な山桜は 森に吸収されて誰にも 気づかれず 一人春の訪れを 讃美していたんですね。 |
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目白焼き 轆轤崩し ログテーブルで 目立たない山桜を 見上げているのは先頃 目白で焼いた 新顔の大壺です。 ・ 轆轤でひいて つまんないから芯をずらして 口を切って スプーンカットしてみたり。 ・ 初めて使う釉薬は 温度と発色の様子が 分からないので 白を基調にしたのですが これが白というよりか 半透明でご覧の通り 茶に被さり相殺。 完全な失敗作だな。 ・ 大輪の花を飾ったら 少しは使えるかな? いや駄目だろうな。 |
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骨壷と山桜 大地への回帰 自らを自然の一部と 認識する者にとって 散骨は 優れた喪葬の1つである。 ・ 風に乗って海や山、森に 散っていく骨の細片は 魚や木々に吸収され 再び其々の 骨格を形成し甦る。 ・ さて散骨をするための 骨粉を入れる壺は どんなのがいいかな? 試作を始めた。 ・ 4つ目のこの壺は 地の色がしっくりと馴染み 地表のダイナミズムが 少し出たかな? |
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4月20日(日)晴 ログテラス |
《遺伝子ゼロ》のips細胞 4月24日(金)晴 開国博Y150 アースバルーン(23日午後7時6分、長谷川直亮撮影) 4つの遺伝子を使って世界で初めて《ips細胞》を作った山中伸弥らの京大チームは 2年前の07年夏、ips細胞から生まれたマウスは2割に腫瘍が生じ 更に観察を続けたら腫瘍は6割に達したと発表。 ・ 多くの問題を抱える受精卵から作る「ES細胞」を使わずに夢の万能細胞の作製に京大チームは 成功したが、その細胞の6割に腫瘍が出来るとあっては成功は悪夢でしかない。 腫瘍の原因は4つの遺伝子にある。 そこで世界の研究者は《遺伝子ゼロ》のips細胞の作製に火花を散らした。 ・ 「腫瘍」を発表した07年12月に京大チームは遺伝子3つで《ips細胞》の作製に成功。 08年米スクリプス研究所が2つに、更に今年2月に独マックスプランク分子医薬研究所が 1個に減らし、ついに今回米独の上記両研究所が《遺伝子ゼロ》での 《ips細胞》の作製に成功したのだ。 ・ つまり《ips細胞》は腫瘍の原因になる遺伝子を使わずに作製出来たのだ。 その内容が本日(米国23日)米科学雑誌セル・ステムセル電子版に発表される。 山荘日記でも追い続けてきたテーマであり、久々に胸躍るビッグニュースであった。 ・ おりしも23日横浜開港150年を記念して揚げられた直径20mのアースバルーンが夜空を飾り 《遺伝子ゼロ》の《ips細胞》の作製成功を 祝福しているように思えたのは私だけだったろうか。 宇宙へ飛び立つ帆船をイマージュしたYGインターコンチビルと碧い地球、憎いほど美しいね。 ・ |
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心象風景・《みなと未来》 自らの心象風景に出逢うのは山荘の森や山だけではありません。 例えば初台にあるオペラシティの人影の絶えた花崗岩庭。 池袋芸術劇場の巨大パイプオルガンが無限の空間を劈いて鳴り響く瞬間・・・。 その1つに《みなと未来》のホールをコアにした建造物群があるのです。 ・ ホールでは鮫島由美子のオペラが《みなと未来》の建造物を舞台にして飛び交い ソプラニスト岡本知高の水晶のように透き通った高音が 細胞を刺し貫きミトコンドリアを透過し遺伝子を震わせていたのです。 《みなと未来》に位相変換した地球が夜空に浮かんだ瞬間 長い間求め続けていた時空の彼方にあった心象風景の1つが私の中で完成したのです。 ・ その瞬間と《遺伝子ゼロ》のビッグニュースが重なったのは必然だった気もします。 《遺伝子ゼロ》は今後如何なる心象風景を描いてくれるのだろうか。 ・ |
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