その31夏ー2008年水無月
水無月1週・・・玉葱の地上絵
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アート・豊穣 玉葱がどっさり 採れたので天空の神に 感謝の言葉を 贈ることにしました。 ・ 古代マヤ人に倣って 宇宙樹とも 生命樹とも呼ばれる 《マヤの十字架》を 描くことにしようかな。 ・ 《マヤの十字架》は 地球の北と南を結ぶ直線を 縦軸にとり 太陽の誕生する東と 日没の西を結ぶ 直線を横軸にとったのです。 ・ 縦軸を“一本足の光” (カクルハー・フラカン) 横軸を“輝く光” (ラサ・カクルハー)と呼びます。 ・ その交点に直交する3次元の 座標軸を“小さな光” (チピ・カクルハー)と名付け 宇宙樹のシンボルとして 地上絵に描きました。 |
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玉葱・曼荼羅 縦軸を地球 横軸を太陽そして3次元軸を 天頂からの光 にとった《マヤの十字架》を 先ず外縁に描きました。 ・ 巨大な『枝付き燭台』は 大きくデフォルメし 2重の円にしてみよう。 ・ 内側の小円は更に 玉葱を積み重ね 3次元軸を象徴して 僅かに天空への意思を 表してと・・・。 ・ あれ! 何だか曼荼羅に なってしまったような・・・ ・ 曼荼羅とは 宇宙を構成する 地・水・風・空・に識(無・真如) を加えた要素らしいから これでもいいか! |
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貯蔵作業 奥庭に描いた 地上絵を2階から眺めたり ログハウスから 鑑賞したりして神々との 交信を愉しんでから いよいよ貯蔵作業。 ・ 収穫以前に 大きくなった玉葱を抜いて 葉と共に調理したり 山荘来訪者に お土産としてあげたり 目白に持って帰ったりして 随分食べてきたが 未だこんなにある。 ・ 例年はログの庇下に 陰干しにするが 今年は収穫量が多いので 直接網に入れて 陶房で干すことにしよう。 |
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6月1日(日)晴 奥庭にて |
葉と髭根をカット 眩い光に満たされた森が 暖まるにつれて 春蝉が 静かに啼き出す。 ・ 果樹畑を散策する雉が 思い出したように ケーンケーンと叫ぶ。 ・ 山稜に漂う積雲が 光と戯れながら 天空から声をかける。 ・ 《わー!玉葱の絵だわ。 随分たくさん 採れましたわね。 光と水が ぎっしり詰まって まるで 太陽と地球の子供達ね》 ・ 豊穣な刹那が 山荘奥庭に 永劫の光と影を落す。 ・ 一刹那でしかない歓びの 時間を 春蝉と雉と積雲が 画像として 永劫に切り取ったのだ。 |
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でっかいね! どうしてこんなにも 嬉しいのだろう? 高々玉葱が収穫されたと それだけの事なのに。 ・ そりゃ収穫までの長い 紆余曲折の プロセスがあって そのプロセスの 頂点に この瞬間があるからさ。 ・ 環境汚染に繋がる マルチのシートも使わず 農薬を拒否し 有機栽培で育てて 雑草取りに明け暮れて・・・。 ・ それにしても大きいね。 そりゃそうだ。 なんたって太陽と地球の 子供だからね。 |
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幻聴のホルン 沙羅の樹間から 蒼い密教仮面が 朝トレに出る山荘主に 鋭い視線を注ぐ。 ・ 森の生命に語りかけ 眼前に展開する 重畳たる山稜を睥睨し 再び視線を 山荘主に戻し 仮面が軽く頷く。 ・ やがて徐に仮面は 重低音の アルペンホルンを 吹き鳴らす。 ・ 里人の誰もが 聴く事の出来ない 低いホルンの音色は 里で待つ セブンの耳を捉える。 ・ セブンの狂喜する吼え声が 微かなエコーになって 仮面に還る。 ・ その一瞬の幻聴は きっとセブンと山荘主 だけにしか 聴こえないんだね。 ・ さあセブン! 一緒に森を走るぞ。 |
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育ちすぎた薇 やっぱりセブンは 山荘主が来るのを 知っていて 鎖が千切れるほど 飛び上がって歓びました。 ・ 一週間ぶりに 逢えた嬉しさに森を ぐんぐん飛ばして一気に 薇の繁る稜線に出ました。 ・ 美味しそうだった薇が こんなにも 大きくなってもう とても食べられないね。 覚えているかい? この前ここに来た時の 薇の芽吹き。 ・ 森からの木漏れ日が 眩しいねセブン。 薇にもセブンにも朝日が 降り注いで セブンなんかまるで 白いレトリバーみたいだよ。 ・ さあ! これからどの森を 下ろうか? |
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猪風呂占領 猪のお風呂発見! ・ なにやら暫く 臭いを嗅いでから 「おいらも入ろっと!」 泥水の中へ。 ・ 待った待ったセブン! 駄目だよ。 泥だらけになって 後が大変なんだから。 ・ 勿論そんなのセブンは無視。 放っておけば 反転して背中にまで 泥をたっぷり 擦りつけ全身泥塗れに なるは必定。 ・ リードを引いて阻止。 |
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6月1日(日)晴 東森にて |
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静寂の色 たっぷり汗をかいて 山荘に戻りながら 朝食を何処でとろうか 思案する。 ・ 春から初夏にかけての 生命に満ち溢れた 森での朝食は 正に贅の極みである。 ・ だが ログテラスでの 恰も空中に浮かんで いるかのような展望を 愉しみながらの 朝食もいい。 ・ 前庭の寡黙な山法師が 無数の白い花弁を 石卓まで延ばし 無言で誘う。 ・ よし決めた。 今朝は山法師と静かに 語らいながら 前庭で食事にしよう。 |
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乱れ咲くエゴ |
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クレマチス復活 ・ ワイングラスを持って 前庭を散策。 ・ 朝陽をいっぱいに浴びて クレマチスが 2輪花開いた。 ・ 2週間前に 大欅の枝打ちをしたら 日陰だった クレマチスに陽が 注ぐようになったのだ。 ・ 水無月になると 華麗な蒼紫の花弁が 前庭を飾ったのに ここ数年は 姿を見せなかった。 ・ 久々の再会に胸が 踊る。 とても美しいよ。 |
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6月1日(日)晴 前庭にて |
新顔・アイリス なんと言う妖艶な 美しさ! ・ 山荘の庭を 埋め尽くすアイリスは 総てジャーマンアイリス。 奥庭にあった一群を あちこち移植して 増やしたのである。 ・ 山荘下の里を ジョックすると庭や畑で 咲き誇る 鮮やかなアイリスを そこかしこで目にする。 ・ すごく気が惹かれるが なんだか ジャーマンアイリスに 悪いような気がして 他のアイリスを 山荘に移植しなかったのだ。 ・ 15年目の今春 新たな白紫アイリスを 2株前庭に移植。 ・ どんな花が開くか 愉しみにしていたが ついに咲いた。 ・ 雨に濡れそぼった花弁の 予想を超える 艶やかさに ぐいと 心を鷲掴みにされ その場に佇んでしまった。 ・ だが余りの美しさに 妬まれたのか 花弁が折られてしまった。 |
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6月1日(日)晴 前庭にて |
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犯人は他のアイリスか? それとも野生動物の仕業? 可哀想なので一輪挿しにしてテーブルに飾った。 |
花終わる・馬鈴薯 メークインが 猪にも鹿にも食べられず どうにかここまで 育ってきた。 ・ 防猪ネットを畑のぐるり 総てに張り巡らせ 警戒した成果かな。 いよいよ収穫間近の この時期を 敵も充分知っている。 既にじゃが芋は 充分大きくなっているのだ。 ・ 鹿は網をジャンプし 猪は突き破ってまでも 侵入しようと 必死になる時期。 さてどう畑を死守するか? |
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6月1日(日)晴 西畑にて |
虎蛾続々誕生 西畑に降りると 虎蛾(トラガ)が 東菊や馬鈴薯、春菊に 止まり 羽を休めている。 ・ いずれも羽がボロボロ。 もっと美しい優雅な 容姿なのに 一体どうしたのだろう? ・ 虎のような華やかな紋 蛾とは思えぬ 素早い飛翔は すっかり影を潜め動き無し。 ・ 飛び立つ元気も無く 唯ひたすら死を 待っているような無残な 虎蛾にしたのは 昨日の 季節外れの低温と雨? |
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6月1日(日)晴 西畑にて |
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新品芝刈り機登場 とうとう買ったぜ! ・ 15年目の芝生に登場 したのは3代目の 新芝刈り機。 ・ 何十回となく修理し 愛用してきた芝刈り機が あちこちガタがきて 毎年修理代だけでも大変。 ・ そこで思い切って 今までと異なる新式の 芝刈り機を購入。 ・ 前と同じ機種だと 修理器具や部品が揃って いるので便利だが 何しろ直ぐ刃が折れて 刃の交換を頻繁に せねばならない。 新機種は刃は折れず 自動研磨装置付き。 ・ さて今度の新兵器の 能力は如何に? |
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抜群の切れ味 これが同じ芝刈り機か? 静かに音も立てず 柴が美しく 刈られていく。 ・ 今までの芝刈り機は 4枚の刃を付けた 2枚のディスクが回転し 柴をカットする方式。 ・ 今度のは3枚の刃が シリンダー状に 螺旋を描いてセットされ 刃が折れない構造に なっている。 ・ 問題は耐久性である。 刈ってみると意外に 広い庭なので 1回の芝刈りに2時間 近くはかかる。 マシンへの負担は大きい。 ・ これで耐久性に 優れていれば申し分無しだが そう、うまくはいくまい。 ・ 綺麗な芝生は清清しくて 実に気分いいね。 |
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水無月2週・・・卵と血の日曜日
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夏来たりぬ どうだろう。 今夏初めての この真っ白な積雲。 ・ もう直ぐ 高度1万2千mにも達し 積乱雲に なるんだろうね。 ・ 対流圏の上部で −70度Cにも冷えた氷晶が 暖かい成層圏に ぶつかって水平に 広がって鉄床雲(かなとこ)に なって そうだそれから 夏休みがやって来るんだ。 ・ テラスでビアを 傾けながら 見る小倉山の積雲は 実にわくわくするね。 |
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涼しい木立へ 薩摩芋の苗を 西畑の奥に植えて 発芽しなかった 唐黍の種を再々度 中畑に蒔いて そうだ其の前に 馬鈴薯の追肥しなくちゃ・・ ・ なんて本日の畑仕事の 手順を考えながら テラスで朝食ワインを 愉しんでいたら 朝日がジリジリ照りつける。 ・ パラソルを出して 日陰を作るか それとも石卓の日陰に 移るか? ・ 石卓に食卓を変えたら ひんやりして今度は 寒いくらい。 でも木陰からの景観は とってもいいね。 ・ こんな風にワイン朝食で始まり 昼食無しで畑仕事に たっぷり汗を流して ビアの夕食で終わる 山荘の一日も 中々いいもんだよ。 |
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母は強し! 果樹畑の梢で 四十雀の親鳥が 頻りに囀る。 ・ きっと巣箱の雛に 巣立ちを 促しているのだろう。 ・ そう思って李木の巣箱を 覗いてみたら もう大きくなった雛が 一羽だけ残っている。 ・ 巣箱の蓋をそっと閉めて カメラを用意し 再び巣箱に戻ってみると 未だ残っている。 ・ 驚いて飛び出して しまうかと思ったが 巣箱の中央から 頑として動かない。 ・ そっと触ってみたら 身体の下に 9つもの 卵があるではないか! ・ と言うことは これは巣立ちの遅れた 雛ではなくて 母鳥だったのだ。 ・ 開かないはずの 巣箱が突然開き 魔の手に身体を掴まれ 恐怖に震え上がったろうに。 ・ それでも頑として 卵を抱き続けた母鳥。 脅かしてごめん。 大急ぎで巣箱を閉めました。 |
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6月8日(日)曇 奥庭にて |
こちらも卵? 他の巣箱は どうなっているか ちょっと覗いてみたら 巣作りは終わって 産卵は未だでした。 ・ どの巣箱も 緑色の厚い苔が敷かれ その上に ふかふかの獣毛。 ・ 柔らかくて暖かそうで いつ見ても 四十雀の巣作りには 感心させられる。 ・ ふと枝を見ると こちらにも虫の卵が・・。 螳螂の卵みたい。 けど螳螂は秋に 卵を産みつけ 5月には孵化してしまうから これは螳螂ではない。 ・ でも小さい頃から よく見かけた卵なので きっと知ってる筈なのに インターネットで調べても 出てこない。 ・ 悔しいな。 『虫の卵』に詳しい 平塚博物館も今日は 休館日だし 誰か教えておくれ! ・ 泡吹虫の泡巣だ! やっと判ったぞ。 泡吹虫は 亀虫目の総称でこの 幼虫が作った泡巣がこれ。 |
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6月8日(日)曇 前庭にて | |
幼虫は植物の維管束に口針を刺し込んで植物の養分・アミノ酸や ミネラル分を吸い取りアンモニアを含んだ水分を大量に排泄する。 この排泄液に空気を吹き込んで泡を作り この泡の中に潜んで敵から身を守るんだ。 ・ 泡に侵入しようとする敵は泡に溺れて窒息して死んでしまう。 幼虫の尾はシュノーケル状になっていてそいつを泡の外に出して 呼吸するので自身は死にはしない。 ・ 上の画像を良く見て!上方に細長い針が突き出しているだろ。 あれがシュノーケルなんだね。 このシュノーケルで空気を取り入れて排泄液に混ぜ泡も作るんだよ。 ・ 実はこの泡に侵入する武器を獲得した昆虫も居るんだ。 うーん驚きだね! 生命の世界は精巧な科学そのものなんだね。 |
バリアーの彼方 山荘池が野生動物に 襲われた。 池の奥にある池灯を兼ねた 水中ポンプと 睡蓮の鉢が倒れてる。 ・ 餌を投げても鯉が姿を 見せない。 てっきり食われたかと 思いきや暫くしてから 恐る恐る姿を現し一安心。 ・ セブンが野生動物の 臭いを嗅ぎつけ 更に石で区切られた 魚止バリアーに興味を示す。 ・ 何だ! 見えないくらい小さいのが もそもそ動いてるぞ。 |
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6月8日(日)曇 山荘池にて |
蛙になった! あんまり小さいので 大きくアップしてもピントが 合いません。 ・ お玉杓子の時は 1cm以上あったのに 蛙になったら その半分以下になって。 ・ でもよく見ると 確かに小さな小さな 手があり透明な指も 付いてます。 ・ それにしても セブンはよくこんな小さな 蛙に気が付いたね。 3月23日の卵が78日目に とうとう蛙になったんだ。 |
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6月8日(日)曇 山荘池にて |
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キウイ雄花 人工授粉もせず 忘れていたキウイの花が 最早散り始めている。 こりゃ、今年の収穫は 諦めねばならぬか? ・ どうみても 雄蕊の花粉はすっかり 枯れ果てて 受粉させる能力を 失っていそうだ。 ・ 中国中部の長江流域で 支那猿梨と呼ばれ 1904年ニュージーランドに 移植され 栽培が始まった猿梨。 ・ キウイと言う名で親しまれ 世界中にひろがり やがて日本にもやって来た。 キウイ雌花 山荘にやって来たのは 12年前かな? 雄木と雌木を買って来て 植えたけど まさか大量収穫出来るとは 考えてもいなかったな。 ・ よく見ると雄花と雌花は 全く違うけど 最初は区別出来ず。 ・ 識別出来るようになって 人工授粉をしたら 収穫が数倍にアップ。 ・ それから山荘の 冬の貴重な果物として 半年間も食卓を 飾るようになったんだ。 ・ 半年間も保存できる 果物だけに 収穫が減ると山荘は 途方に暮れてしまうな。 |
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血の日曜日 咲き初める薔薇 秋葉原で人を殺します 05:21 車でつっこんで、 車が使えなくなったら ナイフを使います みなさんさようなら 11:45 秋葉原ついた 今日は 歩行者天国の日だよね? 12:10 時間です ・ 静かに咲き始めた 薔薇の花が瞬時にして 真紅の血となって 噴出し路上を染める。 ・ 真紅の山荘薔薇にカメラを 向けた12:30 歩行天で雑踏する 中央通りへ 神田明神通りから トラックが突っ込んだ。 ・ 更に車を降りナイフで 無差別殺傷を 繰り返し僅か2分で17人を 襲い7人を 殺した加藤智大(25)は 事前にネットで犯行を予告。 ・ 真紅の薔薇と血に 同じ時間が流れる残酷さ。 |
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ダガーナイフ 孤独な柘榴 17人の殺傷に 使われたナイフは 人を殺す為に 作られた殺傷能力の高い ダガーナイフ。 ・ 全長23cmのダガーは 両刃短剣型で 刃先に血が付着しにくく 何度使用しても 殺傷能力は落ちない。 ・ その上、刃は薄く細いので 弱い力でも内臓奥に 達し殺人は容易。 ゲームの殺人武器として 登場し若者に人気の ダガーナイフ。 ・ 『もう死ぬ』と友人に 一斉メールを送り 自殺をほのめかした加藤は 自殺の代わり 車とダガーナイフによる 無差別殺人と その結果予期される死刑を 選んだのだ。 |
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孤独な柘榴 絶望は暫し存在の真実に限りなく接近し 神の領域への接触を可能にする ・ 従って真の絶望は人を真摯にさせ往々にして自死を選ばせるが 決して無差別殺人に走らせることはない。 ・ 加藤は派遣社員として肉体も精神も疎外され続け 優等生であった過去と現状との乖離に嫌気が差し酷い欲求不満 に陥ったのであろう。 ・ 欲求不満の根本的な背景には利益・成果優先の結果 弱い人間が安価な生産手段としてしか 扱われない事実がある。 79年前の小林多喜二の小説『蟹工船』が若者の間で 読まれている。 蟹工船での苛酷な労働、抗争と弾圧の中で未組織労働者が 目覚めていく様子を描いた暗い作品が 今、何故若者に読まれるのか? ・ 安価な生産手段のシステムそのものである『派遣制度』の転換を 訴える閣僚(枡添厚生労働相)も出てきたが 成果主義が横行している限り今後も同様な事件は続くであろう。 ・ すくすくと3mにも育った山荘石榴がたった1つだけ花を着けた。 自らの朱が瞬時にして飛び散る血潮になった薔薇と同様に 孤独な石榴の朱にも 血の日曜日を共有する残酷な時間が流れる。 |
水無月3週・・・裂ける大地・山荘夏バージョン
裂ける大地 突然大地が裂けた。 激しく水が噴き出し 青梗菜を根こそぎ空中に 飛ばし西畑に氾濫し 激流となって 暴れ狂った。 ・ 一瞬の激変に為す術も無く 唯呆然! 差当たりこの激しい 噴流を押さえねばならぬが 乗せる物は重くないと 飛ばされてしまう。 ・ 石卓の重い丸太椅子を 運び噴流に乗せ どうにか上方に飛び散る のだけは押さえた。 ・ さて問題は この後どうするかである。 |
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6月13日(金)晴 西畑にて |
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給水管亀裂 広瀬湖からの旅人 山荘始って以来の |
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大地の侵食 先ず何としても水源の 元栓を締め水を 止めねばならぬが 誰が地中を走る畑管の 埋設図を持っているのか? ・ 心配してやって来た 桃畑の農婦が 「地区長のむねおさんが しってるずら」とか・・・ ・ 散々あちこち調べ 最後に市役所の土地改良区 に行き着いた。 直ぐ来てくれると言う。 ・ 改良区職員は 青焼き図面を前庭に 広げ元栓の位置を調べ 広い果樹畑を飛び回る。 ・ 漸く止水出来たが 山荘の畑は激流に抉られ 発芽した野菜も 流されてしまった。 |
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岩手宮城内陸地震 朝の光を浴びて開いた 睡蓮にカメラを 向けていたら 微かに花弁が揺れた。 ・ 北方400km遥か彼方の 大地の波動が 山荘池の睡蓮花弁に 流れたのである。 ・ 6月14日午前8時43分 M7.2の地震が 火山灰台地の 岩手県南部で発生。 未曾有の大崩落を 生じ山塊は大きく変容。 ・ 加速度は国内最大の 4022ガル。 隆起は2mに達し ’94来の観測史上最大。 3日後現在で死者10人 行方不明12人。 ・ 1ヶ月前の5月12日 午後2時30分中国四川で 大地震発生。 行方不明1万7991人 死者6万9122人(6・4現在) ヒマラヤを形成する チベットのプレートの ベクトルが 東の四川省へと動き 大地震を発生させたらしい。 ・ 昨日の畑の事故とは 比べ物にならぬ大惨事に 改めて人類の 非力さに思い至る。 ・ 《人は自然によって 生かされているに過ぎない》 |
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薔薇の流れ 風の通路造り 奥庭のミニ薔薇に遅れて 前庭の薔薇が 条件の悪さを克服して 咲きだした。 ・ 桑、山法師、楓が繁り 薔薇に影を落とし 下ではアイリス、牡丹が 蔓延り薔薇の 育つ空間は殆ど無い。 ・ 肥料も防虫剤散布も 行わずそれでも 例年咲き続けている。 せめて風と光が 流れるよう繁りすぎた 樹木を切ってやろう。 ・ そうだ石段のアーチを 薔薇のために もう1つ増やしてやろうかな! |
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6月14日(土)晴 石段にて |
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キスするなよ! 好きなのは解ってるよ 左アキレス腱痛が 収まらず4月20日以来 2ヶ月近くを経て尚 目白での朝トレの ジョックを休んでいる。 ・ それに6月に例年 襲われるアレルギー湿疹 が加わり 左耳から首更に 右腕、腹部と広がり最悪! ・ アレルギーを齎すのは ある種の虫か植物か 不明だが 刺されて1週間程で 抗体が出来て 治るらしいのだ。 ・ そんな最悪の朝だが セブンとの朝トレを 休む訳にはいかない。 セブンは1週間 唯ひたすら週末のこの瞬間を 待ち焦がれて過ごすのだ。 ・ だからと言ってキスしても いいと言う訳では ないんだよセブン! |
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梅雨晴れ富士 雲海に煙る街 いつ来てもセブン この稜線は素晴らしね! ・ 梅雨独特の薄い 絹のレースのような 雲海を透かして 街がしっとりしているね。 ・ ほら耳を澄ますと G線上のアリアが聴こえて くるだろう。 ・ 《管弦楽組曲第3番》 BWV1068のエール楽章を ニ長調からハ長調に 移調させたバッハの あのG線上のアリアさ。 ・ どうしてハ長調に したかって? そうするとねバイオリンの 一番太い弦・G線だけで 演奏出来ると アウグスト・ウィルヘルミ が気づいたんだ。 だからこの稜線天空に 張り渡された 太い送電線が奏でるのは いつも G線上のアリアなのさ。 |
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熟すMuiberry 血は 還って来るのだろうか? このマルベリーの ように初夏には黒ずんだ 仄かに甘い実を 齎してくれるのだろうか? ・ 初夏を忘れてしまった血に 先ず初夏の存在を教え 微かな残滓を 掘り起こさねばならない。 ・ ステージ2では あの溢れる光の季節への 回帰を実現すべく 瑜伽を組んで 深奥の地に進まねば。 ・ それから徐に 森に分け入り三畳紀からの 時の累積を超えた 歓びに身を任せよう。 |
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初夏の舞姫 夏を告げる孔雀蝶 不意に視覚を 幾何学図形が飛び交う。 半直線が緩やかな 双曲線になったり楕円に なったりして 孔雀蝶が還ってきたのだ。 ・ 山荘の初夏を忘れずに 華麗な舞で熱情を 鼓舞するためにお前は 還って来たんだね。 ・ それでは4つ目の ステージで 暗渠に身を潜め 無限に広がる闇を カンバスにして孔雀蝶を 自在に舞わせよう。 ・ 血に温もりが甦り 暗渠に屹立する山容の 頂で孔雀蝶の ラピスラズリに逢えたら 1本の直線になって 水晶球への想いに 身を委ねよう。 ・ そして5番目の瑜伽で 微かな残滓を留めた 廃墟に再び立ち 2億年の彼方の忘れ物を 三畳紀から 未来の2億年へと 振幅させよう。 ・ 最後はG線上のアリアを 奏でながら 7つの海に還ってきた 生命をいとおしく 抱きしめよう。 |
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6月14日(土)晴 東森小径にて |
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ぱむんけす君登場 ドクガ科・マイマイガ幼虫 山荘は毛虫の好む 食草がいっぱい。 でも毛虫には中々逢えない。 ・ 理由は明瞭。 庭樹に置かれた 幾つもの巣箱に営巣する 四十雀、山雀の親鳥が 雛の餌にしてしまうのだ。 ・ しかし未だ山荘の親鳥は 抱卵中で毛虫の 生き延びるチャンスあり。 ・ のんびりとやってきたのは 舞々蛾の幼虫。 毛は長く毒々しいが 毒は無く危険性は無い。 ・ 『ケムンパス』と言う 漫画の人気キャラクターが 昔あったがそいつを 捻って「ぱむんけす」と 呼んでいた幼少時代が ふと舞々蛾に重なる。 ・ もう直ぐ孔雀蝶のように 舞い立つことを 「ぱむんけす君」は 知っているのだろうか? |
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竹節虫(ナナフシ)偵察 小さな小さな 枝七節の子供が いつものように身体を ゆさゆさ揺らしながら 物干し竿を 旅しています。 ・ 揺れているのは 緑の小枝が風を受けて いるつもりなのです。 ・ 写真アングルが 悪いのでちょっと触ると 直ぐに落下し 暫く動きません。 ・ 枝のつもりですから 動いては いけないと思って いるのです。 ・ やがて敵は去ったと ゆっくり歩き出しました。 枝は歩いたり しませんからゆっくり ゆっくりなのです。 |
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夏の装い 網戸入れ 池にはギンヤンマが スイスイ。 石卓には舞々蛾の ぱむんけす君がのっそり。 物干し場では 枝のつもりの七節虫が ゆらゆら揺れて。 ・ そうなると当然 生血を求めて蚊も蚋も たくさん出てきて もうすっかり山荘は 夏バージョン。 ・ 山荘主は早速 蚋に刺されアレルギー の湿疹が あちこち出来て痒くて。 ・ 例年この虫アレルギーに 襲われる前に 防虫網戸を入れねばと 思っているうちに 夏が来てしまう。 ・ 何しろ山荘は窓が多くて たかが網戸入れ されど網戸入れなのだ。 ・ 因みに1階は ペアガラスの大窓が3枚 風呂場、洗面所、玄関 トイレ、キッチンが6枚 2階は ペアガラス大窓が1枚 3部屋の出窓が8枚 廊下出窓、トイレが7枚で 計25枚もあるのだ。 ・ そのうえ出窓は網戸を 嵌め込んでから 上部をビスで留めねばならず 手間がかかるのだ。 ・ しかし終わったぞ。 これで安心して 虫をシャットアウトし 森の風を自由に入れて 山荘は夏バージョン完了。 |
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小梅収穫 大胆に枝切り 山荘は本当に 人使いが荒いのだ。 ・ 先週だって1年ぶりに キッチン換気扇の 汚れを落し キッチンクローゼット 食器棚、冷蔵庫を整理し 山荘専用車に ワックスをかけて 果樹畑、前庭、奥庭、畑の 雑草取りと そのうえ山荘ビアの 瓶詰が加わり 獅子奮迅の活躍だったのだ。 ・ 今週だって 畑の大地が裂け すっかり侵食されてしまった 畑との格闘に始まり 中畑の人参、春菊を収穫 整理し西畑の 延び過ぎてしまった杏子を 伐採し更に 石卓周辺の樹木を剪定。 ・ 芝刈を終えて 一休みしようかと 綺麗になった庭を見ると 熟し過ぎた小梅が 芝の上にぼとぼと落下。 ・ そうだビアのフレーバーに する梅ジュースを 仕込まねば来年のビアが 醸造出来ない。 ・ 収穫を来週に延ばせば 梅の実は 落ちきってしまう。 やるしかないか! ・ 山荘に扱使われる 哀れな山荘主の嘆き。 最早山荘主は 自給自足を放棄し 山荘からの解雇を 望んでいるのかもね。 |
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梅ジュース造り 山荘ビアフレーバー 梯子を架けても 届かないほど延び過ぎて しまった梅の木。 ・ 放っておけば天を目指して もっとぐんぐん伸びて 影を成し奥庭の芝を 枯らしてしまうし 実は採れないし 思い切って鋸でぎこぎこ。 ・ で、こんなにも沢山の 小梅が収穫出来ました。 よく洗ってから水を切って 直接砂糖を塗し 梅汁が砂糖に滲み出る まで半年。 ・ これで来年のビア造りは 梅の香りのする 美味しい山荘特産ビアが 出来るでしょう。 ・ すっかり山荘主は その気になって先程の 嘆きは何処へやら! 収穫は人を変えるのです。 |
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朝の来訪者 森からの風は とても爽やかなのに 陽射しは 肌をじりじり焦がす強さ。 ・ こんな時は木陰に囲まれた 石卓での朝食が最高。 と、よく冷えた 赤、白2本のワインを 冷蔵庫から出し 石卓へ運ぼうとしたら 「ピンポン、ぴんぽん」 ・ 「あれ、誰だろう?」 裂けた大地を直しに来た 工事人と一緒に えこちゃんが前庭に居ます。 ・ 工事の邪魔になるので 石卓はやめて テラスにパラソルを出して 一緒に食事を とることにしました。 |
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山荘フルーツ 先ずは石段で 熟している桑の実を採って 前庭の苺を摘んで ヨーグルトに トッピングしよう。 ・ グミは未だ2,3個しか 赤くなってないから止めて その代わり 砂糖漬にしたキウイと ワインに漬けた 干し柿と パラワン島で買って来た ドライマンゴを ヨーグルトに乗せよう。 ・ 赤ワインをたっぷり 吸い込んだマンゴに ヨーグルトを絡めると ワインにぴったり。 ・ あとは当店自慢の キャロットブレッドとコーン 畑で採りたての野菜 で作ったサラド。 スープは海老と帆立と セロリでどう? |
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レストランですか? 前庭の芝生に 大きな青焼き図面を 2枚も広げて 土地改良区の職員が 問いかける。 「ここはレストランですか?」 ・ 何処にも看板は無いし ゲートだって 玄関だってレストランらしき 気配は全く無いのに なんと鋭い問いかけ。 ・ もしかすると その職員はここが 『注文の多い料理店』である ことを知っているのかも。 ・ そうだきっと山猫の手下で 森の中の山荘を 偵察に来たのだ。 ・ 「どうも 最近客の入りが悪い。 森の山荘に客を 取られているに違いない。 工事人に化けて 山荘を探って来い」 ・ となると山荘始って以来の 出水激甚災害は 山猫の姦計なのかも? |
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水無月4週・・・雨の奏でるコンチェルト
知らないのばかりだよ。やっぱ止めようかな。 《だめです。来なさい》 ・ 9000本のパイプの森に迷い込んだようで とても神秘的な音色に包まれ熟睡しました。 ・ 目が覚めた瞬間存在の呪縛から完全に 解き放たれ 存在の座標・場所と時間を失念してました。 |
世界最大級のパイプ 9000本管の演奏 山荘の森が奏でる 『G線上のアリア』に 肉体も精神も すっかり染められて 目白に戻ったら なにやら9000本もの パイプがひそひそ。 ・ 《最近ちょっと 酷いんじゃない? すっかりお見限りで 見向きもしないなんて 許せないわよね》 ・ あの声は地元 芸術劇場のパイプオルガン? そうか、そう言えば 毎週、森の音楽ばかりで 都会にも美しい 音色があるなんて すっかり忘れていたよ。 ・ よし、行くぞ! 今日の曲目は? ・ JPスウェーリンクの 『モーレ パラティノ』 JGヴァルターの ヴィヴァルディ氏による 『コンチェルト ロ短調』 ・・・・・ |
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メンデルスゾーン 沙羅協奏曲 バイオリン協奏曲ホ短調64 夜も昼も止むことなく 降り続ける雨。 大粒の雨滴が時には 弓となって 大気を弾き鳴らし 桴となって 森羅万象を敲き続ける。 ・ 雨滴は打楽器となった 屋根を敲き テラスに跳ね返り 池面や森の葉を鳴らし 芝生にひっそりと 吸い込まれ大地に消える。 ・ だが耳を澄ましても 部屋の中では打楽器の音色を 捉えることは難しい。 二重ガラスが外の音を 殆ど吸収し 音色を変えてしまうのだ。 ・ 微かな音色を捉えようと 二重ガラスに 耳を近づけふと外を見ると 降りしきる雨の中 沙羅が咲き出しているでは。 ・ 先週末には 未だ蕾だけだったが 雨を待っていたかのように 一斉に咲き出した。 沙羅は朝一番に咲き 夕刻には 散ってしまう儚い花。 ・ 梅雨空の淡い光を透かした 沙羅の白い花弁から バオイリンの音色が 静かに流れ出した。 ・ 雨音をバイオリンの音色に 濾過してしまうなんて。 それも山荘主のお気に入りの ホ短調64にね。 |
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F管とB♭管を組み合わせたF/B♭ダブルホルン |
朱に酔う蝸牛 ゼラニューム 『へんしーん!』 やるね蝸牛君! 一瞬にして ダブルホルンに変身とは。 ・ 実は 薄々知ってはいたんだ。 蝸牛君の正体が ダブルホルンであることを。 ・ 山荘で君に逢うたびに ホルンになって 突然ショパンをやるのでは といつもドキドキ してたのさ。 ・ ピアノ協奏曲第2番の 第3楽章で 鳴り響くホルンを聴くと 「は、はーん やはり これは森の蝸牛君だな」 と勝手に想像して ショパンが 益々好きになってね。 ・ こんな雨の日に わざわざ山荘テラスまで お越しいただいて ショパンを 聴かせてくれるなんて 実に恐縮だね。 ・ 《雨音の背後に 潜む音楽》は やっぱり沙羅や 蝸牛や森の生命達が 密かに 奏でていたんだね。 |
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6月21日(土)雨 テラスにて |
薔薇のアーチ完成 肥料もたっぷり 「あーら先週のお約束 お忘れ! 確か私のために石段に ハープを 造ってくれると言ったわね」 ・ 「えっ!薔薇のアーチを 造ろうかなとは 言ったけど・・・ そうか貴女にとっては 協奏曲を 奏でるための楽器なのか。 でも雨が降ってるし・・・」 ・ 「あらあら可笑しいわ。 何処の誰よ。 《雨音の背後に潜む音楽》 だなんて気障な セリフを吐いたのは? 雨だからこそ ハープが必要なのよ」 ・ 「解りましたよ 造ればいいんでしょ 造れば」 ・ で早速雨に打たれながら 山荘主はせっせと 石段にアーチならぬ ハープを設置して 薔薇を絡ませ いつでも演奏出来る様に したのです。 ・ 「まあ、まあの出来ね さあ、それでは 記念すべき最初の曲目は 何にしようかしら? モーツァルトはどう? フルートとハープのための 協奏曲 があるの。 ハ長調 Kv.299だけど 知ってる?」 |
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クラシック音痴で曲と曲目がさっぱり 一致しない山荘主が知ってる筈がありません。 雨の労働の成果としてハープが聴けるなら 山荘主は きっと何でもいいのです。 |
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落葉の花だワン! 梅雨の花・萌黄茸? 雨だから 来るはずが無いと 諦めて しょんぼりしているセブン。 ・ でも日曜日だから 若しかすると来るかなと 僅かな期待を込めて こちらを見つめていました。 ・ 目が合って確かに 山荘主を認めたのに ポカーンとして いつものように狂喜しません。 ・ 確認するように瞬きし 間違いなく山荘主と 知ったセブンは 突然飛び上がり大きく吼え ジャンプを繰り返し 歓びのあまり ついに声が裏返って・・・。 ・ 鉄砲玉になって 森に走ったセブンが最初に 見つけたのは枯葉の花。 |
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鹿が食べたんだワン! 森の檜危うし 薄暗い常緑樹の森に 数条の光が 垂直に平行線を描く。 ・ 先週には見られなかった 光に気付きセブンが 耳をピンと立て 一直線に走り寄る。 ・ 野生動物の臭いを 嗅いでから 辺りに鼻を突っ込み 黒い糞の塊を見つけ なにやら納得。 ・ 若い檜が樹皮を剥がされ 白い幹を 露出させている。 鹿に食われたのだ。 ・ 森の出口で小鹿に遭遇。 セブンは全力で突進。 リードを解いたら きっと鹿に喰らい付いて 仕留めるのだろう。 |
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カノコガ 調理虫・鹿子蛾 二帯泥蜂擬態 おい!それでも 飛んでいるつもりか? と思わず 声を掛けたくなる。 ・ よたよたした 今にも落ちそうな瀕死の 重病人の様な 飛行をするこやつ。 ・ てっきり蜂の仲間で 昆虫に飛びついて針で 突き刺し痺れさせ 食べてしまう奴。 ・ と思っていたが 姿形だけニ帯泥蜂の 擬態をした 正真正銘の蛾。 ・ 幼虫は黒い毛虫。 タンポポが大好きで 主葉脈を断ち切って 少し萎びるまで 待ってから食べるとか。 ・ つまり昆虫では希有な 調理の技術を 持っているのだ。 |
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山雀(ヤマガラ)旅立ち 久々の芸鳥営巣 朝トレを終えて 浴槽に浸かりながら 巣箱に出入りする ヤマガラを観察。 ・ 親鳥は餌を銜えては いるが出て来る時に 雛の糞を 運び出してはいない。 つまり雛は孵ったが 未だ沢山糞を出す程 大きくなってはいない。 ・ と判断していたが 覗いてびっくり。 明日にでも巣立ちしそうな 成長ぶり。 ・ ここ数年はどの巣箱も 四十雀ばかりが 営巣していたが 珍しくヤマガラが孵った。 人に懐き御神籤の芸で よく知られている山雀。 |
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来週は巣立ってしまってもう逢えないんだ。 秋になったら澄んだ高い音色を 山荘に満たしておくれ。 「ツーツーピーンツーツーピーン」と |
夜のジョックで熱くなった肉体に ルシフェリンが数億光年のメッセージを囁く。 熱い汗の冷えぬ間にメッセージの解読をせねばならない。 |
ルシフェリン郷愁 夜の最も短くなる 夏至を知っているのか 竹森川の蛍は 6月22日前後に光舞う。 ・ だが6月になってからも 熱帯夜は訪れず とても蛍が飛びそうな 気配は無い。 ・ 先週末は寒いだけでなく 雨も重なり 蛍の出番は全くなかった。 よし今週こそと バイクをキックするが ウンともスンとも言わず 沈黙したまま。 ・ バイクも15年目で 修理に修理を重ねても 不調で先週も 後輪のパンク修理の ついでに点火プラグを 交換したばかり。 ・ なのにエンジンが掛らない。 山荘主の アキレス腱鞘炎と 同じ症状なのに唖然! ・ 仕方なくジョックで 蛍の舞う小川に向かう。 山荘を下り始めると 源氏蛍が 目の前を『ついーん ツイーン』と飛び交う。 ・ 小川に出ると 居る居る!あちらでも こちらでも 緩やかな光のワルツを 繰り広げている。 ・ ホタルの発光物質は ルシフェリンで 酵素ルシフェラーゼと ATPが作用して 発光するらしい。 ルシフェリンの妖しいまでの この美しさは 数億光年彼方の郷愁。 |
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黒い十字架 果たして竹森川の 蛍にも黒い十字架が 在るのか 確かめてみようと 3匹ほど山荘に拉致して カメラを向ける。 ・ 動きが速くて とても撮影出来ない。 そこでプロカメラマンの 必殺技を 使うことにした。 ・ 箱に入れて数分間 冷凍室に入れて 眠らせてから取り出す。 目覚める僅かな間 にパチリ。 ・ 横棒が短いが 確かに黒十字架がある。 源氏蛍の刻印である。 窓の外に出した途端 山荘眼下の 竹森川にゆらりと 羽ばたいて行った。 ・ さらば黒十字を背負った 数億光年の使者よ! |
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美容柳と紋白蝶 池の蓮の花は 失われた楊貴妃の顔 柳は楊貴妃の 細く美しい眉である。 ・ 玄宗皇帝が楊貴妃と 過ごした未央宮と呼ばれる 長安の宮殿で 見入った美しい眉は 未央柳と言われ 更に美容柳となったとか。 ・ 白楽天の長恨歌の一節に 記されている 絶世の美女に白蝶が留る。 ・ 木陰の闇に 蝶の白と美容柳の黄が 1250年の時を 超えて光を発する。 ・ 3000人の美女を見限り 1250年の時を超え 玄宗皇帝は 妃の元へ 再びやって来たのだ。 |
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カリフラワーと ブロッコリーの収穫 見て下さい。 カリフラワーの葉なんて 穴だらけで 良くぞこれで実を付けたと 褒めてあげたいくらい。 ・ ブロッコリーも似たような もんですが これが無農薬有機栽培の 実態なのです。 ・ 犯人は誰かって? 紋白蝶の玄宗皇帝ですよ。 玄宗皇帝は ちゃんと知っているんです。 この畑に来れば 1250年の時を遡って 蝶になれると。 ・ 回りの畑は何処も 農薬を散布するので 揚翅蝶も孔雀蝶も紋白蝶も みーんな山荘の畑に 来て産卵するんです。 ・ でもどうしても 紋白蝶に敵わない野菜も 在るんです。 キャベツと白菜は オルトランという農薬を 使わないと葉が 全部食べられてしまい 全く収穫出来ません。 ・ 農薬を使ってまで 野菜を育てたいとは 思いません。 だから山荘では キャベツと白菜はあまり 栽培しません。 |
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6月28日(土)晴 西畑にて |
侵入路の僅かな隙間に防獣ネットを張り 5度目の種蒔を行う。 自給自足を目指す山荘で主食系のコーンは欠かせない。 何しろコーンは山荘の1年分の保存食なのだ。 |
鹿の襲撃唐黍全滅 やられた! 『とんもころし』全滅だ。 ・ 地温が25度C以上に ならないと 唐黍は発芽しない。 連日の低温続きで5月から 蒔き続けた種は 一部がやっと発芽したのみ。 ・ だがその 大切に育ててきた 数十本の『とんもころし』が 残らず鹿に 食べられてしまった。 ・ すぱっと断ち切られた 唐黍が無残な姿を 中畑に晒す。 ・ 上部を石垣で 下株をコンクリート壁で 覆われた中畑は 鹿の容易な侵入を許さず 今まで鹿や猪に 襲われたことは無かった。 |
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猪タオルに吼える せめてセブンが 居れば恐れをなして鹿も 近づかないのに セブンは週末しか 山荘には来ない。 ・ 獣猟犬であるセブンは 何しろ野生動物の 僅かな気配にも超敏感。 ・ 鹿や猪なんぞは 姿が見えなくても 動きや 微かな臭いを 感じ取り猛烈ダッシュ。 ・ 猪が泥浴後に タオル代わりにした幹に 擦り付けた泥跡を セブンが発見! セブンは耳を立て 臭いを嗅ぎ敵の行方を 追い求める。 |
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畑の作物を守るにはやはりセブンと 一緒に山荘に定住しないと 駄目かな。 いよいよ仙人になるか! |