大地は海から隆起した生命の晶
生命の土との出逢い
晶邂逅
陶房開設:2000年3月
陶房主:坂原忠清
目白窯春焼き・2012・・・素焼き3月13日(火)〜15日(木)
本焼き4月14日(土)〜16日(火)
吊り大鉢T・(蔓を編んで吊るす) |
吊り大鉢U・(蔓を編んで吊るす) |
ご飯茶碗T |
洋風高坏T |
昨年2011年3月11日の東北大震災で 計画停電、節電が行われ 電気窯である目白窯も使用停止。 今年度春になってやっと再開され 3月に素焼き、4月に本焼きを実施。 ・ 前回から大きな器を焼いて 蔓の取っ手を付ける穴を開けたり その穴に直径10cm近い環を付けたりと 新たな試みを始めた。 蔓を付けることによって陶器の趣が 大幅に変わり 生き生きと生まれ変わる。 ・ 今回も太い藤蔓を取ってにしてみたが 太いので曲げるのが難しく 陶器を割ってしまったりの失敗が続く。 洋風高坏は大成功。 軽くて使いやすくお洒落で スイートだけでなく酒の摘みをちょっと 載せてみてもグー。 ・ 高芝山の標識が消えてしまったので 素焼き無しで ログ表示板と一緒に本焼き仕上げ。 早速4月22日に標識を設置。 ついでに標識の無い扇山、小倉山にも 陶器標識を焼いてあげようかな。 |
ご飯茶碗T |
洋風高坏U |
洋風高坏V |
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ログ定礎の表示板 |
山頂に設置する標識 |
吊り大鉢V・(蔓を編んで吊るす) |
目白窯春焼き・2010・・・素焼き3月9日〜11日
本焼き4月13日〜16日
目白電気窯の窯出し 4月16日(金) 文化創造館 高校の陶芸部の顧問として嘗ては 生徒と一緒に作陶。 自宅近くにある豊島区の文化創造館の 陶芸施設では 毎週轆轤を回している。 ・ 勿論、山荘でも轆轤室を作ったり 窯場を設置し 灯油窯を備え陶芸活動に専念していた筈。 だがしかし、さっぱり上達しない。 ・ 最近では山荘の窯は閑古鳥が 鳴いている始末なので、 当然と云えば当然なのだがなんとも 情けないことに変わりは無い。 だが最近少し土との会話が出来るようになった。 ・ 轆轤で土を立ち上げている時など 素早く回転する土が指を通して 何かを伝えてくるのだ。 ・ 未だ解読は出来ないが確かに何か 囁いているような気がする。 その言葉が解ったら作品に 生命が宿るのだろうか。 |
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焼きあがった山荘主作品 4月16日(金) 工作室 鶴首:7点 カップ:9点 碗:3点 中皿:9点 急須:1点 箸置:13点とまあ 数だけは多いがなんとなくどれも元気が無いと云うか 死んでるような・・・・ |
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鶴首と急須、ガラス皿 4月16日(金) 工作室 鶴首は注ぎ口と取っ手を付けてワインのデカンタのつもりなのだが 冷やすには背が高すぎて冷蔵庫に入れずらい。 徳利にするにしてもお燗するにはやや難があるかな。 どうしようもなくなったら花瓶にしてしまばいいか。 |
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黒織部とガラスのリーフ 4月16日(金) 工作室 馬鹿の1つ覚えで珊瑚海のリーフと宇宙の碧を追い求めているのだが。 宇宙への途は未だ未だ遙かに遠い。 |
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目白電気窯の素焼き 3月11日(木) 文化創造館 カップすら満足に出来ないのではと深刻に悩んだ。 で、カップが多いのだ。 前回は急須ばかり作ったが一向に上達したとは思えない。 壊すか焼くか悩みつつ、壊そうとすると何だか 「壊さないで!」と、がらくたが叫ぶような気がしてつい臆してしまう。 |
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目白窯冬焼き・2009・・・素焼き11月17日〜19日
本焼き12月15日〜18日
山荘窯は経費削減とか他の活動に追われたりで ここ暫く稼働していない。 次回山荘窯では大皿を黒で焼いてガラスの蒼をふんだんに 使い壮大な珊瑚海を描いてみよう。 |
目白窯の宝石 12月18日の窯出し作品 石垣島にある1軒の陶房を 訪ねたら 作品の殆どが油滴天目の 黒の釉薬に ガラスの蒼を散らした 作品であった。 ・ 珊瑚のちゅら海を イメージしたものだと云う。 以来しばしば真似して 蒼ガラスを使ってみたが 素地の油滴天目の黒が 茶になって蒼が決まらない。 ・ 今回は小皿に黒の織部を 使って目白窯で蒼の魅力を 引きだしてみた。 未だ茶が残るものの 何とかなりそう。 ・ 冬将軍の生み出した 森や小川の宝石と 1250℃の高温の アートが共に山荘の 朝の光を浴びて清冽に耀く。 |
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09年最後の作陶 炎から生み出された宝石 急須は難しい。 轆轤技術の総仕上げ。 4つの部品を轆轤で 造り3つを繋げ 本体と蓋をぴったりと 合わせねばならない。 ・ 本体の内部の注ぎ口との 接合部には茶漉しの 網となる穴を開けねば ならず技術的な 熟練を要求される。 ・ 従って造る時には 集中して幾つも 続けて成形する事が多い。 今回は10個の急須を 焼いたがどれも それなりの個性を持って 産声を上げた。 ・ 炎の世界からようこそ! |
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黒織部と鉄赤 | 黒織部 | |
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白萩と黒織部 | 乳白 | |
白萩と黒織部 | 鉄赤 |
陶芸に初挑戦 大介の記録 今日は生まれて初めて ろくろを使いました。 難しそうだと思ったら、 やはり難しかった。 結局、失敗して 完成させられなかった。 ・ Today, I used the Rokuro for the first time in my life. It looked hard to use, and it was surely so hard that I couldn't finish it. |
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2009年7月3日(金)曇昼晴 山荘轆轤陶房 |
初窯本焼き・07・・・3月2日〜3日
緊張の最上段 山荘の土でしかなかった 大地のほんの一部が フォルムを得、釉を纏い 初めて姿を現す瞬間。 ・ 数億年の土としての 眠りを経て 灼熱の炎に焼かれ 目覚めた大地。 ・ ようこそ! 2007年の朝へ。 |
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二段目 超大皿重力崩壊 最上段の作品を取り出し 棚板を外し ツクを移動する。 2段目の大皿が窯に 広がる。 ・ 自らの重さに耐え切れず 4箇所に亀裂が 入ってしまった。 数箇所に支持用ツクを あてがいケアしたが 灼熱に熔かされ 作為されたフォルムを 失ってしまったのだ。 ・ 未熟な作為は不作為な 容姿美をも失う。 |
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生命のエウロパ しかしこの不作為な 大地の衣は また何と言う美しさであろう。 ・ 陶房主の作為を 遥かに凌駕し鮮やかな海が 星を覆ったのだ。 ・ 迷路のように複雑に 走る溝は 木星の神秘な衛星 エウロパを連想させる。 ・ エウロパの地表下には 広大な海が広がり 生命が眠っている。 ・ この衣は眠れる生命の 作為なのだろうか? |
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エウロパに潜む マイナス130度Cの 超低温下で 厚さ100mもの氷に 包まれたエウロパ地表は 生きている。 ・ 木星の潮汐作用が エウロパの深く広大な海を 揺り動かし厚い氷を割り 割れ目から 新たな海水を噴出し 黒い山脈や 途轍もなく長い谷を造る。 ・ 更に潮汐作用による エネルギーは 地核を刺激し 海底火山を生む。 火山の地熱は海水を暖め 生命を育む。 |
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エウロパの海 ガリレオ探査機は 6年間飛び続け 1995年12月 木星の周回軌道に達した。 ・ ガリレオは衝撃的な エウロパの映像を地球に 送りる続けた。 その映像を受け1年後の 1996年11月、米国に 惑星学者と海洋学者が集い 会議が開かれた。 ・ 光の届かぬ地球の深海で 地熱が生命を育んでいるとの 報告がエウロパの衝撃の 意味を暴露した。 ・ 山荘の初窯作品が エオロパの海を出現させた 意図を追わねばならぬ。 |
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未熟の晩鐘 エウロパの海に 漂うようにして急須が 現れた。 ・ 目にした瞬間にゆったりと 鐘が鳴り響く。 土の心を生かせぬ未熟な 陶房主の心象に 鳴り響く鐘の音は 早春3月の 生命力の翳りすら無い。 晩鐘なのだ。 ・ NHKホールに 鳴り響いた小椋佳の 『未熟な晩鐘』が音色に 潜んではいないかと 耳を澄ましてみる。 ・ 佳のシルクロードを テーマにしたテープを 擦り切れるほど聴いていた頃 鳴り響いた鐘の音は どんなだったのだろうか? ・ 唯無心に大地の隆起の てっぺん・ヒマラヤを求め 土そのものにはまるで 関心を抱かず 駆け抜けた早春。 ・ 急須が呟くように か細い声でモノローグ。 「未熟なまま晩鐘を 聴くのも悪くはないさ。 おいらはこれで結構 気に入ってるんだ」 |
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不具合なポット あのね、一応これは 急須なんだから 急須としての機能を 果たさなければ。 ・ そりゃ内部も きちんと網目にして 茶葉が 出ないように造ってあるけど 注ぎ口が長すぎるんだよ。 ・ これじゃ蓋の位置より 注ぎ口が高いだろ。 注ぐときに困るよね。 もしかすると口から出る前に 蓋から零れちゃうかもね。 ・ だからと言って 下の急須のように ぶっきらぼうに唯突き出して いればいいと 言うもんじゃないよ。 手前の取手だって あまりに太すぎるぜ。 ・ えっ!あそう。 この取手は中が中空で とても軽いの?。 それにしても不細工だね。 ・ 再び急須のモノローグ。 『うるさいね。 だからと言っておいらは お店に並んでいるような 奴には なりたくないぜ』 |
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嘆きの急須 どうも陶房主には 偏見があるね。 大皿2枚には ひどくお気に入りで 《エウロパ》なんぞと名付けて 一人悦に入ってるけど 我々には未熟だの 不細工だの不具合だの 酷いもんだ。 ・ でもね急須は未だいい方さ。 最下段の器たちは 知ってるかい? 一目見るなり果樹畑の棚に 乗せたまま見向きも しないんだぜ。 ・ 全体を乳白釉にして 底にコバルトの海を流して 中々の趣なんだがね。 ・ 何でも本当は 上縁からオーロラのような 光を流して 今までに無い作品を 目論んでいたらしいよ。 ・ それがね、失敗してただの 白い器に なっちまったもんだから 急須に八つ当たりしてさ。 ・ 乳萩流状窯変釉は 黒天目釉とか色の濃い釉の 上に載せないと 発色しないんだ。 それを知らず最悪の乳白釉に 載せて、愚かだね。 |
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初窯素焼き・07・・・2月11日〜
闇の切断 炉に空気を送る ゴーゴーという音が 宵闇に吸い込まれる。 ・ 朝から燃え続ける窯の 温度が800度Cに達した。 宵闇の中に窯の火が チロチロと零れる。 ・ 更に深まった陶房の闇が 切り裂かれる瞬間を 期待し陶房主に呼びかける。 《ちょっと覗いてご覧!》 ・ 窯の蓋を僅かに開ける。 闇が突如切り裂かれ 炎が切断面に噴き出す。 ・ あー! 何と優しく美しい炎。 |
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結合水の脱離 カチカチに乾燥させた 粘土作品には未だ 3種類の水分が残っている。 ・ 土を結合させる吸着水 沸石水と土の主成分である 石英(酸化珪素)の 化学構造に含まれる結晶水。 ・ 吸着、沸石水は200度Cの 『炙り』で除去される。 更に結晶水は5〜600度Cで Al2O3・2SiO2・2H2O → Al2O3・2SiO2 となり除かれる。 ・ もう少し窯の蓋を 大きく開く。 総ての水分を失った作品が 赤い透明感を帯び 自ら太陽になり煌く。 |
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熱力学的相転移 『粘土を焼くと何故 硬くなるのか?』 ・ 573度Cで生じる 熱力学的相転移が その理由であると知ると 驚きは一入(ひとしお)である。 ・ 何故573度Cという 絶妙な温度域で 熱力学的相転移が生じ 素焼きの第一段階が 成されるのか? 神の企みとしか思えない。 ・ 粘土( Al2O3・2SiO2・2H2O) は熱力学的相転移で メタカオリン(Al2O3・2SiO2) となり更に1000度Cで ムライト( 3Al2O3・2SiO2) となり本焼きを経て 硬くなるのである。 ・ 君達は今 573度Cの洗礼 を受けて メタカオリンになったんだね。 |
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作陶始め・2007・・・成型1月27日〜
山荘作陶期 春から秋にかけて 山荘は忙しい。 ・ 冬から春には 有機肥料作りと畑の耕作。 種蒔、苗植えと同時に 雑草との戦いが始まる。 ・ 前庭、奥庭の芝刈り ビア醸造、果樹の手入れ 数十鉢の観葉植物のケア。 ・ その合間を縫って 珊瑚海ダイビング 山トレーニング、遠征合宿を こなしていると 直ぐにヒマラヤ遠征の時期。 ・ 従って陶芸に時間を 割く事が出来るのは冬の 短い期間のみ。 で、やっと今年も轆轤の スイッチが入ったのだ。 |
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8年目の陶房 最初の陶房は 手作り総ガラス張り。 ・ 山荘建設時に 二重ガラス(ペアガラス)の 存在を知らず設計。 山荘完成後に 保温効果抜群のペアを 知り8枚の大型ドアを 二重ガラスに交換。 ・ この余った8枚のガラスを 使って陶房を 手作りしたのだ。 ・ 太陽が燦々と降り注ぐ 夢のような陶房であったが 何しろ狭い。 そこで透明カーテンを 使って 現在の陶房を完成。 |
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生命復活 無知とは恐ろしいが 無知故の試行錯誤が 時にはテリトリーを 拡大する。 ・ 山荘の土を篩いにかけ 水簸処理し 作陶に挑んだのだ。 ・ 関東ローム層の赤土は 鉄分が多く本焼きの 1250度に絶えられず 蔕ってしまうと 分かるまでに数年。 ・ その後信楽土、志野土を ブレンドして どうにか山荘土の器が 出来るようになった。 ・ 山荘の土の生命が 甦ったのだ。 |
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凍土の甦り 灯油窯の左に ポットミル機が見える。 ・ 乳白釉の原材料は 入っているが 一度も使われたことはない。 ・ この大きな灯油窯も 4台もある轆轤も 年に数回しか出番がない。 ・ それどころか練った土も 使われず冬には 凍り付いてしまう。 ・ 先ず轆轤の電源、作動を 確認して 凍った土を解凍し 甦らせねばならない。 |
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手袋作陶 自然の太陽暖房が 効いているとはいえ 土は冷たい。 とても素手での作陶は無理。 ・ そこで敢えて難しい 手袋作陶に挑戦。 ビニール手袋をして 轆轤を回す。 ・ ビニールと土との摩擦係数が 高くて滑らない。 器の肉厚が掴めない。 ・ ゆっくりゆっくり 立ち上げる。 さて2007年最初の作品は 何になるかな? |
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無作為の作為 太陽系は銀河を回り 地球は太陽を巡る。 地球は周回する月を従え 自ら回転する。 ・ 宇宙は 円と楕円を軌道とする 輪円具足のアーティスト。 ・ 轆轤の卓上には 星々の軌道が描かれ 土を乗せると 新たなる宇宙が誕生する。 ・ 渦状銀河のように 渦を巻いて器が3次元の 空間に広がる。 ・ 私の作為は渦状銀河に 呑み込まれる。 |
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6つの衛星 眠っていた山荘の土が 第3惑星から僅かに上昇し 新たなる円運動を 加えられ6つの器になった。 ・ 大地から上昇させ 土を轆轤に乗せたのは私。 円軌道の力を加え 衛星を造り出したのは轆轤。 ・ ながーい長ーい大地の 眠りから覚め形を得 40億年前の灼熱を浴びて 再び星に還るんだよ。 ・ 太陽系や銀河系を 造り出した私と轆轤も きっと何処かに居るんだね! |
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大皿の凍結 星々の子供に 1250度Cの灼熱を加え 本当の星にするには もっと沢山の星が必要だ。 大皿を造ろう ・ 矩形の大皿は高台のみ 楕円に支配されているが 全容は宇宙の異端児。 ・ 幅50cmもあるので 変形し易く割れ易い。 僅かに残っていた水分が 夜間に凍結し膨張し 異端児を砕いてしまった。 ・ 再度挑戦! この大皿に《山荘と雲海》を 描いてみよう。 |
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三番窯2006・・・素焼7月9日・本焼火入れ10月20日・窯出し10月22日
素焼きしてから 4ヶ月近く経って やっと本焼。 ・ その「時の弛み」が 如実に作品に表れた。 窯を開いた瞬間 沈黙と死が 陶房を覆った。 ・ 何とか自然の流れを とどめたのは この高坏のみ。 |
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時の弛み |
素焼きせず 直接本焼きしようとした 作品が爆発し 釉薬の付いた破片が 窯中に飛び散り 3段目の棚は まるで戦場。 ・ その上 ついうっかりして温度を 50度も上げすぎて 窯は1300度C。 釉薬が流れ出し 融着防止の アルミナを超えて 棚板に・・・悲惨! |
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戦場の産物 |
轆轤は自然には 存在しずらい 単調なラインを描く。 ・ 山荘主は このラインを嫌うので 山荘に4台ある轆轤は いつも無聊を託っている。 ・ しかし「急須」制作には 轆轤は欠かせない。 本体、注ぎ口,柄、蓋 いずれも轆轤で 造らねばならない。 |
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無聊を託つ |
如何に轆轤の 単調なラインを消すかに 作品の良し悪しがかかる。 ・ 3つの「急須」部品を 同時に造り 部品に聞いてみる。 「どんなフォルムに なりたいの?」 ・ 鉋で削るにつれて 部品の囁きが 聴こえてくる。 ・ 決まったね! これでいこう。 |
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すっぴん |
ビアグラスは 薄ければ薄いほど 唇あたりが良く ビアの味を引き立てる。 ・ 勿論薄くなるにつれて 技術的には難しくなり 焼きによる変形が生じ 割れやすくなる。 ・ いつもは石膏を使って 極薄に挑戦する。 今回は[たたら]で成型した。 ・ 厚過ぎて 個性の無いカップに なってしまい残念。 |
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Mug Cup |
これじゃ、まるで 轆轤で造ったのと同じ。 釉薬掛けも死んでる。 ・ 今回はこの他に 大皿、蓮華なども 制作したのだが 気に入らず いづれも失敗作。 ・ 窯出し後が大変! 丸1日掛けて グラインダーで棚板を削り 融着した釉薬を剥した。 ・ いつになったら 本物を 焼くことが出来るやら。 |
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二番窯06・・・素焼3月20日・本焼火入れ5月7日・窯出し5月12日
セレベス海の 払暁の海の中で 刻々と暮れ行く 海の中で 闇と光が 絡み合い ラピスラズリの 海が流れる。 ・ 三度目にして ついに 五十センチもの大皿が 焼きあがった。 |
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珊瑚海の夜と昼 |
炎の中から 暗黒星雲が 首を擡げた。 煌く銀河に去来しつつ やがて 馬頭星雲になった。 ・ ワインより妖しい 禁断の酒を入れねば ピッチャー としては 満足しないだろう。 |
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馬頭星雲 |
俺をよくも殺したな! 叫びが聞こえる。 ・ もっと自由に 羽ばたかせて やりたかったのに 安物の急須の形に 捉われてしまった。 ・ せめて衣装だけは 妥協を許さぬ 暗黒星雲を 着せてやろう。 |
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絶たれた自由 |
画竜点睛が 救いがたき ステレオタイプの容姿を 辛うじて救った。 ・ 注ぎ口に迫る黒竜は 雌鹿のような 優しい表情。 ・ このピッチャーは 禁断の酒でなく 甘口の日本酒が 相応しい。 |
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黒竜の壷 |
アケメネス朝を貫き メソポタミアを走り ペルシャ湾に注ぐ時空の流れが 確かに 土の中にはあったのに 形にしてみたら 死んでしまった。 ・ 余りにも平凡な容姿なので 素焼きもせずに 放っておいた。 ・ 素焼き作品を 本焼きしようと陶房に行ったら 《私を捨てないで!》 ・ 仕方なく一緒に直接焼いたら メソポタミアの 褐色大地の色が 僅かに香った。 |
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ペルシャへの想い |
《クサントス 海を飲み干せ》 ギリシャ悲劇の セリフだったろうか? ・ 不意に甦った そのセリフに引きずられて 二十二センチもある 大きな蓮華を作った。 ・ こいつでスープを飲んだら 海を 飲み干せるだろうか? |
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蓮華に漂う海 |
大地の晶が ハミングするように 風の流れに 身を任せるように 自由に土を空間に 放ってやった。 ・ とても嬉しそうに 小さなカップになって 微笑んだ。 命を吹き込んでくれて ありがとう! |
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風の流れ |
初窯06・・・素焼2月12日・本焼火入れ2月19日・窯出し3月4日
初窯にかける想いは 大地の晶への 敬虔な 祈りと共にある。 ・ 遥かなる過去の 生命再生の瞬間が 今、開かれる。 |
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愛染明王 別名・金剛菩薩・・・ダイヤモンドで造られた菩薩・愛染明王は 全身朱色で憤怒の相をなすと言う。 初窯を覗きこの衝撃的な彩に出逢った瞬間 愛染明王の朱が甦った。 |
心が騒ぐ。 窯蓋を開く手が 僅かに震える。 この最初の出逢いに 作品の調べが 聴こえる。 ・ 涅槃の森を抜けて 《劫の彼方》から たゆとう調べが 微かに 聴こえる。 |
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有余涅槃 総ての煩悩を断じて涅槃に入りながら 未だ肉体を残した状態。 鮮やかな生命の海に沈み堆積された晶の最後の肉体。 |
調べは一瞬。 調べの聴こえない 作品は その瞬間に死す。 調べを聴くためには 耳を 研ぎ澄まさねば。 ・ 涅槃の森に 惑う闇が 嘆きの調べを奏でる。 |
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闇の戸惑い 涅槃静寂に達しようとしつつも 闇は戸惑う。 |
森の彼方から 読経が流れ 晶の生命が 微かな調べを発する。 ・ 今まで 見たことの無い 彩が器に翻る。 彩は私の心を乱し 舞い狂う。 ・ 闇の嘆きと 読経と晶の調べ。 |
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重低音の響き 読経が数億年の時空に流れる。 重低音のうねりが 果てしも無く遠い過去の生命と現世の生命を揺らす。 |
舞い狂う朱の彩は 貪愛染着に 流離い 有余涅槃を 告げる。 ・ 初窯の作品は 敬虔な祈りに 昇華され 遥かなる過去・ 漆黒の海の晶を 結実し 阿僧祗劫へと 私を拉致する。 |
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鹿角への変容 揺すられた現世生命は神聖化された鹿に変容し 読経は鹿角に昇華され 新たなる時空へ旅立つ。 |