その68夏ー2011年文月 |
7月1週・・・・読書三昧ねるそん・デミル
1943年8月23日生 (既婚3人の子供あり67歳) Nelson DeMille Official Websiteより |
ねるそん・デミル Nelson Richard DeMille 移民の居住区として知られている ニューヨーク州のクィーンズ区のジャマイカ地区に生まれその後 ロングアイランドに転居し、高校時代はフットボールに 熱中する極く普通の高校生であった。 ・ ホフストラ大学で3年間学びその後、 陸軍の将校志願スクールに入り23歳の1966年から3年間 陸軍中尉としてベトナムで実戦を体験。 ベトナムでは第一騎兵師団の歩兵連隊小隊長として、勇敢な兵士に贈られる Air Medal(空中攻撃記章)とBronze Star(真鍮十字勲章)を受けている。 ・ 「誓約」の中でこの勲章についてこう語る。 「これはベトナムの勲章です。ユエを敵から奪回したあとのうだるように暑い日の午後 廃墟と化した要塞で行われた表彰式でもらったものです。・・・ 1968年2月15日にアン・ニン・ハの村内および周辺で行われた際のわたしの勇敢な行為 ・・・わたしが勲章をもらった戦闘で起きたとされている殺人の容疑で 告発するのは陸軍としても筋が通らないんじゃないんですか」 こうして陸軍へのヴェトナム戦争への更には国家体制への強烈な告発へと「誓約」は 収束していくのでは・・・との予感を喚起する。(現在読書中) ・ 退役後様々な職業を点々とし このベトナムでの実戦体験をもとにネルソン31歳の1974年には 「The Sniper」と「The Hammer of God」を書き小説家として歩み始める。 (あれ!確か山荘の書架に「The Sniper」があったな。微かに読んだ記憶もあるぞ。作家違いか?) その11年後の1985年に出版した「Word of Honor」(誓約)が 日本では注目され「週刊文春」の年間ベストテンにランクイン。 その後も次々と話題作を発表し米国を代表する国民作家となった。 ・ NHK大河ドラマ『龍馬伝』に出演し、 主人公・坂本龍馬の父・八平を演じ、2か月前の5月16日に77歳で亡くなった児玉清が 書評番組『週刊ブックレビュー』で扱ったのがネルソン・デミル。 で、一度くらいは読んでみようとふと紐解いて、その知的な面白さに絶句! 梅雨のさなか児玉清の死を想いつつ読書三昧、一気に3冊を読破。 Nelson DeMille Official Website その他より |
bQ8 ワイルドファイア・上/下
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発行日:2008年5月15日 定価(各巻):1048円+税 読書期間:6月〜7月4日 評価:★★★★★ |
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ワイルドファイア
ネオコン?そんな言葉が在ったことすら知らない。
ネオナチはしゅっちゅう耳にするがネオコンとは何ぞや?ゼネコンの親戚か?逆立ちしても解らない。
Neoはギリシャ語のneosから転化した英語なので《新》を意味しているのだろうがコンがConservatismだなんて
どう考えても出て来る筈が無い単語。
「新保守主義」と訳されるらしいが、不本意ながら大体「新保守主義」なるものを知らないのだから話にならない。
・
ブッシュ政権の前国防長官ドナルド・ラムズフェルドや副大統領のリチャード・チェイニーの名は
ニュースでお馴染みであったので覚えているが、本書解説によるとどうも彼らがネオコンの代表株であるらしい。
古くは80年も遡る1930年代の反スターリン主義を唱えた知識人を指していたが現代米国では
軍事力でもって世界の民主化を叫ぶ強硬なタカ派を指すとか。
・
9・11後も続くテロの脅威を超過激に解決しようと米政府が目論んだ架空の計画が「ワイルドファイア」でMAD・相互確証破壊の暗号名。
本書のネオコングループ(カスターヒル・クラブ)が「ワイルドファイア」を発動させる為に仕組んだのが
米国都市そのものを核破壊する「プロジェクト・グリーン」。
国家安全保障問題担当大統領顧問や合衆国空軍大将、国防副長官、CIA幹部で構成するネオコンが
イスラム原理主義者のテロと見せかけ米国都市を核破壊し、その仕返しに米政府がイスラーム諸国を一気に核攻撃するよう仕掛けるのだ。
・
核兵器の起爆にこれ又全く知らなかった極極超長波・ELF(Extreme Low Frequency)なるものが登場する。
VLFより波長は長く3658kmと日本列島に匹敵する長さ。
可視光線の波長が1万分の5o程であるからこのELFは想像を絶する極極超長波なのである。
その電波は地球を突き抜け地球の如何なる場所であっても常に通信可能であり、地球そのものがアンテナになると云う。
一体このELFが何故必要なのか、もう興味津々面白くてびっくらこいてしまった。
・
現実の上に周到で緻密な虚構を、現実以上の迫真で描いて現実と虚構の境界を取り除いてしまう。
何処までが現実でどこからが虚構なのか悩む多くの読者の為にネルソンは
「ワイルドファイア」の中で敢えて解説をしている。
権力の頂点に立つ極く一部の者しか知らないMAD・相互確証破壊の具体的な計画がどうなっているのか解らない。
少なくてもその暗号名が「ワイルドファイア」でないことは確かなようだ。(引用でなく私の要約)
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発行日:1994年5月25日 定価(各巻):2700円 読書期間:6月〜7月1日 評価:★★★★☆ |
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7月2週
太陽に乗って夏休みがやって来た!
薔薇の終り 梅雨明け7月9日(土)晴 テラス夕刻 くんくん!匂うのだ。 流れる霧が太陽を隠したって 大気そのものにあのつーんと来る夏休みの香りが 溢れんばかりに潜んでいて もう飛び出したくて叫びを押し殺しているのだ。 ・ その気配を感じて薔薇がしょんぼり。 色褪せ心なしか項垂れとても哀しそう。 あんなにも鮮やかな花のアーチを描き長い間咲き誇り 朝夕の富士の雪に映えていたのに。 ・ そう云えばいつの間にか 富士の雪もすっかり少なくなって もう沢筋に白銀の糸を幾筋か流しているだけ。 さようなら!心をときめかせてくれた薔薇。 美しく艶やかであった薔薇。 |
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蘭と積乱雲の始まり 7月10日(日)晴 テラス昼 梅雨明け宣言が昨日出た途端 太陽は待ってましたとばかり遠慮なくギンギラぎんぎら。 午前中から35℃を超え 大気は熱風に変わり青空には積乱雲が我が物顔。 ・ そこに涼やかな顔してすっくと佇み咲き乱れる白い蘭。 ギンギラの太陽をいっぱい吸い込んで ふあっと空に舞い上がって 天空は白い蘭の花弁が犇いているよう。 ・ ずんずん高く昇り詰めて今度は透明な氷の粒や雨になって 恐ろしい雷鳴を轟かせながら落ちて来る。 すると大気温は20℃にも下がりしっかり冷えて爽快。 ひぐらしがカナカナと啼きだして 夜鷹が兜虫を追ってきちきちと飛び交い 山荘はすっかり夏休みバージョンさ。 |
トマト・葡萄畑 |
烏に食われる枇杷・前庭 |
夏の味覚収穫 7月9日(土)晴 庭と畑 格子模様の影が トマトに落ちているね。 これは葡萄棚の影なんだよ。 ・ 苗を植える時は未だ葡萄の葉が 繁っていなかったので 日影になってしまうとは思い 至らなかったな。 ・ で、今夏のトマト収穫は諦めていたら ご覧のように美味しそうなのが 幾つも実をつけて嬉しいな。 スライスして冷やしトマトにしよう。 ・ ご覧よ枇杷も実に美味そうだろ! 石卓の周りに並べられた 丸太椅子の傍に実っているもんだから 鳥の為のフルーツ・レストランさ。 ・ 先ず一番美味しそうなのを1つ 嘴でもいで 石卓や丸太椅子の上に載せ 雄大な景色を眺めながら 悠然と枇杷を食べる。 種と皮だけがテーブルや椅子に散乱。 と云う訳さ。 |
雪と氷に閉ざされた ヒマラヤの高所キャンプを撤収し 麓の村に降りてくると 村の少年や少女達がポッケに 入りきらぬ程の杏子を詰めて 大歓迎してくれる。 ・ 1か月も新鮮な果物を食べていないので この杏子と出逢う瞬間が なんとも贅沢で豊か。 山荘にも杏子をと10年も前に 植樹したが甘く熟す前に落下して 収穫に結び付かなかった。 ・ どうも近くに他の杏子の木・異株が無いと 受粉が巧くいかないらしい。 そこで異株を植えて3年目 やっと収穫出来るようになったのだ。 ・ 葡萄棚を利用しての天空西瓜も 何度も失敗を重ねながら どうにか収穫に漕ぎ付けそうだし。 そうそう昨年食べたベスト南瓜の種も 沢山発芽して 順調にぐんぐん成長。 ・ 太陽と云うのは実に大したもんだ! |
ヒマラヤ郷愁杏子・奥庭 |
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天空西瓜に挑戦・葡萄畑 |
昨年のベスト南瓜・葡萄畑 |
蛇の目蝶♀・東森 |
蛇の目蝶♀裏・東森 |
やっと捉えた青肌 7月11日(月)晴 東森 目白の朝トレーニングのメインは 10階建てビルの非常階段を 10往復であるが ここ暫くアキレス腱の調子がいいので 外の急坂を走ってみた。 ・ 神田川と目白台を結ぶ幾つもの急坂は 昔からの朝トレコースだが アキレス腱の手術後は走れなくなり 最近はもっぱら階段登高だったのだ。 ・ 2日目にして左脹脛が肉離れを起こし トレーニングそのものが 出来なくなってしまった。 未だ走るのは無理なのだろう。 そこで山荘の朝トレもカメラを抱えて 山麓の森を逍遥。 ・ 湿原のある北峠の麓で 川蜻蛉を狙った。 数回撮影に訪れてシャッターを切ったが ここの青肌蜻蛉は 青が薄く透明に近いのでピントが 中々合わないのだ。 ・ 前回も総てピンボケで背景の樹木だけが 鮮明と云う情けない画像。 よーし今回は朝トレ抜きで じっくり撮るぞ。 |
と勇んで出かけたが その前に蛇の目蝶が立ちはだかり 寄って来て馴れ馴れしく ズボンや靴に留まる。 ・ 蛇の目は翅を閉じて留まるので 翅の裏側しか見えない。 翅を広げて表を見せる瞬間を待つ。 靴紐の上に留まっている 蛇の目が僅かに翅を開いた その瞬間にパチリ。 ・ 靴のメッシュと靴紐がバッチリ 映っているではないか! 蛇の目蝶は人間の汗に含まれる ミネラルが好きなので きっと靴に浸み込んだ汗の臭いに 魅かれて留まったのだろう。 ・ 何故かその後、 人影に敏感で直ぐ逃げてしまう 青肌蜻蛉もやって来て ピントもばっちしの画像が撮れた。 雌の翅先の白い紋も 透明から青に変わりつつある彩も しっかり撮れている。 ・ 秋を届けてくれる 深山茜も早いお出ましなので カメラを向ける。 複眼が呆けているので 蜻蛉のご機嫌は読み取れないが 早すぎた登場に戸惑っているような! |
深山茜♂・東森 |
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青肌トンボ♀・東森 |
接近!青肌トンボ♀・東森 |
向日葵・東森 |
南瓜花・葡萄畑 |
合歓木・東森 |
夏休みを告げる花々 7月10日(日)晴 庭と畑 向日葵こそ夏の象徴。 今年こそは山荘に向日葵の種を 沢山蒔いて山荘を 向日葵でいっぱいにしよう! ・ そう思ってあちこちに蒔いた ロシアン向日葵の種が芽を出して 小さな弱々しい葉を着けた。 倒れないように支持棒を立てて 即効性のある化成肥料を施し さあ、いつ咲くかな? ・ 南瓜の花が笑った。 「夏になってから種を蒔いても 遅いのよ。 ほら私たちの種を蒔いたの いつだったか覚えてる? 4月10日でしょ。 向日葵だってその頃蒔けば 東森の向日葵のように 大きく咲くのよ」 ・ 淡紅色のおしべが長く美しい 合歓の木までつんつんと笑って 「どうも困ったもんね。 それじゃいつになっても とても仙人なんかには成れないわね」 |
紫陽花・前庭 |
紫陽花までもが嘆くのです。 「山荘が出来て以来 玄関の横で美しく咲き誇って きたのに今年は ご覧のようにすっかり元気無くて・・・ どうして直ぐに気づいてくれないの」 ・ そうだ。隣の竹が紫陽花の下まで 侵略して紫陽花の存在を 脅かしているんだ。 気が着いたのが遅すぎて御免! あー仙人への途は 未だ未だ遠いね。 ・ 生のままサラダにしてもいいし さっと軽く茹でて 山椒の葉を叩いて加え檸檬と醤油で 食べても美味しいし 天婦羅にしても最高だし。 なーんて思っているうちに 春菊畑はすっかり満開。 こうなると堅くなって食べられない。 仕方ないから部屋に飾って 花でも愉しもうか。 ・ 百合も夏休みを告げる花。 山荘のマルコポーロが咲きだし 森のノカンゾウがオレンジの花弁を あちこちで開き、 妖艶な山百合が夏を謳う。 やがて8月になると清楚な白い 高砂百合が山荘にそよぎ 夏の終わりを告げる。 |
春菊・西畑 |
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紅マルコポーロ・奥庭 |
金マルコポーロ・奥庭 |
野萱草・東森 |
森のルビー 薔薇苺・東森 忘れていました。 実は前庭のグミも桑の実も美味しい実を着けて 初夏の風味をもたらしてくれたのですが ついうっかり画像を撮り忘れHPに載せられませんでした。 ・ 代わりに山荘のあちこちで可憐な紅い実を着けた 薔薇苺を載せましょう。 ヨーグルトのトッピングにすると白銀の世界に映えて その美しきルビーに心を奪われます。 |
モロッコ・葡萄畑 |
茄子・西畑 |
無花果・奥庭 |
野菜キャラ 7月11日(月)晴 庭と畑 当然のことながら 野菜の性格は夫々大きく異なる。 極端にせっかちなのが胡瓜。 実の成熟が早いだけでなく わーっと実を着けて 直ぐ実りの時期を終えてしまう。 ・ 黄色い花が咲き 小さな鉛筆のような実を着けたかと 思うと翌日にはソーセージ大 更にその翌日には 子供の細腕程に成長し大味になり 食べられなくなってしまう。 ・ せっかちの胡瓜には悩まされる。 今週末も大籠いっぱいの とても食べ切れぬ胡瓜が一遍に収穫。 さて何処にデリバリーしようか? ・ モロッコも多産であるが 胡瓜のように短期間で終わらず 1か月以上も 実り続けるのでこれまた食べきれない。 ・ それらに較べると茄子は じつに優等生でゆっく、りじっくり実り 夏から秋まで実を絶やさず 生産者にとっては理想の野菜。 |
どっさり胡瓜・葡萄畑 |
優等生と云えばもう一人ピーマン。 こいつも夏から霜の降りる 11月まで食卓を飾ってくれるのだ。 で今年はこの茄子とピーマンを 西畑にも葡萄畑にもたくさん植えた。 ・ 苗を植えた1週間程は朝夕の散水を 絶やしてはいけないのだが 週末農業ではそうもいかず何度も 苗を枯らし植え替えを繰り返した。 優等生はひ弱で幼い頃の 木目細やかなケアが欠かせないとは 人間とそっくり。 ・ 毎年悩むのが夏大根。 冬大根は間引き菜から始まり 結構長く賞味出来るし 最後は干し大根、更には土中に埋めて 春先まで愉しめる。 ・ 夏大根は葉は堅くて食べられないし 暑さに弱く直ぐ腐ってしまう。 が、冬大根より辛くて味は 最高なので何とか保存出来ないか? これが例年の悩みであった。 ・ 目白自宅でテラスに干して 食べてみたら予想外のめちゃうま。 これだ!とばかり 山荘で大量の大根を干してみた。 さて保存食となるか? |
夏大根生干し・西畑 |
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ピーマン・西畑 |
洋梨・奥庭 |
林檎・奥庭 |
野菜デリバリー 重い野菜をた〜くさん運んできていただき、ありがとうございました。 汗だくになりがら、なんとか家まではこび さっそく、採りたて野菜を、モリモリ食べてます。 干し大根の画像を見て、その量の多さにびっくり、 まあ、なんと大変な仕事だったのでしょうと しっかり味わいながら食べてます。 色々調理法試しています。 薄切りにして、酢醤油に漬け、冷やしておくと美味しいです。 その他なんでも、活躍。 モロッコはその日のうちに、売り切れました。 キュウリも毎日たくさん食べてます。 |
小松菜は硬かったけど、しっかり茹で お浸し以外にも、こまかく刻んでチャーハンに入れたり 煮ものにしたり食べ切ってしまいました。 おばあちゃんが、このところ野菜が高いからと喜んでます。 久しぶりに、レタスの茎サラダ(これはおばあちゃん大好物)楽しみました。 冷蔵庫が野菜でいっぱいなんて贅沢です。 暑くて早くも夏バテ気味ですが、野菜力で乗り切ります。 収穫の歓びを体験しに、早く畑に行きたいですね。 ずいぶん体力が落ちてること痛感してますので 山荘労働者に合格できるか心配ですが |
ようこそ!国蝶・オオムラサキさん! 7月16日(土)晴 居間観葉樹 大紫♂ 【大紫蝶】 great purple emperor [学名:Sasakia charonda] 大きな両翅を高く掲げ翅を体の真下まで一気に引き下ろし、力強く羽ばたく。 高速度で機敏な羽ばたきとダイナミックな滑空を組み合わせた飛翔は優美そのもの。 獲物を狙って急加速する鷹のように羽ばたくので 《ばさばさ》と云う翅音さえ聴こえるというではないか! ・ 豪快なのは飛び方だけではない。 クヌギの樹液に集まる雀蜂や時には大きな兜虫さえ威喝し追い払い餌の樹液を独占するとか。 《ひらひら》と飛ぶあのひ弱な蝶の概念から遙かに掛け離れた勇ましき蝶の皇帝。 ・ そのgreat purple emperor がついに山荘にやって来たのだ! 居間の観葉植物で翅を休める容姿を目にした時、その在り得ぬ邂逅に我が目を疑った。 山荘の森で逢うなら未だしも室内の山荘居間で巡り会うなんて! きっと幻を観ているに違いない! 夢なら覚めるな! |
奇跡の邂逅と別れ 7月17日(日)晴 居間 大紫♂ 月面クレーターをイメージして焼いた大皿に剣山を入れて庭の紫陽花を生けておいた。 水の臭いを嗅ぎつけ観葉植物から卓上の紫陽花の大皿に僅か羽ばたき1回で達し、悠然と水分補給。 紫陽花と較べてみると確かに大きい。 翅を広げると雌は12p、雄は10pに達し立翅蝶科では世界最大の蝶。 全く畏れる気配も見せず、まるで我が家に戻って来たかのように休息を愉しんでいる。 ・ 午後になると森の天空高く翔け昇り自らの縄張りを誇示するための飛翔を行うという。 テラスの網戸を開いてやると、先ず閉じた網戸に飛び移り外の世界を探索しつつ徐々に移動。 やがて開口部に到り大きくジャンプし、一瞬の戸惑いも見せず天空の高みへ羽ばたいた。 そのダイナミックな羽ばたきに観惚れながら永遠の別れに胸が痛んだ。 こんな邂逅が再び巡りくることは決してないのだ。 |
テラスで一緒に |
どうして山荘へ? 7月16日(土)晴 居間 |
高芝山から来たの? |
餌となる樹液を出す 多く残っていたり 食葉となる榎や蝦夷榎の生育する 豊かな里山が無いと 大紫は生きてはいけない。 ・ 山荘では毎年、森から伐って来た 椎茸栽培を行っている程なので 餌となる樹液は充分にある。 ・ 前庭には大紫の食葉となる 春楡も植えてある。 が、山荘を開いてから18年間 この美麗な蝶の皇帝に 出逢った記憶はほとんど無い。 ・ 4齢幼虫で越冬した大紫は 6月下旬に6齢幼虫(終齢幼虫)となり 羽化が始まりやっと蝶になる。 せわしく交尾し産卵を終えたかと思うと 8月には死んでしまう。 ・ 交尾前の美麗な大紫に逢えるのは 7月の短い期間しかない。 出逢いの記憶が無い筈である。 |
鮮やかな紅 |
如何に大紫が飛翔に巧みであっても 真夏のギンギラの太陽の下で長く 飛び続けることは出来ない。 開いた翅は太陽光パネルとなり 全身がオーバーヒートし死んでしまう。 ・ 翅を閉じ日影で翅を休め 次なる豪快な飛翔に備えねばならない。 山荘室内の日影と網戸から 流れる心地よい冷気は 大紫にとっては垂涎の休息条件。 ・ 一瞬のドアの開閉チャンスを狙って 一気に山荘へ 飛び込んで来たのであろう。 ・ が、どうもそれだけでは無いような 気配を漂わせている。 超ど近眼の複眼をぎょろぎょろさせては 辺りを窺い何かを探しているような。 何だろう? ・ 日影と心地よい冷気以外に敢えて 山荘を選んだ理由が 果してあるのだろうか? |
準絶滅危惧種 |
表翅にも紅 |
立翅蝶科の中では最大級 |
屋根裏部屋の世界の蝶達 |
最初に日本で発見され、日本昆虫学の創始者ともいうべき 「佐々木忠次郎博士」の名に因み、学名をSasakia charondaと 名づけられた大紫蝶。 ・ 現在、準絶滅危惧種として保護の対象となっている。 自然の森では中々目にすることが出来ないので大紫蝶を保護し 育成する為の大紫蝶センターが何か所か設けられている。 ・ その1つが山梨県北杜市長坂町に在る。 長坂町は大紫蝶の日本一の生息地として知られ 1995年に大紫センターを設立。 長坂町から山荘まで直線距離にして40km程なので 大紫の飛翔力からすれば気軽な旅。 ・ 旅の途上、森の上空からふと見降ろし 緑色の屋根に大きな透明ガラスのドアの付いた山荘を発見。 透明ガラスを通して見える屋根裏部屋には沢山の光輝く世界の蝶たち。 ・ そうか、それで仲間に逢おうと屋根裏部屋への入り口を求めて 超ど近眼の複眼をぎょろぎょろさせては 山荘の窓かドアが開く瞬間を待っていたんだな。 それならせめて2階まで案内して屋根裏部屋のガラスドアから 天空へ帰してやればよかったかな! |
山荘下廃屋のノウゼン蔓 |
あれ!折れちゃった! |
たったの2輪かよ!(山荘のノウゼン蔓) |
溢れる太陽をノウゼン蔓に 7月17日(日)晴 前庭 スイスでは通りに面した家は窓やテラスを花で飾らないといけないと条例で定められている。 ヨーロッパ・アルプスの山々を求めてスイスの町をあちこち散策し、夢のように美しい幾多の花の街に出逢ったが 花を愛する豊かな心が条例によって強いられているのは残念! ・ 甲州の地に山荘を建てようと街のそこかしこを巡り歩いてみて花の多さに気付き嬉しくなった。 若しかするとスイスのように条例でも在るのかと調べてみたが無かった。 どうもこの地の人々は芯から花を愛でる心を持っているらしい。 花の少なくなる夏の甲州路、街路花壇を黄色で満たしていた未央柳(ヒペリカム)が終わると街のあちこちで華やかなノウゼン蔓が咲きだす。 強烈な真夏の太陽を燦々と浴び無数に咲き誇る橙色の花弁は夏の讃歌そのもの。 ・ 山荘にも是非欲しいと造園業者に頼んで5年前に植えてもらった。 山荘の花の色は何処で見かける物より美しいのだが年々花の数が少なくなり、最近では数輪しか咲かなくなってしまった。 どうも原因は太陽に在るらしい。 太陽がよく当たるようにと前庭の春楡の木を選び、ノウゼン蔓を這わせたが昼さがりには欅の影になってしまう。 朝から昼さがりまでたっぷり太陽を浴びているので充分かと思っていたが、 欅と春楡の大きな枝が作る午後の僅かな影が、花の数を抑えているようである。 ・ そこで大作戦発動。森の高みに梯子を架けて春楡の大きな枝を伐ることにした。 欅の大枝も伐れば完璧なのだが既に直径30cm以上に成長しており、簡単に伐り倒すことは出来ない。 まっ、これで来年まで様子を観て、それでも花の数が増えないなら欅大作戦を実施しよう。 さあ、春楡を伐り落としたぞ!来年こそ高らかに夏の讃歌を聴かせておくれ! |
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そこで大作戦発動 |
何処にも花も蕾も無し |
春楡の枝は切るしかない |
朝の贈り物どっさり! 7月18日(月)晴 前庭 「金なんかいらねーずら 持っていき。箱は後で返しておくれ」 そう云って採っている最中の大きな桃が ぎっしり詰まった箱をくれた。 ・ 朝トレで山荘周辺を走り廻っているので どの畑のおっちゃんとも顔見知りなのだが 今朝の朝トレルートは滅多に通らぬ扇山の山麓。 早朝出荷で桃の収穫をしている おっちゃんも見知らぬ顔。 ・ それなのに地元スーパーでも2個350円もする桃を 恰も親しき知人に与えるかのように 1箱もポイとくれるなんて信じられない。 大好きな桃も嬉しいが 何よりも見知らぬ人への無償の好意が嬉しくて 重い桃を山荘までえっちらこっちら ハミングしながら運んだ。 ・ 空き箱を返しにいって桃畑で話をしていたら 「あー、あの道の一番奥の別荘の人かい! あすこには陶芸窯あるけー」と問う。 「えーよくご存じですね」 「昔、行ったことあるずら。 京都の業者が陶芸窯を載せて運んで来た時 道が狭くて車が通れず おらの軽トラで運んでやったんだ」 「えっ!そんなことあったんですか? ありがとうございました」 |
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朝トレ異聞 7月17日(日)晴 T2山麓 自らの利は差し置いて 見知らぬ人にまで暖かい手を差し伸べる。 この里では時々そんな里人の好意に 出くわし幸せな気分になる。 利害関係だけが全面に押し出される 現代の都会の人間相関図。 都会では疾うに失われてしまった心が眩しい。 ・ だが抱えた苦悩を抑えきれぬ里人もいる。 昨朝のトレーニングでは 不幸を全身にぎっしり詰めたおばんに遭った。 ・ 舗装された道を登っていたら 農家から人影が見えたので元気よく 「お早うございます!」と声を掛けた。 返ってきた返事は 「ここはうちの私道だけん通らんでくれ!」 ・ 「おはようございます!」との 返事が返ってくるとばかり信じていたので 一瞬、唖然としてしまった。 あーこの人は今どんな不幸を 心に秘めているのだろうと瞬時に思い とても哀しくなった。 |
大茶色花むぐり |
塩辛蜻蛉♂ |
鋸髪切虫♂ |
山荘に集合する虫達 7月18日(月)晴 山荘池 実はあまり大きくないので 美味しくないのではと収穫を 延していたが食べてみて驚いた。 上品な甘さとえも言われぬ高貴な香り。 ・ こりゃ烏や もったいないと慌てて収穫。 枇杷の種は大きいので実が小さいと 種ばかりで食べる部分が殆ど無い。 ・ 確かに実はそう大きくはないのだが 山荘の枇杷は種がとても小さく 果肉が豊富で市販の物とは 較べものにならぬ美味しさ。 ・ 自ら作った果樹や作物には とかく《美味しい筈》との 思いこみが入り易いので市販物と 一緒に食べ較べ判定したが 山荘枇杷の勝利。 ・ 早速貰って来たばかりの桃と 採りたて枇杷と昨秋作った干し柿に カマンベールを載せた摘みを 石卓に並べヨーグルトとワインで試食。 うーむ、正に究極のグルメ! ・ 全部採られて堪るかと 大茶色花むぐりが慌ててやって来て 枇杷を死守。 |
雌は未だか?塩辛蜻蛉♂ |
「こりゃ全部おらんのもんだぜ、 ぜってーやらんぞ!」 鋸髪切虫がおっちらこっちら 芝生の海を横切って桃の匂いに 引き寄せられるように歩いて来る。 ・ 「どっからその桃貰ったん? おいらにも蜜を吸わしてくんなまし」 「なんじゃお前、御釜花魁か? 翅が在るんだから飛べばいいのに、 それじゃ何時になっても 桃には辿りつかないぜ!」 ・ 塩辛蜻蛉は目玉をぎょろぎょろさせ 食欲よりも性欲とみえて 池の上の枯枝に止まり唯ひたすらに 雌の到来を待ちわびているような。 ・ 「どうでえー、このあずき色の複眼、 すらりとした白銀の胴体、 前方に突き出したセクシーな透明な翅。 ここまで翅を曲げて求愛出来る雄は そんじょそこらには居ないぜ」 ・ 巷では《なでしこジャパン》が 決勝で米国を下し、サッカー世界一となって 大騒ぎしていると云うのに あー山荘の生命は全く関知せず、 こうして夏風駘蕩の風だけが仙人のぐるりを 時を超えて静かにゆったりと 流れているのです。 |
7月4週・・・未知の氾濫・カオスへの絶望的な自己増殖
しかし真実は、アテナイの人々よ、神様だけが
知恵があるのです。
そして神様の答えは、人間の知恵などほとんど価値がないか
まるで無価値だということを
示そうと言う意図であったのです。
(ソクラテスの弁明より)
高芝山を望む唐黍(トンモコロシ)(葡萄畑) |
トンモコロシの知 7月24日(日)晴 高芝山遠望(葡萄畑) 考えてもみなかったのだ。 なぜ茎の途中にトンモコロシは実を着けるのか? 茎のてっぺんに開いている芒のような穂が 花でそこで受粉して 結実するのではないのか? つまり茎のてっぺんに実は成るはずだ。 ・ 全く知らなかったのだ。 茎の途中に生えてる髭が雌蕊で 茎のてっぺんの芒が 雄蕊だなんて考えてもみなかったのだ。 ・ 髭の雌蕊は10日間も花粉を 待ち続けるが茎のてっぺんの雄蕊の花粉は たった1日で生殖能力を失ってしまう。 だからこそ受粉チャンスを増やす為に 沢山の開花日の異なる雄蕊が 近くに無くてはならず密集栽培が要求されるんだ。 ・ それにしても雄蕊と雌蕊を離すことで 大きな実の集合体を茎に支えてもらうとは なんとも優れた知恵者だね。 そうそう、多くの野菜はその祖先である 野草が特定できるのに トンモコロシは判らないらしいよ。 となると・・・ |
天空西瓜の試練 7月24日(日)晴 小倉山遠望(葡萄畑) そうそうあの髭1本の根元に トンモコロシの実が1つ着くんだと知っていた? つまり上手く受粉すれば 髭の数だけ実が出来るのさ。 ・ で次はずんずん大きくなるこの西瓜。 とても重くなるので いつもは大地にドテーと身を横たえて その体重に耐えているのだが 天空に吊るしたらどうなるのか? ・ 落下から実を護るため蔓が太くなるのか それとも重くならなぬよう 実が大きくならないのか? 西瓜に知があるならばいずれかの兆しが 観えるかも知れないと 現在実験中。 |
小倉山を望む西瓜(葡萄畑) |
山荘の葡萄(葡萄畑) |
色付く李(奥庭) |
嬉しいな! 3年目にしてやっと沢山の実を着けた 白ワイン用葡萄・甲斐ブラン。 あれ!待てよ、 若しかするとカベルネ・フランか? ・ 確か山側に植えた3本が赤ワイン用の フランスのカベルネで 谷側の3本が甲斐ブランの筈だな。 砂礫土用のカベルネは 赤土に合わないのか育ちが悪くて 結実してないから やはりこれは甲斐ブランかな。 |
で甲斐ブランはと えー、収穫期は9月中旬で 1房が220g程、1粒が2gとやや小粒。 果粒は短楕円形で黄緑〜淡紅色。 ・ 糖度は19度程度で高く酸も高い。 渋味、香気はないが 酒質は比較的良好で甲州葡萄に優り、 フルーティーで香り立ちがよく、 酸のしっかりした白ワインになる。とか (植原葡萄研究所HPより) ・ よーし若し上手く収穫出来たら 9月には初めての 自家栽培ワインを仕込めるぞ! |
大きな無花果収穫(奥庭) |
李もどっさり収穫(奥庭) |
オクラの花(前庭) |
オクラの実(葡萄畑) |
ウンクラマとでも 発音するのだろうか? 英名okraの語源はガーナで話される トウィ語 (Twi) のnkramaであると云う。 ・ 奴隷貿易で栄えたガーナから アメリカ大陸へと輸出された 奴隷たちが 僅かな所持品にオクラの種を紛らせ 運んだのであろうか? ・ 粘り気のある実はスープ、ピクルス ピラフに使われケイジャン料理にも とろみを付ける食材として 欠かせない1品。 |
だが果して奴隷たちは オクラの味覚だけに惹かれて 敢えて少ない所持品に種を 紛らせたのだろうか? ・ 漆黒の闇の中で花開き 夜明けの太陽と共に 徐々に花弁を閉じ 昼には完全に萎んでしまうオクラ。 ・ 決して拭い去ることの出来ぬ 透明な深い哀しみを秘めた 美しいオクラの花弁に 奴隷たちは 如何なる想いを抱いたのであろう。 |
ゴーヤーの花(葡萄畑) |
ゴーヤーの実(葡萄畑) |
竹節虫,竜に出くわす(玄関) |
虫たちの夏休み 7月24日(日)晴 玄関 |
体を揺すって竜への威喝(玄関) |
擬態の名手ナナフシが チベットからやって来たドラゴンに 出くわし、さあ大変! 大きな口に今しも呑み込まれそう。 ・ 「よいしょ! 先ず中脚と後脚を竜の上唇に 掛けてと これで口より大きくなったから 喰われないかな。 ・ そんで一体この細長い体を 何に擬態したら 竜を騙くらかす事が出来るかな?」 ・ そりゃ無理だね。 いくら擬態の名手と云っても せいぜい君達が使える 敵を眩ます術は 10個ほどしかないだろう。 ・ それだけじゃ竜には敵わないのさ。 だが一応聴いてあげよう。 どんな術が使えるのか 云ってごらんよ。 |
やっぱ竜には敵わないのか!(玄関) |
「一番のお得意は木の葉隠れさ。 枝、葉っぱの在る処ならいつでも ドロンして消えてみせるぜ。 ・ 次はベイツ型擬態だ。 背中を丸めて嫌われ者の蠍に 化けたりとか そうそう死んだ真似だって出来るぜ。 ・ えーとそれから ほら今やってるように体を ゆらゆら揺すって 相手を脅したり風に揺れる 葉のふりをしてみたり。 ・ 翅を持ってる仲間は警戒色を 塗りたくった後翅で相手を威喝したり 脚とか翅を擦って シューシューと音を出して脅したりとか」 ・ そうそう臭くて白い防御液を発射したり 最後は自分の脚を切って 逃げたりとか出来るんだったね。 でもやっぱ、それだけじゃ 竜には敵わないのさ。 |
デスマッチの観客・背筋露虫♂(西畑) |
「何だかもったらもったら 実に動きの無い闘いで少しも 面白くないな。 悪いけど思わず欠伸が出ちまったぜ!」 と無責任に嘆く観客は背筋露虫。 ・ 背の筋が茶色と云うことは君は雄だね。 今夜も一晩中騒がしく 「ジュキージュキー」と弦楽器を弾き続けるのかい。 演奏会の練習をしないと 良い音が出ないから昨晩のように 雌に見向きもされないぞ! ・ 「えっ!どうして知ってるの?」 |
どうなったかな?(西畑) |
三つ子メロン(葡萄畑) |
仲良しキウイ(西畑) |
《ソクラテスより賢い者はいない》 とのデルフォイの神託、 つまり太陽神・アポロンの言葉が 総ての始まりであった。 ・ それに対しこのHP冒頭の言葉が アテナイの市民に 「ソクラテスの弁明」として 投げかけられた。 が、市民には受け入れられず ソクラテスは告発され 死刑に処せられる。 ・ その2200年後 観念の優位性に立つヘーゲルの弁証法を 物質の優位性に反転させた 唯物論的弁証法が考え出された。 ・ エンゲルスは『自然弁証法』において、 唯物論的弁証法の具体的な原則の 1つとして 「量から質への転化、 ないしその逆の転化」を上げた。 ・ メロンやキウイが稔り野菜が熟すと パブロフの条件反射の如く 決まって この「量から質への転化」が頭をよぎる。 確かに自然界では 量から質への転化が常に行われ 世界は劇的な展開を見せる。 |
小さな種子が 量としての水分、日光を質としての 葉や茎に変え 葉や茎は更に量として増大し やがて花に転化し 花は更に質への転化を行い結実する。 ・ でも、それで終わりではないか? あとはその繰り返しで 最早、質への転化は為されないでは。 いや、そうではない。 結実した実は他の生命体によって 喰われ肉体の一部となり 更に質への転化は継続していく。 ・ 自らが如何に無知であるか思い知る毎に ソクラテスの《無知の知》が甦る。 知の質への転化の否定である。 無知の自覚が真の《知》であるならば 認識の累積は永劫に知へ転化せず 知は神々だけのもの と云うことになってしまう。 ・ 時間と空間を無限に積み重ねて得られた 認識の彼方に 《知》が存在しないと悟ったからこそ ソクラテスは新たな神の創造に迫られ 従って処刑されたのだ。 ・ ソクラテスの告発罪状は 「国家の信じない神を導入し、 青少年を堕落に導いた」 と云うものであった。 |
白ムクゲ咲く(前庭) |
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やっと収穫出来た枝豆(葡萄畑) |
蕪の保存に成功(西畑) |
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ソクラテスが自然界を観て認識の「量から質への転化」に 気づかなかった筈は無い。 それを敢えて否定し、新たなる神を導入したのは深慮遠望の結果なのか唯単に安易だったのか? その解が「ソクラテスの弁明」から抜粋した冒頭の文章に込められている。 《そして神様の答えは、人間の知恵などほとんど価値がないかまるで無価値だ・・・》 |
《知の無知》 1つの知が常に未知の領域を爆発的に無限増殖させることは事実である。 知が究極の認識であるならば、知は途方も無い 未知の氾濫・カオスに向かって、絶望的な自己増殖を続けて行くしかないのだ。 |