その22秋ー2007年長月
長月1週・・・序章・大地への回帰
お出迎え! 果てしもなく続く 海の砂漠・南支那海を 双発機で飛び越え 絶海の孤島DVから 山荘に戻ると 高砂百合が迎えてくれた。 ・ この瞬間が堪らなくいい。 たった2週間の不在だが 山荘は生きている。 時々刻々変化する。 ・ 出発前は一輪も咲いて いなかった山荘産の百合が こんな風に勝手に増えて 小首を傾げ 『お帰りなさい!』 |
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高砂とは台湾のこと。 大正時代に台湾から 帰化した百合。 ・ 強靭な生命力を有し 根でも種ででも増殖し 荒れ野や路傍でも ぐんぐんのびる。 ・ 山荘を建てた15年前に 既に山荘で咲き始め 夏だけでなく 冬にも氷の花を着けて 楽しませてくれる。 ・ チベットの高峰から戻ると いつも雪の香りを 漂わせ迎えてくれた花。 |
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9月3日(月)晴 前庭にて |
蝉のアリア 《絶海の孤島DVは 如何でしたか?》 これをミンミン蝉がアリアで 朗々と謳い上げる。 ・ 勿論みーん、みーんとしか 聴こえないのだが 確かに山荘主への 出迎えの挨拶なのだ。 ・ しかし今朝はとびきり 素敵な背景を選んでの ご挨拶だね。 ・ 透明なドレスを透かして 雲海が見えるなんて 山荘音楽堂は 世界最高のホールだね。 ・ |
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石卓の激しい日射を遮る 木々の中でも特に この紅葉の木を ステージに選んで 君は謳うんだね。 ・ この木はヒマラヤに同行した 晶子もお気に入りの木で ピアノを弾きながら 紅葉の葉と一緒に 空蝉の舞を演じたんだ。 ・ その光はもうとっくに 太陽系を出て4.3光年の ケンタウルスさえ飛超え 漆黒宇宙を切り裂いて 未だ飛翔してるのだろうね。 ・ 緑と黒のスーツは 地球と漆黒宇宙を デザインしたのかい? シックだね。 |
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9月3日(月)晴 前庭石卓にて |
山法師の実 あれっ! いつの間にか熟してる。 ・ 紅葉の木の隣で 山法師が たわわに赤い実を着けてる。 お前も 待っていてくれたのかい? ・ 実を割ると 黄色い果肉がご挨拶。 口に含むと 野性的な仄かな甘みが 広がり小さな種が呟く。 ・ 『どう! ワインに合うでしょう。』 百合の純白と蝉のアリア 熟した果肉に乾杯! |
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山椒の実 春先の若芽時には 若葉を手のひらに乗せて パーンと叩いて 冷奴に添える。 ・ この香りを知ってしまったら 虜になってしまう。 しかし初夏を迎えると 葉は堅くなってしまい もう食べられない。 ・ 黄緑色の花を付け 結実すると実は再び強烈な 香りを発する。 ・ こいつをガリリと咬んで ラムのスペアリブを 味わうと最高! さて今夜はこれで 山荘無事帰還を祝おう。 |
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9月3日(月)晴 前・奥庭にて |
桔梗残香 陶房の中で開いたり 森と山荘の ボーダーラインで 気品ある青紫を散らしたり・・ でもそれは7月。 もう9月なのに 池の畔で 2輪だけぽつんと。 ・ こんな遅くまで 咲いてるなんてどうしたの? 南の海の話をそんなにも 聴きたかったのかい。 ・ 池の鯉も珊瑚海の魚の話を 聴きたがっているから ちょっとだけ 話してあげようかな。 |
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不如帰・杜鵑草 『ほととぎすだ!』 奥多摩の山を巡っていた頃 いつも目にしていた お馴染みの花なのに 山荘周辺ではここ15年間 全く観たことがなかった。 ・ 赤紫の斑点が鳥の不如帰に 似ているから 付けられた名前だとか。 ・ 毎日毎日珊瑚海の森を 彷徨っていると 無性に上条の森が 恋しくなる。 ・ 珊瑚海の極彩色の生命と 対照的に暗く深い森に ひっそりと息づく 寡黙な命がいとおしい。 |
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9月3日(月)晴 奥庭・上条森にて |
瑠璃星髪切虫 ルリボシカミキリムシ 上条峠の標識の下に 自然倒木が1本。 目をやると瑠璃色の髪切虫。 ・ おやっ! 最近目にしない珍しい種。 よく観ると 白い病原体に侵され 胴体は溶け 関節部は病原体が氾濫。 ・ そういえば8月画像の 油蝉、殿様飛蝗には 赤い病原体が 着いていた。 ・ 瑠璃星はやがて 白いミクロ宇宙に侵食され 消えてしまうのだろう。 |
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日本蜜蜂営巣 数年間、西洋蜜蜂を飼って 蜂蜜を沢山採った。 ・ 女王蜂を増やして 巣箱も4つまでになったが 熊ん蜂の襲来に遭って 全滅してしまった。 ・ 熊ん蜂は蜜蜂を 簡単に空中で捕らえ 肉団子にして食ってしまう。 ・ 西洋蜜蜂は無抵抗に 熊ん蜂の餌食になってしまうが 日本蜜蜂は侵入した熊ん蜂を 取り囲み温度を上げて 殺してしまう。 |
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その日本蜜蜂が 西畑の入り口に営巣した。 ワインセラーの 花崗岩の割れ目に春から 棲み付いたのだ。 ・ 蜜蜂の匂いをあれ程 敏感に捉え 攻撃を仕掛けた熊ん蜂が 全く姿を見せない。 日本蜜蜂を恐れているのだ。 日本蜜橋強し。 ・ この岩の奥には 春からの蜜がたっぷり 蓄えられている。 でも岩の間じゃ蜂蜜は 採れないな。 |
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9月3日(月)晴 上条峠・西畑にて |
海・薩摩芋葉 なよなよして しょぼくれて殆ど死に体。 何しろ5月の薩摩苗は 乾燥に弱いのだ。 ・ 毎週末には朝晩 せっせと水をやりどうにか 7月まで命を繋いだが どうだ! この素晴らしい生命力。 ・ 同じ苗とはとても思えない 成長ぶり。 蕪畑に覆い被さり 唐黍畑を占領し 今や畑の半分近くを占めて 西畑の顔。 ・ 後は猪に食べられぬよう 防猪ネットを点検しよう。 |
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夜鍋・とんもころし 溢れ出ずる豊かな 生命力が 光を受けて流れる。 美しいね! ・ この毛、何だか判る? そう、唐黍の毛。 何本有ると思う? で、これ何を意味するか 知ってるかい? ・ この毛の本数は 唐黍の実の数を表して いるんだよ。 この毛の根元に1つ 黄色い実が着くんだ。 ・ 2週間も海に行ってたから 一度に沢山実ってしまい 夜鍋して茹でて剥いて・・ 山荘1年分の 保存食作りに追われ過労。 農家仕事は大変! |
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9月3日(月)晴 西畑にて |
すくすく里芋 考えてみれば 当たり前、その通り。 しかし 気がつくまでに十余年。 ・ トレーニング合宿の合間に 農業プロの大田隊員に 種蒔を頼んだら 先ず深く溝を掘り たっぷり水を注ぎ込み 肥料を入れて 土とよくまぶしそれから 種を蒔いたのだ。 ・ 里芋も同じように 大きな穴を掘って肥料と 水を沢山流し込み植えた。 そうしたらこの通り。 今年は愉しみだな。 |
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烈日より強し・春菊 やったねー! ・ 真夏の太陽は余りにも 強すぎて葉物野菜は 育たない。 ・ でも懲りずに毎年 種を蒔き続けたが 春菊だけは のっけから冬物と決め付け 種蒔も諦めていた。 昨夏初めて夏栽培に成功 ・ 蕪、大根、小松菜等は 今夏も全滅。 しかし、どうだ! 春菊はこの通り。 朝のサラダに使ってごらん。 もう首っ丈。 |
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9月3日(月)晴 西畑にて |
蒟蒻の実? 上条の森からの帰りに 鮮やかなオレンジ。 当然『耳方天南星』の実と 思ってよく観ると 違う! ・ 葉や茎からすると どう観ても蒟蒻。 蒟蒻の花は 同じ里芋科なので 『耳方天南星』と似ている。 ・ だが、蒟蒻にこんな実が 成ったか? |
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でけえー! 直径30センチを超える 西瓜が小さく見える。 これが山荘の米茄子。 ・ 蔕が緑なのが米茄子の特徴。 ステーキにすると 病み付きになる。 ・ 2週間で沢山の野菜 果実が育ち花が咲き乱れ でもそれ以上に雑草が 畑、庭を侵略する。 1日中、雑草と闘っていたら 体中が凝ってバテバテ。 畑仕事は半端じゃないな。 ・ 花々や果物、野菜が 山荘主を待っているのは もしかすると 雑草退治への期待だけか! |
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9月3日(月)晴 西畑にて |
見えた! 深い霧に閉ざされていた巨大な鋼鉄の塊が 徐々に全貌を 明らかにしつつある。 ・ あの天空の高みに決して在ってはならない 鋼鉄の複雑な造形。 ・ 森の木々が如何なる突然変異を成し遂げても 鋼鉄の塊を天空に 押し上げることは出来ない。 ・ 勿論、水や風 大地の隆起にも成しえない 奇跡の造形。 |
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この造形物は ガイヤを網羅し 熱源を交流させつつ 自ら突然変異する。 ・ 更なる膨大な熱源を求めて 貪欲な造形物は 水力、火力から原子力へ 変異し やがてガイヤを食い殺す。 ・ 変異は知的生命の命運を 支配しているのだ。 |
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9月3日(月)晴 東森の透視・山荘 |
肺野型腺癌 銀河の果てに煌く 7×6×3mmの 巨大な肉芽腫の造形。 ・ 1mm幅で宇宙をスライスし レーザーをあてて CTスキャンした結果 漸く 視覚に捉えられた癌細胞。 ・ 右下葉の深い霧の中で じーっと息を潜め 傷ついた癌遺伝子と 癌抑制遺伝子は出番を 待っていたのだ。 ・ この肉芽腫は彗星のような 石灰化した核を 持っているとの診断。 ・ |
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こいつの正確な正体を つきとめるには 3つの方法が在る。 《病理組織学的検査》だ。 ・ 1つは呼吸障害をおして 肺に気管支鏡を入れ 鉗子で組織を採取。 ・ 2つ目は2cm程の孔を開け 針を刺して組織採取。 これは肺が傷つき 空気が漏れる気胸を生じる。 ・ 最後は手術で胸を開き 直接組織採取。 いずれも肺に大きな負担を 強いることになる。 ・ さて山荘主の命運は 如何に! |
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9月3日(月)晴 東森の透視・目白 |
大地への回帰 苔が安らぎを齎すのは 回帰の香りを 秘めているからだろうか。 ・ 数百年の星霜の重みに 耐え切れず 大地に伏した巨木。 ・ 倒木に新たな生命が宿り 巨大宇宙はゆっくりと 大地に還る。 ・ 無限の回帰を繰り返し 生命は 漆黒の闇の彼方へ。 |
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9月3日(月)晴 上条峠にて |
長月2週・・・咆哮・台風9号の嵐
台風9号去る 何しろ 無用心この上ない。 山荘のPCオーバーヒートを 警戒して 玄関横の窓から 2階の出窓、倉庫窓など 開けたまま先週は帰京。 ・ これで台風に直撃されたら 山荘は ひとたまりもない。 ・ 台風で不通となった 中央線が動くのを待ち 7日午後 真っ先に電車に飛び乗り 一路山荘へ。 |
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9月8日(土)晴 高芝山を望む |
白樺倒る 村への入り口が封鎖。 パルプ工場前の 急峻な崖が崩れ道路が 川となり氾濫。 ・ 大菩薩方面か 甲武信岳側に迂回して 下さいと暗闇の中で 作業員が叫ぶ。 ・ そんなこと言われたって この闇の中カーナビの 効かない狭い山道を どうやって進むのか? ・ やっと山荘に着いてみれば ロープで補強しておいた 白樺が2本倒壊。 |
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裂けた根 メリメリと音が聴こえる。 苔むした巨木が 根元から裂け倒れた。 ・ 森も至る所で 台風の惨禍を受け 倒れた木や枝、葉が散乱。 ・ 山梨は海から離れ 山々に囲まれているので 台風に直撃されるのは 稀である。 ・ それ故に襲われたら ひとたまりも無い。 |
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9月8日(土)晴 前庭・小倉山にて |
激流と化す疎水 山荘周辺では一夜で 記録的な400ミリ近い 雨が降り注いだ。 ・ 1m2に10ミリの雨が降ると 10kgの水量だから 400ミリでは400kg。 山荘敷地を1650m2 とすると660トンの水塊 (4トンダンプカー165台分)が 山荘を急襲した事になる。 ・ 1km2で水量は4万トン。 塩山地区の面積は 1万8474km2だから 7億3880万トンとなる。 ・ これだけの水を海から 運び上げるエネルギーを 想像するだけで 地球の途方も無い力に 圧倒される。 |
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消えた登山道 山荘周辺には 水田のための疎水が 至る所に引かれている。 ・ 小さな疎水は激流と化し 登山道は抉られ 谷となってしまった。 ・ 片栗の森から上条峠へと 連なる登山道も この通り完全に跡形も無く 消え去った。 ・ 7億トンの彫刻刀を使って 新たなる造形を 試みた台風9号も ガイヤのほんの小さな クシャミ。 |
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9月8日(土)晴 小倉山にて |
山荘道路寸断 山荘の東から朝トレで 走り出た途端 目の前に崩壊道路が 立ち塞がる。 ・ 15年目にして初めて 目にする光景。 巨大なコンクリートガードが 断ち割られ 土が抉り出され 土石流となって流出。 ・ 福生里と名付けられた 静かな平穏な村にとって 最大級の惨禍か? ・ |
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2階の書斎から見える森が いつもと異なる。 小倉山中腹の豊かな森が 褐色の大地を 剥き出しにしている。 ・ 豊かな森に 守られているはずの斜面が 崩壊するのだから 山を削り取って建てた山荘が 安全である筈が無い。 ・ 予感は正しかった。 山荘直下も 崩壊していたのだ。 この崩壊が山荘で生じても 何の不思議も無い。 ・ 次回一夜で660トン以上の 水の直撃を受けたら たぶん山荘も危ない。 |
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9月8日(土)晴 山荘下の農道にて |
大樹倒壊 死者2人、行方不明7人 重軽傷者60人を 出した台風9号は 風速25m以上の暴風域に 関東を巻き込み 北海道に達しオホーツクに 抜けた。 ・ 倒木を掻き分けて 小倉山に入ると 見慣れぬ大きな赤い実が。 枝と葉を見ると 『朴の木』だ。 ・ こんな実が成るなんて 知らなかったな。 大きな葉は『包む』のに 使われたので 「包の木」と命名されたとか。 |
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雑草は無傷 「包の木」は大きな木 いっぱいに強風を受け遂に 耐え切れず ドウと倒れ赤い実を 大地に晒した。 ・ ところがどうだ。 山荘周辺の夏を謳歌する 瑠璃の朝顔なんぞは 全くの無傷で 台風の来襲さえそ知らぬ顔。 ・ 一体、風速25mを超える風に どう耐えたのだろうか? ・ 風に逆らわず 風に従って葉をたたみ 風圧面積を最小にしただけよ。 |
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9月8日(土)晴 小倉山にて |
赤立翅蝶 この嵐の中で いったい何処に身を 隠していたんだい? アカタテハさん。 ・ 逢う度にいつも 思うんだけどどうして 翅の中央部だけ 四角形に 彩を落としたんだい? ・ それとさ寒気に耐えて 越冬する強さを 何処で手に入れたんだい? ・ 君はいつも不思議に 満ちているね。 |
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深山茜蜻蛉 嵐は去りましたね! ・ 先週は 雲間に現れた鉄塔に 自らの癌を見つめ 肉体に吹きすさぶ嵐に 耳を傾けましたが 今週は山荘に嵐が やってきましたね。 ・ だいぶ山荘の森も 傷つきましたが もう2,3回の 嵐に耐えられれば 本格的な 錦繍の秋が待ってますよ。 ・ 私・ミヤマアカネは それを告げるための 使者です。 |
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9月8日(土)晴 東森にて |
長月3週・・・ワイン仕込み
大木無残 山荘への道路は 開通したが 森は台風9号の爪痕を 残したまま。 ・ 未だ被害状況を 確かめていない北の森や 西の森が心配。 ・ ワイン仕込み前の 朝トレを 北森から扇山山頂を経て 西の森へのルートにとる。 ・ 西森の広々とした空間が 倒木に断ち切られ あちこちで無残な 姿態を晒している。 |
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9月15日(土)晴 西森にて |
葡萄の森収穫 ピオーネ 山荘の周りでは たわわに実った葡萄が 海のように波を打つ。 ・ 朝トレで葡萄の森に 入ったら収穫の真最中。 『ワー美味しそう 写真撮らせてください』 ・ 『ほんとは白い粉を噴いて もっと美味しそうに 仕上がるんだけど 台風で粉が落ちて しまったんよ。』 ・ 『食べるかね 持っていきんさい』 ・ |
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醸造用葡萄実る ベリーA 生食葡萄より糖度の高い 醸造用葡萄は 容易には手に入らない。 ・ 市販されていない上に 生産者はワイン工場と 専属契約を結んでいるので 個別に依頼しても 分けてはもらえない。 ・ 更に追い討ちをかけるように 出荷時期が短期間で 直ぐに終わってしまう。 ・ 今年も3ヶ月前から 手を打っておいた。 昨日、急遽連絡が入り 即駆けつける。 |
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9月16日(日)晴 東森(上)、前庭(下15日)にて |
赤ワイン仕込み開始 テラスのテーブルで 朝食を摂ってからと 料理を並べ始めたら雨。 急いで室内に移り ワインを呑みながら5人の 俄か杜氏と腹ごしらえ。 ・ 雨模様だった空が 葡萄仕込み時間に合わせて カンカンに晴れ上がる。 ・ 日除け傘を前庭の 石卓に出して 木陰と傘の日陰の下に 葡萄と樽を運ぶ。 さあ!闘い開始だ。 ・ |
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助っ人・タケル 土曜日の到着は 9:30頃を想定しています。 (朝食もお願いします) ・ なを、今回は 愚息のタケルを連れて 泊まりで行こうと 思っております。 ・ 何ぶん まだ5才になったばかりで 戦力としては あてにできませんが 貴重な経験だと思い 連れてまいります。 よろしいでしょうか?? (杜氏のメールより) |
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9月15日(土)晴 前庭にて |
葡萄との語らい 停止してしまったのかと 錯覚してしまう静謐。 其れでも ゆっくりと確実に 流れて行く時を示す 森の影の動き。 ・ はち切れんばかりの紫の 無数の宇宙が 寡黙な杜氏によって 次々と樽に落とされる。 ・ 無数の宇宙に満たされた 樽に森の影が 忍び寄りやがて樽は 激しい爆発を繰り返し ワインになるんだね。 |
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杜氏初体験の オーチャン 杜氏初体験の おーちゃんが腰痛 膝痛を押して三河から 遠路遥々駆けつけた。 ・ 『少しでも傷んでる葡萄は こちらの篭に入れて もぎ終わった房は ここに捨てて・・・』 ・ 教えるは杜氏歴の長い ミヤジ。 倉庫裏の棚から樽を運び 仕込みの段取りから 樽詰まで無駄のない動き。 いつしか彼は 2児の父親。 |
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9月15日(土)晴 前庭にて |
タケル大活躍 ビア醸造 室内では ビアの2次仕込みで ミヤジの愛息子タケル君が 大活躍。 ・ 未だ5歳ではと 放っておいたら作業に 興味を示し やらせろと中々煩い。 ・ どうせ直ぐ飽きてしまうと 思いきや プライミング・シュガーを 計量する村上を 急き立ててせっせと Pシュガーを瓶に注ぎ入れる。 ・ ほんの少し砂糖を零したら 急いで拭取っている。 「そんなのほっといていいよ」 と言ったら 「駄目だよ。零したら 直ぐ拭かなくちゃ」 参った! |
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鋸クワガタだ! 教え子が子供を連れて 山荘に来る。 純子の娘は兜虫が大好きで 山荘の幼虫を沢山持って帰り 家で飼っていた。 ・ 常連の陽介の2人の 子供は兜虫の餌を持参して 山荘の木に塗って 兜を呼んでいた。 ・ さてタケルはどうするかな? クワガタを見つけ ナナフシを手にし 落ちていた柿や林檎に 興味を示す。 ここまでは普通の子供。 ・ 畑で唐黍の皮を剥き始め 暫くしたら『ギャー!』との タケルの叫び 見たら唐黍からヌーと 出てきた1匹の虫。 やっぱ虫が怖いのか! |
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9月15日(土)晴 居間(上)、東森(下16日)にて |
スペアリブ・パスタ 『ぼくも!』 とタケルがせがむので 乾杯のやり直し。 ・ 烏賊の刺身と明太子を 使ってのミヤジの パスタに舌鼓を打ち 3日前から漬け込んだ 村上のスペアリブを 堪能し山荘特産の ワイン、ビアで会話は弾む。 ・ 途中で目白から 冨美代さんが電話で宴に 参加し会話は2元中継 になって進行。 ・ ミヤジが特製パスタの 作り方を冨美代さんに伝授。 さてこれでパスタが 山荘定番メニューになるか? |
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フィーバー94点 天井裏部屋のガニメデが 気に入ったタケル。 そこで寝ると言ってたのに 気がついたら コロリとソファーで熟睡。 ・ そこで大人たちはカラオケ。 ピアノやギターで 山の歌を歌うことはあったが 山荘でのカラオケは初めて。 さてどうなることやら。 ・ トップバッターはミヤジ。84点。 オーチャンも負けずに84点。 村上77点、 やがてミヤジ、おーちゃんは 最高得点94点をマーク。 しかし オーナーの山荘主は 何度歌っても60点代。 修行が足りんな! |
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9月15日(土)晴 テラス(上)居間(下)にて |
タケルの挑戦 実に自己管理の出来た しっかりした子供で 大人が仕事してると1人で 物語を創り演じ 主人公となって活躍。 ・ そのタケルに登山をさせたら どんな弱音を吐くかと 愉しみにしていたら 何と弱音どころか 山頂を目にした瞬間に 走り出すではないか! ・ タケルの 小倉山初登山タイムは 1時間17分。 輝ける生命が眩しいな! |
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下山には参った。 ・ 村上と山荘主は 腰痛のおーちゃんや タケルを置いて先に下山し 朝食の準備をと 走り出した。 ・ 後ろを振り返ると タケルは一緒に走りだし 山荘主も追い越しトップで下山。 ・ 焦ったのは父親のミヤジ。 『止まれ、転ぶぞ!』 無謀大歓迎の山荘主も 流石に動揺。 ・ 恐るべし スーパー5歳児! |
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9月16日(日)晴 小倉山山頂にて |
9月16日(日)晴 前庭にて | ||
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登山後の歓び 山荘で採れた大きな西瓜 今、畑から 採ってきたばかりの 《とんもころし》、春菊のサラダ 焼きたての山荘パン 採り立ての葡萄 みんなで造ったワインとビア。 ・ 《とんもころし》に齧り付き 西瓜を頬張り パンを3枚も平らげ タケルはご満悦。 ・ 樹間から 小倉山山頂が覗く。 さっきまであの頂にタケルは 立っていたんだね。 ・ |
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おーちゃんは首を傾げ 『農薬を使わずに 虫にやられず どうしてこんなに美味しい 唐黍が出来るかね?』 と言いつつ 幾つもの唐黍に齧り付く。 ・ タケルが またまた乾杯をせがむ。 石卓の下にクラシックが 流れる。 乾杯しながら 『タケルこの音楽好き?』と 聞いてみた。 村上はこの時のことを こんな風にメールしてきた。 |
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泣きそう! そこまでは良かった。 その後のんびりと 後片付けして帰りに 温泉にでも行って・・・。 ・ ところが山荘主とタケルは 畑に降りて何やら・・・ どうも《とんもころし》の収穫を 始めたらしい。 ・ 篭いっぱいに収穫しては キッチンに運び 村上が茹でて石卓に運ぶ。 ・ 『これ1年分の唐黍の保存食 こうやって剥いてくれる』 さてこの作業の辛さを 体験済みのミヤジはムム・・・ でもこれで1年分の唐黍が 出来ました。 ・ いつ山荘に来ても 出来たての美味しい唐黍が 食べられるよ。 |
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9月16日(日)晴 前庭にて |
長月4週・・・生きてるワイン
卵から 今、生まれたよ 初めましてタマゴダケです。 ではありませんでした。 そう7月24日の日記で お目にかかっていました。 ・ でもこんな劇的な 誕生シーンは初めてでしょ! 卵の殻を破って ほんのついさっき顔を 覗かせたばかりです。 ・ |
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2階カリストの 部屋の前から北の森を 見つめていたら 2つの小さな変化に気づいた。 ・ 1つは台風9号の悪戯。 森の木々を薙ぎ倒した強風は 森に張っておいた ハンモックのロープを 引き千切ってしまった。 思い出深いハンモック。 残念だけど廃棄するしかない。 ・ もう1つは森のテーブルに 灯された小さな明り。 フットライトのように テーブルの下で仄かな赤を 灯している。 ・ きっとあれは卵茸だ。 |
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9月23日(日)晴 北の森にて |
池に映える 曼珠沙華 生死の海を渡って 到達する 終局・理想・悟りの世界。 ・ 彼岸とは何とも もの凄い世界である。 この彼岸の名をとって 彼岸花と 命名された花は 天上に咲くと言う。 ・ |
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彼岸の中日には 律儀に必ず 花開く彼岸花。 山荘では毎年4箇所で 真紅の花を咲かせる。 ・ 今年の一番咲きは 池の畔。 きっと山荘池は 天上なんだ。 ・ 山荘池で咲いたら きっと西森の山麓でも 咲き始めたに違いない。 よし、行ってみよう。 |
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9月23日(日)晴 山荘池(下:西森山麓)にて |
ワイン2次仕込み ワインレッドが 卵茸や曼珠沙華の朱を 呼ぶのかい? それとも 卵茸や曼珠沙華が ワインに忍び込むのかい? ・ 君たちは 時を同じくして朱の彩を 放つんだね。 ・ 森の大好きな卵茸 山荘の庭で花開くのを 愉しみに している曼珠沙華。 ・ 君たちにもワイン絞りを 見せてあげよう。 ・ |
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ほら見てごらん。 先週の土曜日に みんなで仕込んだ葡萄が こんな風になったよ。 ・ 半透明なぜりーのような 実がすっかり溶けて 赤黒い皮だけが浮いて とっても好い匂い。 ・ この皮をワインプレスの 円筒篭に入れて 上のハンドルを回して 絞るんだ。 ・ ほらほら 生まれたてのワインが 流れてきたよ。 |
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9月22日(土)晴 前庭にて |
ワインの産声 8千年の刻を超えて ワインが 搾り出される。 ・ 紀元前6千年 初めてワインを醸造した メソポタミアの シュメール人は 恍惚と歓喜を齎すワインに 神々の意図を慮った。 ・ 古代メソポタミア ギルガメッシュ叙事詩に 記されたワインが 今、方舟に変貌する山荘で 再び甦る。 ・ |
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デカンタにとって 最初の一滴を口に含む。 ・ 如何なる甘さとも異なる 究極の甘美さに クラッとする。 ・ 傲慢にもイエス・キリストは ワインを指して 《我が血である》と 言い放ったのだ。 ・ 伝説の王ギルガメッシュは 大洪水に備えて方舟を 造らせた大工達に ワインを振舞ったとされる。 ・ 方舟に乗れぬ大工にとって 究極の甘美は 死への誘いであった。 |
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9月22日(土)晴 前庭にて |
ワインは最も歴史の古い酒の一つとされ、紀元前6000年頃にメソポタミアのシュメール人により初めてワインが作られたといわれる。ワインの宗教的利用も古くから始まっている。ギルガメシュ叙事詩には、古代メソポタミアで伝説的な王・ギルガメシュが大洪水に備えて箱舟を造らせた際、船大工たちにワインを振舞ったというシーンがある。紀元前5000年頃にはビールも作るようになり、紀元前3000年頃に古代エジプトに双方が伝わったとされる。ビールの醸造の方が比較的簡単であったため、これら古代オリエント地域では、ビールを日常消費用、ワインを高級品として飲み分けていた。 |
その後フェニキア人により古代ギリシアへも伝わる。この頃は水割りにして飲まれていた。現代ギリシャ語でワインをο?νο?(「エノロジー(oenology、ワイン醸造学)」の語源)ではなく普通κρασ?(混合)と呼ぶのはこの水割りの習慣の名残である。ワインはそこから地中海沿岸に伝えられ、古代ローマへと伝わり、ローマ帝国の拡大と共にガリアなどの内陸部にも伝わっていった。ワイン製造の技術が格段の進歩を遂げたのはローマ時代においてとされ、この時代に現在の製法の基礎が確立した。 |
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中世ヨーロッパの時代にブドウ栽培とワイン醸造を主導したのは僧院であった。イエス・キリストがワインを指して自分の血と称したことから、ワインはキリスト教の聖餐式において重要な道具となった。ただしこの時代、ワインは儀礼として飲むものとされ、むやみに飲んで酩酊することは罪とされていた。ルネサンスの時代以降、娯楽としての飲酒が発展する。17世紀後半、醸造や保存の技術、また瓶の製造技術が向上し、ワインの生産と流通が飛躍的に拡大した。(wikipediaより) |
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褄白裏蛇の目 ツマジロウラジャノメが ワインと春菊の シーフードサラダに 惹かれてやって来た。 ・ 帆立貝と海老 春菊とオニオンに紛れ まるで素材のような顔して 《やあ!私も仲間にして》 ・ ワインを呑むかい? 君もギルガメッシュの 船大工に なりたいのかい? ・ |
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大名セセリ 大きな目をして 縄張り意識の盛んな ダイミョウセセリが 大名行列に平伏すような いつものポーズして ぎろりと睨む ・ 《あの、蛇の目さんここ あたしの 縄張りなんだけど》 ・ 《まあ!良いじゃないか 我々も方舟に乗って 未来へ飛ぼうぜ》 ・ あれ!お二人さんとも こんなに美味しいワインを 呑まないのかい? |
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9月23日(日)晴 前庭にて |
紫 式 部 正しくは小紫 未だちょっと 若すぎて彩が乗ってない 感じもするけど どうやら やっとワイン仕込みに 間に合ったかな! ・ ワイン仕込みは 年間の山荘行事の中でも 愉しみの1つで 私にも参加出来るんだ。 ・ えっ!どんな風にかって? 庭に流れる ワインの香りを吸い込んで こうして色付いて 秋の虫たちに秋到来を しらせるんだよ。 『もう直ぐ方舟がでるよ!』 |
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アメリカ牛蒡 茎の根元から徐々に アメリカゴボウも 熟し始めました。 ・ 山荘近辺の森の あちこちで見かける この帰化植物は 外国産だけあって外国地名が 出てくると耳を欹てます。 ・ 《何々メソポタミア フェニュキア、ギリシャ、ローマ だってワインもビアも ギルガメッシュも 飛び交ってるな どれあたしも山荘の お仲間入りしようか》 ・ 方舟に乗って又何処か 遠い国へ行くのかい? |
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9月23日(日)晴 前庭(下:東森)にて |
ヴィーナス バリ島 究極の甘美に しこたま酔い痴れて目覚め 階下に降りる。 ・ バリ島から方舟に乗って やって来たヴィーナスが 妖しく迎える。 ・ ここでストレッチをし いつもの腹筋を103回して 朝トレに飛び出す 準備を念入りに行う。 ・ 腹筋で起き上がる度に ヴィーナスの シルエットが切なく訴える。 ・ さては方舟の出航が 近いと察したな! |
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海 亀 面 パプアニューギニア 倉庫で眠っていた海亀が ヴィーナスの 妖しい気配を察知して 《おいらを出してくれよ!》 と喚く。 ・ そういえばすっかり 忘れていたPNGの仮面。 大きな海亀の甲羅を 刳り貫いて創った巨大仮面。 ・ さて何処に飾ろう。 ログの天井が良いって! さては方舟の舳先になって 新たなる時空への旅を 企むつもりだな。 |
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9月24日(火)曇 居間(下:ログ)にて |
巨木の倒壊 いつだって旅立ちを 急かせるのは 追い迫った危機である。 ・ 知的生命の幼児期は 互いの殺し合いを繰り返し その都度 殺戮者に追われ 迫り来る危機から 逃れるべく 新たなるテリトリーを 求めて旅立った。 強風から逃れる術を持たぬ 森の木々は 追い迫った危機を 誰よりも強く感じつつ 葉を落とし枝を折り そして・・・倒れたのだ。 |
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森 の 死 先々週の台風で倒れた 大樹の傍らに 大地に還りつつある 骸が横たわる。 ・ 余りにも静かな死に ふと気づく。 彼らの方舟は ギルガメッシュには 創らせることが出来ない。 ・ 彼らの方舟は 彼らを倒した風であり 彼らを食い尽くす 昆虫や鳥であったり 時には隕石であったりする。 ・ 花粉や種子を 彼らに託し 森は時空を超えるのだ。 |
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9月22日(土)晴 東森にて |