海亀の島へ


華麗な生命の神秘
メレンゲ海牛・Glossodoris Rubroannulta

《水平移動》で網目状に進化。

09年4月14日朝日新聞に載った記事のタイトルである。
どうもこの海牛の研究結果、進化は親から子へという縦方向への
進化だけではないらしいと判ったのだ。
つまり異なる生物間(横の方向)でも遺伝子が受け渡され、新たな生物が出来るという。
このような遺伝子の《水平移動》が近年次々と明らかになっていると伝えている。



ケリドヌラ・ヴァリアンス
燕貝の仲間


海牛の祖先は殻を持つ
巻貝だったが
成長の邪魔になる殻を
捨て3億年前の石炭紀には
登場していたのだ。

さて殻は身を守る
鎧なので
殻無しでは別の防衛策が
必要になる。

そこで外敵の食欲を失わせる
忌避物質を
体内に溜め込む。
強烈な体色で敵を脅したり
食べると不味いとの
警告色を発したり・・・

Chelidonura Varians




Sea Slug (Phyllodesmium Briareum)
千手蓑海牛
センジュミノウミウシ

更には
餌の海ヒドラ類の
毒針・刺胞を背中の突起に
溜めて武器にしたり
海藻に含まれる
「葉緑体」を自らの体内で
光合成して
栄養素にして生きる
海牛も確認。

その海牛の名は
ムカデミノウミウシでこの
千手蓑海牛の仲間。

この蓑を被った
蓑海牛亜目はムカデ
のみならず毒針・刺胞を
備えているのが多い。

この蓑の形態そのものが
水平移動された遺伝子
によって為されたのかも
知れないね。



サイケデリカ
インドネシアで新種の魚

同じ14日の紙面に《新種》発見のニュース。
パンダ海の北にあるアンボン島で
見つかったこの奇妙な珊瑚の擬態のような文様の魚。
ワシントン大でDNA鑑定したところ新種と判明。
サイケデリカと命名。

今時、深海でもない普通の珊瑚海で
新種が見つかるとは、うーん海は神秘に満ち満ちてるな。
きっとこいつも水平移動で珊瑚から遺伝子を
盗んで擬態を完成させたんだろうな。
Psychedelica



縞巾着河豚
シマキンチャクフグ

あのー、これさり気無く
述べてるけど
凄いことなんですよ。
そう、コペルニクスも吃驚
するくらい。

遺伝子が親から子だけでなく
お隣さんから
つまり水平方向からも
受け渡されるなんて正に
網目状の進化。

おいらなんかとっくに
縦にも横にも
網目文様を着けてるもんね。
笑っちゃ駄目だよ。
マジにこれだって意味が
あるんだ。
進化メッセージの1つ
なんだよ。
Valentinni's Sharp Nose Puffer


双点銀宝
ソウテンギンポと命名

勿論、海牛だけじゃないんだ。
病原性大腸菌O86
こいつの毒素遺伝子が実は
コレラ菌からの水平移動
であると
国立遺伝学研究所のチームが
87年に突き止めた。

更に04年には驚くべき
事実が明らかになったんだ。

サルモネラ菌、赤痢菌
結核菌など116種のゲノムを
解析したら
な、な、な何と平均14%もの
遺伝子が水平移動で
他種から取り込まれた
遺伝子と判明。

そんなに眼を剥いて
驚くなよ、ギンポ君!
君のお腹の2つの黒点だって
水平移動かも知れないぜ。

ほら、いつか敵に襲われた時
黒くて大きな眼をした
蟹が敵を追い払ったのを見て
黒点を刺青にしたとか・・・

Tow Spotted Blenny



Sail Fin Shrimp Goby
日輪伊達鯊
ニチリンダテハゼ

未だあるのかい?
その水平移動が確認された
例というのは。

次は沖縄科学技術研究基盤
整備機構とやたらと
長ったらしい研究所の
動物ゲノム科学者の話。

植物やバクテリアしか
合成出来ないセルロースを
動物であるホヤが
合成してたんだって。

バクテリアの
セルロース合成遺伝子が
海の動物ホヤの一種
カタユウレイボヤで働いて
いるのを見つけたんだ。

この背中の立派な扇見て!
これは那須の与一が
壇ノ浦で射抜いた扇だぜ。
水平移動して貰ったんだ。

おい、おいそれじゃ
防御にはならないぜ。
反対に射抜かれるぞ
出鱈目言うなよ。



山吹鯊
ヤマブキハゼ

別の生物の遺伝子を拝借。
なんてタイトルも
着いていたけどそれって
文化そのものだね。

巨大山脈や海、河によって
隔離され其々個別に
異なる言語を生みだし
進化した人種が
ある日他種の存在を知り
その言語を学び取り入れる。

縦方向に引き継がれた
言語に水平方向から
新たな言語や技術が入り
やがて踏襲される。

おー又々眼が飛び出して。
さては気がついたな。
そうなんだよ。
生命はそれそのものが
文化なんだ。

Spotted Shrimp Goby




Black Rayed Shrimp Goby
鰭長捩じりん坊
ヒレナガネジリンボウ

ネジリンボウ君!
衝撃は未だ続くぜ。

独自のDNAを持ち
自己増殖するミトコンドリア。
そう動植物の細胞内にある
あのミトコンだよ。

細胞質内に多数分散し
細胞のエネルギー生産を行い
呼吸に関する酵素を含む
ミトコンが実は
水平移動で入って来た
別の生物であったのだ。

この別の生物が
細胞に取り込まれたのは
余りにも古すぎて
何処にも痕跡を見いだせず
定説にしか過ぎないが
考えてみれば当然。

生命は互いに水平に
入り乱れ進化してきたのだ。



星殿司
ホシテンス

その激しい入り乱れの
頂点に現在は
人類が鎮座しているのさ。

なーんて解ったような顔して
星テンスさん。
お逢いするのは初めてですね。

これ最終DVでエキジット直前。
おまけにカメラの電池は
切れてしまい君が出現して
慌てたね。

急いでエコちゃんのカメラを
借りて撮りまくったけど
直ぐ穴に隠れてしまい残念!

その如何にも邪魔そうな
旗だけどそれも
水平移動で手に入れた遺伝子?
穴に潜るにも不都合だし
釣竿なのかい?

Peacock Razor Fish



Split-Banded Cardinal Fish
平天竺鯛
ヒラテンジクダイ


碧い目ん玉光らせて
夜行性なのに
昼間から泳ぎ回って
何を興奮してるんだい?

雄の親魚は口の中で
卵を育てるらしいけど
それって
何処から受け継いだ
遺伝子なんだ?

それに同じ天竺鯛科
ヤライイシモチとか
沢山の仲間がいるけど
同じような縦縞がついてるね。

ところが君だけは
背から2番目の縞(第一縦縞)
が何故か二又に
別れているんだね。
その遺伝子も気になるな。
きっと何か意味があるんだ。



旗立鯊
ハタタテハゼ

白と赤のグラデーションが
いつ見ても
実に美しいね。

いつも第一背鰭の棘を
神経質にピッ、ピッと
振っているね。
それって鶺鴒という鳥の
尾の振り方とそっくり。

空のセキレイと海の
旗立鯊の行動に共通点が
あるなんて
もしかして同じ遺伝子?

鶺鴒は脚を地に着けて
いる時に
旗立鯊は巣穴から出て
泳いでいる時
せわしく動かしているね。

いつでも素早く逃げられる
よう動き続けるんだ。

Fire Dart Fish


銀亀鯵の鯵玉
ギンガメアジ

フィリピンのベスト
DVスポットの1つに
バリカサグ島がある。

マクタンとドマゲッティ
いずれからも遠く
気軽に訪れる訳には
中々いかない。

バングラオ島からなら
僅か30分。
期待して1本目の
ブラックフォレストに潜る。

広角レンズをセットして
準備万全でDV。
だが期待してた魚の
大回遊には遭遇せず。
Big Eye Trevally



銀亀鯵トルネード
ギンガメアジ


何だこんなもんか!
で、2本目の
サンクチュアリでは
広角レンズを外してDV。

ところがここでは
最初から最後まで銀亀鯵
が大接近し
渦を巻きトンネルを成し
次々と大旋回。

広角レンズ無しでは
魚群が近すぎて
どうにも様にならない。
悔しいがレンズは
船の上。

レンズさえあれば
Yves Gladu
に負けない写真が
撮れたかも知れないのにと
獲らぬ狸の皮算用。

 Tornado Of Big Eye Trevally




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