山荘日記

その53春ー2010年卯月

 

4月1週・・・・御意見無用!只今遊びに熱中


4月4日(日)晴 笛吹川河川敷

熱気球テイクオフ

バイクで朝トレついでに

寝室のカーテンを開ける。やったー!快晴無風。
風の安定した早朝6時から9時の間だけ熱気球を河川敷で飛ばすらしい。
この天気ならきっと熱気球は飛ぶであろうとバイクで河川敷に向かう。
当日の朝5:50分の受付に間に合わせるべくバイク用防寒コートに身を固めひた走る。

頭上に本基、予備基と2基のバーナーがスタンバイを終わり浮上を待つばかり。
上空でバーナーが故障した時に備えて予備バーナーは不可欠なのだ。
上空は寒いのでバイク用防寒コートを着たままで乗船。
車4台に係留され更に浮上せぬよう数人掛かりで熱気球を押さえている。




4月4日(日)晴 笛吹川河川敷
ガスバーナー点火
気球内部に火を吹く炎と共に上昇

バーナーのレバーを引くと
バーナーに備えた熱交換コイルが液体プロパンを加熱し、一気に蒸気に変えて爆発的に燃焼する。
大きな爆発的ノイズがあるかと思ったが殆ど気にならない。
初期には燃焼によって爆発音が発せられるバーナーが多かったが技術的に押さえられ現在ではノイズ無しらしい。
エンベロープと呼ばれる球皮の内部に炎が走り急激に浮力が高まり
繋索ロープに緊張が走る。

エンベロープは直径22m、高さ30mもあるが炎が近付き破れぬかとひやひやする。



4月4日(日)晴 笛吹川河川敷
 緩やかに上昇
南アルプスと眼下に桜と桃の花


右端に北岳、農鳥岳が現れ、気球正面に悪沢岳、赤石岳、聖と南アルプスが続く。
眼下には満開の桜の帯が延びピンクの桃畑が広がる。
今春は珍しく桜と桃が同時に満開となり正に桃源郷そのもの。

あれ!モーターパラグライダーが飛んで来た!
暫くパラグライダーから遠ざかっているけど、こんな近くの地元で飛べるなら再開せねば。
「おーい!何処から飛んで来たんだ?おいらも飛びたいんだけど」
山荘に帰ってから早速ネットで調べてみたがどうも笛吹川での記録は出ていないな。

でと、モーターの値段は?

YAMATO (新発売):■重量23kg~24kg、■排気量2サイクル100cc、■推力125cm 58キロ、■価格55万円(税込)
■特徴
エンジンはヤマハKT100、丈夫で低音・ハイパワー。始動は誰でも簡単に扱えるセル式(バッテリーはニッカド・充電機付)。
ハーネスはアクティブバー付で体重のある方でもラクラク設計。アクセルレバーは左右どちらのオーダーも可。タンデムも出来ます。
うーん、こりゃ安いぞ。なんとか再開出来ないかな?




4月3日(土)晴 山荘池
 漏電で機能停止
漏電箇所不明でおおわらわ

ぴくりとも動かない。あれ自動シャッターが壊れてしまったのか?
電話のデジタルも太陽光発電のモニターも消えている。
こりゃ大変だ!冷蔵庫を開くと冷凍室の氷が融けているではないか!
山荘に着いて真っ先にやるのが電動シャッターを開くこと。それが出来ないどころか
冷蔵庫まで止ってしまうなんて一体何が起きたのか?

メイン電源を入れても切れてしまう。漏電だ!
10か所のスイッチを開閉しチェック。漏電個所が台所、トイレと判明。
ミキサー、トースター、フードプロセッサー、パン焼き器、電子レンジ等総てのコードを抜いて調べるが原因不明。
台所ドアの外に設置してある生ゴミ処理機のスイッチを調べようと外に出て初めて判明。
台所電源の池灯が、しっかり固定してあるにも関わらず水没しているではないか!
水上の電球とファンモーター部分が水没して漏電したのだ。

で、太腿まで水に浸かり寒さに震えながら引き上げ、転倒防止のワイヤーを固定して1時間後に修理完了。
ついでに前回の池掃除で死なせてしまった白黒の錦鯉を補充。
そう写真右上の白黒の錦鯉を買ってきて池人口(?)を3匹増やしたのだが果して生き延びることが出来るか?

どうやら池灯を転倒させた犯人はチビのようだ。
澄ました顔して山荘ゲートで山荘主を迎えてくれたのはいいがその前に
池で水浴し鯉を食べようと追いかけ池灯を倒したに違いない。

うーん、「やっちゃいかん」とどうして教え込んだらいいのか?




4月3日(土)晴 1階トイレ
改修工事に成功
シャワー・クリーンからビューティ・トワレへ

耕運機のハンドル連結棒が酷使に耐えかね先週折れてしまった。
数か月前に左が折れ造園業者に重い熔接機持参で来てもらって熔接したが
今度は右側が折れてしまった。
仕方なく販売元の萩原農機具店までハンドルを運んで熔接してもらってからトイレ工事にかかる。

写真中央に乗っているのが今まで使っていたシャワー・クリーン。
これはお尻を動かさずノズルを自由に操作出来るので中々の優れ物である。
で、敢えて山荘でもこの優れ物を使っていたが既に製造中止で壊れても修理しないとのこと。
壊れる前にシャワー・クリーンを代えねばと計画はしていたのだが
業者任せでなく自分で出来ないかと秘かに工事方法を調べていたのだ。

問題は水道パイプの取り付けと既製品便座の固定穴の位置が山荘のInaxと一致するかだ?
どうにか問題解決の目途がたったので部品購入。
問題の水道パイプは予想通り合わないので寸法を測り切断してクリアー。
後は実に簡単でビューティ・トワレの完成。
ノズルはステンレス製で使用毎に自動洗浄されシャワーもムーブ選択ができ
夜間の温水、暖房の停止も設定出来るし使い心地も実に快適。

なんだか今日は山荘到着早々池灯修理、耕運機熔接、便座取り付けと大忙しで休む暇無し。
山荘の自給自足遊びも結構疲れるな!




4月4日(日)曇 
悪戯っ子集まれ!

過疎里に珍しい子供たちの歓声!

今や田舎は何処もかしこも人影の絶えたゴースト・タウンなのだ。
子供たちの遊ぶ姿なんて極めて高価な貴重品。
山梨県の空き家率は20%で全国でも悪い方に入るらしい。
場所によっては3軒に1軒が空き家という悲惨な里もあって先週もTVで体験入居者を募集していた。
当地甲州市でも空き家バンクなるものがあって活動しているが人口減少は止らない。

ところがどうしたことか日没直前だと云うのに5人も子供が集まって泥に塗れて遊んでいるでは!
どうやら工事後に積まれた土山を見つけ4人は穴掘りに熱中している。
土山のてっぺんに穴を掘り麓に向けて溝を掘り進め、工事はいよいよ最終段階。
まんまるの顔した元気溌剌の女の子がペットボトルに水を入れて「いい、流すわよ」

と、近くの家からお母さんの怒鳴り声。「だめでしょ、泥遊びなんかしちゃ!」
彼らのユートピア工事は完成間近、山荘主の池灯工事やトイレ改修工事なんかより遙かに立派なのです。
そんなお母さんの声なんか勿論、聴こえる筈もありません。
そこに登場したのが、ちゃりんこに乗った横縞シャツの男の子。
「お母さんが泥遊びなんか駄目だって!」

女の子は全然無視してVサイン!
女の子に倣っておずおずと隣の男の子もVサイン!
チビとオバマはすっかり女の子に見とれています。彼等の想いを翻訳すると
《俺達と同じだぜ。きっと紐に繋がれるのが嫌いな女の子なんだな。弟子入りすっか》

☆ 女の子の名前は愛美(エミ)ちゃんと判明



№12今週のBigニュース 砂漠ではなく土漠を北へただ走る。
1977年、土と砂に塗れてよれよれになってやっと着いたのが
アフガニスタンの最北の町・クンドゥズであった。
薄汚れた宿のベッドは熱砂による大気で加熱され熱くて眠れない。
訪なう人も無い神秘に満ちた平和な町はその半年後からソ連侵攻が始まり
以後今日まで闘争戦乱の地となる。
戦乱の地に単身乗り込んだ常岡さんに関してクンドゥズの
タリバーン司令官はこう語った。
「クンドゥズ州チャラルダラ地区の別の司令官が日本人を拘束した」
タリバーンのテロ軍資金を日本政府から引き出すのが目的か?

栗田陽介君と一緒に山崎さんは筑波の宇宙センターで
1週間にわたる宇宙飛行士の面接を受けたのだろうか?
それとも陽介君の次の受験生だったのか?
直子さんが陽介君に重なって見える。
1回の打ち上げ費用が1千億円もかかるスペースシャトルは
今年で引退だとか。

☆ 4月5日:3月31日以降にアフガニスタンで誘拐されたとされる常岡浩介(40)のガイドが5日知人に語った。
         「クンドゥズ州で複数の男に銃を突きつけられて連れ去られた」
☆ 4月5日:日本人で2人目の女性飛行士・山崎直子さんが5日午前6時21分(米東部時間)に発射されたディスカバリーで
         国際宇宙ステーション(ISS)に向かった。通信アンテナ故障で接合は手動とか。7日に野口聡一さんとISSで合流。

☆ 4月6日:インド東部チャッティスガル州ダンテワダ地区で6日武装集団が警官隊を襲い少なくも75人を殺害。集団はインド
          共産党毛沢東主義派(毛派)。毛派は貧困に喘ぐ農村部で支持されている。同日イラク・バクダットでは爆弾テロで49人死亡。
       


ごぶさたしております。
フロリダ、ケネディー・スペース・センターでの打ち上げを見に行ってきました。
山崎さんご招待でしたので、打ち上げ台から約6km離れたVIP席で体験してきました。
言葉にいいあらわすことのできないような爆発的瞬間でした。
私の隣にJAXAの方が座られていましたが、何度も打ち上げを体験しているなか、今回のはすべてが順調であるうえ、
打ち上げ前には夜空にISSの出迎えのおまけ付きで、こんなのははじめてだ~と驚喜していました。
陽介さんがNHKのニュース(前日のパーティー)にちらっと出ていたそうですが、どなたかお気づきになりました?
(BBCより)


4月5日(月)午前6時21分 ケネディ宇宙センター
撮影:栗田陽介
 
スペースシャトル打ちあげ
陽介君からの便り

最初の予定では3月の昼間に打ち上げられるはずだったのだけど、
打ち上げが4月に延期になったせいで早朝の打ち上げとなりました。
 ちょうど日が昇る直前のことなので、打ち上げ場のあたりの地上にはまだ日はさしていないけれど、
上空を通過する宇宙ステーション(ISS)には太陽の光があたるという絶妙のタイミングとなり、
頭上斜め上を南から東に向かって ISS が飛んで行くのがとてもはっきりと明るく見えました。
 (しかも三日月の前をちょうど横切って行くというオマケつきで)

そして ISS が見えなくなってから数分後にシャトルが時間通りに打ち上げられ、
文字通り ISS の後を追うように消えていきました。
 打ち上げ自体の迫力もさることながら、ISS の通過とシャトルの打ち上げを一緒に見られたのは
本当に幸運でした。
 子供たちもスペースシャトルがどこに向かうことになっているのかは知識としては
もちろん知っていたわけだけど、たったいま自分たちの頭上の地球を回る軌道上を
通過していた“あの光点”に向かって飛んで行くんだ、というのがしっかりと実感できたようで、
さらに印象が増したようです。

 宇宙基地とそこに向かう宇宙船を見送るなんて、なんともドラマチックな体験でした。
 スペースシャトルの打ち上げも今年限り、こんな体験はなかなかできそうにありません。

(宇宙飛行士の家族や報道陣はもう少し近いところから見られるので
VIP席という言い方はしないと思いますが)一般の人よりは近いところで見られたとはいえ、
まだ6Km ぐらい離れているので、ちゃちなカメラではたいした写真は撮れません。
 そんなわけで撮影はプロにまかせて目視と体感に徹しようと思っていたのですが、
やはりカメラを持っていると撮りたくなっちゃいます。
 カメラのファインダものぞかず(自分の目でシャトルを追っているので)
三脚も使わずに撮ったので見苦しいですが、打ち上げ時の雰囲気が少しは伝わるでしょうか。
打ち上げの動画

しかしあの明るさと音はどんなカメラでも再現不可能だと思います。
 あれほど離れているのにバリバリという低音は全身で空気の振動が感じられました。

 
ディスカバリーと広介君






 

4月2週・・・・死と狂気に駆り立てる春の祭典




4月10日(土)晴 日野春駅ホーム

甲斐駒岳・涅槃雪
逝きし子に降る


甲斐駒の猛々しい雄姿が展開する。共にザイルを組んだ摩利支天が迫る。
いつも車だったので、すっかり忘れていた。
日野春駅のホームが甲斐駒の素晴らしい展望台だったのを。

戸高と2人で残雪の篠沢を彷徨い成田泰樹の追悼碑建立地点を探し歩いた。
篠沢の中洲の巨岩に鎖を設置し、追悼碑を建ててから早14年。
紫野さんから先週、奇しくも句集が届き今再び遭難現場を仰ぎ泰樹に想いを馳せる。

泰樹は嗤うだろうか?
中央線に乗ってアルプスへ向かっているのに私の目標が山でなく《春の祭典》だと知ったら。
(それとも泰樹も44歳になって仕事に追われ息子の進学に頭を悩ませたり、もう山を止めているのかな)



№13今週のBigニュース 御柱祭で死者
長野3人けが


「御柱祭を催していた長野県千曲市土口の古大穴神社で11日午後7時頃
御柱が倒れ会社員の篠宮宏幸(38)が死亡。
他3人が腰の骨を折ったり胸を打つなどの重傷を負った。

(朝日新聞4月12日夕刊より抜粋)


 
4月10日(土)晴 下諏訪駅前

諏訪大社下社御柱祭
下社 秋宮四之御柱13時木落とし

連年《御柱祭》で死者を出したりそれを隠したりなんて昔の話しで、今は安全第一の観光祭だろう。
だが「死と狂気」の名残りくらいは未だ在るかも知れない。
そう思って下諏訪駅に降り立った。
駅前では歓迎の和太鼓が打ちならされ、街では地元民が秋宮四之御柱を迎え舞い踊る。

「木落し」というのは山の斜面から御柱を落とすのであるが、
裸の木に人が馬乗りになり、身体を支える何もない状態で、急斜面を降りるのである。
ものすごいスピードで落下する。御柱に乗る男たちはその行方も知れぬ柱に必死でつかまり、振り落とされ、振り落とされたらまた乗り、
と危険を繰り返すのである。
最後まで御柱に乗っている男は英雄となるが、御柱の下敷きになったり、振り落とされて死ぬものもいる。
御柱には死者は付きものである。しかし誰も祭りの残酷さを責めようとはしない。
むしろ死人が出ることで祭りは盛り上がり、神はそれを喜び給うているとこの土地の人は思っているかのようである。
[梅原 猛:梅原猛著作集〈7〉日本冒険(上), p.184]



4月10日(土)晴 下社木落し坂
 
初体験・23万4千人の群衆
人ばかりで何も見えず、木落とし坂に接近出来ず焦る!


《男見るなら七年に一度、諏訪の木落とし、坂落とし》
男とは男根そのものである。
男根のシンボルである《御柱》に乗り、自らペニスになって母なる大地とまぐわい(目合)を果すのだ。
その性交の果てが完結された死であることは言うまでもない。

縄文時代のあの世が地下にあったとする梅原猛はこう述べている。
木落としで死んだ男は、母なる大地に戻る。彼がつかまっている木は、
胎内回帰のためのファリック・マザーのペニスである》


その男を私も見ようと駅から4km程に在る木落とし坂に向かい歩き始めた。
登るにつれ木落とし坂に近づくにつれ、異常なまでの大群衆に膨れ上がり身動きできなくなる。
どちらを向いても人ばかり。木落とし坂がいずこに在るかさえ分からず。
初めて体験する23万4千人(毎日新聞報道)の熱気に揉まれ恐怖すら覚える。
一体これは、なんなのだ?




4月10日(土)晴 下社木落し坂
 
6時間前から待つ人々の群れ
忍耐の限度を越え不穏な雰囲気に殺気立つ

砥川を挟んで木落とし坂の正面には有料観覧席3千席が設けられているが2月の予約開始後完売。
席はAからFに区分けされ本日・4月10日のB席は何と43.95倍の倍率であった。
1席1.5~4千円のその席とは別に1坪分の席が20万円の値段で取引されていると云う。
そこまで事前に調べていたらとても観られないと判断しTV観戦で済ませたのだが、
此処まで来ておめおめと引き返すことは最早出来ない。

先ずなんとかこの23万人の群衆から抜け出さねば。
ぐるりを見渡すとTVの中継車があちこちに陣取ってカメラを木落とし坂と思われる方向に向けている。
NHKの中継車が山の中腹に数台の車列を成している。よし!あれだ。
急斜面を登り何とか中継車まで辿り着くがロープ、シートを張り巡らし「ここは通れません」と阻止される。

その数分後誰かがその阻止ラインを突破。便乗して斜面を登り木落とし坂の見える最前列に躍り出る。
こうなると観覧そのものが闘いである。
だがその成果は大きい。木落とし坂が目の前に見えるではないか!

梅原猛は、ちょうど縄文人と大陸や半島から渡来した弥生人との混血から現代の日本人が生まれたように、
アイヌ語に原形をとどめる縄文語とウラル・アルタイ語系の渡来人の言語の混合から日本語が生まれたと考える
[梅原猛:日本の深層,285頁]
だから、梅原によれば、縄文時代における「柱」の意味も、アイヌ語で理解できる。
日本語のh音は、奈良時代以前の上代ではp音で発音されていたので、
「ハシラ」は「パシラ」と発音されたはずである。アイヌ語の「パシ」は、「走る」という意味で、「ラ」は「下」を意味する。
だから、「柱」は、「下に走る」もしくは「下から走る」なのだが、御柱祭りの木落しの場合は、明らかに「下に走る」である。




4月10日(土)晴 下社木落し坂
やっとセレモニー開始
木遣り唄に続き
秋宮四之御柱と書かれた大幕が下る

なにやら赤の法被と黄の法被の集団が御柱を取り囲んでいる。
梃子衆と呼ばれる赤法被は手に手に棒を持っている。
この棒を柱の下に入れ梃子にし柱の進む方向をリードするらしい。
黄法被は柱に掛けた太い綱を引いて柱を前進させる元綱衆で、赤も黄も柱に乗ることはしない。
柱に乗るのは白法被に黒の前垂れを掛けた華乗り衆。

木落としの時間13時になって大群衆がどよめきだす。
遙かに遠い木落とし坂の上部でラッパが吹き鳴らされ、木遣り唄
が流れる。
「やあ、ここは木落としお願いだ~」
続けて秋宮四之御柱と書かれた垂れ幕が静々と降って来る。



 
4月10日(土)晴 下社木落し坂 

一瞬の落下で終る
(上)

6時間待ってたった10秒足らずのドラマ

華乗り衆と称されるその男は23万人の熱い視線を一身に浴び、
じりじりと空中に迫り出すペニスの先端に跨ったまま35度の急角度で落ちる斜面を凝視。
直径1m、長さ17m、重さ10トンの柱が元綱衆に引かれ
半分程空中に迫り出したところでぴたっと静止。

太い1本の綱のみで引きとめられている10トンを超える御柱は聖なる落下の瞬間を待つ。
木遣り唄が朗々と響く。
「奥山の大木、里へくだりて神となるヨーイサ」
赤旗が白旗に代わり振り下ろされた瞬間、大斧が白い太綱を断ち切る。


落下、土煙り、絶叫、どよめき、跳ね飛ばされる華乗り衆。
母なる大地の深奥に向かって自らペニスになり母なる大地とまぐわう刹那。
7年に一度のその性交の果てに、完結された死を夢見る男。
だがその男は黄泉の国に向かって「下へ走る」行為を中絶され、生きて歓声を浴びた

ここ諏訪大社の北で催された御柱祭では柱の下敷きになり男が死んだ。
全国1万社の総本社である諏訪大社の周辺では同時期にあちこちで御柱祭が行われ
巨大ペニスとなって母なる大地との交接に挑むのだ。

大地に穴を穿ち種を押しこむ行為は母なる大地との交接そのものであり
《春の祭典》はそれ故に人を暫し狂気においやるのであろう。

(最前列の席からもこの有様は詳細には観えず後にネットで確認)



4月10日(土)晴 下社木落し坂
 華乗り衆が落下・担架で運ばれる
生きているか?落下した御柱に駆け寄る


黄シャツと赤シャツが入り乱れる。
黄と赤の揉み合いの中から担架に乗せられ運び出される人影。
溢れる黄シャツ群衆が空港を占拠し(2008年11月)ソムチャイ政権を崩壊させた反タクシン派に重なる。
官僚や王室周辺のエリート、都市中間層からなる反タクシン派の「民主主義市民連合」の黄シャツ群衆。

現在バンコク市内の官庁街、最大の商業施設を占拠するタクシン派の赤シャツ群衆は
この日アピシット首相の治安部隊の強制排除にあい、21人の死者と863人の負傷者を出す。
なんの相関関係も無い《御柱祭》とバンコク流血が黄と赤のシャツを通して繋がる。
《死と狂気》の祭りと政治の貧困による死の政りが生のカオスを鮮明に描き出す。

《まつり》によって人は《死と狂気》の果てを観ることが出来るのだろうか?

№13今週のBigニュース タイ騒乱21人死亡黄と赤シャツ闘争
踏み込んだ最前線で死亡した村本博之記者


タイの首都バンコクで10日起きた治安部隊とタクシン元首相派の衝突で
日本人カメラマンを含む21人が死亡し863人が負傷した。
デモ隊の強制排除に踏み切ったアピシット首相の決断背景には何があったのか?。

(朝日新聞4月12日夕刊より抜粋)



4月10日(土)晴 下社木落し坂
 注連掛へ山出し
棚木場から大曲、木落としを経て注連掛へ


祭礼を司る巫女となって卑弥呼は生のカオスから死と再生を取り出し
超自然的存在への様式化された行為を用いて祭政一致の政
(まつり)を行った。
日本では古神道において、祭祀を司る者
(まつり)と政治を司る者(まつり)は、同じ意味であったのだ。

《微笑みの国》バンコクの流血の中から、御柱祭の《死と狂気》の中から
非日常の空間を獲得し死と再生を取り出し、
人々は生きる意味を実感することが出来るのだろうか?

何故、柱に人を乗せて落とすのか?
7年に一度、宝殿を新築する為、四隅に建てる柱を運ぶのに危険を冒す必要は無い。
赤シャツと黄シャツの《微笑みの国》の人々が平穏を維持するのに銃撃戦は必要ではない。
彼らにとって必要だったのは単に非日常の空間だけだったのではないか?
非日常の空間を現出させその驚愕の中から死と再生を既視化し
新たなる旅に出る。

木落としを終えて御柱を仮安置する注連掛(しめがけ)へと続く曳行を見つめながら
自らの心象風景にぱちぱちと飛び交い暴走する卑弥呼や生のカオスに成す術もなく呆然。
このままでは暴走するイマージュに憑依されてしまう懼れあり。
23万人の《死と狂気》への熱狂・毒気から一刻も早く逃れねばなるまい。


木落しが建御柱を行う途中で起きる付随的で非本質的なハプニングでないように、
死者が出ることも付随的で非本質的なハプニングではない。
木落としで死んだ男は、母なる大地に戻る。彼がつかまっている木は、胎内回帰のためのファリック・マザーのペニスである。
「はしら」とは、地下にあると縄文時代に信じられていたあの世、黄泉の国に向かって「下へ走る」ことだったと考えることができる
あの世は縄文時代どこにあったのか]。




4月11日(日)晴 山荘
 天も地も春の祭典
山荘の地に咲ききそう片栗と春蘭

なんと云う贅沢な静けさであるか!
煩悩の彼方に絶対的な静寂を求めた釈尊の涅槃が花々を通して、かそけし調べを奏でる。
23万人の《死と狂気》への毒気に中てられた昨日と
同じ世界とは思えぬ静けさに、心ゆくまでゆったりと浸り花々の調べを堪能する。



4月11日(日)晴 山荘
 花々に囲まれる山荘
どちらをを向いても花、花、花の山荘

小倉山頂から水晶谷に下ると鮮やかな三つ葉躑躅がそこかしこに咲き乱れ嬉しい驚き。
水晶谷がこれ程までに麗しいとは知らなかったのである。
谷を下るとソルダムの白い花が果樹畑を埋め尽くし満開ではないか。

例年一緒に咲くピンクの桃の花が今年は未だ開かない。
昨年の画像を調べてみると、あれ、同じ4月11日には山荘前の桃が満開だぞ。
下界の桃は咲き誇っているが標高の高い山荘周辺はどうも来週まで待たないと咲かないな。
それではちょっと失敬して昨年の画像を拝借。





4月11日(日)晴 奥庭

犬も狂った!お花見の後の大脱走9時間
花に浮かれ若鹿を追って夜まで帰らず

水晶谷から里に下りて犬達とお花見を愉しみながら朝トレーニングを終え、
テラスで犬たちとじっくり朝食。

悠絽と舞瑠は大好きなヨーグルトを目の前にして落ち付かない。
もう既に「愛犬貴族」と云う美味しい肉野菜の缶詰を食べたばかりなのに
山荘主が食べ終わったヨーグルトの残りを狙っているのだ。
「もうすぐだな」と云う目をして悠絽も舞瑠もじーっとヨーグルトを見つめている。

と、突然2頭とも耳をピンと立てて西森に鋭い視線を浴びせたかと思った途端、
弾丸のようにテラスから飛び出して消えてしまった。
どうやら鹿の気配をキャッチしたらしい。
なーに、いつものように1時間も森で追跡劇を演じれば帰って来るさ。

ところが2時間経っても3時間経っても4時間経っても姿を見せない。
もしや在り得ないと思いながらも幸子さんに電話してみる。
「もしもし、そちらに犬の連絡ありませんか?」
一度リードをつけたまま森で追跡を始め行方不明になり、猟師に捕えられ
首輪に書かれた電話番号から幸子さんに連絡があったことがあったのだ。

チビ、オバマを連れて第一次捜索隊を組んで扇山の森に悠絽、舞瑠を追う。
2頭が帰ってきたのは9時間後の真っ暗になった18時半。
勝手に遊び歩いていたのに帰って来たのが余程嬉しかったのか抱きついて離れない。
普段は決して入らないのに家の中まで付いてくる。

9時間に及ぶ、非日常の空間を求める彼等の旅を決意させたのが誰であるか私には解る。
《春の祭典》は人のみならず時として犬をも狂わせるのだ。



№13今週のBigニュース 時間の問題である。
テロ組織が核物質を手に入れ核爆弾を製造し
テロ攻撃を仕掛けてくるのは。
国際テロ組織アルカイダによる核奪取の危険が最も懸念される
パキスタンからもギニラ首相が出席。
果してオバマの呼びかけで核テロを阻止出来るか?

「ひょっこりひょうたん島」と云えばドンガバチョ。
山荘主の得意業であったとか!
樹麗の招待で東京オペラシティの「夢の裂け目」を観た。
つい先日は「太鼓叩いて笛吹いて」の
舞台中継でひさし健在なりの感を強くしたばかりの訃報。
《人は死ぬのだ》


そればかりではない。厚かましくも
「被災者を慰問する共産党幹部の思いやりのある態度を
前面に押し出した報道をするように」とのこと。
足しげく通ったラサと成都の北寄りほぼ中間に在る
チベット族の住む悲惨な村が彷彿とする。
 

☆ 4月07日:キリギスの北部タラスで6日反政府暴動が起こり、僅か2日間でバキエフ政権は崩壊。
         
 死者68人負傷者は500人を越えバキエフ大統領はオシへ脱出。
          野党指導者のローザ・オトゥンバエワ元外相はロイター通信に対し、
          「臨時政府を樹立した。私が首班だ」と述べた。
☆ 4月09日:井上ひさし(75歳)肺癌で死去。「手鎖心中」(直木賞)、「吉里吉里人」、ひょっこりひょうたん島」、
          東京裁判3部作「夢の裂け目」などの作品を残した。
☆ 4月10日:ポーランドのカチンスキー大統領(60)夫妻の乗った政府専用機が10日午前10時50分(日本時間15時50分)ごろ
          ロシア西部スモレンスクの空港近くに墜落。(カチンの森虐殺の追悼式典参加の為の飛行)
          
97人全員が死亡。テロではなく濃霧による視界不良での事故らしい。
☆ 4月13日:核保安サミット閉幕。世界47カ国の首脳が核テロ対策を話し合い各種の核物質防護策をうたって幕を閉じた。
☆ 4月14日:中国青海省玉樹チベット族自治州で14日M7.1の地震発生。
死者617人、行方不明者313人(15日現在)。
          共産党中央宣伝部は救助の遅れなど政府批判報道を禁じる内部通達を主要メデディア幹部に発した。        




 

4月3週・・・・春爛漫の銀世界



 

4月17日(土)雪後晴 山荘テラス

一夜にて春爛漫の銀世界
冬より深く積もった春の雪


森から椎茸を採って来て帰りにブロッコリーと菜花、ほうれん草、小松菜、レタスを摘んで
先週作っておいたコロッケを冷凍室から下し大根の煮物をタッパから出して
さてそれでは夕食の準備をしようかなと
エプロンかけてCDは・・・聴き流しに向いてるジャズにして・・・
それから何だか空気が重いのでふと窓を見上げると
ありゃ!雪だ。

それから一晩中降り続いてご覧のとおり。
起きて直ぐ物差しをテラスの積雪に入れてみたら、むむむ15cmもあるぞ。
犬どもはどうしたかと奥庭を覗くと足跡無し。
雪に懼れをなして森の飼主の家から出て来ないのかそれとも

山荘の犬小屋に入ったまま顔を見せないのか?

 


4月17日(土)雪後晴 山荘テラス

雪と華のうたげ
41年ぶり・春の大雪・華麗な雪と花の雲海


山荘眼下に目をやって驚き!
満開になった桃の花を新雪が覆い、ピンクと白銀の海が静かにうねり
雪雲の名残りが雲海となって棚引いているでは。

鉛色の空は曙光とともにぐんぐんと目に滲みる紺青に染まり、桃の雪が解けだした。
消え入りそうなピンクの花弁に刹那の淡雪が絡む。
決して実らぬ淡雪と桃華の絶望的な41年ぶりの恋が終焉を告げる。
40年後に再びこの絶望的な儚い恋が再現される可能性は限りなく零に近い。
生命と非生命の絶望に春と冬の時間的絶望が加わり
雪と華の光の彩は心象を深く抉る。



 
4月17日(土)雪後晴 山荘出窓
白銀に鮮やかな花弁
モノクロームに滲む

どうも犬達は山荘に来る気配が無い。
鹿や猪や狸、狐が点々と足跡をつけて深い雪の森はハンティングには最高。
何しろ足跡を追って行けば必ず獲物に出逢えるのだ。
それなのに来ないとは阿呆な犬め!

もう既に散り始めた君子蘭が森人の家に向かって何やら聴き耳を立てている。
鮮やかな花弁の背後には確かに犬達の住む森人の家があって、会話出来そうなのだ。
「チビもオバマももうすぐ来るよ!」と君子蘭。
そんなの嘘だろうと思ったが本当にやって来た。

どうやら試運転したバイクの音が風に流れ微かに山荘下の森にまで届いたらしい。
バイクの音がすれば一緒に走れるのを知っているのだ。
だがこの雪ではバイク走行は無理だから雪の森にでも行くか?



森の芽吹き
光を孕むリョウブとソルダム  

凄いのだ。
積雪15cmもの雪が半日で
すっかり解けてしまった。

雪の消えた森では
たっぷり春の雪を吸い込んだ
木々がつんつん芽を吹き
光を孕み新たなる生命を育む。


微惑星の衝突の繰り返しで
生み出された地球に最初の生命が
齎されたのは40億年前。

以後、隕石の衝突、超新星の爆発
火山活動(スーパープルーム)
小惑星の衝突などで
生命は5回絶滅の危機に曝され
その都度76~96%もの
生命が絶滅した。
5回の絶滅から甦った生命は
現在、人類による6回目の
生命絶滅の危機に
曝されていると云う。

人類の狩猟能力が高まり
大型の哺乳類が滅び
船の発達により太平洋の島々に
人類が分布し
鳥の絶滅が進んだ。

そして哺乳類、鳥に続き
人口爆発、産業の発達などで
多様な生物が
壊滅的な打撃を受けている。
(4月20日朝日朝刊参照)

6回目の絶滅の彼方に人類は
方舟を出せるのだろうか?
生命は絶望的な
儚い恋の所産であり続け
森羅万象の必然の果実となって
未来を夢見る。
 
4月18日(日)晴 東の森
 



№1今週のBigニュース すわ!スーパープルームの再来か?

《アイスランド気象庁によると、噴火したのは同国南部エイヤフィヤトラ氷河の火山。
先月2世紀ぶりに噴火し、14日に再び大規模な噴火を起こした。
噴き上げられた火山灰は上空11キロに達し、風に乗って東南に流れている。
火山灰は16日、欧州北部を広く覆った》(朝日com)

結果1万7千便、680万人が影響を受け、空港の損失は169億円(600万ユーロ)
航空会社の損失は1日につき184億円(2億ドル) だとか。
その3日後の大雪だったので地球の核から地表へのマントルの流れが活発化する
あの恐るべきスーパープルームがやって来て
ついに太陽が奪われてしまったのだ・・・と慌てふためいてしまった。




 

4月4週・・・・森の闇に舞う宝石



 

4月25日(日)快晴 上条山稜

森の闇に舞う宝石
三つ葉躑躅の森


あれこれ悩むのだ。
寝室のカーテンを開けて快晴だと知った朝は!
扇山の森も小倉山の森も、とてもうっとりするような秋波を投げかけて誘うのだ。

で、森に差し込む光の具合や森の葉や花、木の実、茸、棲息する鹿、猪、熊の事等考え
悩み抜いて結局、最も遠く時間のかかる上条の森を選ぶのだ。
上条山の頂を超えて峠への下りに差し掛かると眼前に広がる一面の赤紫の乱舞。
《ほ、ほー!》と思わず叫んでしまった。



 
4月18日(日)晴 P2稜線
紋黄蝶(雄)の春
しっかり閉じた翅

幼虫で越冬し早春に蛹化(ようか)するのでいつだって春一番に姿を見せる。
このように雄は全体に黄色味を帯びるが雌は白地でいづれも黄と黒の紋を付けている。
裏翅には銀と黒の紋を配している。
花に止る時は殆ど翅を開かないので銀の紋は見えるが黄紋は中々目に出来ない。

早朝の寒さの中で未だ動きが鈍いので手の平に乗せて、無理やり翅を開かせてパチリ。



山荘日記目白版


読書スポット:
新江戸川公園、椿山荘、江戸川公園、小石川後楽園、六義園、小石川植物園
新宿御苑、明治神宮、赤坂御苑、目白庭園、江戸城址、不忍池

文化スポット:
東京芸術劇場パイプオルガン、演劇、コンサート)、サンシャイン演劇、コンサート)
カテドラル
(パイプオルガン)、オペラシティ(パイプオルガン、演劇、コンサートオペラ)
東京文化会館
コンサート絵画展等)、目白窯陶芸、各大学講演、演劇、コンサート等)

画廊・ギャラリー
 
①目白ギャラリー
(有名作家作品)、②ギャルリ・ラビ(アンティーク、レース、ガラス、バック)
③ギャラリーゆめじ
(竹久夢二、ミロ、シャガール、北斎、広重)④ポターズポット(伝統、工芸、クラフト、英国陶芸)
⑤アーチコレクション
(アジア布、民族衣装、古布)⑥望美楼(絵画、陶芸)⑦ギャラリー・ひこぼし(古布、着物、駄玩具)
⑧花よろず
(花と緑、古い物、新作⑨千種画廊(陶芸、彫刻、絵画、染色、人形、織物:赤い鳥の鈴木三重吉旧宅跡)
⑩新樹画廊
(絵画、版画、陶器、工芸)⑪三春堂ギャラリー(現代陶器、ガラス、漆、テキスタイル)、⑫ゆうど(自然素材、萬生活文化具)



 神田川の落日華筏
自宅の直ぐ下を流れる
神田川は桜の名所。
両岸から桜が川面に
張り出し無数の
花弁を散らす。
この川の左側に
かぐや姫が歌った
神田川」の舞台がある。

椿山荘三重の塔の落日
ひたひたと静寂が打ち寄せる。
樹間に沈む夕日を
見つめながら本が読めるスポット。
 

 滔々たる華筏の流れ
(神田川)

夕陽を浴びながら
華吹雪となって
桜が舞う。
水面に散って筏となり
流れをピンクに染め
飯田橋、水道橋
お茶ノ水を経て
隅田川に注ぐ。

逆さ桜1
(新江戸川公園の池
この公園には私の
お気に入り
指定席がある。
真下に池が望める
静謐の地。
ここで鳥の囀りを
聴きながら本の中の
もう1つの世界に
身を置く。
愛車に跨って
目白の坂を
ビューンと
下る。 
 春
 
爛
 
漫
 
の
 
目
 
白
 
4月8日(木)
編集が4週目に
なってしまった。

   江戸城址堀に遊ぶ瘤白鳥
たった一羽、広ーいお堀を独り占め。
《王の鳥》に相応しい優雅な泳ぎ。
瘤白鳥は春になっても北帰行せず周年とどまるのが多い。

逆さ桜2
(東御苑の池)
とても美しいのだ。
しかしこの小さな
画像では
池に映った逆桜の
死に迫る美は
伝わらない。
 
小脇に抱えて
いる本は
井上ひさしの
「手鎖心中」と
宮部みゆきの
「英雄の書」

眉毛のある老成錦鯉
(東御苑の池)
びっくりしたな、もう!
まさか鯉に眉毛が生えるなんて!
それに、ここの処
集中して
読んでいる
ノース・パタースンの
「サイレントゲーム」

天守閣跡からのビル群
広々とした砂漠の
ような天守閣跡の南に
高層ビルが
にょきにょき生えている。
銀座から汐留方面の
ビル群である。
明治維新後100年を経て
繁った石と鉄の森。 
 
滝裏が通路になっている椿山荘の庭
瀧の裏なんて少年にとって
行ってみたい場所の1つ。
読書の後に瀧裏から外界を観るのが愉しみ。
 

 古と新
(平川門)
築城以来5百年を経た
白漆喰塗籠壁が
コンクリートと鉄を背景に
目映く輝く。

椿山荘三重の塔と桜
  目白は参勤交代の
江戸屋敷が集まり今なお
美しい庭園が残る。
都心に在りながら豊かな自然に囲まれ
読書スポットとして最高!

静寂を湛える(江戸城址堀の菜の花と水面)
 
華筏の樹影
(新江戸川公園
池面が総て桜の花弁に
覆われる。
ピンクの華筏に
未だ芽吹いていない
木々が影を落とす。
さて何処で読もうか?
先ずは広いお堀端で
悠然と泳ぐ白鳥と語らい
ながら頁を繰るか。

それから落日の華筏も
いいな!

散歩に飽きたら画廊巡りも
悪くは無い。
自宅周辺には12か所もの
画廊やギャラリーが
犇いているのだ。
絵画、織物、陶器、漆やガラス作品
彫刻、人形と何でも御座れ。 





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