その20夏ー2007年文月
文月2週・・・梅雨のページェント
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萼紫陽花 ぐいと 心を鷲掴みにされる。 ・ いつも山荘の紫陽花は そうなのだ。 藍の美しさが 一直線に脇目も振らず 肉体に飛び込み 刺し貫き 感性を麻痺させる。 ・ 前庭の紫陽花群に 近寄るだけで 瞳は藍に 吸い寄せられ 自由を奪われる。 ・ 藍に純白が散ると 漆黒の空間が 更に闇を深める。 ・ 45億年の時空に 十数日の生命が 鮮やかに拮抗する。 ・ 零と無限に等しい対比に 何の遜色も無く 拮抗する生命が 私の肉体を刺し貫く。 ・ あー お前の藍には 45億年の時空を超えた 深さが 潜んでいるんだね。 ・ 時空の永遠の旅人 n次関数は 極値近傍で 最大値、最小値をとり 激しい変化をみせるが 残りの無限の時間を 漆黒の闇に奪われる。 ・ そう例えば y = x2を考えてごらん。 原点近傍で最小値をとり 無限の過去から一心に 減少しつつ極値を目指し 一瞬後に増加に転じ 未来永劫の闇へと 消え去ってしまう。 ・ 絶望的な孤独を 引っさげて生命を誇示する 藍だからこそ 肉体なんか一瞬にして 刺し貫くんだ。 |
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紫陽花幻想 トパアズいろの 香気が立つ その数滴の 天のものなるレモンの 汁は ぱっとあなたの意識を 正常にした。 ・ トパアズいろでなく アントシアニンの藍なのに 智恵子はきっと この紫陽花を目にして 狂気の彷徨を 中断したのであろう。 |
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智恵子がそんなにも 待っていたのは レモンではなく この瞬間の 紫陽花だったのだ。 ・ 何の根拠も無く ふと、そう思った。 ・ 冥界の深い闇を 従えて 蒼い宇宙の誕生を 静かに告げる紫陽花は 哀しいまでに 心をうつ。 ・ 智恵子の紫陽花の絵は 神戸文化ホールの 壁画となって 僅かに『根拠』の 手ががりらしきものを 残している。 |
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何故 山荘の紫陽花は 智恵子の狂気を 孕んでいるのか 私には解らない。 ・ いや、そうではない。 潜在意識の彼方で 気づいているのだろう。 ・ この藍に囚われた 山荘主は 囚われた刹那に 智恵子となり 檸檬は紫陽花に変容し あなたはそんなにも 紫陽花を待っていた。 のだと。 |
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7月8日(日)晴 山荘前庭にて |
ほたるの巻 源氏物語 第二十五帖 夕顔の娘・玉蔓の香りが すーっと流れた。 ・ そうだ未だ源氏蛍が 飛んでいるかもしれない。 急いでバイクに跨り 水神池の先の小川まで 突っ走る。 ・ 居た居た! 光源氏が薄絹に包んで 放った蛍が 優雅に舞っている。 ・ 雌を追い求めて 唯ひたすらに輝く 源氏蛍は正しく 光源氏そのもの。 |
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光生殖 蝶のDNAは 色彩と文様を雄に与え その美しさを手段にし 大いに生殖せよと 命を下した。 ・ 鳥のDNAは 色彩と文様だけでなく 音楽も取り入れ 雌との交尾を促した。 ・ 絵画も音楽も 小さな生命達の生殖手段。 芸術の根源は 生殖そのものなのだ。 ・ 蛍や深海に棲む生命は 新たなる芸術を生み出した。 |
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彼らは生殖手段として 光源氏のように オーロラの光を 手に入れたのだ。 |
7月8日(日)夜 山荘下水田にて |
僅か10歳にして継母の藤壺と性交し継母を孕ませ 罪の子を産ませる。 このスタートからして徒ならぬDNAの陰謀を予感させるが その後の光源氏の生殖活動は色彩や文様、音楽を手段とするだけでは 決して到達できぬ熾烈を極めた究極の性域に達する。 継母の姪に目をかけ未亡人の六条御息所、人妻の空蝉、その義理の娘 と交接し、更には弟の小君との男色関係を続け 光源氏は光を明滅させながら性の深海を漂う。 源氏物語に隠されたもう1つのテーマは光源氏の《光生殖》なのだ。 |
蛍の邑 源氏蛍の生命は短い。 山荘周辺の源氏は 毎年6月20日前後 10日間程光を乱舞させ その後、姿を消し 平家蛍に代わる。 ・
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7月9日(月)曇 竹森川にて |
蕨にょきり たった2週間の不在だと 言うのに これこの通り。 ・ DV出発直前に刈った芝は ふさふさと繁り 蕨がにょきにょきと あちこちで飛び出し我が物顔。 ・ 果樹畑、下の中畑、西畑等 見るのも恐ろしい。 が、 見ないわけにはいかない。 覗いてみると 雑草の繁茂も然ることながら 鹿の足跡、糞が 畑を蹂躙 ・ 枝豆、唐黍、南瓜の葉が 食い荒らされ悲惨! |
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7月7日(土)晴 中庭にて |
長胡麻斑髪切虫 ばら科、くわ科、ぶな科 みかん科、かえで科 やなぎ科などなんでも 食害する。 ギリギリと鳴く。 庭木の大敵 永遠の敵だ。 成虫は7〜8月に出現 見つけたらすぐ殺す事。 放置すると あとで痛い目に合う。 ・ 思わず笑ってしまった。 これをHPに載せた 編集氏の顔が浮かぶ。 きっと酷い目に あったのだろう。 不在だった山荘の庭でも 永遠の敵発見! |
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青花むぐり 太陽を反射し 甲冑をキラキラさせて 黄金虫も庭を闊歩する。 ・ しかしこいつは花に潜って 花粉を食うだけで 髪切虫のように庭木を 枯らしたりはしない。 まあ 永遠の敵も解放したので こいつも 自由にさせとこう。 |
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7月7日(土)晴 中庭にて |
枇杷芳香 仄かな甘い香り! 枇杷がやっと実を付けた。 不在でも枇杷は 美味しそうに 実ってくれたんだ。 ・ 「随分、能天気ね! いつ髪切虫に 食われてしまうか 戦々恐々としてるのに。 害虫退治の農薬も 撒いてくれないし 捉まえた害虫も 逃がしてしまうし。 それでいて豊かな 実りだけは期待するの?」 |
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キウイ坊主 「まあ、まあ、そう 熱り立たないで! あたしなんか今年は 受粉さえしてもらえず 蝶や色々な昆虫が来て 花粉を運んでくれたり 風さんが仲人してくれたり そりゃ寂しいもんだったよ」 ・ 『山荘主の弾劾裁判を 日本国憲法第64条によって 行うべし! 罪状は 山荘に遍く存在する生命に 対しての怠慢』 |
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7月8日(日) 前庭・西畑にて |
茄子尽くし あれれ! ちょっと待ってくれよ。 遍くというと 永遠の敵・髪切虫も 入るから山荘主は 罪を免れてしまうぞ。 ・ 問題は 遍く存在する生命を 認識しながら尚 豊穣を期待する矛盾に 気づかぬ 山荘主の無知にある。 ・ 頭を抱えて 果樹の論争から逃げて 畑に降りると 野菜がどっさり。 |
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胡瓜シーフード 茄子の塩もみサラダ 焼き茄子、煮物と どう調理しても採りたての 茄子は美味しい。 ・ 茄子の隣で胡瓜が ぶらぶら。 これは薄切りにして 刺身用の海老を剥いて レタスと一緒にして シーフードサラダにしよう。 ・ 茄子と胡瓜がチクリ。 「たくさんの虫が食べに 来たけど山荘主さんの 手抜き有機農法の おかげでどうにか ここまで成長致しました。 無農薬の美味しさを 堪能してね」 |
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男爵ごろり 中畑のメークインが 収穫期間近になっても 大きくならない。 そうだ追い肥をやるのを すっかり忘れていた。 ・ 収穫をもう少し伸ばして 馬鈴薯三昧の楽しみは お預けにしよう。 ・ 玄関のチャイムが鳴った。 森の道の終点にある 山荘の訪問人は 極めて稀である。 ・ 村の農夫がどっさり 男爵を届けてくれたのだ。 さては貧弱なな馬鈴薯畑を 見られてしまったか? |
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7月8日(日) 奥庭にて |
文月3週・・・瞬間最大風速40m(東京八丈島)
マグニチュード6.8(新潟中越沖地震)
メークイン収穫 一週間遅らせて収穫。 大きな細長い メークインが土の中から 次々に出てくる。 大きなのは17cmもある。 大きさごとに仕分け。 さあ!食べるぞ。 ・ 薄皮が捲れ上がり 粉を吹いたように澱粉質が 弾けほくほくなのだ。 ・ 一目で 尋常な芋でないことを 示している。 圧力釜からもどかしく 大皿に移し食卓に乗せ ワインの横に置く。 ・ 美味しくて、美味しくて こんな馬鈴薯 食べた事ありません! |
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7月16日(月) 奥庭にて |
唯一の李 昨秋 大きくなり過ぎた果樹を 思い切って 切り詰めたので 李、林檎、洋梨いずれも 結実せず 寂しい夏になった。 ・ 良く見たら李の樹陰に 赤い実が1つ。 貴重な唯1つの李を 枇杷と一緒に 朝食のテーブルに乗せる。 ・ 枇杷は上品な香りと 驚く程の甘さ。 残念ながら李は 例年の美味しさは 何処へやら。 |
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山荘兜虫全滅 それでも林檎は 幾つか実を付けた。 ・ 朝トレで見つけた 兜虫の雌を果樹畑に 放してやった。 ・ 例年は山荘のあちこちで 姿を見かける兜虫も 今年は全く見かけない。 ・ 兜の幼虫を育む 西畑のチップ山に 異変が起きたのだ。 枯葉を集めその上に 発酵鶏糞をばら撒き 更に枯葉を厚く敷いたら 幼虫が黒く変色し 全滅してしまったのだ。 この雌の兜に 来年を期待しよう。 |
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7月15日(日) 果樹畑にて |
畑のアート あんまり面白いので 何気なく切り株に 乗せてみた。 そしたら急に お喋りを始めた。 ・ 『山荘主は メークインだ、茄子だ 胡瓜だ果樹だと騒いで 私をシカトしてるけど いつもは大根葉が 一番美味しいと 言ってるじゃない。 偶には私も話題にしてよ』 ・ 解ったよ。 だからこそこうして 特等席に飾って あげたんだよ。 |
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7月15日(日) 居間にて |
白素麺茸 小倉山の稜線で 白素麺茸と再会。 この得体の知れぬ茸の 名を求めて図鑑巡りを したのは1年前。 ・ 名前さえ解れば後は コンピューターの出番。 幾らでも情報は集まる。 で早速PCスイッチオン。 ・ 驚いた! 昨年載せた当山荘日記の 白素麺茸が yahooのHPに 『山荘3』として 7番目にアップされている。 ・ しかしこのページは長く 茸の画像に 辿り着くのは大変! |
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鱒 茸 サーモンピンクに どっきり! その名も鱒茸。 ・ 誰しもがこの茸を 目にするとサーモンを 連想するのであろう。 ・ 白素麺茸が食用なのは 理解できるが このけばけばしい色の 茸が食べられるとは驚き。 ・ 『猿の腰掛』の仲間は 漢方薬として よく使われるが 薬効果もあるのだろうか? |
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7月16日(月) 小倉山にて |
癌患者の死 死者3人、行方不明 負傷者多数を出し 大型台風4号は15日 東の海上に去った。 ・ 山荘池は台風で増水し濁り 癌患者が死んだ。 大きな癌腫瘍が 刮げ落ち紫陽花の 花影に永眠した。 ・ 癌の住人達は 何処へ去ったのか? 自らの住まう星の死を知り 赤い星を捨て 増水し濁った水に乗って 新たな星を求める 旅に出たのか? ・ 死んだ星を弔ってやろう。 |
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7月16日(月) 山荘池にて |
七つの子で-す 未だ目が見えないんです。 鳴き声も出ないんです。 生まれたばかり。 でも口だけは 目立つように大きくて 黄色くて。 ・ お母さんとお父さんが この大きな口に 餌を運んでくれるんです。 ・ 申し遅れましたが私達 3週間前にこのHPに 卵で登場した 四十雀でーす。 今度こそ何とか 此処まで育ちました。 7つの子を 宜しく! |
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テラスで息を潜めて ビアを傾ける。 ・ ほんの少しの動きにも 警戒して親鳥は 巣箱に入らず 餌を銜えたままウロウロ。 ・ 沙羅に架けられた巣箱は テラスからほんの 数メートルしか離れていない。 ビアを呑んだ途端 親鳥と目が合ってしまう。 ・ ごめんよ。 明日は東京に帰るから 直ぐ静かになるよ。 来週末は巣立ってしまって もう逢えないかもね。 |
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7月16日(月) 前庭にて |
又の名はペンキ屋 海水温が30度を超えると |
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7月16日(月) テラスにて |
あまるてあ アマルテアと 名付けた山荘の寝室。 山荘主が35歳になるまで アマルテアは 木星に最も近い衛星。 ・ そのアマルテアから 木星を観ることが 山荘主の 決して叶わぬ夢であった。 ・ 叶わぬ夢の実現は 木星とアマルテアの 創造にあった。 1994年山荘主は森の中に 木星を建て アマルテアをセットした。 今、夢の映像が光を放つ。 ・ |
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アマルテアから 木星を初めて見たのは ガリレオ探査機。 ・ 1995年から7年間 木星軌道に棲み付いた ガリレオはアマルへの フライバイを行い 精密な画像を地球に送った。 ・ その画像を忠実に辿り 大型油絵にして 山荘寝室の壁面に セットしたのである。 ・ アマルの2つの岩山と 木星の大赤斑に オーロラを放ったら 夢の映像が不意に出現。 余りにもリアルな臨場感に 息を呑む。 |
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7月16日(月) アマルテアにて |
燃ゆる大赤斑 赤いオーロラが 大赤斑を包み 壁面全体に木星を映す。 アマルの下方にまで木星の 巨大な姿態が蠢く。 ・ 《木星は生きている》 強烈な実感! どうして今まで 生きてることに 気がつかなかったのか? その愚かさに 思わず舌打ちする。 ・ A・C・クラークが木星に モノリスを置いた映像が 鮮明に甦る。 『2001年宇宙の旅』が 再び始まったのだ。 |
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・ 静かに満ちてくる 白きカオス。 方舟となって山荘は 認識の彼方へ 旅立たねばならない。 ・ ひたひたと 打ち寄せて来る 白きカオスの気配を 濃厚に感じる。 ・ 山荘眼下に拡がる雲海は 単なるH2Oの分子の 凝集ではない。 ある意思の表出なのだ。 ・ 白きカオスが 2つの岩山の山巓を覆う。 岩山は山荘となり カオスの意思に呑み込まれ やがて姿を失う。 その前に方舟となって 旅立たねばならない。 |
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7月16日(月) アマルテアにて |
『ラニーニャ現象』は大型台風4号を育み、7月15日午前に東京八丈島で 観測史上初めての瞬間最大風速40.3mを記録。 沖縄から東北にまで被害は及び、死者3名、怪我人は70人を超え29棟が半全壊した。 その翌16日午前10時13分にマグニチュード6.8の強烈なパンチを放って 柏崎沖の日本海海底の大陸側プレートが動いた。 死者10人、負傷者1308人、全壊家屋944棟と被害は台風4号を遥かに上回った。 ・ ラニーニャ現象もプレートの動きもガイヤにとっては、ほんの僅かな欠伸にも及ばぬ生理現象。 ガイヤはやがて目覚め欠伸後に動き出すのだ。 木星の大赤斑のような数百年も活動する超強風の渦を発生させ、プレートを激しく動かし 大気温をマイナスからプラス数百度にまで激変させ ガイヤは咆哮するのだ。 ・ ガイヤの激しい活動も50億年後には、老いた太陽の膨張により呑み込まれ やがてガイヤそのものが失われてしまう。 ガイヤの咆哮に耐え赤色巨星を目にする前に、ガイヤの知的生命は方舟を創って 新たなる旅に出発出来るのだろうか? |
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文月4週・・・太陽系外の惑星に水の存在
H2Oの存在 太陽系外の惑星 降り続いた雨が 大きな竹煮草の葉に 沢山の銀河を産んだ。 ・ 未明の微かな光を 孕んで 銀河は生命を夢見る。 ・ 子狐座の近くで 2年前に見つかった惑星 HD189733bに 水が在るんだって。 ・ 欧州宇宙機関と米国等の 国際チームが 7月12日に発表したんだ。 |
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7月24日(火) 小倉山の森にて |
一条の光 惑星と水は 勿論生命のキーワード。 ・ 国際チームが 英科学誌ネイチャー 最新号に 載せた論文によると 地球から63光年離れた その星は 木星よりやや大きく ガスで出来た惑星との事。 初めての太陽系外での 水の発見に興奮!。 ・ 森に差し込む 一条の光がNASAの スピッツァー宇宙望遠鏡を 連想させる。 ・ 国際チームに集積した 頭脳は |
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こんな風にして頭脳を 光に代えて スピッツァー宇宙望遠鏡で 63光年の彼方に 水を見出したんだ。 ・ 森の闇を 切り裂く光が 無数の生命の存在を 明らかにし 光の像として認識体に 伝えるように 光はいつだって無限の 情報を流しているんだ。 ・ その頭脳はね 水分子が 特定の波長の赤外線を 吸収する事を 利用したんだよ。 |
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7月24日(火) 小倉山の森にて | |
そう、一致したんだ。 その惑星も同じ波長の 赤外線を 吸収してたんだって。 |
生命誕生 深い闇の中から 生命が 静かに姿を現す。 ・ 惑星と水分子が 太陽系の第3軌道に 放たれてから 45億年。 ・ こんな風にして 生命は徐々に姿を 成してきたんだね。 |
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時空の果実 何とつぶらな瞳! 惑星と水分子の 45億年の時空の果実。 ようこそ地球の森へ。 ・ 総てがマシュマロのように 柔らかく透明感に 満ちていて 生まれたての香りがするね。 ・ この後2週間程 森の中で詩を歌い続け 生殖し 枯れ木に産卵するんだ。 ・ 翌年の梅雨の頃 孵化した幼虫は木から落下し 長ーい素数年の地下生活に 入るんだね。 |
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7月24日(火) 小倉山の森にて |
満ちてくる光 ゆっくりと森に光が 満ちてくる。 さあ! 飛んでお行き。 地下生活に決別し 生命の詩を謳っておいで。 ・ 3年、7年、13年、17年。 蝉が地中で過ごす時間。 ・ 北米の北に棲息する 17年蝉は 17年毎に一夜にして 大量発生し その数1エーカーに 150万匹。 つまり1平方mにすると 何と1223匹。 ・ 蝉は公約数の無い素数に 生命の存続を込めて 生殖を託す。 |
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蝉は素数がお好き 光が森を満たすと 先ず蜩(ひぐらし)が 音合わせの一声を放つ。 ・ 哀しい透き通った声が 森に木魂し 朝の森の コンサート開始を告げる。 ・ 生命の音色に身を委ね 山荘主は 嘗ての生徒に語りかける。 ・ 例えば6と9の最小公倍数は 54ではなくて18だね。 3と言う公約数が無ければ 6年と9年の周期蝉が 同時に発生するのは54年毎。 でも公約数3があるから 実際は18年で同時発生。 ・ ほら13と17の素数では 公約数が無いから 最小公倍数は221だろ。 つまり221年経たないと 同時発生しないんだ。 解ったかな? |
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7月24日(火) 小倉山の森にて |
卵 茸 朝トレを終えて 椎茸の森を登ると 足元に幾つもの鮮やかな紅。 ・ 根元に白い殻が 着いてるのが解るかい? 最初はその卵のような 白い殻に包まれていて 『あれ!卵が 落ちている』と 勘違いしてしまう程。 ・ 卵の殻を破って 出てくる最初の紅の美しさは 天下一品だね。 思わず引き込まれて 暫く動けないくらい。 |
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午後になり どうしたかな?と思い 覗いてみたら もう笠を開いていたんだ。 紅から黄色へと 色変わりを始めていたよ。 ・ 毒々しいまでの紅で よく紅天狗茸と間違えられる。 とても食べられるとは 思えないけど こいつ滅法旨いらしい。 ・ オリーブオイル・ソテー なんて書いてあるけど 試してみる気はしないね。 |
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7月24日(火) 椎茸の森にて |
休暇の芳香 奥庭の百合 マルコポーロが咲いて もう1ヶ月も経つのに 山百合が未だ開かない。 ・ この強烈濃厚な香りが 流れると 山荘の時間は休暇モード。 ・ こいつを見つけないと 逆に夏休みは やって来ない気がする。 ・ 朝トレのコースを変えて 山百合の香りを追う。 やっと見つけた。 ・ 球根が美味なので 鹿、猪に食われ絶滅寸前。 |
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逢坂草 節黒仙翁 フシグロセンノウと読む。 ・ 夏山でこれを見つけると 何故かいつも ちょっと胸がときめく。 ・ この花の別名が オオサカソウであることに 不満を感じていた。 大阪草だと勘違い していたのだ。 本当は逢坂草だと知って ほっと安心した。 ・ 京都と津の境にある 逢坂山に咲いているので この名が付いたとか。 愛しい人との逢引の山に 咲く花なんだね。 |
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7月24日(火) 東の森にて |
合歓の乱れ 合歓の花を見ると 熱帯の火炎樹を想い 火炎樹の赤を目にすると 山荘の合歓を想う。 ・ ずーっと前から 山荘の森で 咲き誇っているのに 中々近くで見られない。 森のてっぺんで 花開くので カメラが届かないのだ。 ・ でも もう花が終わってしまう。 凛とした直線が こんなに乱れてしまって。 |
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のうぜん蔓 凌霄花・・・ リョウショウカ とでも読むのであろうか? これをノウゼンカズラと 読ませるのは無理。 ・ 霄はミゾレや 太陽の周りに現れる雲を 意味し更に天空を表す。 ・ つまり天空を超えて 遥かな高みへと 昇り続ける花を 意味するのだろうか? ・ 山荘デビュー2年目の ニューフェースです。 宜しく! |
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7月24日(火) 前庭にて |
DNAは神だ! 惑星の卵を 時空の剣で 3つに断ち切り 内部に潜む知的生命の カオスを見たいとの 強烈な衝動。 ・ 惑星と水分子の 45億年の時空の果実を 見たいと 心から願ったのに 四十雀の卵は 野生動物に奪われ カオスは 減数分裂することなく 消滅してしまった6月25日。 ・ あれから1ヶ月 別の雛が育ちました。 |
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今週はもう巣立ってしまって 逢えないと諦めていたけど 未だ巣箱に居ました。 ・ 目もしっかり開いて 羽だってこの通り。 脚もしっかり大地を踏みしめて いるでしょう。 後は飛び立つばかり。 ・ でも巣箱がおんぼろで 蓋が腐っていて 簡単に開いてしまいそうで 気が気でないんだよ。 1日も早く巣立っておくれ。 ・ 以前にも 飛び立つ寸前の雛が 壊れた蓋から侵入した蛇に 食われてしまった事が あったけど今度こそ 無事巣立っておくれ。 |
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・ 7つの子の中で 1番大きなお兄さんです。 あれっ!お姉さんかも。 元気一杯で 盛んに飛ぶ練習をしています。 ・ 水分子を含んだ 原始惑星から こんなにも精巧な生命が 産み出されるんだね。 ・ 君が卵の中で最初の 減数分裂を始めた時 山荘主は こんな風にメモしてるよ。 ・ 時空の剣で断ち切った ゲル状カオスが 激しく蠢き鳴り響き 複雑な形状の生命を 形成し始めたのだ。 |
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7月24日(火) 前庭にて |
猛暑の夏 先週の八丈島での 観測史上初の風速40m どころの話ではない。 ・ 東欧ブルガリア中部では この日・7月24日 120年の観測史上初の 45.6度の 最高気温を記録し 死者35人に達したと報道。 いよいよラニーニャが 猛威を振るいだした。 ・ 45.6度といえば 体温より10度近くも高い。 嘗てヒマラヤキャラバンの 砂漠で 体温以上の猛暑の 経験があるが 触れる物総てが熱いのだ。 ・ この日山荘も31度まで |
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7月24日(火) 奥庭にて
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気温上昇したが 芝生と森が熱気を吸収し 風を流してくれ爽やか。 大紋鼈甲 芝刈りの終わった芝生で 何やら蠢く。 オオモンベッコウが 自分より遥かに大きい 硫黄走り蜘蛛を捕らえ 巣に運ぼうとしているのだ。 ・ どうしたらこんな大蜘蛛を 捕らえられるか? 1人で食っちまうのか? 疑問は尽きない。 ・ こいつの正体は麻酔屋。 尻の強烈な麻酔針を 打ち込んで眠らせる。 蜘蛛の体内に卵を産みつけ そいつを巣穴に埋めて 土を被せ 幼虫の餌にするのだ。 ・ 如何にも殺し屋という 風情でカメラを警戒して 威喝するのである。 ・ ゲル状カオスには 君たちもプログラムされて いたんだね。 |
オーロラ・イオ イオの部屋には イオから観た木星の 大型油絵が懸かっている。 ・ 高さ100kmに及ぶ 硫黄を噴出する火山が 木星の大赤斑を ダイナミックに断ち切る。 ・ ここに先週のオーロラを 照射したらどうなるか? 『2001年宇宙の旅』の 試みは アマルテアからイオへ。 ・ 静かに静かに 感動の波が 押し寄せてくる。 今確かにイオから木星を 私は観ているのだ。 |
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イオ幻想 ガイヤの知的生命は 方舟を創って 新たなる旅に 出発出来るのだろうか? ・ 方舟の寄港惑星を 捜し求めていた知的存在は 最初の第一候補を 発表した。 ・ その原始惑星の名は 子狐座のHD189733b。 方舟打ち上げは 1万年後を予定。 ・ 但しそれまでにガイヤが 激しい活動を開始せず 生命の存在を 許せばの話である。 |
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7月24日(火) イオにて |
週末からパプアニューギニアまで、ちょっと出張です。
ソロモン海とビスマーク海を目の前にしたマダンの珊瑚礁を巡ります。