その46秋ー2009年長月
9月1週・・・・風立ちぬ、いざ生きめやも
風立ちぬ 9月5日(土)晴 小倉山山頂 Le vent se leve, 目を疑った。標高942m山荘裏の扇山が雲海を突き抜けて1712mになってしまった。 秋の小さな風と雲の悪戯である。 ポール・ヴァレリーの 海辺の墓地を気取って堀辰雄のように秋が呟いてみたのだろう。 「風立ちぬ。さあ!ほんの少し風と雲を送って扇山と小楢山を繋いであげるから 標高差千mにもなった天空の裏山を駆け登ってごらん。 サナトリウムで死んでしまった節子に1712mの山巓で逢えるかもね」 ・ |
いざ生きめやも 9月5日(土)晴 小倉山山頂 キアゲハ il faut tenter de vivre. il fautは《・・・せねばならない》でtenter de vivreは《生を試みる》であるから直訳すると 《生きてみねばならぬ》となる。 フランスの詩人ヴァレリーの《 il faut tenter de vivre》を堀は 「いざ生きめやも」と訳した。 ・ 「やも」は強調の反語なので「生きようか、いや断じて生きない、死のう」の意味となる。 「生きよう」の意で使った堀の誤訳とも云われているが 知っていて敢えて堀は「さあ、生きよう」の意味で使ったとしか考えられない。 ヴァレリーの「海辺の墓地」最終24連目冒頭の日本語訳は 《風が起る!… 生きてみなければならない! 広大な風が私の本を開き、また閉じる》となっている.。(翻訳:門司邦雄) ・ 夜明けの小倉山頂で飛び立とうにも飛び立てぬ凍えた黄揚羽蝶に出逢った。 あたかも生か死かの選択に逡巡する堀であるかのように微かに震える。 その瞬間、節子を失った堀は誤訳を装った「さあ、生きよう」を捨て 本当は「生きようか、いや断じて生きない、死のう」を選択したのだと確信した。 ・ 迫りくる死の季節・冬を目前にして黄揚羽蝶は切なく天空への飛翔を試み続ける。 ・ |
一条の光 太陽の光が ほんの少しでも黄揚羽の 翅に届けば 天空への飛翔は可能に なるかも知れない。 ・ そうだ。とどまっていては 光との邂逅は 永劫にやって来ない。 舞瑠!東に面した 鉄塔山の森まで走ろう。 ・ 深い森の太古からの 闇を微かに暖め 一条の光が差し込む。 絶対零度の闇が 解凍し生命が輪郭を 露わにする。 ・ 動かぬ黄揚羽にも光は 届くのだろうか? |
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9月6日(日)晴 鉄塔山の森 |
雲表の彼方 怖がらなくてもいい。 お前の肉体には 大岩の先端に立ち 荒々しく吼え森に君臨する 血が ・ 思い出すんだ! あの雲表の彼方に在る 太古の風に乗って 遥々と 旅してきた時空の累積を。 ・ さあ、光に向かって 永劫に届く 遠吠えを始めよ! |
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9月6日(日)晴 鉄塔山山頂 |
無窮の孤独 透明な朝が不意に やって来た。 空が消え宇宙の蒼が 剥き出しになって 大地が無窮の孤独に 突然放り出される。 庭木の影が長く 芝生に横たわり雲海が 秋の薄い陽を浴びて 去ってしまった夏を偲ぶ。 ・ 終わってしまったことに 狼狽え 意味も無く庭を散策する。 ・ 空を失って突如 絶対零度の闇に放たれた ガイアは 新たな生の術を 手に入れねばならない。 |
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9月6日(日)晴 テラス |
ハッブル、科学観測再開 2009・9・10朝日夕刊 |
天空4千光年・死の揚羽蝶 惑星状星雲:ハッブル宇宙望遠鏡・広視野カメラ3の画像 なんと気高く荘厳な蝶であろうか! 5月に修理を終えたハッブルが撮った画像をNASAが9日に初めて公開した。 小倉山山頂の凍えた黄揚羽蝶が山荘の天空を駆け上り 3800光年の彼方へ飛翔し《鮮やかな死》に輝いたのか! 同じ想いに深く心を抉られた「アリス」さんが、間髪を入れずBBCに寄稿。嬉しいね! ・ ハッブルが捉えたのは正しく蝶になった星の死である。 老いて膨張し時速96万km以上の速さでガスを放出し蝶になったさそり座の「NGC6302」。 22万度と云う超高温の蝶は2200年を経て造形されたと云う。 ・ 2200年前の蝶が生み出されたのは人類が金属器を初めて造り出した弥生時代。 その金属器をハッブルにまで高め、人類はついに蝶を捉えたんだね。 ・ おや!山荘主さん、どこか間違っていませんか? この気高く荘厳な蝶は3800年前の遥かなる過去の姿と、ご存知でしょう? つまりその遥かなる過去から更に2200年遡らねば蝶の誕生には行き着かないのです。 現在の西暦2000年から6000年過去の中石器時代に蝶は生み出されたのですよ。 金属器どころか未だ石を使って狩猟採取をしていた時代に蝶は産声を上げ 星の死を宣告したのです。 ・ そうでした。今見えている星々が過去の世界であることをすっかり失念してました。 未だ人類が《知的存在》か否か判別出来ない遥かな過去の蝶だったのですね。 |
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老ライオンの風格 9月13日(日)晴 小倉山山頂 スキンシップを求め立ち上がり甘えて抱きついてくる。 前脚を胴や太股に巻き付け鋭い爪をたてるので痛くて堪らない。 その上大きいので重くて押し倒されてしまいそう。 第三者が見ていたらどうみても《ライオンに襲われた人間危うし!》である。 ・ 山頂からの雲海に見とれていたらチャラが石テーブルにやおら飛び乗る。 雲海を背景に実に威風堂々たる雄姿。 鬣(たてがみ)を着けたら何処からどう見てもライオンそのもの。 チャラは14歳、人間の70歳に相当する老ライオン。 |
忘れえぬ邂逅 森の王者 ゴールデン・レトリバー:チャラ あの幻の チャラが還って来た。 透明な雪の森での 忘れえぬ邂逅から18ヶ月を 経て8月の偶然の再会。 ・ 小さな村なので 村人に尋ねればきっと 判ると探したがこの大きな ゴールデン・レトリバーの 消息は杳として知れず。 ・ 多分、樵と一緒に あちこちの森を巡って いるのであろうと林業業者に 尋ねても 「見たことは無いね」との 返事ばかり。 ・ そのチャラが 山荘の新家族として 還ってきたのだ。 ようこそ山荘へ! |
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こんな風に 「犬、貰ってくれんかね。 5匹も居て困ってる ので1匹でも2匹でも 貰ってくれると たすかるんじゃが」 ・ 8月の偶然のチャラとの 再会で飼い主が そう声を掛けてきたのだ。 ・ 「いや週末しか こちらには来ないので 飼うことは出来ないんです」 ・ 「ほんなら週末だけ 好きなだけ持ってって くれんかね」 ・ あれ程探していた チャラがこんな風に 予期せぬ邂逅と共に 山荘にやって来ることに なったのだ。 |
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ぼくオバマです チャラは山荘の下の 森の奥で 森の持ち主と4匹の犬と 共に住んでいる。 ・ その森は山荘から よく見える。 やはりチャラは山荘の 近くにいたのだ。 ・ 軽トラにチャラとオバマを 乗せて森の住人が 山荘にやって来た。 「金曜日に来るんなら 犬連れてきてやるよ。 紐を離せば勝手に 家に戻るから 返しに来なくてもいいよ」 ・ 5匹の犬達にとって 山荘周辺は 自分の庭なのだ。 |
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怖いんです ロスでは犬に紐を 着けて飼ったり 狭い小屋で飼うことを 禁止している。 ・ つまり庭で放し飼いにせよ との犬の条例らしい。 森の住人もどうもそれに 倣っているらしく 広い庭で放し飼い。 ・ 庭にはフェンスが無いので いつでも森の奥に 出かけられる。 犬にとっては自由な楽園。 ・ 初めてリードを着けられた オバマは動かず。 チャラなんか首輪が 無いのである。 急遽蒼い首輪を買って来て 着けたが 「何でこんなん着けるの?」 と不思議そうな顔。 |
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猪の襲来 やられちまった。 葡萄畑の収穫前の 薩摩芋が掘り起こされ 無残な姿を曝している。 ・ 犬が来るようになってから 猪と鹿が畑に侵入し 作物を荒らすような事は 無くなったと 安心していたが残念。 ・ 悔しいので残されていた 薩摩芋を食べてみたら これが栗のように ほくほくで予想外の美味さ。 ・ せめて残っている薩摩芋 だけでも死守しようと 急遽防猪網を張った。 翌朝、再び荒らされ犯人は 猪でないと判明。 犯人は狸、笹熊か? ・ 再度細かい網目の フェンスを2重に張ったが 果して? |
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朝の収穫 どうして山荘の無花果は こんなに美味しいのか? 甘さの奥行きが 市販物とは大違い。 ・ 蕩ける甘さが朝食の ワインに実に 良く合うのである。 ドライの赤には更に ドライを引き立てるように 深い甘さが和む。 ・ 甘口の白ワインとは 甘さが互いにぶつかり合い 異なる甘さを 止揚するかの如く 高次元の味覚を完成する。 ・ 秋の深まりまで未だ 暫くは愉しめそうである。 |
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9月12日(土)雨 前庭 |
大変だ!犬集合! あんまりチャラが 甘えて抱きついてくるので どうしたらいいものか 森の住人の家まで行って 聞いてみた。 ・ 「ぶっちゃってあった 他の犬は チャラと反対に懐かんが チャラは人が大好きで 誰にでも懐くで そんときゃ、離れるまで ぶっ叩いてくりゃ」 ・ そんなこと出来ないなと 再びチャラを連れて バイクで帰ろうとしたら 他の犬もバイクに合わせ 全力疾走。 ・ 山荘は4匹の犬に 占領されてしまった。 暫く庭を走り回っていたが やがて森の住人の家へ 意気揚々と凱旋。 きっと彼等は新領土を 獲得したつもりなのだろう。 |
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悠然と水浴 バイクで森の住人の家まで 往復し山荘に帰ったら 即、池に飛び込み 豪快に泳ぎクールダウン。 ・ 白の紀州犬やテリアも 飛び込み山荘池は 犬のプールに早変わり。 池の鯉も吃驚! ・ 他の犬が出たあとも 一人悠然と水浴。 そういえば今朝も 小倉山からの帰り水田用の 疏水に飛び込み 上がれなくなったり。 ・ チャラは水が大好き。 |
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9月13日(日)晴 山荘池 |
9月3週・・・・光と闇は永劫の輪廻
めたもるふぉーぜ チルー:チベット・アンテロープ 9月20日(日)晴 居間鍵盤上 総てを呑み込む闇を鏡にしたら何が映るのだろう。 両腕を闇に差し伸べ鏡の深奥に瞳を凝らす。 死者の霊を導く提灯・鬼灯を眼孔に嵌め込み、水晶のガイアを鼻梁に乗せたチルーの 髑髏(されこうべ)が深い闇を疾駆しチベット密教の荒野からやって来て 両腕の上に収まり顔になった。 ・ 始めましてこれが私の ・ |
薩摩芋急襲 山荘到着後、真っ先に 葡萄畑を覗いてみる。 先週、二重に防猪網を 張った薩摩芋畑が 葡萄畑の中にはあるのだ。 ・ 網下は捲られないよう ヒマラヤで使う長い スノーバーを打ち込み固定。 網上は葡萄棚に固定。 何処からも薩摩芋畑には 侵入出来ない。 ・ の筈であったのだが 何と見るも無残! 総て掘り起こされ 収穫予定の200kgの芋は 影も形も無い。 ・ 犯人はヴィーナスの影の 位置を知って やって来たに違いない。 このヴィーナスの シルエットの意味を 解ける森の住人は誰だ? |
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乳房 On Diagonal 夏至にアポロンが 南回帰線へと旅立ってから 2か月を経た。 アポロンは旅の3分の1を 終えヴィーナスの 豊満な乳房に影を成す。 ・ この1本の対角線上の 絵画と木彫りの 4つの乳房がアポロンの 光に包まれる時 薩摩芋畑に豊穣が齎される。 ・ と知っているのは 森の奥に棲む猪だと 予測をしていたので 厳重に網を巡らしたのだ。 ・ だが網を超えて 豊穣な実りは猪に根こそぎ 持ち去られてしまった。 薩摩芋の小さい内は 決して手を触れず 唯ひたすら大きくなる この日を猪は 待っていたのだ。 |
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ワイン葡萄入荷 実に不運なのだ! ワイン用の葡萄が 入荷したのが14日だぜ。 つまり月曜日。 ・ 120kgもの葡萄を 仕込むには 会員を週末に集めて 人海戦術でやるしかない。 ・ そこで例年、週末入荷と なるよう調整を 依頼しているが先週末まで 連絡無し。 本年の赤ワイン仕込みを 断念したのだ。 ・ 断念した翌日 ワイン用葡萄・ベリーAの 入荷連絡あり。 会員が集められる 週末まで6日間もある。 ・ 最悪な月曜入荷の確率は 7分の1。 その7分の1に当たるなんて 実に不運なのだ。 |
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葡萄との語らい 業者によると保冷庫に 入れておいても 鮮度が保たれる限界は 5日間とのこと。 つまり18日の金曜日まで。 ・ 葡萄の鮮度が落ちると 色も香りも勿論味も 大きな差が出る。 何とか金曜日までには 葡萄を仕込まねばならない。 ・ あちこち手を尽くしたが いかんせん週中では 仕事を休む訳にもいかず 会員は集まらない。 ・ そこで限界の金曜日 ついにワイン仕込み開始。 秋の陽だまりの中で のんびりと葡萄をもぐ。 |
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9月18日(金)晴 前庭 |
ぷりんぷりん 抜けるような青空と 森に囲まれ ジャズを聴きながら 葡萄をもいでいると なんともいい気分。 ・ そこに突如助人夫婦出現。 「金曜日なので 来ていると思って 犬を連れてきました」 ・ 軽トラックに乗せられて チャラと紀州犬の 武蔵、雌犬のミシェルが 山荘にやって来たのだ。 ・ 「ピオーネと巨峰を 持ってきたんですが こんなに葡萄があっては 要りませんか?」 ・ と沢山の葡萄まで 貰って更なる葡萄に囲まれ 写真を撮ったり。 |
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紅白曼殊沙華 犬小屋の在る奥庭では 赤と白の 彼岸花が咲きそろい 森の住人と犬達を大歓迎! ・ 森の住人は 彼岸花の奥の拓かれて いない暗い森を観て 「うーんこの森は 確かに死んでいるな。 10月には手が空くから 伐ってやるべー」 ・ 「おいくら掛るか 見積もりを立ててくれますか」 「いや、金は要らんよ。 むしろ伐った木が売れれば こっちから払える かもしれんし」 |
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9月18日(金)晴 奥庭 |
武蔵の大脱走 先週のテリアの 混じった「オバマ」は どうしたのか訊いてみた。 「ありゃ鎖付けたら 鎖付けたまま今朝 どっかへ行っちまった」 ・ そこで代わりに 白の紀州犬・武蔵を 連れて来たらしいが 首には真新しい赤い首輪を 付けている。 ・ 頻りに首輪を気にしている。 武蔵にとっても初めての 首輪なので 囚人ならぬ囚犬になった ような気分で不快なのか? ・ こりゃ「オバマ」のように 脱出するかなと 思ったらその夜、本当に 首輪を抜いて 脱出してしまった。 ・ 紐無しの楽園に住んでいる 彼等にとって 紐は悪夢なのだろうか? |
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八幡芋食うかね! 翌朝、仕方なくチャラだけ 連れて小倉山へ。 麓の里芋畑で老夫婦が 収穫の真っ最中。 ・ 「お早うございます」 と声を掛けたら 「嬉しいね! こんな年寄りに声掛けて くれるなんて。 やわた芋持ってくかね?」 ・ 「えっ!これ里芋じゃ ないんですか?」 「これは甲斐市西八幡で 作られている里芋の一種で ここの特産じゃ」 ・ 「でっけー犬で 怖いかと思ったが こりゃ優しいね!」と 運転席から犬用ビスケットを 出してチャラもご馳走に預かる。 |
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ついに食べたぞ! 大脱走した武蔵は 森の住人の家に帰還。 「起きて玄関開けたら 武蔵が座って待っていたんで 連れてきたよ」 ・ 軽トラックに積まれ 再び武蔵が 首輪を付けられて登場。 早速散歩に連れ出したが 紐を引いても 頑として動かず。 ・ それどころか 特上の缶詰牛肉も ビーフジャーキーも勿論 ドッグフードも全く食べない。 ・ 2度目の散歩でやっと 紐付き40分ウオークに成功。 そしてその夜 おずおずと 肉を食べ始めたのである。 ・ 紐無し犬が紐に 慣れるには未だ当分 時間が かかりそうである。 |
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いらっしゃい! 人懐こい チャラは別として 慣れない犬を相手にすると 中々気を使って 疲れるもんである。 ・ 「日曜日からは舞瑠と悠絽が 帰って来るので チャラと武蔵は 紐を解いて帰しますよ」と 云っておいたら 森の住人が態々軽トラで 迎えに来てくれた。 ・ 帰ると判っていても やはり心配なのであろうか? 心優しい森の住人に 育てられ幸せな日々を 送っている犬に 紐を付けるのは可哀そう! ・ かと云って紐を解いたら 森の住人の家に 即帰ってしまうし。 果して紐を付けて山荘に 慣らすことは可能なのか? ・ さあ、2週間ぶりに 舞瑠と悠絽が 帰って来るのでせめて 玄関に花を飾って 歓迎してあげよう。 |
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9月20日(日)晴 玄関 |
素晴しい疾走 柵を飛び越えんばかりに 歓びジャンプし 抱きついてくる。 ・ 「犬達は山荘に行きたくて そわそわ落ち着か なかったんですよ」と 幸子さんは語る。 ・ バイクに繋がれるのも もどかしくリードをピーンと 張り詰め山荘に向かい いきなり全力疾走。 ・ デブ女で直ぐ息切れし 後退してしまう悠絽が トップを舞瑠に譲らず 快走を続け 登坂をぐんぐん走る。 まるで生まれ変わったよう。 ・ ようこそ久しぶりの山荘へ! ほら2週間の間に 山荘の秋桜は もう満開になって・・・。 |
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雨と夕闇と霧と 倉掛山に行こうと 完成した筈の竹森林道に 車を走らせた。 ところが今回も不通。 ・ 不運なことにUターンした 途端に横断溝で 前輪左タイアがパンク。 スペアに交換し 修理屋へ持って行ったら 連休でお休み。 ・ そんなこんなで遅くなり 大菩薩に変更し 夕刻から登り始める。 上日川峠から雨。 ・ 上に行くほど雨が強くなり ひと気の絶えた 登山道を黙々と登る。 飛ばして42分で稜線着。 下山は28分と まるで神風登山。 ・ 標高2千mの初秋を 愉しもうとの目論見は 果せなかったが 誰も居ない大菩薩を 風のように飛ばすのは 気持ちいいね。 |
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消えたルート 防猪柵の扉が壊れ 入ることが出来なかった ルートに 数カ月ぶりに入った。 ・ 我々以外に訪れる人の 居ない森はすっかり 原始の森に還り 倒木と繁茂する雑木に 行く手を阻まれている。 ・ 残っていた僅かな踏み跡が 消えてしまい 道なき道を藪こぎ登山。 ・ 朝の7時半までに 犬を返しに行く約束であったが 扇山の山頂に 着いたのが7時15分。 ・ とても間に合いそうもない。 仕方ないね。 それでは次に小倉山に 登ってそれから 夕方に返すことにしようか。 |
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狼吼ゆる原始の森 9月23日(水)曇 扇山の森 総てを呑みこむ闇の本質は、全く異なるもう1つの真実を 総てを呑みこむことによって認識媒体である光をも捉え 認識不能で在り続ける闇は 全く逆の手段で創り出される可能性があるのではないか? つまり光を呑みこむのではなく包みこんで光の脱出を不可能にしてしまうのだ。 ・ 前者の闇はブラックホールであり後者は高度な知的文明の所産としてのダイソン球である。 8月末の山荘日記でダイソン球について触れた時 不意にダークマターの本質に迫る強烈なインスピレーションに襲われた。 ・ 《ダイソン球で恒星や銀河を包んでしまった高度な知的文明の結果がダークマターの 一部である可能性があるのではないだろうか?》 ・ 余りにも《唐突な発想》に自ら驚愕し、若しかするとこれはインスピレーションではなくて 私自身のオリジナルな独断的発想なのかも知れないと、ネットサーフィンしダークマターについて ダイソン球について調べ、同時にこの発想に近い論文やSFがないかと知人にメールを発信してみた。 1か月近くを経過した現在この《奇抜な発想》と同種の論文やSFには出逢っていない。 一時SFにのめり込み宇宙飛行士の2次選考まで残った陽介なら なんらかの手掛かりを持っているかも知れないと思ったが・・・どうだろうか。 ・ 原始の森の闇に身を横たえる朽ちた巨木との邂逅。 闇の深奥に時の屍で回廊を描き、生命を招く朽ちた巨木。 「舞瑠、乗ってごらん! 闇の彼方に目を凝らすんだ。総てを呑みこむ闇ならお前も呑みこまれるが 若しかすると光を包むラップに突き当たるかも知れない。 そのラップを破ることが出来るならお前は燦然たる光の世界に飛び込むことが出来るんだ」 ・ 光と闇は永劫の輪廻を繰り返し、認識の彼方へ知を |
Freeman Dyson の著書をチェック ・ もしやダイソン自身が自らの著書でダークマターと知的文明について 触れているかも知れないと以下の著書を漁ってみた。 《ガイヤの素顔:2005年刊》、《宇宙をかき乱すべきか:2006年刊》 《科学の未来:2006年刊》 がどうも、「私自身のオリジナルな独断的発想なのかも知れない」との 認識の再確認に終わりそうである。 |
どうやらチャラは果物大好きで 葡萄もワインも狙っているのかも。 |
さあ!手伝うか? 重ーいワインプレス機を 奥庭裏の倉庫から 前庭の石卓までエッチラ 運んで 葡萄を仕込んだ重ーい樽を これまたオッチラ 運んで準備完了! ・ ワインの匂いを嗅ぎつけ 早速チャラが やって来てくんくん。 「たまらん匂いがするな!」 ・ まさか犬が果物やワインに 興味を示す筈はないと 思っていたが チャラは《林檎泥棒》で あったのを思い出した。 ・ 先週農家の林檎の木の下で やおら林檎に飛びつき そのまま銜えて山荘まで。 ボールの代わりにして 遊ぶのかと思ったら 武蔵に分けず 1人でむしゃむしゃと 食べてしまったのだ。 |
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こりゃ!邪魔するな 「 駄目だよ! カバーを引っ張っては」 ・ 籠に入れた発酵葡萄を プレス機で絞ると 網目から甘いワインが 噴水のように 飛び出してきて下の 樽に流れ落ちる。 ・ 飛び散らぬよう 網目を覆ったカバーには 香りのいいワインが たっぷり着いている。 どうもこれをチャラは 狙っているらしい。 ・ だがこのワインを 呑ませる訳にはいかない。 既にかなり アルコール化している。 |
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ワインは駄目だよチャラ! その代わり大好きなチーズ入り カロリーメートあげよう。 |
たっぷり絞りました 水の比重を1000とすると 糖分の多い液体は 1000より大きくなる。 今回の葡萄液は仕込み後 1120に上昇。 ・ その後、糖がアルコールと 炭酸ガスに分解され 比重789の 軽いアルコールが 増すと葡萄液の比重は 小さくなる。 その減少割合から アルコール度数を計算。 ・ 先週1120だった比重が 3日間で1080と 40も下降し更に 1週間で1010となった。 アルコール度を計算すると (1120ー1010)÷7.36 =14.9% ・ 最早市販のワインの14%を 超えているのだ。 こんなの呑ませたら チャラはそのまま 天国へ直行するかも?。 |
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ワイン絞り終了! ダンボみたいな 大きな耳をつまんで パタパタ 動かしてみたけど 嫌な顔もせず。 ・ 「そんなことしたって ダンボみたいに空なんか 飛べないよ」 とばかりのすまし顔。 ・ 山荘滞在たった3回目 でしかないチャラ。 リード無しの 我が物顔で山荘内を闊歩。 もう何年も前から 山荘の住人であるかの 如く堂々たる挙動。 ・ さあ、ワイン絞り終ったぞ! それじゃ小倉山に 散歩に行こうか。 |
「じっと待っていたんだから散歩当然ですよ。 それではご案内しましょうか」 てな感じなのである。 |
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遅いぜ出来るの! ついに完成したゲート。 この立派な防猪柵が 2週間前に 出来ていればなー。 ・ と嘆かざるをえない。 柵の高さを2倍にしたので 猪も鹿ももう柵は 飛び越えられない。 つまり畑の作物が 荒されることはないのだ。 ・ と思いたいが敵も然る者 引掻く者である。 多分死に物狂いで 新たな侵入方法を 考え出すのであろう。 いずれにしても 先週食べられてしまった 薩摩芋2百kgは もう帰っては来ない。 「心底悔しいな!」 と村上さんも申して おりました。 |
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武蔵の死闘 鉄塔山散歩の帰途。 突如、獰猛な声を荒げ あの温和なチャラが 武蔵を威喝し噛付いた。 その迫力たるや 正しくライオンそのもの。 ・ 武蔵も負けてはいない。 牙をむいて 反撃するも所詮大きな チャラに敵う筈はなく 直ぐに決着はつく。 ・ だがチャラの攻撃は 執拗に何度も 繰り返されついに武蔵は 路上に倒れ伏し 白目をむいてぴくりとも 動かなくなってしまった。 ・ こりゃ大変、森人に連絡をと 山荘に直帰。 再び現場に向かうべく バイクに跨ると武蔵が 戻って来たではないか! ・ 驚いたのは武蔵の回復力 ではなくて あの大脱走した武蔵が 森人の家でなく 山荘に戻ってきたことにある。 武蔵は山荘が 新たな家と認識したのだ。 |
山荘に帰りつくや否や池に飛び込み 首や顔に着いた血を洗い落とし 傷を癒すかの如く暫く動かず。 |
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