山荘日記

その61冬ー2010年師走

 

12月1週・・・・凄い迫力・ぺんたっくす-Kx




凄い迫力の新顔登場
PENTAX-Kx 12月1日購入

長年愛用してきた
カメラ・DX8000Gが毛無山での使用後
壊れてしまった。
海中デジカメとして6年前華々しく
デビューし海外の
ダイバーの熱い視線を浴びた優れ物。

1台目はボルネオの珊瑚海
シパダンでハウジングに浸水し廃棄。
2台目、3台目は山荘と海で
修理を重ねつつ愛用してきたが
先週2台目のピントが
甘くなってしまい修理見積もりに出した。

修理代2万5千円也。
10万円のカメラなので2万5千は高い。
そこで思い切って
山岳用カメラを新調し2台目は廃棄。
辛うじて残った3台目は
海中撮影専用とすることに決定。
2年程前にデジカメ一眼レフの値段を調べた。
各種交換レンズをつけると
25万〜30万円と貧乏人にはとても手が届かない。

諦めていたが、憧れのPENTAX-Kxが10月に製造終了。
しめた!ダンピングするぞ。
ヤマダ電気、ビックカメラに行ってみると殆ど売り切れ
残っているのは赤ボディばかり。

白ボディを求めて本店、支店を探し歩き、ついに発見。
嬉しいことに以前愛用していた
アナログPENTAXの交換レンズがそのまま使えるでは。
ヒマラヤで活躍した接写リング、望遠レンズが
再び甦るのだ。

小倉山頂からの山荘 12月5日
早速、小倉山の山頂から山荘を300mm望遠で
覗いてみた。
 太陽光パネルや窓の桟の模様までくっきり。
気にいったぜ!
前のカメラで撮った小倉山頂からの
画像はこちら。
凄いだろ、同じ距離で撮った画像とは
とても思えないね。 




甲斐駒ガ岳2967m

仙丈ガ岳3033m

北岳3193m
日本の巨峰が目前に迫る
300mm望遠

78km彼方の南アルプス

遙か彼方に聳えていた
南アルプスの峰々がぐーんと迫る。
冬も春も秋も、もちろん夏も
足繁く通い続けた
北岳バットレス第W尾根の
マッチ箱のコルまで明瞭に見える。

山荘から望遠撮影 12月5日小倉山頂
当山荘を登山基地として
ガッシャブルム峰(8035m)遠征隊員と
冬の北岳バットレスから
間ノ岳、農鳥岳へと縦走した懐かしい
雪と氷の稜線も鮮明。

山荘から直線距離で78kmもある
南アルプスの盟主・赤石岳が
手招きしている。
インドヒマラヤ遠征トレーニングで
冬の赤石岳から荒川岳へと
駆け巡った日々が
昨日のように彷彿とする。

間ノ岳3189m

農鳥岳3061m

赤石岳3120mと荒川岳3141m



枯露柿の箱詰め
12月5日
テラスで雪富士を見ながら
 

朝一番で干柿の吊りロープを
外して枯露柿を収穫。
その後朝トレーニングしてから
枯露柿の箱詰め
ビアの瓶詰め、更にワイン瓶詰めまで
と1日の予定をたてたが
とても時間が足りない。 
だがビアの瓶詰めまでは終わったぞ。
盆地が温室になって冬の光が
春の暖かさをもたらす。
目の前に漂う雲海上に聳える
雪と氷のピラミッドと
対話しながらせっせと枯露柿作業。

柔らかくなった
干柿の紐外しに意外な手間がかかる。
硫黄の防黴剤を使ってないので
色は黒いが味は抜群!
この頬っぺが落ちそうな
美味しい枯露柿を誰に贈ろうか? 
   



岩と氷の瑞牆山  
  コースタイム
実施日:
12月4日(土)晴 
山荘(75km)  7:45(出迎え) 
瑞牆山荘 10:10発 
富士見平小屋 11:00   
瑞牆山頂 13:40  14:25出
富士見平小屋 16:00   
瑞牆山荘 16:30 
計  6時間20分    
山荘(渋滞)  18:50 





   


瑞牆山(みずがきやま)2230m
12月4日(土) ヤナギ坂より

どう見ても日本の山には見えない。
イタリアのドロミテを小さくしたような鋭い岩峰は
有無を云わせず強烈にアルピニストを惹きつける。
ドロミテに山荘を持つマライーニさんにこの山のことを話したら
是非ガイドして欲しいと頼まれたが実現する前に他界してしまった。

【瑞牆山の名前の由来】
みずがきとは、神社の周囲に巡らす垣根のことで、
もともとは「瑞垣」とも「瑞塁」とも書く。
近くの金峰山と同様に蔵王権現の山岳信仰と結びつき
古くから甲州修験道の中心として登拝されていた。
(北杜市HPより)

 

岩峰・大やすり岩
リンガパルヴァタ=リンガの山

思わず平伏して
両手を高く天に揚げ
ヒンドゥー教徒でなくとも
敬虔な祈りを捧げたくなる。

荒々しく天空に突き刺さる
巨大な岩峰は
2万年前に地表を突き破って
激しく噴き上げた
黒雲母花崗岩から成る岩漿。

真っ赤な火柱となって
天空に火花を散らす
地球の鮮血。
大地を焼き尽くす
破壊の神と化し、やがて
破壊のシンボル、
リンガに凝固し2万年の浸食を受け
生み出された岩峰。

破壊の神と云えばシヴァ。
そのシンボルは
男根・リンガであり破壊と創造を司る。

《大地の肥沃化は
それ自体で
存在している自然のリンガ
によって観念的に表現される。
自然のリンガとは
山頂にそびえ立つ石》

(MultiManiaより)

大地は女性器を表すヨーニと
対応しているのだろうか?
破壊と創造、死と再生
それらの無限連鎖の彼方を求めて
生命はただひたすらに
生殖を繰り返す。

さて私はこのリンガの絶頂で
如何なる祈りを捧げよう。
ヒマラヤ遠征の帰途、パキスタン、
アフガニスタンやインド、ネパール、ブータン、チベットの
村々を渡り歩きイスラム圏外では
偶さかリンガを目にし、神々の像を求めた

ヒンドゥー教の知識も無く
ただ単に「ふーん、男根を祀るとは面白いねー」
くらいにしか思ってなかったが
この巨大なリンガと対峙すると時空を超えた生命の
鮮やかな軌跡が観えるような気がする。
壮大な山は宇宙そのものだね。



岩峰の絶頂
瑞牆山頂

「いよいよ5日後に
チタンを右膝から取り除く手術を
することになったので
これがチタン人造人間最後の
山になります」
にこにこしながら村上が告げる。

厳冬期の八ヶ岳
横岳小同心クラックの懸垂下降で
凍りついたザイルの処理に
梃摺り右脚靱帯損傷。
更にチベット遠征直前の岩壁登攀で
ザイルのトップを務め
巨大な浮き石と共に落下。
右脛骨折の重体。

それでも懲りずに
にこにこしながら山に登り続ける。
手術直前のその村上を
山に誘っていいのか迷いつつも
笑顔に騙されて
やはり又誘ってしまった。

若しかするとあの笑顔の裏には
「なに考えてるのよ、
この唐変朴!
この状態で登れる訳ないでしょ」
とのセリフが隠されているのでは?

でも山頂に立った村上の笑顔を見て
危惧は吹っ飛んだ。
やはり誘ってよかった。

どんなに登山が苦しく困難でも
決して嘆かず
何の抵抗も無く山や自然と心を
通わせることが出来る
天賦の感性を
村上は持っているのだと確信。
時空を超えた生命の鮮やかな軌跡が
見えはしないかと
巨大リンガを抱きしめ後ろに聳える
八ヶ岳の硫黄岳と横岳の間に左手を高く掲げ
永劫の軌跡を追う。

さあ、飛び立とう!
破壊と創造、死と再生の無限連鎖の彼方へ。



巨木のゲート

凍った天鳥川徒渉
立ちはだかる巨木を
潜りぬけて
外人がすたすた降りて来る。
「山の地図を落としました。
見つけませんでしたか?」

イングランドとアイルランド人の
4人グループが
白い息を吐きながら佇んでいる。

奥秩父山塊で外人に
逢うのは珍しい。
奇異な岩峰に魅かれるのは
マライーニさん
だけではないのだろう。
凍てついた谷を渡り
固定ロープの張り巡らされた岩場を
抱きかかえられて登り
初めて見る大きな氷柱に驚き
悠絽の冒険は続く。

何度も逡巡するが
決して諦めず登行意欲を示し
頂を目指す悠絽。
頂に、利するものは何も無いと
人間よりよく知っているのに。

固定ロープを登る悠絽

大きな氷柱出現




新雪の森

標高2千mを超えると
森は新雪に覆われ
悠絽の可愛い足跡が
点々と続く。

自然倒木に積もった雪を
掻き分け
悠絽の足跡を追って
村上が
上気した笑顔を見せる。

新雪で滑る岩場を
よくは曲がらぬ右膝を抱え
黙々と登る。
不動滝ルートとの合流点に出る。
ここから山頂まで10分
との標識が在る。
だが山頂は皆目見えない。

悠絽がじーっと見つめる先には
最大の難所が
待ち構えているのだ。
悠絽が最も恐れる
カチカチに凍りついた岩場。

固定ロープは在るが
手の無い悠絽には何の
援けにもならない。
悠絽の顔が心なしか
蒼ざめてみえる。



山頂直下の氷化した岩
アイスクライミングする悠絽

大した傾斜には見えぬが
固い氷に覆われた岩壁はつるつるで
アイゼン無しでは全く登れない。

悠絽を抱えてはロープを
掴むことは出来ず
仕方なく固定ロープを頼って
氷壁の中段までは犬を置いて登った。

さてここからリードを引いて
先ず悠絽の自力登攀能力を試してみる。
引き上げられるようにして
登り始めたが首輪が外れ失敗。
ハーネスでないと登山は無理なのだ。
首輪を締め直し
村上にお尻を押してもらい
氷の壁に爪を立てるが全く引っかからない。
悠絽にとっては氷の富士以来の恐怖。

4本の足の爪を全開にしても
何の役にもたたないなんて
悠絽にとっては正にアンビリーバブル!

「あと一歩だ悠絽!
そうすれば抱きかかえて
引き上げてやるぞ」

悠絽は滑ってしまうのを承知で
四肢を踏ん張り氷壁に挑み続ける。
そしてついに氷壁を突破。
小刻みに震えている悠絽を
しっかり抱きしめてやった。



 瑞牆山頂
12月4日(土) 13時40分
 
どうだい!
苦しんでやっと辿り着いた頂上は
気分いいだろ!

だが悠絽は既に精も根も尽き果て
カメラを見る気力も無し?
ほら右手を上げて
カメラに向いてもっと嬉しそうにして。
そうか、若しかすると
悠絽はちっとも嬉しくないのかな。

よしそれでは悠絽の食事にしよう。
水もたっぷり呑んで
林檎のパイと苺のパイと
ハムのサンドイッチもあるよ。
東側に数本の針葉樹が在るが
頂は岩山なのであたり一面遮るもの無し。
西に清里の谷を隔てて
八ヶ岳が大きく緩やかに延びあがり
硫黄岳の雪のドームが光る。

目の前で金峰の五丈岩が黒い影を落とす。
その右に雪富士が優美なラインを描く。
垂直に切れ落ちた岩壁の真下に
リンガが屹立し
2万年の破壊と創造、死と再生の無限連鎖を
静かに語る。

瑞牆山は2万歳、人間は66歳、犬は6歳
地球は46億歳、宇宙は137億歳。
 
瑞牆山全容 金峰山より(WP)




 

12月2週・・・・陽だまりの冬野菜




 山荘炎上
12月11日(土) 野焼き

夏を謳歌した生命が燃える。

数週間放置すれば
庭も畑も覆い尽くし緑の魔境と化す
凄まじい雑草の生命力。

魔境なんぞと云うと大仰なと
思うかも知れぬが
それは雑草の生命力を知らぬ素人の感想。
べたべた張り付く盗人萩や
強靭な各種蔓草がジャングルを形成し
人の侵入を阻む。

こいつをやっつけないと作物を育てる
畑が確保出来ない。
さあ、覚悟せよ、
お前達を火炙りの刑に処す。 
 眩しい白高芝山には新雪
12月11日(土) 大根干し

天空から光を吸いこみ
大地から生命に必要な6元素
窒素、燐、硫黄、炭素、酸素、水素を取り込み
生命体を形成し
今また再び炎となって元素に解体され
天空に立ち昇り、大地に還る。

そうそう、NASA(米航空宇宙局)の研究者が
燐の代わり猛毒で知られる
ヒ素で光合成する細菌をレポートしたね。
燐を取り除きヒ素だけの状態で
細菌を培養した結果
「ヒ素を食べる」ことが判明。

生命の可能性はぐーんと広がる。
《地球外生命体は必須元素を
異なる元素で
補う生命体である》
ことになりそう。



掘り立て人参太陽


 冬野菜収穫
12月11日(土) 奥庭

森の枯葉を集めて有機肥料を
作らねばならぬし
テラスのオイルステン塗り
半年に一度と云われるが
もう一年以上も実施してないし。

防獣フェンスも雑草が生える前に
設置せねば。
最優先事項はお世話になった人へ
山荘の秋の味覚・枯露柿、キウイ、ワインを
梱包して贈ることかな。

だが目白からは山荘の人参が欲しいと
注文されてるし
先ずは冬野菜の収穫から始めようか。 
 大根ツリー
12月11日(土) 奥庭

水菜、青梗菜、ほうれん草、蕪、大根、白菜が
今、旬でどう調理しても最高。
先日、ベーコン、豚小間切で白菜を煮たら
箸が止まらなくなってしまった。

大根もおでんにしておけば
ビアに良し、酒、ワインにさえ合う。
で毎週、目白、中野に持参し
山荘でもたくさん食べるのだが
広い畑の野菜は採っても採っても減らない。

よーしこうなったら
連年失敗続きの保存食作りに挑戦!
生干し大根にしておけば
漬け物にも煮物にも使えそう。
さて採って来た大根を
何処に干そうか?





 

12月3週・・・・走れメロス!


迷走・枯葉の山稜  
  コースタイム
実施日:
12月18日(土)晴 
山荘(22km)  6:45 
笹子峠 7:25発 
中尾根ノ頭 8:00   
大洞山 8:40 
ボッコの頭 9:20   
大沢山 10:00 
八丁山   11:40
笹子峠  15:50 
計  8時間25分    
山荘  16:20 
 久々に8時間を超える。
1滴の水分も食事もとらず殆ど休み無し。
因みに参考
富士山:10時間5分
甲武信岳:9時間
黒金山:8時間30分








笹子峠
2頭揃ってさあ出発!
冬季車両通行止め12月20日より


うーん実に久しぶりだね舞瑠!
悠絽が山に出かける度
《おいらも連れってって!》
と吼え狂っていたけど
ついに復活の日がきたぞ。

さて今年最後の山行は
鳳凰の観音岳にしようか、それとも
八ヶ岳の硫黄岳にするか?

だが2か月以上(10月11日以来)山から
遠ざかっていた舞瑠には
突然の雪山は未だ無理かな。
それに鳳凰は林道が冬期閉鎖されているし。

今年未だ開いている林道はと・・・・
パソコンで調べると
おー雪が少ないので奇跡的に
甲州街道が明後日まで開いているではラッキー!
朝の光が眩しい
大洞山の山頂


例えハイキング程度の
小さな山とはいえ
果して6つの頂を1日で縦走し
その日の明るい内に
同じ6つのピークを登り返して
戻ってこれるか?

1年で最も陽の短い12月の
登山活動時間は
精々7時から16時までの9時間。
登山道の消えた落葉の森が
暗くなれば
ルートファインディングは不可能。

2頭の犬を連れて撮影しながらの
行動となると
犬への水の補給と食餌以外の
休憩を総てカットしても
時間は足りない。
さて、光のある内に戻れるか?

大洞山頂



大沢山頂 

2か月ぶりの山行に興奮し
歓びを体に漲らせて
舞瑠が飛び跳ねリードを曳く。
稜線に出ると
一面に氷の華・シモバシラが
咲き誇っている。

早速撮ろうと接写モードに
切り替えるべく
チューリップマークを探す。
 
中尾根の頭

画面にチューリップは出てきたが
どのダイヤルで
選択するか解らない。
前のデジカメは十字キーだったが
無いぞ・・・
じゃ電子ダイヤルか?
違うな、視度調整レバーでもないし
UPボタンでもないし
MENUボタンもINFOボタンも駄目。
やだねハイテクは!
カヤノキビラの頭

氷華にカメラを向けて
おたおたしているのを観て
《なにやってんだ
このトンチキ野郎め。
おいら、未だ眠いぜや!》
悠絽は連発あくび。

撮影を諦めて稜線を疾駆する内に
あ、そうだ。
チューリップはモードダイヤルだ。
と気付いたが時既に遅し。 
  でもって折角咲き乱れている
珍しい氷華画像を
一枚も撮らずに
カヤノキビラを超え大洞山を抜け
ボッコの頭も軽々
風のように走り抜け5つ目の
大沢山だってハミングしながら通過。

枯葉ですっかり登山道は
隠されているが
ここまでは全く問題なかったのだ。
 
ボッコの頭

ボッコの頭からの稜線は
北西のカヤノキビラの頭に向かい
そこからほぼ真東に折れる。
再び北へ向かう屈曲点から
中尾根は新田に下りその途中に
この道標は在る。

 確かに右方向に《笹子峠》と書いてある。
左の《カヤノキビラノ頭》は正しいが
右の《笹子峠》は明らかに
新田の誤りである。

誤りの中尾根道標
八丁山
 
だがこの道標を正しいと確認して
下ってしまったのだ。
このまま下れば日影側笹子峠と
反対側の新田に出てしまう。
と気付いたのは大分下ってから。

直そうとしたが道標は
しっかり幹に固定されていて動かない。
1か月程前にもこの近くで
道に迷い遭難死者が1名出たが
さもありなん。


ルートが消えた!

大沢山の山頂に広がる
ブナの森に
ゆったりひたりながら
女坂峠へと下る。

峠への急斜面の直前に岩が在り
稜線通しのルートが消え
(西)斜面へと広い道が拓かれ
枝に赤いテープが巻かれている。

赤いテープに導かれて
急斜面を枯葉のグリセードで
暫く下ると石垣の積まれた
しっかりした道に出る。
眼下には御坂道の藤野木が
直ぐ近くに迫る。

おかしいぞ。
女坂峠は何処に消えてしまったのだ?
しまった!ルートを間違えた。
今下った落ちそうな急斜面を即、
汗を滴らせて登り返す。

稜線に再び出てルートを探すと
岩の裏側に稜線に続く道が
枯葉に埋もれている。
うーん、これだから枯葉の山は
怖いよなー。

もうすぐ陽がおちるぜ!
枯葉の海に流離う

ま、それも冬登山の愉しみの1つ。
と余裕を持って八丁山へと
向かったのだが
ここで失った時間は大きい。

失った時間を取り戻す為
殆どジョックで山稜を飛ばす。
登り始めて4時間。
と云うことはアップダウンの稜線
なので帰りにも4時間かかる。

この先は進めば進むほど
残り時間は2倍づつ短くなる。
僅かなミスも許されない。
それ、舞瑠、悠絽走れ!

陽が御坂山塊に沈み始めた。
カヤノキビラの頭まで
突っ走り、どうにか日没前に
笹子峠に戻れそうと安堵。

その先に設置された
稜線上の木のベンチに罠は
仕掛けられていた。

行く手を阻む苔生した倒木

枯葉と新雪がルートを消す


明らかにルートは1つしかない。
ベンチの右(東)方向へ山稜の木立は開かれており
枝には冬期用の赤いテープが巻かれている。
だが積雪で登山道が隠された場合の枝のテープは
行き先場所は示していない。
先程の女坂峠での2の轍を踏む訳にはいかない。

日没まで残された時間は僅かなのでミスは決して許されないのだ。
慎重に稜線の起伏からルートを判断するが
右方向へのルートしか無いのだから迷うことはない。
暫く下ると幹に括りつけられた《笹子峠》への古びた道標。
  この道標に確信を得て更に下るが、幾らなんでも下り過ぎ。
冒してはならぬ2回目の致命的ミス。
道標まで戻り左への分岐点を発見。
歓び勇んで今度こそと稜線を飛ぶように下る。
あれ!左の樹間に雁ケ腹摺山が見える。

しまった!中尾根と笹子稜線の間にもう1つの尾根・
北の中尾根があったのだ。
決して許されぬ3度目の失敗である。

《走れメロス!》
もうお前に残された時間は無いのだ。
 
 落日が迷走の森を染める



 

12月4週・・・猛烈ラッセルの硫黄岳



猛烈ラッセルの硫黄岳 2742m
  コースタイム
実施日:
12月24日(土)ブリザード 
山荘(118km)  6:05 
駐車地点 8:45発 
桜平 9:20   
夏沢鉱泉 9:50  10:05D
オーレン小屋 10:50 11:35D   
硫黄岳頂 13:35 
オーレン小屋   14:05
駐車地点  15:50 
計  7時間05分    
山荘  18:05 

出逢い人・撮影協力
オーレン小屋人3
庄内人2、夏沢峠人2(渡来巴土


大雪 福島・西会津に自衛隊派遣 多数の車立ち往生

大雪に見舞われた福島県西会津町の国道49号で25日午後9時ごろ、
大型トラックがスリップして上下車線をふさぎ、
後続車約300台が約12キロにわたって立ち往生したまま
一夜を明かした。
除雪は26日夜も続いたが、36台(午後9時半現在)が2日目の夜を迎えた。
国土交通省郡山国道事務所は27日朝までの復旧を目指している。

(毎日新聞 12月26日(日)20時39分配信)


 腰までの猛烈ラッセル
赤岩の頭直下
(標高2600m

サハリン付近で発達した
低気圧が
強い冬型の気圧配置を成し
この日・24日から
日本海側を中心に暴風雪。

この24時間内に降った雪は
新潟県小出で84cm。
風も強くえりも岬で
瞬間最大風速33.8mとか。

さて八ヶ岳は?
標高3千mに近い硫黄岳の稜線が
えりも岬より更に苛酷で
熾烈な条件下にあることは確か。
愛犬2頭を車に載せて
一路、八ヶ岳連峰の
硫黄岳へ向かう。

昨夜の雪で桜平への林道は
新雪に覆われ
スタッドレスでも歯が立たず
途中で車を放棄。
さあ、本格的なラッセル開始だ。
今日は登れんよ!
オーレン人は語る


獣の足跡すら無い
まっさらな雪面が急角度で
主稜線に突きあげる。
激しいブリザードで
硫黄岳へのルートは消えた。

地形を読み凍りついた森の
樹氷に、時たま見える
赤いテープを頼りにラッセル。

歩む大地が
沈み込んでしまう初体験に
愛犬共は戦々恐々として
決して前に出ず
後から必死に付いてくる。

腰までの深いラッセルは
チベットの7022mの未登峰
チョー・サブのアタック以来。

膝で雪を押し固め
体重を掛けてその上を更に
登山靴で踏み固め
僅かづつ前進する。
苦痛と緊張と歓びが交叉する。



雪に埋もれた犬
全然進めないよ


オーレンの冬期小屋で
猛烈ラッセルの体力消耗
に備えて
エネルギーと水分の補給。

小屋を閉じて里に下る
中年のオーレン人がポツリ。
「今日は最後だで
頂に登ってから下山と
思ってましたが、
これじゃやとても無理。
稜線じゃ飛ばされぬよう
お気をつけて!」
干柿3個の威力

夏沢峠でギブアップして
逃げ帰った1組の
登山者を見かけたとのこと。

それでは稜線で
ブリザードに晒される時間を
最短にするため
夏沢峠ルートを避けねば。
赤岩の頭の北に
広がる森からアタックしよう。

山荘の大きな干柿を3個
一気に食べ
紅茶で胃に流し込む。
さあ、これで数時間のラッセル
には耐えられるぞ。

もがけど進まず
 
助けて!沈んじゃうよ



冬タイヤでも登れず!

凍りついた河原木場沢を
恐々と渡ると,やや急な登り。
助走をつけて
一気に登りきろうとしたが
二輪駆動の哀しさ。

二度三度試みるが虚しくスリップ。
スタッドレスにチェーンを着けるか
迷ったが着脱の時間が惜しい。
車をバックして森に入れ
車を捨てた。
マイナス20℃の世界へ

車から解放され大喜びで雪の世界へ
飛び出した2頭の犬。
先ずは森の浅いラッセルに
浮かれて快調に飛ばす。

森も谷も雪と氷に覆われ
やがて雪は深くなり
ラッセルが犬の首を超える。
そこで犬達は
立ち止まり考える。
「変だぞ!道が沈むなんて」



見えたぞ硫黄岳!

新築の冬期小屋が
オーレン小屋の右に現れ
その上部で硫黄岳が
風を鋭く劈き怒号を上げる。

突き刺さる風と雪を避け
冬期小屋に飛び込む。
氷の珠を着けた舞瑠の髭が
白く光っている。
X'masコンサート

最初の山小屋・夏沢鉱泉は
冬期営業で明日の晩は
3人のプレーヤーを呼んで
クリスマス・コンサートを開くとか。

深山でのコンサートは
音色が冴えて
下界とは異なる演奏になるのかな。
イヴの今夜も演奏するなら
泊ってもいいけど。



元気なのは最初だけ

「Go!」と云えば
急な岩場だって果敢に
突き進む舞瑠が
大好きな雪を前に前進を拒否。

暫く新雪のラッセルを続けたが
くるりと振り向き
何度「Go!」と叫んでも
ぴくりとも動かない。
「あのね、道が落ちて
脚を蹴っても進まないんだ」
犬ラッセル出来ず

仕方なく犬を後ろに回して
ラッセルを開始。
深く急な雪面を喘ぎながら
登っていると2頭揃って
後ろに引っ張る。

振り返るとな、な何と
下界に逃げ帰ろうとしているでは。
今まで観たことも無い
2頭の行動に唖然!



天国と地獄
赤岩の頭直下(標高2600m


 白檜曾(シラビソ)の根基の穴に潜り込み
顔だけ出してジーット見上げ
動こうとしない。

今までどんな危険な山でも決して
臆することなく喜々として
先頭に立って走り続けてきた舞瑠が
動かないなんて!

腕の高度計は2780mを示している。
低気圧で高めの表示になっては
いるが山頂が目前であることは確か。

「舞瑠、此処を左へトラバースすれば
頂稜に出る。
あと一歩だ。お前にはきっと登れる」
だが恨めしそうに見上げ舞瑠は動かない。
ブリザードの山稜
山頂ケルン手前で


奇蹟が起きた。

氷粒の張り付いた舞瑠の顔に
私の顔を寄せて抱きしめ語り続けると
恰も言語を理解したかのように
目で肯き
白檜曾の穴から身を出し
暴風雪の稜線に飛び出したのだ。

最早強風から身を護ってくれる
森の木々は何処にも無い
岩と氷だけの稜線。
寒がりの舞絽が耐えられる時間は
そう長くは無い。
犬が凍りつく前に頂に達し
森に還らねばならない。
 
   トラバースを終え頂稜に出ると
ブリザードを透かして山頂ケルンが現れた。
ケルンまであと60mか?
だが風に飛ばされぬよう身を低くして
付いて来る舞瑠の眼は
徐々に閉じられるつつある。

氷と雪の粒が眼を直撃しているのだ。
明らかに限界である。
そこから
引き返すには何の躊躇もなかった。 




グリセードで飛ばす

下り始めたと理解した途端
犬達は尻尾を立てて
全力疾走。

寒さから脚を護るため
4本の脚の内、常に1本を上げて
よたよたしていた面影は
最早何処にも無い。
狂喜して下山する犬達

幸い凍傷にもならず
4本の脚は瞬発力を復活した。
いつもの惚れ惚れするような
美しいフォームで疾走。

腰までのラッセルで
2時間も悪戦苦闘した森の斜面を
30分で快調に下る。
2010年最後の素晴らしい山を
与えてくれた愛犬に唯感謝!




風雪と氷・闘いの結果

氷塗れの舞瑠

野生の動物が体毛に
雪や氷を着ける
ことは先ずあり得ない。
水鳥が羽を濡らすことが
無いのと同じである。

体毛に雪を着けたら
更に全身に着雪は広がり
致命的となりやがて死に至る。
犬だって通常の雪では
体毛に雪を着けない。

だが極寒の山稜で
犬は為す術もなく氷に捕らわれる。
犬は呼吸しながら発汗する。
先ず呼気から
吐きだされる水分が
口の回りに凍り着き髭を氷化。
氷の棒になった悠絽のリード

更に呼気の水分は
首から胸に広がり次々と
氷化していく。
勿論、舞瑠は本能的に危機を感じ
懸命になって
着雪した部分を舐めて取る。

助けてやろうと
悠絽の髭の氷柱も舐める。
悠絽はその友情に
甘えてうっとり。
だが悠絽の凍りついたリードに
出来た固い氷の塊は
とても取れそうもない。

極寒に晒された肉球も
体験したことの無い危機に陥り
悠絽は4つの肉球を
交互に舐め暖めている。

氷の髭を舐める舞瑠
オーレン小屋10:50 11:35D

こんなことはあり得ない。
10時50分に着き11時35分に出発。
オーレンの冬期小屋で45分間も
休憩しているのだ。

1年で最も陽の短いこの時期に
ラッセルを覚悟で日帰りで
硫黄岳にアタックしようとする者に
とっては1分さえ貴重な時間。
それが何故45分も?

肉球を暖める悠絽
解答の1つは犬の疲労回復。
犬はウインドヤッケに
着替えることは出来ない。
極寒と強風による体感温度の低下は
肉体に激しいダメージを与える。

これから先更に標高が上がり
寒気と風は強くなり
犬の体力消耗は避けられない。
食べられる限りの餌と水分を与え
体に着いた氷を取って
休ませる必要があるのだ。 

雪穴に逃げ込む犬達  
2番目の理由は
冬期小屋の窓に襲いかかる
ブリザードの激しさにある。
外に出ようにも出られない。

暫く様子をみて更に激しく
なるようであれば撤退も考慮せねば。
そのタイムリミットが45分間で
あったのだ。

外に出ると強風を避け
犬は丸まって雪穴に潜り込み
リードを曳けども
出てこない。 



冬期小屋に飛び込みウインドヤッケを脱いで床に置いたら、悠絽が走り寄りヤッケの上に乗るでは。
「おいおいわざわざ、人のヤッケに乗るなんて性格悪いぜ悠絽!」
と悠絽をヤッケから降ろして別の場所に置き換えた。
すると再びヤッケに走り寄り、ちょこんと乗って澄まし顔。

思わず笑ってしまたぜ!

悠絽のエピソード

そこで初めて気が付いたのである。
冬期小屋の床が余りにも冷たいので肉球を凍結から護るためヤッケの上に足を置いていたのだ。
舞瑠はそこまで知恵が回らないのか、ヤッケに興味を示さず。
如何にも悠絽らしい行動に、思わず笑ってしまった。



山荘の師走
     



最後のワイン詰
12月25日(土)晴


猛暑の影響で
不作の葡萄と知りつつ
敢えて醸造してみたが・・・。
やはり色も香りも風味も
失われ出来たのは
ドライなロゼ風リキュール。

すっかり瓶詰意欲を無くし
セラーで眠らせていたが
詰めない訳にもいかず
重い腰をあげて
どうにか残り56本を仕上げ
てはみたものの・・・
凍てついた野菜
カチンカチンの収穫


トマトがー6℃の
山荘の寒気にもめげず
氷化しながらも
未だ畑に残っていた。

水菜、白菜、青梗菜も
ほうれん草もカリフラワーも
大きな大根も
ガラスか石で出来てるかの
ようにカチンカチン。

でも煮物にするとね、こいつが
実に美味しんだよ。
大掃除開始
床ワックス塗り


そりゃ誰だって
大掃除なんてやりたくないさ。
でもね、ワックスを塗って
ピカピカに耀く
フローリングは気分いいぜ。

犬と同じように
山荘そのものも実は
欠かせぬ仲間なんだ。
ここにこの山荘が居てくれるから
自由に山を駆け巡ることが
出来るし
ヒマラヤにも世界の珊瑚海にも
出かけられるのさ。
もっと大切にしなくちゃね!
華開く山荘
換気扇&テラスも終わったし


ほら大掃除の後の
山荘は気分いいだろう。
未だ床ワックスは1階
しか塗ってないけど
思いきって懸案のテラスの
オイルステンも塗ったし。

ガザニアがニコニコして
大輪を開き
シクラメンも彩を競ってるよ。
山荘の窓やドアは二重ガラス
なのでとても暖かくて
華や観葉植物も大喜び。

今年も随分お世話になりました。
来年も宜しく!



目白の師走
表参道12月29日


雪と氷の宝石を纏った
森の木々の
凛とした華麗な美しさ。

つい5日前の
ブリザードの幻想の森が
忘れられなくて
都会の宝石の森をぶらり。
クリスマスが終わり
光のページェントはひっそり。
表参道90周年で
今年は90万個のイルミネーションに
彩られた木々。

生命なる光への郷愁を込めて
作られたバーチャルの森。
カメラに収めようと
立ち止まった途端
「立ち止まらないでください」
と数人の警官。

五輪橋上の人影は2,3人のみ。
一体何が起きたのか?
彼らはきっと混雑時のマニュアルに
合わせて作られたロボット。
哀しいロボットは
人影が無くてもマニュアルを繰り返す。



17、18、19、21今週のLivre     最新作・・・女流作家4人                      

《太陽を曳く馬》上下(発行日:2009年7月25日)・・・高村薫(55歳)
《原稿零枚日記》
(発行日:2010年8月10日)・・・  小川洋子(48歳)
《甘苦上海》
(発行日:2010年6月21日)・・・     高樹のぶ子(64歳)
《小暮写真館》(発行日:2010年6月15日)・・・    宮部みゆき(50歳)

 この項は《最新作・・・女流作家3人》に載せる予定であったが、大幅に遅れ
今回追加したものである。どうにか年内に間に合った。
前回取り上げた3人については10月の山荘日記を参照。


これで 桜庭一樹の【伏 贋作・里見八犬伝】が揃えば《最新作・・・女流作家5人》
として当初の目論見が完成するのだが
発売は(2010/11/26)で未だ電子書籍で読み始めたばかり。


bQ1 ・小暮写真館

著者:宮部みゆき
他の作品:「
は眠る」、「火車」、「理由」、「模倣犯」
、「名も無き毒」
受賞:
日本推理作家協会賞、山本周五郎賞、直木賞、山本周五郎賞、他
発行所:講談社
発行日:2010年5月15日
定価:1900円+税
読書期間:12月03〜12月30日
評価:★★★★☆
何度捨てようと思ったことか。
12月3日に初めて手にしてから読み終わるまで、近年には珍しい27日間を費やした。
708ページもの長編とはいえ幾ら何でも時間の掛かり過ぎである。
本人は朝日新聞にこう書いている。
・ 
かつての社会派推理小説のように、伏線が絶え間なく連鎖するスリリングな展開にはならない。
花ちゃんと友だちの会話など、「本筋とは関係ない無駄話をたらたらと書いているんです」。
感情が盛り上がるような場面も、あえて筆を抑制した。「ゆるさを大切にしたかった」


筆力の赴くままぐだぐだと無駄話が続き、その無駄話に整合性が無いものだから「理由」や「模倣犯」で
息を詰めて一字一句にアナロジーの機能を全開させてきた読者にとっては
何とも面白くないのである。
だが部分的に読むと実に巧みに人間を描き、小さな取るに足らぬ日常的事件を息づかせてはいる。

まあ、短編を読んでると思ってくだらないけど、もう少し宮部の《ゆるさ》とやらにお付き合いしよう。
その姿勢が読み終わるまでに27日もかかった主な理由である。
幽霊写真が出てきてその解明を依頼され英一が動き回る第一話から三話までは、
「もう、そんなのどうでもいいよ」と何度も投げ出したのだが
最終章第四話の「鉄路の春」では一気に惹きつけられ本を手放すことが出来なくなった。

新宿で乗った中央線で続きのページを開く。いつもは窓外の走り行く、街から森への光景に心を奪われるのだが
全く森を観ることなく塩山駅まで第四話に没頭してしまった。
「一人しかいない従業員は輪をかけてしょぼい。まだ二十代だろうに、いつ会っても化粧っけがなく元気がなく
パサついた髪にはセットした様子さえなく、お茶を出してくれたときに、指の爪が
みんな割れていたので驚いた覚えがある。栄養失調か」

「バッカみたい」ばかりを連発する垣本順子はこうして登場したのだが第四話で読者を実に泣かせるのである。

下車するときに頬の涙に気づき、なんだか気恥ずかしくてうろたえてしまった。
心暖まる魅力的な登場人物がこの作品の総てである。
未だ時々おねしょするけど頭脳も感性も抜群な弟ピカちゃんを始めとして豊かな人間像が
高校生の花ちゃんこと花菱英一を取り囲む。
日本のスティーブン・キングと宮部を評する佐々木敦は登場人物をこう記している。

親友で毛並みも出来も良いテンコこと店子力、まだ小学校低学年の可愛く聡明(そうめい)な弟ピカちゃんこと光、
丸顔で色黒の同級生コゲパンこと寺内小春、不動産会社で事務をしている、いつも異様に不機嫌なミス垣本、
ごく普通のサラリーマン夫婦だが、微妙に変人の父母、
物語の背景にはふたりの死者、幼くして病気で亡くなった妹の風子と、
どうやらまだ家の中に時折出没しているらしい(!)写眞館の主人、小暮泰治郎が居る。


 宮部みゆき1960年12月23日生写真49歳・独身)
2010年9月7日 読売新聞より


独身かどうか家族構成を調べていたら
☆宮部みゆき★(2ちゃんねる)に大胆不敵、誠に失敬な
こんな投稿を見つけた。
この無名草子、大分熱心な宮部のファンらしく
その後も多数の投稿をしていて
宮部に詳しいようなので独身であると断定。
《3 名前: 無名草子さん 処女なのかな・・・ハァハァ・・・。
ゲーム女

宮部自身はテレビゲームで遊ぶことを
スタッフに止められている。
もし遊び始めれば超廃人と呼ばれるほど没頭してしまう
ことが明らかなためである》


えっ!そんな大袈裟な、と思って宮部自身が記している
《ゲーム女の生きる道》を開いて吃驚!
正しく事実だったのだ。

《韓国や中国では、10代や20代の人間が寝食を忘れて
ゲームに熱中し過労死してしまうという事態も発生している」

とは聴いていたがまさか宮部の理性が
それを押し止められぬとは・・・。
いや、これが宮部の小説を書く原動力になっているのかも?
以下、宮部がゲームにのめり込んでいる瞬間の
宮部自身のリポートを載せよう。

 のっけから失礼します。
はぁ、くたびれた……。

「ローグ・ギャラクシー」。
雪の週末に一日かけて、ラスボス戦まで行きました。
 といってもクリアはしていないんです。
レベル不足らしく、歯が立ちませんでした。
でも、今さらレベル上げに専念するのも辛いので、
そこでリセットしてしまいました。
 それでも、ストーリーの理解に大筋で間違いはないと思います。
このあと、エンディングでどんでん返しがあるという可能性はなさそうだし、
ジェスターも、あれが「最後の戦いだ!」と言ってましたからね。
 で、まあいろいろ感想があるわけですが。
 う〜ん、ちょっとがっかりしちゃったなぁ。ですので。


宮部にとってオンラインゲームは高村の
《タバコをくゆらせ、少々のウイスキーをかたわらに》と同じ
脳内活力を刺激する媒体なのであろう。



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