《D》 華麗なる生命


ラジャアンパット・ダイビング

母船からは
ゴムボートでDVサイトへ。
小さいボートなので
飛び込みが難しい。

同時に飛び込まないと
ボートが
転覆する恐れがあるのだ。

当然だが遅れるとダイバーが
水中に消えるまで
飛び込めない。

ボートに戻るのも大変。
水中で重い器材を
外し先にボートに上げて
空身になってから
でないと重くて
これ又ボート転覆の
恐れあり。
一斉飛び込みBCD水中着脱



サイパンのグロット
パラオのブルーホールも
美しい海中洞窟
でありことに異存は無い、

だが何と言っても
ダイバーが多すぎて
興醒めしてしまう。
最早海中観光地以外の
何物でもない。

しかしパッセージUの
洞窟は
不気味な神秘性を湛え
スターゲートである
モノリス・TMA−2を
体感させるのである。
未知なる宇宙が
ここには確かに在るのだ。
The Passage U・洞窟の邂逅



クリーニングする
黒ハギ


全然黒くないのに
クロハギとは?
英名ですら黄鰭であって
黒ではない。

これは敢えて和名を
当てはめた為に生じた
相違なのである。

因みに日本の黒ハギの
幼魚は確かに黒い。
でも必ずしも黒とは
限らないので
ややこしい。

ところでこいつの幼少は
黒かったのであろうか?
Yellowfin Surgeonfish



珍しい
金腹雀鯛

『ラムゼル』は
この辺りの固有種だとか。

余りにも藍が美しく
光輝くので何とか
撮ってやろうと
連日狙っていたが何しろ
素早しこくて
ピントが合わない。

帰国後図鑑で
『ラムゼル』を調べたが
載っていない。
「ダムゼル」(乙女)であった。

和名が無いので勝手に
金腹雀鯛と直訳名を
載せた。
Gold belly Damsel



美しい幼魚
更紗羽太


サラサハタの幼魚を
眼にすることは
中々難しい。
小さいほど白が透き通り
一目見たら
忘れられない。

幼魚は敵に敏感で
直ぐ姿を隠してしまう。
成魚は他のハタと同じように
悠然としていることが多い。

成魚の撮影は容易だが
全体に黒ずみ
水玉も小さくて
魅力に乏しい。

大人より子供の方が
美しいのは生命の
本質を突いているね。
Humpback Grouper 撮影:村上映子
えこちゃん記・15
サラサ羽太を撮る

久し振りのダイビングの際は初めの数本は緊張する。
余分なことは考えたくないので
カメラも持たずに潜る。
初めに潜るときはいつでも自分が魚族ではないんだと思い知る。
数本潜って体が海に慣れてくるとようやく気持ちも
リラックスして心から楽しめるようになる。

するとやはり写真が撮りたくなってくる。


サラサハタは2匹で泳いでいた。
幼魚は透き通るほど白く大きな水玉が
より美しく一度あったら忘れられないそうだ。
この2匹はもう少し大人に近い若魚に違いない。
のんびりムードでデート中だったのかな。
幼魚はもっとすばしこくてカメラの腕の未熟なものには
撮影不能らしい。



宇宙船幻想
黒鰭カマス


アンドロメダ大星雲に
宇宙船・バラクーダ
が重なる。

キャビンの大きな丸窓が
銀河の光を捉えて
リングを描く。

バラクーダの丸窓に
接近すれば
銀河系から飛び立った
オルドヴァイ峡谷の
知的生命の末裔が
見えるかもしれない。

静かに
宇宙船に忍び寄る。

一瞬にして背景に
無数の生命の星々が
重なり宇宙船の
丸窓は更なる光に
満たされる。

オルドヴァイの末裔が
銀河系の知を
総結集して230万光年の
彼方へやって来た
目的は何か?

アンドロメダのスペクトルは
青方変移している。
接近する銀河スペクトルは
青に、遠ざかる銀河は
赤に変移する。
Black Fin Barracuda



マダラハタ
斑羽太

途方も無い速さ
秒速300kmで接近する
アンドロメダは
30億年後には銀河系に
激突し銀河系を
呑み込んでしまう。

知的生命と宇宙の流れとの
無謀な闘いが
始るのだろうか?


斑羽太君が興味津々で
眼ん玉をギョロリ。
「それってさ若しかすると
知は宇宙さえ
コントロール出来る可能性
があるってこと?」
Epinephelus Polyphekadion



カスミヤライイシモチ
霞矢来石持

ヤライイシモチは
黒横縞が殆どだが
琉球、簾(スダレ)、霞矢来
と分かれると横縞数が
増え色も黒から
赤や青系に変わる。

幼魚はシースルーで
蒼く光り美しい。
眼の上下にある2本の
白線も矢来石持には
よく観られる。

歯は恐ろしいほどに
鋭利で針状。
鰭は背、胸、尾共に
透明である。

雄成魚は卵塊を
口内保育する習性がある。
Cheilodipterus Subulatus



カモハラトラギス
鴨腹虎ギス

思わずニンマリ!

こいつの表情を何とか
とっ捉まえてやろうと
虎視眈々狙っていたが
ついに捉えた。

普段見かける顔は
もっと惚けていて眼も
眠そうに見える。

が、この顔は
締まっていて虎の名に
恥じない精悍さを
秘めている。
Parapercis Kamoharai



危険時に泡を出す
黄ハッソク
(羽太科)

中々お目にかかれない
必殺技の持ち主。
危険を悟ると
体表からグラミスチンという
毒液を出して
敵を近づけないのだ。

その必殺技を獲得する
進化のきっかけは
何だったのか?

同じ必殺技を持つ魚に
羽太科のヌノサラシが
居るので同じ
進化を辿ったのであろう。
Barred Soap Fish



ヨメヒメジ
嫁ヒメジ

この1対の黄色い髭
単なる
髭ではない。

砂泥中に挿し込み
小動物を探し出すセンサー
であると同時に
繊細な感覚細胞を
兼ね備えた味蕾でもある。

こいつの捕食を見てると
山荘での猪の捕食を
連想する。

猪が大地を牙で掘り返し
鼻で地中の虫や
草や木の根を食べる様子と
そっくり。
こいつ海の猪?
Upeneus Tragura



スミレナガハナダイ
菫長鼻鯛

不思議なのである。
海中での色は
高雅な紫でこんな
金魚みたいな色では
決してないのだ。

フラッシュを変えたり
自然光にしてみたり
水深を変えたり
だが必ず紫でなく平凡な
赤になってしまう。
と思ってパプアの画像
を見たら紫になってるでは。

雄だけが四角い
サロンパスを張っている。
雌は黄一色で
目の下に地味な
横線が入っている。
Square Spot Fairy Basslet



日本には居ない種
細笛鯛

やりましたね!
フィジーで撮った画像
同定がどうしても
出来なくて匙を投げて
いたのだが
再びこの海で遭遇。

ガイドの
ミキちゃんに訊いたら即
答えが返ってきた。
「これ日本に居ないから
和名無いはずなのに
何故かホソフエダイと
呼ばれているのよね」

英名は明瞭簡素。
「二点笛鯛」
Two Spot Snapper



エポレット・シャーク
ラジャ固有種の鮫


闘いの痕が生々しい。
大物に襲いかかって
反撃されたか
仲間と獲物を取り合って
傷ついたか?

一目で猫鮫の仲間と
判るが文様が全く異なる。
日本の猫鮫は
褐色の太い横帯が
目立つがこの固有種は
帯が斑になっている。

エポレットとは海軍将校の
肩章だが
一体何処が似てるのか?
Raja Epaulette Shark



バッハロー現る
冠武鯛

パッセージUの洞窟を
出てから
速い流れに乗って
ドリフト・DVを楽しんで
いたら黒い影が
悠然と近づいて来た。

おー!でっかい
ナポレオンだ。
と思って更に接近すると
頭に大きな瘤。
ありゃバッファローだ。

カンムリブダイは正面
からの顔が迫力満点。
前面に廻ろうと
泳ぎ回るが流れが速くて
廻れない。
残念!
Humphead Parrot Fish



育児嚢を持ってまーす
ワカ楊枝

龍の落とし子と同じ
楊枝魚科で育児嚢を尾部
の腹に持っている。

勿論育てるのは雄で
産着卵は育児嚢の
左右の皮襞が覆い隠し
育児中とは
全く判らない。

見ていても殆ど動かず
流れに揺られると
僅かに動く程度。

成魚は28cmにもなるが
この黄色いのは
小さくて撮りづらい。
未だ子供なのかな?
Double ended Pipe Fish



ヒメクロイトハゼ
姫黒糸鯊

クルージングの最大の
悩みは朝トレーニングで
走れないこと。
仕方なく軽い体操のみ。

腹筋運動とストレッチを
終えると6時の鐘が鳴る。
軽食を知らせる
朝1番の鐘で2番目の鐘は
朝食前のDVを知らせる
7時30分に鳴る。

この1本目のDVで
昨夜の酔いを醒まし
DV三昧の1日が始る。

最初に出逢う魚には
いつも声をかける。
『よっ!今日も宜しく』
Valenciennea Parva



カミソリウオ
剃刀魚


下の括れた部分の
中央をよーく見て!
やや黒い円があって
そのぐるりを放射状の
白線が見えるだろう。

これが眼なんだ。
眼すらこんなに目立たない
完璧な擬態。

体色だって緑の海草を
背景にすれば
緑に変えるし擬態のプロ。

龍の落し子や楊枝魚と同じ
育児嚢を持っていて
受精卵を育てるんだ。
Ghost Pipe Fish



モンガラカワハギ
紋柄皮剥

派手派手しい紋柄で
遠くからでも一目で
モンガラカワギと判る。

擬態と反対に
目立つことによって
敵に警戒心を与え被捕食を
免れるには
この文様には毒があるとか
硬くて食えないとかの
事実が必要になる。

どうもそんな様子は無い。
そうか、もしかすると
これは全魚共通語で
「食えません」と書いて
あるのかも知れない。
clawn Trigger Fish



トノサマダイ
殿様鯛

レストランの大皿に
置いてある梨を取って
ナイフで皮を剥き
齧り付きながら
ゆっくり1本目の撮影
準備を始める。

陸上宿泊と異なり
移動時間が不要なので
1日4DVであっても
充分時間がありDV準備も
食事も読書もゆったり。

昨日撮った画像を再生したら
アレッ!殿様鯛。
黒斑が海月蝶々魚に似て
何処にでも居そうで
簡単に撮れそうで・・・。
こやつをキャッチしてたのか?
でもピンが甘いな。
Chaetodon Selene




ミゾレチョウチョウウオ
霙蝶々魚

これも初めて当HPに
お目見え。

いつもは背鰭を
寝かせているのでこんな
山嵐のようなイメージは
無いのだが・・・

18cmにもなるのに
こいつマンタの
クリーニングをするらしい。

おちょぼ口にも黒帯があり
4段階のグラデーションが
雪と雨の混じった霙を
連想させるのかな。
英名は雲間から洩れる
かーっとした日差し。
Sunburst Butterfly Fish



ハシナガチョウチョウウオ
嘴長蝶々魚

9時からの朝食を終えて
2本目のDV
11時30分までの2時間は
魚類図鑑とにらめっこ。

この海域は
なにしろ魚影が濃くて
見慣れたはずの魚が
よく見ると
全く別の知らない種で
あったりするのだ。

この嘴長も図鑑を見て
今まで撮っていない種で
あると感じた。
笛奴鯛と体形、後部の
黒点が酷似しているので
未撮影と思ったが
ランカヤンに載っていた。
Beaked Cora Fish



キスジゲンロクダイ
黄筋元禄鯛

白地に黄色の三横帯
後部の黒斑は
嘴長蝶々魚とほぼ同じ。

異なるのは眼にかかる横帯。
黄色いのが嘴長蝶々魚
黒がこの黄筋元禄。

吻は勿論、嘴長蝶々魚が
 
断トツに長くて
体形は黄筋元禄の方が丸い。

等と確かに異なるが
イメージとしては
限りなく同一なのである。

このような微細な差異が
何故
生命には必要なのか?
Yellow Banded Coralfish



ヒフキアイゴ
皮膚黄藍子

いや、微細な差異は
結果論であって
1つの生命が発達し分化する
必然的過程なのだ。

それでは同一種が
恰も異なる種で
あるかのように色や文様を
変えるのは何故か?

この火吹藍子は
黄色の体側に大きな黒斑
を付けたり体側上部を
グレーに変えたり
夜には黄色を茶褐色に
変えてしまう。

これも分化の必然的過程?
foxface Rabbit Fish


日本に棲息せぬイナズマヤッコ
稲妻奴

蝶々魚科、巾着鯛科
それともまさか
ニザダイ科?

アデ奴に近いけど?

何回も見かけた
お馴染みの奴と思って
図鑑を捲ったが・・・
何処にも居ないのである。

日本に棲息してないのに
和名のある
細笛鯛と同じく稲妻奴は
名前のみで体は
日本には無い。

南洋諸島が日本の領土
だった頃の名残か?
Blue-Girdled Angel Fish



アデヤッコ
艶 奴

実に複雑面妖な
顔をしている。

その顔を正面から
撮りたいのは山々だが
個体数が少ない上
神経質で直ぐ
逃げてしまう。

眼の下から顎にかけて
マスクメロンの網目
のような藍文様をつけて
両眼に黄帯を
掛けている。

胸鰭、腹鰭の発光縁は
漣奴
よく似ている。
Yellow-Mask Angelfish



アカククリ
赤 括

てっきり燕魚を
撮ったつもりで再生したら
眼の前方が凹んでいる。

誰しもが騙されやすい
赤括の成魚。
名前の由来は幼魚の
目を瞠るような
鮮やかなオレンジの
縁取りからきている。

岩礁の闇を背景にした
赤括の幼魚に
遭遇した時の驚きは
忘れられない。

2度程その幸運な瞬間に
恵まれたが画像を
得ることは出来なかった。
Pinnate Spade Fish



クラカケチョウチョウウオ
鞍掛蝶々魚

黒い目に更に大きな
黒斑をつけるのは
目を大きく見せるため。

人間の場合は
目が大きいと魅力的で
雄を惹きつけると
雌が考え、実際効果も
あったりするようだ。

鞍掛の場合は
敵への威喝だろうか?
それともやはり異性を
惹きつける役割を
担っているのだろうか?
Panda Butterfly Fish




擬似曙蝶々魚・和名無し
黒点尾蝶々魚

白黒の斜め縞が
鞍掛蝶々魚とよく似ている。
違いは
目の黒斑が黒帯になり
尾鰭に黒丸が付いただけ。

曙蝶々魚と較べると
鞍掛より更に酷似し
殆ど区別出来ない。

敢えて差異を探すと
背鰭近くの黒い部分が
曙の方は
濃いかなと言う程度。

そのくらいの変身なら
簡単に出来そうだけど
やはり種が異なるのか?
Spot-tail Butterfly Fish



セグロチョウチョウウオ
背黒蝶々魚

メナド・ラーメンと称して
安いインスタント・ラーメンが
出たりする食事には
がっくりくるが
一応魚、肉、温野菜、生野菜
果物、スープと
メニューは揃ってはいる。

珍しく刺身が昼食で
出たら皆大喜び。
刺身といえばビヤか日本酒。
だが昼から呑んだら
2時30分からの
3本目のDVが出来ない。

仕方なく紅茶で刺身を食べて
海に入ったら
ほろ酔いの目をした背黒嬢。
何だかもう出来上がった目で
『あら!いらっしゃい』
Saddle Butterfly Fish



ムレハタタテダイ
群旗立鯛

夢梅色の織る帯を
背景にして群旗立鯛が
ゆったりと舞う。

えこちゃんが
嬉しそうに再生画像を
見せる。
『おー!ベストショット
いいアングルだね』

この調子なら
撮影・編集に加われるね。
よし次の章
《E》 海のアーティストの
スケッチ書いてよ。
任せたよ。
Schooling Banner Fish 撮影:村上映子
えこちゃん記・16
群旗立鯛と夢梅色の群

ぱちりと一枚の手応えあり。
こういう写真が撮りたかった・・かな。
海中で写真を撮るのがいかに難しいか!実感しているだけに
坂原氏の写真を撮る熱意には感歎してしまう。
とても真似できないと悟ったので
自分の写真スタイルを模索中。
相手は生き物、偶然に頼らざるを得ないけど
やはり良い写真が撮ってみたいと思う。



無数の乱舞

カメラを構えて魚群を追うえこちゃん




《E》 海のアーティストへ





Indexへ