シミラン・ダイビング

珊瑚海・生命への旅

            珊瑚海・・・・・・・もう1つのヒマラヤ


其の4

Similan&Surin
             撮影日:2006年2月  場所:シミラン・スリン諸島
                      撮影or編集:坂原忠清


L シミラン(タイランド)


相対評価・・・《5》最高、《4》良い、《3》並、《2》やや悪い、《1》悪い
珊瑚の成育 3 透明度 魚影 静けさ(ダイバー数) 3 周辺環境(汚染等) 3

総合評価・・・《



部屋に舞う蛍
アンダマン海に突き出した花崗岩の9つの背鰭・・・シミロン
ミャンマーとの国境に潜む甚平鮫の回遊岩・・・リチェリューロック
5mもの
巨大マンタが舞うスリン諸島のボン島
環境保護のため僅かなこの時期しか入域を許されない神秘の海

しかし追い求めてきたマンタも
甚平鮫も再び幻
マンタとの邂逅に期待を賭けた最後のDVを虚しく終えた夜
室内灯を消した部屋に3匹の蛍が舞った
視覚の媒体手段を失った闇は室内を無窮の時空に変換する
幽し光が漆黒の闇に生命の軌跡を描く
おいおい、忘れちゃいけないよ!
生命の叙事詩を奏でるのはマンタだけじゃないぜ

源氏でも平家でもない熱帯蛍

シミラン・スリン諸島

数百万匹の透かし天竺鯛の
群れに囲まれ唖然!
虚空の果てからやって来た
たった1つの生命体にとって
それは銀河への突入

1つ1つの固体は透明で
内部の骨格が見える。
6センチ程のスケルトンは
肉体に光を通し銀河内の
光量低下を防ぎ
数百万の星々を煌かせる。

生命銀河の真っ只中で
認識体となって浮遊する
たった1つの生命体は
かつてない孤独に
突然襲われる。
銀河・透かし天竺鯛 DVpt:Richelieu Rock
DVdate::2006/2/26
DVno:130
30万光年の彼方から
やって来た
もう1つの銀河・夢梅色。
2つの銀河が激突するには
未だ30億年の猶予が
あったはず。

無数の生命が交差し
やがて夢梅色銀河が
透かし天竺銀河を突き抜けて
孤独な認識体を襲う
銀河衝突・夢梅色銀河と天竺銀河 DVpt:Richelieu Rock
DVdate::2006/2/26
DVno:130

やがて
何事も無かったかのように
夢梅色銀河は
時空の彼方へ。

この銀河のドラマは
30億年後の我々の現実。
銀河系とアンドロメダ銀河は
雄と雌が引き合うように
激突し
新たなる銀河を生む。

純粋な認識体となって
その宇宙史を観察出来るのは
宇宙船ディスカバリー号から
時空通路モノリスに
吸い込まれたボーマンだけ。
DVpt:Richelieu Rock
DVdate::2006/2/26
DVno:130
夢梅色の群舞

ボーマンにさえ
なれる無重力世界。
そこで語られる
宇宙の叙事詩
海が語る言葉を
もっと理解したい。

海が宇宙そのものであると
知りながら
海の言葉を充分に
聞き取れないもどかしさ。

多分その1人が命名
したであろう海団扇都市。
彼はこの巨大海団扇から
どんな話を聞きだしたのか?
海団扇都市 DVpt:Sea Fan City
DVdate::2006/2/27
DVno:133

こんな瞳で
じーっと見つめられたら
どうする?
と感じたりするのは人間だけ?
他の大型熱帯生物にとっては
単なる獲物?

それを誰よりも
よく知っている蛙魚君。
僅かな動きの気配で
直ぐに穴に引っ込んでしまう。
やっと撮れたよ。
インドの蛙魚君。

その
大きな漆黒の瞳まるで
ボーマン
(2001年宇宙の旅
が吸い込まれた
時空通路みたいだね。
DVpt:Sea Fan City
DVdate::2006/2/27
DVno:133
円らの瞳・印度蛙魚・固有種


海が宇宙そのものであるならば
強烈な重力場によって
歪められた空間があるはず。
ブラックホールや銀河によって
海の重力レンズが生まれ
銀河群アベル370の彼方も
見えるかも知れない。

DV134回目にして漸くその
メッセンジャーに回り逢った。
鮮やかな熱帯魚達の文様は
押並べてガリレオとニュートン
の歪まぬ絶対空間に
描かれている。
楕円でも渦巻きでも無い
この文様こそ
アインシュタインの予言。
彼女は銀河群370の彼方へ
私を
誘ってくれるだろうか?
DVpt:Koh Bon
DVdate::2006/2/28
DVno:134
時空の歪み・輪抜け奴・固有種


気体層から液体層へ
沈んだ船舶。
それは真空宇宙から
気体層へ
舞い降りた宇宙船。

30億年の彼方にある
銀河アベル370に沈んだ
宇宙船は
歪んだ空間によって
最早形を失ってしまった。
アベル370の世界は
総て巨大な弓状の輝きに
閉じ込められてしまった。
しかし時空通路さえ
手に入れれば
弓状の輝きを遡る事も
不可能ではない。
海はそんな
可能性すら示唆する。
沈 船・Wreck Dive DVpt:Beacon Reef
DVdate::2006/2/25
DVno:129


サイパンのグロット
パラオのブルーホール
そしてここシミロンの海底迷路。
何れも時空通路への予感を
濃密に孕んでいる。

迷路に侵入した2つの生命体
にデジカメを向けたとき
ファインダー内の軌跡に
世界線が見えた。

《4次元空間の1点は
ある時刻、ある場所での
事件に対応し
事件の連続は
世界線を構成する》

時間軸を加えられた
4次元空間で
今2つの生命体は
静かに世界線を描く。
DVpt:Elephant Head Rock
DVdate:
2006/2/25
DVno:
128
海底迷路・象頭岩


銀河群アベル370の
弓状の輝きを遡ったら
アベル人に逢った。

「スターメイカー」を著した
ステー・ブルドンを
待つまでも無く昔から人々は
こいつをモデルに宇宙人を
創造してきた。
確かにこいつの環境への
適用能力には
目を瞠るものがある。
その柔らかさで自在に変容し
体色も一瞬にして変える。
その上
動力はジェット推進
敵に対しては
黒いレーザー光線で煙幕を張り
追尾を攪乱する。
エネルギー不足時には
自らの肉体を消化する。
正に理想的宇宙人。
鮫肌手長蛸 DVpt:Richelieu Rock
DVdate:
2006/2/26
DVno:
131


《理想的宇宙人》
に待ったをかける声。
「あいつにゃ顔らしきものが
無いぜ」と言って
ぷーっと、膨らんでいた
体を戻したら人面になった。
眉毛が1本なのは
ちょっと気になるが
なるほど確かに人間の顔だ。

顔があれば宇宙人になれる
なんてことはないと
百も承知で敢えて
名乗り出るなんて
中々ユーモアのある奴。
しかし、どうして?
その背中の刺青
気になるなー!
本当の理由を教えておくれ。
DVpt:East of Eden
DVdate::
2006/2/27
DVno:
132
ひとずら・人面針千本


「アベル人は俺さ
文句あっか!」
あのね、いくら重力レンズで
世界の総てが弓状に
歪んでしまったからとは言え
そちらさんがアベル人だなんて
信じられないよ。
そりゃ、長くくねくねした
知的存在が居ても
宇宙は広いから
可笑しくないかも知れないけど
あんた蛸が大好物で
蛸食っちゃうんでしょう。
知的存在はね
生命体を破壊して直接
エネルギーを補給したり
しないんだよ。
人間はそうしてるって?
そりゃ人間が未だ
知的存在では無いからさ。
毒うつぼ遍羅クリーニング DVpt:East of Eden
DVdate::
2006/2/27
DVno:
132









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