パプア・ニューギニア・ダイビング

珊瑚海・生命への旅

            珊瑚海・・・・・・・もう1つのヒマラヤ

其の14




Papua Newginia
Madang
        
撮影日:2007年7~8月  場所:マダン    
  

撮影・編集:坂原忠清


23 マダン(パプアニューギニア)


                                   

相対評価・・・《》最高、《》良い、《》並、《》やや悪い、《》悪い
珊瑚の成育 透明度 魚影 静けさ(ダイバー数) 周辺環境(汚染等)

総合評価・・・《4+



微かな少年の記憶の中に鮮やかに残る《火喰い鳥》とパプア・ニューギニア(PNG)。
その鮮やかな色彩を追って2年前に初めて訪れたPNGのアロタウ。
珊瑚の美しさ、巨大マンタとの遭遇に圧倒された。
しかしDV以外の活動が出来ず
DVの画像も失われアロタウをHPにアップすることはなかった。

2度目のPNGは北部のマダン。
未開発のアロタウのような新鮮さは無いもののマダンは充分に魅力的であった。
小さな島で暮らす漁民の子供たちとの触れ合い、獲れたてのマグロや鰤、鰹、シャコ貝をその場で
刺身にして食べる日々。
山岳民族の子供と極楽鳥を求めてジャングルを彷徨い
森に熟すパパイヤ、食べた事の無いカカオの実、グアバ、ビートル・ナッツをもいで食べ
夜には戦闘舞踊・シンシンの輪に加わった。
我々が持参した生きた鶏をタロイモや野菜と共にココナツミルクで煮込み饗応してくれた彼等との
触れ合いも忘れられない。



PNG国旗
極楽鳥と南十字星

双発機の機体に
描かれたPNGの国旗。
太陽の炎に舞う極楽鳥と
漆黒の宇宙に煌く
南十字星。

パプアの旅は
極楽鳥と南十字星を
心象風景にして
ポート・モレスビーを
テイクオフ。
向かうは
パプア北西の街・マダン。






火喰い鳥
カソワリ


忘れていたのだ。

出逢った瞬間強烈な彩と風貌に捉われシャッターを押し続けた.
鋭い火の瞳,極彩色の首の皮膚,黒光りする長く硬質な嘴。

カソワリと聴いたがそれが《火喰い鳥》
事であると思い出したのは帰国後のことであった。

少年の頃ラジオドラマで聴き続けたパプアの《火喰い鳥》との
劇的な出逢いに気が付かなかったのだ。




熱帯樹の知恵
支え襞

時には百メートルを超える
熱帯樹は
倒れぬよう幹から
何枚もの襞を発し
ロケットの羽のように装い
地上に聳える。

スイッチさえ押せば
今にも飛び出しそうな熱帯樹の
羽に身を置き
樹の心に周波数を合わせる。

知ってるんだよ!
総ての樹木が
天空を目指す意図について。
巨大蝙蝠の街
マダン

予備知識が無かったので
まるで不意打ちに
逢ったような驚きで
樹上を仰ぎ見た。

烏程の大きさの
巨大蝙蝠がびっしりと
大樹を覆い

真昼の空を恐れず
尾の無い奇妙な容姿で
天空を舞う。

マダンの街の到る所に
蔓延る。
夕刻には空を黒く覆い尽くし
果物を食べる為
ジャングルへ出勤。
その名はフルーツ蝙蝠。



足バンド
滑落防止

マダンの街で
生きた鶏、キャベツ、人参等を
買って山岳民族の村
ハヤのバルリナへ向かう。

ジープを降りて
村長のウイライに挨拶し
少年をガイドにして
ジャングルへ入る。

頭上遥かな高みに
ビートル・ナッツを見つけ
採ってきてやると言う。

落ちてる枯葉を
輪にし足に巻きつけ
するすると登る。
余りの速さに唖然!
採れたぞ!
グアバの実
ヘルマンは木のてっぺんから
更に小枝を伝い
先端のグアバの実を狙う。

枝が折れたら
十数メートルは落下する。
見つけた親父が
流石に心配し怒鳴る。
ヘルマンは何処吹く風。

こうしてヘルマンは
一人前の森の男に育ち
いつの日か
ジャングルに獲物を
追うようになるのだろうか?



カカオの実だよ
種はチョコの原料

ひょいと樹から
もぎ取って割ってくれた実は
カカオ。
少年が差し出した
カカオは緑から茶色に熟れて
食べ頃だと言う。

えっ!
カカオって食べられるの?
茶色の種を水に漬け
発酵させてココアや
チョコレートの原料に
するんじゃないの?
この白いゼリーが
旨いんだぜ
まーまー良いから
食べてごらんよ!

種を噛んじゃだめだよ。
この白いゼリーのところだけ
食べて種は
出すんだよ。

口に入れてみる。
あれっ!
こんな味知らない。
マンゴスチンとドリアンと
ランブータンをブレンドしたような
摩訶不思議な美味しさ。

ふーん!
この世にはこんな美味な
食べ物があるんだ!



戦闘舞踊
シンシン

森から戻り
夕闇が迫ると
シンシンの
準備を終え
着飾った村の衆が
不意に現れた。
女性舞踏団
登場

パプアとは縮れ毛のこと。
少女の頭の毛も
縮れていてパプア人
風貌をとどめている。

大きな乳房を
森の葉で覆い歌いながら
村の広場へと歩む。



太鼓・クンドゥ
イグアナの皮

小部族でありながら
彼らは独自の
言語を持っている。

僅か500万の人口に対し
言語数は800を超える。
つまり800以上の
異なる言葉を話す部族が
PNGには存在するのだ。

部族ごとに言語、習慣
伝統が異なり
かつては各部族同士で闘いを
行うことがよくあり
その習慣は
今も一部残っている

(Wikipedia)

彼らはクンドゥを敲き踊り
戦闘意欲を高める。
極楽鳥の羽飾り
頭と尻の飾り

小部族で在りながら
独自の言語を持つ彼らは
1つの言語を意味する
《ワントーク》と呼ばれる。

国旗に描かれた
極楽鳥の羽を頭に飾り
腰に巻き
プリミティブな律動を繰り返し
部族は高揚していく。

世界の隅々まで
観光化が進みシンシンも
その例に漏れない。
しかし
そのチャンスは少ない。

我々2人の為に
踊ってくれた彼らには
感謝の言葉も無い。



限りなく透明
DVボート

どうだ!
これが珊瑚海の美しさだ。

リゾートの波止場に
朝9時集合。
何とダイバーは我々2名のみ。
後日
カナダのダイバーが
1名加わったものの
この大きな
2階建てクルーザーは
優雅なオーナー気分。

2階の操舵室から
見下ろす海は
限りなく透明。
静かな珊瑚海
ピグ島
ビスマーク海からの荒波を
幾つかの島々
クランケット島や
ピグ島が遮り
島々の間を
パッセージと呼ばれる
激しい海流が巡る。

島の内側に入ると
珊瑚礁が黒い影を落とし
静寂と透明の海が
ガイヤを包む。

広角レンズで捉えた珊瑚海は
円くカーブし
恰もガイヤ其の物が
美しい珊瑚海



棘細枝緑石
Acropora secale
石珊瑚目緑石科

透明な海に黒い
シルエットを落とす珊瑚は
まさに海の宝石。

大気の層に別れを告げ
透明な液体層に
潜った途端
黒いシルエットは一瞬にして
煌く宝石群に変わる。

碧いサファイヤのような
この石珊瑚には
《星の誕生》と
命名しよう。
青 珊 瑚
Heliopora coerulea
青珊瑚目
大量の炭酸ガスは
地球を温室化し
知的生命の発生を阻止した。
この炭酸ガスを
どうにかしなければ
生命樹形図の
壮大なプログラムが
地球上で描かれることは
在り得ない。

ポナペDVより)


余りにも美しい珊瑚を
目にするといつも
生命に果たした珊瑚の使命に
思い至る。
美しいだけでなく
珊瑚は生命の生みの親。
コモンシコロ珊瑚
Pavona clavus
巨大珊瑚山

ピグ島とスモールピグ島
(つまり親豚と子豚島)
の間を流れる
ピグ・パッセージの海底には
今まで見たことの無い
巨大な珊瑚の山があった。

一見
ソフト・コーラルに見えるが
こいつ硬い石珊瑚。
このふやけた指のような
柱状体珊瑚が
高さ数十メートルの山を
形成しているのだ。

石珊瑚目
平吹珊瑚科の山である。



子豚島の漁民
人口50人

小さな可愛らしい島
子豚島。
現代文明を遥かに超越した島。

朝釣りを終えて
帰ってきたボートに付いて
子豚島に上陸。
タイムスリップしたような
懐かしい生活空間に
包まれる。

一瞬にして
この島に魅せられた。
南十字星と極楽鳥を
バリアーとして
豊穣な自然の恵みのみで
生きる奇跡の人々。
釣りたての鮪
Thunnus albacares
迎える裸ん坊

でっかーい黄肌鮪が
釣り船から
放り投げられる。
迎えるはフルチン坊や。

DVボートから海に飛び込み
島まで泳ぎ
一緒に魚を運ぶ。

椰子の葉で葺いた
小さな家が数軒
釣り用ボートが2艘
人口は50人程度だと言う。
長さ150m
幅30m程の小島。



釣船から島へ
魚を運ぶ子供

鮪、鰹、鰤、鮫、鯵等が
釣り船から海へ
次々に投げ込まれる。

海が魚の血で染まる。
フルチン坊やが
歓声を上げて泳ぎ寄る。

発泡スチロールの蓋を
筏にし魚を乗せて
浜まで運ぶ。

何というこぼれる様な
天真爛漫な笑顔!
子供たちの美しさに
心を抉り取られる。
捌くのは大人
見つめるフルチン坊や
陸揚げされた魚は
即、内臓を取り出し手際よく
捌かれる。

村人総出で
島のそこかしこに座り込み
愉しそうに
お喋りしながら仕事は弾む。

フルチン坊やは
大人の手捌きをじーっと
見つめる。

さて今夜は獲りたての魚で
刺身三昧だぞ。
『鮪一匹いくら?』
20キナだって!嘘だろ。
日本円で
たったの800円だぜ。



生きてる蝦蛄貝
最高の刺身


我々DVチームも
子豚島チームに
負けてはいない。

船長のシキタが
獲り立ての蝦蛄貝を
刺身に下ろす。

白い貝柱の部分と
黒い膜の部分に分ける。
こりこりシコシコして
仄かな甘味があり
山葵醤油をつけて食べる。
最高の贅沢。

重いけど貝は日本に
持って帰ることにし
シキタに磨いてもらう。
鰤刺身船上調理
シキタ名調理人
8月1日は朝から
貿易風が吹き荒れ大波。
DV可能か否か
判断に苦しむ。

荒波に飛び込むことは出来る。
問題はイキジットである。
大波に揉まれての
船への接近は激突の
危険を伴う。
だが敢てパッセージに挑む

悪戦苦闘し
ビグ・パッセージから
船に上がるとシキタが
釣り上げた鰤を
早速刺身に下ろす。
今日もまた刺身が主食。
ビアが副食。



バラクーダ回遊
Black fin barracuda
豊かな漁場


正確には鬼カマスのみを
バラクーダと言う。
カマス(Great Barracuda)は
時には鮫以上に凶暴で
しばしば人を襲い
単独か数匹で行動し
群れを造らない。

これは大カマスで
背鰭が2基あり
尾鰭は黒いBlack fin)
鬼は2m近くなるが
大カマスは1m程で
そう凶暴ではない。

この海域では鮪と共に
大カマスには
そこかしこで出っくわす。
銀亀鰺
Big-eye trevally
鰓蓋上方に黒点
ゆっくり近づいて来る。
くるりとした目の後ろに
黒子が見える。
これが銀亀鯵の決め手。

尾鰭に連なる糸鋸のような
ぜいご(稜鱗)が
白銀の体側に黒線を引く。

大カマスのように
大きな群れで鯵玉や
円、渦巻きを成し
悠然と回遊する。

うーん
旨そうだな!
鯵の敲きもいいな。



沈船ヘンリー・リース
レックDV


あんまり海が荒れるので
沈船の内部に
潜り込んだ。

静かである。
海水は動きを停止し
静寂と闇が世界を満たす。
深海のスクリーンに
覆われ魚の動きも
緩慢になる。

キャビンの窓から
海の光が洩れる。
僅かな明かりに
小さな魚が集まる。
金目擬き
Pigmy sweeper
闇の一隅にカメラを向け
フラッシュを焚く。

半透明な無数の生命が
光を浴びて
うろたえ逃げ惑う。

『透かし天竺鯛』かな
と思ったが
胸部付近が金色に
輝いている。
発光バクテリアだ。

そうかこれは胸に
発光バクテリアを持つ
キンメモドキだ。



鬼旗立鯛
Masked banner fish

リーフの外側・外洋にある
プラネット・ロックは
凪にならないと
潜れない。

昨日の大荒れが嘘の様に
8月2日は
静かな朝を迎えた。
外洋に出られる
絶好のチャンス。
若しかすると歯を剥き出した
恐ろしいハンマーヘッド
(撞木鮫)に逢えるかも

飛び込んだ途端
透明なガラスのような海に
溢れんばかりの魚影。
でも撞木鮫には逢えず
いつもの鬼旗立鯛でした。
海月蝶々魚
Blue-lashed
butterfly fish

クラゲと読んでは駄目。
ウミズキチョウチョウウオ。

なんか白い絵の具が
余っちゃったな!
何処に塗ろうか?

先ず黒の縁取りをして・・・
まだ余るから
斜めの線でも入れるか。
てな感じである。

こいつ居そうで居ない。
背鰭の棘が14本もあり
しかも堅く強い。
捕食者への防止策?



目尻アイゴ
Siganus puellus

マジリアイゴは
混じりなのか目尻なのか
解らん。
命名にはそれなりの意味と
歴史があり
カタカナ表記では
片付けられない。

目周辺に黒帯を塗る魚は
よく目にするが
野球選手も真似している。

直進してくる球のような敵
を明確に捉えるには
好都合なのだろうか?

背鰭、臀鰭、腹鰭の棘には
毒があり刺されると痛い。
亜細亜胡椒鯛
Oriental sweetlips
幼魚は似ても似つかぬ姿。
白黒のツートンカラーで
とても同種とは思えない。

8月3日の最終DVで
深度30メートルの
潜行が長引き
腕のDVコンピューターが
残り時間1分を告げる。

その直前に
亜細亜胡椒鯛と遭遇。
魚を撮るか安全を取るか?
シャッターを押した途端
DECOマークが表示され
コンピューターが騒ぐ。
やばい!
警告を無視すると
ロックアウトしてしまう。



ニューギニア・ベラ
Newginia wrasse

追って追って
やっと捉えたPNG固有種。


実に優美な曲線を描いて
瞬時も留まらず
泳ぎ回る。

白黒のツートンに
夜光塗料のような光る
水色の点線を鏤め
なんともお洒落。

その上よく見ると
目の後方鰓蓋、臀鰭に
眼状斑と呼ばれる
文様を付け
短調なデザインを救っている。

成熟した雄になると
眼状斑は消える。
菫長花鯛
Square-spot 
fairy basslet

何だこりゃ?
サロンパスを貼っている。
と思うのは私1人では
ないらしくこいつの
ニックネームはその名も
『サロンパス・フィッシュ』

花鯛は正しく珊瑚の花。
透明な浅い珊瑚礁に
燦々と差し込む光。
宝石のような珊瑚に
キラキラ反射した光が
真っ赤な花弁を映し出す。

無数の花弁・花鯛が
七色の宝石上
を舞う光景に我を忘れる。



管権兵衛
Long nose hawkfish

お懐かしい権兵衛さん
君は体内に浮き袋を
持っていないんだね。
だから体が重くて
いつも何かの上に乗って
体を支えているんだ。

支える胸鰭は
厚くなっているんだろ。
その内、そこから
足が生えてきて
歩き出して畑の
権兵衛さんになるのかな?

そういえばいつも
海の上をじーっと見つめて
今にも飛び出しそう。
嫁ヒメジ
Upeneus tragula

苦労したぜ!
この髭ざかなめ。

何処にでも居そうで
なかなか見つからない
だけでなく
直ぐ逃げてしまう嫁ヒメジ。
カメラをパンして
やっと捉えた像も
ピンボケ

下顎に2本の髭を着け
こいつで海底を漁り
掘り起こし小動物を
捕食する。

小父さんと言うヒメジが
有名だけど
その嫁さんかな?



頬棘熊之実
Spine cheek anemonefish

実は和名は無い。
つまり日本には棲息しない。
英名を直訳すると
ホホトゲクマノミとなる。

よく観てごらん。
目の下、白線の中央に
棘が見えるだろう。
これが特徴。

熊之実は元々鰓蓋骨に
長い棘を持っているが
頬に在るのは
とても珍しい。
2属28種も居るニモだが
若しかすると
頬棘はこれだけかな。
橙色鰭熊之実
Orange-fin anemonefish
これも和名は無い。

熊之実にそっくりなのだが
よーく観ると
何処か違う。

黒いボディに白線2本。
同じじゃないか?
白線の位置も同じだし・・・

解った!
白線の太さだ
熊之実は同じ太さだが
こいつは後の線が細いんだ。

そんな小さな違いが
一体何を意味するんだ?
誰か教えておくれ!



燕 魚
Longfin batfish

この平べったい
団扇のような奴が
沖にでると1メートルにも
成長するらしい。

そこまで大きくなると
滅多にはダイバーの目に
触れることは無い。

近づいてみたが
恐れる気配は無くて
じーっと見つめられてしまう。
黙っている訳にはいかなくて
思わず
『あのストーカーでは
ありません』
蛙 魚
Striated frogfish
辛うじて目が判別出来る。
ライオンの鬣のような
背鰭前方の下に
丸い点が見える。
これが目である。

偶然、前回のマジュロDVと
同じ蛙魚に出逢ったが
これは、そんじょそこらに居る
奴とは大違い。
図鑑、ネットで片端から
調べたが見当たらない。

その上とてもアングルが
難しく何処から撮っても
歩行スタイルが決まらない。
目が合っても
知らん振りしてるし・・・。



花髭うつぼ
Ribbon eel


いつも泣かされる被写体。
鼻の先に髭のような
黄色いリボンが
着いているのだが
見えるだろうか?

この黄色に
コーディネートさせて
背中に黄色のラインを引いて
中々のお洒落。

この黄色ラインとリボンを
鮮やかに撮りたいが
いつも失敗。
今回も数十枚の画像を
撮ったがやはり
リボンはピンボケ。
黒頭海蛇
Black headed sea snake
神経毒を持っている。

獲物や敵の神経から発する
放電を遮り
神経を麻痺させ
呼吸や心臓を停止させ
死に至らしめる。

沖縄では毎年こいつに
咬まれての死亡事故が数件
発生している。

海蛇は総じて非攻撃的だが
この黒頭海蛇は例外で
しばしば人間を襲う。
不気味な殺し屋には
近寄らざるべし。



兵児鮎
Shrimp fish

誰もが魚が居るなんて
思わないだろう。
魚は手前のピンクと白か
はたまた奥の白黒か?

そう、奥の白黒なんだが
それじゃ頭は何処だ?

奇妙なことにこいつ
いつも逆立ちして
泳いでいる。
つまり頭は下にあるんだ。

枝珊瑚、海草、ガンガゼの
擬態をとって
隠れているので中々
気がつかない。
脅すと吃驚して横になる。
熱帯蓑笠子
Spotfin lionfish

線の生命を追って
うつぼ、蛇、兵児鮎を
載せたついでに
いつもの熱帯蓑笠子
胸鰭の白い棘を
アップしてみた。

この妖しく光る白い棘で
獲物をおびき寄せ
背鰭の毒棘で自らを防御し
捕食と生殖を繰り返し
熱帯蓑笠子は
与えられた生命を未来に
継承する。

固体の形状、色彩は
総て
必然の結果が産み出した
作品なのだ。



山吹雀鯛
Yellow chromis

それこそ何処にでも居る
黄色い雀鯛。
いつもはカメラを向けない。

平凡なスタイルで
撮影意欲を掻き立てない。
しかし本当の理由は
小さくて素早しこくて
カメラを向けるチャンスが
無いのだ。

特にデジカメは
タイムログがあり素早い
雀鯛を捕らえるのは
至難の業。

カメラを魚の
動きに合わせてパンする
しかないのだ。
角出し
Moorish idol

多くの画像をアップしたが
トロピカルな魚が乏しい。
鬼旗立鯛だけでは
寂しいので
これまた何処にでも居る
角出し君に登場してもらった。

毎回数百枚の画像を撮り
2百程に厳選し
更にその中の十数枚が
ここにアップされる。

従ってどうしてもお馴染みの
魚はカットされてしまう。
そのうち角出し君
かっこよく
撮ってやるからね。



龍の落とし子
Sea horse

10本目の最終DVを終えて
スーツやDV器材を
クルーズ船の屋上に干して
クランケット島に向かった。

途中で
いつもの子豚島に寄り
獲り立ての鮪を
分けてもらって島に上陸。

クランケット島には
戦跡を巡る19人の日本人
ツアーがランチ中。
入れ替わるようにして
我々もランチ。

無人島らしく誰も居ない。
でも此処には
龍の落とし子が居るとか。
早速シュノーケリングで
潜ってみる。

話には聞いた事あるが
本物の龍の落とし子
見たことは未だ無い。

居たぞ!
ゆらゆらと揺れながら
ソフト・コーラルに潜む龍。
目は辛うじて判るが
首の付け根にあるはずの
小さな穴と胸鰭は見えない。

思い切りズームアップして
みるが海水魚の痕跡は不明。
これが楊枝魚科だなんてね。

雌は雄の育児嚢に卵を産む。
雄のお腹は膨らみ
やがて孵化し子育て開始。
総て雄の仕事。
雌は唯、卵を産むだけ。





血と少年

忘れていたのだ。

出逢った瞬間、強烈な光と生命に捉われ
シャッターを押し続けた。

血の滴る幼い手。黒い肌に光る瞳。
血に染まる海。

腹を裂かれた鮪から溢れる血は
少年の髪にかかり鼻や瞼に朱を散らし
顎から脚に流れ
海へ滴り落ちる。

荘厳な生命の輝きに満たされた血と少年。

忘れていたのだ。
生命がかくも荘厳な光を放っていることを。







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