シパダン・ダイビング

珊瑚海・生命への旅

　　　　　　　　　　　　珊瑚海・・・・・・・もう１つのヒマラヤ




其の６



Borneo・Sipadan
　　　　　　　　　　　　　撮影日：２００6年４月　　場所：ボルネオ・シパダン島
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　撮影or編集:坂原忠清


⑮　シパダン（マレーシア）


相対評価・・・《５》最高、《４》良い、《３》並、《２》やや悪い、《１》悪い
珊瑚の成育 ４ 透明度 ４ 魚影 ４ 静けさ（ダイバー数） ３ 周辺環境（汚染等） ４

総合評価・・・《４》


セレベス海の歓喜

熱帯上空で突然、機体の窓に氷が芽吹き花開いた。
高度１万１千mの残照が氷樹をうっすらと染める。
新たなる邂逅はダイビングを待たず
いきなりプレリュードを奏で始めたのだ。
プレリュードに酔いながら未知なる出逢いに胸をときめかせる。
・
蛍のような淡い光が無数に漂う夜明けの海で
夜光虫の煌きを縫ってキャラバンを組み悠然と舞うバッファローフィッシュ。
ライトを消した漆黒の夜の海では
プランクトンが光の粒子となって手の平や指の間を流れる。
・
海のど真ん中に建てられた惑星植民地・水上コテージでは歓喜する《ゆぴてる》に逢った。
四方八方のみならず床下までもが海に囲まれた植民地の天空に
ゆぴてる・木星が一際明るく燦然と輝き
夜明けの夜光虫や漆黒に漂うプランクトンと呼応し光のシンフォニーを調べる。
山荘で目にするいつもの《ゆぴてる》と全く異なるゆぴてるとの出逢いに
恍惚となって
天空と海の神秘のシンフォニー・生命歓喜に身を委ねた。
それは生命に限りある認識体にとって
最後の未知なる出逢いを示唆する程鮮烈な体感であった。
恐らくあの素晴らしいシンフォニーを
もう２度と聴くことはないのだ。


光速には遥かに及ばない
原始的な推進システムを
採っているので
星間移動には
膨大な時間がかかる。
肉体の凍結によって
その時間の海を
超えるしか手は無い。
・
そう思ってビアとワインを
肉体に流し込み
唯ひたすら眠った。
・
肉体の凍結が
徐々に溶けてくると
機体の窓に
第３惑星の母星が
沈み始めた。
水の惑星を示す
H2Oの氷樹が窓に光る。
PT :　MH００７１便機内
date: 2006/４/２２
DVno: １５		 氷樹・ボルネオ上空


水惑星の大気圏を
更に下り
払暁の大洋圏に入った。
・
第３惑星に沈んだ母星が
東の縁から光を
再び放ち始めた。
光は大気圏を走り
大洋を突き抜け
漆黒の海を
目覚めさせる。
・
長い星間移動を経て
やって来た
認識体の影が
大洋圏に浮かぶ。
底知れぬ深い闇に
漂う夜光虫が
１つ又１つ光を
消していく。
夜明けの珊瑚海 ＤＶｐt:　Sipadan Drop off
DVdate: 2006/4/25 未明５：５６
DVno: 154


最初
海底に寝そべっている
この姿を目にした瞬間
鰐と錯覚した。
恐る恐る
近づいてみる。
動かない。
鰐の眼のような
虹彩皮膜が
長く分枝している。
こいつは鰐鯒（わにごち）か？
それとも閻魔鯒？
・
英名はクロコダイル魚。
高級食用魚で
刺身、洗い、天麩羅
煮付け等にすると
大変美味とか。
水惑星のグルメにとって
最高の食材。
ＤＶｐt:　 House Reef　Mandarin V
DVdate: 2006/４/2３
DVno: 1５０		 おりゃワニだ！


うあー！
出逢った瞬間
水の中で叫んでしまった。
ナポレオンより
遥かに迫力ある。
この１mを超える大物が
群れを成して
珊瑚を回遊する。
正にバッファロー。
・
眼の上に大きな瘤。
口から瘤にかけて
ピンクのラインが走る。
歯は癒合して歯板となり
これで珊瑚を食べる。
生珊瑚を食べる魚は
この魚だけとか。
和名は何とも平凡な
冠武鯛。
珊瑚森を走るバッファロー ＤＶｐt:　Hanging Garden
DVdate: 2006/４/2４
DVno: 1５２


迫力の点では
バッファローなんて
目じゃ無い。
ダイビングの度に
こいつと出っくわすが
その都度
ぞぞっと寒気が走る。
・
大洋が宇宙のモデルなら
宇宙にも
こんな恐ろしい奴が
銀河をうろついているはず。
か弱い認識体は
彼の餌食となる。
・
しかし実はこの眠り鱶
恐ろしい
目白鮫科ではあるが
性質は温和。
ＤＶｐt:　Barracuda Pt
DVdate: 2006/４/２５
DVno: 1５５		 さて、次の獲物は？


姿形に似合わず
いつ出会っても
青海亀は予想外の
猛スピードで逃げ去る。
・
ところが
ここシパダン島近海では
何処を潜っても
亀だらけ。
人間なんてへいちゃら。
・
「おい！
そこの黒っぽいの
乗ってかない。
安くしとくよ」
てな感じなのである。
・
ちょっくら隣の銀河まで
乗ってみっか。
龍宮城へ行こうよ！ ＤＶｐt:　Lobsters Lairs
DVdate: 2006/４/２５
DVno: 1５６


びっくらこいたなんて
もんじゃない。
シパダン島に上陸して
朽ちた家屋に
腰掛けていたら
足元の縁の下から
青黒い長い舌がペロリ。
続いて爬虫類の
見るからに恐ろしい
顔がのっそり。
・
環境保全のため
島での滞在、宿泊が
禁止され２年。
人間の去った島は
野生王国復活。
・
地元民はこの大蜥蜴を
モリス（Moris）と呼ぶ。
鰐鯒が上陸して
進化したのか？
Pt:　Sipadan Iland
DVdate: 2006/４/27
DVno: １６１～１６２		 珊瑚島の主


天空と海の
神秘のシンフォニー・
生命歓喜に身を委ねた。
それは生命に
限りある認識体にとって
最後の未知なる
出逢いを示唆する程
鮮烈な体感であった。
恐らく
あの素晴らしい
シンフォニーを
もう２度と
聴くことはないのだ。
・
限りある生命が
森や海や空で謳うと
どうしてこんなにも
美しく
歓喜に
満ちているのだろう。
海上の蜃気楼 ＤＶｐt:　Kapalai Iland Resort
date: 2006/４/２６
Mxno: ７





《Ｆ》　Ａ　ｌａ　Ｃａｒｔｅ


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カパライリゾート 水上の家屋人工島 海の上を走る アンナ海牛 シパダン島巨木

《初沈》　ＤＶ２日目カメラのハウジングに水が入ってしまい以後画像無し。






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