フンボルト寒流 赤道直下なのに 灼熱の太陽が 海や島を焼き焦がしているのに ガラパゴスの海水は 酷く冷たいのだ。 ・ この冷たい南極からの 流れに備えて 5ミリのセミドライスーツを注文。 昨年ココ島で試したが 23℃のナイトDVで 震え上がった。 ・ ココ島より更に南に位置する ガラパゴスは20℃前後。 とても5ミリでは勝負出来ない。 どうしよう? ・ 現地に問い合わせたら 7ミリをレンタルするとのこと。 どうせレンタルなんて 碌なもんじゃない。 |
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冷水対策万全 と思っていたが 試着してみて吃驚! 保温に優れた新品スーツ。 7ミリサロペットに 7ミリの短パン型スーツ。 ・ つまり上体は7ミリの ダブルになっているので 保温力抜群。 念の為ラッシュガードと ベストを併用し 冷水をばっちりガード。 その代わりウエイトは 9kgで重くて動けない。 ・ ボートで1時間半かけて コーシンに向かう。 海鳥の糞で白く塗られた コーシンロックは アシカコロニーの適地に 見えるがアシカは なぜか見当たらない。 ・ サンチャゴ島周辺は オットセイやペンギンの コロニーがある。 さあ、どんな生命に逢えるかな! |
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悪戯アシカ再会 やっぱりアシカだ。 ラパスのようにフィンに 興味を示し ダイバーに戯れて来る。 ・ 新生代になって 6500万年が流れ 氷河期を耐えた哺乳類が 地球生命の主役になった。 ・ ところが此処ガラパゴスでは 僅か8種類の 哺乳類しか居ないのだ。 ・ 現在地球には 4300〜4600種もの 哺乳類が棲息。 つまり500分の1以下しか ガラパゴスには 哺乳類は居ないのだ。 |
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群れてないね! 無脊椎動物を除くと ガラパゴスには 5〜6千種の動植物が棲息。 ・ 哺乳類はそのうちの たった8種類だぜ。 因みに陸では 蝙蝠2種と4種類の米鼠。 ・ 海の哺乳類は このアシカとオットセイの 2種類のみ。 アシカは正に ガラパゴスでは生命の 頂点に立つ知的存在なのだ。 ・ どんなに素早しこく 頭脳明晰かは既に陸で 証明済みだね。 |
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Sea Lion U |
鮫うじゃうじゃ その名も高き ゴードンロックとは 此処のことだー! と見栄を切りたくたくなる程 の素晴らしいDVサイト。 ・ 流れは速くサーモクラインが 入り乱れ低温部で22℃。 体感温度は 流れによって更に 低くなり今回の最低水温。 ・ この激しい水流の条件下に 沢山の魚が集まる。 それを狙って無数の鮫が やって来る。 ・ ガラパゴス鮫、撞木鮫 ホワイトチプ鮫と なんでもござれで恐ろしい。 |
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Garapagos Shark |
激しい流れ ずいーんと頭上に迫る。 が流れが速くて 機敏な行動がとれず 逃げ遅れて あたふたとうろたえる。 ・ サンタクルス島東側の 小さな島プラサの北。 此処が中央ガラパゴスDVの メッカ・ゴードンである。 ・ 北部にはクルーズでしか 行けないダーウィン島 ウォルフ島があり 大物がしばしば出現する。 ・ ゴードンは中央にあって 北部に匹敵するサイト として名を馳せている。 |
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White Tip Reef Shark |
ハンマーヘッド群 HPのガイドには 上級者向きのサイトとして ゴードンは記され 更にこう続く。 ・ 『セントラル地域で一番の 大物ポイントです。 ハンマーヘッド鮫、ガラパゴス鮫 ホワイトチップ鮫多くの エイ、カツオの群れ 時にはジンベイ、マンボウも 出たりします。 エキジットポイントでアシカと 遊び海面では海亀が泳ぎ ダイバーには最高』 ・ 繊細で臆病で獰猛な ハンマーヘッドは接近して 来ないがあちこちで 恐ろしい影を見せる。 |
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Hammer Head Sharks |
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鮫とガラパゴス穴子 |
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果てしなき群れ 相乗りの車に 乗り込んで来るなり いきなり 「やったな!」と拳を振り上げ ファイテングポーズをとる。 ・ 車のフロントガラスに罅が 入っているので 私がやったと決め付け ジョークで 話しかけてきたのだ。 ・ 昨日ウォルフ島の クルージングから帰ってきた ウォルターがやたらと 初対面の私に 話しかけてくる。 ・ どうも彼は登山もやるらしく モンブランにも登ったとか。 冬富士にも興味を示し 刺身にも話が及ぶ。 穴子の寿司の話をしたら 吃驚してた。 |
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斑トビエイの群 彼はインスブルックに 住んでいるのだが オースリアで見かける寿司は 鮪が主で穴子なんぞ 見たこと無いとか。 ・ 「あれが食べられるとは! ガラパゴスには 海底一面に穴子が居るが あれも寿司に出来るか?」 ・ 鮫の鰭を食べたり 鮫肉を蒲鉾にしたり エイ鰭を酒の肴にしたり 魚の食文化の多様さを 教えたらウォルターは きっと日本に来たがるに 違いない。 ・ そうそうこの斑鳶エイの群れ サイパンのイーグルシティー 以来だったかな? そうだ、あのエイ軍団は 載せなかったんだ。 仕方ない奴エイで我慢して! |
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マンタも回遊 海底を嘗めるようにして ゆっくり羽ばたき 悠然とマンタが泳ぎ去る。 真似をするかのように 斑鳶エイも後に続く。 ・ ホットスポットによって 海底が隆起し 浅い海が形成されやがて 陸が生まれる頃 魚達は真っ先に礁に集い 最初のガラパゴス住人 となったのであろう。 ・ 此処の海底隆起は 複雑なプレートの動きによって 500万年の時を重ねて 成されてきた。 |
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Spotted Eagle Ray |
大理石エイ参上 お馴染みの黒く大きな 斑エイの仲間は いつ見ても海底に へばり付いていて動かない。 ホットスポットの 鼓動に耳を澄ましているの? ・ ナスカプレートの上に ガラパゴスは乗っているって 知っているかい? このナスカプレートは 1年間に14cmの速さで 東南東に動いているんだ。 ・ でも海底山脈のような 東太平洋海膨から 1200kmも下流に位置する のでガラパゴス諸島は 7cmの速度に落ちて ゆっくり東南に移動している。 |
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Marbled Ray |
眠り鱶と斑鳶エイ そうそうそんな感じ。 つまり海底で寝ている鮫が 東太平洋海膨で 諸島がエイで東南に 離れつつあるんだよ。 ・ 引きずっている長い尾は ガラパゴス海底拡大軸 になっていて そこから北はココスプレート と呼ばれ東北に 流れているんだ。 ・ 更に鮫の後ろ側は パシフィックプレートとなり ハワイ方向に 動いていることが最近の 調査で解ったらしい。 ・ ガラパゴスは生命の進化 だけでなく海底や 大地そのものが劇的に 進化しているんだ。 |
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随分小さいね 象亀に較べると 海亀はまるで赤ちゃん。 小さな青海亀も 大理石エイのように 海底に抱きついて プレートの囁きを 聴いているのかな? ・ それともダイバーに 質問してるのかな? 大地の進化は 理解したらしいけど じゃガラパゴスの主人公は 誰だか知ってるの? ・ 勿論亀さんを始めとする 爬虫類でしょう。 1835年ダーウィンは 「諸島はまるで爬虫類の 天国のようだ」と 述べたくらいだからね。 |
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冠武鯛 大きな瘤を誇示し メキシコ豚魚の雌を従え 冠武鯛がふんふんと 聞き流して泳ぎ去る。 ・ なぜ爬虫類天国になったか? つまり陸から1000kmも 隔絶された諸島に どうやって爬虫類はやって 来たのか解る? ・ 最大の理由は爬虫類が 冷血動物であること。 人間のように体温を一定に 保たなくても変温して 生き続けられることさ。 ・ 更に低体温にすると 摂取エネルギーが少なくて 済むから長い間 呑まず食わずで生きられる。 ・ 多分そう遠くない近未来に 爬虫類から進化した 人類は再び冷血動物に回帰 する技術を手に入れ 宇宙へ、星間旅行へと 旅立っていくんだ。 |
長く冷たい1000kmの漂流の旅に耐え この地に爬虫類王国を形成した象亀やイグアナの 謎が解けたかい? ・ ふーん、それなりに一応勉強したんだ。 と青海亀さんが呟きました。 |
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《G》 火山海底の佳人へ