《C》 遭遇巨大鮫

ココ島ダイビング


銀亀鯵に舞う
撮影:Yves Gladu 人物:坂原忠清


海の太陽

仏人2人ファビエンヌと
パトリック、英吉利人の
ダビットが流され
消えてしまった。

視界に残るのは仏人の
イヴとブリジットのみ。
流れが激しく
突き上げるかと思えば
引き込み
フォローとなり
次の瞬間にはアゲンスト。

海流は最悪だが
久々に太陽が顔を出した。
海上の視界が広がり
漂流者は
直ぐ発見されるだろう。
撮影:Yves Gladu 人物:坂原忠清



完全なる無重力

岩場から離れ
沖に出ると
流れが止まった。

ゆっくりと身体を回転させ
真横になったり
頭を下にしたりして
無重力を愉しむ。

魚をカメラで
追っている時を除くと
こんな風に
無重力とじゃれあって
いることが多い。

嬉しくてイルカのように
続けて身体を回転させたり。
そんな瞬間をイヴは
狙っていたのだ。
撮影:Yves Gladu 人物:坂原忠清



NX・ナイトロックス

空気より12%も
酸素の多い32%の
ナイトロックス使用が
ココDVの基本だ
なんて知るはずも無い。
知っていれば当然
NXの免許を取ったのに。

何と空気使用は
合同チームの中では
私1人である。

酸素12%の違いは
決定的で私のエアは
彼等より遥かに早く
切れてしまう。

そこで酸素消費量を
抑えるため常に
彼等より浅場に位置し
激流に抗して
フックで身体を固定。
その悪戦苦闘を
イヴは又もやパチリ。
撮影:Yves Gladu 人物:坂原忠清



漂 流

確か最初ダイバーは
8人だったのだが
次々に流され
1人又1人と視界から
消えてしまい
3人になってしまった。

でも心配することは無い。
いつもの事なのだ。
エア残量を示す
圧力ゲージをチェックし
自分の判断で浮上
すればいいのだ。

残圧が30を切ったので
2名が緊急ブイを
海上に放つ。

浮上して驚いた。
浮上した場所は
隣の島・バイキングロック



イヴ・グラデュ
仏人海洋写真家

両側に大きく開いた
照明灯を付け
凄い数の写真を
撮りまくる。

「ノーチラス」という
仏蘭西の海洋雑誌の扉に
大きく紹介された
イヴ・グラデュは
世界でも知る人ぞ知る
著名な写真家らしい。

食事の時に日本から
持参した蒲鉾を
「鮫の肉だけど
食べてみない?」と
勧めたら深刻な顔して
食べていた。
彼にとって鮫は
保護すべき対象なのか?
ブリジット・グラデュ
巨大鮫を追って

実に優雅なのだ。

写真家の夫イヴの助手を努め黄色のスーツを着て
目ぼしい被写体を探し求める姿は
いつも華麗なのだ。

冷たい海を半袖のスーツで正に魚のように
泳ぎ回り連日1日4本のDVをこなす。

「お幾つですか?」と訊ねたら57との答え。
「サンカントゥセット?」Cinquante sept?と
怪しい仏語で聴き返したら
「ウイ!」Ouiと仏語で嬉しそうに答えてくれた。
とても若く40代にしか見えない。




出た!巨大鮫・シルバーチップ


虚無の瞳

やや楕円の瞼に
円形の眼球らしき一部が
覗き中央に楕円の
黒い虹彩が
決して瞬かれることなく
位置する。

不気味の一言である。
この眼と視線が合った瞬間
寒気に襲われた。

赤撞木鮫と異なり
この鮫は時に平然と
ダイバーに近づく。

若し不意に
「食べてみようか?」
と襲ってきたら
人間なんて
ひとたまりもない。
いちころである。




褄白・ツマジロ
半月の恐怖

Silvertip Shark

3mにも及ぶ巨体が
一気に迫って来るこの瞬間
逃げるか
カメラを向けるか
即断が要求される。

もしもだ、空腹だとか
遊び心でちょっと
咬んでみようとか
気まぐれを興したら
どうするんだ。

相手は鮫の中でも
最も獰猛な『目白鮫科』で
僅かな血の匂いを
嗅ぎ付け狂い出す。

でもこのショットを撮る為
ココ島にやって来たんだ。



迫る巨体

最初1匹だった鮫が
時間を追うごとに
又1匹と増えて
ついに4匹になった。

頭上をぐるぐる旋回し
巨体をくねらせる。
敢えて彼らの
クリーニングステーション
やって来たものの
やはり来てはいけない
禁断の聖域なのか?

彼らは
鰭先や鰭の後縁が
白いので褄(端)が白い
つまりツマジロと
呼ばれている。



戦慄の巡礼者

広いココ島のDVサイトで
何故か褄白の
クリーニングステーション
限られていて
島の東に位置する
シルバーラド(褄白騒動)
だけらしい。

しかしよく観ても
クリーニングするベラは
何処にも着いていない。

砂地の上に聳える
岩山の周りを唯ぐるぐる
廻るのみで
まるで聖地を巡る
巡礼者のようである。



斑エイの棲家発見
Black Spotted Stingray

マレーシアの
ラヤンラヤン深度43mで
初めて遭遇した
斑エイが
ここには至る所に居て
2mもの円盤を
ひらひらさせている。

ブリジットが彼らの
棲家を発見したらしい。
ぐんぐん近づいて行く。

何やら眠り鮫も混じって
のんびり昼寝を
決め込んでいる。

グレー種が多いのだが
ここでは黒しか
見当たらない。



眠り鱶
昼眠る鮫の群れ
Whitetip Reef Shark

斑エイの近くに
眠り鱶(ネムリブカ)
棲家も発見。

眠り鮫でいいのだが
何故か敢えて
眠り鱶と呼ばれている。
鱶は関西言葉で
鮫を意味するので
きっと関西人が
命名したのであろう。

それにしてもこんなに
沢山居ると
不穏な雰囲気で
接近をとまどってしまう。


《D》 祝300DV!











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