ラパス・ダイビング

珊瑚海・生命への旅

            珊瑚海・・・・・・・もう1つのヒマラヤ

其の21

La Paz
Cruising

撮影日:2008年10月
場所:コルテス海ラパス  
撮影or編集:坂原忠清
《A》 海馬との戯れ
《B》 物置キャビン
《C》 コルテス種多し
《D》 彷徨・魚の森

《E》 ホテル・カリフォルニア 
          
相対評価・・・《5》最高、《4》良い、《3》並、《2》やや悪い、《1》悪い
珊瑚の成育 透明度 魚影 静けさ(ダイバー数) 4 周辺環境(汚染等)
船名:Fiesta 船室:最上階 船の居住性

総合評価・・・《

航海&DV日程

10月4日乗船
 10月5日:DVサイト@〜C  6日:DVサイトD〜G
7日:DVサイトH〜K  8日:DVサイトL〜N
  
10月8日下船 

エスプリット・サント島 @コラリート
ロス・イスロテス島 A、Bロス・イスロテス(2回)、Cエル・バヒト 
サン・ホセ島 Dラス・アニマス、Eアレシーテ・エステ(東礁)、Fアレシーテ・ノルテ(北礁)
Gプンタ・スロエステ(南東礁) 
サンフラン・シスキート島 Hバホセト、I、Jロベラ デ サンフラン・シスキート(2回)
ロス・イスロテス島 Kロス・イスロテス(夜)、L、Mエル・バホ(2回) Nスワニー・リーフ


ラパスへ行った目的
世界の珊瑚海の5段階評価を行い
相対的に珊瑚の育成状態、魚影、透明度、静けさ(ダイバー数など)
周辺環境の5項目を5(最良)〜1(悪い)に評価し
それらから総合的に5段階評定をしている。
現在21の珊瑚海評定を終えたがその一環としてベストシーズンのラパスを選んだ。

 実際にダイブクルーズに参加して、一番よかったこと
現在ラパス周辺とガラパゴス周辺にしか棲息していない貴重なアシカに連日逢えた事。
次回12月にはガラパゴスDVを予定してるが、棲息の違いが確認できるか楽しみ。
紅海の島々とヒマラヤの峰々を想わせる白い岩山の景観。
白い鳥の糞と岩山の造形に自然のアートを満喫しました。


今後参加される方へのアドバイス

ラパスDVではアシカ以外の出現はあまり期待しないほうがいい。
ハンマーは出ても影程度でしかないし
ジンベイもモルジブクルーズなどのようにほぼ確実に見られる訳ではない。
注目のラスアニマスも魚影は極端に薄い。

だがそれらのハンディを考慮してもアシカとの遭遇は貴重で素晴らしい出逢いである。

ダイバーなら一度は行かねばならぬ海であることに間違いは無い。
(同乗したDV雑誌編集者のアンケートへの回答より)


 豪華キャビン


海馬との戯れ

素早しこいやんちゃ子犬のように繰り返し繰り返しやって来て
カメラに興味を示しついにカメラに噛み付いた。
追いつ追われつ遊んでいるうちに2頭のアシカが山荘で飼っているワンちゃんと
同じような行動パターンをとることに気付いた。
この2頭には山荘犬と同じ名前、悠絽と舞瑠を進呈しよう。





水中バレエ
Synchronized Swimmng

静謐さを湛えた
バイオリンの音色と
激しい動きの
海馬(アシカ)とは
合わないのだが
何故か
サラサーテの
チゴイネルワイゼンが
海を満たしている。

そうか絶滅の危機に
追いやられ今や
ここラパスと
ガラパゴスにしか
棲息しない海馬の
孤独感が
きっとバイオリンの
孤高な旋律と
共鳴するんだ。


鋭い直線を
描きながら天空と
海を切り裂く海馬を
海中で目にして
初めて
チゴイネルワイゼン冒頭の
あの強靭なバイオリンが
海馬に重なった。


かつては日本各地に
棲息していた海馬も
乱獲され追い立てられ
1991年,環境庁は
絶滅宣言をだした。

50年前
1958年の竹島周辺では
500頭ほどの日本海馬が
確認されていた。
が韓国によって竹島は
要塞化され海馬は
完全に生息地を奪われ
絶滅してしまった。


あの激しい冒頭の
バイオリンは
海馬の悲鳴なのか?


おりゃ!友達か?

ダイバーがガイドの
ヤスさんに尋ねる。
「アシカとアザラシと
どう違うんですか?」

「そんなのアシカに
聴いてくれよ」
それじゃちょっくら
聴いてみようか。

「えっ!まじに
知らないの?
先ず泳ぎ方が全然違うよ。
見てご覧。
僕らは前脚を翼のように
羽ばたかせて泳ぐけど
アザラシは腰から下を
くねらせて泳ぐんだ」


「なるほどね。
確かにそういえば君達は
鳥のように海中を
飛んでいるね。
それから何処が違うんだい」

「まったく困ったもんだ。
ダイバーなのに
何も知らんなんて恥を知れ」

「はい!恥を知ったから
もっと教えて」
「2つ目は耳だ。
よく見てご覧よ。ほら
耳殻・耳たぼが僕らには
付いてるだろ。
ところがアザラシは穴しか
開いてなくて耳殻が
無いんだよ」

「ふーん!ほんとだ。
耳たぶがついてるね」


おいでよ遊ぼう!

「それから
未だ違いはあるのかな」

「あるね。陸上での
歩き方が全然違うんだ。
僕らは前脚ま、前鰭と
言った方が解りやすいかな
それが発達してるから
2つに分かれた尾鰭の
ような後脚と一緒に
動かして
陸上を歩けるんだ」

「アザラシだって
歩いてるけど」
「あれは歩いてるんじゃない。
這ってるんだ。
胴体を陸に着けたまま
体を引きずって
いるだけさ」


この指止まれ!

「移動するには
同じようなもんじゃない」

「違う違う。
後で見せるけど僕らは
4つ脚なので
岩登りだって出来るんだ。
そう、ロッククライミングして
鋭い岩峰だって
登頂してしまうんだよ」

「そりゃ驚いたね。
未だ他にも違いは
あるのかい?」

「あるある。
アザラシは淡水や
海水と河水の混じった
汽水湖にも棲めるけど
僕達は海だけにしか
すめないんだ」


ふーん!何だろう?

耳を少し立てて
大きな瞳を開き興味津々。
6月に生まれて3ヶ月の
やんちゃ盛り。

恐る恐る
突き出した口。
髭の根元には
黒い点々があって
まるで子犬のようだね。

留っているように
見えるけど実は常に
猛スピードで飛び回っていて
カメラのピント合わせが
難しくて直ぐ
ピンボケになっちゃう。


噛んじゃえ!

余りにも動きが速くて
動きの先が読めないんだ。
これだって
まさか突然ダイバーの
フィンに噛み付くなんて
予想も出来なくて
驚いたよ。

犬だったら噛み付いたまま
暫くじゃれていたり
するけど
海馬は噛んでも一瞬で
次の瞬間にはもう
遥か彼方へ
飛んでいってしまう。

勿論こんなにダイバーに
接近して興味を
示すのは子供の海馬だけ。
大きな雄海馬は時には
攻撃さえ仕掛ける。



未知星の生命

月面クレーターか?
火星の岩山か?はたまた
太陽系内で
地球外生命存在の
可能性が最も高い
エウロパの生命体か?

これロス・イスロテス島の
海馬コロニー。
左の大きな雄が雌を
引きつれハーレムを成し
子海馬がのんびり
寝そべる。

漆黒の空をバックに
背黒鴎が一羽
虚空の彼方を見つめる。

ご覧のように海馬は
アザラシのような
文様を持たず
無地の毛皮で色調が
異なるのみ。


登攀家の登頂

さてこの海馬
実はかなりの絶壁を
クライミングして
岩山の頂に達したのだ。

嘗てアザラシはイタチとの
共通祖先から分岐し
アシカは熊から
分岐したとの説がある。
収斂進化の結果
両者は類似形態を獲得。

そう言われてみると
熊に似ていなくも無い。
君達はイルカや鯨のように
陸で高い知能を得て
肺呼吸を獲得し
再び海に回帰した
哺乳類なんだね。



《B》 物置キャビンへ 




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