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高山都市キト 《永遠の春》が 何処かに存在するなんて メルヘンの世界。 と思っていたがどっこい 確かに実在するのだ。 ・ 春は四季の流れにあって 決して留まらず 移ろい劇的な変化を遂げる。 1年中春が続く なんて在り得ないのだ。 ・ ところがエクアドルの首都 キトは《永遠の春》が 一年を支配する。 赤道直下の太陽と 標高3千mの高地が 《永遠の春》を実現したのだ。 ・ その代わり高山地特有の 霧に悩まされる。 霧が街を覆い飛行機が 着陸出来なくて しばしばグアヤキルまで 行ってしまう。 ・ そうなると日程が大幅に 狂ってしまうので大変。 しかし今回 霧の被害から辛うじて 免れ無事キト着。 ヒューストン経由、南米までの 長ーい旅が終わった。 |
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バルトラ島見ゆ 473年前の1535年に スペインの司教によって 偶然発見された ガラパゴス諸島は その後スペイン船を狙う 海賊の拠点となった。 ・ 海賊は食料とする山羊、豚や 犬、猫等を島に放った。 山羊はイグアナや象亀の 餌である団扇サボテンを食べ 豚、犬、猫は彼らの卵を奪い ガラパゴスの固有種は 存続の危機に陥った。 ・ 1978年世界遺産に 登録されたがその29年後 2007年には 環境悪化により 危機遺産に指定された。 再びガラパゴスは 存続の危機に陥ったのだ。 ・ バルトラ島のEの字型の 湾が見えた。 さあ!いよいよ ガラパゴスへ着陸だ。 |
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サンタクルス島 波止場の案内板 小さなバルトラ島から わざわざフェリーで サンタクルス島まで渡り 更に島を縦断せねば 宿泊地に行けない。 ・ どうしてこんな無駄な 道路を敢えて造る 必要があるのか? どうやら原因は米軍の 飛行場にあるようだ。 ・ 最初、平坦なバルトラ島に 米軍が飛行場を造った。 その後 サンタクルスの自然破壊を 最小限にするため その飛行場を利用したらしい。 ・ しかし縦断道路と 滑走路とどちらが被害は 大きいのか? |
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島の縦断道路 島を南北に貫く道路は 海抜0mのカリオン港から ハイランドへと 標高差400mを登り 南の港アヨラに向かう。 ・ 溶岩台地に漸く根付いた サボテンや現地で レチョソと呼ばれるスカレシア が繁る原野を登ると 雨が降り出す。 ・ 木々には猿オガセが垂れ 雨や霧の多い事を 物語っている。 冷たい海流が運ぶ冷気が 高地にぶつかり 雨や霧をもたらすのだ。 ・ DVサイトは島の北に あるので連日この 道路を往復してカリオン港 へ通うことになる。 家や畑等の人工物が 視野に無いので 未知惑星上を走ってる気分。 |
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火山台地の陥没 ロス・ヘメロス 島の最高峰 クロッカー山(864m)を 背景に巨大な穴が 道路の左右に開いている。 ・ 5百万年前にホットスポット から噴出した溶岩が エスパニョラ島を生み出した。 地図を計測しながら 次の島の形成を考える。 ・ その後海洋プレートが 南東に110km移動した時 再びホットスポットが 噴火し溶岩が流れ サンタクルス島を成したと 考えるとホットスポット理論に 当てはまる。 ・ 溶岩の下に出来た空洞が 歳月を経て陥没し ロス・ヘメロスを生んだのか? それとも単に火口なのか? |
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巨大野生象亀 ロス・ヘメロス近辺の 原野には野生の象亀が 棲息している。 ・ 英語の話せないドライバーが 黙したまま原野の奥に 車を乗り入れる。 「トルトガ!」とぼっそり 呟いて彼方を指差す。 ・ 小さな黒い塊がごろんと 転がっている。 近づいてみると何とも巨大な 象亀が草を食んでいる。 ・ そうか亀のことをトルトガと 言うのか? ガラパゴスと言うのかと 思っていたのだが・・・ |
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Galapagos ginat tortoise |
270kgの散歩 象亀にとって ガラパゴスは究極の天国 であったのだ。 天敵は居ないし餌の 草やサボテンはたっぷり。 ・ 従って体重も300kg 寿命250年を記録する程 のんびりと大きく育った。 473年前までは。 ・ あの日以来運命は激変。 海賊がやって来て 不幸が始り更に その後捕鯨船が寄港し 大量な乱獲が始ったのだ。 ・ 象亀の肉は美味しいので 船員の食料となり 油は灯油として使われ 絶滅は時間の問題であった。 |
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At Hight Land |
200歳の風貌 大きさと重量感に 圧倒された。 頭の中で描いていた象亀は DVで見るお馴染みの 海亀程度であったが それより遥かに大きい。 ・ 絶海の孤島といえども 絶えず海流に乗って 新たな生命が流れ着き 島の生命は外界と交流する。 ・ しかしガラパゴスの 激しい海流と大陸からの 孤絶は天敵の侵入を 許さず200年以上も生存 可能な象亀を生み出した。 ・ ガラパゴスの生命にとって 天敵は人間そのもの であったのだ。 しかし今その人間が 必死になって彼等の保護に 取り組んでいる。 ・ 象亀のDNAから 長寿の遺伝子を取り出して 人間に活用する日も そう遠くはない。 |
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鞍型象亀 草原で草を食む亀の 甲羅はドーム型。 亀一般の甲羅である。 この亀は鞍型の甲羅を 形成している。 ・ 首がやけに長いことから 想像がつくが 鞍はこの長い首が 自由に伸ばせるように 進化した結果である。 ・ なぜ進化の必要が あったのかと言うと勿論 餌である。 草原から森への進出を図り 木々の葉を餌に する為には長い首と鞍甲羅が 欠かせない。 ・ ドームと鞍の中間型も居て 草も木々の葉も いただくチャッカリ者。 |
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ダーウィン生誕2百年 ガラパゴス国立公園に ’64年ダーウィン研究所は 設立された。 ここから街へ延びる道路は ダーウィン通り。 ガラパゴスは ダーウィンに染められた島。 ・ 総ての生命は 神の創造物とされ 種の不変性が支配的な キリスト教的世界に 真っ向から衝撃を与えた ダーウィン。 ・ 生物は不変な神の 創造物ではなく 自然選択によって 環境に適応するように変化し 種は分岐し多様な種を生む。 『種の起源』でダーウィンは そう述べた。 ・ 環境収容力を繁殖力より 小さくし一部しか 生存出来ない状態にし 適者生存を促す自然選択。 |
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The Origin of Species『種の起源』は ライエルの「地質学原理」とマルサスの「人口論」の 影響を受けて書かれた。 ・ 山や海は長い時間の中で地質学的に変容するとライエル。 食料不足によって適者生存の闘いが生じるとマルサス。 2学者の理論の触発を受けダーウィンは『種の起源』を著した。 ・ そのダーウィン理論も生誕2百年を経て、分子生物学の前に今 裁かれようとしている。 生命の本質は? |
《C》 愛らしきアシカへ