《B》 遭遇巨大鮫


ココ島ダイビング

いざ出陣

北緯5度、殆ど赤道直下
なのに隣の
ガラパゴスと同じく
南極からの冷たい海流
フンボルトの影響で
海水は冷たい。

この日のために
セミドライのスーツを
オーダーしブーツも
ミトンも総て冷水用に変え
テストDVし準備完了。

独人のカイが
ガッツポーズをとる。
彼はココ島の常連で
今回4回目で500Dvs。
撮影:Yves Gladu



発信機の装着

冷たいだけではない。
海流の流れの
激しさは超一流である。

ダイバーが流され
行方不明になった時に
備え発信機の装着が
義務付けられる。
右肩に着けた黄色の
箱が発信機である。

これ以外にホイッスル
緊急用ブイが渡され
携帯が義務付けられる。

基本的にダイバーの
Exitは自由であり
ガイドは責任を持たない。

従ってDV保険の加入も
義務付けられ
その場で70米ドルを
徴収されるのだ。





DV
ブリーフィング

友人の大きい方』
島の西に位置する
DVサイトの説明が始る。

先ず流れの速さ、向き
深度、海底地形
流された場合の
漂流ルートの想定や
IN、 OUTが
ジョークを交えて
説明される。

DV前に書かされた
『責任と賠償の
免除に関する同意書』
の1項目には
以下の文書がありサインが
義務付けられている。



渦巻く潮流

「DV中は・・・等その他の
要因で障害又は
死亡することがあっても
これらが当然想定できた
ものであり自分の
責任であると認める」


つまり当たり前と言えば
当たり前なのだが
ここ、ココ島でのDVは
完全なる自己責任の元で

行われるのである。

さて、いよいよ飛び込み。
波は激しく上下し
逆巻き岩に
叩きつけられている。
どうなることやら?




 
いきなり遭遇・巨大ハンマーヘッド



赤撞木鮫
繊細な巨魚

Scalloped hammerhead shark

ハンマーを求めて
7月にパプア・ニューギニア
8月にはマレーシアと
ハンマーの
世界3大遭遇海を
巡ったが不発。

いくらハンマーで有名な
ココ島でも
そう易々と遭遇出来る
はずはない。
半ば諦め半ば期待し
最初のDV。

いきなり目の前に
ハンマー出現。
しかし我々を
認識するや否やFar away.






天空を覆う群れ

DV開始4日目の
11月10日
海は大荒れに荒れた。

島の南東にあるDVサイト
アルシオンに向かう船は
波頭に乗り上げ
波間への落下を繰り返す。

激しい雨と波飛沫で
目を開けていられず
ダイバーは海中で使う
マスクを着けボートに
必死にしがみ付く。

こんな日は
ハンマーにとっての好日。
百匹以上の大群が
頭上を舞い圧倒される。



白い傷の治療に

アカシュモクザメは
強力無比なアゴの力と
鋭い刃物のような歯で
人にとっても極めて危険な
攻撃力を持っている。

4.3m、152kgの巨体で
同種の鮫や1m以上の
バラクーダを襲う
獰猛な肉食魚で
時には闘いの傷を負う。

この鮫の白い部分は
闘いの傷痕で
皮が抉り取られている。

ベラ科の本染分倍良
(ホンソメワケベラ)が
白い傷に群がり
腐敗部を食べ傷を治癒する。



眼ん玉迫る

撞木のように
真横に伸びた頭の先に
眼があり
この眼で広角を捉え
狙った獲物は逃さない。

旋回力に優れ
機敏な行動を可能にし
頭そのものが
センサーの機能を
持っていると推測される。

哺乳類ではないのに
卵胎生ではなく
臍の緒を付けた胎生で
1度に40匹ほどの
子を産む。
限りなく哺乳類に
近いのだ。



ブラック・マンタ出現
Black Manta Ray

ビッグ・ドス・アミーゴス
の大きな洞穴を
潜り抜けると海底を
巨大な黒い影が過ぎる。
途轍もなく大きい。

随分沢山のマンタ
見て来たが
此れほどの大物に
巡り合ったことはない。

NHKの松本カメラマンが
ハイビジョンカメラで
洞穴内を撮っていたが
マンタには気づいていない。

タンクを敲いて音を出し
教えてあげようかと
思ったがマンタが
驚きそうなので止めた。






目の前で反転

真っ直ぐ向かってきて
私に気づくや突然
急上昇し舞い上がった。

腹部の白が
眼に飛び込む。
ニューカレドニアで
遭遇した
ブラックマンタと異なり
腹部の白銀部分が
かなり広がっている。

クリーニングステーション
に集うマンタは旋回し
動きも緩慢だが
このマンタは明らかに
移動の途中である。
動きが速くてカメラを
構える暇が無い。



大空へ飛翔

太陽に向かって
羽ばたく姿は
巨大な蝙蝠そのもの。
5mもある蝙蝠が
空を飛んでいたら
正にジュラシックパーク
の世界である。

この地・ココ島を
映画ジュラシックパークの
舞台に選んだ監督も
この海中世界までは
想いが
及ばなかったのか?

出遭いから別れまで
ほんの十数秒であったが
忘れられない
貴重な一瞬であった。




《C》 遭遇巨大鮫











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