山荘日記

その51冬ー2010年如月

 

2月1週・・・・落日に犬想う





2月7日(日)晴 山荘玄関
雪の重み
森の太い枝もボキポキ

えっちらほっちら
車を山荘の下に置いて
ザックを背負って
犬を連れて登り始めました。

山荘の森に通じる
急な雪の小径には動物達の
小さな足跡が点々・・。
雪はかちんかちんに凍って
これじゃとても
スノータイア車でも
登れません。

でも山荘は朝から夕方まで
陽当りがいいので
だいぶ雪が溶けています。
奥庭から玄関に廻って
吃驚!

玄関前が折れた樹木に
塞がれて山荘に入れません。
先週、山荘を出る頃
降り始めた雪は20cmも
積もったんですね。


夕日を追え
林檎畑にゲート


たくさん雪が降って
森の道が通れなくなっても
やっぱりチビとオバマは
飼主の元を脱出して
山荘にやって来るのです。

悠絽、舞瑠と一緒に
4頭での散歩はバイク無し
では出来ません。
しかしこの雪ではバイクは
とても無理。

何かいい方法はないか?
そうだ!林檎畑だ。
太陽の光を燦々と浴びて
あそこだけ雪が無い。

そこで林檎畑の長ーい柵に
扉を付けて
バイクの出入りが出来るよう
工作し準備完了。
一路上条峠を目指しました。

2月7日(日)晴 上条の森
 





2月7日(日)晴 片栗の森

例えば金、権力、名誉の記録は時間に耐えられない。
百年、千年、億年の時を超えて尚、意味を持ち続ける
ことは出来ない。
その場限りの現象でしかないんだ。
若鹿の恋歌
森に流れる春の歌

先週氷の滝でずっこけた
オバマが高芝山に連なる森を
見ながら突然
「でさあ、どうして
ペレルマンは哀しいの?」
と言ったような気がしたのです。

若鹿の笛のような
甲高い鳴き声が夕日に染まる
森を震わせました。
振り向いた悠絽と舞瑠が
オバマに調子を合わせ
鹿の笛に紛らせ
一声吼えました。

「そうだ、先週はぼくらを置いて
高芝山に行ってペレルマンの
話をたくさんしてさ
ずるいよ。続きを聴かせて」

いいかい、
金や権力や名誉は
世俗の価値観でしかないんだ。
《存在の真理》と云う
世界からは
完全に乖離した価値感で
《ポアンカレの予想》証明とは
異質なんだ。
   


落日に犬想う
100年の真実


例えば金、権力、名誉の記録は
空間に耐えられない。
宇宙に放り出してごらん。
それをキャッチした
地球外知的生命が理解出来る
のはペレルマンの証明。
金、権力、名誉の地球記録は
《真理》からは
程遠い些末な事象で
理解する意義すらもたない。

それ程までに本質的に
異なるものと
等価値として取引されるなんて
ペレルマンには
耐えがたきことだったんだよ。

時を超え宇宙を超え
刻まれる《存在の真理》

《単連結な3次元閉多様体は
3次元球面S3
同相である》

これを証明した数式表現の
意味と価値が
実は殆ど理解されていない
のではとのペレルマンの
孤独と哀しみ。

2月7日(日)晴 片栗の森

大好きな雪の上ではしゃぎもせず
夕陽を浴びて犬達はいやにしーんとしています。
いくら考えてもやはり
奇人・ペレルマンの哀しみは理解出来ないようです。


 
2月7日(日)晴 上条の森
またあしたね!
チビが小さく見えてます


そりゃそうだよね。
お金があると
何でも買えるし
権力があると何だか
威張れて偉くなったようだし
名誉があると人々が
ちやほや誉めそやして
くれるし・・・。
そんなの要らないなんて
やっぱりペレルマンは
奇人だよね。

さあ、今日最後の光が
雪の森の彼方へ
落ちて行きます。

この雪の森で
夕陽を浴びながら犬達と共に
駆け巡った時間が
しんしんと
心に降り積もります。

しんしんと降り積もった
時間が何だか
金、権力、名誉とは全く
異質な事だけは
解ったような気がしました。
   



たった1週間でイラクで106人、パキスタンで22人計128人が
bU今週のBigニュース テロの犠牲者となった。


128人もの死者が出たにも関わらず記事は14版の国際欄に
小さく載ったに過ぎない。
最早完全に日常化されてしまった恐るべき自爆テロ。

アルカイダ系のテロと見られているがアルカイダは元はと云えば
1978年のソビエト連邦によるアフガニスタン侵攻に対して
米国CIAがイスラム義勇兵(ムジャーヒディーン)として訓練、育成した
武装集団である。
ソビエト侵攻直前の1977年夏、我々はアフガニスタンの最奥部に居た。
遠征登山で雇った我々のポーターが手に銃を持ちCIAに訓練され
テロリストへの途を歩み始めるとは想像すら出来なかった。

先週の武器輸出決定どころかテロリストさえ育成した米国は
更に2001年9・11の恐怖に曝され続けることになる。
救いは暗黒物質検出器《XMASS》建設のニュースである。
ウィンプと呼ばれる未知粒子ニュートラリーノ、アクシオン、ヒッグス粒子は検出されるか?

 

  ☆ 2月05日:2月1日にバグダットで54人、3日にシーア派聖地カルバラ郊外で巡礼者20人がテロの犠牲になり
    更に5日市内で32人死亡154人負傷。計106人死亡。
  ☆ 2月05日:パキスタンのカラチ中心部商業地域ナルセリでシーア派信徒12人が爆弾テロで死亡。
    更に死傷者が運ばれた病院駐車場でバイク爆発10人死亡。
  ☆ 2月09日:世界最高水準の暗黒物質検索器・「XMASS」を今夏、岐阜県神岡鉱山跡に完成予定。
    暗黒物質の候補とされる未知の粒子ウィンプは捉えられるか?
  







 

2月2週・・・・森と愉しむ読書



2月14日(日)晴 山荘ゲート
雪に咲く深紅
夜の読書を山茶花は・・・

新雪を踏みしめて
鹿や猪、狐に負けない程
沢山の足跡を森に付けて
山荘に戻ると
深紅の山茶花がにっこり。


「夕べは随分遅くまで
寝室の灯りが付いていましたね。
それでその複顔アーティストの
バーンは持ち込まれた
頭蓋骨を複顔し
完成した顔が自分の顔だと
判ってどうしたの?」

そうこのイントロだけで
リンジーの《暗殺者の顔》が
如何に趣向を凝らした
凄い作品であるか解るだろ。

皮膚組織、骨格、各部分の
間隔測定結果を元に
丹念に頭蓋骨に粘土造形を
施し生前の顔を復元する。
それが自分の顔と
知った時の驚愕が始まりなんだ。


太陽光発電停止
鳥の巣箱の修理


雪が《ゆぴてる発電所》の
発電まで停止させて
辺りは寒くて
かちんこちんに凍っている
のにもう四十雀が庭の
巣箱にやって来て
巣箱選びを始めています。

洋梨の巣箱前の
枝に止って四十雀が
小首を傾げては
番いの雄に何やら
話しかけています。

よく見ると
あれれ巣箱の蓋が壊れて
巣の中が見えている。
これじゃ欠陥住宅だから
子供を育てられないな。

そこで早速梯子を掛けて
巣箱を外して
とんとんかんかん留め具を
打ちつけてハイ完成。
さあ、これで安心!
いっぱい卵を産んでおくれ。

2月14日(日)晴 北の森から

だもんで本当は四十雀も聴きたかったのに
リンジーの《暗殺者の顔》を話してあげられませんでした。
 





2月14日(日)晴 前庭

複顔アーティストのバーンが頭蓋骨を複顔し
そこに自らを見出したように

凍てついた春菊やピーマンを抜きながら
私は自らの長き不在を見出しているのだろうか?
一夜の淡雪
春菊、鷹の爪、ピーマン

生きてきた現実と
思っている時間は実は
どこかに置き忘れてきた
「不在」の時間と
背中合わせではないのか。

気が付かないだけで、
足下に「不在」の時間が
長い影を
曳いているのでは。
(かくも長き不在
1961年作品。アンリ・コルピ監督。)

不在の長い影が
過ぎ去った時間の彼方から
哀しみを
ひたひたと打ち寄せる。

16年前ゲシュタポに
連れ去られ拷問を受け
記憶喪失し実在を失った男が
淡雪に覆われた畑で
泥に塗れている。

凍てついた春菊やピーマンの
根を抜いて春に備えて
いるのだろうか。
   


森の動物の足跡
バレンタインの足跡かな?


雪のチョコを用意して
森の動物達が

「今日はバレンタインだよ」
と教えてくれました。

よく見ると椅子の上に
大きなチョコが
1つずつ乗せられているでは。

「チョコのお返しなんて
要らないから夕べの読書の
お話をしておくれよ。
自分の顔を複顔したバーンは
どうしたのさ?」

自分の頭蓋骨で無いのは
確かだよね。
となるとバーンは双子であり
その1人が殺され
頭蓋骨が何者かによって
齎されたということだ。

バーンはDNA鑑定を依頼し
殺された双子の
兄が居たことを知るんだ。

2月14日(日)晴 北の森



2月14日(日)晴 西の森
雪森の静寂

森がしーんと静まりかえり
動物達も息を潜めて
しっかり
聞き耳を立てています。

となったら当然
誰が何のためにと
もうその先を
読まずにいられないよね。

実は殺された兄・ジュードは
CIAの諜報員で
テロを目論むイスラム系
テロリスト集団・ヒズボラの
ボスを追っていたんだ。

兄の死によってCIAの作戦を
終わらせる訳には
いかない。
9・11を超えるテロが目前に
迫っている。

だが ボスのガジは兄の死を
未だ知らない。
CIAは兄と瓜二つのバーンを
作戦に引き込む為に
頭蓋骨を複顔させたと云う訳。
   



にじり寄る森
森だって本が読みたい!

森の樹木が
ぐんぐん近づいて来て
雪まみれになったまま興奮して
時折樹冠から雪を
ざざーっと降り落とすので
笑ってしまいました。

「どうしてそんな手の込んだ
ことするの?」
そりゃ諜報員でもないバーンが
存在も知らなかった兄に
変わって作戦に協力する筈が
無いからさ。

それよりね、なんたって
この作品の優れているとこは
リンジーが美術の造詣に深くて
作品に上質なテーストを
加えていることなんだ。

《夜の色》ではデルヴォー
知られざる「沈黙」の
デッサンを論評し更に素描に
ついてこう述べる。


2月14日(日)晴 西の森

「ドローイングのような表現形態を真に理解する為には
その作品だけが持つ繊細さと率直さ、内向性を
感受できなくてはならない」

極め付けはオリジナルの現存しない1911年のエゴン・シーレ
贋作が《夜の色》で仕掛けられるのだ。

「陰毛は真っ黒に渦巻き両頬と乳首はぼんやりしたライラック色に
にじんでいる」シーレ以上にシーレの贋作。






 
bR今週のLivre   暗殺者の顔                        
原題:The Face Of The Assasin
著者:デイヴィッド・リンジ
(David Lindsey)
訳者:
石田善彦

発行所:柏艪社
発行日:2008年1月31日

定価:2000円+税
読書期間:1月28〜2月9日
評価:★★★★☆
《リンジーはその詳細な情景描写や場面設定によって、時に
ドフトエフスキーやトルストイのように読みにくい》との賛辞(?)を受けているようだが
ドフちゃんやトルちゃんと決定的に異なるのは面白さである。

《緻密なプロットと辛口のロマンス、リリシズムあふれる描写》と訳者は評するが
なにしろ読み出したら止まらない。

読書は夜と決めているので連日、夜が待ち遠しくて堪らない。

先週
「暗殺者の顔」を読んでからすっかりリンジーの虜になってしまった。
これから暫く彼の全作品を読み終わるまで
夜が足りなくなることだけは確か。

彼の作品は少ないので、時間をたっぷりかけて1ページをいとおしみながらゆっくり読もう

       
bS                                
原題:The Color of Night
著者:デイヴィッド・リンジー
訳者:鳥見真生
発行所:柏艪社
発行日:2004年10月10日
夜の色  定価:1800円+税
読書期間:2月11〜2月19日
評価:★★★★☆

デイヴィッド・リンジー
65歳(1944年テキサス州生まれ)
他の作品:、「沈黙のルール」、「刻まれる女」、「悪魔が目を閉じるまで」・・・噛ついた女(1983年)

おかしい、そんなことがあるだろうか?
トマス・ハリスの《羊たちの沈黙》にさえ近づこうとするレベルの高いリンジーの作品が
何故エスピオナージュの日本ファンにそう知られていないのか?

R・ラドラムの作品レベルが低下し山本光伸の名訳にお目に掛れなくなり
ここの処、寂しい思いをしていたが実は光伸は裏で動いていたのだ。
発行所の「柏艪社」は光伸の作った翻訳家養成学校「インターカレッジ札幌」と同一で
ここで未来の翻訳家を育てながら
デイヴィッド・リンジーの日本語版を
発行していたとは・・・。迂闊にも知らなかった。

光伸の翻訳家養成学校の成果を世に問うて出版したのがリンジー作品。
面白くない筈がないのである。
リンジーが真に評価されるには未だ時間がかかるのであろう。




 
カラチでは先週22人がテロで殺されたばかり。
bV今週のBigニュース 国際テロ組織アルカイダのオサマ・ビンラディンとも近いとされる
バラダルの拘束にはパキスタンの方針転換が考えられる。
パキスタン情報部が秘密情報を米国に流したのだろう。
タリバーン指導部がカラチ周辺に在るならば摘発の絶好のチャンス。

カラチと云えば我々登山隊の荷がカラチ空港で爆発し
テロ組織と間違えられ隊員が出頭し、あわや拘束の憂き目に逢うかもとの
危うい事故のあった場所。

 ☆ 2月16日:タリバーンbQのアブドル・ガニ・バラダル拘束。米国とパキスタンの情報機関が
    パキスタンのカラチでタリバーンの最高指導者の第一側近を拘束
  ☆ !日:世は押し並べてバンクーバー・オリンピック一色でニュースの質、量共に低下。
    せめてニュース専門のチャンネルを確保して欲しい。







 

2月3週・・・・牡蠣フライとタイスの瞑想


2月21日(日)晴 鉄塔山頂

《天を翔ける風が弓や指、ハンマーになって
《タイスの瞑想》を奏でますよ》
白銀と風のそんなコンサート招待状が届いたので
嬉しくて息を弾ませて頂に来たのは
どうも
山荘主だけではないようです。
天空の調べ
朝のコンサート

さあ、白銀が弦を押さえたから
太古の狩人の
弓になって弾いてごらん。
獲物を射留めた時の
歓びの音色が
聴こえるかい?

ヴァイオリンや胡弓の音色は
弦を弓で擦って出すんだ。
でも指ではじけば
ほらハープにもなるし
ハンマーで叩けばピアノに
だってなるんだぜ。

天空に張られた鉄塔山の弦を
自在に押さえ
ピタゴラス音律にそって
弦の振動数を変えているのは
右の悪沢岳(3141m)
左の赤石岳(3120m)だな

そんなことを知ったか振りして
呟いているのは
狩人や弓の怖さを忘れて
朝のコンサートにやって来た
狸、それとも狐?


リードを嫌うチビ
雪森でチビがピタゴラスを語る


ピタゴラスは考えた。

そう、あの三平方の定理で
お馴染みのギリシア人。
彼は哲学者、数学者のみならず
宇宙調和の原理を解く
宗教家でもあった。

その上、音がどのように
鳴り響いているのかを数学的に
解明しようとした音楽家。

彼はの長さを半分にすると
振動数が2倍になって
1オクターブ高くなり
3分の2にすると《ソ》の音になり
更に3分の2にすると《レ》が
出ると知り考えた。
出来たのがピタゴラス音律。

チビは野生なのです。
トレーニングが大好きで
山荘主と走るのを
いつも待ち望んでいるのに
接近せず決してリードを
付けさせません。

今朝もさっさと
雪山を駆け登り先に頂に
着いてきっと
狸や狐の知ったか振りを
聴いていたに
違いありません。


ほら雪の上で寝そべって
森に潜む野生動物達の
お話を聴いている
のが見えるでしょう?


その寡黙なチビ迄もが
《知ったか》になって
ピタゴラス音律を
一緒に語っているのかな?


いえ、チビは頂から流れる
タイスの瞑想曲のヴァイオリンに
耳を傾けアレキサンドリアの
享楽的な舞姫(娼婦)を想い
砂漠の彼方にある尼僧院を
想っているのでしょう。

チビ拡大図

2月21日(日)晴 鉄塔の森

舞姫タイスを救おうと扉に佇む修道士アタナエル。
落とされた緞帳に静かに流れる間奏曲「タイスの瞑想」。
瞑想の果てに尼僧院に旅立ちタイスは神の愛に包まれて
天上に召され
アタナエルは情欲に身を焦がし堕落していく。

ピタゴラスと野生のチビ、舞姫タイスが何処でどう繋がっているのか
雪の森の木漏れ日だけが知っているのでしょうかね?




2月22日(月)晴 小倉山稜線
光の兆し

雪の残る森を歩きながら
《中々いい匂いが
そこはかと無く漂って
いるではありませんか?》

とまるで詩人の如き
セリフを投げるので
思わずチビとオバマを
見つめて
「おい!お前達に光の匂いが
解るのかい?」
と訊いてみたくなりました。

そんな筈ありませんでした。
オバマがズボンに
擦り寄ってきてクンクン匂いを
嗅いでいるのは
光ではなくて
ズボンに染みついた
牡蠣フライの匂いでした。

《どうも今までと違う
美味しそうな匂いがするぞ》
と思っているらしいのです。
   



 
@コロッケ成形
 
 れ
し
ぴ
De
山
荘


巷の料理の手始めに
先ず牡蠣フライを
作ってみた。
レシピを見るのも
面倒なので
適当にパン粉を
付けて揚げ
アツアツを食ったら
その美味さに
嵌ってしまったのだ。

A指に張り付くな 
 
B何じゃこりゃ
すっかり嵌って
しまった。
テントの中では
いつもシェフとして
振舞っている山荘主も
巷では
てんで話にならない。
 

   C不揃いのコロちゃん
キッチンに立っても
早い、簡単、美味いが
モットーなので
ヒマラヤ料理と
大差無いメニュー。

Dいい奴だけパチリ 
ウスターソースに
ケチャップ,柚子
山葵を加えて
カクテル・ソースを
作り今が旬の
生牡蠣を刺身で
食べながら考えた。
これではいかん!

(1)牡蠣大根下し

(2)オリーブ油10分 
 
(3)ヌル・臭み取り 
 
(4)塩水でヌル取り 

(5)水分取り&塩胡椒  

(6)小麦粉を塗してと 

(7)卵を付けてパン粉

(8)180度で90秒
菜の花・一番

アツアツの牡蠣フライに
気をよくして
今週は先ずコロッケを
作ってから本格的な牡蠣フライに
挑戦しようとレシピを用意。

山荘定番メニューとして
村上シェフがいつも
作っているので見よう見まねで
やってみたら
指に小麦粉、パン粉が
べたべた着いて肝心の
コロッケは固まらない。

レシピを読むと
どうもジャガ芋を茹でた後の
水分取りが不十分。
そんな時は手にサラダオイルを
付けると巧くいくらしい。

不揃いのコロちゃんが
お皿の上で
ぶつくさ不平不満。
でその反省を生かして
牡蠣フライは綺麗に衣が
ついてご覧の通り。


2月19日(金)晴 キッチン

そりゃそうだ。
牡蠣は成形の必要無いからね。




2月22日(月)晴 座禅草公園

いくらなんでもオイラの座禅草のページに乗り込んで来て
牡蠣フライだけで終わらせようなんて
そうはいかないよ。折角雪を突き抜けて咲いたんだから。
オイラも青梗菜の黄色い花のように牡蠣フライの上に乗せて!

えっ!あまりの臭さに君は《スカンク・キャベツ》と呼ばれているんだよ。
そんなもん食卓に乗せるなんて言語道断!
それともなにかい、この牡蠣フライは食すに値しないとでも・・・
雪を突き抜けて

さてさていよいよ本番の
プロの牡蠣フライ。
用意したレシピは4種類。
ポイントはヌメと臭み
を如何に取るかにあるとか。

(1) 塩水で洗う普通の処理。
(2) 大根下しでヌメ取りする。
(3) オリーブ油に10分浸ける。
(4) お酒を加えた熱湯に10秒
潜らせる。

その4種類をキッチンタオルに
乗せ水分を切り
塩胡椒を振りかける。

次にビニール袋に小麦粉を入れ
牡蠣を入れて軽く振り
小麦粉を満遍なく塗す。

更に溶いた卵に潜らせるが
黄身だけにすると
パン粉が綺麗に着くらしいので
これも2種類作る。

確かに白身はどろっとしていて
パン粉を着けるには邪魔。
白身は残った小麦粉
パン粉と一緒に揚げれば
無駄にはならんかな。
   


枯葉どっさり
こんなに出ていたんだ!

《まあまあ、そう怒りなさんな!
本当はキッチンの匂いに
惹かれて私達のように
にょきにょき出て来ただけさ》

美味しい牡蠣フライを沢山食べて
ワインをしこたま飲んで
庭の枯葉を集めていたら
水仙の芽があちこちから
つんつんと語るのです。


《で、その4種類のお味は?》
微妙だね。
臭みぬめりはいずれも
完全に取れて問題なし。

さっぱりして微かにマイルド
なのが大根下しかな。
オリーブ油は仄かに香りは
残るけどサラダ油で揚げたので
どうせならオリーブ油で
揚げるべきかな?

当然だが熱湯に潜らせたのは
やや硬いかな?
塩水洗いしたのはさっぱりして
お馴染みの味だね。


2月22日(月)晴 前庭

花が咲き終ったら君達にも牡蠣フライの代わりたっぷり
肥料をあげるから
来春もまた仲間を増やして出ておいで。
愉しみに待っているよ。





bT今週のLivre   沈黙のルール                        
原題:The Rules Of Silence
著者:デイヴィッド・リンジ
(David Lindsey)
訳者:
鳥見真生

発行所:柏艪社
発行日:2006年10月10日

定価:2000円+税
読書期間:2月17〜2月25日
評価:★★★★☆
もしあなたが資金、知能、組織力があるプロの殺し屋に狙われたとしたら
誰からも疑惑を抱かれず実に簡単に、事故死として殺されることは容易に想像出来るだろう。

そのプロの殺し屋がIT業界の大立者を誘拐し6400万j
(約58億円)を要求する。
「なーんだ、何処にでもあるありきたりの筋書」・・・ではないのだ。
この誘拐、実は本人を連れ去る訳ではなく、身代金もペーパーカンパニーの外国企業への投資の形をとり
予告された知人の殺しも完全な事故死を装う為、被害者は国家警察力に助けを求められず要求に抗すべき術が皆無。
FBIに通報すれば殺人は続けられ沈黙の取引だけが、事故死の数を押さえる事が出来る。

このような形でもテロへの資金が調達される伏線を並行させながら、絶望、恐怖、戦慄をテーマの1つにして
米国を被害者・IT業界の大立者に置き換え、プロの殺し屋を9・11のアルカイダに重ね
リンジーは今宵もあなたを眠らせないのだ。

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