海亀の島へ

珊瑚森の舞姫
熱帯蓑笠子・ネッタイミノカサゴ・Spot Fin Lion Fish

胸鰭を扇のように広げ白い棘が放射状に延びる。
鰭膜にはラピスラズリの藍が幾つも鏤められ扇の束に一点の白銀を配す。
時が停止したかのようにゆったりと舞う。
美しい薔薇に棘があるように熱帯蓑笠子の背鰭には毒が秘められている。
毒によって庇護され育まれた美は狂おしいほどに妖しい。



珊瑚の森を飛ぶ

ココ島、ラパス、ガラパゴスと
珊瑚がほぼ絶えた海
でのDVが続いたので
一面に広がる珊瑚の森を
目にした途端
嬉しくてレギュレーターを
銜えたまま
叫んでしまった。

地上の森と同じように
多様な生命が集う
珊瑚の森は
重力から解放され
宇宙生命の総てのモデルが
生み出されている。

オラフ ステープルドンに
よって書かれた伝説的な
作品「スターメーカー」
に登場する宇宙生命は
すべて珊瑚の森に
棲息しているのだ。

さあ、宇宙生命との邂逅を
求めて出発!

Coral Forest




Purple Queen
紫の舞い
パープルビューティー

白い珊瑚と高雅な紫が
描く優美な曲線が
見事にアンサンブル。

ハタ科、ハナダイ亜科で
明るい珊瑚海には
必ずこの仲間が溢れ
鮮やかな舞踏を展開する。

同じハナダイでもこの
パープルは
特に美しい。
思わずビューティーと
呼ばざるを得なかった気持ちが
痛いほどよく分かる。

この美しい奴が
あちこちでうようよしてる
のだから
珊瑚の森は一層華やぐのだ。


珊瑚が家
ミスジ&フタスジ
リュウキュウスズメダイ

三・ニ筋琉球雀鯛

WEB魚図鑑では
英名をDamselfishと記しいる。
Damselfishは雀鯛科で
固有名ではない。

三筋のHump Bug 
丸いバッグで
二筋のReticulated
網目状の意味で
形状をそのまま命名したのだ。

この2種はなぜか
いつも同じ珊瑚に一緒に
棲んでいるようだ。
臆病ですばしこくカメラを
向けたとたん珊瑚に
隠れてしまう。

Hump Bug Dascyllus & Reticulated Dascyllus 





The Flower of Coral
珊瑚の桜です

無数の珊瑚に
巡り合ってその多様な
形状に感嘆してきた。

が、これほど見事に
花弁となった珊瑚は記憶に
無いのである。

中央に雌蕊、雄蕊が
着いていれば
完全に陸上の花弁と
同じである。
若しかすると・・・と思って
仔細に観察したが
さすがにそれらしき物は
着いてなかった。

この形状に定まるまでの
珊瑚の試行錯誤に
想いを馳せると
何処かで陸の花弁と
繋がるのであろうか?



珊瑚のショール
象の耳スポンジ

大きくて実に立派な
耳である。
正に象の耳そのもの。

もしもこれが
知的生命体であったなら
如何なる伝達手段を
使って情報交換を
行うのだろうか?

そしてその交換の
内容は・・・・
とステープルドンのように
想いを巡らす。

海のパラボナアンテナ
となってひたすらに
地球外生命との交信を
待っているのだろうか?

Elephant Ear Sponge




Commerson's Frog Fish
歩く魚です
オオモンカエルウオ

右上の丸い瘤のような奴は
疑似餌のエスカである。
背鰭の第一棘先端の皮弁が
変化したものだ。

棘が釣り竿になり
その先に餌のようなエスカを
着けてフィッシュング。
これを餌と間違えて近づく
小魚をパクリ。

海の中にまで釣り屋が
居るなんて驚き。
それに足も手もあり
魚を求めて
海底を歩くのであるから
限りなく
釣り人に近い。

この蛙魚は大型種で
30cmにも成長する。



ほら鮟鱇に似てる
オオモンカエルウオ

海底を歩いたり
釣りをしたりするけど一応
アンコウ目に属する
れっきとした魚。

なんだかコンクリートを
そのまま擦り付けたような肌で
勿論、鱗なんぞは無い。
瞳の周りは
放射状のアイラインがあって
鬼笠子の真似したのか?

口元を見ると
どうも何か呟いているような。
えっ!もっとはっきり
喋ってごらん。

《おいらを馬鹿にするなよ。
おいらの祖先が大昔
浜まで歩いて
それから陸に住み付いて
知的生命体になったんだぞ。
誰も信じないけど》

Commerson's Frog Fish



Sea Urchin
珊瑚森の宝石です
こしだかウニ


水槽で飼育される人気者。
HPで検索すると
幾らでも画像が出てくる。

しかしどの画像も
これほどの鮮やかな藍は
出ていない。
この珊瑚の森にあって
初めて生み出される藍なのだ。

海栗は円盤状が多いが
これは甲が高い球状なので
腰高海栗と命名。
それにしても海の栗とは正に
ぴったりだね。

海栗というからには
食べられるのかな?
あの碧い部分はどんな味
がするのだろうか?



こちら生きた宝石
乙姫海老・オトヒメエビ

これはどう見ても
人工頭脳を持った
月面探査ロボットが
シャクルトンと呼ばれる
クレーター周壁を
掘っているように見える。

彼は月の宝石を求めて
永劫に掘り続ける。
宝石とはダイヤやサファイヤ
よりも遥に貴重な
水素原子2つと酸素1つの
結合体。

あれ!これクラークの
最後の作品《太陽の盾》の
場面と似ているな。

本を読んでは海に潜り
潜っては本を読むの繰り返しで
ついに2つの世界が
融合してしまったのか?
このDVと読書三昧が出来る
日々こそ究極の幸。

Banded Coral Shrimp



Heavenly Damsel Fish
ラピスラズリです
空雀鯛・ソラスズメダイ

ついに撮ったぞ!
素速しこくピンを合わせるのが
難しくて
何度撮っても鱗が出ない。

実はこの鱗、唯者ではない。
鱗上の皮膚にある
「虹色素胞」という色素胞の中に
ブラインドの羽根のように
配置された5nm(ナノメートル)
という極めて薄い
「グアニン」結晶が在るのだ。

100nm前後の等間隔で
並んでいて
この結晶が碧い光だけを
選択して反射し
碧く見せているのだ。

つまりこの魚の色は
碧くみえるが碧ではない。
結晶を除いたら
いったい何色なの?



宝石カクテル
錦風来魚・ニシキフウライウオ

珊瑚の星に
軟着陸したギラギラ飛行体。
Ornateとは
けばけばしいの意なので
ケバ管幽霊魚。

なんだかそれでは
この七変化する美しい
飛行体に対して可哀そう。
やはり錦風来魚
なかなかの命名。

何度か逢っているが
この摩訶不思議な彩が
究極の光を発する姿には
未だお目にかかっていない。

Ornate Ghost Pipe Fish




Stone Coral
珊瑚キャベツ
琉球菊花珊瑚の仲間?

スマトラ島で見られる
世界最大の花
ラフレシアにしたって直径は
1.5m程度である。

ところが海の中では
こんなのがごろごろ開いて
蝶の代わり魚を
集めている。
稀に人間もやって来る。

花弁は柔らかそうに
見えるがハードコーラルで
石の珊瑚と呼ばれている。

この花弁の中に
更に海羊歯、海星(ヒトデ)
海栗(ウニ)や蟹、海鼠(ナマコ)
海鞘(ホヤ)
多様な生物が棲息し
もう1つの小宇宙を形成。



珊瑚の囚人
八筋蝶々魚
ヤスジチョウチョウウオ

数えてみる。
1,2・・・7本しかない。
8本目は何処に在るのかと
図鑑を漁るが
いずこの八筋も7本である。

仔細に観察を続けると
側面からは見えない
もう1本の黒筋が
口吻から背鰭にかけて
走っているではないか。

それならそうと
初めから言っておくれよ。
でも和名はあるけど
日本では滅多に見られぬ種。
ピンが大甘だけど
載せておこうか。
Eight Banded Butterfly Fish




Whip Coral Goby 
水晶で出来てます
ガラス鯊・ガラスハゼ

白い脊椎が
スケルトンとなって
透けて見える。

不完全ではあるが
透明人間ならぬ透明魚で
あることは確かだ。

透明になる目的は
言わずもがな敵から身を
隠すことである。

透明が不完全なので
更に鞭珊瑚に身を寄せて
鞭と一体化し
「ぼくは見えませんよ。
何処にも居ませんよ」と
ぶつぶつ呟く。

でもさ、目がそんなに大きくて
赤くて目立つから
無駄な抵抗さ。
 



《C》 リーフエッジにて へ


Indexへ