《A》 パラワン島へ


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飛ぶために
生まれて来た鳥のように
水面上を殆ど
止まることなく実に良く
飛翔する。

空気を切るように
ナイフの様な形をした翼を
鋭く動かし
ホバーリングした次の瞬間
には海中に突っ込み
魚を捕らえる。

その鯵刺が羽を
だらんと下げ
母船の欄干に止まったまま
動かない。

羽を傷つけたのかい?
それとも
飛び疲れたのかい?
鯵刺の來船
羽を痛めたアジサシ



左側手前は恵ちゃん
その後は忠君
絵里ちゃん、崇浩君と続く。

右側手前がベトナムから
やって来たマーク
その後ろが直ちゃん
正幸君。

この計7人が
右舷をDVデッキとする
ディンドメンバーで
ラッキーチームなのだ。

この同時期に2隻の母船
から4DVボートを
連日珊瑚海に繰り出したが
マンタ、ハンマーヘッドに
遭遇出来たのは
我々だけであったのだ。
いざ出陣
ディンドチームの7人



そのDVサイト名は
Washing Mchine。

洗濯機のように
渦巻き逆流し引き込み
押し上げる海流が
あるのだろうか?

ココ島の激しい流れを
思い浮かべながら
飛び込んだら
「やあ!いらっしゃい」
とばかり
ナポレオン・フィッシュ。

Washing Mchineとは
名ばかりで
海流なんてそよ風
みたいなもん。

あれっ!1人足りない。
未だ40DVの初心者
崇浩君が消えた。
ナポレオン(眼鏡持の魚)
Napoleon Fish



ナポレオンを追って
24mまで潜ると
がやって来て
ナポレオンと
仲良くデュエット。

ナポレオンはおでこが
出ているから雄。
となると 眠鱶は雌か?
何処までも離れず
ぴったり着いて泳ぐ。

若し仮に目出度く
2人の恋愛が成就したら
ナポレオンと鮫の
子供はどんなのが
出来るのだろう。

大きな鮫の口に
飛び出したおでこ。
体の前半分が太くて
後ろが鮫のように細い
なんてのが
生まれるのか?
眠鱶(ネムリブカ)
White Tip Reef Shark



心配ご無用。
ナポレオンと離れて
鱶は砂地に着地し
お休み。

そこへ早速やって来た
掃除屋。
いつもはベラが
来るのだがどうやら
小判鮫の子供が
クリーニングに来たようだ。

こんな小さな小判鮫は
初めて。
こんなのがやがて
80cmにも
成長するなんて
驚き。

行方不明の1名発見。
耳貫が出来なくて
先に浮上したとのこと。
よかった。
小判鮫(コバンザメ)眠鱶
Shark Sucker


ぐーんと真正面から
迫ってくる。
アングルとしては
ベストなのだが
如何せん遠すぎるのだ。

ズームアップしてる上に
冠武鯛の動きが
速いので
ピントが合わない。

タイムログもあるので
追いつつ数枚の
シャッターを切るが
いずれもピンク色した
おでこの断崖絶壁は
不明瞭。

こいつを鮮明に撮るには
夜寝ている時が
絶好のチャンスだが
中々お目にかかれない。
冠武鯛(カンムリブダイ)
Humphead Parrot Fish



両足のフィンを揃え
ドルフィンキックを繰り返し
最大スピードで
冠武鯛に突っ込む。

カメラを冠武鯛の
1m先に構え
ファインダーを覗いたまま
一直線に突き進む。

ズームアップした
ファインダー右端に
歯板が入る。
続けて3枚連写する。

ピントは合わないが
冠武鯛独特の
歯板は撮れた。

この板状になった強力な
歯で珊瑚をバリバリ
噛み砕いて食べる。
冠武鯛の歯板



Wreck(レック)
名づけられたサイトは
幾つかあるが
実際に沈船があるのは
ここマラヤンレックのみ。

マラヤン・カンパニーの
タグボートが座礁し
今は胡椒鯛等の漁礁に
なっている。

リーフマップには
記されてないが
この船の西(外洋側)は
ハンマーヘッドの
回遊路なのである。

沈船の一部は
海上に突き出ている。
船縁で撮った画像で
判るが透明度は悪く
魚影も乏しい。
マラヤン・レック
ハンマーヘッド回遊路





深みへ向かう

霞蝶々魚
5月4日(日)曇
DVaF349
Total DV Time:281:31
Site:Malayan Wreck
Time In:6:29
Time Out:7:07


荒波が続き昨夜の
ナイトDVも中止になり

今朝早朝のDVも
危ぶまれた。

だがハンマーヘッドを追う
唯一のチャンスを
逃すわけにはいかない。
明日、船は
パラワン島に向けて
帰国の途に就くのだ。

駄目もとで
マラヤン・レックに入る。
エントリーは
早朝6時29分。

未だ闇の残る海には
無数の夜光虫が
星々となって煌く。

ダイバーに驚いた魚が
慌てふためいて
寝惚け眼で泳ぎ回る。



Barcometer:200〜50
Weight:3kg
Tank:10?
Tnmperature:29.3
Remain Nitrogen:6
Deco:1Time
Depth:33.1m


リーフから離れ
外洋のど真ん中に出る。
魚影は消える。

上方は僅かに明るいが
四方八方が
闇の混じった深いブルーに
閉ざされる。

カメラから手を離し
揺らすと手の周りに
無数の星々が
キラキラと輝く。

果たしてハンマーは
回遊して来るのか?
深度33.1m
ハンマー回遊深度



闇に舞うハンマー

闇の底から
悠然と白い影が
浮かび上がり上昇開始。

遥かに遠い。
カメラを
最大にズームアップし
フラッシュを停止。

ハンマーとレンズの
長い距離の間に
漂うプランクトンが光を
反射し被写体を
消してしまうのだ。

しかし暗いので
フラッシュを停止すると
極端に
シャッター速度が
落ちる。
カメラをパンしても
輪郭が呆けてしまう。
ハンマーヘッドの影
Scalloped Hammer Head



早朝のマラヤンレックで
ハンマーヘッドに
遭遇してから南へ移動。

最終日2本目は
北環礁の南端に位置する
アモスロック。

もう逢えないと諦めて
最終日を迎えたが
1本目でハンマーに逢え
焦りも消え
2本目は余裕のDV。

そこへ予期せぬ
マンタ出現。
レンジャー・ステーションや
ブラックロックでの
マンタ遭遇記録はあるが
アモスロックには
記載が無い。
ラッキー!
鬼糸巻エイ(オニイトマキエイ)
Manta Ray



深い闇の底から
5角形に闇を切り取って
静かに浮上する。

切り取られた闇の縁が
翻り腹側が僅かに見え
白いラインを描く。

尾がカールし
やや短くなっている。
鮫にでも襲われたのか?

私の目の前まで
浮上しそのままの深度で
北西に進路をとり
ウォール・ストリートへ
向かう。

深度30.9m
350本目のDVで
出逢ったマンタは
今まで出逢ったどのマンタ
より何故か
孤独の影が強い。
去り行くマンタ



遍羅(ベラ)が
髭のように毒ウツボの
口にへばり付く。
きっとウツボは食事後で
口内には食べ滓が
残っているのだろう。

しかしウツボは口を
開かない。
これじゃ遍羅は食べ滓を
クリーニングしたくても
出来ない。

ウツボの目が
面白い。
目の横に張り付く遍羅を
ジロリと見やって
『駄目だよ
入れてやんないよ』
ベラを着けた毒ウツボ(ドクウツボ)
Giant Moray



この角度から見れば
繋がった眉毛
2つの黒い瞳
大きな鼻と黒い口と
明瞭な人面に見えるが。

どうも欧米人はこの
文様には興味が無いらしく
Short Spine等と
針の方に
注目し命名してる。

針千本にしたって
襲い来る敵を威喝する為に
敢えて付けた文様なのに
注目してくれたのは
日本人だけか?

短い無数の針で
全身を覆い身体全体を
顔にしてまでも
身を守ろうとするのは
それだけ敵が多いのだろう。
人面針千本(ヒトズラハリセンボン)
Short Spine Porcupine Fish



《F》 『北環礁の極彩色』





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