仙人日記
   その772012年卯月

4月1週・・・・ 白銀の南アルプスに抱かれし春山荘 

 
白銀の南アルプスに抱かれし
春山荘

4月8日(日) 晴 平沢上から300mm望遠

不意に開けた。
何度もトレーニングで通い見慣れたアングルなのに今まで全く気付かなかったなんて!
上条の森を散策した後はいつも平沢集落から対岸の平沢上に登り
鉄塔山山腹に付けられた眺望抜群のこの林道を下る。
でも山荘の真上に白銀の南アルプスを戴くこのアングルには気づかなかったのだ。

思わず「おー!」と歓声を上げてしまった。
白銀の南アルプスと山荘の白壁が春の緑に映え、大気が時のフィルターとなって無数の粒子で彩を成す。
手前の荒川岳から赤石岳へと白光は遠のき最奥の聖岳で無数の時の粒子は
白銀を幻想的な蒼緑で塗りつぶす。
あーこんな風にして時のフィルターは私の現実を遙かなる心象風景に変換していくのだ。


光が差し込んだ途端に
突如氷の森出現!
4月7日(土) 晴 東の森

小さな谷に東の森から最初の光が差し込む。
谷の仄かな闇に吸い込まれた光が闇の底で再び燦然と光を放つ。
氷の森が光を捉え輝きだしたのだ。
目をやると恰もその1本の木を狙ったかのように地中から
細い水煙が闇に舞っている。

闇に舞った水の粒子は
冬の最後の叫びに身を竦めた途端
枝に絡め取られ総ての自由を奪われ透明なギヤマンと化す。
冬将軍の最後の贈り物だね。 

暁闇に蠢く冬の最後の贈り物

一面の霜柱に戸惑う

暁闇に咲く氷花
大地は白い氷の粒を一面に吐き出しながら
「おやおや、昨日はぽかぽか陽気ですっかり春だと思っていたのに
今朝は冬の大将、未練たらたらしく又やってきたな。
それにしては随分洒落た粋な贈り物を届けてくれたもんだね」と
2頭の犬に話しかける。
犬達は朝の長ーい影を引いてただただ霜柱の冷たさに戸惑う。

最後の贈り物とあって大将、中々手の込んだギヤマンに仕上げたな。
左の垂直の枝には水煙方向に海老の尻尾を延し
枝の屈曲部に透明な繭玉を飾り
そこから大地に向けて豪勢な長ーい氷柱を幾本も下げ・・・
どうだい!犬だって感心して見とれてるぜ。
と犬を見やるとやっぱり犬はただただ春の氷に戸惑っているのでした。

華麗なる終焉


 春の寒気に凍結か
4月7日(土) 晴 

さあ、春がやって来たぞと
浴室の温水スイッチをボイラーから
ソーラーに切り替え
4カ月ぶりに太陽温泉を復活させた。

凍てついた夕富士(テラス) 
ところがである。
ここ連日晴れて雨なんか降らないのに
雨樋から水が滴り落ちているでは?
屋根上の水供給源と云えば
温水ソーラー以外に無い。

こりゃ大変!
温水ソーラーがぶっ壊れたんだ。
 

ソーラー凍結か?(屋根)
凍える夕焼け富士を観ながら
屋根に登ってみると
温水ソーラーのタンクがオーバーフロー。

早速翌日業者を呼んで調べたら
どうも給水を自動制御する
ボール・タップがいかれてしまったらしい。
てっきり凍結破損かと思いきや
どうも部品の老化とか。
うーん、山荘は総てが老化しちまって
おしめいだな。

工事人来る(左の温水ソーラー故障)



春は名のみの(上条の森)

久々の森に興奮(森上部)
 森は未だすっかり冬
4月8日(日) 晴 上条の森

「森の死・・・
Moriの死か、Moriはラテン語で
動詞《morior・死ぬ》の不定法だったかな。
不定法は動詞の名詞的用法だから
英語のDieとDeathみたいなもんで
Moriは死ぬこと。

つまり森の死とは
ラテン語と日本語を合体させれば
《死の死》と云う意味にもなるね。
新芽の鼓動さえ聴こえぬ
茶褐色に塗り込められた上条の森は
今、正に《森の死》だね。

「Memento mori のMoriね。
《死を想え》、藤原新也の写真集の
タイトルでしょう」
あーまた心象風景の彼方から
木魂が還ってきた。
「生命は刹那の事実なり、
死は永劫の事実なり」

長谷川如是閑『如是閑語』

この森に来ると『如是閑語』は変換され
「生命は刹那の現実なり、
死は永劫の心象なり」と静かに
流れる木々の通奏低音が
聴こえる。

恐怖、苦しみ、醜悪、悲惨のイマージュを
引きずって死が
相も変わらず人を支配しているのに
この森はいつも死を
優しく謳う。

森の死・死の死は
死を裏返した再生。
死の死は現象を裏返すのみならず
永劫をも裏返し
永劫を刹那のパルスに変換し
新たな生命を育む。

あー、だからこんなにも
この森は死を優しく謳うんだね。
 
死んだ白樺(小倉山)
 
払暁の影の森(上条峠下)
 
ほっ!春が匂うぜ!と犬達(枯葉の森)

死の森の木魂
死は永劫の中に在って
過去と未来を拍動しその無数のパルスの1つに
刹那の現在を刻むんだーーー。


やっと咲いた白梅(奥庭)

山茱萸は満開(前庭)

水仙も本番(前庭)
でも山荘は春だよ!
4月8日(日) 晴 

真っ赤なハイビスカスに
覆いかぶさるようにして優雅に
大きな翅を広げる蝶。

幻の揚羽蝶・トリバネアゲハに向けた
カメラを通して観ていたのは
未だ咲いていなかった
山荘の梅や山茱萸、木蓮であり
土筆の芽吹きだったかな。

南太平洋の島ニューブリテンから戻り
どきどきしながら
山荘のゲートを開けて前庭から
奥庭に出てみると
蕾さえ定かでなかった白梅が満開。
その下で紅梅も凛として開花。

林檎畑では青梗菜が黄色い
菜の花畑を成し
凍てついた森から帰って来た犬達も
くんくん鼻を鳴らし
やっとやってきた山荘の春を実感?

山荘の菜の花畑で(林檎畑)
山茱萸が森の射干玉の闇に
くっきり浮かび上がり
ぱぷあの蛍の木となって
山荘に南太平洋の森を幻出させる。

そうかお前はぱぷあの蛍だったのか。
朝の斜めの太陽が未だ
森の下生えに届かぬ僅かな闇の時間を
利用してその黄金の肢体を
最も効果的に
耀かせる術を知っているんだな。

その黄金の肢体に魅かれ
蝶や沢山の虫達がやって来て
山茱萸の生殖を促し祝福し
あの秋珊瑚と云われるルビーのような
深紅の実が生み出されるんだね。

射干玉の闇が在ってこそ
初めて蛍は燦然と耀くことが出来
生殖を高らかに歌い上げる。
電気もないパプアの森の射干玉の闇に
耀く蛍と
山荘の森の射干玉の闇に浮かぶ
山茱萸の黄金の肢体が
不意に交差する。 
 
待ってました土筆君!(ゲート前)

更紗木蓮も色付き始め(東森)

室内にも飾ってあげよう(居間)

紅梅も一際鮮やか(奥庭)




うぉー凄い卵(山荘池)
池にもやっと春が!
4月8日(日) 晴 

2週間以上も水も与えられず
放っておかれたので
枯れてしまったかと心配していた
ポリアンサスや金盞花が
断水ダメージから回復しどうにか開花。
良かった!

で、池はどうなったかな?

ぎっしり詰まってるね(山荘疏水)
池を覗いてみると
どうでしょう、
この沢山の蛙の卵とクレソン。
ちょっと上の山の森では
霜柱が大地を覆い
氷の森さえ出現しているのに
山荘の池はすっかり春モード。

クレソンも今が最高の香り。
さてそれでは久々の
スペアリブに添えて春の
山荘クレソンを頂きましょうか。

クレソンもすくすく!(疏水)
菜の花を花瓶に生けて居間に飾って
蕾を摘んでさっと茹でて
さてその新鮮なサラダに掛ける
ドレッシングは?

出て来たのは生海苔に
ビネガーと酒を加えた特製ドレッシング。
うめー!
まさか生海苔の
ドレッシングがこれ程美味しいとは!

朝日が眩しいぜ!(竹森川)
竹森川と空に耀く2つの太陽を
追って森を散策し
上条の森を出ると南の地平に
くっきりと浮かぶ白銀の峰。

どうだい!立派だろ。
3千mもある南アルプスの盟主
赤石岳と聖岳、荒川岳だぞ。
今度一緒に登ってみるかい?

白銀の南アルプス(上条林道)



散歩は未だかな?(奥庭)
猛烈な藪漕ぎ・柳沢の頭へ
4月8日(日) 晴 

もうすぐ種蒔きのシーズン。
そこで耕運機のお出まし。
葡萄畑と林檎畑の雑草を取ってから
秋以来出番の無かった耕運機が
大活躍。

だが犬達にはさっぱり面白くない。
耕運機を整備する傍らで
「ねーねー散歩は未だ?」

よし行くぞ!(竹森林道バイク下車地点)
 







 
雪辱戦・背丈を越す藪ルート
4月8日(日) 晴 

とにかく凄いのだ。
背丈以上の熊笹が生い茂って
まるで視界が途絶えて
道なんか無いのだ。

高芝山(右)を見下ろす(柳沢頭から)
竹森林道のバイク下車地点には
朽ちた丸太の階段が在り
如何にも立派な道がありますよと
誘っているのだが
一歩踏み込むとそこから先は地獄。

前回はこの猛烈ブッシュに阻まれ
柳沢の頭までは到達出来ず
すごすごと敗退。

やっと藪から解放(411への分岐)
3・11の大震災で大きな亀裂
幾つも走り崩壊し
修復工事が行われている竹森林道は
現在も封鎖中。

が前回よりも工事は進み亀裂や
崩壊は補修され後は
アスファルトで道路面を固めるだけ。
でバイクは登山口まで直行。
高芝山より高い登山口からは
山荘から見慣れた堂々とした高芝山が
真下に小さく見える。

ついに藪漕ぎ成功(柳沢の頭山頂)






気分いいぜ!沈む夕日(柳沢頭頂)


前回の猛烈ブッシュの敗退に懲りて今回は
グランの犬としての本能能力を
試してみることにした。

背丈を超えるブッシュでルートを失う度に
ルートファインディグをグランに任せてみた。
今は完全に廃道となりブッシュが生い茂ってはいるが
嘗ては確かに道が通じていたのだ。
その痕跡をグランならきっと嗅ぎわけるであろうとの予測は
見事ヒット、無事山頂に達したのである。
見直したぜオバマ!
往復50km標高差941mを完走

バイクにリードを付けグランに先導させ竹森林道から
柳沢の頭へ向かった。
が軟弱なオバマにはリードを付けず勝手に
いつでもリタイアー出来るようにしたが、なんとあの
軟弱ものがグランの後を追って標高差941mを完走したのだ。

先導する生後1年ちょっとのグランの体力は注目に値するが
なまくら犬のオバマの想定外根性にびっくら。


ほら雪富士が遙かに柳沢頭頂



4月2週・・・・山荘の森が届けてくれた招待状に感謝  

   朝トレで森を登っていると
忽然と目の前に現れた大きな美しい角。
生殖の激しい戦を終え
不要になり捨てられた雄鹿の武器。

湿った黒緑苔に浮かび上がる角。
角に掛けられた450年前の
血塗られた刀が
暗い苔の深奥から朧な姿を現し囁く。
「さあ、いらっしゃい!
450年前のあの日・9月10日へ
ご案内しましょう」
そうかこれは山荘の森が
届けてくれた招待状なんだな。

今年こそ観に行こうと気になっていた
4年前の壮大な野外劇が鹿角に甦る。
「そうか、450年前、9月10日の
川中島激戦再現が笛吹川で行われるのは
今日だったんだ!
よし午前中に畑仕事を終えて午後から
上杉謙信と武田信玄の
戦いを観に行くとしよう」

森が届けてくれた
思いもよらぬ招待状に感謝!

壮大な野外劇への招待状
 4月15日(日)晴 山荘の森

  壮大な野外劇
(4年前の画像)
2008年4月13日(日)曇
笛吹川にて(川中島合戦

絶叫し苦痛に
顔を歪め流れに沈み込む兵士。
傷ついた兵士に最後の
とどめを刺さんとする緋縅の武者。

折れた太刀、
斬られ流された下半部の着衣、
換えの草鞋が虚しく揺れる。
凄絶な殺し合い。

447年の時空を超えた
壮大な野外劇。 



笛吹川河川敷に集結する両軍
 自粛された野外劇
2012年4月15日(日)曇
笛吹川にて

なんだか覇気が無いのだ。
4年前のあのどよもす熱気むんむんが消えてしまって武者達は
萎んだ風船玉のようにしょぼんとしている。
3・11大震災で昨年は中止、今年は内容的には自粛されたが
どうやら参加武者は900人を維持したらしい。

幟をはためかせて進軍

旗本毎に合戦場へ

赤備えの武田軍
合戦場に向かう仮設橋上では激しい斬り合い場面が予想されるので
仮設橋の直ぐ横に陣取りカメラを構え武者を待つ。
先ず青備えの上杉軍が入場し川上に陣を張り緋縅の武田軍を待つ。

昨日降り続いた雨で雪解けに拍車をかけ笛吹川は増水している。
川中での戦闘はいつにも増して厳しいものになるであろうと,どきどきしながら撮影準備。
今回は300mmの望遠レンズを持参したので
思い切ってアングルを川中に飛び込ませ迫力ある画像が撮れそうと、ふと川辺に眼をやると
がーん、ロープが張ってあり武者の川中での戦闘は出来そうもない。

イベント係に訊いてみたら「そうなんですよ、今年は川中戦闘は自粛でやりません」
がっくり!きっとこれで武者の覇気は失われたのだ。

上杉軍の武将


上杉軍が塩を献上

武田軍に運ばれる塩
献塩の儀で開始

山荘の在る旧塩山市(現甲州市)
よく間違えられて《しおやま》ですか
と訊かれる。
その通り塩の無い塩山なのである

塩山駅近くの小山を塩山に見立て
海の無い甲斐にも
ご覧のように塩山此処に在りと
敵に弱みを見せぬ作戦。
だが甲斐に塩が無いことを
知っていた謙信は
「兵糧に欠かせぬ塩が無くては
戦は出来まい」と信玄に塩を贈ったとか。
これが献塩の儀である。

献塩の儀に続き火縄筒が登場。
凄まじい轟音が炸裂し
炎と煙が辺り一面に漂い戦いの火蓋が
切って落とされる。

米澤藩火縄筒保存会による火縄筒の演武軍

武田軍の火縄筒

青備えの上杉軍の総攻撃開始

上杉の青甲冑と武田の緋縅が乱れる
上杉軍「車懸りの陣」
「鶴翼の陣」で応戦する武田軍。

本陣を中心にして
車のスポークのように旗本を配置し
最前戦で闘う武者を入れ替え
闘った兵を休ませる。
これを繰り返し常に活力ある兵を
闘わせる戦法が
上杉軍の「車懸りの陣」である。

これに対し鶴が翼を広げたような
配陣が武田の「鶴翼の陣」である。

止めを刺される武者

落とされた毘沙門の幟を死守

赤青両軍入り乱れて

武将同士の戦い

女武者と一騎打ち
山本勘助の啄木鳥作戦を実施すべく
武田軍別動隊は
妻女山に籠る上杉軍に夜襲をかける。
逃げ下る上杉軍を
千曲川で待ち構え挟み打ちにする
勘助の啄木鳥作戦は上杉に
読まれ失敗。
妻女山には100人の残留兵のみ。

先に妻女山を降りた上杉軍は
「車懸りの陣」で
武田軍を崩壊の危機に追いやる。

切られても直ぐ生き返る

ざんぶと川に落ち激しい流れの中で死闘は続く筈なのだが?
はい、今年はここまで!




鞭聲肅肅夜河を過る


《べんせいしゅくしゅく夜かわを過る》
音を立てぬよう静かに鞭をあて雨宮の渡を馬で渡る上杉謙信。
炊飯の煙がいつもより多いことから武田軍の夜襲を察知した謙信は100人の兵を残し
幟を立て35個所で盛大に篝火を焚き恰も上杉本陣此処に在りと偽装。
真夜中に妻女山を下り謙信は「車懸りの陣」を敷いて大胆にも武田本陣に迫る。 

啄木鳥隊に1万2千の兵を割いたので武田本陣は手薄な8千。
手薄と読んだ信玄は数名の手勢を連れて武田本陣に斬り込んだとされているが
切り込んだ武将は、上杉方は「荒川伊豆守」とし、武田方は「政虎(謙信)本人」と書物に残している。
(参照;上杉山城守源吾朗より)



追うのは勘助か?
信玄・謙信一騎打ちの場面
 
「馬に乗った謙信が武田本陣に突入し信玄に切りつけ、
信玄はこれを軍配団扇で防ぐ。
これに怒った山本勘助は謙信を馬で追うが果たせず」
との解説があったが勘助は妻女山夜襲の失敗を知り信玄、謙信一騎打ち以前に
敵中に突入し戦死した筈?

その後、勘助は自ら立てた献策・啄木鳥作戦の失敗によって
全軍崩壊の危機にある責に死を決意、敵中に突入。
奮戦して13騎を倒すが、遂に討ち取られた。

(武田三代軍略より)

疾駆し迫る謙信

両将軍の騎馬戦

篝火で揺らめく騎馬

死を決意した勘助は僅かな家来と敵中に突入して獅子奮迅の働きをするが、
家来たちは次々に討ち死にし、それでも勘助は
満身創痍になりながらも大太刀を振るって戦い続けるが、
上杉家の猛将柿崎景家の手勢に取り囲まれ、四方八方から槍を撃ち込まれ落馬したところを
坂木磯八に首を取られている。享年69。

(甲信越戦録より)

満身創痍、69歳の老体が最後に観たものは何だったのだろうか?
4年前の川中島激戦再現と較べると遙かに見劣りしてしまうが
改めて生々しい擬似戦闘をまのあたりにして生の修羅の凄まじさが迫って来る。
相手を殺さねば生き残れぬ生の修羅を想う。


やがて勘助は落馬し首を刎ねられる


4月3週・・・・ついに設置したぞ山頂標識&ログ定礎銘板


春になると野鳥がせわしく山荘の庭を
飛び交い巣箱の偵察を始める。
普段はテラスで食事をしていると
テラス近くの巣箱には近づかないのだが
この時期は人なんか無視。

尾が体に較べると異様に長く
柄長と命名された小さな可愛らしいエナガも
巣箱の偵察がてら
咲き乱れる山茱萸の枝にやって来た。

山茱萸花を食べるエナガ(前庭)
余りに小さくて望遠レンズで覗いても
四十雀との区別が出来なかったが
決め手は頭の白い帯。
と云うよりかその両側の目の上の黒い眉斑。
眉斑がそのまま背中まで連なり
太く黒い縞は長い尾まで伸びている。

木の上で小さな昆虫類やクモを食べ、
特にアブラムシを好む。
また、草の種子なども食べるとされているが
どうやら山茱萸の花も好むらしい。

小倉山の影に輝く杏(奥庭)

森に広がる春蘭(ゲート)

杏もそこかしこに(奥庭)

薔薇のような白椿(奥庭)
一斉に春爛漫
4月21日(土) 曇晴

なにしろ一遍に咲きだしたのだ。

梅や山茱萸が静々と
春の兆しを告げ、やがて春蘭が
森の草叢でひっそりと恥じらうように
早春の歓びを告げ
杏子が山影に淡い紅を散らす。

その後を追って
高貴な紫を森の闇に浮かばせて
「さあ、もうすぐ暖かくなりますよ」と
呼びかけるあのいつもの
三つ葉躑躅と石楠花、錨草さえもが
真っ先に春を告げるあの
梅や山茱萸と一緒に咲き出したのだ。

山荘始まって以来の
最低気温ー11.6℃を記録した今冬。
寒さに恐れを成し
唯ひたすらに堅く蕾を閉じていた
花花が一気に爆発した。

ここには載せなかったけど
庭には水仙もチューリップも林檎、李の
花も咲いていて
それはそれは美しくて正に
山荘は一斉に春蘭漫。

紅白花弁の椿も沢山(奥庭)

錨草もひっそり(池庭)

三つ葉躑躅(前庭)
 
石楠花の蕾(奥庭)
 
君子蘭も満開(二階イオ)

咲いた石楠花(奥庭) 




バニラシュガー作り(パプアのバニラ棒で)
春の味覚爛漫
4月21日(土) 曇晴

山椒が芽を出した。
目ざとく見つけ早速摘まんで
掌に挟みパンパンと叩いてお豆腐に。
そうそう酢味噌に混ぜてもいいな。

おや、発芽したので捨ておいた玉葱が
沢山葉を茂らせている。
発芽したらその後どうなるのか
実験的に畑に植えて置いた玉葱も
しっかり育っているでは。
よしこいつは酢味噌あえにして頂こう。

ドンコ椎茸も採れたぞ
先ず黒ラムと白ラムに入れて
バニララムを造ろうと
ラムの封を切って栓を開いたら
栓の下に更に滴下用の栓が着いていて
どうにも開かない。

短気を起こして滴下用栓を壊して
どうにかラムにパプアで買って来たバニラを
入れ次にグラニュウー糖での
バニラシュガー造り。
これはナイフを使うので慎重に。

さてこのシュガーで春の色と味覚・
菜の花を忍ばせた
花弁ババロアでも作ろうか。

捨てた玉葱の葉が美味しい(葡萄畑)
ふんふん、匂うぞ匂うぞ!
森に上がって椎茸原木に掛けてある
日除けの黒シートをそっと捲る。
捲った途端、
椎茸の放つ濃厚な森の匂い。
やっほー!
出てるぜ出てるぜ沢山の椎茸。

冬の寒さに耐えたどんこは肉厚で
本当に肉のような歯触り。
12月に芽吹き春までゆっくり育つどんこは
漢字で書くと冬子。
さて冬子さん、今夜は軽く炙り
檸檬と生醤油をほんの少し垂らして
頂きましょうか!


 

菜の花に浮かぶログ(林檎畑)
 蠢く大地・種蒔き
4月21日(土) 曇晴

さあ、忙しいぞ!
咲く気配さえ見せなかった桃も
やっと咲き出したし
青梗菜もすっかり菜の花になって
大地はもぞもぞと蠢きだしたぞ。

何故大地がもぞもぞ蠢くかだって?
うるさいね。
そりゃ大地が種を欲しがっているのさ。
うん、忙しいのはその大地に
種を蒔かねばならないからさ。
 
やっと咲き出した桃(中畑)
 ログハウスの嘆き
4月21日(土) 曇晴

おいおい!
9年前のあの熱中ぶりは
何処へ消えたんだい? 
まあ、建築後2,3年の間は
少し手を掛けてくれたので
どうにか許せるけど
最近は存在そのものをすっかり
忘れちまったようでまるで知らんぷり。

この嘗ての美肌を観てごらんよ。
荒れ放題でざらざらどころか
亀裂まで走って
観られたもんじゃないぜ。

せめてオイルステンを年2回とは
言わないが1回だけでも
塗ってくれればもっと生き生きと
艶めかしく在ったものを。
この仕打ち、あんまりだぜや。

そうそう、あなたは
確かスウェーデンの厳しい寒さに
育てられた眩しいような
白い肌をしたスプルース(唐檜)
でしたね。

覚えてますよスウェーデン語を
英語に翻訳した建築説明書には
Spruceと云う単語が
繰り返し繰り返し出て来たからね。
ログキットの名前はSK10とか。

ログ定礎銘板製作(ログハウス)
ほら、ガラス額に入れた紙の
定礎の銘板(Commemorative plaque)
朽ちてばらばらに分解して。
協力者が泣いてますよ。
せめて協力者の名前だけでも
残しておいてください。

Cosmosログ建築者 
建築書翻訳: 木村洋一
資材運搬: 松田則行・松田久子
棟梁: 坂原忠清
棟梁助手: 村上映子
大工見習い:  近藤直明、苫米地作俊
馬渕利幸 
棟梁補助:  坂原冨美代、他数名 
建築期2002年12月〜03年2月 

さてそもそも定礎の銘板を
プリントしてガラス額に入れて済ませる
なんて安易なやり方がいかん。
ログに対するつれない心が見え見え。
そこから改めなくちゃと
今度はしっかり陶板仕上げにして
これでどうだ!

「どうだじゃありませんよ。
私の荒れた肌は
一体どうしてくれるんですか?」
そうやった、ほんじゃ直ぐオイルステンを
買ってきて来週あたりに
塗りたくると云うことで如何でしょうか?

「指きりげんまん嘘ついたら
針千本呑---ます」




焼いたばかりの山頂標識
山頂標識設置
4月22日(日)曇 高芝山頂

妖精達がやって来て
人参掘りや椎茸採り、春の種蒔き
ログのペンキ塗り
読書の丘へのハイキング
更には芽吹きの美しい森への散策と
予定してたが雨で急遽中止。

雨の来る前に大急ぎで
シェフ村上と高芝山に駆けつける。
妖精達との活動は中止しても
今日4月22日設置を予定して
焼いた陶板製の山頂標識は
取り付けねば。

山名文字を織部の黒で焼き
今日の日付と《ゆぴてる》を刻んだ
山荘特製の表示板。
山頂の大きな檜に螺子留めしよう。

この位置でどうだろう?
と螺子を締める前に
岩で螺子を打ち込んだ途端バリン。
螺子穴が小さすぎたのに
気づかず無理して打ち込んだので
真ん中から割れてしまったのだ。
でもそのまま螺子締めしたら
かえって見やすくなり
きっちり固定され問題なし。

山頂の檜に着けよう

此処で同だ!

これで決まりだね

あら割れちゃった!

 真ん中からバリン

でも見易いからいいか

そもそも何故山頂表示板など
取り付けることになったかと
云うと話は1ヶ月前にさかのぼるんだ。
3月20日のHPを見てご覧。

 そうなんだよ。
1540mもの高さを誇り
山荘から観ても中央線から観ても
ピラミダルな格好良い山なのに
登山道が無いんだ。
まあ、獣道らしき杣道は在るんだけど。

でも山頂標識だけは立派なのを
誰かが設置したのだが
それが腐ってしまい1ヶ月前には
腐った標識も消えてしまった。
 
それじゃ設置除幕式だ

でもって、高芝山は山荘のシンボルだし
こりゃ山荘・ゆぴてるが造らねばと
相成った訳さ。
どうせ造るなら腐らない半永久的な
陶板にしようと
1ヶ月掛けて作陶し焼いたんだ。

設置除幕式には突然の飛び入りで
2頭の鹿が途中参加してね。
殆ど垂直に見える80度以上の崖を
一気に駆け登り
白い座布団のようなお尻を
振り振り一瞬
こちらを睨んで消えてしまった。
きっと今頃仲間を連れて
山頂標識を観に来ているかもね。



Index Next