コンダオ・ダイビング

珊瑚海・生命への旅

            珊瑚海其の33・・・・・・・もう1つのヒマラヤ

仙人日記
 
 その114の22015年  皐月
 
 Con Dao
 
撮影日:2015年5月9日~15日
場所:ベトナム・,コンダオ諸島  
撮影&編集:坂原忠清

       村上映子


《A》 侘び寂びを極めた 5つ星の宿・コンダオ6センシズ


目立たぬ入口の石板

電話1つで部屋付きメードも
移動手段のバギーも、直ぐ駆けつけて来る。
でも出来る限り従業員は表に出ず
さり気無くメッセージを彼方此方に置いて
客のリラックスを最優先させる。

その心憎いまでの演出に参った!
入口すら解らぬひっそりとした宿。
キョロキョロ探してみたら
藪の中に寡黙に突っ立つ石板が1つ。
此処にSIX SENNSES と記されていなければ
誰にも気づかれぬ宿、
それが5つ星の宿・コンダオ6センシズ。
気に入ったぜ!

 
Dear Mr Tadakiyo Sakahara 
部屋には和紙に記された
歓迎の手紙


【1】 いざ、ベトナム<ホーチミン・コンダオ島>へ

初めてのベトナム旅行。目指すはコンダオ島、ガイドブックにも載っていない秘島というふれ込みで、
確かに調べても情報量が非常に少ない。

ベトナムのダイビングは特に期待できる訳ではなさそうだが、むしろ初めての国としての魅力は大きい。
ホーチミン市で延泊することにして、コンダオ島の
34日のツアーを主催しているファイブスターと云う旅行会社を利用した。
いつもダイビングで利用させてもらうWTP(ワールドツアープランナー)は、とても丁寧に事前情報を伝えてくれる。

ところが今回利用の旅行社は、ダイビングに関しては全く知識なさそうで、詳しい情報どころか、
ダイビングそのものを現地リゾートで直接申し込んでほしいとのこと。

自分たちで情報収集して、現地のダイビングショップと交渉。器材を持参すれば割引と云うことも分かり、持参することに。
ベトナム航空の良いところは、国際線も国内線も搭乗荷物が40キロまで可能だということ。
重量の心配することなく、荷造りが出来る。




ひっそりしたレセプション

粗末なあばら家が並ぶ
5つ星のホテルに泊まる
と云う発想そのものが
全く無い仙人が
何を狂ったかノコノコと
やって来たのは
コンダオ諸島の5つ星ヴィラ、
シックスセンシズ・コンダオ。

 何じゃこれ!
貧民街の映画セットに使われる
スタジオに迷い込んだか?
屋根や壁に使われている板なんぞ
朽ちかかり
今にも剥がれ落ちそうでは!

あばら家の先は
熱帯ジャングルが立ちはだかり
とても5つ星の
豪華ホテルとは思えぬ雰囲気。
こりゃネット情報に
騙されたかな?
 でもきっと客の泊まる
ヴィラはもっと増しな建物だろうな?
着いたヴィラ209の左方の
竹を突っ立てただけの
不揃いの高い塀を観てドッキリ!

竹は風雨に曝されひん曲がって
大体長さも不揃いでは。
案内してきた専属メードの
アイビーがドアを開けようとキーを
差し込んで回すが
どうやっても、何回やっても開かない。

悪戦苦闘していたアイビーは
最後の手段とばかり
ドアを持ち上げ、浮かせたまま
キーを捻りどうにか開錠。

うーん、こいつはー
本当に朽ちているのかも?
えれーとこに、来ちまったぜ!

此処が本当に5つ星の宿?

森に架る橋を渡って 

この朽ちそうなぼろ家がヴィラ? 


ヴィラに着いたら専用プールに積乱雲がモクモクと出迎え
2015年5月10日(日)晴 コンダオ6センシズ ヴィラ209




浜では牛がのんびり砂均し

そうなんだ!
この島はフランス植民地時代から
1975年のベトナム戦争終結まで
フランスやアメリカに楯突く政治犯が
収容された監獄島。
人が住むことも、漁船が近づくことも出来なかったんだ。

このリゾートが出来たのも3年前の2012年。
囚人が解放された今
確かに ≪此処には誰も居ませんよ!≫

1500メートルも連なる広大な砂浜には
全く人影無し。
蒼い海と淡い褐色を吸い込んだ砂浜を観ていたら
小さな黒い影がポツン。
ゆっくり黒い影は膨らみ、やがて牛になった。

牛は橇の様な砂均しの黒い板を曳いている。
人の歩いた跡を消して
≪此処には誰も居ませんよ!≫

 
砂均しは永劫のシシュポス神話

専用プールと海が連なりまるで海で泳いでいる気分
 



蜥蜴のご挨拶

やー、何にも無い、誰も居無い様な島へようこそ!
此処に在るのは風と潮騒と蒼い海だけ。
あーそうそう誰も居ないと云ったけど
森の中には我々、蜥蜴が走り回っているし
ヴィラではゲッコーと呼ばれる守宮が居て
夜になるとアリアを歌ってくれるよ。
レセプションからヴィラまでは遠くて
運転手付きの電動バギーに乗って移動する。
途中の森からは蜥蜴が飛び出してきて
≪あれ、誰か来たぞ!
それじゃご挨拶しなくちゃ≫


2階寝室はゲッコー劇場でもある



【6】 カクテル用のシェーカーまで

壁面には冷蔵庫初めミニバーの様々な小道具が揃っている。
ワインもセラーに十数本は納められているし、カクテル用のシェーカーまである。
引き出しには様々なワイングラスが並び、戸棚には皿からナイフオークまで揃っている。

見ているだけで楽しくなる。
DVDCDが自由に使える設備も整っている。
部屋のインテリアも極力ナチュラルベースで、クッションやメニューブックの色は明るいグリーンで統一、
オレンジ色がアクセントカラーになっている。


一見簡素だが、よく見れば一つ一つがいかに心配りされているかが感じられ、これは快適な空間だと思う。
大きな窓の外にはバルコニー、その向こうは碧い大海原が大小の島を浮かべ広がっている。
これぞ南の国のリゾート。
実際、ここでの滞在は時間を追うほどに、その快適さがより感じられ、本当の居心地の良さを味わった気がする。
究極の贅沢に通じるのはこういう空間なのだろう。

この日の午後は早速町に繰り出すことに。レンタルバイクを借りて、2人乗りをしてみる。
空には怪しげな雲が被さっているので、雨具は持参するように用意してくれる。




未開の珊瑚海でダイビングした後もプールに入りびたり

 


一階テラスからの海

プールサイドのデッキ
建築素材は地元の竹と木材。
熱帯の樹木なので
数年で劣化し、変色し罅割れる。
建築後僅か3年しか経てないのに
最早あばら家の風情。

現代の建築資材を使えば
十数年、或いは数十年も
風雨に耐えて
メンテナンス費用が安価になる。
それを敢て
現地素材を使って自然との調和を図る。

うーん、これがコンダオの
5つ星のやり方か?
贅を尽くした結果の究極のあばら家。
贅の究極とは簡素で素朴な
侘びと寂びにあり。
あばら家風ではあるものの
1,2階に広い部屋があり
どちらでも生活可能。
幾つものクローゼットがあり
荷物の整理は楽ちん。

但し1.2階は繋がっておらず
一々外に出なければ
行き来できない。
つまり逆に1、2階は夫々
独立して貸し出すことも可能なのだ。

隣のヴィラとの間は
樹木や高塀を介し
互いのプライバシーに配慮。
従って風や潮騒の音以外は
聴こえず、深い森に
囲まれているよう。

寝返り打っても落ちないぜ

風呂とは別の広い露天シャワー室

一階の風呂と居間



【8】 溢れだす水の流れがメロディ

さっき買って来たフルーツがどれも美味しそうで、大皿に剥いたフルーツが山盛りに並ぶ贅沢。
スイカ、メロン、マンゴー、パッションフルーツ、パイナップル、ドラゴンフルーツ、スターフルーツ、ライチ
etc
持参のお摘み類も別のお皿に盛りつけ、準備完了。其処へ隊長が、焼き立ての烏賊と魚を仕入れて帰って来た。
プールサイドのテーブルにそれらを運び、夕焼けの海を見ながら、バー209の贅沢なハッピーアワーの始まり。
ランチは食べてないので、ビールがグッと喉越し良く、買って来た烏賊が実に美味しく、まさにハッピー。
目の前に広がる静かな海、穏やかな夕暮れが訪れようとしている。
右手にはエレファントマウテンが、象の鼻を見せている。

小さなプールは水が絶えず流れていて、溢れだす水の流れがメロディとなって心地よい響きを奏でる。
プールと海の一体感が違和感なく広がる。

ディナーの時間までには、まだ十分余裕があるので、プールでひと泳ぎすることに。
このプール、初めは小さくてすぐ飽きちゃうかなと思ったのに、全く飽きないのだ。
それどころか、とても心地よく、いつまで泳いでいても気持ちよさに変わりない。
泳ぐのに飽きたら、縁につかまって海を眺めたり、飛んだり跳ねたり歩いたりと、自由自在に楽しめることを発見。
子供みたいにはしゃぎながら、プール遊びに興じられる。

なんだか無性に嬉しくなってしまう。



朝トレ後、夜明けと共にザブン!
温泉と間違えているのでは?



【9】 海に星が零れていくような錯覚

程良い温度、ちょうど首まで浸かる深さ、絶えず流れる水の音の心地よさ、そして水の質そのものがいいのだろう。
滞在中、外のプールは一度も入らなかったが、プライベートプールは暇さえあれば飛び込んで、
朝も夕方も、夜も、夜明け前さえも楽しむことが出来た。

夜は水中照明が水の色を柔らかいパステルグリーンに美しく染め上げる。試しにライトを消してみたら、いきなりプラネタリウム!が出現。
満天の星空、海に星が零れていくような錯覚を起こす。海面には落ちて来た星達のように漁船の明かりが揺れる。
日が沈む頃から、木々の間を蝙蝠が飛び始める。恐らくフルーツバットだろう。
一番星を見つけ、二番星を探す。

夜の帳が降りると、さそり座のアンタレスが、海面に向かって赤い光を瞬かせている。
プールの中で本当にいろんな楽しみを発見できた。
隊長でさえ、「まさか、こんなプールでこんなに愉しめるなんて!」と、小さな男の子みたいに、はしゃぎながら笑っている。
たぶん大の大人に、自然の中で子供の感覚を取り戻させて、誰憚ることなく大はしゃぎさせるのは、
このリゾートのコンセプトにプログラムされているのだろう。

このプールも緻密な計算がされているのかもしれないが、それに乗っかって素直に楽しむのも、この年齢になればこその贅沢かもしれない。




プールの灯りを消すと満天の星

部屋の彼方此方に掛けられたタオルや
パジャマ、使われた食器等の交換をするのだが
まさか就寝前にも来て
1,2階の総ての窓のブラインドを降ろしたり
飲み物や食器の補充などするとは!
朝食後には3人のハウスキーパーが来て
隅々まで清掃し床を裸足で歩いても
1粒の砂も感じない程。
 
夜の一階テラス


幻想的な光に満たされる夜のプール

6センシズの総投資額は3400万ドル(約28億5000万円)、面積は12ヘクタール、ビーチ沿いのビラ50戸が建つ。
因みに、 インドチャイナ・ランド社の同案件(6センシズ)は世界一優れた設計・建設の商業不動産案件として
イギリスの2010年インターナショナル・コマーシャル・プロパティ・アワードを受賞した。
( 2012年12月20日付タインニエン紙より)



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