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その117の1ー2015年 葉月 |
8月1週・・・荘厳なるガイアの夜明け
Contents | [A] 荘厳なるガイアの夜明け | |
《A》 | 荘厳なるガイアの夜明け | |
《B》 | 笠から槍、南岳への稜線図 | |
《C》 | 双六岳へ 3日目 | |
《D》 | 小鑓幻想 4日目 | |
《E》 | 新穂高へ 5日目 |
槍ヶ岳北鎌尾根の黎明 अमिताभ Amitābha 8月4日(晴)5時03分 笠ヶ岳山荘より 死の背後に、これ程までの赫奕たる光が潜んでいるなら死も悪くはないぜ! ・ 夜明けの素晴らしさは山荘で充分堪能しているが、ここ笠ヶ岳山荘での日の出の荘厳さには懼れ入った。 黒々とした小槍を従え槍ヶ岳がいきなり真紅の光に包まれ、漆黒とは俺様のことだと叫ぶのだ。 5時03分、鋸歯状の鋭い北鎌尾根上に炸裂する赫奕たる光・अमिताभ Amitābha。 山荘で朝食中であったが、食いかけのままカメラを持って慌てて飛び出す。 |
山小屋の夜明け (槍穂稜線) つまり笠ヶ岳は、凍てつく槍穂の岩場から あるいは遥か剣・立山の氷の山稜から 遠く眺める山であった。 ・ その山に、登る日が来るなんて 考えてもみなかった。 厳しく困難な山だけが、山であったような日々が 疾うの昔に終わった今、 優しく呼びかける笠ヶ岳の声がやっと 聴こえるようになったのだ。 |
ほぼ3千メートルの稜線上に位置する 笠ヶ岳山荘からの夜明けは 最も荘厳で神秘的であると、聞いたことがある。 ・ しかしヒマラヤ遠征のトレーニングの場として アルプスを観ていた者にとって その夜明けの美しさが 槍穂の岩場の魅力を凌駕することはなかった。 |
目覚める冥王・槍 (笠ヶ岳山荘より) |
第1日目 8月2日(日)晴午後曇
わさび平小屋へ
活動データ:9943歩、6km960m、302Kcal
山荘発 | 7:00 | 松本駅バス発 | 10:00 |
東山梨駅発 | 7:26 | 新穂高温泉着 | 12:00 |
松本駅着 | 9:35 | わさび平小屋 | 13:50 |
抜戸岳へ突き上げる岩小舎沢の残雪 |
さあ、出発だ! |
林道は暑い,残雪恋し! |
70分の短い行程なので のんびり高山植物等 撮り乍らの林道歩き・・・。 の筈だったが 木陰もない裸の林道に降り注ぐ 強烈な太陽に焙られ 初日から汗ダクダク。 ・ 突如、富山ナンバーの 真っ赤な小型消防車2台、 パトカー1台が下って来る。 まさか山小屋が燃えてしまったとか? ・ パトカーの警官に訊いてみたら 笠新道で遭難事故発生、 動けなくなりヘリで先ほど救出したとか。 急登で名を馳せる 笠新道(抜戸岳南尾根)では、 ほんの僅かなスリップでも 大きな事故につながる恐れあり。 特に岩場でのスリップは 致命傷を負うことになる。 |
流しソーメンならぬ流し胡瓜 |
わさび平小屋には 風呂があるのでもしや温泉が 出るのかと期待してたが、 新穂高温泉郷とは大違いで 唯の沸かし風呂。 ・ 2人も入れば身動き出来ない。 山荘の風呂の方が遥かに快適。 此処まで車が入るので せめて夕ご飯だけは 美味しいのではと臨んだが、 お粗末な山小屋ご飯。 ・ 車の恩恵は庭の流し水槽に 浮かべられた胡瓜、トマト、バナナ、 オレンジ等の新鮮野菜と果物。 これらは重くて保存が効かないので 山小屋でお目にかかることは 決してないのだ。 胡瓜もトマトも1個100円と安い。 正に車の恩恵じゃ! |
流しオレンジもあるぜ! (わさび平小屋) |
白山女郎花(ハクサンオミナエシ) |
糊空木(ノリウツギ)、サビタの花 |
深山顔剃菜(ミヤマコウゾリナ) |
山吹升麻(ヤマブキショウマ) |
新穂高からわさび平小屋までの 林道沿いに咲く花々。 標高1000~1400mなので 山荘より300m以上高いが、 山荘で観られるお馴染みの 花々も多い。 |
猪独活(シシウド) |
山蛍袋(ヤマホタルブクロ) |
鬼下野草(オニシモツケソウ) |
深山靫草(ミヤマウツボグサ) |
虫狩(ムシカリ) |
姥百合(ウバユリ) |
荒毛反魂草(アラゲンハンゴンソウ) |
第2日目 8月3日(月)晴午後曇
笠ヶ岳へ
活動データ:26111歩、18km277m、882Kcal
わさび平小屋発 | 5:10 | 笠ヶ岳山荘着 | 11:40着(村上12:37着) |
南尾根1700m地点 | 6:20 | 笠ヶ岳山荘発 | 12:40 |
2200m地点 | 8:00、発8:30 | 笠ヶ岳(2898m) | 13:00 |
杓子平 | 9:00 | 笠ヶ岳山荘着 | 13:30 |
抜戸岳(2813m) | 10:20 |
荘厳な夜明け अमिताभ Amitābha 8月4日(晴)5時03分 笠ヶ岳山荘より 1824年、4回目の笠ヶ岳登頂を果たしたその日、播隆上人が山巓で観たのは、 槍ヶ岳に炸裂する赫奕たる光アミターバ・अमिताभ Amitābha。 サンスクリット語で≪無限の光をもつもの≫を意味し、空間と時間の制約を受けない仏・阿弥陀如来を表す アミターバ・अमिताभ Amitābha を眼前にして、播隆上人は笠ヶ岳の山巓で 前人未踏の槍ヶ岳開山を決意。 天空に屹立するあの峻険な槍ヶ岳の山巓こそ、阿弥陀如来の降臨すべき聖なる地。 ・ その4年後の1828年7月28日、槍ヶ岳に初登頂、厨子を設置し、阿弥陀如来・ 観世音菩薩・文殊菩薩の三尊像を安置したと『槍ヶ岳開山 播隆』穂苅三寿雄 穂刈貞雄に記されている。 191年後の今朝、播隆上人が笠ヶ岳で観た赫奕たる光アミターバ・अमिताभ Amitābhaは、 空間と時間の制約を超えて、確かにそこに在るのだ。 |
【1】 贅沢なスタート 笠ヶ岳・双六岳、南岳 2015年夏山 8月3日(晴れのち曇り) わさび平小屋では早朝4時半より朝食が摂れるとのこと。 有難いことに、実際には更に早く食事が提供された。お蔭で、5時10分には出発。 早朝の爽やかな林道からは、錫杖岳の烏帽子岩が鋭いギザギザのシルエットを見せ、 「ン~、この景色は日本じゃないみたいだな、スイス辺りの感じだ。」と隊長を喜ばせる。 笠ヶ岳新道の入り口で冷たい湧水をペットボトルに詰め、これから始まる長い登りに備える。 夏休み真っ最中というのに、全く人がいない。未だ日が昇る前の涼しい森の急登へと 向かうのは、我々だけ。贅沢なスタートだ。 ・ 初めから予想に違わぬ急な登りで、その分どんどん高度は稼げる。 「1時間に1本の休憩を入れて、ゆっくり登ろう」との隊長の言葉に肯きながらも、そんなにのんびり登るはずのないことは解っている。 急登を終えれば、笠ヶ岳は稜線歩きだ。 出来るだけ早い時間に出発したのも、天気が安定している午前中に稜線歩きを終えたいからだ。 稜線上で雷に襲われたら防ぎようがない。天候の安定を気にして、順延してきたのもそのためだ。 |
見上げる錫杖岳エボシ岩 (左股林道より) |
名にし負う急登の笠新道 |
眼下にエボシ岩 (笠の頂より) |
小気味よい急登で グングン標高を稼ぐ。 わさび平小屋から戻らねば 笠ヶ岳登山道入口に 出られないことや、 急登で有ることが敬遠されてか、 登山者は少ない。 ・ 小屋に泊まっていた人たちは 殆ど鏡平から双六に向かう 小池新道を選んでいるので、 笠新道は我々の独壇場。 |
日焼け止めを塗って |
たっぷり汗をかき杓子平に出ると 目の前に、どでんと笠ヶ岳。 しかし遥かに遠く果たして 雷雲にとっ捕まる前の午前中に 小屋に着けるのだろうか? と一縷の不安。 ・ 昼までに残された時間は3時間。 辺りには咲き乱れる花々。 まー焦らず 久々に再会した花々を撮りながら のんびり行こうか! |
日光黄萓 (ニッコウキスゲ) |
信濃弟切 (シナノオトギリ) |
深山沙参 (ミヤマシャジン) |
【2】 12時頃には笠ヶ岳雨雲なんです 1400m地点からのスタートだったが、勾配の厳しい登りのお蔭で、最初の休憩は1700mの標識がある場所、1時間少々で300mが稼げた。 既に汗びっしょりなので、流れ落ちてしまった日焼け止めを補強しておこう。 休息後の隊長は、「やー快適だ!」とどんどん調子を上げて、次第に私の視界の向こうへと消えて行く。 途中で若い女性が休憩しながら、スマホの操作をしている。思わず「此処では繋がりますか?」と尋ねると、 「はい、今雨雲レーダー見るんです。12時頃には笠ヶ岳雨雲なんです」「ええっ!それまでに着けるかしら?」心配になる。 彼女は今日は杓子平までで降りてくる予定だとのこと。道理で背中の荷が小さい。 ・ 先週も笠ヶ岳に登ってきたそうで、天気も良かったらしい。 2200m地点で隊長が大休止をとっていた。私はその少し手前で水分補給だけは済ませていたが、先の休憩からは2時間近く経つ。 ずっと急勾配の登りが続くだけに、汗の量も半端でない。 バテル前に水分補給はマイペースで行わないといけない。8時30分に出発。 間もなく先ほどの女性が下山してきた。 「もう杓子平まで行ってきたの?」「はい、気を付けて行ってらっしゃい!」 と言うことは、杓子平はそう遠くないのかな。 |
森林限界から振り返ると 8月3日(晴) 杓子平手前2200mより |
【3】 私は私、マイペースで 下山してくる人は多く無いので静かな山を享受できる。 樹林帯を抜けた。後ろから来た同年輩くらいの女性が「この登りほんとにきついね~」と下山グループと言葉を交わしているのが聴こえる。 速そうに見えたので、道を譲ろうかと思ったら「いえいえ、ゆっくりペースで行きますから」とのこと。 高山植物が美しい。途中で車百合に出逢ったのでカメラを向けていると、「先週、白馬で写してきたから、お先に。 また抜かして下さいね。」と声を掛けながら、登って行った。 のんびり写真を撮って、見上げたら、その人は力強い足取りでぐんぐん登って行く。どうやら単独行らしく背中のザックもかなり大きい。 ・ 私に気を遣って、ゆっくりペースで歩いてくれたのだと思った。彼女に追いついて、まして抜かすなんて、あり得そうもないな。 私は私、マイペースで登るしかない。杓子平からは笠ヶ岳山荘が見える。 未だまだ遠そうだが、既に雲が湧きだしてきている。のんびりしている訳にはいかない。 こっちでいいのかな~と思うほど、登山道に人影は見えない。 間もなく勾配のきつい岩通しの登りとなる。基部で見上げると、既に上部の岩稜を行く隊長の姿が見える。 ちょっと安心する。その更に先を先ほどの単独女性が行くのが見えた。やっぱり強い人なんだ。 |
笠ヶ岳見ゆ (杓子平から) |
早くも雷雲か? (杓子平) |
笠ヶ岳山荘見ゆ (杓子平から) |
車百合 (クルマユリ) |
杓子平まで標準コースタイムで 4時間半。 小屋を出てから2回 計40分の食事休憩を入れて 3時間50分なので 此処まで正味3時間10分で到達。 ・ つまり標準タイムより 1時間20分早い。 残り此処から笠ヶ岳山荘まで 標準タイムで3時間10分なので、 まーこの調子で登れれば 何とか午前中には着けるだろうと、 のんびり杓子平のお花畑を逍遥。 ・ 女の子が単独で下山してくる。 下山には遅すぎるので 訊いてみると、地元岐阜の人。 今朝登って来たが 杓子平上空に掛る雲を観て 雷雲に捕まる前に下山を決意したとか。 ・ さすが地元、賢いね! うーん、のんびりなんか していられんな! |
笹百合 (ササユリ) |
白山一華 (ハクサンイチゲ) |
深山大文字草 (ミヤマダイモンジ) |
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深山竜胆 (ミヤマリンドウ) |
小梅蕙草 (コバイケソウ) |
深山金鳳花 (ミヤマキンポウゲ) |
【4】 自分の足で山稜を歩けること 何だか急に気力が失せて、慌てて水分補給とエネルギー補給をすることに。 座りこむと隊長の姿も見えなくなる。後にも先にも誰もいない。 マイペースで歩くことが当たり前になっているから、いつもはこんな風に一人の山はむしろ快適なのに、今は何故か弱気になる。 あんなに力強く、隊長より早いくらいで登れる人を目の前にしてしまったせいなのか、自分の力の無さが情けない。 今までだって、自分が強いなんて自負したことは無かったが、マイペースで同行させてもらうことに、あまり遠慮は無かった。 でも、隊長はいつも遅いペースの私に内心呆れているんだろうな。 本当はあんなふうに逞しく登れるパートナーと登りたいだろうな。 ・ 写真だって自由に撮れるだろうし、、、もやもやと弱気の虫の戯言を聞いていたが、たっぷり飲んで、しっかり腹ごしらえを して立ちあがったら、何だか体も心も軽々して来て、ごろごろ重なる岩の登りが嬉しくなってきた。あは、半分はシャリバテだったようだ。 岩が累々と続くと、チベットの登山を思い出す。 すると忘れかけてた何かが甦るようで、誰もいない岩山にチベットの未踏峰の記憶が重なってくる。 大切なことは弱いとか強いとかそんなことではない。 今こうして、自分の足で山稜を歩けること、そのことによって感じる豊かさや歓びが、確かに自分自身のものである と云う掛け替えのない事実をみつめよう。 |
余り離れないように ゆっくり登っているのだが 振り返っても最早 村上の姿は見えない。 稜線を見上げても人影無し。 ・ 稜線直下の雪田を超えて 稜線に出ても 誰も居ないのでサングラスを 外して道標に載せてみる。 ・ 支柱も朽ち果て 立っていることも出来ないので 石ころで支えられた道標は 久々に構ってもらって 嬉しいのか 何だかニッコリ微笑んだような。 ・ あーお前さんは いつ来るとも知れぬハイカーを 唯ひたすら此処で 待っているんだね。 |
抜戸岳頂上直下 |
抜戸岳稜線巻道 |
抜戸岩 |
蟹の鋏のような変な岩。 そう云えば開きかけたドアーに 見えなくもないか。 このドアーを抜けるといよいよ 笠ヶ岳。つまり 抜戸岳はこの岩の名を取って 着けられたんだな。 ・ ドアーを潜って暫くすると 残雪のある播磨平。 十数張のテントが残雪を水場として 張られている。 トイレは笠ヶ岳山荘まで 登らねばならずちょっと大変。 急いでいる時なんぞ漏らしそう。 ・ 驚いたことに山荘の庭には 土木工事に使う ユンボー(ショベルカー)があるでは! ヘリで荷揚げしたのだろうが 重くてとても運べそうもない。 きっと分解して 部品を運び此処で組み立てた のであろうが、 それにしてもヘリは凄い。 |
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播磨平:笠ヶ岳テント場 |
笠ヶ岳山荘 |
【5】 あっという間に山頂に 相変わらず人に会うことも無く、朽ちかけた道標に導かれ抜戸岳から僅かに下って、稜線の分岐へ出た。 双六小屋から朝5時に出発してきたという年配の夫婦にちょうど出会う。此処からは稜線上に人の姿が見える。 途中持ち主の無いザックが無造作に置かれてたが、笠ヶ岳を往復してくる人がいるのだろう。抜戸岩を過ぎて、笠ヶ岳山荘ももう近い。 最後の水補給をしていると、黒部五郎岳から縦走中というやはり単独の女性が、「見えてるけど、まだ1時間はかかるかな?」 と聞くともなしに喋りかけて来る。「もう30分もあれば着きますよ」と答えながら、近いようで案外遠いかなと思う。 テント場迄来てから、更に登りが200mほど続く。 ・ 途中の岩に<がんばって>なんてメッセージが書かれている。 此処まで来て最後の登りはきついなと考えながら、テントの人たちは上までいちいち用を足しに行くのは大変だと余計な心配をした。 小さな雪田を渡り小屋に到着したのは12時半過ぎ。隊長に遅れること1時間だが、ほぼコースタイム内で登れたのだからよしとしようか。 案の定、休む間もなく、待ち構えていた隊長と空身で笠ヶ岳山頂へ向かう。 雨が降ってきてもおかしくない空模様なのだから仕方ない。 あっという間に山頂に着き、此処からの雄大な景色を堪能しようと雲の切れ間を待つ。 |
残雪が多く危険なため小屋を開けるのは 6月中旬で、初雪の降りる 10月中旬には小屋を閉めてしまう。 つまり7.8.9月の僅か3か月が、 月いっぱい営業出来る期間なのだ。 |
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笠新道は急峻なので雪が降れば直ぐ雪崩れ、 クリヤ谷ルートは更に危険で 積雪期に笠ヶ岳に登るのはとても難しいのだ。 夏であってもメインルートから離れ、 縦走ルートから外される不遇な山。 |
【6】 布団も一人1枚でゆっくり 山頂では思いがけず蝶に出逢い、隊長はこれは初めての蝶だと大喜び、 ただし下山後調べたら普通の黄アゲハだったらしいが、それにしても3千mの山頂で出逢うとは珍しいことだ。 雲が半分以上を隠していたが、此処からの大パノラマはどれほどだろうかと想像してみる。 小さな祠に手を合わせ、下山した。下山後はたっぷり時間があり、ビ―ルを飲んで乾杯したが、残念ながらここでのビールはあまり冷えてはいなかった。 水は自由だが、お湯は有料とのことで、明日は水だけでいいやと思う。 わさび平山荘では携帯は使えなかったが此処では電波が通じる。明日の予定は双六まで縦走。双六小屋に予約の電話を入れる。 ・ かなり混んでいるらしい。笠ヶ岳山荘は混雑とまでは行かない。布団も一人1枚でゆっくり休める。 夕食後外に出てみるが、ガスが掛かって写真をとるほどの夕景には出逢えなかった。 此処に泊る目的は、雄大な朝夕の景が最大の目的でもあるのだから、明日に期待をしよう。 7時ころ到着した登山者が受付で小屋の従業員に注意されていた。連絡もせず遅かったのだろう。 此処に7時到着とはどんな行程だったのかと訝しく思うが、夏山とは云え遅すぎる。 何処まで歩けるかなと考えながら、我々はもう7時半にはしっかり就寝。 |
深山沙参 (ミヤマシャジン) |
頂の黄揚羽蝶 |
深山秋の麒麟草 (ミヤマアキノキリンソウ) |
笠ヶ岳山頂で蝶に出逢った。 間違いなく文様は 黄揚羽蝶なのだが、 黄色いのは中央胴体部に近い 左右の文様だけで、あとは 全体に白っぽくて、 とても黄揚羽蝶には観えない。 後翅末端のオレンジの円も薄く、 見慣れている黄揚羽とは 印象が全く異なる。 |
笠ヶ岳山頂の祠 |
てっきり3千mの高度でしか 観られぬ高山蝶かと興奮し 、山荘に帰ってからの 同定を愉しみにしていたが、 単なる黄揚羽と解りガックリ! しかしこの蝶が只者でない 黄揚羽であることは 言うまでもない。 |
お見事な積乱雲 |
「カモメのジョナサン」(作:リチャード・バック) ならぬ、黄揚羽のジョナサン。 きっと何処までも果てしなく 死を畏れず、 いや寧ろ死を望んで 天空の彼方へ飛翔するのだ! |
双六岳変更し笠へ来た村上 |