マジュロ・ダイビング

珊瑚海・生命への旅

            珊瑚海・・・・・・・もう1つのヒマラヤ

其の13




Majuro Atoll
        
撮影日:2007年7月  場所:マジュロ環礁    
  

撮影・編集:坂原忠清


22 マジュロ島(マーシャル諸島共和国)


                                   

相対評価・・・《》最高、《》良い、《》並、《》やや悪い、《》悪い
珊瑚の成育 透明度
魚影
静けさ(ダイバー数)
周辺環境(汚染等)

総合評価・・・《



マジュロの珊瑚は世界でも類を見ない美しさを誇り・・・
そんなキャッチフレーズを何度か目にする度に、次の目標としてマジュロが浮かぶ。
だが何としてもマジュロは遠い。
グアムからもハワイからも遥かに遠い。飛行機は散在する島々をホッピングしながら
グアムから9時間もかけてようやくマジュロ環礁に着く。
JALの特別直行便が飛ぶと聞いて早速行ってみたが・・・



真珠の首飾り

朝8時半の早い便で
成田を出たが
時差+3時間で
着陸態勢に入る頃は
夕日が
海を染め始めていた。

『宝島』の著者
ロバート・スティーブンソンが
「太平洋の真珠の首飾り」と
呼んだ島々が
海に影を落とす。

真珠の首飾りが
ぐんぐん近づく。
マジュロ中心部

首飾りの先端部が
外洋の荒波に縁取られて
白く輝く。

こんな細いラインの上に
道路が走り
家屋が建ち営みがある。

屈曲部手前のラグーン側で
銀に光る屋根が見える。
ここがダイバーの宿
マーシャルアイランズ・リゾート

ここから船を出し
各DVサイトへと向かう。



珊瑚ガイダンス
Table coral

リゾートに着くや否や
全員集められて珊瑚の学習。

1997年のエルニーニョの
海水温上昇により
世界の珊瑚は壊滅的な
打撃を受けたが
ここマーシャル諸島は免れた。
世界に誇るこの珊瑚を
守りましょう。

このガイダンスで
ダイバーの珊瑚への期待は
益々高まる。

世界に誇る
      珊瑚海?

翌日、期待に胸膨らませ
早速ダイビング。
絶句!これが
『世界でも類を見ない美しさ』
と言われた珊瑚なのか?

魚影は無く
まるで死の世界。
珊瑚は何れも茶褐色で
死の様相を帯びている。

近くには水爆実験の
行われたビキニ環礁が
あるが、まるで
被爆した珊瑚海を彷彿と
させる死の世界に
唖然!
パプアニューギニアや紅海の
鮮やかな珊瑚が恋しい。



空雀鯛
Blue chromis

おー魚が居たぞ!
何処の珊瑚海にも居る
コバルト雀だが
何とも嬉しい。

それ程魚影に乏しいのだ。
マンタや鮫も出るとあるが
そんな遭遇は
極々稀で
「出たこともあるよ」
ぐらいな珍事なのだろう。

大物を撮る
コンバージョンレンズは
全く不要なので
最初からバッグに
仕舞ったまま。
7本のDV総てで
出番無し。
お久しぶり
撮るものも無く
暇だから暫く
空雀鯛と遊ぶ。

いつも群れているのは
理由がある。
モビングと呼ばれている
擬似なる戦い・擬闘を
演じるのである。

襲ってきた捕食者に対し
集団でコバルトの
巨大魚を造り
闘いを挑むふりを
演じるのだろうか?
残念ながら未だ
見たことは無い。



三帯熊の実
Three banded anemonefish


このスリーバンデッド
アネモネフィッシュが
ここの売り物らしい。

熊の実を目玉にしている
という事は
他に見るべき魚が
居ないとの
宣言でもある。

確かに熊の実の帯は
1条か2条で
3条は珍しい。
が隠れ熊の実も3条の帯
を着けてるし
目新しく無い。

磯巾着さえあれば
熊の実は何処にでも居る
ような魚である。
浜熊の実
Tomato anemonefish

実はこの浜熊の実も
幼魚期には3条の帯が
あるが成長と共に消え
頭部に1条残る。

浜熊は先端が丸くなっている
玉頂磯巾着・
(タマイタダキイソギンチャク)
のみと共生する。

磯巾着には触手に
刺胞毒があり
この免疫を獲得した熊の実
以外は近寄れず
熊の実は安心して
卵を守れるのである。



黒点河豚
Blackspotted puffer

おりゃも見てくれや!

枝珊瑚を縫って
ひょろひょろと
泳ぐというよりか漂って来た
黒斑点を着けた河豚。

今日はなかなか渋い
藍と黒で決めてるが
こやつ中々の衣裳持。
下半分と尾を黄色に
してみたり
クリームに変えたり。

紅海で見た仲間
覚えているかい?
あの時は白のジャケット
着てたんだよ
模様河豚
Star puffer

これだけ見せられたら
縞馬の眼か?
とも思ってしまう。

これが化粧河豚のような
縞々模様だったら
正しく縞馬だね。

化粧河豚は60cm程だけど
これは80センチもあるから
突然出逢うと
ぎょっとっするね。

大食漢で美食家。
珊瑚、海綿、海藻は元より
海栗、蟹、貝も食べる。



イザリ魚
Striated frogfish

アングルが悪い。
これじゃ何だか解らない。
しかし魚影の乏しい
マジュロ環礁にあっては
これも貴重な画像。
載せないわけにはいかん。

イザリ魚を見たと言ったら
他の船のガイドに
羨ましがられた。
つまりこの海域では
レアものなのだ。

下の鰭が脚で
これが海底について
歩いているとイザリ魚と
解るのだが、残念!
角出し
Moorish idol

こんな様にならぬ画像は
載せたくないが
何処にでも居るこの角出しが
此処では
確かな魚影の1つなのだ。

数が少ないせいか
ダイバーを見ると
素早く直ぐ逃げてしまう。

パラオではしつこく
纏わりつかれて
両手で挟んで
捉まえたこともあったが
此処では決して
そんなことはない。



白点堅気
Mailed butterflyfish

何しろ魚影が
乏しいのだから
出てきた魚は総てが
被写体である。

この堅気君もお馴染の
被写体だが
撮らないとマジュロの
HP出演者が不足する。

白点は肯けるが
堅気が解らん。
学名のReticulatusは
「網型の」と言う意味だし
英語の
「郵送された蝶魚」では
益々解らん。
背黒蝶々魚
Saddle
butterflyfish
真珠の首飾りは
57の島々を連ね
長さは百kmに及ぶ。.
最高地は島と島に架かる
橋の上で僅か6m。

首飾りの内側は
ラグーン(環礁湖)となり
波は静か。
この橋を潜り外洋に出ると
荒波に襲われるが
透明度、魚影はアップ。

中々撮れない背黒君
そこかしこで見かける。
荒波からのExitは
吐きそうになって
いつも大変!



JALチャーター便

荒れた外洋DVを
希望するダイバーは
少ないがラグーン内では
ダイバーのラッシュ。

いつもは1人か
多くても2,3人でのDV。
今回はチャーター便で
数十人のダイバーが
マジュロ環礁に集中。
いつものような優雅で
静かなDVは不可能。

ご覧のように魚影は無く
人影ばかり。
9本のDVを
予定していたが意欲減退
2本カット。



廃材カヌー

いつだって少年は
遊びの天才だ。

廃材の壁板に乗って
手造り櫂で
巧みに海を走る。

テラスから見ていたら
少年の1人が
やおらシーツを取り出し
両手両足で4隅を押さえ
自ら帆になって
筏はヨットに変身。

真珠の首飾りに住む
天才少年の瞳に
世界は
どう映るのであろうか?










Indexへ