その94の4ー2013年長月 |
どうですかこの煌く葡萄 9月29日(日)晴 山荘葡萄畑 |
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本当の宝石は僕達さ! 先週の宝石なんて目じゃないぜ! 赤ワイン用のアルモノワール 山荘葡萄畑 それじゃちょっとインタビューしてみましょう。 ・ 「どうですか、今年の葡萄の感想は?」 「もう嬉しくて涙がちょちょぎれそうですよ。 自分で葡萄を育て、その葡萄で ワインを仕込み搾り 瓶詰めし、香り高い新酒を愉しむ。 こんなこと出来るなんて 最高の歓びです。 ・ 此処に辿り着く為に、山荘を建ててから 20年もかかりました。 感無量ですが実は前にも一度苗木を植えて 3年目の結実で有頂天になり 摘果せず樹を枯らしてしまったんです。 果して来年まで無農薬で 害虫に打ち勝って生き残ってくれるか 懼れているんです」 |
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白ワイン用の甲斐ブラン 山荘葡萄畑 |
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朝日を浴びて輝く葡萄 山荘葡萄畑 |
或る時はワイン仕込み人 |
さあ、ワインの仕込み開始だ! 9月29日(日)晴 テラス あれ大変だ、夕陽が沈みそう! もう仙人の御凸にしか夕陽は残っていません。 陽が沈んだ途端、山荘は急激に温度が下がり、もう外での活動は寒くて堪りません。 でもログハウスのテラスに防腐剤を塗るだけで1日が終わってしまい 気がついたらもうこんな時間になってしまったのです。 |
陽が落ちても朝採りした葡萄を そのままにして置く訳にはいきません。 鮮度が落ちて当然ながら ワインの味も 錆びた時間を引きづってしまって、 味が濁ってしまうのです。 さあ、大忙しです。 |
今日はカメラマンも居ないので 三脚を立ててカメラをセットし、 記録も撮らねばならないし、 あれ、上手く画面に収まらないし 表情が暗過ぎるな。 ・ カメラマンなら透かさず 「ハイ、チーズ!」なんて言って、 暗い表情を和らげたりするんだが・・・。 うーん、やっぱ三脚は カメラマンにはとても及ばないな。 |
発芽した青梗菜と最後の葡萄 山荘葡萄畑 でもこの葡萄樹が上手く育って この葡萄棚いっぱいに葡萄が稔れば 数百kgの収穫は間違いない。 稔らせるには農薬を使えばいいのだが それでは無農薬栽培を目指す山荘で 作る意味が失われてしまう。 ・ ほら白い粉を吹いている 赤葡萄の1粒1粒を観てご覧よ。 葡萄が自分で生み出したワインの自然酵母だ。 無農薬だからそのまま 自然酵母を使ってワインが仕込めるんだよ。 収穫量は少なくても 例え再び全滅してもやはり無農薬を目指すべし。 かな・・・・・? |
収穫された8kgの葡萄 えっ、たったの8kg! そう、嘗て150kgの葡萄を仕込んでいたのだから 当時の杜氏(これ駄洒落)を務めた ベチやミヤジが聞いたらびっくりするだろうな。 ・ 葡萄栽培に初挑戦したのが8年前。 初めての収穫がその3年後で 僅か5kgで白ワインが5本出来て大喜び。 その次の年に大きく育った葡萄樹が 害虫に喰われほぼ全滅。 そして今回の8kgに漕ぎ付けたのであるから 8kgは感動ものなのだ。 |
2階テラスを背景に 山荘葡萄畑 |
富士山に抱かれて育った山荘葡萄 来年も害虫にやられず実を着けておくれ! 何だか胸が痛むのだ。これが最初で最後のような切ない予感。 そう前回と同じようにやっと稔ったけど害虫との闘いに破れ、再び死んでしまうのではとの思いが拭えないのだ。 仙人の頑迷固陋な無農薬栽培なんぞと云う戯言の犠牲になってしまっていいのか? 《それでいいのだ!》と云ってくれるのは天才バガボンだけか? ・ と、畑作呆けした仙人は今日もアルツハイマーの境界線を彷徨いつつ、 あの「虔十公園林」の虔十のように、葡萄の木を見上げて立ってゐるのでした。 風がどうと吹いて葡萄の葉がチラチラ光るときなどは虔十はもううれしくてうれしくて ひとりでに笑へて仕方ないのを、無理やり大きく口をあき、はあはあ息だけついてごまかしながら いつまでもいつまでもその葡萄の木を見上げて立ってゐるのでした。 |
また或る時は草刈り人 |
アメリカ |
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朝トレの道が消えた 小倉山ルート |
ひっつき虫じゃ 小倉山ルート |
コセンダングサ ひっつき虫は総て押し並べて 耳(おなもみ)と 一緒くたにして片づけていた。 このじつに鬱っとおしい ・ 長らく耳か精々雌耳(めなもみ) 辺りの名だろうと 勝手に思っていたらどうして 有るではないか! |
毎年8〜9月になると こいつが小倉山や鉄塔山への ルートに立ちはだかる。 ・ 「えっ、こんな処に道なんて 有りはしないわよ」 と云わんばかりに蔓延り 通せんぼする。 バイクすら通れなくなるのだから その蔓延り方は半端ではない。 ・ ついに刈払機を持って出動。 道だけでなく山側と谷側も刈らねば 刈ったばかりの道に 直ぐに繁茂し再び道は閉ざされる。 従ってかなり広く刈らねばならず おいそれとは終わらない。 さて何日かかるか? |
山側も刈らねば 小倉山ルート |
これでやっと通れるぞ 小倉山ルート |
遠ざかる山荘と秋桜 9月30日(月)晴 山荘の西畑 もっと小さくなって、やがて森に呑まれて何も無かったように消えてしまうのだろう。 其の日が身近に迫り、明日かも知れぬと山荘自身がメッセージを送っている瞬間・・・それがこの画像。 確かに山荘が遠のいていると、気づき始めたのは数年前。 その最初の細やかな距離感を齎すメッセージは唐突に投げられた。 ・ 《ノアの方舟に乗れないと知っていて乗らないのか、それとも ノアの方舟そのものへの懐疑がならしめる因果として 敢えて乗らないのか?》と問い掛ける山荘。 その日からノアの方舟を任ずる山荘は、視覚では感知出来ぬ僅かな速度で、永劫の虚空へと遠ざかり始めたのだ。 ・ さようならコスモス、さようなら山荘! |
甘蔓(アマヅル) ログテラス |
アメリカ牛蒡 ゲート前 |
実の上話し 甘いのは実だけじゃなくて 葉も蔓も仄かに甘いんだよ。 ちょっと齧ってごらん。 そら甘いだろう! ・ 小さな小さな葡萄なんだけど 山荘ではあちこちで 蔓を巻いて沢山実を着けてくれる。 こいつは轆轤部屋から 2階のログテラスまで這い上がって ログの手すりに棲み付いてね。 |
さて紫式部か小紫か? 前庭のこいつはてっきり紫式部と 仙人も思っていたのだ。 ・ 先ず葉先のギザギザつまり鋸歯の 有無で判定出来るのだ。 この葉の下半分は明らかに鋸歯が無い。 紫式部の葉は全葉に鋸歯があり 小紫には上半分にしか無い。 と思って小紫を観察するとあれっ! 鋸歯が全く無いでは。 ・ その2、枝垂れの有無。 紫式部は樹高が高く枝垂れないが 小紫は2〜3mと小ぶりで 枝垂れするので一目瞭然なのだ。 どうだ、小紫に違いあるまい。 |
蔓薔薇の実 石段 |
小紫 前庭 |
筑紫萩(ツクシハギ) 池の中洲 |
忘れられた南瓜 中畑 |
筑紫萩と南瓜、野菊の語り 30代になった卒業生達が 杜氏となってワイン造りに励み、 地下にワインセラーを作り美酒に 舌鼓をうったあの日々を 共にした萩の花。 ・ ワイン造りの輪が広がり 赤葡萄を150kg、白葡萄を100kgと 仕込み量が増えていったのも しっかり覚えています。 と語る野菊。 |
しかし卒業生が40代に突入する頃から 杜氏達の熱は冷め ワイン造りは自家製葡萄作りからと 本格的醸造に転換。 ・ これでぱったり、若くして活動意欲を失い 老いてしまった 卒業生の足は遠のき 初期のワイン造りは幕を閉じた。 嘗て食卓を飾った南瓜も 今は見捨てられ 採る人も無く野菊と共に朽ち果てる。 昨年のように朽ちる前に 南瓜を皆に送ってやろうかな。 |
野菊 中庭 |
白山吹の実 甘蔵屋敷 |
卵茸誕生 扇峠下 |
莢ずみ(ガマズミ)の実 ゲート前 |
朱玉と永劫の漆黒 永劫の虚空が忍び寄ると 森羅万象に 存在の最後の記憶を記すが如く 鮮やかに朱を輝かせながら 朱玉は虚空との抱擁を覚悟する。 ・ そら、朱の深奥から 朱玉の薄い細胞膜を通して 漆黒の虚空が 滲み出してきたではないか! |
卵茸は滲み出した漆黒に 身の半分を委ね 莢ずみは内部から横溢する 永劫の漆黒を包みきれず 静かなる諦観を 曝け出しているではないか。 ・ 無邪気に陽光と戯れているのは 小葉の莢ずみと畑のプチトマト。 でも莢ずみの背景は すっかり闇に閉ざされ 葉影を通してトマトにも闇が 忍び寄っている。 ・ あー、そうして皆 方舟にも乗らず闇との抱擁を諦観しつつ 望んでいるんだね。 |
小葉の(?)莢ずみ(ガマズミ)の実 ゲート前 |
プチトマト 中畑 |
咲き続けるアンネ薔薇 奥庭 |
漆黒を貪る薔薇と灯 ところがどうだ! このアンネ薔薇、5月から咲きだして 40度を超える猛暑の夏を 物ともせず唯ただ明るく大きく 華やかに咲き続けているのだ。 ・ 咲きだした5月の薔薇を観てご覧。 背景の漆黒を バリバリ音を立てて喰い漁り 「あら、永劫の漆黒とやらも 食べてみると 中々美味しい物なのね」 と独りごちるではありませんか! ・ そこで仙人は早速太陽光発電の 庭園灯を持ってきて 「そらどうだ、真っ黒な庭園灯だぞ。 こいつは真昼の光を 吸い込んで、闇が訪れると 溜めこんでおいたその光を吐き出して 永劫の漆黒とやらに 敢然と立ち向かうんだ」と宣ふ。 ・ 永劫の漆黒を喰い漁る薔薇と 闇を切り裂く庭園灯と 両者が揃えば ノアの方舟なんか、 全くお呼びじゃないよね。 |
序でに太陽光発電灯も 奥庭 |
太陽光庭園灯 奥庭 |
充電中の太陽光庭園灯 奥庭 |
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風呂場の窓下にも 中庭 |
一晩中光る灯 中庭 |
森の夜明け 9月30日(月)晴 上条の森 まるっきり吹っ飛んだぜや! いつものように月曜日のゴミ出しをしてから、ふと今朝は久しぶりに上条の森へ行ってみようと思ったんだ。 上条林道にバイクを止め、竹森川上流を渡って森に入ると、どうだい早速迎えてくれたのは この、どでかくて躍動する命そのもののような太陽。 ・ 総ての森の葉が翠の光に変換され、そら茶や白の樹幹だって翠に染められて愉快だね。 何が吹っ飛んだって? お前馬鹿か?・・・そんなことも解らんのか? 夜を支配していた永劫の漆黒とやらに決まっているじゃないか! |
森の背後で朱の爆発 上条の森 |
森をずんずん登って 「もうこれ以上 高い処は無いんだよ!」 と森が云うもんだから 立ち止まって 太陽を仰ぐと、もうすっかり 太陽は白くなって 太い白樺の幹をちょん切って。 ・ あれまー、 これじゃまるで太陽が 白樺の手前にあるようじゃ ありませんか? |
昇るに連れて朱は失せ翠に 上条の森 |
上条山だって! |
ところでこの白い立派な 陶器で出来た 《上条山》は誰が立てたんだい? ・ おりゃ、良く観ると 996mの右隣に《ゆぴてる》と 書いてあるね。 ははーん、さては仙人の仕業だな。 ・ いくら名前も無い山だからと云って 森に相談もせず 勝手に《上条山》なんぞと 命名しやがって仕様も無い奴。 森を私有化すべからず。 |
頂ではすっかり彩は消え白銀の光 上条山の頂 |
そしてまた或る時はペインターじゃ |
すっかり忘れられたログテラス |
年に2度塗りせねば |
数年ぶりのお肌の手入れ パチリ、あれ、点かない? ログハウスの東側の 配線が何処かで断線しているらしく 壁画ライトも東壁コンセントも 天井の無数の貝を繋げて作った シャンデリアも点かず。 ・ 外壁のスイッチボックスを 開くと土で出来た地蜂の巣が ぎっしり詰まっていて 先ずその掃除から。 |
しかし総て土を取り払っても ライトは点く気配を見せない。 ログを建ててから一度も 点検してないのできっとログめ 怒ってストライキを起こしたんだ。 ・ そこで配線点検は業者に任せ 罪滅ぼしに これ又ほったらかしにしてる ログテラスのお肌の手入れを決意。 ・ からからに干乾びていて オイル防腐剤を塗った途端に 嬉しそうにぐんぐんオイルを吸い込む。 これで少しは元気が出たかい? |
既にお肌はがさがさ |
さあ、これで暫くは大丈夫 |