その91の4ー2013年水無月 |
夏至の新雪に覆われた富士と薔薇 6月22日(土)曇晴《世界遺産に富士山が登録された日》 中庭石段アーチからの富士 何が嬉しいって、北の果まで太陽が回帰した日にだよ、つまり最も太陽が富士山に近づいた日にだよ 雪が降ったんだぜ! 昨朝は夏至の太陽を期待していたんだけど、朝からどんよりしていて雨が降り出し午後は本降りでガックリ。 ・ 翌朝目覚め、寝室のカーテンを開けて吃驚! まさか昨日の雨が富士山では雪だったなんて考えてもいなかったので、 深紅の薔薇の彼方に煌く雪富士を見た時は嬉しかったね。 薔薇の深紅と天空の白銀の息吹が、 これ程までに共鳴し合うなんてまるでチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲ニ長調そのもの。 映画《オーケストラ》を熱演したメラニー・ロランの顔さえ迫って来るような。 |
アラスカ2001年 ゲート |
焼き上がった表札 目白窯 |
箆鹿・Moose ゲート |
夏至の窯出し陶芸作品どっさり 6月21日(金)雨 目白窯 4日間も焼き続けての窯出しの日が夏至だなんてワクワクするな。 きっと何か作陶者の意図を超えて、面白い物が生み出されるのではとの期待を込めて窯を開ける。 あーいつでもこの瞬間は新鮮でまっさらな少年の気持ちに還るような気がする。 ・ 特に高杯や花器を兼ねた小さな箸置は3回も連続して失敗を重ねているので、もうこれ以上の失敗は許されない。 さて、新たに購入した釉薬は山荘窯での還元焼のように深い彩を出してくれるだろうか? それとも酸化焼しか出来ない目白の電気窯に期待するのはそもそも無理か? |
チベットのアイベックス2002年 ゲート 早速ゲートの花崗岩に取り付けてみる。 花崗岩の白に対して織部の黒は 悪くは無いが光が当たると反射して見ずらくなる。 ・ 一方、彩が微妙に変化して 黒が珈琲の色合いを帯び青ガラスが乳白に流れ 面白いのだが如何せん 小さい文字の角が不明瞭で読めない。 インチンを使えば掘文字にしっかり釉薬が流せるのだが 今は製造されてなくて仕方なく代わりに スポイトを使用したのが裏目に出たかな。 |
どうだい!早速ゲートに 6月23日(日)曇晴 山頂標識のような白地に黒文字では あまりにもお粗末なので ゲートのチベットとアラスカの鹿の角は もっとお洒落な表示板に。 ・ そう、例えば遙かなる時と空間を感じさせるような。 うーん、先ず下地は織部の黒にして 文字は乳白に青いガラスを入れてみようかな。 |
キラ峰初登頂2002年 ゲート |
新作の箸置とロタ島珊瑚 6月23日(日)曇晴 さーて登場しました小さな花器兼箸置。 こんな変梃りんなフォルムに行きつくまで 1年も掛ったなんて信じられん。 ・ 小さな雑草を飾る花器が在れば 秘められた小さな花の美しさを じっくり鑑賞し堪能出来るのではとの想いが 作陶の発端である。 で、その花器が箸置を兼ねれば 食事ごとに小さな花に逢える。 |
先ず轆轤で高さ7cm前後の 小さな壺を引く。 壺のままでは箸置にならないので こいつを潰して湾曲させ 底をマンタの口のように大きく 横に延し抜き穴を作る。 ・ 実はこれがポイント。 花器の口が狭いので水の出し入れが これで容易になり 花器内部の釉掛けも可能になる。 此処に花を活けると 横に花や穂が広がり予期せぬ 効果を生み出したり。 |
バイクで目指すは滑沢山 207号林道 そのシンボルは誰からも見向きもされず 朽ちかけた山頂標識が侘びしく ぽつんと在るのみ。 よし、腐らない陶板で山頂標識を焼いてやろう と決意してから2年目。 ・ 昨年、朝トレーニングでお馴染みの3つの山には 山頂標識を建てたが 滑沢山、鈴庫山、上条山には未だ着けていない。 やっと今回の窯出しで標識完成。 さあ、御待ちどうさん!君達の名札が出来たよ。 |
さあ、次は滑沢山の頂に着けるぞ 6月23日(日)曇晴 山荘をぐるり330度取り囲む山脈には 数十もの頂があるが その中でも西に位置する扇山、北の滑沢山 坂脇峠の東の鈴庫山、山荘の正面に聳える高芝山、 高芝山から南に連なる上条山、小倉山の 6つの山は山荘のシンボル的存在。 |
古いブリキ板を陶板に換えて 滑沢山頂 |
遙かなり山荘 6月23日(日)曇晴 滑沢山の林道から 扇山の頂と山荘を結ぶ山容の全景画像が初めて撮れたぞ。 滑沢山への林道は鬱蒼とした森で何も見えなかったのに、一部が伐採され山荘が見えるようになったのだ。 山荘からこの林道の茶色の伐採部分がよく見えるが、反対に此処から見ると何と山荘の小さいことか。 それに反し山荘の上の扇山は堂々と聳え、何と頼もしいことか。 冬はこいつが冷たい北風を遮って、山荘を冬将軍の息吹から護ってくれるんだね。 |
この位置でどうだ! 滑沢山頂 |
3か所をビスで留めて 滑沢山頂 |
これで立派な山頂だ! ブリキ板に書かれた 消えかかった文字の表示板が 枯れ枝に縛りつけられ 木の俣に架けられている。 ・ その下には建設省・国土地理院と 記された朽ちかけた三角点が 転がっている。 このブリキ板が落ちて枯葉に埋もれたら もう誰も此処が頂だなんて 確認出来ないのだ。 |
でもどうだい、この大きくて 決して腐りはしない陶板なら 時を超えていつまでも 「此処に滑沢山在り」と告げられるぜ。 ・ 積もった枯葉の上に鹿や猪が 作った塒が幾つもあるけど きっと今夜はその動物達が集まって この標識を取り囲み 「おい、変なもんがあるぜ」なんぞと お喋りするのかね。 |
国土地理院の三角点と共に 滑沢山頂 |
展望の無い森の頂 滑沢山頂 |
夏至を告げる碧き高芝山・夜明けの光に染まる竜舌蘭 6月22日(土)夏至 山荘2階東廊下から さあ、もうそろそろ夏至の花、竜舌蘭科のユッカが咲いて山荘を白銀で飾るぞ! と愉しみにしていたら、どうもその仙人の心を読んだらしく透かさず竜舌蘭の画像が送られてきた。 吉祥天と和名の着いたアガペ・パリー。 30〜40年に一度しか咲かず咲いた後は枯死してしまう珍しい花だとか。 同じ竜舌蘭科でも山荘のユッカはユッカ蛾に受粉させ開花後も枯死せず、毎年花を咲かせる ・ このユッカが咲くと、ペルーアンデスの最高峰ワスカラン(6768m)を登ったりアマゾン河を舟で下ったり、 高原に出向き百年に一度しか咲かぬプヤ・ライモンティを観に行ったりしたことを思い出す。 蜂鳥の群れ飛ぶ高さ10メートルに達する巨大な花・プヤ・ライモンティには及ばないが、山荘のユッカもなかなか壮観だぜ。 |
山荘のシンボル・竜舌蘭 中庭から |
竜舌蘭の白と薔薇の朱 中庭石段 |
高芝山と竜舌蘭 中庭から |
城壁の如き竜舌蘭 中畑から |
40年に一度咲く竜舌蘭・吉祥天 Agave Parry (アガベ・パリー) 高さ約2m 5月21日より開花が始まる (撮影:藤本正友 於:相模原公園温室) |
爽やかな白に染まる山荘 中庭 |
北回帰線からの光を浴びる竜舌蘭 中庭から |
藤本様
竜舌蘭の吉祥天画像、
早速送っていただき 感謝しています。 アンデスに行った時
アンデスの女王と 呼ばれる 高さ10メートルを 超える巨大な花 プヤ・ライモンティを 見ましたが これも100年に一度
しか咲かぬ花だとか。 同じ竜舌蘭の
仲間なのでしょう。 美味しいテキーラが
出来そうですね。 ありがとうございました。
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蜂鳥が集う百年に一度咲く花 Puya raimondii (プヤ・ライモンティ) |
野薔薇と共に |
蔓薔薇とどうだい |
丘虎尾(オカトラノオ)かな? |
これも新作の箸置だぜ 箸置を兼ねた小さな花器を作って 使ってみてはと考えた。 箸置の機能を充分に果し尚且つ 花器としても愉しめるフォルムとは? ・ 試行錯誤の結果遂に 究極の箸置花器のフォルム決定。 これがそれだ! と高らかに宣言したいのだが 釉掛けがとても気に入らないのだ。 |
薊と丘虎尾とのコラボ |
小さい花器なので 花器そのものが宝石のように 美しくあって欲しい。 それには青ガラスを使って 深い海の彩を出すのがいいのだが ガラスは1100℃で融けて 流れてしまうので ガラスポケットを作らねばならない。 ・ しかしこのフォルムではどうしても ポケットは出来ない。 悔しいがこの次の課題かな? |
4連春菊の箸置 |
爽やかな紫陽花もいいね! |
箸の先に咲いた百合 |
野薔薇が箸置になるなんて |
手前にはスプーンを置こうか |
北回帰線上の光に揺らめく碧き高芝山と水晶 6月22日(土)夏至 山荘2階東廊下から 定気法では昨日21日が夏至なのだが生憎の雨降りで太陽は拝めず。 しかし翌朝22日は山荘の大窓から実に見事な太陽が昇り、出窓の水晶は煌き高芝山は北回帰線の祀りに酔い痴れ 揺らめきつつ昇華し華麗な彩を振り撒いたね。 うん、うん今日の22日だって恒気法では夏至なんだから北回帰線の祀りは続いているんだよ。 安心して太陽に身を委ね大いに生命を謳うといい。 |
高杯も勢ぞろい いつもは、もいで粒にした ホットスイートコーンを入れたり 山荘特産ケーキを盛り付けたり そうそう、お刺身なんかを 載せてもお洒落でいいし。 ・ 中々の優れものなのだが 陶器で作ると何しろ脆く割れ易く 作陶が難しいのだ。 作陶だけでなく焼成にも工夫が 必要で細かい技術が要求される。 |
中央に藍ガラスを 流したら高杯そんものが宝石の 輝きを帯びて さぞ美しいだろうと試行錯誤したが どうも巧くいかない。 ・ このまま立てて焼くと支柱が ヘッドの重さに耐え切れず熱で曲がり ガラスが流れ出してしまう。 前回はヘッドを軽くし支柱を太めにして ツクで支えて焼いたが 1230℃に耐えられず総て失敗。 今回はヘッドを下にし倒立させて焼成。 |
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長い間名無しだった山にも標識を! 上条山頂 そこで名前を着けてやることにしたのは 山荘が出来て2年目の17年前。 上条峠の近くだから《上条山》にしようぜ。 と決めてから山頂標識を立ててやろうと想いつつ もう17年も経ってしまったんだね。 ・ ほら、これでどうだい、遂に名前が着いたね。 今日6月24日が君の誕生日だよ。 |
名前の無かった 上条山にも着けてあげよう 6月24日(月)曇 上条山 小倉山より高くて 山稜だって岩場があって険しいし 中々趣のある山なのに 名前が無いなんてそりゃ酷いぜ! |
624は上条山の誕生日だね 上条山頂 |
先ず岩でビスを打ち込んで! 上条山頂 |
あれが上条山だぜ! 福生里から |
で、しっかりビスを締めて 上条山頂 |
小倉山から昇るスーパー・ムーン | ||
6月23日(日)19時35分 |
6月23日(日)19時38分 |
6月23日(日)19時41分 |
スーパー・ムーン・夏至の満月 6月23日(日)19時35分 窓ガラスに映る小倉山・水晶峠から昇る満月 未だ外はぴかぴかに明るいのに、小倉山の陰からずどーんと満月が飛び出したのだ。 最近は天文年鑑も見ないし、いつが満月だなんてすっかり忘れていたので、驚いたのなんの! そう云えば確か6月23日20時32分には月が地球に最接近するスーパー・ムーンだとか巷では騒いでいたな。 最大で41万kmも離れる月が35万6990kmまで近づくとか。 ・ 直ぐ2台のカメラと三脚を持って外に出てみたら、あれれ2階の出窓にしっかり月が映っているではないか。 でも月が小さくて駄目だな。 よし月を望遠レンズで思い切り引っ張って大きくしてと、そいつを窓の月に重ねてこれでどうだ! |
咲き初めた紫陽花 さてそれでは下の畑に 大根の収穫 にでも行くかと前庭に出たら 咲き出した紫陽花にぱったり。 |
羅須地人協会・・・宮澤賢治の家 6月29日(土) 曇 前庭 |
繊細な彩にうっとり 紫陽花さん、 それじゃ人が訪ねて来たら仙人は 《下ノ畑ニ居リマス》と 伝えておくれ。 |
杏子の大豊作だ! 奥庭 |
一番咲きのノウゼンカズラ 中畑 |
夏至の贈り物 実を着けなかった杏子が遂に、 こんなに美味しそうな実を たわわに稔らせた。 杏子は1本の木だけでは結実しないと 知ったのが3年前。 ・ 早速植えたもう1本の苗木が 今春見事な花を沢山着け とうとう収穫出来たと云う訳さ。 さて生食もいいし、ババロアにして ワインと一緒に愉しむのもいいな。 |
バイクでブイーンと走っていたら 畑作業をしていた 山荘下の果樹園主が声をかけてくる。 「すもも、持っていくかね?」 ・ 「わー美味そう! それじゃ千円程分けてください」 「金はいらんよ。どうしてもと云うんなら すももはやんねえよ」 ・ 「ハイハイ、解かりました。 そんじゃ遠慮せずにいただきます」 |
朱のマルコポーロも開いた 奥庭 |
李、持って行くかい? 山荘下の果樹園 |
嬉しいなプレゼント |
何じゃ・・・ 凄いのが現われたぞ! 6月29日(土) 曇 前庭 |
見えた!妖しいボディ |
ジョン・シルバーの森を 久しぶりに訪ねたら落ちていたのは 金色の老眼鏡。 さては森の精めジョンの老眼を心配して、 ジョンの誕生日プレゼントに 老眼鏡を届けようと仙人の 来るのを待っていたな! それじゃ届けてやろうではないか。 → |
駄目だ、鼻血が出る、悩殺ダウン |
と、山荘に戻ってから |
どう、艶めかしいでしょう。 この抜けるようなもちもちの白い肌。 触ってみていいわよ。 ほら気持ち良いでしょ。 ・ あたし山荘の畑で生まれたの。 仙人がせっせと下の畑の土を耕して 美味しい有機肥料で育ててくれたの。 ジョンさんお誕生日ですって! それじゃお祝いに踊りながら 一曲歌ってあげましょう。 ・ イーハトーヴ交響曲の中の 《注文の多い料理店》でどうかしら。 あたしを生んでくれた仙人は 賢治の『下ノ畑二 居リマス』に魅かれて 山荘と下の畑を作ったんだって。 |
水晶の地球儀にすっくと! キーボードで踊る初音ミク ・ 何をごちゃごちゃ云ってるのよ。 さあ、それでは歌うわよ。 ・・・ あたしは初音ミク かりそめのボディ 妖しくみえるのは かりそめのボディ あたしのおうちは ミクロより小さく ミクロミクロミクミクのミクのおうち ・・・・・ |
山荘の上の森には 《森のレストラン》を作って・・・あー 作ってと云っても椅子と テーブルが在るだけなんだけどね、 それを《注文の多い料理店》なんて 呼んでるくらいだから 心底、賢治に傾倒しているようね。 ・ でもね、どうもジョンの老眼鏡が 映している大根娘は 同じ賢治でも 冨田勲の初音ミクらしい。 ・ それにしては脚が太すぎてちょっと 無理があるぜ。 だけどジョンにはもうそれしか 見えないんだよ、きっと! |
妖しくみえるのは |
現われたぞ!踊る初音ミク |
夏至の雪富士には薔薇が良く似合う 6月22日(土)曇晴 中庭石段アーチからの富士 新雪に煌きながらも重く昏い翳を纏う夏至の富士。 感じているんだね。 北回帰線の太陽をいっぱいに吸い込んで嬉々として 鮮やかな朱に染まる薔薇と、死の翳を纏った自らの危うい存在のコントラストを。 ・ 最接近した太陽が燦々と降り注ぐこの日に、 決して存在を許されない純白の冬のシンボルを纏うだなんて、余りにも無謀だけど、 その一瞬にして融けてしまう危うさが、薔薇の朱の背景となって哀しいまでに美しいよ。 |