カミギン島・ダイビング

珊瑚海・生命への旅

            珊瑚海・・・・・・・もう1つのヒマラヤ

其の25

Camiguin Is

撮影日:2010年7月
場所:カミギン島
(キンダナオ島の北)  
撮影or編集:坂原忠清



危険なのである。
《 貧しい上に社会の主導権を取って代わられたムスリムの怒りや、数百年にわたる分離独立運動に火がつき、
モロ・イスラム解放戦線 (MILF) や新人民軍 (NPA) などさまざまな反政府グループとフィリピン国軍との内戦が頻発し、
ミンダナオ西部は危険地帯と化した。》 wikipediaより

でもって、政情不安やテロ集団による観光客誘拐が続きミンダナオ島への接近はヤバイのだ。
だからこそスールー王国以前の古代の静けさにめぐり逢える可能性も無くは無い。
今回訪れるミンダナオ北部のカミギン島でのDVが可能と知ってからも逡巡。
現在は安定してるとの情報を得て、ついにDV決行を決断。

危険なミンダナオ島は早々に引き揚げセブ島に戻り、
更にネグロス島のドマゲッティに出て藤平氏のロッジに滞在しのんびりDV三昧の日々を送る予定だが
果してどうなるか?

と、山荘日記に書いて現地ガイドを伴いミンダナオ島に飛び込んでみたが何処にもゲリラの姿無し。
どうやらゲリラは西部から南部へ移り、棲み分けが暗黙裡に了解されているらしい。
とは云え、毎週フィリピン国軍とのドンパチがあり死傷者は出ているが公にはされていないとのこと。
ミンダナオ島の分離独立運動は益々盛んで既に具体的に独立後の大臣名までが指名されているとの情報には驚き!

しかし豊富な地下資源と豊かな農産物を生み出すミンダナオをフィリピン政府が手放す訳にはいかない。
分離独立を阻止するには政情は不安定である方が政府にとっては都合がいい。
《そこで軍と結託し実質上、政府を牛耳っている一握りの大地主・支配階級がゲリラに闘争資金を地下で提供しているんです。
フィリピンの知識人なら誰でもが知っていることですよ》
うーん、絶句!


 Camiguin Is
Dv Map(位相図)
 


DV Site 


7月23日ホワイト島@ボルカーノ AホワイトIs  7月24日:マンティギ島
 Bマンティギ北 Cマンティギ南 Dコーラル・ガーデン
 
7月25日午前:カミギン島西部
 Eキャニオン Fタングブ温泉 7月25日午後:カミギン島ツアー
 
カボワッサン滝 アーデント温泉
 
《A》 カミギン島  
《B》 ホワイト島周辺
《C》 マンティギ島周辺

         
 
相対評価・・・《5》最高、《4》良い、《3》並、《2》やや悪い、《1》悪い

珊瑚の成育 透明度 魚影 静けさ(ダイバー数) 周辺環境(汚染等) 4

総合評価・・・《


《A》 カミギン島



[T] セブ島からカミギン島へ


カガヤン・デ・オロ港
マクタン島の空港に
降りたつや否や 懐かしい濃密な熱気。
熱帯の果実と現地人の汗の
入り混じった混沌とした濃密なスープ。

翌未明ミンダナオ島北西部の
産業都市・カガヤン・デ・オロへ飛ぶ。

高速?フェリー《パラス海猫》に乗って
2時間、カミギン島のベノニ港に着く。

パラス・ホテル  
「ミンダナオ島は現地のガイドが
付かんと入れません」

どうも政情が不安なだけでなく
飛行機、船、車も
遅延、欠便はあたりまえで
おまけに言語もあやふやらしい。

現地ガイド無くしての
ミンダナオ島への手配は出来ないらしいのだ。

ベノニ港  
現地ガイドはエミリン。
51歳の若さで心臓発作に倒れ
逝去したロッシーの姪。
7大学が犇くドマゲッティで最難関の
シリマン大学に10月入学予定の21歳。

ロッシーは藤平氏の妻兼
有能で貴重な事業パートナーであった。
ロッシーと共に半月を過ごした
DV三昧の日々は忘れられない。

さあ、あの日のような
光に輝いたDVが再現されるだろうか?



[U] 島の人々の生活

村や街には鶏、犬、羊、牛に混じって
時々豚も散歩をしている。
この豚は紐付きでのんびり昼寝。
餌の容器がシャコ貝とはさすが。

太い竹を半分に割って
裏表に交互に組み合わせると
家の壁が簡単に出来る。

家畜と共生し簡素な家に住み
パパイヤやマンゴを育て
海からの豊穣な生命に支えられ
彼らは21世紀の現代を生きる。
あれ!故障だ ガソリンタンクはペットボトル
船から降りて車に乗る。
オートバイに幌付き座席を
付けたバタバタの
1ランク上の車がこのECフライ。

走り出したと思ったらストップ。
座席を持ち上げオイル補給。
ガソリンは何処に入れるのかな?
どうも空きペットボトルに
チューブをつけてエンジンに
繋げているらしい。

恐るべし究極のリサイクル車。 
   
  シャコ貝と豚 竹を割った壁の家  


   烏賊だって1kg
100ペソ、たったの200円である。
レストランのメニューで
この烏賊の鉄板焼きだけは
生姜の味付けで美味い。

海栗なんぞは幾らでも採れ
DV中も船の上でよく食べた。
ウニは海の栗と書くが
食べ方も栗のイガを剥くのと同じ。

バナナの葉の上に乗せられたのは
子豚の丸焼き。
背中にナイフとフォークを突き刺し食べる。
鮪刺身1kg160ペソ(320円) 烏賊1kg100ペソ   
新鮮な魚介類や果実が
街には溢れているのにホテルの
食事は酷いのだ。

どれもこれも甘ったるくて
とても食えたもんではない。
そこで漁民から採りたて鮪を分けて
もらったり市場で買ったりして
刺身を食うことにした。

手前の鮪の切り身が約1kgで
160ペソ、320円と日本に比べたら
只みたいなもんである。 
   
  大量に採れる海栗  子豚の丸焼き・レチョン・バブイ




ホワイト・アイランド

マンティギ島の子供たち
ホテルの目の前に砂だけの島
ホワイト・アイランドが優美な弧を描いて浮かぶ。
莚を掛けただけの小屋らしき人工物がポツン。

透明な海の中には煌びやかな珊瑚が無数に花開く。
火山島の海底は一気に深みに落ち込み
棚が形成されず華やかな珊瑚は見られないことが多い。

きっとカミギンも火山島なので珊瑚は見られないと
思っていただけに驚きと歓び。
一周しても数十分で回れる小さな島に
25軒ほどの家があり200人が暮らしていると云う。
可愛らしい教会、学校、バスケット・コートまである。

パプア・ニューギニア北東部マダン沖の小島、
魚の血に塗れた少年がふと懐かしく迫る。
大きくなった少年は小船に乗って鮪を追っているのだろうか?

漁を終えた手漕ぎボートで遊ぶ子供たちに声をかけたら
ニコニコしながら集まってきて
綺麗な英語で次々と質問を投げかけてくる。
タガログ語でもビサヤ語でもない英語を操るとは・・・。
英語を駆使してこの小さな島から
飛び出していく日はそう遠くないのかも知れない。



真っ赤な牛タンのような
得体の知れぬ生物。
どう見ても巨大な海牛としか思えぬ。

が海牛にしては裸鰓類のドーリス類が持つ
牛の角の様な一対の触角が
頭部に無い。

どうも触角が無いと海牛の感じがしない。
だが海牛ほど訳の解らん奴は居ない。
《使う人の風土や習慣、知識的背景によって
異なったカテゴリーを示す》とのこと。

ところでこれ刺身で食うのか?
家族の昼食 海栗の刺身
浜辺に竹の長テーブルを出して
ワイワイガヤガヤ
愉しそうに一族郎党が集い食事。

御飯とスープらしきものはあるが
後は総て海から採ってきたなま物。
大きなバケツに山盛りの海栗、
生の魚、見たことも無い巨大な海牛。

海栗を割ってクリーム色の
卵巣と白い半透明な精子の絡んだ精巣を
取り出して御飯に乗せる。
それも白い飯が見えぬ程沢山乗せた
豪華な海栗丼
 
   
  巨大な赤海牛  赤海牛は焼いて食うのか?  



[V] 火山島の滝と温泉
230ha(km2 の小さなカミギン島には
6つの活火山がある。
600年前の噴火で頂に湖が生まれ
その湖からの流れが
天空の滝となって落ちると云う。

DVサイトにもボルカーノ(火山)
タングブ温泉の名が
付けられ島そのものが火山の
影響を大きく受けている。

陸だけでなく海中にも温泉が湧き出し
火山活動による
急峻な地形があちこちに見られ
高さ100mにも及ぶ滝もある。

エミリンが誘うので
あのポンコツECフライに乗って
カボワッサン滝に行ってみた。
絶海の孤島・ココ島の滝
小さくしたような
見事な滝が一条、飛沫を散し落下。

カボワッサン滝
エミリンが「スパあるよ」
と云うので階段を登って中腹の
ハウスまで行く。

《スエーデン式オイル・マッサージ》
と看板が出ている。
1時間130ペソ、260円と日本では
信じられぬ安さ。

やや太めの力のありそうな
オバハンが出てきた。
タイのスパで痛めつけられたのを
思い出し、さしあたり
30分だけ試してみようかと。

「30分なんてありゃせんよ。
1時間単位だよ」とのこと。
観念してベッドに伏せるとやって来たのは
若いお兄ちゃん。
気分よくて途中で寝てしまった。

モロ・イスラム解放戦線の
若者が街に紛れ込んでいて藤平氏は
面倒みてもらったことがあると
云っていたが、この若者も
如何にも解放戦線の兵士風情。
 
アーデント温泉
渓谷そのものが温泉になっており
段差をつけて浴槽が
下流へと連なっている。
上は樹木が生茂っているので葉が
浴槽に落ちないよう網が張ってある。

まあ、温泉と云うより温水プールが
幾つか繋がっている感じ。
実際泳いでいる人も居て日本の
温泉とは大違い。

幾層にも連なる温泉


[W] ホテルとDVクルー

外国人観光客の影無きホテル

バナナと粉ミルクの日々
確かに 何処にでも
見られる外国人観光客の
影は見当たらない。

島で唯1つのDVショップの
ガイド・ドイドイも
客が居なくて嘆いている。
ショップに顔を出すと
Vサインを掲げて大歓迎!

12g200気圧のアルミタンクが
空になる直前まで
1時間以上ものダイビングを
連日行う素晴しい
DVパートナーであった。

勝手に飛び込み自由に
魚を追いかける。
ドイドイは大物が出ると
2人で挟むように巧く回り込み
撮影に協力。
息がぴったり合ってDV三昧。

ドイドイとのDV三昧

ドイドイを本名と思って気楽に呼んでいたのだが
本名がHonner Llanasaと知って吃驚!
ドイドイとはビサヤ語で犬を呼ぶときの掛け声だとか。
ごめん!
ところがダイビングで
採った海栗と海葡萄の
食いすぎか
ワインの呑みすぎか
はたまたレストランの食事が
口に合わなかったか
1晩中激しい下痢。

だが食べないことには
DVする力が出ない。
仕方なく連日
バナナとホットミルクの朝食。

下痢が回復してからも
私のウエイターは
注文を聴く前に
バナナとホットミルクですか? 
と訊いてくる始末。

小さなバナナと粉ミルクだが
レストランの不味いパンや
オートミールよりは
ずーっとまし。

《B》 ホワイト島周辺 









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