ランギロア・ダイビング

珊瑚海・生命への旅

            珊瑚海其の32・・・・・・・もう1つのヒマラヤ

 
 Rangiroa
 
撮影日:2014年11月~~12月
場所:タヒチ・,ランギロア環礁  
撮影&編集:坂原忠清

撮影助手:Tefura・G

《B》 らんぎろあ村の昼下がり
幅20km、長さ80km世界第2の巨大な環礁に浮かぶ村


タヒチ島見ゆ

タヒチ島全体を覆う環礁
ファーストクラスで

ノンストップで11時間を超える
飛行に耐えるには
ファーストクラスの座席では
狭すぎる。
何とか超ファーストクラスの
座席を手に入れることが
出来ないか?

そこでエア・タヒチヌイの
搭乗機TN77便を徹底的に調査。
なになに、ビジネスクラスで
別料金は22万5千円。
幾ら何でもちょっと高すぎるぜ!

エアバス社製A340-300型機で
座席配置は2・4・2か、
となると中央の4シートに
超ファーストクラスが設定出来るぞ。
あれ、まずい!
中央の4シートは、中2席は
固定アームになっているでは!
このアーム外すことは可能か?
早速チェック。

ランギロア環礁現る

アバトル村が眼下に


まさかね!昼下がりの散策コースが写っていたなんて!

機内からカメラを向けている時は、眼下の村がアバトル村だとは思って無かったし
連日チャリンコで午後の散策を愉しむこととなった、あのお馴染みのコースまで写ってるとは思っていなかったね。
数百枚の画像をチェックしていて、偶然見つけた1枚。
気づかなければ、2度と陽の目を見ずパソコンのファイルにゴミとして捨てられたまま。

てな訳で画像編集が終わってから、突如割り込んできたこの≪アバトル村画像≫。
こうしてみると此処にだけ、家々が密集してるアバトル村の様子がよく解る。、
左に長く伸びる島の中央に飛行場があり、その前に宿としたマイタイ・ランギロアが位置してい
る。


 ランギロア環礁
どうも固定アームはロックを外せば
上げることが出来るらしい。
よし、これで超ファーストクラスの設定は可能だ。

次に調べるは搭乗率。
80%を超えると、どう細工しても4シートを総て占領して
超ファーストクラスを作るのは至難の業。

1週間前までには、ほゞ搭乗人数が確定するから
その時点で超ファーストクラスの
有無は決まる。
 
1週間前チェック、搭乗率70%。
当日の搭乗率を
チェックインカウンターで確かめると
同じく70%、やったー!
264席の30%、79の空席を
上手く配置すれば
超ファーストな寝台座席が出来るのだ。

いよいよ最後の作戦開始。
場所はチェックインカウンター。
「ねえねえ、お姉ちゃん!
この便も後部座席は空けるの?
そう、だったらその中央4席の
両端通路側2席を押さえてくれない」

両端を押さえれば、
不便な中央2席を希望する客は居ないから、
当然中央4席が空くことになる。
そこに寝台席を作れば、
超ファースト席完成と云う訳。
 
ランギロア島拡大図



タヒチの花・ティアレ アバトル村

熱帯睡蓮・アズレア マイタイ

ハイビスカス アバトル村



これが空港じゃ!

出迎えのタヒチダンス
そんな無理が通る筈はない。
ところが彼女ニッコリ!
「そんなこと出来ないに
決まっているでしょ!
でもコンピューターの操作で
偶然その中央列だけ
空いてしまうことはあるわね」

まー何と粋な姉ちゃん!
社内マニュアルを
ニッコリ笑顔で乗り越えるなんて
この姉ちゃん、只者でないね。
惚れたぜ!

とまあ、そんな訳で
超ファーストクラス作戦大成功!
4つの座席のアームを外し
毛布を4枚敷いて、特大ベッド完成。

先ず良く冷やしたシャンパンを3本、
ビア4本を運んでもらい
「ボンボヤージュ!」と乾杯!
Bon voyage!

仏領タヒチの飛行機会社とあって
流石にシャンパンも瓶詰めで
中々のお味。
その後、10時間爆睡し、
目が覚めたらタヒチ上空。
やったぜ!

ティアレのレイの甘い香りに迎えられ

さてそれでは村の偵察に


カランコエ ケルベラ・フルティコサ アバトル村

団扇サボテン  アバトル村

ハイビスカス  アバトル村


南太平洋・アバトル村の高級車は真っ赤なポルシェ
ではなくて超かっこわりいママチャリ

この椰子の葉で葺いた素朴な屋根が、ホテル・マイタイのバンガローで、やや広めのテラスが付いている。
冷蔵庫の温度が下がらず氷が出来ないのを除けば、まあまあ居住性は悪くない。
アバトル島の中央にあるので、島の西端にある村の中心まで6km程あり、
歩いていくにはちょっと遠く、車を借りて行くには近すぎる。

そこでゴーカートのようなファンカーなるものをレンタルしていたが、どうも事故が多く現在は廃止。
残るはチャリンコだが、こいつママチャリで格好悪い上に、ペダルブレーキ。
慣れていないと下りの坂道では、冷や汗を流すことになる。
転倒して腕を血だらけにしたおっさんが、レセプションで喚いている。
「何だよ、この自転車、ブレーキが付いてないじゃないか!」



ハイビスカス  マンデビラ アバトル村

プリムラシネンシス アバトル村

ブーゲンビレア マラア洞窟




小さな村に教会2つ

村に1つの小学校で保護者会
村の昼下がり

人っ子一人居ないのだ。
せめて観光客がウロウロして
観光客目当ての店が
1、2軒開いていたりとか・・・。
そうかこの島、観光地ではないのか!

考えてみれば
最も暑い昼下がりに敢えて
出歩くなんぞ阿呆なこと
村人だってやる筈ない。
それでも何処かに人は居ないかと
教会を覗いたり
学校らしき建物に侵入したり。

居た居た、さすがに
学校には人が居た。
どうも今日は授業参観日とか
保護者会とか、そんな雰囲気。

ランギロア環礁の島々の全人口は
2700人とか。
この貴重な子供たちが
島の未来を担っていくのだろうか。

えっ!こんなに子供が居たの!

全島人口2700人の多くが集中する村


ハナチョウジ マイタイ

アナナス  マラア洞窟

極楽鳥花 マラア洞窟



ライロア写真館

館主・西村雅春氏
タヒチに棲んで20年

「モルジブの海の美しさに
呑み込まれて
こんな処に棲みたいと思って
気が付いたらタヒチに
来ていて、もう20年ですよ」

そう語るのは
小さな村ランギロアで
小さな写真館・ライロアを営む
西村雅春氏。
さり気なく、いとも簡単に語る。
様々な苦労があったろうが
その語り口からは
僅かな翳りさえ見い出せない。

絶望を宿す精神の深奥まで
南太平洋の海の蒼と
空の碧が染み込んで、最早
絶望の棲家なんぞ
何処にも存在しないかのような
茫洋とした佇まい。

黒真珠を生む黒蝶貝の説明

西村氏の住居にて



レッド・ジンジャー  マラア洞窟

トーチ・ジンジャー  マラア洞窟

ヒキリ  マラア洞窟



さて買出しに!
新鮮な野菜と獲りたての魚、
それに冷えたビアが
手に入らないかとチャリンコで
村の繁華街(?)に走る。

走れども、走れども人が居ない。
幾ら何でも
村の波止場・マリーナには
人が居るだろうと
真っ赤なポルシェを走らせる。
おっさん、2人発見!

此処で食事にするか?

スーパーマーケットなんて無いから
食糧品店を訊きたいが
ストアと云ってもショップと云っても
全く通じない。

そうだ此処はフランス領だから
フランス語かマオリ語じゃないと
通じないんだ。
さて、フランス語でストアのことを
何て云ったっけ?

ウエストポーチから
電子辞書を取り出し早速検索。
あったぞ!
magasins マガザンだ!
そこで早速尋ねてみる。
「うそんれまがざん?」
Où sont les magasins? 

大学の第二外語で習っただけの
疾うの昔に忘れた仏語を
懐かしみながら
訳の解らん仏語の返答に
耳を傾ける。

昼下がりのビアは最高!
どうやら今日は日曜で
店は閉まっているらしい。
「平日だって
この時間12時~14時までは
昼休みで
店は開いとらんよ」なんて
云ってるらしい。

翌日、再びアバトル村を訪れ
やっと件のmagasins発見!
フランスパンが
粗末な木箱に入れられ
売られているのを見て
シャモニー
のフランスパンを
思い出した。

テントを張って、ひと夏を過ごした
シャモニーで、毎朝買いに行った
フランスパンも
こんな木箱に入っていたな。
こいつ、香ばしくて
ハムやポテトサラダを挟んで
サンドイッチにすると
抜群に美味いんだ。

フランスパンのサンドは最高!

先ずは地元ビア・ヒナノを仕入れて

やっと見つけた貴重な野菜



 この海のが堪んないね!

或る時ふと気づくのだ。
生命を宿す鮮やかな海の蒼も天空の碧も、絶望によって仕組まれた小さな、小さな球体の幻想なのだと。
何処を見回しても、深遠なる漆黒の闇に閉ざされていると云うのに、
この刹那のみ、恰も生命の光が存在するかの幻想。

ゴーギャンは絶望によって仕組まれた幻想に、真正面から対峙し、幻想と認識しつつ生命の光を追った。
肉体にぎっしり詰まった絶望を反転させ、光の彩をカンバスに擦り続けた。
そうすること以外に、ゴーギャンに何が出来ただろうか?



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