1576ー2018年  師走

  Contents  
《A》 氾濫路をバイクで突っ走る
《B》 白銀燕魚の壮麗な舞い
《C》 水上マーケットから失せる混沌
《D》 木乃伊と仏陀邂逅の旅
≪ C≫ 水上マーケットから失せる混沌
 
2つの運河が交差し最も賑やう目抜き
上マーケット
ダムヌンサドゥアック

この水上マーケットが出来た
翌年1982年に
仙人は此処を訪れている。
37年前のキリマンジャロ登山後に
立ち寄ったのである。

タンザニアの首都ダルエスサラームから
奴隷の島ザンジバル島へ。
帰都後キリマンジャロの
登山基地であるモシまで列車。
ポーター雇用の交渉中に
松井隊員のパスポート、財布、航空券を
置き引き掏摸にやられ
すっからかん。

松井はパスポートの再発行に
ダルエスサラームに戻り
どうにか登山は出来たものの
貧乏旅行を強いられ、
帰路に寄ったタイでも1泊
200円の宿での生活。


キリマンジャロを登ったのだから
さっさと日本に帰れば良いのだが、
航空券は1年有効で
帰国便は登山後に
予約するオープンチケット。

登山はいつ終わるか解らなので、
帰国便は決められないのだ。
で、最も安いチケットとなると
やたらと中継地が多く
それも接続がうまくいかず、
中継地での滞在を余儀なくされたりと。

この時の帰国便はダルエスサラーム
からカラチ乗り換えで
バンコック泊まり後バンコックから
東京と3便の予約が必要。

バンコックまでは予約できたが、
バンコック、東京が
連日満席でタイ航空事務所に
日参したが取れず。

更に奪われた航空券の
再発行手続きと
バンコック滞在が長引いたのだ。


引っ切り無しに舟が行き交う


舟乗場は目抜きから30分程離れている

ピッピーのメモ楽宮旅社
3F S 50と記されている

運河進むに連れ舟が増える

バンコック市内では
橙色の袈裟を着た坊さんが目立つ。
この坊さんに着いてけば
寺に行って只で飯が食えると
知ったのもこの時である。

泊まった宿は楽宮旅社。
谷恒生の「バンコック楽宮ホテル」で
一躍名を馳せた
ピッピーや最下層人の
泊まる売春宿である。


目抜きではラッシュ!

なんでそんな宿を知ったかと云うと
登山後の貧乏旅行で出逢った
ヒッピーの一押し。
1泊シングル50バーツ(200円)とあらば
我々にはピッタリ。

当時のバンコックのホテルでは
売春婦を置いている処が多く、
売春宿がノーマル。
客の居ない売春婦がやって来ては
膝枕で耳かきしてくれたり、
体の隅々までマッサージしてくれたりと
売春婦とすっかりお友達になって。


今では客の殆どは観光客

ダムヌゥンサドゥアック水上マーケット
(ตลาดน้ำดำเนินสะดวก)の歴史は
150年ほどまでさかのぼります。
1866年にラマ4世の命によって
メークロン川とターチン川とを結ぶ
ダムヌゥンサドゥアック
運河が建設。

完成するや周辺の住民が
水上市場が展開し始め、このころは
ラッドピー水上市場(ลัดพลี)という名称で
親しまれていたようです。
その後1971年、タイ国政府観光庁は
ラッドピー水上市場へ
外国人観光客を誘致するために活動。

店舗などを増やし、
1981年には
新しい道路を建設して
「ダムヌゥンサドゥアック水上マーケット」と
改名しました。


水の都バンコックでは舟は欠かせない




果物売りの小さなバナナは甘い
やっと取れたバンコック→東京の
チケットは1週間後。
金があればあちこち観光に
出かけてもいいが、
何しろ金がないので使えるのは、
路線バスしかない。

1人1日5㌦と決めて食費が
足りぬ時は寺に寄って
只で飯を食わせてもらったり。


大鍋で揚げたバナナも売ってる

さてちょっとバンコック市内から
遠いが思い切って
水上マーケットまで西に脚を延ばそうと
安いバスで出かけて吃驚!

水上人間から発散される熱気が
一段と濃密で
熱帯の果物や食べ物の発する
臭いと混じりあって、
今にも爆発しそうな高圧状態なのだ。
ビッグバン直前の
カオスそのものであった。


臭いドリアンも皮むきで販売

37年前は現地人の生活の場に
観光客が乗り込んできた
ばかりで水上マーケットは活気の
頂点にあり唯々圧倒された。

その時の印象が
余りにも強烈だったのでその後も
カトマンズからの帰路に
立ち寄ったりしたが熱気は
徐々に失せていった。

嘗て声を枯らして叫んでいた店員が
黙ってスマホを弄っていたり。


この賑わいも午前中だけ

望遠で覗くと熱気が観える

陽が高くなると人並みは消える


濃密な熱気を映す冬至の満月
12月22日(土)晴 19時6分月齢14.8(満月は23日) バイヨークスカイホテル84階からのバンコック動脈135mm望遠

どっくん、ドックン、心臓から吐き出される膨大な車が赤血球となって、酸素たる人間を仏陀の国の隅々まで運ぶ。
満月から発する動脈は、バンコック中心部を東西に走るスリラット高速道路だろうか!
その動脈の下を南北に直交する血管は、チャロンラット高速道路となって酸素を注ぎ込み、仏陀の国に息吹を齎しているのか!

冬至(22日)と満月(23日)が2時間50分の差で重なるなんて、すっかり忘れていた。
というより山荘で望遠鏡観察をしなくなると同時に天文年鑑も開かなくなり、天体の動きは意識外に置かれ久しい。
84階のバイヨークスカイのレストランから、下界の地平線を見下ろして吃驚!
そうだったのか、太陽が南回帰線に達する日に地球を挟んで、月は太陽と一直線上に並んだんだ。
大日如来の光を真正面から受け止め、その光を遍く大地に振りまき月は仏陀の国を無心に照らす。



残照バンコック市内混沌たる熱気,臭気の爆発後の姿か


週末の金曜日夕刻は特に酷いが、
慢性的な渋滞であり高速道路は、常にノロノロだとか。
37年前の混沌たる熱気は、
高層ビルを次々とぶっ建て、高速道路を走らせ、
野っ原に鉄とコンクリートの
ジャングルを造り出した。

しかし、どっくん、ドックン、心臓から吐き出される膨大な車は、
ノロノロ運転を余儀なくされ、
肉体の末端は酸素不足に苦しめられ、
苦しみに喘ぐ。

僅か32kmしか離れていないスワナンブーム国際空港から
バンコック中心部のホテルまで
2時間以上かかったのである。
時速15kmとなるのでジョギング程度のスピード。

サムイ島発15:20のTG5923はスワナンブーム空港に
予定時刻16:35に着いたので
こりゃ明るいうちにホテルに入れると歓んでいた。
しかしバイヨークスカイホテルに着いたのは、
真っ暗になった20時過ぎ。

 
37年前とは似ても似つかぬ街に!

5510室眼下の夜景

空港からバイヨークスカイホテルへ大渋滞

時には高速道路たる大動脈から血液は
逆流し、凝固した血液は、
血栓を生じ、
肉体の中枢部である
脳を襲い脳梗塞を引き起こす。


脳梗塞に陥った都市は
例え末端の組織が機能し続けても、
最早死に体であり、
短時間で死に至ることは間違いない。

恰も死を予感しているが如く
高層ビルは競って
華々しく、いや寧ろけばけばしく、
光で飾り立てる。

それとも
意識されざる終焉の装いか!

何とも奇抜な照明!

プディングの様なビル



龍腹建築空港とタイ航空機

このスワンナプーム国際空港は2006年の開港なので
37年前に目にした空港はドンムアン空港だ。
バンコック中心街まで20kmと近く、現在はLCC航空等が
乗り入れるドンムアン国際空港。

中心街から32kmと20kmの近距離に2つもの
国際空港を備え、今やバンコックは
東南アジアのハブ都市となって大活躍しているが・・・。
野っぱらにポツンと建つ一棟の空港が
近代建築に
変貌

37年前の空港は片鱗も無く近代建築に変貌。

 
蛇腹ならぬ龍腹建築の内部


 
プラパトムチェディ(世界最大の大仏塔)
タイ人は小乗仏教徒

≪この世に生きることは
苦しみであり、苦しみの
原因になるのは執着する心。
その執着を断つ最も効果的な方法は
出家して僧侶として
修行することである。

つまり、出家して悟りを
開いた者だけが救われる≫  
これが非難を込めて
小乗と呼ばれる
1人乗り仏教の教えである。

高さ120m45cm仏塔の鐘

小乗仏教徒は自らを
上座部仏教徒、テーラワーダ
仏教徒と名乗る。

これに対して
≪大乗仏教は誰でも成仏できる、
誰でも悟りを開くことができる、
つまり、出家僧だけでなく
在家信者も救われる≫とCMする。

誰だって解脱できますよと
呼び込み作戦を
展開したのが大乗仏教。
考えてみれば悟りや解脱が
容易に達せられる筈もなく、
どっちが正しいか一目瞭然。

しかし宗教として
多くの人々に受け入れられるには
「さーさ、誰でもお出で
皆ーんなまとめて救われるよ!」と
呼び込んだ方が信者は
増えるに決まっている。 


ナコン・パトムの街に在る 

この大乗仏教
(マハーヤーナ仏教)は
インドからチベット、中国、韓国、
ベトナムなど北方ルートで伝わり、
小乗仏教はインドから発生し、
スリランカ、ビルマ、
カンボジア、ラオスなど
南方ルートを通って伝わる。

タイにも深く浸透し
現在95%が上座部仏教徒である。
日本も仏教国と言われているが
無宗教が51、8%で
仏教徒は
34,9%でしかなく、更に信者では
神道が99%で仏教は80%だとか。

男子は出家して
初めて1人前と認められる
タイ社会とは大違いの日本。 
悟りも解脱も出来ず
大乗仏教のCMに乗って、
ただ死んでいくのだ。
山荘仙人の如く!
(参照:wikipedia等)


巨大涅槃像 

ビッグブッダ入口(サムイ)

ビッグブッダ台座(サムイ)




犇めき合う人と荷車
近代建築の膝元に
犇めく人々


猥雑なまでの雑踏

群衆に乗り込む車

85階近代ホテルの真下には犇めく露店

バイク、三輪車、荷車が突っ込む

天秤担ぎの横を乗用車が

熱気を喪失しつつある
水上マーケットから戻り
ホテル直下の通りに出て感激!

足の踏み場も無い
人々に埋め尽くされた
熱気と熱帯の臭気の氾濫する
バンコックがあった。


路のど真ん中で出店!



親を待つ露天屋台の子供
幅、僅か2m程の路地に
ラッシュアワーの満員電車の如く
人々が犇めく。
人を掻き分け前に進むのさえ
大変なのに背中に
大きな荷物を幾つも背負って
店開きする露天商が行き交う。


屋台の奥で夕食を食べさせる父親

盲目の吟遊詩人

電柱から勝手に電気を失礼!

片脚の吟遊詩人

スパで働くお母さんたち

そこにけたたましいバイクの
爆裂音が響き
更に三輪トラックや乗用車が
クラクションを鳴らして
突っ込んで来る。

その喧騒の真っ只中で
盲目の吟遊詩人がカラオケで歌い
片脚の長髪青年が
大きなスピーカーを押しながら
大音量でがなり立てる。
これだ、これぞバンコック!

ペニス&乳房売ります(スマホに熱中店員)