157の4ー2018年 師走
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≪ A≫ 氾濫路をバイクで突っ走る |
74の星霜を超えて回帰する仙人! 12月20日(木)晴 母に曳かれて生命の渚から回帰する仙人 ≪光いちゃんもブランコに乗りたい!≫ いいえ、未だ乗ってはいけません。あのブランコに乗ると一揺れ毎にどんどん時を遡り、やがて消えてしまうんだよ。 あの人は74回まで漕ぐことが出来るけど、光いちゃんは4回漕いだら碧い帽子と一緒に海に還ってしまう。 待っててごらん。きっと70回揺らすと光いちゃんにブランコを譲ってくれるわ! 仙人はそんな会話を海風に聴き乍ら、36歳の若さで死んだ母親を想う。 ・・・67,68,69,70,仙人はするりと坊やに入り込む。 愛おしみながら残りの4回を、光いちゃんになってゆっくり漕ぎだす。 昏い身廊の入り口がブランコの頂点に迫り、最奥部のクライン壺となった祭壇が姿を現す。 光いちゃんのリフレインが身廊に響き渡る。 ≪あのね、光いちゃんはね、お母さんのおっぱいとおしりが大好きなの!≫ |
74の星霜を超えて! |
回帰する時空! |
幾重にも白砂の層をなした時空に 穴を開けて蟹が出て来た。 目にも止まらぬ速さで 砂浜を疾走する蟹がふと立ち止まった。 近づいても動かない。 親指と人差し指で抓んでみた。 危機を察知し脚を激しく動かし 足掻き続けるかと思ったが、 ピクリともせず、 静かに時計を覗き込む。 |
仙人は女児だったのか! |
この子だったのか! |
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FRI 12・21 11:2903 ダイビングコンピューターの表示を 確かめると蟹は砂浜に降り、 一瞬にして走り去った。 コンピューター表示は狂った様に 疾走を始め、 幾重にも層をなした時空を突き抜け 朽ちかけた板の星霜操作盤に 74年前の時空を表示する。 Date 20 OCT 1944 |
時空を操る森の星霜操作盤 |
朽ちかけた板の星霜操作盤 生誕1944年、仙人への回帰2018年 日の出6時11分、日没18時1分で海水温が28度、上げ潮6時10分は解るけど、≪1944-2018≫ってなんだ! 森の中のプール付き自宅Villa3を出るとポツンと立つ、朽ちかけた板の星霜操作盤。 そりゃね、仙人の墓標に記される還俗期間さ。 戒律を破って仙人界を追放された仙人は、還俗して74年間下界をウロウロしていたが遂に召還されることになったらしい。 どうやらその通知がサムイ島の森に掲示されると風の便りにボン・シルバーが聴いて仙人に耳打ちしたとか。 それがこの朽ちかけた板の星霜操作盤って訳さ。 どうもその伝達式がサムイ島の大仏殿で開かれて、召還を拒む仙人も出席することになっていて、 その場で仙人は召還後の自身の身代わりを、山荘に召すように訴えるとか訴えないとか! 還俗仙人の身代わりってどんな奴なのか気になるね。 そいつチベット壁画の鳥葬を司る禿鷲や五体投地の祈りを捧げる美女や、奥庭の龍や ボン・シルバーと仲良くやっていけるだろうか! |
玄関の砂落とし水がめ |
1階は部屋付きプール |
明日はセイルロックでダイビング。 サムイ島から直線距離で 48kmもあるので早朝7時には 出かけなくちゃ! ≪朝食は7時からですが それでは特別にルームサービス しましょうか! いいえ、此処ではルームサービスは していませんが、お持ちしますよ。 勿論、サービス料金など 御心配いりません≫ |
居間の眺望は抜群! |
夜明けは背面にも映る! |
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兎に角サービス抜群! オンザロックで日本酒が呑みたいなと 電話したら大きなバケットに どっさりロックドアイスを もてき来てくれた。 サービスの極めつけは 28kgもある大きな仏陀の梱包。 仏像の海外持ち出し禁止を 承知で仙人が骨董品屋で見つけ出した 巨大な金属仏陀に キャスターを付けてくれたのだ。 航空機に乗せられるよう丁寧に 数人がかりでたっぷり 時間を掛けて丁寧に梱包。 コップクンクラッ!(ขอบคุณ มาก ครับ/ค่ะ) ありがとう! |
早朝食のルームサービス |
プール部屋の読書 |
浴室には栗鼠が顔を出す |
プールの水と海が繋がる |
碧い海を時空浮遊して走れ! 12月21日(金)晴 シックスセンシズのビーチで70年前の自らと邂逅する仙人 確かに両脚が白砂を離れ時空に浮いている。 寄せ帰す波が碧い海の底から、砂と共に生命の欠片を運び上げ、遠い時空を浜辺に重ねる。 幾重にも層をなした時空を踏みつけ、足跡を刻み込み70の星霜に迫る。 足跡は70を遥かに超え、700を数えやがて7000に達するかと思った瞬間、肉体が時空に舞い上がった。 36歳・肺結核で死んだ母が幼子を連れて、碧い海から上がって来た。 碧い帽子を被った幼子は、70年後の自らに視線を注ぎ、時空浮遊する仙人をデジャービュする。 母は幼子に語り掛ける。 ≪さあ、砂浜に上がってごらん!そうしてお別れの挨拶をしておいで!≫ |
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3日間雷と豪雨で道路は氾濫 それからグングン雲が取れ始め、帰国まで連日太陽燦々! しかし道路は至る所が洪水で深い処では 腰までに達し、車でさえ通過するのに難儀。 レンタルバイクで走ったが 洪水に隠れていた穴にタイアが嵌り、両膝を負傷。 辛うじて転倒は免れたのでどうにか脱出出来たが、 全く想定外のアドベンチャー! |
サムイに着陸した途端に大歓迎してくれたのは 鳴り響く雷と土砂降りの雨。 ≪激しい雷鳴とドンドンと屋根を叩くような豪雨がもう3日も 続いている≫と現地ガイドは語る。 この時期からタイは乾季になると思っていたが、 サムイ島周辺は雨期の真っ只中とは知らず。 夜中も鳴り響く雷と豪雨の音を聴きながら こりゃ駄目だと朝を迎えると、太陽が! |
ポンプで排水しても道路は川 |
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両膝強打し出血じゃ! |
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靴はダイビング用が最適! |
ベンガル虎を調教している動物園を目指して サムイ島の南端にバイクを走らせる。 表示が全くなく左折場所が解らず、 セット岬まで行き過ぎてしまい 虎園を求めてあちこちウロウロ。 原住民に訊いてやっと虎園への道を見つけたが、 数分突っ走ると道路は池に! 反対側から1台のトラックが走ってきたが、 タイアの上、荷台のぎりぎり下まで水位が上がっているでは! 道路の両側は湿地帯の草原になっており、 車で突っ込んだら にっちもさっちも行かなくなることは間違いなし。 このままバイクで突っ込む以外に 前進方法は無しと、覚悟を決め アクセルをふかしバイクでダイブ。 |
最深部は腰までの深さでギブアップ! 12月20日(木)晴 シックスセンシズ手前:深さが3分の1以下になった道路 中央よりやや左寄りに半分ほど進んだ処で前輪がガクンと穴に墜ち込み、そのショックで両膝をバイクに強打。 ショックでエンジンは止まり、バイクは転倒態勢。 負傷した脚を水に突っ込み辛うじて転倒は免れたが、壊れてしまったバイクを直すことが出来るのか? よく観察するとエンジンキーが停止位置に回転しているだけではないか! キーを回してもエンジンはウンともスンとも云わず沈黙、ヤベー。 この110CCバイクはスタンドを立てるとエンジンが停止するのを思い出し、水中のスタンドを探る。 ショックでスタンドが立ってしまっていると解ったので元に戻し再度セルモーターを掛ける。 ブィーンと静かな音が洪水池に波紋を描く。やったー。やっとこ脱出に成功。 |