1862ー2021年  皐月

山荘初めて生の奇跡
1月に不完全ながらも花開いたあのハイビスカスが甦った。
4月30日(金)晴 
2階カリストで冬越しのハイビスカスが咲いたのだ!


真っ赤に花開き生殖する雌蕊が濡れ、黄色い花粉が飛び散り生殖が行われることが生の歓びなら、
何と儚く切ない歓びであろうか!
この真っ赤な花びらを開くために、温室ストーブの最低温度僅か8度の室温に護られながら、
マイナス10度にまで下がる冷たい山荘の冬を、窓越しに耐えて来たんだね。

苦痛は時間を引き伸ばし、苦痛の高まりは時間を無限大に変え、その彼方に永劫の時の停止・死を垣間観させる。
生命を支えて来た60兆個の細胞が老劣化し、その警報である苦痛が、
死へと向かって加速度的に増大していくなら、時間は指数関数的に増大し、今まで過ごしてきた時間は相対的に限りなく0に近付く。

運動する点PがPの生きて来た曲線K上を遠のけば遠のく程、Kの漸近線0は限りなくPに近接し、
遠のく以前の過去の実在を不確かなイマージュに変換する。
つまり嘗てあった生の歓びは消え失せ、人生の大半は苦痛で塗りつぶされることになるのでは!




小さな冬葉に大輪の花弁が

 
登り詰める真紅


芽吹く森・山荘原野に向かって走するち果てた
曲線Kをy=1/X とすると漸近線はY=0 グラフはX>0 

縦軸yを空間、横軸を時間として捉えると≪生誕≫は無限の空間を持ちながら時間は限りなく0に近い。
≪消滅≫は限りなく空間を失いつつ、時間だけが永劫に引き延ばされていく。
無限の空間と云えば宇宙そのものであり、≪生誕≫を齎せた母が宇宙であるとのアナロジーに打たれる。
宇宙を縮小させながら、途轍もない凝縮を成し遂げ、やがて突然のビッグバンを迎え時間の認識が開始される。

永劫の時を引きずり空間の果てしなき喪失を繰り返しつつ≪消滅≫は、Kの漸近線と決して交わらない。
芽吹く森の生命のあまりの眩しさに幻惑され、永劫の時に朽ち果てたPは、
錆びつきボロボロに孔の開いた躯体を駆り立て、残された僅かな空間に躍り出た。
芽吹いた原野を疾走し、光る若葉の海に突っ込んで生命の歓喜を謳うなんて不可能と知りながら、
運動する点Pは森の闇に突き進み、厳しい山荘の冬に耐えた真紅の花弁を追うのだ。


森テラスの前で銀蘭が咲いた
(5月2日)
ヤク中仙人

地獄がこんなにも容易に現れるとは!
観念だけの世界であった
地獄の怖ろしさなんて、
全く他者のものであった。

今、読んでいる
≪シンパサイザー≫に出てくる
「地獄の黙示録」、「プラトーン」を
着想にして描かれた殺戮が、
如何に酷かろうが、
自らの心象風景に
飛び込んで来ることは無かった。

そいつが実は仙人の
潜在化された意識の深奥で、
静かな眠りに
ついていただけのことであり、
いつでも
スタンバイの状態にあったことを、
否応なしに知ってしまった。


森テラス入口には金襴も咲いた
(5月2日)

作陶小屋には春竜胆が
(5月4日)

仙人テラス下に牡丹
(5月4日)

たった2輪だけになって!
(5月4日)

躑躅も次々咲き出すた
(5月2日)

そのきっかけは
たった0.25mmgの
プロチゾラムにあった。

不眠は脳が深い関係にあると考え、
脳のどの部分が不眠を司るのかと
調べてみたが、
脳の直截的関与は出てこない。

大きな牡丹が奥庭に
(5月4日)


テラスは花盛り
5月10日(月)晴 森テラスのペチュニアに浮かぶボン・シルバー 

原発性不眠症は原因不明な睡眠障害であり、
2次性不眠症は身体疾患、精神障害、薬物の使用等であり、脳との関連は示されていない。
目にしたのは導眠剤の副作用。定期的に長期的に用いた場合、
薬物依存症や乱用に繋がり、最終手段として短期間の使用にとどめるべきであるとの記述。

やっぱそうか、ここ2,3年はほぼ連日呑み続けていて薬効も薄れ、明らかに依存症であり乱用である。
ここらで導眠剤使用ストップに向けての試みを開始すべきなのでは!
昨夜は導眠剤を止めヤクの使用を、
筋肉緊張緩和剤ミオリラーク錠50mmgだけにして、ベッドに入ったのだ。



27年目にドラセナが咲いた!
(5月2日)

寒さに晒し苦痛を与えるとドラセナは咲く。
苦痛の彼方に死を観たドラセナは、未来を孕む。
咲いた幹は死ぬ。


読書を1時間ほどして眠る態勢を整えたが、
極々浅い眠りが暫くあったのみ。
その浅い眠りをいつもならプロチゾラムが、
一気に深い眠りへと誘ってくれる。

ところが血液中には
プロチゾラムの翳すらないと知るや、
静かな眠りについていた仙人の
潜在化された意識の深奥は、破られ、
地獄が躍り出たのだ。

 
奇跡のハイビスカスと呼応して!
(5月2日)

解ったことは2つ。
仙人にとってプロチゾラムのミッションは、
生が不可避的に抱える地獄の苦痛を
隠蔽する活栓であったこと。

2つ目は仙人の苦痛の本質は
経験的に、外部から与えられるものではなく、
生そのものの本質に
繰り込まれていること。
苦痛体験は
繰り込まれている本質的苦痛の触媒であり、



芍薬が仙人瀧の闇に咲く
(5月2日)
限界を超えると無痛になるが、
本質的苦痛は
基本的に無限界である。

  従って苦痛の
活栓を閉じておくには
プロチゾラムを
呑み続けなければならないのだ。

 
芍薬の花芯
(5月2日)

 ラフランスに続いて20世紀梨も咲く
(5月1日)
 
前庭では藤が
(4月25日)
 
20世紀梨の花芯
(5月1日)
石卓横の夏椿が
昨年、枯死してしまったが
若しや、今春芽を吹き出すのでは
と期待していた。

烏瓜が幹に巻ついて梢で
緑の葉を出しているが、
夏椿は完全に死んだ。

二股になっている幹の、
風呂場側上部を伐採し
その上にソーラー灯を着けようと
脚立を出して作業開始。

ガザニアの綿毛が降り積む
2台のチェーンソーの内
新しい方はエンジンが
掛からず、古い方は
チェーンの切れ味が悪く、
手こずる。
チェーンソーの置いてある
轆轤室と前庭迄
ビッコ引き引き、
何度も往復する。

4日に傷めた
大腿四頭筋の痛みは
思っていたより酷く、
筋肉緊張緩和剤も
スチックゼノールも湿布も
マッサージも、全く効果なし。 
 
こんな状態で禁止されている脚立の最上部に立ち、チェーンソーを操作するなんて狂気の沙汰じゃ!
先ずアイリス畑の柔らかくて不安定な場所に立てた脚立が転倒しない様に、
ロープで夏椿の幹に固定し、自らが落ちない様にハーネスと夏椿を結び、チェーンソーを操作。
幹は想定外に大きく重く、このまま伐採すると
イオテラスを直撃してしまうので、途中から鋸に替え、ユックリ伐り倒す。

林檎畑下半部の巨大になった菜花の根っこ抜き、雑草取り、残滓処理で右大腿四頭筋が致命的に痛みを増す。
夜、痛み止めロキソプロフェン60mg錠、筋肉緊張緩和剤ミオリラーク50mg錠、
導眠剤プロチゾラム0.25mgを一緒に呑む。
こんな過激な呑み方は初めて!之で痛みから開放されて眠れるか、それとも薬害に襲われるか?


南アフリカから飛んできたのか!

更に旅立つ星

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