1702ー2020年  睦月

いおテラスで沈みゆく初落日に献杯!
細やかな新年会5PassSP35は金賞受賞蔵・吉乃川で

無数の結露に透明性を奪われペアガラスが像を失い、半光沢の割れたひかりを散乱する。
左手を結露に翳し中指を突き出しペアガラスに触れる。人差し指、薬指を加え一気に結露を拭い去る。
透明性を取り戻したペアガラスに水晶峠が浮かび、7時37分夜明けの太陽が水晶峠の窪みに踊る。

絡み合った森の翳を貫いて、この昏い翳こそが生命の始原であると激しく絶叫する。
絶叫は3度繰り返され、山荘の夜明けを告げる。
生まれた、登った、死んだと絶叫したのだろうか!それとも・・・



必死
に上を見て登る
                        山荘庭迷人
2日目の散歩は扇山。山荘の裏から直ぐ登り始める。ここは苦手だ。
道は無いし、材木が所々にビニール掛けして置いてある。せっかくの森を歩いているのにがっかりである。
天気は良いのだが、北風が冷たい。着られるだけ着て、ポシェットにはオーバーズボンまで入れて出発である。
しかし歩き始めると、思った以上に暑い。中のベストを脱ぐことにした。
脱いでいる内に仙人様の姿は見えなくなる。何と言ってもここの登りは苦手なのである。
何処に道があるのか分からない。そのうち仙人様の笛は遠くで聞こえるようになる。いつもの事ではあるのだが、焦る。

暫く上ると丁度山道にぶつかったので安心する。しかし、その道は大きな岩に阻まれすぐに行き止まりである。
しょうがないただ上へ行くしかない。
正しくはその山道を少し下ればよかったと思うのだが、迷い人は頂上に着くまでは上を目指すのだ。木を掴み登って行く。
いつものスタイルだ。太い木はつかみにくく、丁度良く掴みやすい木は腐っているものが多い。
体重を掛けようとすると腐った木は地面から簡単に抜けていく。しかし、ともかく上を目指す。
もう仙人様の笛の音も聞こえなくなった。私は熊避けの笛を鳴らしながら冬枯れの道無き斜面を登り続ける。
だれもいない森でズルズル落ちながらも必死に上を見て登る。




 虹光を放つ吟醸吉乃川
山荘からは観えないが、
鉄塔登山口から高芝山の頂までに
3つの小ピークがある。
3つ目のピークは
ケルンの積んである高芝山の
南峰で、此処から頂までは
数分の距離である。

このピークと頂が台形を無している。
手前の2つのピークは
南峰よりずーっと大きいのだが、
山荘の位置からは
頂稜背後に隠れ観えない。
この観えない小ピークから
派生している尾根に迷い込み。、
酷い目に遭っているので
昨日は慎重に慎重を重ね
地形の確認をしながら登ったのだ。

にも拘らず昨日は迷ってしまった。
何が原因なのか、
何処で間違えたのか確かめねばと
再びバイクで高芝山に向かう。

ブラックホールらめく2020高芝山(左)の夜明け



の足跡を見たのだ
                                山荘庭迷人
なんだか自分は姥捨て山に向かう婆に思えてくる。婆はガサゴソズルズルと自分の死に場所を目指して登って行くのだ。
ここは山荘の庭と言われる場所なのに私は何をやっているのだろう。
しかし、幸いにもここは以前迷った事のある所だった。ここから扇山の尾根に出られるはず。
そしてやっと尾根にたどり着いた頃には太陽は扇山の陰に隠れようとしていた。
(待ってて、もう少し時間を下さい。)ここからは太陽と話しながらの上りである。
最後の急斜面を上りきると太陽は待っていてくれた。頂上は太陽の光を浴びてほかほか暖かだ。

急いで写真を撮って、太陽に感謝する。山で一人になると、太陽が見守ってくれている気がする。
で、私は太陽に語りかける。語るというよりお願いだ。今回はまず(熊さんに会わないように!)とお願いする。
何と言っても昨日の高芝山への雪道ではっきり熊の足跡を見たのだ。
大人位の手の平にかぎ爪を付けた足跡がシカや小動物の足跡に混じり雪道に残っていた。
当然この扇山で出会っても不思議はない。会ったら、どうしょう。逃げてもすぐ追いつかれるだろう。
それなら熊と出会ったら、「サンタマリア」と言おう。
そして「姥捨ての婆といってもあなたのこの冬を乗り切るには充分な脂肪はあるよ。」
と言ってきれいに全部食べてもらおう。




登山後の酒盛りじゃ!

さて山荘に戻ろうか!

果物の様なミニトマトと蒲鉾

イクラには柚子を!

法蓮草に鎮座した数の子

ズワイ蟹もお出まし!



何故だろうまた道のい所を歩いている
                                山荘庭迷人
服など持ち物は風に吹かれてどこか遠い所に飛ばされるといいな。
そして婆はこの世から静かに消えるのだ。と夢想する。でも絶対に熊と会ったらそんな事にはならないし、まず会いたくない。
そして、太陽にはもう一つ(私が山荘に帰るまでなんとか道を照らして下さい)と現実的なお祈りをして下山開始である。
最近左の膝が痛い。登りはなんでもないのに下りになると、痛みで膝が曲がらなくなる。
痛まないよう、横滑りで下りる。さて尾根から先どの道でおりればよいのか。行きの尾根歩きの途中には下りの道は探せなかった。

左膝の事を考えると、おかしな道は行けない。福生里と矢印のある道が一番確実そうである。ここは以前通った事があるのだ。
ここでシカの角を見つけた覚えがある。立派な指標があるのだから大丈夫だろう。 福生里への道を歩き始めると、道は随分荒れている。
いつから倒れているのか2、30本の細い木が道を塞いでいる。
雪の少し残る道を慎重に歩きながら倒木を跨いだり、くぐったりして下る。日影の道はもう薄暗くなってきている。
暫く行くと荒れた道は左右に分かれている。山荘は左手である。それに左のほうが明るい、左に行ってみる。

最初は良かったのだが、何故だろうまた道の無い所を歩いている。
振り返って扇山を見る、(方向としてはここで良さそう、)と思った瞬間にずるずる滑り落ちる。
慎重にいかなくてはならない。ここで怪我をしても自分は何処にいるのかわからないのだ。
携帯を持っていても自分の場所を伝えられなければ助けは来ない。膝の痛みくらいで済んでいる状況でよしとしなくては




2012年4月22日
(取付作業中割ってしまう)

山荘発:12時00分→竹森林道アイスバーンのバイク駐車位置12時30分→
鉄塔登山口13時00分→高芝山着13時33分
(途中赤マークを4カ所追加)

高芝山迷走図

頂発:14時00分→鉄塔登山口着14時35分(迷い込んだ尾根を確認しつつ)
→バイク駐車位置発14時50分→山荘着15時20分。 2つ目のピークに迷路が
仕組まれていることが判明。


2020年1月4日
(成長して割れ目広がる)
てついた雪道で高芝山鉄塔まで行けず
1月3日(金)竹森林道 車輪は空転し動かず

8年前2012年4月22日に取り付けた高芝山の頂標識が割れているでは!
きっと樹が成長して割れたのだと思って8年前の記録を調べたら、なーんだ取り付け作業中に割ってしまったのだ。
しかし具に観察すると割目が広がっているので、樹が成長していることは確か。

山に迷うのは山稜や森が枯葉に覆われ、微かに残る踏み跡すら消えてしまう晩秋から初冬にかけてである。
雪に覆われたルートよりも枯葉に隠されたルートを探し出す方が遥かに難しく、
通い慣れた高芝山ですら4、5回はルートを失い遭難一歩手前までに至った。


この先まで行きたいが!

大規模崖崩れじゃ!

標識の割目が拡がってるぜ!

もう進めん!

さて今回迷い込んだルートは
何処か確かめねばと
眼を皿のようにして先ず最初の
ピーク1440mに登る。
このピークからの明確な尾根は
北西に伸びるのが1つだけで、
尾根は竹森林道から
分かれる西鉄塔に至る
林道の上に聳え、間違えようが無い。
つまり最初の
1440m峰には迷路無し。

2つ目の1550m峰には、
とても間違え易い支稜が
北西と南に延びている。
頂から降ると
先ず北西の支稜に誘われる。

登山道らしき踏み後は
稜線を辿る正規のルートより
北西支稜の方が広くなだらかで、
2度ほど迷い込んだ経験がある。


ルート失い岩溝に墜ちる

2か所裂けたぜ!



人を迎える為に輝いている
                                山荘庭迷人
慎重に、慎重にと声を掛けながら進む。平らな所が見えた。道ではないようだが、明るい場所にやっと出た。
しかし、そこは狭い河原のようで見たこともないところである。
山荘に近づいているはずなのにと焦るが、冷静になってみると、なんだか山荘の裏山に似ている。
そうかここをぐるっと回り込んでいくと山荘に着きそうである。また道無き道である。歩き始める。

左膝をかばっていたせいか右膝もおかしくなってきた。しかしそんな事をいってはいられない。
太陽はもう見えない。沈みかけているのだ。 ぐるっと回り込んでみると見慣れた丸太の貯木場がある。無粋であった貯木場が嬉しい。
この先に山荘があるのだ。森はますます暗くなってきた。しかし、太陽の最後の光で森の枯葉が輝いている。
迷い人に進む道を示してくれている。私は太陽に守られていると確信する。

大きな木を跨ぎ、くぐり、柵までなんとか辿り着く。しかし、この近くに出入口はないのである。
それは以前迷った時に体験済みなのだ。以前蜘蛛の巣をかき分けて進んだ柵際を落ち葉を踏みながら歩く。
やっと山荘の明りが見える。山荘はあちこちが暖かく光っている。
いつもの明りが今は迷人を迎える為に輝いている。行きと同じゲートを開け、到着である。
その時山の端がオレンジ色に輝き残照は消えていった。



冬満月に突き刺さる高芝山鉄塔
1月10日(金)17時02分月齢14.9 ウッドデッキから

従って右に降りてはいけないと呪文のように唱えながら下り、
その10数メートル下で左に折れる南支稜に踏み込んでしまったのだ。
急な下りを通して木の間に時々鉄塔が観えるのだが、これが間違いの発見を遅らせた。
この東鉄塔を登山口の西鉄塔だと信じて下り続け、鉄塔直下で地形の相違に気づき、
右隣の尾根上に聳える西鉄塔を見上げた時、あーまたやってしまったと愕然。


高芝山に昇る満月
1月10日(金)17時02分月齢14.9 居間から

そこでそのまま間違えて下ったルートを登り返せば、難なく正規のルートに戻れたのだが、
最早かなり下ってしまい、
今更登り返すより急峻な沢をトラバースした方が楽で速いと判断したのが大失敗。
トラバースの途中で失敗に気づき直上を開始したが、
花崗岩の露出する谷に降り積もった枯葉が行く手を遮り、
岩場の間隙を隠す穴に落ちたり、岩場を滑り落ちと悪戦苦闘。

一気に50m程滑り落ちて最早登る気力を失い再度トラバースし、
どうにか正規の稜線ルートに出られるまでに1時間半。
枯葉に埋もれた冬山を甞めてはいかん!雪より恐ろしいのだ。




雪に埋もれたテラス花
温室で鬱を封殺

夜半から雪になり
十数センチの初雪となった。
鬱前兆の落ち込みが
繰り返し繰り返し打ち寄せるので、
総てを投げ打って

肉体に耳を傾け、鬱の源である
精神を肉体そのものへ
回帰させようと試みるが、
逆に肉体が
精神へ回帰してしまい狼狽える。


積雪10cm以上だ!

こんなもんでどうじゃ!

温室でも造ってやっか!

チャックが弱いな!

さあ、此処なら暖かいぜ!

先ずは葡萄畑と奥庭、中庭の
屈曲接点である石垣上に
2mのロングステージを設置し、
その上に庭側を入口として
大型ビニール温室を
置いたらどうかと考え、
奥庭の障害となる躑躅を
チェーンソーで刈り取り、
ロングステージをセット。


ちょっと狭いか!



もう限界、これ以上き続けることは出来ません!
 ウッドデッキで雪んこに敗けず咲く山茶花(右)とパンジー(左)

ここまで進めればもうビニール温室を組み立てるだけだが、3mの単管パイプを葡萄畑石垣下に打ち込み
温室の床を支える土台を造らねばと気づく。
それじゃ土台上の温室の床が完全に空中に曝され、温室どころか冷凍室になりかねないぜと直ぐ隣のボンシルバーが嘲笑う。
その上居間の東窓から丸見えで、折角の素晴らしい東窓の景観が奪われてしまうと、
追い打ちをかけて瀧上のジョンシルバーが喚く。

樹木を伐採し、重いロングステージを設置したが、こうまで両者に嗤われてはこの計画案は即撤回するしかない。
そんでは一体どこに設置すればいいのか!と3つの庭や西畑、葡萄畑をウロウロ、うろうろ。
名乗り出たのが窯室隣で慎ましく控えている石南花。
≪あたしを移植して此処を使ってください≫
 石南花の他に紅梅、椿、アイリスなど棲んでいるが、ちょっと枝を避ければ温室スペースは確保できそう。



Next