珊瑚海・生命への旅

            珊瑚海其の31の3・・・・・・・もう1つのヒマラヤ

 
 Contents
《A》 さあ、潜るぞ!
《B》 お久し振り!甚平君
《C》 甚平君が飼い慣らされるとは!
《D》 リロアン、スミロンの海に舞う
《E》 生きている宝石達
 Oslob  撮影日:2014年4月
場所:セブ島,オスロブ  
撮影&編集:坂原忠清


《C》 甚平君がい慣らされるとは!


驚き!【はるみ】のブリーフィングとは!
如何に
甚平
と語るか!


夜明けに現れ
最も多い日には24匹の
甚平鮫を記録したと云うオスロブ。
村人の与える沖醤蝦(オキアミ)
食べ昼頃までには
去ってしまうと云う。

従って甚平鮫との遭遇チャンスは
午前中で
シュノーケリング、ダイビングの
営業時間も朝6時から
12時までとか。

それにしても
回遊魚である甚平鮫が、
繊細で臆病な性格を乗り越えてまで
餌に惹かれ
オスロブに定住するとは驚き!

前代未聞の現象に
世界中の海洋学者、ダイバーの
関心は沸騰!

 


19日 ジンベエスイムに人が

今回の目的、ジンベイダイブの当日、期待に胸ふくらませ目覚める。
天気はまずまず良さそうだ。ところが思いがけないハプニング。
実はフィリッピンでは目下日本のゴールデンウイークに相当するような大型ホリデー休暇、復活祭の真っ最中。
今年は復活祭の休みに土日の休日も続いて、おまけにリロアン周辺は独自のお祭りも重なり、
人々はホリーデー休暇を謳歌している。


その影響でオスロブのジンベエスイムに人が殺到しているらしい。
朝一番でシュノ―ケリングに向ったゲストダイバーたちが、あまりの混雑に辟易して戻ってきた。
6時過ぎに現地に到着したのに、延々の行列で10時過ぎまで待たされると訊いて、引き上げて来たそうだ。
彼らからの情報で、ショップのガイドも初めて事態を知ったらしい。


先ずスミロンで潜って
2本目に
平とのダイビング

それでは地元オスロブで
暮らす梅澤さんのお話をHPから。

20081月から
オスロブに住んでいますが、
ダイビングしていると、結構ひんぱんに
ジンベイザメに出遭うんですよ、
あの《世界中のダイバーの憧れ》
巨大魚・ジンベイですよ』

『それが海岸からすぐの海に・・・・・』
『なんか、ここの海は
《スゴイと云うか、オカシイ?》と
思っていました』
 『そうこうするうちに、2011年ですか、
ウチの近くで
“ジンベイザメの餌付け”が、
始まったんです』

 
右の島がスミロン、がオスロブ



中からダイバー

もともと、此処のダイブショップではオスロブのジンベイダイブには直接は携わらず、
他のショップを紹介するシステムをとる。
今までに混雑がひどくて戻って来たとか、ホリデーの最中の混雑ぶりとかは経験していないらしい。
そもそもジンベイを餌付けして、それを見せものにすることに抵抗があるのだ。
何の制限も無く、国内ばかりか世界中からダイバーのみならず、シュノーケラーもどんどん来るようになり、
海の環境も悪化しているのだと、批判的だった。

我々も野生のジンベイが餌付けされていいものかとは思うが、それでも確実にジンベイがくる海と言われると、
どうしても行ってみたいと誘惑にかられるのだ。

本日の予定は、一本目をスミロンで潜り、その後オスロブとのことだが、予定通りに行くのだろうか。



オスロブにいたぞ!

シュノーケリングのがびっしり

さあ、び込むぜ!


海中からはおしか見えず

おまけに、そんなに多くの人間が群れ集まったら、ジンベイは何処かへ行ってしまう惧れはないのだろうか。
心配しても仕方がないので、村へ散歩に行く。
復活祭の祭りの為に、村の広場で豚が丸焼きにされている。その写真を撮ろうと云う訳だ。
オスロブに船が近づくと、遠くからでも多くの人が集まっているのが見てとれる。
船が停泊できるのは1時間と限られている。

他にも大勢のダイバーが居るので、飛び込んだらガイドと離れないように気を付ける。
ガイドに誘導されて進むと、頭上に大きな影が。
ボートから餌を与えているらしいが、海中からはお腹しか見えず、思うように撮影もできない。
何頭ものジンベイがいるらしく、入れ替わり立ち替わり何度も見ることが出来るのだが、
ジンベエ達は食事に夢中で海中に潜って来ることがほとんどない。



太陽にっ込む甚平

『そして今に至り、現在は、
世界の国々の人がジンベイを見にオスロブに来ます』
『小さな漁師町・オスロブが、
世界の注目・オスロブに変わり、ビックリです』
『オスロブ町民の日本人一家としては、
なにか、とても誇らしい気分です』
『驚きましたね~、
でも本当に驚いたのはその後でした』
『かつてない快挙に、世界中のテレビ局の取材陣が、
ワンサカと押し寄せてきました、
もちろん、日本のテレビ局各社も来ましたよ』

甚平にとって太とは? 



隊長のカメラで画撮影

ジンベエの周りにはシュノーケラーの足が、ひらひらと数えきれないぐらい舞っている。
多分シュノ―ケリングで海面から見た方が、捕食中のジンベエの口内が見られ面白いのだろう。
お腹に何匹ものコバンザメを張り付けて、太い尾鰭をゆすり、ジンベイはただ夢中でお食事中らしい。
もっとよく見たいと思うのだが、うっかり上昇しすぎると海面に出てしまいそうだし、
浮力を保ちながらカメラを向けるのもなかなか難しいい。
海中も思ったほどには濁っておらず、汚染が進んでると云うほどには見えない。

隊長のカメラで動画撮影を予定していたのに、なかなか上手く行かず、結局は隊長が自分で撮影していた。
私も試しに動画を少し撮ったが、後で確認したら、静止画像より動画の方がずっといいことが分かり、
もっとムービーで回せばよかったと悔やんだ。

なんとなく満足には程遠いままで、あっという間に時間が過ぎ、ダイブは終了。
看板に偽りなくオスロブはジンベイが必ず見られるという事実には納得したが、
以前のカーボーイスタイル?のジンベイスイムの方がずっと面白かった。



れたるバンカーボート

その生態を解明すべく、オスロブでは、
海洋生物の研究・保護を目的とする
多国籍NGO団体、あの“LA.MA.VE”のスタッフが、
連日フィールドワークに励んでいます。


今まで過去26ヶ月間で、
1日平均9~15匹、最低で4匹、最高で24匹の
ジンベイザメ(LA.MA.VEの調査による)が集まっています。
“ジンベイ鮫は、
餌を求めて広く大洋を回遊する” 『定住しない』というのが、
これまでの定説でした。
 (しかし、オスロブの海には、
年間を通してジンベイザメが生息する。)
“回遊”をしないジンベイザメもいるということです。

ボートからえられる沖アミをパクリ 



餌のお零れをって 


このような様々な『?』があります。 
このロマンは、将来、ここオスロブの地から
明らかになるかもしれませんね。
最後に、『海で遊んで半世紀以上』の梅澤さんのひと言です。
『あのですね、ジンベイザメを見てますとね、
地球は、海ってやつは、
人間の為だけにあるんじゃないぞ、とつくづく感じます』
多数の自然のジンベイザメが、
皆さまの前に現われますので、
探したり、泳ぎ回ったりする必要はありません。
したがって、小さなお子様からシニアの方まで楽しめます。
その一方、“ジンベイは夜どこで何をしているか?
”“繁殖行動・繁殖地は?
”“知能は?”“寿命は?”“稚魚・幼魚のジンベイの生活圏は?
”etc・・・・・・etcジンベイザメについては、
ほとんどまだ、何も判っていません。



巨大な尾をられたら危険  


ボートからの

元々はおいらのもの!
がるシュノーケラー

何しろ図体が途轍もなく
大きいので
幾ら人間が沖アミを与えても
20匹以上も集まっては
とても彼らの食欲を
満たすことはできない。
それに、「こんなにも
人間どもが煩く付き纏っては
どうも不愉快で堪らん!
こんなことなら
再び大洋への旅に出たほうが
いいかな?」
と思う甚平鮫が居ても
不思議ではない。

腹に小判鮫がびっしり

駄目だよ小判鮫がしちゃ!


餌付けが始まったのは3年前の2011年。
果たして甚平鮫はこの3年間の革命的体験を、どう未来に繋げていくのだろうか?
付き纏う人間どもに辟易し外洋に戻った1匹が
長い放浪の果てに、餌付けされた懐かしい記憶を呼び戻し
パプアニューギニアやモルディブに現れ、再び餌付けに応じ、その輪が世界に広がり、
甚平は自らを変身させるのだろうか?

それともオスロブの餌付けは一時的な現象で、煩く付き纏う人間を見限った甚平鮫は
2度と餌付けには応じず、奇跡的現象の昔話として語られるだけとなるのか?
「観られるのは今だけです!」と煽ったり
フィリピン大統領までオスロブに担ぎ出したり、稼げるだけ稼ごうとの商業主義的作戦が
今後、益々激しくなるのだけは確かなようだ。



鮫が浮上するとく泡立つ

わしいぜや!

序にっちゃうぜ!


まあ、斯く云う私もその作戦に上手く載せられた一人ではあるが。
問題はその結果お定まりの、餌付けによる生態系破壊、環境破壊が生じ
甚平にとっても人間にとっても望ましくない状態が、出来しはせぬかとの危惧である。
過剰な餌の投与によって浜や海底に腐敗物がへばり付き、生息していた多様な生物が絶滅し
死の海と化す惧れは十分にある。

その現象は既に生じつつあり、現に餌付けは好ましくないと地元ガイドの1人は述べている。
既に海洋生物の研究・保護を目的とする多国籍NGO団体、“LA.MA.VE”Large Marine Vertebrates Project
オスロブでの活動を始めているらしい。
活躍を支援しつつ、その活動内容、活動背景をも監視せねば活動そのものが
商業主義に呑み込まれてしまう可能性あり。

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