その96の4ー2013年霜月 |
あれっ!満月がレンズに反射して小倉山に 11月17日(日)晴 宵待月(満月前夜) 芋掘り・水晶採後の宴 テーブル中央のスペアリブは解かるとして、その後ろにある紅い大きな塊は一体全体なんなんだ? おー、よくぞ気づいたな、それこそが今夜の主賓さ。 解かったかい? そうそれこそ妖精達が今日掘り出した薩摩芋なんだ。 どうだい、大きいだろう。 一番大きいのを計ったら1つで4kg以上もあったんだぜ。もう嬉しくて参ったぜ。 |
、 |
高芝山からの宵待月 |
リッキー月が出たよ! |
まん丸の月だね! |
|
熱々のおでんの後は《熱々の愛の言葉》 11月17日(日)晴 宵待月(満月前夜)
|
妖精達が現われそうな ゲート |
前庭の森の葉が騒ぐのです テラス |
あれ、キキが 歌声と共に飛んで来た。 やっぱりキキは 仙人の誕生日に 届けられた 魔女の赤ちゃんだったんだ。 |
やっぱり現われましたな! 前庭・テラスから |
「そうあたしは 仙人と同じ 10月20日に生まれたの! 未だ6歳1ケ月だけど 13歳になったら 赤い靴を履いて 満月の夜に旅立つのよ。 ・ で、満月の夜を ずーっと、ずーっと 待っていたの。 きっと今夜は満月に 逢えるに違いないと思って 飛んで来たのよ」 |
嬉しくて真っ赤に染まる |
楓だってほらご覧の通り大歓び 前庭 |
卓上には柿と芋が待っているでは |
はい、剥けました! |
即お仕事・柿剥だ! 「さあ、綺麗に剥いてね!」 と柿から話しかけられた綾ちゃんは 早速ピンクのピーラーを持って くるくると剥き始めました。 ・ 「最初はへた(端)の周りを 剥くんでしょ」 |
「そうだよ、それから 端から柿のてっぺんに向かって 縦にすぅい、すぅいと ほら、綺麗に剥けるね」 ・ と仙人から剥き方を教わった 恵太も加わって たちまち柿は素っぽんぽん。 それじゃ柿簾に吊るしてと。 ・ 太陽を一杯浴びて、きらきら。 まるで森の宝石だね。 |
あたしの方が大きい |
剥いた柿は早速吊るして |
ほら、掘れたよ! |
先ずは蔓採りからさ |
深くて駄目だ |
さあ、芋掘りだ! すっかり枯れてしまって それでも僅かに残っている 薩摩芋の青い葉が 呟くのです。 ・ 「とてもヒヤヒヤしたぜ。 毎晩毎晩猪や鹿、穴熊達がやって来て 鉄フェンスから鼻を突き出し 『実に良い匂い、美味そうだな あー食べたいな』と 騒ぐんだぜ」 |
野生動物達が虎視眈々と 芋を狙っているのを知っていて どうして こんな遅くまで仙人は収穫せず 放っておくんだろうと とても不思議だったけれど そうだったのか、解かったぞ! ・ 葉っぱの脅迫文が届いて 17日まで収穫日を延ばさなければ 仙人は葉っぱのとびどぐでズドン。 となる運命だったのか。 |
|
折らないように掘って! |
周りから少しづつ |
もう少しで出て来る |
みんなの顔より大きい芋が沢山掘れました 最初はね、芋の蔓を取るんだよ。 取った蔓を隣りの葡萄畑まで運ぶんだけどずるずる長くて切ろうと思っても切れないし、 重くて重くて中々運べないんだ。 ・ 芋の蔓に混じった敵も居るんだぜ。 その名は《引っ付き虫》、本当の名前は こいつ引っ付くだけじゃなくて、引っ付くと針のように尖った種でチクチク刺すんだ。 ・ 痛いし不愉快だし手袋やセーターに引っ付くと中々取れないし、もう泣きそう。 それからやっと芋を土の中から掘り出すんだけど 大物は大地に深く食い込んでいるから、折れないように採るのはこれまた一苦労。 でも、ほらこんなに大きくて立派なのが採れると、嬉しくて眩しくて 思わず《歓びの歌》なんぞ出てきちゃうぜ! |
勝手に稔ったトマトも収穫 |
こいつ甘くてジューシー |
芋畑にトマトが一杯! 引っ付き虫のような 不愉快な悪者だけじゃなくて いい者も発見。 ・ 芋蔓の間からルビーのような プチトマトが顔出して まるで《どんぐりと山猫》の どんぐりのように 「なんといったって色の鮮やかなのが いちばんえらいんです」 「いいえ、大きくて甘いのが いちばんえらいんです」 とワイワイがやがや。 |
ハパダンは短気を起こさず 1つ1つのトマトの 訴えに耳を傾けながら黙々と 籠に拾い集めるのでした。 ・ その様子を目ざとく見つけた 恵太は大きい奴を 早速パクリ。 綾は綺麗な紅を選んでガブリ。 ・ 遥大は恐る恐る ボールを覗き込んで青いのを 取って口に入れ沈黙。 顔を顰め口はひょっとこになり じーっとハパダンを 見つめるばかりでした。 |
これ酸っぱくて失敗 |
僕も一杯食べたい! |
さてそれでは お芋を洗いましょう その時、滝の龍が吼えたのです。 ほんとですよ。 耳を傾けてごらん。 「グォー、がおーん、グララガー」 ほら又吼えたよ! ・ 実はこの滝の流れは 400mも離れた谷から引いて 落としているんです。 でも生活用水用に 水道タンクに貯水したり 池の水を循環させる装置が 仕掛けられたり 滝の流れは操作できるのです。 |
あれ、こんな処に滝なんて在ったっけ? |
その操作スイッチを入れると ポンプが始動し ちょうど龍の位置で 音が反響し龍が吼えるように 聴こえるんです。 ・ そんなこと知らないから 妖精たちは もうマジで大喜び。 掘り出した大きなお芋は 早速、瀧まで運ばれ シシオドシに乗せられ 大騒ぎしながら妖精たちに 洗われて たちまち大きな紅い宝石に なったとさ! |
此処でお芋洗ってもいいかな? |
それじゃシシオドシに載せてと |
綾ちゃん小倉山へ 仙人と恵太くんが水晶山の麓で車から下車。 綾ちゃんも続いて降りるつもりだったのに「綾は駄目」と止められると、途端に悔しくて、悲しくて 大粒の涙がぽたぽたと頬を伝います。 「アヤもサカハラせんせ−と一緒に行くんだもん!」涙の合間に悲痛な抗議。 そうなんです、綾ちゃんはお兄ちゃんに負けたくないのはもちろんですが、何と言ったって、 大好きなサカハラ先生に褒めてもらいたいんです。 ・ それなのに、一緒に登るチャンスさえ与えてもらえないなんて、 アヤだって水晶山くらい登れるよ、もしかして途中で泣きたくなっちゃうかもしれないけど・・・ そう思ったら涙はいくらでもでてくるんです。 周りの大人は「学校に行けない人は無理だ」と決めつけてるけど、 アヤだって夢の中で魔法のがっこに行ってるんだもん。小倉山の入り口でママとリッキーは帰ってしまいました。 ハパダンに促されて、杖代わりの長い木の枝を持ってみましたが、 少し歩くとこんなものは邪魔だとすぐ分かったので捨てました。 |
枯葉の下は水晶が一杯 |
||
7尺余の水晶が在るって? |
辺り一面に水晶の破片が |
山荘の里名の玉宮って、水晶のことか |
遂に水晶山を征服 恵太がどうなってるかトランシーバーで呼び出してみたけど、 いくら大声で呼んだって何の返事も返ってこないので、こんなものは魔法の道具じゃないやとガッカリです。 疲れちゃったら、まるで馬みたいに空を飛べるんじゃないかと思うほどの木の幹が倒れていたので、 それに跨って一休み。 大きな葉っぱを拾って団扇の代わり。この団扇であおいだらたちまち体は軽くなり、タッタカ走ってしまいました。 ・ 森が開けたので振り返ると、谷の向こうに大きな山が広がっています。 大声で「やっほー!」と叫んだら、こだまが返ってきました。 同時に、トランシ―バーから恵太の弾む声が流れ出します。 「頂上に着いた!!・・」終わりまで聴かずに、綾ちゃんがマイクに向かって叫びます。 恵太くんは遂に水晶山を征服、その歓びがあらい息づかいと共にシーバーを通して伝わって来ます。 綾ちゃんも興奮気味に応答。暫く経つと、恵太くんの興奮も収まって来て |
北稜線からの綾隊と小倉山山頂で恵太隊は目出度くドッキング |
痛てて、腰痛だ助けて! |
|
綾にも水晶上げるよ! |
|
くそー抜けないぜ! |
あたしのピアノ聴いて! |
こいつお化け菜か |
そうして、連綿と人類というDNAが連なり、未来を創るのだ。 さあ、3人の妖精たちがそのDNAをどんなふうに進化させ、成長して行くのか・・ ハパダンはきっと、尽きること無いたくさんの栄養を子供たちに吸い取らせることのできる、 大いなる存在にちがいない。 ハッパさんとハパダン、吸いつくし甲斐のある両親の元で、3人の個性がどんな風に花開くのだろう。 |
さっき食べたばかりなのにもうお腹ぺこぺこ! 以下★いずれもハパダン調理、☆デザート・ババロア柿ソース添え飲み物は勿論、 山荘ビールと山荘ワイン(新酒も味わう)、妖精たちには真清水あちこちに添えられた色どりのトマトは、 山荘プチトマト。芋畑に自生したトマトでこれが甘くて美味しい。 芋掘りでぽろぽろと下の道路にこぼれたものを、ハパダンと恵太くんがせっせと拾い集めてくれたのですが、 そのまま口に放り込んでみたら、あまりの美味しさに、幾つでも恵太くんの口に入ったのです。 真っ赤になるまで太陽に照らされた甘い甘いトマトはミニミニサイズでも、自然の恵みがいっぱい詰まっていて、 恵太くんには本物の美味しさが分かったんだね。
|
やるぜ!ドイツ語で《歓びの歌》など |
仙人のクッションを借りてソンブレロ(綾) ぼくアインシュタイン!(遙大) |
御免なさいと正座の3人 「せんせ、 ピアノ弾いてもいい?」 畑で恵太と野菜を 採っていたら綾の声が 山荘から響くのです。 ・ 反射的に 「うん、いいよ」と 答えてしまってから、 いけねーピアノの上には 水晶の地球儀が置いてあるんだ。 ・ 妖精たちが来る度に地球儀は 必ず壊され 部品の調達に苦労したのを すっかり忘れていた。 妖精達が来る前に 片付けておくべきだったのだ。 |
どすん、やっちまったパプア仮面の墜落 |
ところがどうだ。 畑から戻ってみると リッキーと綾に占領されたピアノは 中々の音色を響かせ 水晶の地球儀も壊されていない。 ・ うーん、随分大人になったもんだ! と感心してテラスで 杯を傾けていたら突然ドスン! 只ならぬ重い音に 慌てて居間に飛び込むと ありゃ!大きなパプアの仮面が 壁面から落下してるでは! ・ これに直撃されたら 先が尖っているだけに大怪我の 可能性大いにあり。 しかし3人とも無傷であった。 それにしても一体 どうやってあの重い仮面を 落としたのか? |
柿簾をバックに課題曲《赤い靴》を歌う恵太 |
ハパダンはドイツ語の《歓びの歌》を検索して あたしを連れ去る異人さんはあたしの中に棲んでいて あたしが13歳になるのを待っているの? それって魔女のおかあさんがあたしを生む時に 秘かにあたしの二重螺旋に仕組んだの? ・ どうして満月の夜に旅立つの? 若しかするとコリコの町は あの満月の彼方にあるの。 そうするとあたしは星々の宅急便になるのかしら? わー、考えると考える程ワクワクしちゃうわ! |
あたしも知らないのに どうして《 13歳になったら赤い靴を履いて 満月の夜に旅立つ》と知ってるのかしら? ・ あー、きっとそのことと 今夜の課題曲が《赤い靴》なのと、どっかで リンクしてるのね。 |
この《赤い靴》あたしの歌なのかしら? |
新星コリコへの旅立ち Journey to Colico in Nova 「せんせ、代々木のマンションの屋上に露天風呂を作ったの。入りに来てね。 お風呂に入ってお星様を観ていると、あたしのコリコの町が観えるの。 せんせにも、あたしのコリコの町を見せてあげたいの!」 ・ やっぱりそうだったのか! その時、幻想ユートピアのシンボルである赤い靴を履いて、屋上の露天風呂からコリコの町へ 旅立つキキがはっきり観えたのです。 赤い靴はゆらゆらと満月の光を屈折しながら、何処までもどこまでも漆黒の宇宙へ昇って行きました。 満月に近づくに従ってキキの肉体は深い翳を落とし、 2次元の切絵になって満月に浮かび上がり、やがて黄金の光を突き抜けるのだと思っていました。 ・ 驚いたことに月の光はキキの肉体を刺し貫き、キキに仕組まれた二重螺旋をくっきりと 映しだしたではありませんか! 4つの塩基A,G,C,Tから成る二重螺旋には、明らかにDNAには存在しない人工塩基J,Nが刻まれ 既に含まれているCと共に、黄金に煌き始めたのです。 その美しさに我を忘れ恍惚となって見とれていましたが、突然気づいたのです。 煌いている塩基結合はJ,C,Nだけで、この3つに限っては決して配列をかえないのです。 |
Journey to Colico in Nova 月の背後で光っているのが新星コリコだよ |
これがキキの、魔女である母方の祖父の人工遺伝子であると確信するには、そう時間はかかりませんでした。 このJ,C,Nのアルファベットを1つだけ過去へ動かすだけでわかったのです。
J が1つ過去に遡りI に、同様にC がB にN がM に遡ればIBMが浮上するではありませんか。 2つ過去に戻ったHALが何のことか解らないって! それはアーサー・C・クラークの「2001年宇宙の旅」に登場する スーパーコンピューターHAL(Heuristically programmed ALgorithmic computer )のことさ。 木星探査のための宇宙船ディスカバリー号に搭載され、船内すべての制御を行う人工知能で 人類に与えられた課題曲《太陽系脱出》の序曲を成すもの。 ・ HALからIBMに達するには、3つの塩基を1つ未来に飛翔させればほら、HAL→IBMになるだろう。 つまりIBM社はHALを超える未来の人工知能の創造を目論んで設立されたと 噂され世界の関心を大いに集めた会社なのさ。 なーんと、その会社の嘗ての代表者の1人がキキの祖父だったとは! ・ 魔女であるキキの母にとって父の特殊な人工遺伝子JCNを娘のキキに仕込むなんぞ、お手のもの。 あー、こうしてキキは新星コリコへの旅立ちが運命づけられたのですね。 |
夜の森の葉は満月の光を屈折し別れを告げるのです お土産の薩摩芋や大根と共に 山荘前庭にて |