その88の4ー2013年弥生 |
メークイン芋の発芽 倉庫の種芋 あれっ、お前、自由を求めて狼に戻ったんじゃなかった? この前森で偶然出会った時も 全く存在の気配さえ見せずそっと後から忍び寄り 唯じっと静かに仙人を見つめていて 眼が合った途端音も無く森の奥へ消えてしまった。 ・ あの時、あーもうグランは完全に野性に戻ってしまい 山荘に帰って来るようなことは無いんだ、 と寂しく思ったもんさ。 それがまさか「一緒に山に行きましょう」と 云わんばかりに忽然と奥庭に現れ 喜々として犬小屋に繋がれるなんて信じられん。 |
華麗なるじゃが芋の発芽 3月15日(金)晴 中畑 どっくん、どっくん 生命の流れる音が聴こえてくるような発芽。 寒さに眠らされていた毛細管に 流れ始める凍て付いた生命の雪解シンフォニー。 ・ なんて美しいのだろう。 赤紫の彩と浅黄の光が生命の鼓動と共鳴して 永劫の再生を奏でているんだよ。 |
さあ、春の農作業開始だ! 中畑 |
突然現われたグラン3月15日奥庭 この土の匂い、堪んねーな! ほら、有機肥料と土が 半年もかけてじっくり熟成し匂いたち 命を待っているこの感じ。 ・ 少し掘って種芋を置いただけで なんだか土が嬉しくて 微笑みかけているように見えないかい? この種芋を優しく抱きしめて 生命を育み葉を繁らせ花を咲かせ 3カ月後の6月には あの美味しいメークインや男爵になって 食卓を飾るんだ。 ・ 先ずそのまま蒸かして 熱い皮を剝きながらホッホ、ほっほ なんて冷ましながら食べよう。 それからコロッケやポテトサラダも作って、 あーもう涎が出そう。 ・ その前に野性住人に食べられる ことをもうすっかり忘れている 仙人でした。 |
あれ今頃植えるの?遅過ぎるよ 中畑 |
これからじゃが芋を植えようと 種芋を調べていたんだ。 畑に出て一緒に農作業やるかい? この1週間暖かさを通り越して 急激に暑くなってもう 種芋を植えるには遅すぎるんだが。 ・ それに昨年も1昨年も収穫間際に 猪、笹熊、狸に襲われ じゃが芋はほぼ全滅してしまったので 今年はどうしようかと悩んだんだ。 しかしここで止めたら 今まで万里の長城のような防獣柵を 延々と築いてきたのも 総てが水の泡となってしまう。 そこで今年も獣との共存を試みて みようと決断したのさ。 |
久しぶりの散歩へ 北の森 |
夕日に惹かれて新ルートへ 東の森 それなのにそのおいらに首輪なんぞ掛けて リードで引っ張って散歩だなんて 笑わせるぜ! ・ まーまーそう云いなさんな。 それじゃ、反対に「おいらが人間にリードを着けて 森を案内してるのさ!」と 思えば一匹狼の威厳は傷つかないだろう。 |
おいら森を自由に流離う一匹狼だぜ。 いつだって勝手気ままに猪を追い 鹿を威しつけ笹熊の巣穴に首を突っ込み この森総てがおいらの棲家さ。 |
森を抜けて紫のお花畑へ 読書の丘 |
ほら一面のお花畑だよ 東森の葡萄畑 仏の座と命名されたのは じつはこの小鬼田平子のことで黄色い花なんだよ。 田平子は寒い冬を超えるために 葉を大地に密接してロゼット葉で過ごすのだけれど この葉がまるで仏さまの台座みたいなので 仏の座と呼ばれている。 ・ それがいつの間にか菊科の田平子とは異なる 紫蘇科のこの赤紫の花に名を取られて 今では小鬼田平子となってしまった。 でも春の七草の時だけ仏の座になって食卓に載るんだよ。 |
まーそこまで云うんなら付き合ってやっか! と云われてやって来たのは 赤紫の花が織りなす一面のお花畑。 マイナス10℃の厳寒に耐えて生き延び 春の息吹と共に 真っ先に花で絨毯を織った仏の座。 |
長ーい影を引いて夕日が眩しいね 東森の葡萄畑 |
ジョン・シルバーだって!お前新顔だな 前庭 |
久しぶりの小倉山だぜ 3月17日(日)晴 小倉山のてっぺん |
迎春花・・・俺の再登場を歓迎か? 福生里 |
14.2kgもある水晶だって! 前庭 |
早春賦の流れる3つの頂 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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グランが登りたいと 云って山荘に 来たので久々に 一緒に。
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権現山のてっぺんも悪くないぜ! 3月16日(土)晴 権現山(1312m) |
さあ、行くぜ! 浅川林道終点 |
先ずは浅川峠へ 登山道入り口 |
麻生山だって!知らねーな 権現稜線 |
頂は直ぐそこだ! 権現稜線 |
夜中にく~んく~んと甘え声で催促する グランの鳴き声に起こされ、うとうとと浅い眠りが続くと、 未だ夜の明けないうちに隊長の張りきる声に起こされた。 ・ 半分夢うつつながらも、 どこの山に行こうかと調べ始めた隊長につられ寝床を離れる。 夜明け前なのに、布団から出ても寒くない。 これはきっと山日和だとやっと目が覚める。 昨日の午後、春風の使者のごとく忽然とグランが現れた。 ・ ずいぶん久しぶりの訪問で、隊長はすっかり喜んで、 これは山へ行くしかないとすぐさま決心したらしい。 飛竜まで行こうか、 近場のほったらかし温泉の先の棚山にしようか、 それとも権現山から扇山コースにしようか、 迷った末に権現山に決定。 |
後ろは奥多摩の山々だって!三頭山をバックに 権現山北面 |
野菜と肉をたっぷり加えたカレーうどんを急いで作り、 お腹に詰め込む。 朝からこれだけたくさん食べれば、本日の行動はばっちりだ。 隊長はこのカレーうどんが殊の外お気に入りだが、 実際今日は11時間後の夕食のビールの乾杯迄、 飲まず食わずで頑張ったそうだ。 ・ 出発時には天気予報とは裏腹に、空の半分は雲で覆われ あまり芳しい天気とは思えなかったが、次第に青空が広がり、 フルーツラインからは、春霞にやや輪郭をあいまいにした 南アルプス連峰が大きく白く見える。 ・ 此処から先の道は冬場は特に行きも帰りも 太陽と真向かうことになり、運転する人にとっては 眩しいことこの上ないのである。 新春登山の菜畑山へのルートと同じ道を走り、 今度は更に大月から岩殿山の下を通り、浅川集落まで。 バス停の先は林道になるが暫く車で入ってみる。 |
でっけー富士! 富士の右隣に三つ峠も見える 権現山南面 |
かなり荒れた道になりそうなので途中の駐車スペースに車を止めた。 出発に先立って、アイゼンを持参すべきか否か迷ったが、 どこにも雪の欠片も無い様子、もちろん上は分からないが、この時点で要らないだろうと判断する。 ・ この決断は正しかった。今回は完全に春山低山ハイクとなり、穏やかで歩きやすい快適な山であった。 登り始めは昏い檜林の植林地帯で、日は差し込まず狭い径を踏み外さないよう気をつけながら登る。 ・ 熊でも出てきそうと思っていたら、急にグランが耳をぴんと立て緊張した様子でじっと下をみて身構える。 一緒に目を凝らすと、一瞬黒い大きな影が横切り、思わず「あっ!」と大きな叫び声を上げたが、 次の瞬間帽子を被った人の姿が現れ、ほっとした。 全然誰も居ないと思っていたが、我々の後にちょうどバスが到着したのだろう。 |
越冬蝶・緋縅揚羽(ヒオドシアゲハ) 権現山の頂で |
グランに引っ張られ急ぎ足で登る斜面。 足元からひらりと舞いあがるものがある。 枯れ葉色に見えたが、 それはたちまち優美にひらひらと舞う一匹の蝶となる。 まだ花の気配も無い山中で蝶が舞っている。 ・ まるで道案内をするかのように、 ほんの少しだけ先に立ってゆらゆらと飛んでゆく。 模様の感じから豹紋蝶の種類だと見当がつくが、 まだ蝶が飛ぶには早すぎるような気がして、 何度も目を凝らす。 山頂まで着かず離れず、 元気に羽ばたいてグランの鼻先を掠め飛ぶ。 |
山頂ではひらひらと飛び廻り |
羽ボロボロ、寒い冬を乗越えたんだね! 権現山の頂で |
この後、下山時に何組かの登山者が登ってくるのに出逢った。 浅川峠には道標があり、扇山への分岐道ともなる。 峠を越えると明るい雑木林となり、急に視界が開け気分が良い。 ・ 尤も葉が茂ってしまったら何も見えない薮山になってしまうんだろう。 しばらく登るとふいに富士山が左手にぽっかり姿を現す。 何処から見ても真っ白な富士山が見られると、わけも無く嬉しくなる。 登るに従って樹幹越しに南アルプスの峰々が優美な白さを誇る。 ・ 降り積もった落ち葉と柔らかな土の道は歩き心地がとてもよくて、 おまけにグランが適度に引っ張ってくれるので楽々歩ける。 隊長を追い越して、急登もグランと一緒にぐんぐん登っていくと麻生山の分岐に出る。 |
落葉グリセードで愉しいスラローム 権現山南尾根の下降 |
何じゃこりゃ!森の龍か? 扇山への登りの北森 |
ここで隊長を待って(グランが気にするのだ)、 |
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たっぷり水を呑んでもう一息! 扇山と百蔵山のコル |
広々とした扇山の頂、山荘の扇山ではないぜ! 扇山てっぺん |
たがいにシャッターを押し、 山頂の記念写真を撮りあう。 下山し始めると入れ違うように、 数人のグループが登って来て、 急に賑やかな声が溢れる山頂となった。 ・ 我々は往路をそのまま下山路としたが、 雨降山方面へ下れば、 山頂直下に 大室権現を祀る祠があるそうで、 それが権現山の名前の由来らしい。 下りも気持ち良く歩け、 浅川峠で隊長はグランと共に扇山、 百蔵山を目指す。 |
もう直ぐ百蔵山の頂だ! コタラ山分岐 |
村上は車を移動させるために そのまま下山。 林道に出て車の駐車してある場所まで、 あれこんなに歩いたかな? と感じたのは、 きっと出発時は歩くのが嬉しくてかな? ・ 百蔵山には 桃太郎伝説があるそうだ。 <山の名と近隣の地名から、 桃太郎伝説がある。 隣の山の扇山のふもとに 犬目集落(上野原市)があり、 桂川沿いに鳥沢集落、 猿橋集落がある。 |
お馴染み登頂ポーズ!扇山てっぺん |
仲間をそろえた桃太郎は、 九鬼山に鬼退治に出かけた> ・ そう言えばしばらく前に隊長こと仙人は 「どんぶらこっこすっここ」の お伽噺を聴いたとか。 ・ そこへ現れたお供のグラン犬 (きび団子ならぬスペアリブの骨目当てだったらしいけど)、 となれば当然、 仙人桃太郎の誕生という訳だったのだ。 ・ 権現山、扇山、百蔵山を合わせて 郡内三山というそうなので、 桃太郎になりきった隊長はグランと共に 3つの頂を踏み、日本一の富士山の秀麗なる姿を 仰ぎ見て,きっと愉しかっに違いない。 百蔵山で再び合流したときは ニコニコ顔だったもの。 ・ となるとこの桃太郎伝説の山で 隊長がグランと共に退治した鬼とはいったい 何だったのでしょうか? グランに訊いてみましたがどうも 覚えているのは出発時に貰ったスペアリブ だけのようでした。 |
昔、数百人の生徒と集中登山した 懐かしい頂! 百蔵山てっぺん |
3山のコース標高差 約1700m 足の爪先にかなり酷い痛みが走る。 ・ 短時間に標高差1500mを 超える登高と下降を行うと相当 気をつけていても 体重と荷の過重が爪先にかかり 爪を殺してしまう。 ・ そんなことはもう何度も繰り返し 経験し良く解ってはいるのだ。 だがしかし今度の 3山縦走は明らかにピクニックレベル。 足の爪先を傷めるなんて 全くの想定外。 ・ 山荘に戻り爪先を観てみると 左足の親指がぐじゅぐじゅになり 爪下からリンパ液と共に 血が滲みでている。 |
権現山で別れた村上との再会 百蔵山の稜線直下 |
これじゃ痛む筈だと地図を作製しながら 3山の標高差を計算したら 何と、1700mもあるではないか! そうと最初から解っていれば 体重を爪先に掛けぬようもっと慎重に ゆっくり下ったのに。 ・ と嘆いても総ては後の祭り。 半世紀以上も山に登り続けていて この態(ざま)なのだから どうも仙人には進歩というものが ないのでは。 ・ となると例え見習いであるにしても 仙人等と云う言葉を使うには 余りにも烏滸がまし過ぎるのでは? ・ 朝食後1滴の水分も食物も口にせず 仙人の真似をして霞を食べ 11時間活動し続けても 爪先を傷めるようじゃグランに 嗤われてしまうぜ。 |
紅白梅の箸置 |
ようこそ!箸置の花瓶さん |
杏の花も愉しいね |
食卓にも春爛漫 轆轤で小さな円筒をひいて 親指と人差し指で 円筒を絞り込んでいくと 細長い鶴首がぐんぐん延びて 小さな壺が出来る。 ・ この小さな壺に箸置用の腕を着け 箸置花瓶を作ってみたが それだけではどうも面白くない。 腕が不自然で作為が見え見え。 ・ そこで思い切って花瓶の底を 切断し花瓶の丸みを 潰し甚平鮫のような口を開いてみた。 |
決まったね山茱萸と白梅 |
「ほー一体これは何ですか?」 と興味津々で覗き込む。 「何だと思いますか? この口が上に向いているところと 両口の間が湾曲しているのが ヒントですね。 ・ ここに水を入れて 小さな花を挿すんですよ。 で、この曲がった部分に箸を 置いたらどうでしょう」 「おーこれは面白い箸置ですな」 ・ さてはて実際に使ってみたら どうなるやらと心配していたが こいつ滅法気に入ったぜ! ビアを呑み干し ワインを傾ける度に花の香が ぐーっと迫るぜ。 |
やっと出てきた土筆ん坊 山荘ゲート |
出てきたばかりの春蘭 山荘ゲート |
これがあの柳の花だぜ 山荘ゲート |
奥庭にひっそり咲いた紅梅 奥庭 |
杏も一気に開花 奥庭 |
何だか照れて椿も咲き出した 奥庭 |
あな恐ろしや熊の爪跡 3月24日(日)晴 山荘の森 鋭い爪痕は未だ付けられたばかり。 こりゃ冬の眠りから覚めた 熊の仕業であることは間違いない。 鹿や猪にはこんな鋭い爪は無い。 ・ 山荘の母屋から僅か百㍍。 熊の親爺さん遂に此処まで迫ってきたか。 こんな不味い木の皮を剥いで 樹液を甞めて栄養補給をしてるのか? ・ それとも木を枯らし 樹洞の形成を図りその中に ニホンミツバチの巣を作らせ大好きな 蜂蜜をと、深慮遠望なる計画着手か? ・ 縄張りのマーキング、 繁殖行動のためのメスの誘引も 考えられるが熊の交尾は 秋だから未だ早すぎる。 |
となると熊も眠りから覚めてやって来るのだ! 山荘の森 |
いずれにしても 長い眠りから覚めたばかりで 相当腹を空かせて凶暴になっていると 考え大いに恐れるべし。 ・ しかし凄いね。 爪の一撃で太い樹幹がこうも簡単に 抉られてしまうとは。 この樹幹に較べれば人間の体なんぞ ふわふわの風船みたいなもん。 ・ この一撃をくらったら 肉は裂け内蔵は飛び出しきっと 骨も折れてとても 逃げるなんてことは出来そうもない。 ・ 人間や花々だけではなく この恐ろしい熊も一日千秋の想いで 春を待っていたのだ。 |
厳寒に咲く迎春花(黄梅)が一緒に 福生里 |
遅すぎた白梅 奥庭 |
今頃水仙満開だなんて! 前庭 |
青梗菜も急激にやって来た春を謳歌 西畑 |
杏も連なってお見事! 西畑 |
ありゃ!白菜も花が咲き出した 西畑 |
やっと海底洞窟・ロタホールに光が差し込む春になった。 70mと云う世界でも屈指の透明度を誇る ロタブルーの海底洞窟に差し込む、最初の光に想いを寄せる。 その神々しい瞬間を待ち望んでいた生命の歓びのカンタータが聴こえるような。 季節風が吹き荒れれば海底洞窟へのダイビングは難しいが神が微笑むことを期待して行ってみようかな。 神様の宝石でできた《楽園》だとかのCMに載せられて レンタカーかチャリンコで島を走り廻ってみるのも悪くはないかな。 ・ とまあ、再びパプアニューギニアか未だ見ぬ国バヌアツかはたまた遙かなるモザンビークでのDVを計画していましたが 2月実施予定が延びに延びて急遽、安近短のマリアナ諸島・ロタ島DVとなったのでした。 《前回のパプアDVのHP編集が終わってもいないのに、この怠慢は許されないぜ!》 との叱責が聴こえないことはないのですが・・・ |
週末から 4月にかけてちょっと出張! |