仙人日記
   その84の22012年霜月

11月3週・・・ぼじょれーヌーボに染まった山荘

昨年初めて収穫出来た
山荘の葡萄が
今年は全くの不作。
当然ワインは仕込めない。
一番大きく育った葡萄の木が
農薬を使わない為
害虫に食われ枯れてしまい、
他の木は充分に育たず収穫無し。
何しろ葡萄の敵は多いのだ。

ボジョレー・ヌーボ解禁日11月15日午前0時(木)晴
峨だけでも15種、
黄金虫が5種、
更に葉虫や亀虫などが加わり
葡萄の葉や幹は
食われっぱなし。
今夏は猛暑だったので
山荘だけでなく日本の葡萄は
大きなダメージを受け
美味しいワインは
とても期待できない。

豊穣な果実でヌーボ テラスにて

胡桃、栗、芋と干柿の自作スイート テラスにて

待ってました
ヌーボさん

11月15日(木)晴 テラス

せめてフランスのワインに期待しようと11月15日午前0時を心待ちにしていたのだが、
どうもフランス・ボジョレー地区は雨が多く、低温が続いたほか、真夏にひょうが降るなど、悪天候に見舞われたため、
ワインの原料となるブドウの実や葉が大きく傷んで収穫量も大幅に落ち込み、歴史的な不作だとか。

さて不作の葡萄で造った今年のボジョレーはどうかと早速朝一番で買ってきて呑んでみた。
香り、うーん悪くないな。味、いつものボジョレーと変わらないが山荘ワインと比べるとどうしても微かな不自然な薬品味を感じてしまうな。
よーし、来年こそ葡萄栽培に本気で取り組まねば!

 
麗しき森の山荘
11月17日(土)晴曇雨 福生里から

「此処から覗いてごらん!」

竹森川を渡って
右岸を少し登った里の途で
そんな声が聞こえたのです。
少し戻って
今は住む人も無き里人の家に
続く小径を見上げると
小さく山荘が見えたのです。

今まで観た事の無い
鮮やかな紅葉の森に抱かれた山荘。
扇山に這い登る丘森の海に
白いセラミックの壁を
輝かせ山荘は確かに
少し微笑んでいるかのようです。

森と同じ緑に塗った屋根に
太陽光パネルと温水パネルを載せ
樹木と同系色のベージュ壁を
コーディネートさせ
山荘は鮮やかな森が歌う
《白鳥の歌》を
聴いているのでしょうか?
石卓を見下ろすようにして
立っている楓が
紅葉の輪郭を失いまるで
1つの巨大な炎と化し
山荘の右端でメラメラと激しく
歌っています。

その直ぐ右隣で
くすんだ紅を滲ませた娑羅が
山法師とデュエットし
頭上の椎の木の黄金に
《白鳥の歌》の
カンタータを呼びかけます。

そうなると紅く染まった
山桜も黙ってはいません。
ほら山荘右の山桜なんぞ
山荘の方へ身を乗り出して
懸命に声を振り絞って
歌っているではありませんか。



干し柿だって負けないぜ!

とのコラボも良いだろ!
不作なんてもんじゃないぜ!

葡萄どころではない。
山荘の柿も全滅に近いのだ。
どうも猛暑で結実
出来なかったようなのだ。
山荘原野の4本の柿は
完全に全滅。

毎年数百個も生っていたのに
今年は唯の1個しか実を着けないとは
尋常ではない。
辛うじて奥庭の3本の柿の実が
幾つか結実したのだが
これまた驚き桃の木山椒の木!

まーまー右の
ぶっ太い糞を見てご覧よ。
 
よしビーナスにも挑戦!

枯葉の大きさと比較すると解かると思うけど
直径5cm以上もあるんだぜ。
こんなぶっ太い糞を出すのは余程の大物。
断じて猪や狸の類ではないね。
鹿は草食なので黒豆のような糞だから違うし・・・。
 
となると答えは唯1つ。
そう、熊だ。
それも相当大きい月の輪熊だな。
この糞が何処に有ったと思う?
林檎畑の直ぐ下だぜ。
びびったなー! 

雲上の雪富士にも合うだろう!

真っ赤な山桜と高芝山はどうだい!
で、その糞は単なる脅しではないんだ。
その証拠に
奥庭の柿の木の太い枝が
数本折られ
先週には確かに在った柿の実が
殆ど食われてしまった。

で、焦って残りの柿を急いで収穫。
僅かに残された柿の実は
3本の木の実と合わせて
たったの37個。

それでも無いよりはまし。
いや、反対に37個も収穫出来た事に
感謝せねば。
先ずは山荘の女神・ヴィーナスに感謝。
それからヒマラヤの石にも
捧げて稔りを祝そう。

ヒマラヤの石とも仲良くしよう!
今まで如何に不作で
山の木の実が無くなっても
山荘まで熊がやって来るなんて
ありえなかった。
今年の不作はそれほど野生の
生命にとっては
深刻だと云うことなのか。

いや、若しかすると
柿どころの話では済まないかも。
山荘の奥庭まで来たなら
当然朝トレで走り回る森や山にも
出没してるだろうから
こりゃ、熊とひょっこり遭遇なんて
充分ありうるぜ。
やべー!



  燃える扇山に包まれる山荘
11月17日(土)晴曇雨 福生里から


山荘を大きくして
扇山と撮りたいと思ってはいたが、
扇山は余りにも大き過ぎ
扇山全容を入れると
どうしても山荘が小さくなってしまう。

だがこのアングルからなら
大きな山荘と
扇山頂の両者を見事に
捉えることが出来る。
山荘下から仰いで撮れば
山荘を大きくしたまま扇山全容が
入れられるとは
考えてもみなかったのだ。

紅葉がこれ程までに
美しく燃えてなければ決して
気づかなかったアングル。
写真に撮ってみて改めて
山荘の森の美しさに圧倒される。

ログなんか木で出来ているから
すっかり森に融け込んでしまって
目を凝らさないと見えないね。
そうだ次週こそ忘れ去られた
ログの扉を開いて
ワインでも呑みながら
静かに森の声に
耳を傾けてみようかな!



 
ちょっと夕焼け散歩・V
11月16日(金)晴 藤谷の頭 


胸から熊避けを下げて 非難小屋

夕映えの山頂 ハンゼの頭

だ! 柳沢の頭への分岐 





天空の夕焼け散歩道
 山荘2階書斎から


 夕映えの山頂
 
11月
16日快晴 ハンゼの頭(1681m)

「もうすぐ雪がやって来るよ。
森の葉をせっせと赤や黄色に染めて
その葉を織りこみ、
暖かい夢のセーターを編んで
雪が届けてくれるよ」

でもその雪に逢える筈がありません。
何しろ誕生日の10月20日と云えば
未だ紅葉が始まったばかりで
雪なんか全く見えません。

処がどうでしょう、苔生した登山靴
案内してくれた
懐かしの山々には新雪がたっぷり。
嬉しくて山頂の雪と戯れつつ
ふと空を見上げたら
紅や黄の葉がひらひらと舞ってきた
ではありませんか!

《山荘の山々に初雪が降りたら
真っ先に両神山の紅葉が織った
夢のセーターを着て
夕映えの山頂に立つんだ》
10月12日、両神山でみた夢の中で
確かに少年はそう誓ったのでした。

あーきっとこの夕映えの山頂も
夢の続きな
んですね。 



夕映えのお土産 チベット壁画とのコラボ
 夕陽に染まった蔓梅擬き
 
ようこそ山荘へ!

 ボジョレー・ヌーボが残照になって降り注ぎ
顔もズボンも山頂標識板も
朱に染まってまるで晩秋の宴だね。

おいおい!そんなに呑み過ぎて
真っ赤っかになってあちこちの梢で放歌高吟してるのは
蔓梅擬きかい?
何だって!2次会を山荘でやりたいから
連れてってくれだと。
さてはログハウスでワインでも呑もうかなと
呟いたのを聴いていたな?
そんなら仕方ない連れて行ってやろうかな。
どれそれじゃ梢の天辺で
一番煩く吼えているお前を
バイクに乗せてやるけど落ちるなよ。

何しろ山荘主が専用道路と勝手に名付けて
突っ走っている竹森林道は
断崖絶壁の急カーブの連続悪路で
しっかりしがみ付いていても
お前なんか直ぐ振り落とされるぜ。

それでなくても真っ赤になって
触れただけでほろりと落ちてしまうんだから
山荘までは無理かな。

稜線で蔓梅擬きの歓迎 藤谷ノ頭稜線

ゼウスとのらい 木星の赤斑にも合うね
まー、一応はバイクの荷台に括り付けてはやるが
どうせ酔った紅い実は落ちて
枝しか残らないだろうな。
で、山荘に着いて荷台を振り返ると
あれ、黄色い顎は殆ど落ちてしまったが
酔っ払いの紅い実はしっかり
枝に着いているでは。

うーん、中々良い根性してるな。
それじゃボジョレー・ヌーボの宴に加えてやろう。
どうだ、チベット壁画と一緒に呑むかい?
それともゼウスと語り合うかい?

憎いね!飾ってみれば
遠景のゼウスの紅い眼とアンサンブルして
あーまるでお前は
木星のドッペルゲンガーだね。
つまりかの不死なるゼウスも、もうすぐ死ぬんだな。
となると歌っているのは
シューベルトの歌曲・第13曲
死の影法師・Doppelgangerか?

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