仙人日記
   その832012年神無月

10月1週・・・小倉山から昇る神不在の名月


  小倉山から昇る神不在の名月
撮影:9月29日(土) ティコとペタビウス (テラスより)
ゴーヤーがたわわに稔っている。
採り切れず葡萄棚のあちこちに
放置されたゴーヤーから若いのを
1つもぎ取りスライスし
軽く塩で揉んで
完熟トマトと
オニオンスライスを添える。
先日焼いたやや大きめの高杯には
アボガドと鮪刺身、檸檬スライスを
サンドイッチにして載せる。

オニオン微塵切りとオリーブオイル、
塩胡椒のドレッシングを作り
帆立貝の皿に
山葵と生醤油を注ぎ準備完了。
さてと先々週仕込んだビアの
出来具合はどうかな?
と、たっぷりジンジャーを入れた
ビアを傾け
ゴーヤーサラダを口にして
ふと小倉山に目をやる。
と、芒の原野を前景にして満月が
昇って来るでは。
素晴らしく美味しいビアと料理に
後髪引かれながら
カメラと三脚を持って満月を追う。
そら、捉まえたぞ!

ティコクレーターが湿りの海、雲の海へ
光を放射し、
巨大なクレーター・ペタビウスの
光と呼応し、忍び寄る闇に
最後の輝きを放つ芒とデュエットし
神の不在を告げる。
八百万もの神々が
出雲大社に結集し
神不在の月がやってきた。
神不在の月が生み出すものは何か?


曼殊沙華が涅槃への案内人であるなら喰らってみるのも悪くは無い。

涅槃(ねはん)の花弁
10月1日(月)台風一過の快晴
 (西畑下)


 《涅槃煩悩を断じ絶対的な静寂に達した仏教の理想郷》

根や鱗茎は勿論、葉や茎、花弁に至る総てに
有毒なアルカロイドを多量に含み
動物を近づけないだけでなく喰らうものに対しては
中枢神経を麻痺させ時として
死に至らしめる彼岸花。

《死や生の海を超えた彼岸に在る絶対的な静寂》
涅槃が死を超越した死、若しくは死の彼方に在る死であると
この彼岸花は知っているのだろうか?

涅槃への道標・銀の狗尾草・エノコログサ (山荘冬駐車場)

知っているからこそ全身を有毒なアルカロイドで満たし
妖しく涅槃の世界へといざなうのだろうか?
土葬であった昭和初期までは
屍が動物に掘り返され食われぬよう彼岸花を
墓に植えたと云う。
自らの毒で殺すだけでなく死者の上に咲く花とあっては
正しく死の花そのもの。

死人花、地獄花、幽霊花等と呼ばれ
不吉であると忌み嫌われるが一方曼殊沙華とも称せられ
法華経の仏典では天上の花として
尊ばれている涅槃の華。
山荘のあちこちで咲き出すこの頃になると
否応無しに惹きつけられ決まって心を掻き乱される。

白の曼殊沙華も開花 (奥庭)
彼岸花、曼殊沙華と呼ばれているけれど涅槃花と
呟いてみるととてもしっくり収まる。

涅槃結界を示す山萩・ヤマハギ (山荘冬駐車場) 


殲滅した筈のコスモスが山荘を彩る
10月1日(月)台風一過の快晴 (西畑下)

我が物顔で西畑に跋扈し作物のテリトリーを侵略する。
大歓迎しここ数年は愛でていたのだが、余りの傍若無人振りに大根や白菜、小松菜、春菊、ブロッコリー等が
仙人に直訴したのだ。
「もう直ぐ冬がやって来るこの大切な時期に種を蒔いてもらい産声を上げなければ
秋の収穫にも勿論冬の収穫にも間に合いません。
秋桜がこうも畑を占領してしまっているのを許していると云うことは最早私たちを見捨てたのでしょうか?」

「解かった、解かった」と渋々コスモスの殲滅作戦を展開したのは先週。
それでもコスモス落ち武者はしっかり畑の辺境にとどまり、ご覧のように懸命に山荘に秋を飾るではないか!



秋大根

白菜

小松菜

ブロッコリー
秋・冬野菜の芽吹き 
10月1日(月)台風一過の快晴 (西畑)

大地から小さな緑の命が
顔を覗かせる瞬間は
何度見ても
新鮮な歓びと驚きに満ちている。

種を蒔いてから発芽までの
1週間程は
畑から離れず朝夕の散水を
欠かしてはいけないのだが週末農業では
哀しいかな出来ない。

雨予報を狙って種蒔をするように
してはいるが雨予報と週末と
種蒔時期の三者が一致する幸運には
そう恵まれるもんではない。
今回のように秋、冬野菜の芽が
いちどきに出ると
もう嬉しくて
ついスキップしたくなってしまう。

「見捨てはしなかったんですね。
どうにか間に合って
芽を出すことが出来ました。
晩秋までには豊かに稔りましょう。
お愉しみに!」

カリフラワー

もうすぐ間引き菜が食べられる

無農薬野菜は美味しいんだよ
 
冬春菊
 
青梗菜とレタスも

秋胡瓜 



壊れたスプリンクラー (西畑)

掘って掘ってやっと弁発見 (西畑)
スプリンクラーの工事は続く
9月28日(金)晴 (西畑)

知らなかったな!
確かにこの辺りにパイプが埋め込まれ
穴底に弁があった記憶はある。
しかしそれが何の弁なのか?
更にその横にあるスプリンクラーと
如何なる関係があるのか
全く知らなかったのだ。
損壊した水道管から噴出しているとしか
思えない自動放水が山荘中道に
噴出すようになって数年経つが
その自動放水の弁が
これだったなんて!

懸命になってスコップで掘り出し
やっと出てきた錆付いたハンドルを
回すとぴたり
放水が止まったではないか!
土地改良区の原図が無ければ
とても解からなかった弁の役目。
これスプリンクラーの凍結破損防止用の
水抜き弁なのだ。

もっと上方へ噴射させたいが (枯葉プール)

やったこれで畑に届くぞ! (枯葉プール)



林檎畑稔りの秋 背景は高芝山

色付き始めた柿の隣で無花果が毎週、数十個も熟し
朝食の食卓を飾り帰京の際のお土産として
重宝している。
92歳の誕生日を迎えたばかりの目白のお婆ちゃんが
他の食べ物にはあまり興味を示さないのに
この無花果だけは好んで食べる。

さてこいつを丸ごと食べようとしているのは黄星髪切虫。
まー1個や2個くれてやってもいいのだが
こいつ先月登場したあの大速蜂のように卵を幼虫の
餌の中に産み付けるんだ。
その幼虫の餌とは柔らかい無花果の樹幹。
孵化した幼虫は樹の中身を喰い尽し樹幹は空洞になり
枯れてしまう。
どうしてもやっつけねばならぬが・・・。
果物の秋・結実する山荘
10月1日(月) 林檎畑

先日袋掛けしておいた林檎の袋を外してみると
オヤ、大きくなっているではないか!
山荘の林檎は頗る美味しいのだがいつも小さくて
ちょっと哀しかったのだ。
農薬を散布しなけければ大きく成らないのか?
それとも人工授粉や摘果をしなければ
駄目なのかと悩み続けた日々。

袋掛けに実を大きくする効果は無い筈なのだが
結果として市販されてる林檎と同じ大きさに結実したでは。
遂に山荘での林檎栽培18年目にして
まともな林檎ができたのだ。
 
害虫・黄星髪切虫と無花果 奥庭



第59回 甲州市かつぬまぶどうまつり 

チベット壁画に舞う心象の火の花 テラスの窓からの光がガラスのテーブルに反射したのか?
壁画へ反射する火の花
 10月6日(土)夜7時 山荘居間

部屋を真っ暗にしていつものように
大型画面で映画と音楽を
愉しんでいたのだ。
高校時代にドーナツ盤が擦り減る程聴いた
アランドロン主演の映画音楽、
甘く哀しい旋律の「太陽がいっぱい」。

最後のヨット売却の場面。
ヨットが徐々に陸揚げされる。
その後ろに絡む1本の長いロープ。
ロープの先には・・・・。
アランドロンの最高の夢が砕け散る一瞬。

と、居間に架けられているチベット壁画が
居間の闇を鋭く劈いて
鮮やかな紅と緑の光を発したのだ。
振り返って壁画に目をやると
鳥葬と輪廻転生が描かれた画面一杯に
火の花が踊っているでは!

次いでテラスの大窓に視線を移すと
大きな火の花が音も無く
幾つも幾つも次々に浮かび漆黒の闇を
切り裂き始めた。
長いロープの先に漆黒の闇を曳きずり
心象の火の花は刹那に舞う。
恰も存在そのものが
幻想であるかの如く。

そうだ、今日は《葡萄祭り》だ。
葡萄祭りの会場は山荘眼下に在るが
遠いので音は聴こえない。
でも毎年花火だけは愉しんでいたのに
今年はすっかり忘れていた。
炸裂する火の花
 10月6日(土)夜7時 山荘テラス

 畑から採り立ての葡萄が
5トンも提供され
参加者は無料で食べ放題。
500円払ってワイングラスを買えば
ボージョレ・ヌーボより早い
新酒のワインが呑み放題。

会場内に20数店舗あるワイナリーの
テナントのワインが
どれでも愉しめるとあっては
ワイン好きの呑兵衛ならずとも
心穏やかではない。

会場の中央公園広場近くの
民宿は早い時期から
予約で満杯になるとか。
このワイン村の地元に山荘を構え
18年目となる呑兵衛の
山荘主が一度も参加していないとは
これ如何に?

バイクで下れば10分もかからず
中央広場に行けるのだが
問題は帰りである。
そりゃ新酒ワインをしこたま呑んで
バイクで森を飛ばせば
爽快な気分で山荘に着くけど
いくら森の中と云えども飲酒運転は
犯罪行為である。
てな訳で毎年、山荘から花火を
見降ろしては
溜め息をついているのであーる。

漆黒の闇と化した山荘に刹那の火の花 眼下の花火を心象が天空にいざなう





生クリームが固まらないぞ! (キッチン)

それじゃハンドミキサー (キッチン)
さてそれでは美味しい栗を潰して
ピューレにしてと
次は生クリームを泡だててモンブランでも
作ろうかと氷をボールに浮かべ
手でホイップしたが
全く固まる気配無し。

生クリーム200gにグラニュー糖30gを
一気に加え氷水ボールで泡だてる。
いつもと同じ手順なので
間違いはないのだが固まらない。
ほんじゃ最後の手段
ハンドミキサーの登場。
しかしさっぱり固まる気配無し。
そこであっさり諦めて
こんな時の為に用意してあるゼラチンを
取り出しミルクで溶かし
卵黄を混ぜてババロアに変更。
これなら間違いなく固まる。

するとピンポーンと玄関チャイム。
壊れたまま20年も放置され
見向きもされなかったスプリンクラーの
修理に来たのは
地元の大藤建設の古屋さん。
修理を終え
請求書明細を出して何やらブツブツ。

スプリンクラー修理人 (ゲート)

復活したとスプリンクラー (西畑)



山椒の黒い実1つ (奥庭)
「あれ、部品代だけで
予算の2万円を越えちゃった。
まーいいや2万円で。
それじゃ手間賃は無し。
弁のハンドルは
何処にも売ってねえで来週にでも作って
その辺に置いときますよ」

それじゃ全くの赤字なのだが
ニコニコしながら訥々と喋る。
「こんな景色のいい山の上にまで畑管が
有るなんて知らんかったよ。
いつでも困ったら連絡下さい。
オラに出来ることなら何でもしますよ」

梅擬きのルビー (奥庭)

キッチンに戻り遅れたババロアを
型に流し込み冷蔵庫に入れ
さあ、それでは今度古屋さんが来たら
このモンブラン風ババロアを
是非ご馳走してやろうと思ったのでした。

書斎に上がり沖方丁の「光圀伝」を
読み始めると
そこはかとなく甘い香りが漂う。
ログハウスの金木犀が呼んでいるのだ。
ちょっと待っててと「光圀伝」に
告げるとな、な、何と返事が。
「ちょっとだけならいいよ。
秋のルビーの煌きを観ておいで」

防猪柵の青い補強テープ (西畑)
気がつかなかったな。
確かに知らぬうちに山椒は赤い実を
弾かせブラックホールのような
漆黒の実を耀かせ
梅擬きも紅く熟れて秋を告げているでは。

ガマズミの実なんぞは甘く熟れた印の
白い粉を吹き始め
鳥達に喰われて遠い森への旅を
夢みているようだし。
猪や鹿の掠奪者に怯える西畑の
秋、冬野菜達も
防猪柵が功を奏しすくすく育ち
我が世の秋を謳歌。

莢ずみ・ガマズミの甘い実 (ゲート前)

庭と畑を一巡し書斎に戻ると再び訪問者。
テラスの大きな網戸用の
張替網を抱え
「あーこれ会社の倉庫から
かっぱらってきちゃった。
ほらテラスの網戸の縁が
一部切れていたでしょ。
どうぞ使ってください」

やって来たのはダイワハウスの
お客様相談室アドバイザー主任の
小島さんでは。
折角の好意にどう応えたらいい?
そうだ南瓜とゴーヤーとトマトと
山荘野菜をあげよう。
「いやーすみません,
採り立ての野菜は女房も歓びますよ」

先日来訪しテラスから眼下に広がる
景観を観て小嶋さんは
こう云ったのだ。
「鳥肌もんのパノラマですね」
きっと再びこの山荘の景色が見たくて
近くに来たついでに
山荘に寄ってみたくなったのだろう。

金木犀の甘い香り (奥庭)





10月2週・・・神々の集う紅葉の両神山へ

 紅葉の両神山  
     コースタイム
実施日:
10月12日(金)晴 
山荘発
(78km)
5:50 
日向大谷(670m) 7:40着 7:50発 
鈴が坂 10:36着 10:55発  
本社  11:00 
両神山頂 12時着 12:31発  
清滝小屋  13:40 
日向大谷  15:20 15:33出
計    9時間30分
山荘着     17:20 
標高差
日向大谷ー両神山・・・1054m
実際のコース標高差・・・約1130m

七滝沢ルートに人影無し。
清滝小屋は8年前から無人。
薄川には地蔵、仁王の像在り
下山で民宿のポチ&ぽんたに逢う。


ポチ&ぽんた



人生の秋へ

長い夏が終わって、山がようやく終焉の彩りを整え始めた。
秋という季節が、夏から冬への通過点に過ぎないのだということを改めて感じさせられる程短い時間だと痛感するのは、
最近のあまりに長い夏日のせいなのだろうか。

人生の秋もまた、老いという長い冬への束の間の輝きなのだろうと実感するこの頃でもある。
7月の北アルプス以来の登山である。両神山は20年ほど前に登って以来だ。

両神神社から登り始めるが、山は鬱そりと木々を茂らせ、深い森を抱き昔日と変わらずそこにある。
隊長の持参する年代物の古い地図には記されていないというコースの分岐点があり、
「無理な登山はしないように」との立て看板が出来るだけ人を寄せ付けまいとしているように見える。
そう言えば登り口の案内板にも、<転落事故多し>という注意書きが出ていた。

七滝沢コースというのだから、たくさんの滝があるのだろうか?
何とも興味をそそられる上に、同じ道を登下山するのも芸がないと、当然のごとく七滝コースを選ぶことになる。




産泰尾根からの両神山


あれ!
背中に炎の夢のセーターを背負った
岩峰が龍とか犬とかに観えてこないかい?
眼の錯覚かな?
いや、やっぱり何か神の造形物に観えるぞ。

そうか、若しかすると
こいつがえっちらこっちら遠い遥かな地から
夢のセーターを運んできたんだな。
岩壁から幾つもの炎の華が噴出して
あーまるで夢のセーターを
着ているようだね。
もう直ぐ寒ーい冬がやって来るけど
このセーターを着た想い出が
きっと暖めてくれるね。
 
両神山頂の燃える満天星ドウダンツツジ


深山幽谷の気分

熊よけ鈴も呼子笛も忘れて来たので、大きな声で「トーオッ」のコールを掛け合いながら足元を確かめゆっくり登って行く。
渓流を下に見てぐんぐん登る。
小さな滝が目につく。架けられている木道の橋が苔むしていたり、半壊状態だったり登山道の手入れはされていない様子なので、
その分自然のままの山道が楽しめる。
渡渉や岩を飛び越える個所もあるので、増水時には確かに危険な所もあるだろうとは想像できる。
しかし、今日は快適に楽しみながら歩ける。
山の深さを感じられるほど静かな登山道であり、
最後まで登山者に全く出会うことがなかったから、
渓流と滝の音を傍らに深山幽谷の気分を堪能できた。




森の山葡萄 (七滝沢)

真っ先に燃える山葡萄  (産泰尾根)

華やかな森(山葡萄  (七滝沢)

山葡萄の別れ  (産泰尾根)
燃える
山葡萄と満天星



森のパレット(山葡萄)  (産泰尾根)

頂からの下り  (両神山頂)

蒼い山稜と満天星  (武甲山遠望)
赤八汐躑躅の名所


満天星の彼方に  (両神山頂)
 
朽ち老木と赤八汐躑躅  (両神i頂稜)
 
満天星に染められた頂  (両神山頂)
 
赤八汐躑躅の森  (両神山稜)



姥捨て山
伝説


途中の渓流沿いでご飯茶わんのかけらが落ちているのに気づいた。こんな場所に茶碗?と眺めながら、姥捨て山伝説がふと心をよぎる。

年老いた母親は息子に背負われ、深い山の奥に連れられて来る。たった一人、山奥に置かれた老婆は自分の飯茶碗だけを持たされていた。
それで谷の水を掬って最後の喉を潤すと、自分には必要ないと投げつけた。幾晩もの孤独で恐い夜を過ごし、
やがて老婆は二度と眼を開かない。

そんな物語の情景が目に浮かぶような気がして、そんなに遠くない昔にきっと本当にあったことなのかもしれないと思えてくる。
森の老木はきっと総てを知っているのだろう。





七滝沢は要注意  (七滝沢手前)

朽ちた丸木橋  (七滝沢)

沢上部の鎖場  (七滝沢)

さあ登山開始  (日向大谷)


この山の北側に双子山と云う岩山があって
高校時代には
テント合宿しロッククライミングに明け暮れた
懐かしい思い出の山。

岩壁を登る序にこの両神山も登ったような
記憶が在るようで無いような?
あの頃はロッククライミングに夢中になっていて
ピークハントなんてまるで眼中になく
記憶にインプットされなかったのかな。


さあ、登るぞ!

《犬との山旅マップ》の一番上、つまり最北に在る山・両神山。
このマップを作って地図上の山名と
HPの登山記録をリンクさせワンクリックで記録が
開けるようにしたのだが・・・。

山荘から近いようで遠くて今日まで行けなかった山。
やっと重い腰を上げて
やって来ました。

首なし地蔵と  (両神山頂) 

鈴が坂を登りつめて  産泰尾根稜線

頂上下の本社  (産泰尾根稜線)

2008年より無人  清滝小屋




美味しい山荘パン

次第に急な登りとなり、岩を攀じる処もあるが、その先に落差の大きい甞め滝が奥に覗ける。

水量は多くないが垂直の崖から一筋の美しい白蛇のように流れ落ちている。樹木が邪魔して滝の全貌は見えないのだが、かなりの大きさだ。
紅葉に包まれたらさぞ美しい滝だろうと思われる。
日向大谷口からの登山道と合流地点先の鈴が坂で早目の昼食とする。
4
時起きで食べて来たのでお腹が空いた。山荘パンにポテトサラダや野菜、梅ジャムをつけて食べると、美味しくていくらでも食べられてしまう。
この行動食は夏の山行で実施して以来、隊長もお気に入りだ。
食べている最中に、下方から聞こえていた鈴の音が近づき、今日初めて出会う登山者の登場。
腹ごしらえを終え我々もゆっくりと出発する。
此処からはやや急な登りとなり、所々で鎖の付いた岩場も登場するが、整備され難しい個所はないので歩きやすい。

木の根や岩をよじ登ると間もなく、両神神社の本社に到着。
すぐ隣にあるのは両神御獄神社で質素な社ではあるが、見上げると竜の彫り物がなかなか凝っている。



両神山の北麓の尾ノ内には龍頭神社
が在り龍を祀っている。
つまり「龍神を祭る山」→「龍神山」が
転じて両神山となったとか。
その為か山頂直下の本社には
見事な欄間の透かし彫りが観られる。

山中に祀られた神々

天地が始まって七代目の神
伊弉諾(いざなぎ)伊弉冉尊(いざなみ)
の2つの神が
祀られているので両神山だ!
との説も在る信仰登山の山でもある。

表登山口と呼ばれている日向大谷から
両神山を目指すと
石に彫られた神々があちこちに
鎮座ましましている。




紅葉の美しさも絶品

神社を護る狛犬は独特の表情をしている。後で知ったが、犬ではなく狼だとのことで秩父には狼信仰があるらしい。

更に登って岩場の多い稜線に出ると、目の前が急に明るくなって、鮮やかな紅葉の木々で一面に赤く染まっている。
山頂付近は赤ヤシオの群落とのことだが、深い紅の彩を光に晒して輝いているのは、おそらく赤ヤシオだろう。
花盛りもさぞかしと思われるが、紅葉の美しさも絶品である。ドウダンツツジも交じり、深紅のトンネルのようになっている。

登りついた山頂は思いがけないほど狭いのだが、
360度ぐるりと見渡せる展望は素晴らしい。
山頂には大勢いるわけではないのだが、狭さゆえに登山者がいっぱいのような気になる。
此処も百名山のひとつであるから、シーズン中の休日などはかなり混雑した山頂であるに違いない。

朝の青空に反して、いつの間にか広がってきた薄雲が遠景を大分隠してしまい、
隊長はせっかく担ぎあげた望遠レンズが活躍出来ないことを残念がっていた。
私は久々の展望と紅葉の美しさにすっかり嬉しくなって山頂を歩き回る。




七滝沢の深い森

(2か月前)8月25日死体発見の転落死地点か?

養老の滝・霧降の滝

大白唐笠茸 オオシロカラカサダケ

酢漿草 カタバミ
テレビ東京の土曜スペシャルで
5月19日放送されたんだ。
ほら熊谷真実がリポートしてる
あの番組さ。

その前から僕の民宿に泊まる登山客
のガイドとして
何百回も両神山に案内してるので
有名だったんだけど
今年の5月の放映以来すっかり
名が知れて
今じゃ両神山の狼伝説と相まって
僕の人気は大したもんだぜ。

七滝沢の深い森だって迷わず
案内するし
茸だって見つけて教えてあげるし。
えっ!
もう登って来てしまったの?
なーんだそれじゃ僕の
出番がないじゃないか。

 

白嫁菜 シロヨメナ
 
埃茸 ホコリタケ
 
野生の榎茸 エノキダケ

両神山の名ガイド犬・ポチと




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