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その107の2ー2014年 神無月 |
アンネ薔薇の濡れた花芯を抱く背黒露虫 すっかり仙人は忘れていたのです。 ・ 何しろ生まれて初めての 鍼地獄と艾の炎熱地獄を覚悟して 臨んだ鍼灸治療が実は 天国への途であったと気づいてしまったのですから そりゃ動転して、仕込んだ葡萄を 忘れてしまうのも宜なるかな。 ・ さてそれでは鍼地獄と艾の炎熱地獄から 天国を観た仙人には 早速しっかり働いてもらいましょうかね! |
ワイン紅に輝く薔薇花芯 奥庭に咲き誇るアンネ薔薇 「さて先週仙人が仕込んだ山荘の葡萄は どうなったかな? あの一角獣座から届けられた水晶葡萄が ワインになったら きっと美味しくて、頬っぺが落ちるね。 仙人は呑ませてくれるかね?」 呑ん兵衛の背黒露虫が呟いています。 |
互いに抱き合う恍惚の2匹 |
葡萄プレス機を設置して 前庭の石卓 この葡萄プレス機は 何しろ重いのだ。 日本では製造されていないので 態々イタリアから輸入し 山荘ワインの歴史を共にしてきた 頼もしい仲間。 ・ 便利ではあるがとにかく重くて 独りでは持ち運び出来ず 山荘活動日に集った会員の力を借りて 移動するしかない。 馬淵君、村上さん待ってるよ! |
発酵した葡萄を入れて絞る ワインの良い香が えんやこら、どっこいしょと 倉庫から前庭の石卓にプレス機を運び 葡萄を仕込んだ樽を 石卓に乗せ、いよいよ本年度の ワイン絞り開始。 ・ 発酵した葡萄をプレス機の籠に入れ ハンドルレバーを締めて 圧力を加える。 急激に圧を高めると籠の穴から ワインが吹き出し 辺りに飛び散ってしまうので 液量を確かめながら 徐々に締めていく。 ・ それでも飛び散るので 籠のぐるりにアルミフォイルの遮蔽壁を巻き ワインを下の樽に誘導する。 |
さあ、 ワインが出て来たぞ! 白&赤ワイン各1樽 |
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この瞬間が実に堪らんね! で、待ちきれなくて 醸成中のワインを小瓶に入れて ちょっとだけ試飲。 ・ ≪うおー、蕩ける!≫ 未だ充分にアルコール化せぬ 葡萄の甘みが 舌から全身に広がり肉や骨を溶かし 味覚そのものを蕩けさせて 唯うっとり! |
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赤ワインの搾りかす |
この葡萄の搾り滓 とおーっても甘くてワインも たっぷり含んでいて ジャムになんぞにしたら最高! ・ 粒粒の少し残った搾り滓コンポートを ヨーグルトのトッピングにして こいつを摘みにして 出来立てワインを呑んだら 余りの美味さに 失神すること間違いなし。 ・ だが調理が面倒と云うだけで 惜しげもなく仙人は捨ててしまったのだ。 許せんぞ! |
白ワインの搾りかす |
ザイルで石垣に下降 今年の夏も雑草が覆い尽くし 石なんぞ全く見えない石垣となってしまった。 このままでは凌霄花どころか 石垣下で大切に育てているアスパラガスも 生育を脅かされ 中畑に繁る薩摩芋にも影響を 及ぼしかねない。 |
次は石垣の雑草刈りじゃ! 中庭と中畑の間の石垣 この垂直の石垣を凌霄花の紅を含んだ橙色で飾ろうと 3年前に計画し挿し木を続けて来た。 しかし陽当り100%の天国のような、この石垣を 貪欲で繁殖力抜群の雑草どもが 見逃す筈はない。 |
眼下に広がる芒の海 |
墜落防止にヤクの毛ザイルで確保 手が使えないとなると 大きな剪定鋏を武器にして戦うことは不可。 ならばいつものお馴染みの クライミング・ロープに登場を願おうでは。 ・ 倉庫に出向くとチベットのヤクの毛で編んだ ヤクザイルが待っていて 「あたしを偶には使ってよ!」と云うもんだから 少しチクチクするが採用決定。 ・ さあ、チベット高原の草をも食い尽くす ヤクのお出ましじゃ、 雑草ども、覚悟せい! |
さあ、仙人がやっと重い腰を上げ 垂直石垣の雑草に宣戦布告! とは云え敵は 垂直という絶好の地の利を得ているので クライミングしつつ闘うこととなり 手が使えない。 |
垂直に繁る雑草を刈る |
森から降りて来た熊が じーっと見つめる。 「丸くて四角くて 真ん中が動く変な奴! きっとあいつは 新式の罠に違いない。 そんなもんに 引っかかるほど オイラは阿呆じゃないぜ!」 ・ そう思って熊が 山荘畑を避けてくれるとか ・・・・・ |
葡萄畑に念願の時計設置 |
山荘畑の薩摩芋の いい匂いに惹かれて やって来た 鹿と白鼻心と狸が さて鉄柵を越えて 美味しい芋を ゴチになろうとした瞬間、 秒針が月の光を 反射してキラリ。 ・ おったまげた3匹は 一目散に森に 逃げ帰ったとか・・・ そんな都合のいい妄想を 抱きつつ 仙人は時計を設置 しましたとさ。 |
軽くウオーミングアップの轆轤回し |
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誕生窯オーナー 試作品のつもりで作った小さな鉢。 先日の火入れの際に参加できなかった私に代わって、釉薬も掛けてもらって、 窯に入れてもらえたので、思いがけずに作品として仕上がっていた。 胡桃をイメージして作ったつもりだが、ちょっと使ってみたくなる 小鉢に仕上がっていて、内心嬉しくなった。 ・ 師匠は一言「持って帰って、毎日使ってみなさい。 そうしてどうすれば、もっといいものが出来るのか考えること!」簡単に満足してしまっては、 いい作品は仕上がらないのだと思い知る。 「これからは、良い作品だけを焼こう!」仙人師匠は固く心に誓っている。 轆轤回しが自由になるまでにだって、1年はかかると云う。 |
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6作目の大皿にも僅かな罅発生・・・大物は難しい! |
単純に土と遊ぶのが愉しいのだ。 泥んこになりながら、なかなか思う様にはいかない轆轤作業も、何とか形らしきものが出来ると面白い。 もちろんそんなものは、焼ける代物ではないから、作った先からまた壊す。
轆轤に夢中になっている間に、仙人陶芸師はまた新しい大皿作品を作り上げたようだ。 (外の作業場で作っているので見ていないが) 私の作品が形になるのは何時のことだろうか?それでもまた、土と戯れたい。 |
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