仙人日記
 
 その106の32014年長月
9月3・4週・・・・一角獣座から届けられた水晶葡萄です
水晶のような山荘葡萄がりました!
 9月22日晴 山荘葡萄畑

ぼく知ってるよ!
この葡萄は、赤経 7h04m04s.801、 赤緯 03度50分50秒.77に住んでるおじさんから届いたんだよ。
おじさんの名前は一角獣座の特異変光星V838。
あーそうそうぼくの名前は≪光≫って云うんだけど、そのおじさんが付けてくれたんだ。

≪コスモスの洗礼を受けて海においで!水晶の葡萄が待ってるよ!≫
そんな囁きが海からの風に流れて、聴こえたのです。おじさんの声に違い有りません。
さっそくリュックを背負い、海からの風を追ってお散歩に出かけました。

闇に浮かぶれと曼珠沙華の紅もいいね!
9月23日晴  山荘奥庭

絵本の「こぶたはなこさん」みたいに、ちょっと歩き疲れたら、ひと休みして
リュックの中から気に入ったものを取り出して、食べたり飲んだりしては、また歩きます。
お日様をいっぱいに浴びて光る真っ赤な曼珠沙華と、
ちょろちょろと筧から流れ落ちる谷の清水が、愉しそうにお話ししています。

木陰の素敵な欅の丸太ベンチや、赤まんまやすすきの中の石段や、
コスモスの花畑やら、ひと休みするところはたくさんあります。
食べたあとはスケッチブックにお花の絵を描いたり、石段を二段とびしたり。

赤と黒・珠沙華と黒揚羽蝶
9月22日晴  山荘奥庭

お花を描いていたら、それはそれは大きな黒アゲハがやって来て、黒い翅を銀に輝かせ云いました。
「なんとも甘い匂いが堪んないわね。こんにちはヒカルちゃん!
知ってるわよ。おじさんから水晶の葡萄が届いたんでしょう?
この匂いを辿って森をずんずん歩いて行ってごらん。そうそう森の先のコスモス畑の洗礼を忘れちゃだめよ」

直ぐに解りました。きっとおじさんの馬車別当がこの黒アゲハにへんしーんして
ぼくが迷わず海に出られるよう、現れたのです。
森を抜け、コスモスの咲き乱れる丘をハミングしながら駆け抜け浜辺に出ると、
佐渡島がぼーっと霞んで見えました。

おじさんの声が聞こえないかな!
あれっ!海がうるうると盛り上がって、空を呑み込んで、変だぞと思っているうちに
佐渡島がきらきら光りだしました。
朧に霞んでいた島は、見る見るうちに真紅に染まり、無数の水晶を鏤めて光を放ちます。
おじさんが現れたに違いありません。



一角獣座の特異変光星V838

2002年の始め、オーストラリアのアマチュア天文学者が非常に珍しい光景を目撃した。
一角獣座の目立たない星が突然燃え上がったのだ。
この星は
一角獣座の特異変光星V838と名付けられた。

HD星表(スペクトル分類型):HD 距離:2万光年 視等級:15.6/6.7(極大)
 直径(太陽比:倍):800倍 質量(太陽比:倍):11倍
タイプ:赤色巨星 絶対等級:-0.85/-9.7(極大) 明るさ(太陽比:倍):200/600,000(極大)
 表面温度(K):2000K 所属星座:一角獣座 

曙光を浴びてしそうな山荘葡萄!
9月22日晴 山荘葡萄畑

耳の奥が少しキーンとして、体の一番深いところがゆるゆると融けだして
あー、そうかぼくは今イタリアのアジアゴ天文台に居るんだと気付いたんだ。
そう、ぼくのおじさん一角獣座の特異変光星V838が、最初に観つけられたあの天文台。

ぼく未だ3歳なんだけど、どうもコスモスの咲き乱れる丘を通ると
いつも体が融けだして、ほら今度のように浜辺からアジアゴ天文台に飛んでしまったり
佐渡島を一角獣座の特異変光星に変えてしまったりするんだ。
コスモスの魔術を知っていて、時々ぼくをそこに連れ出すぐらんまが、ぼくを操っているに違いない。


一角獣座の特異変光星V838

ハッブル宇宙望遠鏡のカメラがこの星をとらえると、研究者たちは
「光のこだま」という珍しい現象を発見した。
燃え上がった星の光が周囲の塵の雲に反射し、以前は見えなかった塵の渦を
明るく照らし出したのである。
2年半にわたって撮影されたこの一連の画像では、
到達した光によって塵の雲の大きさが見てとれる。
Photograph by NASA/ESA, and Z.Levay/STScI (c)2007 National Geographic

コスモスの
秋が来たよ、君!9月23日晴  西畑

初めてコスモスの丘に、ぼくを連れてきたぐらんまはこう云ったんんだ。
「ほら、黄色い星がたくさん輝いているでしょ!
星たちは夫々仲良しさんと集まって、丘の彼方此方にお座りしてお話ししているのよ。
大昔の人びとはその様子を観て、これこそ秩序をもつ完結した世界の在り方だと悟り
ラテン語で星座の世界を表すコスモスと名付けたの。

秩序とか完結だとか難しい言葉は解んなくてもいいの。
ただ、コスモスが海と空を繋いで、ひかる君を宇宙へ連れて行ってくれるかも知れないと
心の何処かで願っていれば、その秩序をもつ完結した世界が
きっとお迎えにきてくれるわよ」




角の萄を高々と  ボーン・シルバー

 どうだい、このの大きさ!


夜明けと共にれた葡萄の山
山荘下の畑で採れた巨峰  前庭の石卓

それからぼくはコスモスが大好きになって、ぐらんまが現れるといつも
ねえ、ねえコスモスの丘に連れてって!と
おねだりするんだ。
で、今日もお弁当持って、コスモスの丘で黄色い星たちから
黄金の光をいっぱいもらって、ズボンを黄色くして
海がうるうると盛り上がって、空を呑み込んでしまう浜辺に出かけたんです。

一角獣から二角獣に届けられた葡萄
美味しくてサングラスが落ちちゃう! 前庭

お弁当を開けて吃驚!
パパが作ってくれた玉子サンドの上に、サングラスも仰天する大きな目ん玉のような葡萄がどっさり。
確か、、トマトと胡瓜ハムチ-ズサンド、
カボチャのキッシュ、野菜ジュース、お茶、おやつの豆てんが入って居た筈なのに、
すっかり消えてしまって、ただただ大きな葡萄がきらきら光りを放っているのです。

さあ、これは2万光年の彼方からやって来たおじさんの仕業に違いないと、
真紅に染まり、無数の水晶を鏤めて光を放つ佐渡島に目をやると、どうでしょう。
一瞬にして光は失せ、そこに在るのは唯、朧に霞んだいつもの佐渡島でしかありませんでした。
ジョン・シルバーがサングラスの奥で、目ん玉をきょろりとさせて、微かに笑ったのです。


奥庭では秋のアンネ薇が

慌てて視線をお弁当箱に戻すと、
あれ、葡萄は居ません。
代わりに山荘で採れたトマトと胡瓜が
食パンの隅から顔を覗かせ
あふあふと笑っているのです。
  「ほらほら、最後の黄金の星が落ちたぜ。
これですっかりズボンについた
黄色いコスモスの花粉が、消えてしまったろ!
コスモスの魔術は、お仕舞いさ!
お弁当箱をもう一度、よーく観てごらん。」

西畑では秋が満開 


ログハウスには金木の香り

山荘の梅ジュース、お茶、
米の粉で衣をつけて揚げたお菓子の豆てんも
「さあさあ、サンドやキッシュを食べたら
お口直しにどうぞ!」と言いたげに
ニコニコして光君を待っているのでした。

それなのに水晶の山荘葡萄だけは
何処にも見当たりません。
コスモスの咲いているうちに、もう一度
逢いたいな!
虫食いの山荘カボチャは
卵と生クリーム、グリュイエールチーズなどと
一緒にタルト生地に乗せられ
オーブンで焼き上げられ
キッシュと名を変えて、澄ました顔して
お弁当箱に鎮座ましましています。

 
秋の到来を告げる池畔の


 食卓を彩る秋の贈り物 


臭木の紅の萼

野葡萄もたくさん

小さな箸置き花器

食卓の小さな花器に飾られた秋の贈り物のお喋りです。
「まあ、それにしても一角獣座に鏤められた水晶の何と麗しいこと!
あいつが山荘の葡萄にへんしーんしたんじゃ、
とってもじゃないが、あたしたちの出番は無いわね。」

「そうかしら、でも態々森まで出かけて、あたしたちを見つけて、こうやって食卓に飾ってくれる処を観ると
鬱仙人の鑑識眼も、まんざら見捨てたもんじゃないわよ。
きっとあたしたちも、秋の星のささやかな贈り物だって知っているのよ」
 

臭木のサファイア

野葡萄はラピスラズリ
初秋の贈り物
さてペンダントに
ネックレスに!

銀の曼珠沙華だぜ!

梅擬はルビーだね




遂に陶芸窯に点火

ゴーゴーと火をく窯

昨日から始めた窯室の修復工事で、
最も大変な3か所の吊棚の交換を終えたので今朝は窯詰と本焼き開始。
大皿が大きすぎて、どう工夫してもすべての作品を詰めることが出来ず10点程は次回回し。
果たして上手く1250℃まで温度を上げることが出来るのか?

長い長ーいブランクの後に続いた、数々のトラブルをクリアーしての火入れなので感慨深い。
(畑作活動日記より) 


燃料フィルター交換

新品の操作盤が故障?

燃料ホース、電源コードは地下へ

 
閃いたのだ。
燃料ホースを窯室床の段差に固定しておいたが、
段差に上手く収まってはいるものの、踏んずけたりすればホースの破損も在り得る。
そこでセメントで塗りこめてはどうかと思っていたが、そうするとホースを取り出すことが出来なくなり、
将来の計画変更に対応できない。

窯室の燃料ホースを床ブロックの下に通せばいいのではと突然閃き、
早速床ブロックを剥がしてホースの通路を確認。
やったー!角が抉れているブロックを使っているでは!
その抉れている部分に、ホースを通せばホースに躓くことも、踏んづけることもなく安全が確保される。
丁度そこに熱勝(陶芸業者)がフィルター交換にやって来たので、
窯の問題は一挙に解決。これで本焼きができるぞ!
(畑作活動日記より) 
 

順調に温度上昇

6時間で1240℃に達する

しかし大皿は爆裂、なぜ?

大皿が爆裂してしまうなんて初めての体験。
厚さもほぼ均一で、土も良く練ってあるし1か月以上かけて充分に乾燥してあるし、
原因が全く掴めない。敢て挙げるとしたら、急激な温度上昇に晒される炎の通り道に大皿を置いた事。
だがその場合は罅割れるが爆裂はしない。
爆裂する場合は粘土内部に空気が混入している時だが、
あれだけ良く練り、ロ-ラーで延したのだから、先ずそれはあり得ない。

≪我この恨を懐いて煩悶、終に死を決するに至る≫
華厳の滝で投身自殺した藤村操が何故、突然出てくるのだ?
この恨みとは、大皿が爆裂したことか?

そうか、鬱仙人は今限りなく藤村操に重なっていて、
山荘の小さな小さな滝の上に立って、≪既に巌頭に立つに及んで、胸中何等の不安あるなし
なーんちゃって、阿呆丸出しにして、鬱と遊んでいるんだな。
まーいずれにしてもこのままでは、次回の大皿作陶には二の足を踏んでしまうな。
(畑作活動日記より) 

巌頭之感 我この恨を懐いて煩悶

鬱との対決じゃ!
山荘滝の龍の頭に立つ仙人

≪補足≫
巌頭之感
悠々たる哉天壤、遼々たる哉古今、五尺の小躯を以て此大をはからむとす、
ホレーショの哲學竟(つい)に何等のオーソリチィーを價するものぞ、
萬有の眞相は唯だ一言にして悉す、曰く「不可解」。我この恨を懐いて煩悶、終に死を決するに至る。
既に巌頭に立つに及んで、胸中何等の不安あるなし。
始めて知る、
大なる悲觀は大なる樂觀に一致するを。

自殺の波紋

彼の死は、一高で彼のクラスの英語を担当していた夏目漱石やその同級生、在学中の岩波茂雄の精神にも大きな打撃を与えた
漱石は自殺直前の授業中、藤村に「君の英文学の考え方は間違っている」と叱っていた。
この事件は
漱石が後年、うつ病となった一因とも言われる
(wikipediaより




心肺停止31名 御嶽山噴火

10月1日現在で47名の死亡確認
その後行方不明16名
 9月27日(土)22時16分配信

27日午前11時53分、
長野、岐阜両県境の御嶽山
(3067メートル)が噴火した。

 噴煙が南側斜面を約3キロ
流れ下ったことが確認され、
同日夜も火口から
高く噴煙を上げている。
山頂付近にいた
多くの登山客が噴火に巻き込まれ、
長野県の地元消防や
岐阜県警によると、
28日午前0時現在、計12人が
重傷を負っている。
気象庁は、火口から半径4キロで
大きな噴石が飛散する恐れが
あるとして、警戒を呼び掛けている。

 長野県などによると、
紅葉シーズンと重なり、
山頂周辺には登山客ら
計約250人がいたとみられる。

御嶽山噴火
多くの人は噴火後に下山したが、
27日夜の時点で、
四つの山小屋に計37人が
取り残されているという。
自衛隊や長野、岐阜両県警が
28日早朝から、遭難者救助に向かう。
(読売新聞 9月27日(土)22時16分配信)

 9月29日(月)10時46分配信

27日の噴火で死者4人、
心肺停止27人が
確認された御嶽山では、
29日も救助活動が続いている。

 長野県の木曽広域消防本部
によると、ケガ人は重傷26人、
軽傷27人で計53人となっている。
また、岐阜県側は
重傷2人、軽傷8人の計10人で、
今回の噴火では
63人のケガ人が出ている。
(日本テレビ系(NNN)
 9月29日(月)10時46分配信)
2014年9月29日(月)
19時58分掲載


噴火 死者12人
心肺停止24人

 嶽山の噴火で、
長野県警は
29日に
ふもとに搬送した

迫る噴煙と火砕流
御嶽山頂上直下 27日午前11時53分
心肺停止の
8人のうち、
死亡が
確認されて
いなかった2人に
ついても死亡が
確認された
と発表した。

これで
噴火に伴う
死者は計12人、
心肺停止は
24人となった。
(毎日新聞)

噴煙に巻き込まれ、熱風を吸い込み死んだ人
噴石の直撃や落下で頭を砕かれたり、肉体を破壊されたりして息絶えた人
積灰50cmを超える火山灰に埋もれて損傷死した人。

噴火後4日を経て尚、帰らぬ人々が山頂周辺に、未だ24人も放置されたまま。
昨日30日も爆発が続き、有毒な硫化水素濃度も高く
救助活動は見送られた。
スキーリフトの終点から、3時間ほどで3067mの頂に達することの出来る
ハイキングコースを襲った予期せぬ死の噴煙。

ヒマラヤ、アンデス、アルプスで様々な困難を体験し、何度か死をも覚悟したが
幸いにも、登山中に噴火の恐怖に巻き込まれたことは無い。
この御嶽山や北アルプスの焼岳などで
噴煙を上げる火口に迫り、生きている地球の鼓動を実感し、爆発の瞬間を
シュミレーションし、恐れ戦いた記憶が蘇る。

自らの命の鼓動に比べて、地球の鼓動の何と猛々しいこと。
この猛々しい地球の鼓動から生み出された生命。
その鼓動に呑み込まれ、再び地球に還る小さな、小さな生命体。


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