1651ー2019年  葉月

から転げ落ち南回帰線に向かう日輪
8月2日(金)晴 居間からの高芝山曙光 5時41分

梅雨明け宣言が3日前の29日に出されたが、それ以降山荘は連日熱波に襲われる。
卓上の最高/最低温度計の記録を暫く開いてなかったので、どうなってるか調べたら屋外の最高気温は
6月18日(月)の朝9時46分に61.7℃では!。
直射日光の直撃を受けた気温にしても恐ろしいまでの暑さ。しかしそれ以降この最高気温の記録は塗り替えられていないので、
やはり夏至に近い太陽の威力には及ばない、梅雨明け熱波でしかなかったのだ。

6月の最高気温は太陽光そのもの暑さだが、梅雨明けのこの暑さは、
大地と大気の積算された暑さであり、本格的な夏の宣言。せめてもの救いは午後の夕立。
こいつがやって来ると一気に5~10℃近くも気温が下がるので、夜が過ごしやすくなる。
夕立が無いと暑さは益々積算されるが、山荘は標高750mの山の中なので夜明けは寒いくらい。

ゲート前の森の枯れ木が倒れ通行不可。
先ず手で折れるだけ折り、無謀にもランドベンチャーで乗り上げて通過し、山荘に戻ってきてからチェーンソウで伐採。
ランドベンチャーの嘆き。
≪おいおい、俺を何だと思ってるんだ!ブルトーザじゃないいんだぜ!≫



大きすぎてギリギリ!
大地からの造形
左大皿は火口から炎が直撃するな!
 
窯の蓋を10分解放し徐熱したが爆発!
 
2つが割れ唯1つ残った大皿

左が2段目の割れた大皿 

2018年の仙人墓標
大地を練って造形し
そいつにマグマの熱を加え
焼き締めて
墓標を造るなんて実に
愉快だね!

大地に還る儀式に
相応しいな!

つまり最早仙人は存在しないのだ!




玄関に置かれたが2つの血圧計を取り囲み会話
8月1日(木)晴雷雨 山荘下の桃畑で収穫中の桃がやってきた

≪ご免くださーい!≫ 桃が喋るわけ無いのだが、何だかそんな声が聴こえた様な気がしたので書斎から玄関に降りたら、
ありゃ、段ボールに詰められた桃が2箱も並べて置かれているでは!
ドアを開けるとゲートに駐車した白の軽トラに乗って、山荘下の桃園主の坂下さんが、去って行くところ。
「ありがとうございまーす!」 大声で叫ぶ。
 最早走り出した軽トラの中に在っては聴こえなかっただろうが、いつもこの調子なのだ。
恰も桃が山荘玄関へ向かって勝手に歩き出して行ったんで、オラ知らんよ!と云わんばかり。

それにしても何故、血圧計が2つも並んで桃や木星とお話ししてるんだ!
(右が目白のオムロンHEM-7000、左が山荘のHEM7131)



心臓検診で朝晩の血圧測定が必要だとか

それで山荘と目白と
2つ血圧計がね!
≪不在化する日常≫

3時間かけて倉庫、クローゼット
総て調べたが山荘に持って行った筈の
オムロンHEM-7131の血圧計は無い。
ここ1年かけてありとあらゆる場所を
整理したが、あれば医療関係棚に
まとめた筈だが、
全く見当たらなかった。

何処(?)かと異なり山荘は現在、
完全に整理されている。
無駄なもの、不要なものは
処理してしまった。
白のオムロン血圧計とまで覚えているなら
きっと目白に在る筈。

在るのに観えないのはどういう物か!
それは対象物が観ることを
日常化されていて、
しかも必要としていない場合。

次に見つけようとしても中々
見つからないその探し物は
何処に在るか!
 

それで目白から山荘に持ってきたが

山荘にも在ったのか!

確か前回検診では次の受診は
1年後で良いとか!


決して在りなしないと思い込んでいる場所、
つまり日々使用し何が在るか
良く知っている筈のクローゼット。

この2つのキーワードで浮かび上がるのは、
2つある倉庫や轆轤室、窯室の
整理棚ではなく、2階書斎のクローゼットか、
1階廊下、階段下のクローゼット、
またはキッチンの食品を
入れたクローゼットしかない。

2階の書斎クローゼットは既に
大規模整理を行ったばかり、
キッチンクローゼットは一目で何が在るか
解るようになっているので、
若し血圧計が在るとしたら階段下の
クローゼット以外にあり得ない。

確信をもってドアを開けてみたら、
一番目に付く掃除機の横に
置いてあるでは!
毎日使っている掃除機の横に
在るだなんてあり得ない!

つまりその血圧計は
毎日見られているが故に
存在して居なかったのだ。

急転直下の変更だって!




不在化
するのは日常だけでなく仙人じゃないの!

8月3日(土)晴雷雨 じれったいね、血圧計は何を話したのさ! 

咲いたね!間に在ったね、仙人はニンマリ!
おそらく来年の今頃も同じセリフを呟きながら、こりゃまた失礼、≪死ぬ死ぬ詐欺≫に引っ掛かったな!
とか何とか嘯きながら、冷たいビアを傾け太陽の花をめでるのだ。
しかし嬉しいもんだね、こうやって太陽の花がフィボナッチ数列を口遊みながら、仙人墓標に彩りを添えてくれるなんて!

夏草が茂り扇山の泉が潤し、墓標はこうして何百年、何千年、いや何万年も在り続けるのだろうかね!
墓標そのものは焼物だから割れたりするけど、この大岩は残るだろうね。
太平洋プレートとフィリピン海プレートが陸プレートに潜り込んで出来た弧状列島だから、プレートの動きによって、
いつの日か日本列島は海底に戻るかもしれないね。
そうしたらこの大岩は最も良き、時の理解者である海の底で眠り続け、寄せては返し返しては寄せる
幾千億日の昼と夜を迎えるのだろうね。

 茫々たる時の流れは、万象の上に仮借ないその足どりの跡をとどめる。
たちまち過ぎさるものの中に在って、つねに、今は、崩壊しさり、いたずらにその形骸のみ深く堆積してさだかでない記憶と化すだけだ。もとより海も例外ではない。
幾千億日の昼と夜、その水の面に映した星の光も、吹きすさんだ風や雨、燃える陽のかがやきも、凍結した波間に渦まいた雪も、
今は水の分子の一つ一つに吸収され包含されて、たずね得ようもない。
 海は。
​ 時の語る長い長い物語をただ内におさめ、決してくりかえされることのない変容を記録しつづけてきたのだった。
​ 風と雲と波と、明るい昼と暗い夜と。
​海こそはもっともよき、時の理解者であった。寄せてはかえし  寄せてはかえし
​ かえしては寄せる幾千億日の昼と夜。その間も波はたゆみなく鳴りつづけ、さわぎつづけてきたのだった。
(百億の昼と千億の夜)  



右腕に腕帯を締めて!

あれっ、左腕じゃないと駄目とか
真夏の夜明けの夢
8月5日(月)快晴 22℃

爽やかな快晴の朝。
昨日の猛暑なんて信じられない
夜明けの涼やかな山荘の大気。
高芝山の南西尾根から、
微かに笑みを浮かべ
命の祀りに厳かな光を注ぐ日輪。

七色の光が身をくねらせ絡み合い、
絡み合う程に彩を失い、
やがて透明な一筋の光となって、
真夏の畑を照らし出す。

 
やっと咲いた仙人テラスの凌霄花に語るボン・シルバー
左腕は左心室に近いだろ、動脈は腕の上から下へ流れるだろ、それに合わせているのさ!

トマトや茄子、ピーマン、胡瓜、唐黍、隠元、オクラ紫蘇やレタスなどが一斉に目覚め、
大地の其処かしこで、蒔かれた秋冬野菜の種が光を捉え、胎動のスイッチを入れる。
さてそれでは仙人も血圧計のスイッチでも入れてみるか。

収縮期の最大血圧が118、拡張期の最低血圧が69、心拍数54。
左心室の収縮期最大血圧が118と云うことは、左心室の上に連なる上行大動脈は動脈硬化を生じていない。
つまり脳内酸欠を防ぐため血圧を上昇させる必要がない。
しかし左心室への逆流量はオペを必要とする60㎖を超えた70㎖なので、当然動脈血は不足する。
不足を補うには左心室が収縮して大動脈に送り出す血圧を高めるか、
心拍数を増やすかすればいいが、最大血圧が118、心拍数54では不足を補うことは出来ない。
それとも、補う必要を心機能が認めていない結果なのか!

拡張期の最低血圧が69ならば左心房から動脈血を吸い出す能力も衰えてはいないと考えられる。
となると1日に何度も襲い来る心臓の痛みや振動、70㎖もの逆流量は何を意味するのか!


2019年つまり本年度、
高値血圧の基準140/90を据え置きつつ、
120/80にすると
日本高血圧学会が発表した。

7月31日の心臓弁膜症定期検診で
自宅での血圧測定を命ぜられ、
8月1日より仙人の
朝晩の血圧測定が始まったのだ。

それにしても前々回6月5日の
心臓弁膜症の定期検診で、
今後は1年毎の検診に変更されたのに
何故1カ月後に急変したのか!

それに腕帯の上下が逆だし!

左右、上下が異なると駄目なのか!



の花だか解るかい(根元の闇に咲く茗荷)
血圧計登場の 
さっぱり解らないって!

だいたい根だか茎だか知らんが、
ニョキニョキ白や緑の
尖塔が突き出して、そこから
急に花が開いて、背景は真っ暗だし。

背景が虹の黒紫の物体に至っては
とんと見当もつかんね!
偶蹄目科の動物の蹄にしては、
肉球が白すぎるし。
何だって!両方とも山荘の夏の味覚で
今が旬でとても美味しいって!

でも、≪さっぱり解らない≫のは
その茗荷花や茄子の糠漬けではなくて、
不意に開始した血圧測定だって!
そうか、そういえばちょっと手間を
省き過ぎたかな!

半年に1回の心臓弁膜症定期健診が
6月5日にあっただろ。
その日に衝撃的な事実、逆流血量が
手術を要する60㎖を超える
70㎖と明らかになり、
更に今後は半年で無く1年に1度の
定期健診に変更となっただろ。

実は病院から帰宅直後に担当医師から
再び受診してくれと
お詫びの電話があったのだ。
仙人は1年後かと、逆流血70㎖は忘れ、
浮かれて愛車に跨り
飛び回っていたのである。

で1年後どころか1か月後に
出頭してみたら、
≪今後毎朝晩血圧を測定し、
1か月後に報告せよ≫
となってしまったのだ。
でもって山荘用、目白用と2つの
血圧計の捜索があり、
測定が開始されたのである。

虹の光を背景に美味そう(真珠貝皿上の糠漬け茄子)



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