1611ー2019年  卯月

葉が茂り密林になる前に風の路
松の斑天牛の運ぶ松材線虫が森を枯らす。扇山の山頂。

山荘の森には多くの赤松が混在し、常に山荘を脅かしている。
凄い繁殖力で彼方此方で芽を吹き、
あっという間に大きくなって松の斑天牛に喰われ、天牛(かみきりむし)の寄生虫の松材線虫に喰われ倒木となる。
山荘近くの赤松が倒れると山荘を直撃するので、ここ数年で10本程伐採した。
しかし伐採しきれず脅威は去らぬまま、更に新たな脅威に襲われている。

倒木の多くは隣の大樹に寄りかかった状態となり、こいつが風に煽られ揺れて互いに擦れ合い発熱し、山火事の原因となるのだ。
奥庭から眺めると不気味な音を立てて、赤松が威嚇する。
倒木となって山荘の屋根を破壊されるのも脅威だが、山火事で焼かれたら脅威どころの話ではない。
現在山荘の森は県によって伐採された赤松が100本以上も転がっているが、それでも脅威は去らない。



松の斑天牛
これ以上被害が広がらぬ様、
倒木をビニールシートで覆い、
倒木に巣食う天牛や
松材線虫を閉じ込めているが、
彼等の拡散を
封じ込めるまでには至っていない。

となると微力ではあるが
仙人も出撃せねば!


松材線中虫と同じく青変菌で枯死した松



ルートを遮る倒木

支えを入れ伐採
2台のチェーンソウを
ザックに背負い扇山ルートを塞ぐ
倒木の伐採に出動。

2本の大木を伐り倒し
扇山の急な登りに差し掛かると
ブイーン、ブイーンと
左胸が震え出す。

ヤベー左心室の逆流が酷くなって
きたかなと胸に手をやると、
携帯が鳴っている。

「クロネコヤマトですが
今何処に居るか解りません。
えーと、ワイン工場の
前辺りをウロウロしてます」

そうだった午後に
仙人テラスの不良品の照明具の
再配達が在るとか言ってたな!

2台のチェーンソウで

落日の山頂



でかい!巨木の伐採新記録じゃ!(小倉山頂)
「これから森を下って戻りますが、
山荘はワイン工場の
直ぐ上ですから、待っててください」
と伝え、急いで
小倉山山頂から山荘に下るが、
宅急便の車無し。

電話すると未だ山荘への道が
解らずあちこち
走り回っているとのこと。


刃を研がねば
チェーンソウ研磨器の丸鑢が
固定出来なくなり、
チェーンソウの刃を
研げなくなって久しい。
一昨日新品の2代目を手に入れ
2機のチェーンソウの
研磨を始めたが、

壊れた研磨機の原因を
探ろうと分解したら、
回転軸の溝に突っ込んで回転を
止めるストッパーのレバーが
折れているらしい。
その折れた部品を発注するより
研磨機そのものを
買った方が安いに決まっている。


となったらこの1代目研磨機は
捨てるしかないと再び
組み立ててみたが、暫くして閃いた。
ストッパーが折れたなら、
回転軸をペンチで固定し
丸鑢を取り付けてから
締め具螺子を
締めればいいのでは!

やってみたら何のことは無い
しっかり丸鑢は固定され
研磨機は復活した。
嬉しくなって2台の研磨機で
チェーンソウを研ぎ、
いざ長年の懸案、
小倉山山頂の伐採に出陣じゃ!
随分伐採を経験してきたが
頂に繁る赤松の大木は
滅茶でかい!。

直径60cmほどで,刃の長さが
30cmしかないチェーンソウで
伐り倒すのはかなり難しい。
今までで最大の大物を
目の前にして圧倒され逡巡。

下手すれば
巨木の下敷きになるか、
倒れる瞬間の切断部の
跳ね返りに直撃されるか、
倒木方向の木々が共倒れとなり
予期せね方角からの
突撃を喰らうか

少しは
風通し良くなるかな!



朝の食卓に水仙

辛夷も咲き出した


椿も食卓を飾る

ソルダム満開

穴があったら入りたいとは正にこのこと。
テラスに飾られた花を観て
「あら、木五倍子ね!」と村上さん。

「ハナカンザシだよ」と応えたが
実は木五倍子(キブシ)。
何処でどう勘違いしたか!
以前のHPにも
木五倍子とキャプション付けてるにも
拘わらず何故
似ても似つかぬ花簪に入れ替わって
しまったか!

老化現象で片づけられん!


越冬した大根が咲いた

ブロッコリーも花開く

奥庭で光る李(スモモ)

テラスの木五倍子
 
ヒョーロリ、ヒョーロリ鳶が
山荘上空を旋回し獲物を狙っている。
高芝山へ向かって
なだらかに伸び上がる森や
散在する畑からは、
巣作りに勤しむ雉の
けたたましい鳴き声が響く。

  扇山の樹陰では
鶯が前奏曲を様々に変えて
谷渡りを繰り返す。


森のデザートはチーズ林檎 

食卓の杏子の花がピンクの
花弁を震わせ、
木星のランチョンマットに
産み落としたのはチーズケーキ。

おや、杏子の実ではなく
どっからどう観ても林檎では!
さては杏子め、春に酩酊したな!
それでは春爛漫を
いただきまーす!

 
花簪ではないぜ!木五倍子(キブシ)
 
すっかり開いた柳!
 
森では檀香梅が香る




さらば冬タイア


作陶場から一輪車で運ぶ

駐車場から路上に車を降ろし平坦地で作業開始。
先ず5本のナットを緩め
油圧ジャッキでゆっくり車体を持ち上げ、
スタッドレスタイヤを外す。
作陶場から運んできた最初のノーマルタイヤには
バランスウエイトが内側に7つ着いている。

これでこのタイアの高速回転時のバランスは取れているのだが、
保管期間に多少の変化があり
再測定せねばならぬ。
其れには設備の在る修理工場に
持って行くしかないが面倒だからパス。 
森の中に建てられた作陶場に格納してある
ランドベンチャーのノーマルタイヤを一輪車に積み込み、
2つの起伏のある森の小径を押し上げ下り駐車場へと運ぶ。 

駐車場はやや傾斜していてジャッキで
車体を持ち上げても駄目。
傾斜面ではジャッキを限度まで押し上げても
車高が高過ぎてジャッキが届かないのだ。

 
さてバランスウエイトはOKか!



冬タイアは重いぜ!

車高が高いので一苦労
山荘のテラス

久しぶりの山荘は進化していた。
イオからの風景が全く違う。
出窓に置かれた
陶器やアンティーク、・・・
そこは山荘主の意志が齎す完璧な世界。

山荘の各棚に置かれることで
そのモノたちは輝き出す。
そこは山荘主が
せつないまでに愛した
モノたちの居場所だった。
ところが、今回
出窓のモノたちが居ない。どうした。

出窓がテラスになっていた。
テラスのテーブルには
可憐な西洋水仙が活けてある。
閉じられた部屋が開放されていた。
 

しかし、その醍醐味が
味わえるのは夜なってからだ。
今まで背景でしかなかった
景色が迫ってくる。
この冬の時期は街の明かりが
素晴らしく部屋に入るなり
声を上げてしまう。


イオでぬくぬくとした
布団に入りながら本を読む。
読みかけの本を置いて
窓の外を見る。
冴え冴えとした上弦の月が
見る度に位置をかえて
森に向かっていく。
とうとう月は森の影に姿を隠した。
次は星の世界だ。

この贅沢に気分を良くし眠れない。
昨日見た映画の事を想う。
今日植えた野菜の事を想う。
今日見た春蘭の事を想う。
そしてまた読みかけの本を開く。


夜の山荘テラス

ブレーキデスクとブレーキ

最後は全体重で締める



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