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3ー2021年  水無月

甦る仙人の心象風景を育んだ言の葉
作陶場の書庫から運び出され山積みされた書籍
作業開始5月28日~6月15日 その後リスト作成作業に取り掛かるが、いつ仕上がるか?

2階イオ部屋、カリスト部屋、ガニメデ部屋、廊下の本箱に収められた本を奥庭の更に奥にある作陶場書庫に詰め込んだのは3年前
本箱では作家毎、ジャンル別に整理し並べられていたが、書庫への移動では文庫、単行本など
本の大きさなどで格納され、どの段の何処の列に何の本があるか全く解らなくなってしまった。
読みたい本があっても書庫から探し出すことは出来ず、整理するか捨てるか、はたまた仙人死後の残された人に処分を委ねるか?
本を捨てるなんて仙人にとっては犯罪行為に等しく、捨ててしまったら悪夢に魘される日々に苦しむことになる。
整理するのがベストだが、こりゃ大変な作業になる。書庫からの搬出、作家毎、ジャンル別に整理、一覧表の作成・・・。
考えただけで気が遠くなる。とても出来やしない。





さて、どう運びだそうか!
≪やりたい!
やりたい!やらせて頂きます。
前から出来ることなら
やってみたいと思ってました。
今からワクワクです。
昨日まで鬱々でしたが、
何だか元気になりました≫

 まさかこんな返メールが
来るなんて想定外。
「考えただけで気が遠くなる」ので
書庫整理なんて
お断りします。との返事を
予期していただけに吃驚仰天!

こんなメールを受けてしまったら
最早書庫整理から
トンズラする訳にはいかないぜ!
てなことで作業開始。


はて、この本くっ付いて離れない! 


ストック突きつき4か所に搬出!
 
確かに文字がギッシリ詰まって
いる筈のページが
くっ付いてしまって全く開かない。
つまりこの数百枚に記された
言の葉としての記号を、
 取り出すことが出来なくなったのだ。

過去の記憶が
確かに仕舞い込まれている筈の脳、
しかしそのページを開けない。

 
無理矢理開いたら破れ文字は壊れた
嘗て本であったとは思えない程、
まるでコンクリートの如く、
硬く閉じてしまった本。

折ったり曲げてみたり出来ないか、
何度か試したが、
紙のしなやかさは微塵もなく、
頑固なまでに唯堅く、
沈黙し続ける。
 




蛋白質アミロイドβ
アルツハイマー病の新薬
米FDA承認と発表 エーザイが共同開発
2021年6月8日 21時03分

アルツハイマー病(認知症)
異常なたんぱく質、「アミロイドβ」が
脳にたまって、神経細胞を
壊すことが原因と考えられていrる。



「アミロイドβ」を取り除く新薬

新薬「アデュカヌマブ」は
この異常なたんぱく質、「アミロイドβ」を
取り除く薬で、神経細胞が
壊れるのを防ぐことで
アルツハイマー病が進行するのを
抑える効果があると期待されている。


新薬「アデュカヌマブ」

「アミロイドβ」を
取り除くことができても
一度壊れてしまった脳の神経細胞を
元に戻すことは難しいことから、
治療はできるだけ早い段階で
始める必要がある。





 
密着してページの開かぬ本も!
本棚の壁側に置いてあった本は、
カチンかちんに固まって
いるが、それより内側に行くに従って、
本の固形化は緩くなる。

未だ完全にかたまってない本を
無理矢理開いてみたら、
密着した文字と文字が引き裂かれ、
最早判読できない。



分類しビニール収納袋に整理



開かない!捨てられる本
 
 ページ開かぬ本は廃棄処分に!

  引き裂かれたページと
アミロイドβが重なる。
今、アミロイドβに引き裂かれた
神経細胞を観ているのだ。

書籍整理の真っ只中の6月8日(火)に
届けられたニュースは、
開けなくなった脳のページに、
希望を齎した。

新薬「アデュカヌマブ」は、
堅く閉じたページを開くことは無理だが、
アミロイドβを取り除き
本が堅く閉じることを防げると云うのだ。


 堅く身を閉じ
ページの開けなくなってしまった本。
その1冊1冊を手に取り愛おしむ。

開けないページに爪を立て、
記された記憶を
取り戻そうと試みるが、
頑なに拒まれ開けず戸惑う仙人。

こうして仙人の脳は開かなくなり、
記憶は閉じられ、
嘗て葉であり木であった紙に戻り
森に還るのだ。


分類し書籍収納袋に収納

書籍収納袋は「アデュカヌマブ」か 

黄ばんで木に還る本も多数あり!



書庫の壁や屋根に近い書籍は、
硬く閉じられページとページが接着し
最早開くことさえ出来ず、堅い木に還ってしまった。

調律師は1冊1冊を取り上げては愛おしむように、
2mもある大きな4つのテーブルに並べ言の葉を分類し、
木に還ってしまった本に別れを告げ、廃棄籠に回す。

連続作業4日となって調律師も
疲れを見せるかと気になって、森に出向いてみると
生き生きとタクトを振っているでは!
本当に本が好きなんだね。有難う!

森の静寂に漂うが如く流れる鶯のアリア。
風の僅かな動きに身を震わせ、奏でる森の葉の妙なる音色。
山荘2階の書斎でいつも耳にする森からの囁き。
でも今はその囁きに、
言の葉と森の葉をアンサンブルし
新たな最終章の楽曲を紡ぐ気配が漂う。

書庫に捨て置かれた書籍を甦させる調律師が、
森にやってきたのだ。
3年以上も森の書庫に閉じ込められた書籍は、
繰り返される寒さ、湿気、乾燥にやられ酷いダメージ。

 
森に埋めようかゴミ出しにするか!






書庫リスト作成開始
書庫5段3列、最上部1段目(文庫本)手前列をaとし1a、1b、1c と表記。 
2段目2a、2b、2c  3段目(文庫本)3a、3b、3c、4段目4a、4b、4c、 最下部5段目(単行本&ファイル)5a、5b、5cとする。
書庫外棚(単行本&ファイル)は3段1列で左右に分かれているのでORとOLと表記。
母屋の書籍は廊下:PS、カリスト:CLS、ガニメデ:GNY、イオ:IOとする。

 № 書籍名  作者名  保管
場所
 
 № 書籍名  作者名 保管
場所 
 № 書籍名  作者名  保管
場所 
 № 書籍名  作者名  保管
場所
 
1  宮澤賢治全集
(1~14) 
宮澤賢治  IO  2   百億の昼と千億の夜 光瀬龍   GNY 3  2001年宇宙の旅  カール・セーガン   GNY   4 スターメーカー  オラフ・ステー・プルドン   GNY 
 5 惑星へ (上下) カール・セーガン    GNY 6  コスモス(上下)  カール・セーガン    GNY 7  コンタクト(下)  SW・ホーキング   GNY   8 はるかな記憶  カール・セーガン   GNY 
 9 エデンの恐竜 カール・セーガン    GNY 10  ミクロコスモス  D・セーガン    GNY 11  ホーキング宇宙を語る カール・セーガン   GNY   12 サイエンス・アドベンチャー  (上下) カール・セーガン   GNY 
 13 宇宙には意志がある  桜井邦朋    GNY 14  ビッグバンはなかった エリック・J・ラーナー    GNY 15  時間の矢・生命の矢  ピーター・コヴニー  GNY   16 暗黒星ネメシス  ロジャー・ハイフィールド  GNY 
 17 宇宙からの帰還 立花隆    GNY 18 バビロニア・ウェーブ  掘晃    GNY 19  遥かなる宇宙へ  木曽観測所スライド   GNY   20 宇宙のドラマ  竹内均  GNY 
 21 宇宙 学研百科図鑑    GNY 22  最新宇宙論  学研    GNY 23  News Week
シャトル大惨事の全容
BSブリタニカ   GNY   24 Newton
1987,1990,1993,1994,1999,
2001年、01年別冊 
ニュートン・プレス  GNY 
 25 メシア天体カタログ ステファン・J・オメーラ    GNY 26  ハッブル宇宙望遠鏡が
とらえた宇宙
沼澤茂美    GNY 27  99の謎
宇宙、異次元、生命 
産報ジャーナル   GNY   28 宮澤賢治・星の図誌  藤井旭   GNY 
 29 天体観測図鑑 藤井旭   GNY 30  超宇宙論  OD・ウスペンスキー   GNY 31  インド宇宙誌  定方晟   GNY  32 地球科学通論  石川英雄   GNY 
 33 木星に激突するとき 渡辺潤一   GNY 34  地球外文明をさがす  E・タブースト    GNY 35  アインシュタイン伝  アインシュタイン   GNY   36 自伝ノート  アインシュタイン   GNY 
 37 アインシュタインを超える  ジョニファ・ トレイナー   GNY 38 星座の話 野尻抱影   GNY 39  ブラックホール  ジョン・テイラー   GNY   40 ホワイトホール  ジョン・グリビン   GNY 
 41 宇宙と星  畑中武夫    GNY 42  太陽系45億年の旅
(1,2)
岩崎賀都彰   GNY 43  宇宙人の謎 コーリッヒ・フォン・デニケン  GNY   44 チベットの七年  ハインリッヒ・ハラー  CLS 
 45 チベット文化史  Dスネル・クローブ CLS   46  チベット女戦士  アデ・タポンソアン CLS 47  チベット愛の書  ケンドン・チュンベル CLS  48 チベット入門  ペマ・ギャルポ CLS




 
まさかこんな風な本との別れが!
死んでしまった本を前に呆然!せめて生き残っている本だけでも救いださねば! 

最上段の文庫本から取り出し、作陶場に拡げた2m×1mの台を4つ並べ、背表紙を上に並べる。
中央から取り出し取っ手の着いた籠に入れて台まで運ぶのだが、書庫棚の端にある本の感触が、端に行くにしたがって硬くなる。
変だなと1冊を手に取って調べてみると、板の様に硬くなってページが開けないでは!
本が濡れればページが張り付いて開かなくなることはあるが、書庫の屋根はしっかりしているので雨漏りは考えられない。
端にある本だけが張り付いて硬くなると云うことは、寒さが関係しているのだろうか?
いやそうなら寒い国の本は全て硬く張り付いて、ページが開かなくなる筈である。

そんな話は聞いたことが無い。
となるとやはり湿気しか思い至らない。書庫の扉は半分程開いたままなので、湿気は入り込むが、同時に篭らず発散される筈。
書庫の裏側は崖になっており、喚起窓は着いているが逆に、そこから湿気が絶えず侵入しているのかも知れない。
いずれにしても、ページが開かなくなってしまった本は、捨てるしかない。
捨てる本に大切な捨てがたい本が混じっていたら哀しいな!まさかこんな風な本との別れが待ってるとは!




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