1672ー2019年  神無月

雲海に載ってヴィーナスがやって来た!
10月5日(土)晴 カリスト出窓の宝石を飾る乙女

バリ島デンパサールのバドゥン市場はぐちゃぐちゃで、めっちゃ面白い。
滞在先サヌールビーチのタムカミホテルから北西へ10kmと近いバドゥン川西側に、
木彫り工芸品の店がある。
木彫り職人の村マスから運ばれた≪藝術としての木彫り作品≫が、どっさり置いてある。



シヴァを抱いた乙女

生きてる作品を探すのを諦めかけて2階に上がると、
奥まった店の片隅に
見捨てられた様に押し込まれていた2体の木彫りが、
突然、喋りかけて来たのだ。

≪あたしがタマン・プル寺院で、
命を吹き込まれ漆黒のシヴァを抱いた乙女です≫
1階も2階も木彫り作品の店が犇めき、
どの店も隙間がない位木彫り作品が積み込まれている。
しかしどの作品も死んでいる。
観光客目当ての、如何にもお土産ですよと
言わんばかりの
作品ではない商品ばかり。
 
タマン・プル寺院になった山荘



仙人テラスのサフィニア
アフガニスタンで手に入れた
古いラピスラズリの首飾りを山荘で
目にするや否や
乙女はタマン・プル寺院で掛けていた
漆黒の宝石の上から
何の躊躇も見せず蒼の首飾りを
重ねてかける。

「さあ、これで今日から此処は
タマン・プル寺院になったわ!」


書斎テラス
 
咲き乱れるベゴニアワッパー

咲き続けるハイビスカス

雲海とアンサンブル

サンパラソルが復活



ラピスを飾る乙女黒子はタマン・ブル寺院の神のお告げ!
高僧ニラルタはマス村に木彫りの才を齎した

ヒンドゥーの3つの神が漆黒のシヴァ神を頂点として乳首とトライアングルを為し、乙女の胸に翳を成す。
宇宙、世界を創造し破壊を司るシヴァは、乙女を生み出した母の背に刻まれていたのだが、
ニラルタが宇宙、世界の創造を試みる度に
その漆黒に触れ、こよなく愛した結果乙女に転写されたと云う。

残りの2つの神、世界に実存の場を与えるブラフマーは右の乳首となって深い翳を落とし、
世界を維持し平和を司るヴィシュヌ神は左の乳首となり、光り輝く。



8つの蒼を胸に飾り
タマン・プル寺院で
新たな命を吹き込まれた乙女は
漆黒のシヴァを抱き、
ラピスラズリから
産み出された8つの蒼き海と
宇宙を胸に飾り、
遥かなる時空への旅立ちを決意する。


時空への旅立ち

  時空を超えるには
肉体を捨てなければならない。

漆黒のシヴァ神は、
旅立ちの瞬間に肉体そのものを
破壊し
漆黒の虚空にメタモルフォーゼさせ、
 
時空の扉
時空への旅を可能にするだろう。
 
そして旅立ち後、
嘗て肉体の在ったタマン・プル寺院の
カリスト出窓に、
マス村で刻まれた乙女の木彫り像が
残されるだろう。


漆黒の壺・シヴァは時空の回廊
10月10日(木)晴 嵐前(台風19号) 時空の扉を開いてしまった乙女は何処へ!

私のエネルギーは、自分の内部に向けられ、遺伝子と遺伝子の間に刻まれた≪時の累積≫の暗号を
解読するエネルギーとなるべきなのだ。


実存の場を与えるブラフマーと世界を維持し平和を司るヴィシュヌと宇宙、世界を創造し破壊を司るシヴァの
光と闇の壮麗な三角形を初めての肉体に刻み、時空の彼方へ!

その後アインシュタインの特殊相対性理論は、ミンコフスキー空間として幾何学表現された。
四次元の時空を用いて対称な双線型形式の未来光円錐、過去光円錐を描き、
三次元空間の事象を,ミンコフスキー空間の1点として表わした。

遺伝子の間に刻まれた≪時の累積≫、 時空回廊を齎す破壊を司るシヴァ、我々の世界が
ミンコフスキー空間の1点であること、それらを並べてみたところで支離滅裂。
せめてそれらの背景に潜むある確かな感性にでも出くわすのではと、心象センサーを高めてみるが何も見えない。
にも拘らず、この強烈な調和された既視感は何処から齎されるのか!
それらが1つの坩堝で混沌を為していた記憶、認識すら存在しないあの慕わしい記憶。
その混沌たる記憶から仙人は生み出されたのだ。





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