その1412ー2017年  葉月

仏陀生前の教説アビダルマと媾う相対性理論
アンネ薔薇の花芯で媾う豆黄金虫

≪ あのーカオちゃんにではなくて豆黄金に訊いてるんだけど?ふーん、やっぱ読めないんだな豆黄金め。
こうなると向日葵の特別講義は何処へやら、カオちゃんの自由研究なんてとても出来そうもありませんね!≫


勿論これが豆黄金への苛烈な侮辱であり、最大の挑発であることは云うまでもありません。
ぎっこんギッコン、アビダルマと名付けられた豆黄金に圧し掛かり、
横腹に5つの白い毛を靡かせ、
恰もアインシュタインにでもなったつもりで、もう一匹の豆黄金が叫ぶのです。
≪阿毘達磨はミンコフスキー空間じゃ!≫


桃は過去光円錐ミンコフスキー空間図


物体の速度,加速度,運動量とエネルギー,力と仕事は
適当に定義を改めてこの空間内のベクトルとして,
電場と磁場は反対称テンソルとして表現。
こうして作られたのがミンコフスキー空間。

どう狂ったか、仙人め、
このミンコフスキー空間を、玄関ニッチに鎮座まします
ヒマラヤ瑪瑙の壺と
採れたての桃で表現できないかと、
ウロウロうろうろ。
仙人って、ほんとうに閑なんだな!


ロシア(リトアニア)生まれのユダヤ系ドイツ人数学者
ヘルマン・ミンコフスキーは
チューリヒのスイス連邦工科大学教授 (96~1902) 時代
A.アインシュタインを教えていた。

その後アインシュタインの特殊相対性理論は、
ミンコフスキー空間として幾何学表現された。
四次元の時空を用いて
対称な双線型形式の未来光円錐、過去光円錐を描き、
三次元空間の事象を,ミンコフスキー空間の1点として表わした。

 
未来光円錐が現れる
非退化で対称な双線型形式を持つ実ベクトル空間




y軸を軸にして回転させると
円錐が出来る。
3次元となるz軸を入れると
右下図のような半径rの円錐方程式
=x+y
となる。



絶対値|x|のグラフ


そーら簡単だったろ!
思い出せばあとは簡単。
この定数であるrを変数にして
その座標軸をzとすれば円錐方程式の
いっちょ上がり。
つまり=x+y




此処で思いっ切りぶっ飛んで
一気に4次元の世界線
なるものをぶち込んで
ミンコフスキー空間を
イメージしようってんだ」

≪あれれ、x君とy子さんは
どうしちまったんだい?≫

すっかり仙人の遊び道具にされて
しまった桃が訊ねると
仙人は澄ました顔して云ったとさ。

「2人の速度,加速度,運動量と
エネルギー,力と仕事は
適当に定義を改めてだな、
この空間内のベクトルとして表わし、
2人が周りに及ぼした
電場と磁場は反対称テンソルとして、
表わせば、どうだ
ミンコフスキー空間のいっちょ上がり!」

いやはや懼れ入りました。
しかしここまでしっちゃかめっちゃか
になるとは
仙人の終焉は最早、限りなく近いぜ!
混沌仙人が閑に任せて何やらぶつぶつ。

≪特殊相対性理論がミンコフスキー空間として幾何学表現された≫
なんて云われた途端ビビっちゃうだろ。
何ツ―ことはないんだよ。
滅茶苦茶脱線して例え話をすると、こんな具合さ。

x君とy子さんが恋に落ちて、x君が一定の速度で変化すると
y子さんも同じ速度で変化するなら
2人の関係はy=xと数式で表現してもいい。
しかし恋をしてるのxの負への変化は、
何故かyにとっては総て良い事、正の変化に観える。
となると2人の関係はy=|x|となる。

あーもう此処で解んないって!
絶対値|x|てのはxがマイナスになってもyはプラスになると云うだけの話し。
それを解り易く左図のようにすると、代数が幾何学表現された訳。
こいつをy軸を軸に回転させると円錐が出来るだろ。

=x+y この数式、何処かで観たことないかい?
高校の数学で習った筈。
原点0から半径rの点の集合、つまり円さ。
思い出したかい?

駄目だって!そんならちょこっとだけ特別講義じゃ!
中三で習ったピタゴラスの定理・別名三平方の定理から
簡単に導けるよ。左下の直角三角形で
定理をそのまま使えば半径rの円方程式の出来上がり。

 
ミンコフスキー空間の4次元方程式
c2t2x2+y2+z2
(cは光速tは秒


ミンコフスキー空間として可視化出来るか
テラス上の熊蜂の巣を襲撃し解体

テラス上の2階軒下に造られた円錐状の熊蜂の3次元巣を解体し、2次元状に並べ仙人のモノローグは続く。

「ミンコフスキー空間なんて、とっ捉まえて3次元にしてしまえばこんなもんさ。
線の世界1次元から面の2次元世界は観えない。
同様に2次元から3次元世界は観えないのだから、当然ながら我々の3次元世界から4次元は観えない。
これを可視化するには次元を1つ下げて、
例えば3次元の空間図を1つ下の2次元の面に描けば、視覚的に実感できる。

となると4次元ミンコフスキー空間を可視化するには、3次元空間に幾何学表現すればいいのだ。
そこで円錐方程式に御登場願うわけだ。



軒の熊蜂を夜襲攻撃!

蜂の卵がびっしり
桃で描いたミンコフスキー空間図を
観てごらん!
中央にある平面に座長軸が
入れられて空間と書かれているだろ。

考えてみれば変だろ?
平面なら2次元じゃないか?
これが味噌なんだ。
これを空間だと思えれば、あとは簡単!

平面に垂直な直線z軸を入れて
3次元を造った様に、
この平面の3次元に垂直な4次元の
直線、座標軸ctを入れればOK。


蜂の子の頭が金色を発しているでは!

3次元の図形を1次元の直線で切ると
切断面は2次元平面に
なるだろう。
その平面は垂直方向の3次元と
2次元の境界でもある。

ならば4次元を切るとその切断面は、
どうなるのか?
4次元と3次元の境界は何処に?

実はそれが光の世界線なんだ。
つまりこの円錐の内側は、
4次元で外側は3次元の空間なんだ」

 
真珠の卵が数段の層を成す
 
化学兵器で蜂の動き封殺

四次元空間に表現される質点の運動の軌跡。物理的な事象は、ある場所、ある時間に起こるが、
これを時間・空間を一体化した四次元空間(ミンコフスキー空間)で表すと、一つの点となる。


「 何故4次元の座標軸に光速のcが出て来るんだい?」
頭から黄金の光を発しながら仙人に問い掛ける熊蜂の幼虫。
≪阿毘達磨はミンコフスキー空間じゃ!≫と
叫んだアインシュタインらしき豆黄金虫の謎解きは、いつになったら出来るんでしょうな!


ゴーヤーの世界線の彼方に濡れる木星
「≪円錐の内側は、4次元で
外側は3次元の空間なんだ≫ だって!
光の世界線を超えたら3次元の空間が
現われるだって!
よくもそんな出鱈目が云えるもんだ。
さては混沌仙人の脳はいよいよ
混沌として、機能しなくなったな!

円錐の内側が4次元なのは確かだが、
世界線を超えて3次元空間に
遭遇するなんて有り得ない。
いいかい、世界線を超えると云う事は
光速を超えると云う事で、
新たな次元の軸が必要になるんだ。

いや次元すら超えた
因果律の破綻した世界に
なってしまうと云うこと」


しゃしゃり出てきたのは
採れたばかりのゴーヤーでは!
煩いので包丁で
真っ二つに切り裂いたら
おりゃ、世界線らしき科を造って
宣うでは。

さてはゴーヤーの奴、
特殊相対性理論の微視的因果律に
気づいているな。
世界線の外側、つまり光速を超えた世界が
因果律の破綻した空間であると
何処かで聞きかじって、
仙人の無知を嘲笑っていると云う事か!

はて、因果とは確か仏教用語。
≪この世のすべての事象は、原因の中に
すでに結果が包含されている≫

とか
述べたのは
仏教以降に再編成されて出来たヒンドゥー教の
正統バラモン教の一派。

花器は世界線を超えた5次元空間の座標軸か!



「ゴーヤーの知ったかぶりに
タジタジとなった混沌仙人は、あれやこれや
資料を漁り、3日間も掛けて
作り上げたらしいミンコフスキー光円錐の図。
それでは仙人の言い訳がましい
ご高説を伺ってみましょうか!」
と再び出てきたのは熊蜂の幼虫。

(見易い様にここから英字は大文字に)
うーん、そうだな最初にこの4次元軸CTの
入れ方については、
=X+Yと円の方程式R=X+Y
同じやり方だと解るかな!

つまりXY座標の平面上に円を載せ
=X+Y 半径Rを変数にして、
R=Yを保ちつつ
そのまま平面と直交するZ軸方向へ
持ち上げれば円錐方程式の出来上がり。

同じことを3次元空間上に、
4次元時間軸CTを作ればいいんだ。
問題は何故時間軸をCTとするかなんだけど、
納得いかないよね。

時間軸だからTで良いじゃないかって!
その通り、Tで良いんだ。
Cは光速で定数、変数はTだけなので
4次元軸はCTとなっていても
時間軸であることは間違いない。

原点の現在である事象が起きると
その影響は上の円錐・因果的未来にのみ及び、
現在に影響をしているのは
下の円錐・因果的過去のみと云う
時間的領域が因果の世界である。

=、>、<の意味が解んないって!
それじゃ中学生に戻って
ちょっと復習する?
ほら、思い出しただろ!
Y=Xの場合は
Xを移行してY-X=0にすると
この方程式を満たすX,Yの値は
総て45度の直線上にある。

Y-X>0を満たすX,Yの値は総て
黄色い領域になるだろう。
Y-X>0にしても同じ。

因みに点(2.5)を代入すると
Y-X>0では5-2=3で0より大きい。
Y-X>0では
5-2=5-4=1でで0より大きい。

ミンコフスキー空間では
4次元方程式が0より大きい領域は
上図のように黄色い部分になると
これで納得出来たかな?




数式なんて、もううんざり!
仙人の夏休み自由研究頓挫か?

お馴染みオクラでーす
知ってましたか?
オクラって
ハイビスカスなんです

閑を持て余した仙人が
次にやって来たのがオクラ畑。
「うーん、いつ見ても
オクラの花は美しいのー!」

美しいですよね
クリームの絹が光を
吸い込んで、
花弁が花芯の翳を暴こうと
企んでいます。

5稜の実を着ける

粘り気の正体は、ペクチン、アラピン、
ガラクタンという食物繊維で、
コレステロールを減らす効果が
あるんだって!

その上、ビタミンA、B1、B2、C、
ミネラル、カルシウム、カリウムなどが
含まれるから便秘や下痢を防ぐ
整腸作用もあるとか!
この黒ずんだ5つの赤紫が
やがて5つの稜になって
ぬるぬるした
オクラの実になるんだ。

そーら、柱頭が5菱に

花弁の根元にも花弁が
花芯の翳が
5つの稜を成し
稜の内部に
虚空を生みだし、
翡翠の耀きを放ち
あなたは
こんなにも
美しかったのですね。




更にが続々と大進撃して山荘にやって来た!
山荘は何処も彼処も桃だらけ!

時空の旅をしている。
湯川秀樹がノーベル物理学賞を受賞した1949年には5歳であったのだから、
幼い仙人の記憶媒体を幾らリセットしてみたところで、何も出て来はしない。
≪物心ついてからほとんど口を利かず、面倒なことは全て「言わん」の一言で済ませていたため「イワンちゃん」とも呼ばれていたが、
案外『イワンのばか』から取ったのではないかと自分で考えた時期もあった≫ 
と本田靖春『現代家系論』湯川秀樹には書かれている。



玄関を開けて吃驚!

ビーナスにも飾ってあげよう!




誰ですか又また桃を持ってきたのは?

そう云えば日本で最初の
ノーベル賞受賞者が、親からも能力を
低く観られるような
普通の少年であったことが、
当時の敗戦直後の

日本の少年たちに
大いなる希望を与え、
日本中が沸き立った様な
微かな揺らぎくらいは、
覚えているかも知れない。

そこで夜明けの
ガニメデに昇って森と対峙し、
とっくにお蔵入りし錆びついた


記憶媒体の鍵に油を差し、
嘗て夢中になって漁った

中性子や陽子の知識を追う旅を
愉しむことにした。
残されているのは
知識の上澄み液だけで、
森全体は観えるが
個々の事象は殆ど失われ、
1本1本の木々が実に不鮮明。

失われてしまった
時空の宝石箱を開き、
1本1本の輝きを追うことが愉しい。
巨大恒星の死を目前にした
中性子星が観えてくるのである。

  

キーボードにも

桃の演奏会じゃ!



すっかり種だけになって!

≪夏休み自由研究で眼を
キンキラさせている
小学1年生のカオちゃんの為に
特別講義じゃ!≫


と向日葵が始めた講義が、
山荘の出しゃばりで
頭すっからかんの山荘住人達によって
7月からだらだらと繰り広げられ、
最後は中学数学の Y-X>0で
終わりか!
ほら向日葵だってもう種だけに!

お粗末な自由研究で終わってなるかと
何やら30年前・1987年の
夏休みの自由研究を
引っ張り出そうと、
ごそごそ探し始めた仙人。

鬼灯と珊瑚と向日葵が夏の終わりを



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