1673ー2019年  神無月

さあ、肉体を捨てて時空回廊へおいで!
昏いワイナリーで先週仕込んだワインのテイスティングする仙人に紫薔(シヴァ)が囁く


生と死が
分離不可能なカオスとなり
カオスの中に晶のみが
キラキラと浮遊する
身を翻すたび
晶は遠い昔の生命となり
マリンスノーとなり
壮麗なヒマラヤ山脈となり
無限遠点の星々となり
やがて時空を飛翔する
生命そのものとなる




午後3時、散歩の時間だよ!

アルコールではなくリンゴ酸を乳酸にして
ワインに酸味を加えるとあるでは!
しかしwineryのオーナー兼仕込み人が、
そんな間違ったことを云うとは思えないし。

里路へと下り98ワイナリーに差し掛かると、
懐かしい醗酵した葡萄の
いい匂いが漂って来る。

毎年この時期には山荘でも
ワインの仕込みに追われ、山荘は
ワインの匂いに包まれていたのだ。
ワイナリーの庭には
400㍑もある大樽が6つも並べられ、
潰されたべリーAが
ブツブツと醗酵しながら匂いを放っているでは!
98ワイナリー

「リンゴ酸をアルコールに替える為に仕込む前に
葡萄を干すんです」 
えっ、そんな話聞いたことないなと
リンゴ酸を調べたらこう出てた。

ワイン醸造過程では、乳酸はリンゴ酸よりも
酸味が弱いなど風味が違うために、乳酸菌を利用してリンゴ酸を発酵除去して
乳酸を作ることにより、酸味などの味を調えるのに利用される。
このように、リンゴ酸が乳酸菌によって、乳酸と炭酸ガスに分解される反応を、
マロラクティック発酵 (Malolactic fermentation, MLF) と言う。≫


 

ワインのいい匂い! 



リンゴ酸をアルコールにする為に
オーナーに訊いてみたら
370kgの天日干しした
ベリーAを樽に仕込み、日中は
こうして密封せず
樽の蓋を開いたまま
外気に晒して醗酵させているとか。

イタリアの醸造樽か!

普通は仕込み後は
雑菌侵入を防ぐ為に密封容器に入れ、
エアロックを付けて
炭酸ガスを放ち、醗酵させるのだが、

こうすると葡萄に含まれるリンゴ酸を
アルコールと炭酸ガスに
替えることが出来るとの説明。
サッカロミセスは
何を使ってるんですか?


陽に晒し枝も一緒に!

と問うたら自然発酵で
酵母は一切使わないし、
アルコール度数の
調整に砂糖を使うこともしないと云う。

つまり醗酵後に
アルコール度数を調べ、
その時の度数が
ワインの度数になるとのこと。


これ先週仕込んだ白ワイン!

仕込んだばかりのワイン!

醸造中のワインは最高!






すげえ、巨石が崩れた!


山荘周辺では土砂崩れが
発生するかもと覚悟していたが、雨がちょっと強いかな、
風も少し吹いたかな程度で、
テラスの大皿や鉢植え、ソーラー灯等も飛ばされず、
快晴に近い夜明けを迎えた。

で、ちょっと畑に出てみたら、
何と畑のど真ん中に大きな石がゴロリ。
一体何処からと見上げると
西畑のキウイの石垣が崩壊し、
1トン前後の大岩が9個崩落。
其のうちの1個が西畑まで転がって来たらしい。

うーん、全国では死者7名、行方不明24名
合わせて31名の被害が出ているが、
やはり半端でない嵐であったか!
巨石の崩落
台風19号豪雨による山荘 石垣被害

台風19号で山梨県で初めての
大雨特別警戒注意報が出され、
玉宮地区も341世帯、
911人に12日午後、避難勧告ではなく
レベル5の避難指示が出された。

 
1つ1トン前後の巨石が9個も!



中央線上の山トンネル土留崩壊

ぐにゃり
大月~高尾駅不通
(復旧の目途立たず)



死者77人
行方不明者10人
(17日朝現在)

≪踝まで浸水してます≫
その1時間後の携帯からは、
≪もうすぐ天井まで水が達し
逃げられません≫

この後、携帯電話は途切れ
洪水後、水の引いた
平屋家屋から歯科医師の
遺体が見つかった。

≪硝子を割って何とか
外に出ろ!≫
と言ったんです。


長野新幹線120輌も水没

千曲川決壊

浸水による水圧でドアも開かず
窓も開かず、
平屋なので2階への避難も
出来ず、刻々と競り上る
水位に慄きながら
迫りくる死と対峙する歯科医師。

5日後の17日朝現在で
死者77人、行方不明者10人を
齎した台風19号。
死者の1人である歯科医師は
阿武隈川の氾濫に
呑まれて、こうして死んだ。


上田電鉄別所線の鉄橋崩落



中央線、高速道路は未だ復旧せず
5日後、10月17日の中央線梁川土留崩壊現場

昼夜を問わず5日間も懸命な復旧作業を続けても、この有様。
とても列車や車が通れる状態ではない。
上部の崩壊した土留壁を取り除いて、再度山体に新たな壁をしっかり固定しなくては崩壊は繰り返される。
多量の降雨を齎す秋雨前線が南から接近しつつあり、地滑りの危険性が迫る。

中央高速も中央線も狭い山脈の間を走り、幾つものトンネルを通って東京と甲府を繋いでいる。
従ってバイパスなんぞは無く、ひとたび災害に見舞われれば途絶してしまう。

  大月市初狩町下初狩の笹子川に架かる国道20号の法雲寺橋は、増水で川床が削られ橋脚が沈んだことで、橋が損壊した。
国道20号は通行止め
となり、中日本高速道路は国道復旧まで中央自動車道大月IC(インターチェンジ)―勝沼IC間を通行する車両の通行料を無料としている。
大月市梁川町の
JR中央線梁川―四方津間の線路には土砂や倒木が流入。
撤去作業が続いているが、14日も同線は一部区間で運転見合わせが続く。
JR東日本八王子支社によると、当面運転を見合わせるのは中央線の特急「あずさ」「かいじ」のほか、高尾―大月間の普通列車など。


 
激流の竹森川

 
道路寸断で村の孤立(東京日の出町)

谷となった小倉山林道
 

山荘は陸の孤島 

山荘の巨石石垣が
崩壊したのだから、他にも
被害が出ているのでは!と
小倉山に出かけた。

林道は深く抉られ、竹森川は
狂った様に激しい奔流と化している。
しかしそれ以外は大した被害は
見当たらず一安心。

山脈1つ隔てたお隣の日の出町では
道路が寸断され村が孤立。
山荘も中央高速、
中央線が不通で東京と寸断。
さていつ帰れるやら!



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