仙人日記
 
 その1332ー2016年  師走

12月2週・・・遥かなる生命の叙事詩を書くんじゃ!

極度に抽象化された夜明けの官能美
12月12日(月)晴 テラスの枯露柿に見入る仙人

光を孕んで20日程経つと枯露柿は、柔らかくなり魅惑的な橙の彩に深い透明感を加え、
肉の内奥に潜む欲望をそそる。
そそられるがままに触れた瞬間、皮膚細胞が記憶媒体となって、決して覚えていない母の乳房を蘇らせた。
脳下垂体からの指令を受け、泌乳刺激ホルモン(プロラクチン)、オキシトシンが分泌されると乳房は、
母体の血液の赤みを濾過し、白い分泌液に替え新たな生命を育む。


雲海に揺られて

枯露柿の簾に覆われる窓
生まれたばかりの
新たな生命にとって乳房は、
認識し得る世界の総てとなり、
生命の内奥に
潜む欲望をそそる。

原初の認識として乳飲み子に
インプットされた乳房は、
自らが生命の回帰する聖地であると
乳飲み子に囁き続け、
60兆個の細胞全てに
記憶媒体を仕込んだ。



そう考えると、仙人の指の皮膚細胞が
光を孕んだ枯露柿の柔らかさに
母の乳房を蘇らせたのも、
強ち狂っている訳でもないのかも。

小さな手によって揉まれた乳房が
真紅の血潮を、
免疫上重要な核酸などを

乳の滴と化したジオ

山茶花の血潮とジオの白乳


 
生柿(下)昨年柿(右)熟柿(左)半干柿(中央)

何やら乳首のような 
含む白い分泌液に変えるように、
よく揉まれた枯露柿は
渋くて食べられぬタンニンを
アセトアルデヒドで封じる。
 
よく揉まれた乳房は、
甘露な不死の
霊薬の如き果実に
変えられると云う。


子羊して黒革スーツを造るんじゃ!

十数個は得も言われぬ快感に酔い痴れ乳房の優しさ、柔らかい感触に現を抜かし、これぞ正しく
≪極度に抽象化された夜明けの官能美≫と悦に入っていたが、、
百個を越える頃からしんどくなってきてギブアップ! 

今まで知識としては知っていたが、揉むことによって本当に枯露柿が甘露になるのか疑問視していたので、
昨年までは実施していなかった。
しかし例え甘露にならずとも、揉む毎に母の乳房に回帰出来るのであれば、これに勝る歓びは無い。
そこで今年は、千個近い枯露柿を総て揉む作戦開始。 

  


寒さに竃馬玄関扉隙間テープを突破し侵入 
乳房をひたすらに揉み続けるに従い、
指の皮膚細胞の記憶媒体は
遥かなる生命の叙事詩を語り始める。
≪嘗て肉の内奥に潜む哺乳類の欲望をそそるのは、
実は乳房ではなかったんだ。

乳房の様に柔らかくて優しいんだけど、
もっと大きくて乳首より遥かに鋭敏で
生命そのものを再生する機能を
秘めた臀部なんだよ。
豊かなお尻を両手で包んでご覧、
ほら乳房よりもっともっと
深い神秘的な何かが滾滾と
湧き上がってくるだろう!

寒くてもう駄目だ!

さあ、次は沢庵漬の準備じゃ!
12月12日(月)晴 ログテラスの大根・唐辛子の簾を北側に反転
 

四つ足で歩いていた時代は剥き出しのお尻が充血したり特徴的な膨らみを示したり、
色を変えたりして雄の欲望を挑発した。
二足歩行になってお尻が隠されてしまって、性的魅力の対称が乳房に移って来て、豊かな乳房に雄は生命の讃歌を聴き、
生命の回帰する聖地であると確信したりするようになって・・・。

でも変なんだ。
乳房が最も大きくなるのは授乳期で、この時期雌は発情せず雄は性的魅力を覚えないから、
乳房はむしろ性的魅力の対極にある筈なんだ。


同じ哺乳類でも単孔類は
乳房を持たず、
原始的状態の総排出腔を持ち、
排泄物(糞や尿)も卵や

精子そして乳も、
同じ穴から体外に排出するので
乳房なんて無いし、
野生動物の多くは
授乳期に乳首が露出する程度。

滝が凍ると沢庵の季節

シンプルな白縞、ピッタリ!

ログの冬服は大根ドレス
つまり 乳房には
雄の肉の内奥に潜む欲望を
そそる要素なんて皆無なのさ≫ 
となるとやはり
枯露柿を揉みながら

仙人が慮ったように、
原初の認識としてインプットされた
乳房の囁きが、
性的魅力に織り込まれたのかな!




どりゃ又がしたか!

あのさ、さり気なく≪同じ哺乳類でも単孔類は乳房を持たず、
原始的状態の総排出腔を持ち≫なんて云ってるけど、1つの穴で糞や尿を排出し、
その同じ穴から卵や精子を出し、乳も出すなんて哺乳類がほんとに居るの?
そうなんだ、その不思議な動物は哺乳類でありながら、
卵で子供を生み母親が卵を温めて子を孵化させ、産んだ穴から出て来る乳で子を育てる。 

 
哺乳類で最も
原始的なグループで、
どうも爬虫類から哺乳類へ
進化する早い段階で
進化に乗り遅れ、
分岐し現在まで
生き延びたらしい。

哺乳類の分類
≪哺乳類のメスの生殖器官より≫

人類の雌は
3孔、雄は2孔、雌の方が高等なのか?
2億年ほど前の、
中生代の最初の
紀・三畳紀から
今日まで
オーストラリアの地で
生きて来た、
その哺乳類の名は
カモノハシ。

オーストラリアを除いては
世界の何処の動物園でも
目にすることが出来ない
生きている化石が、
ケアンズ西のアサートン高原で
野生のまま観られると知り、

重い氷の髭を着けた蔦

さあ、いつ食べられるか愉しみ!

この唐辛子と昆布、柚子を入れて
今年1月にレンタカーを飛ばし
クランダからカモノハシの棲む
アサートン高原のヤンガブラ村
向かったが、カーナビが狂って
彷徨い続け断念、悔しい!



仙人は大喜び!
石卓の上に
何やら見慣れぬ箱。
開けて吃驚!
小さな四角い石が
びっしり並んでいて、
叩くと文字が
現われるでは! 

こりゃ便利じゃの!
何じゃこりゃ!
 ふんふん、
頭ん中で思ってることが
次々と文字に
置き換えられてるぞ!
つまり何じゃな、
こりゃ心を映す
鏡じゃな!



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